脱税が発覚すると、その金額や脱税に至った経緯、悪質性などの事情次第では逮捕される可能性があります。脱税の容疑で逮捕されると、重加算税などの金銭的なペナルティが課されるだけではなく、懲役刑などの刑事責任まで追及されてしまいます。
もっとも、全ての脱税事件について逮捕されるわけではありません。「いくらから」という具体的な逮捕基準が設けられているわけではなく、脱税が発覚してからの対応方法次第では、刑事責任の追及自体を免れることも可能です。
そこで、今回は、脱税が発覚して税務署・国税庁から調査が入った人や、脱税がきっかけで検察から捜査を受けている人のために、以下の事項について分かりやすく解説します。
- 脱税の容疑で逮捕されるときの流れ
- 脱税で逮捕されたときのデメリット
- 脱税で逮捕されるか不安なときに弁護士へ相談するメリット
当サイトでは、脱税事件や刑事弁護実務に詳しい法律事務所を多数掲載しています。脱税事件は当局に発覚してからの対応が早いほど有利な解決を実現しやすくなるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士までお問い合わせください。
目次
脱税の容疑で逮捕されるときの流れ
脱税事件を起こした後は、以下のような流れを経るのが一般的です。
- 税務調査・査察
- 検察官への告発
- 逮捕
- 勾留
- 検察官による起訴・不起訴の判断
- 刑事裁判
ここからは、脱税事件に関する各ステージの内容について解説します。
脱税について税務調査・査察が実施される
脱税事件が発覚するきっかけの大半が税務調査・査察です。
税務調査とは、納税者の申告内容が適切かをチェックするために税務署が実施する調査のことです。税務署が有する質問検査権に基づいて実施される任意の調査であるため、税務調査に応じる義務はありません。ただし、税務調査に応じなければ脱税などの疑惑の目を向けられる可能性が高まる点に注意が必要です。ですから、税務調査の事前連絡があったときには、帳簿などを用意したうえで、誠実に対応するべきだと考えられます。
査察とは、国税庁が実施する強制的な調査のことです。悪質な脱税事件を摘発する前提で実施されることが多く、捜索や差し押さえなどの強制処分を伴います。査察調査は強制処分なので、これを拒絶することはできません。査察調査のケースでは検察官への告発が想定される以上、不起訴処分の獲得やできるだけ刑事罰を軽くするための防御活動をこの段階から開始するべきでしょう。
税務調査・査察調査のいずれであったとしても、各種帳簿などが確認されるので、脱税をしていた場合には高確率でバレてしまいます。
脱税事件について検察官に告発される
税務調査や査察調査の結果、悪質な脱税事件であると判断されたときには、国税庁が検察官に脱税事件を刑事告発します(刑事訴訟法第239条第2項)。
刑事告発されるのは、以下のような一定の悪質性が認められる脱税事件だけです。
- 納税義務があることを理解しているのに故意に脱税をした場合
- 帳簿の書き換えや架空の経理処理などの違法行為をしていた場合
- 他人名義の口座を利用して売り上げなどをごまかしていた場合
- 税務調査や査察調査での質問に誠実に回答しなかったり明らかに嘘をついていたりする場合 など
刑事告発するか否かについて具体的かつ明示的な基準が設けられているわけではありません。刑事告発に至らない場合には、追徴などのペナルティが科されるにとどまります。なお、査察調査がおこなわれた後、検察官に刑事告発されるのは全体の約60~70%です。
脱税の容疑で逮捕される
脱税事件について刑事告発を受けた検察官が脱税についての捜査活動を開始します。
そして、以下2つの要件を満たす場合には、脱税の容疑で逮捕処分が下されます(刑事訴訟法第199条第1項、刑事訴訟法規則第143条の3)。
- 逮捕の相当性(罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること)
- 逮捕の必要性(逃亡または証拠隠滅のおそれがあること)
たとえば、帳簿や預貯金通帳の入出金履歴、関係者の供述などの証拠から、脱税に及んだことが客観的に明らかである場合には、逮捕の相当性があると考えられます。
そして、脱税をした関係者間で口裏を合わせるおそれがあるとき、脱税に関する証拠を処分する動きが見られるとき、過去に脱税をした人物が再び脱税の嫌疑をかけられているとき、被疑者の身元や居住地が明らかではないときなどでは、逃亡または証拠隠滅のおそれがあると考えられるので、逮捕の必要性があると判断される可能性が高いでしょう。
脱税の容疑で逮捕されると一定期間強制的に身柄拘束される
検察官が脱税犯を逮捕(通常逮捕)すると、被疑者は強制的に身柄を拘束された状態になります。
逮捕処分が有効な期間は、スマートフォンなどで外部と連絡をとれないだけではなく、弁護人以外と面談することもできません。検察官の取り調べを受ける以外は、留置施設に身柄がとどめられます。
検察官によって逮捕された場合、原則として「逮捕後48時間以内」は留置施設から出ることができません(刑事訴訟法第204条第1項)。そして、48時間以内に起訴・不起訴の判断が下されるか、検察官による勾留請求がおこなわれます。
脱税の容疑で逮捕されると勾留請求によって身柄拘束期間が延長されかねない
検察官が脱税犯を逮捕した後、やむを得ない理由により48時間以内に起訴・不起訴の判断をするだけの状況に至らないときには、勾留請求によって身柄拘束期間が延長されます(刑事訴訟法第206条第1項)。
検察官の勾留請求が認められた場合、被疑者の身柄拘束期間は10日を限度に延長されます(刑事訴訟法第208条第1項。必要性が認められると、さらに10日間延長される可能性もあります)。
逮捕の必要性がなければ脱税が発覚しても逮捕されずに済む
脱税事件が検察官に送致されたとしても、必ず逮捕・勾留されるわけではありません。
というのも、逮捕という強制的な身柄拘束処分が下されるのは、逮捕の必要性(逃亡または証拠隠滅のおそれ)があるときに限られるからです。
たとえば、被疑者自身が真摯に脱税したことを反省しており、証拠書類などを任意で提出したり、速やかに重加算税などの支払いを済ませていたりする場合には、逮捕の必要性がないと判断される可能性が高いです。
このような逮捕の必要性が認められない脱税事件では、「在宅事件」として刑事手続きが進められます。在宅事件扱いになれば、検察から呼び出されたタイミングで事情聴取を受けるだけで済むので、何日も連続的に身柄拘束されることはありません(ただし、逮捕・勾留のように厳格な期間制限が設けられていないので、最終的な処分内容が決定するまでに相当期間を要するリスクが生じます)。
脱税の容疑で起訴される
逮捕・勾留期限が到来するまでに、検察官が脱税事件を起訴するか否か(公訴提起するかどうか、起訴か不起訴か)を判断します。
起訴処分とは、検察官が当該事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分とは、検察官が当該事件を刑事裁判にかけることなく刑事手続きを終了させる旨の意思表示を意味します。
脱税事件について捜査活動が進んだ結果、検察官に起訴処分を下されると、公開の刑事裁判を避けることができません。日本の刑事裁判の有罪率は非常に高いので、実質的には起訴処分が下された時点で有罪が確定するといえるでしょう。
ですから、「脱税のせいで有罪になるのは嫌だ」「脱税で前科者になるのは避けたい」などと考えるのなら、刑事裁判で無罪を目指すのではなく、検察官による公訴提起判断の際に不起訴処分を獲得するための防御活動に尽力するべきだと考えられます。
脱税事件について刑事裁判が開廷される
検察官が脱税事件について起訴処分を下した場合、被告人は公開の刑事裁判を受けなければいけません。
事案の状況次第ですが、刑事裁判が開廷されるタイミングは起訴処分から1か月~2か月後です。自白事件(認め事件)なら第1回公判期日で結審することが多いですが、否認事件の場合には複数回の公判期日をかけて証拠調べなどがおこなわれます。
悪質な脱税事件を起こしたケースでは初犯でも実刑判決が下されかねないので、起訴処分が下されたのなら、罰金刑や執行猶予付き判決獲得を目指した防御活動が不可欠だと考えられます。
脱税の容疑で逮捕されたときに生じるデメリット5つ
脱税の容疑で逮捕されたときのデメリットとして以下5つが挙げられます。
- 刑事罰が科される
- 前科がつく
- 強制的に身柄が拘束される
- 実名報道される
- 税務署からのチェックが厳しくなる
ここでは、各デメリットについて具体的に解説します。
脱税の容疑で逮捕・起訴されると刑事罰が科される可能性が高い
脱税の容疑で逮捕・起訴されると、ほとんどの確率で有罪になってしまいます。
というのも、そもそも日本の刑事裁判の有罪率は9割以上なので、刑事裁判にかけられた時点で実質的に有罪が確定するようなものだからです。また、脱税事件は税務署や国税庁が入念にお金の流れなどをチェックしているので、冤罪の可能性は限りなくゼロ近いです。ですから、「脱税はしていないから無罪だ」という主張が通りにくく、有罪を避けることができません。
なお、脱税事件の場合には、罰金刑、懲役刑、執行猶予付き判決のいずれかになることが多いです。特に、懲役刑が確定すると刑期を満了するまで服役を強いられるため、社会復帰が難しくなるでしょう。
脱税の容疑で逮捕されて有罪になると前科のペナルティにも悩まされ続ける
脱税の容疑で逮捕された後、刑事裁判で有罪判決が下されると、前科によるデメリットに晒され続けます。
前科とは、有罪判決を受けた経歴のことです。前科者になると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
- 賞罰欄に前科を記載せずに入社すると、経歴詐称を理由に懲戒処分が下される可能性が高い
- 前科を理由に就業制限・資格制限を受ける仕事には就けない(士業、警備員、金融関係など)
- 結婚しにくくなる、前科の存在を理由に離婚を言い渡される可能性がある
- パスポートやビザ発給に制限が付く可能性があるので、海外旅行や海外出張に支障が生じる
- 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い
脱税犯自身が今後どのような人生を歩むか次第ですが、前科が付くと困るのなら、検察官に対する告発を回避するか、検察官の不起訴処分獲得を目指して早期に防御活動を開始するべきでしょう。
脱税の容疑で逮捕・勾留されると強制的に身柄が拘束される
脱税の容疑で逮捕されると、その後不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できたとしても、捜査機関に身柄を拘束される期間が生じてしまいます。
たとえば、検察官に逮捕された後、そのまま公訴提起の判断がされた場合、身柄拘束期間は48時間以内です。
また、検察官によって逮捕された後、勾留請求がおこなわれてしまうと、身柄拘束期間は10日間以内の範囲で延長されます。また、勾留が認められたケースでは、身柄拘束期間の再延長がおこなわれて、最長20日間の身柄拘束期間が生じる可能性もあります。
そして、これらの強制的な身柄拘束期間は、被疑者に以下のようなデメリットをもたらします。
- 外部と一切連絡がとれない状況に追い込まれるので精神的なプレッシャーが大きい
- 取調室と留置場を往復するだけで一切外出が認められないので肉体的にも疲弊する
- 学校や会社とも連絡ができないので、学校や会社に脱税で逮捕されたことを隠すのが難しい(何かしらのペナルティが科される可能性がある)
身柄拘束によるデメリットを避けるには、「逮捕されないこと」「逮捕されたとしても勾留を阻止すること」が何より重要です。脱税事件が当局に発覚した時点で適切な対応をすれば、検察官への刑事告発を回避できたり、在宅事件化を実現できたりしやすくなるでしょう。
脱税の容疑で逮捕されると実名報道リスクに晒される
脱税の容疑で逮捕されると、実名報道されるリスクが生じます。
どの脱税事件が実名報道の対象になるかはわかりません。ただ、近年ではテレビや新聞の報道だけではなく、インターネットニュースなどでも情報が出回るので、一度でも実名報道されると、過去に脱税事件を起こした事実が半永久的にWeb上に残る状態になってしまいます。これでは、転職活動や結婚などのタイミングで関係者に名前を検索されるだけで、過去の脱税事件が簡単に発覚して信用が失墜しかねません。
多くのケースで、実名報道がなされるのは「逮捕されたとき」です。ですから、実名報道のリスクを軽減するには、逮捕されないことが何より重要だと考えられます。
脱税の逮捕歴があると今後も定期的に税務署から厳しいチェックが入る可能性が高い
仕事をして収入を得ている以上、毎年税金関係の処理をしなければいけません。つまり、税務署との関係は死ぬまで続くということです。
そして、過去に税金の滞納歴や脱税歴があると、定期的に税務調査が入るなど、今後の税務処理について厳しくチェックされる可能性が高まります。
もちろん、税務処理は常に法律に則っておこなう必要があるものの、経費の処理などの面ではやりにくさを感じる機会が増えかねないでしょう。また、適正な税務処理のために税理士などの専門家に頼らざるを得なくなり、結果として、コストが増大するリスクも伴います。
脱税で逮捕されるか不安なときに弁護士へ相談するメリット5つ
脱税で逮捕されるか不安なときや、刑事責任を追及される流れになったときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件の実績が豊富な弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。
というのも、早期に弁護士に相談・依頼をすることで以下5つのメリットを得られるからです。
- 検察官への刑事告発回避に向けた防御活動を期待できる
- 逮捕・勾留を回避して在宅事件処理を目指してくれる
- 不起訴処分獲得を目指してくれる
- 実刑回避を目指してくれる
- 脱税が生じない環境作りに役立つアドバイスを提供してくれる
ここからは、各メリットについてそれぞれ分かりやすく解説します。
査察段階から防御活動を展開して送検回避を目指してくれる
税務調査や査察がおこなわれたタイミングで弁護士に相談すれば、検察官への告発を回避するための防御活動を展開してくれます。検察官への告発さえ回避できれば刑事事件化を防げるため、脱税者本人が被るデメリットが最小限になります。
たとえば、税務署からの質問に対する回答方法についてアドバイスをくれたり、税務署に提出する書類などの準備をサポートしてくれたりするでしょう。また、必要であれば、税務署職員からの質問や臨検に立ち会ってくれます。
脱税の容疑で送検されたとしても在宅事件化を目指してくれる
脱税の容疑で検察官に告発されたとしても、必ず逮捕されるというわけではありません。
というのも、脱税の事実に間違いがなくても「逮捕の必要性」がなければ逮捕処分は下されず、在宅事件として脱税事件に関する捜査活動が展開されるからです。
そして、「逮捕の必要性がない」という判断を獲得するには、逃亡または証拠隠滅のおそれがないことを捜査機関に対して示さなければいけません。
弁護士に相談・依頼をすれば、検察で実施される事情聴取への対応方法に関するアドバイスをもらえたり、速やかな修正申告等の処理のサポートなどを受けたりできるでしょう。
脱税の容疑で逮捕・勾留されても不起訴処分獲得を目指してくれる
弁護士に相談・依頼をすれば、脱税事件について不起訴処分獲得を目指した防御活動を展開してくれます。
そもそも、脱税事件を起こしたことに間違いがなくても、不起訴処分を獲得する余地は残されています。というのも、不起訴処分の理由には以下3種類が用意されているからです。
- 嫌疑なし(冤罪の場合)
- 嫌疑不十分(犯罪を立証する証拠が不足している場合)
- 起訴猶予(罪を犯した事実は間違いないものの、諸般の事情を総合的に考慮すると、刑事裁判にかける必要がない場合)
脱税事件で刑事告発されたケースでは、事前に国税庁が入念な調査をおこなっているので、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」を理由とする不起訴処分を狙うのは現実的に難しいです。つまり、脱税事件で刑事告発されたケースでは、「起訴猶予」の獲得を目指すべきだと考えられます。
起訴猶予に付するか否かの判断の際には、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況などの諸般の事情が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。
もっとも、脱税事件には、窃盗罪や詐欺罪のように被害者が存在せず、「被害者との間で示談が成立していること」を起訴猶予獲得のための材料として活用できません。ですから、起訴猶予処分を獲得するには、脱税事件の個別事情を踏まえたうえで、検察官からの情状を引き出すための証拠などを用意する必要があります。
反省の態度を示す、二度と脱税が起きないような会計処理体制を構築する、脱税に至った経緯に同情するべき事情があるならそれを客観的に証明する証拠を用意するなど、刑事事件に強い弁護士に相談すれば、起訴猶予処分獲得に向けて必要なアドバイス等を提供してくれるでしょう。
脱税の容疑で起訴されたとしても執行猶予付き判決獲得を目指してくれる
脱税の容疑で起訴処分が下されると、刑事裁判にかけられます。実刑判決が確定すると刑期を満了するまで社会生活から完全に隔離されてしまうので、「実刑判決を避けること=執行猶予付き判決を獲得すること」が何より重要なターゲットになります。
そして、執行猶予付き判決を獲得するには、公開の刑事裁判における供述内容や提出する証拠が鍵を握ります。刑事裁判実務に詳しい弁護士に依頼をすれば、裁判官から執行猶予付き判決の判断を引き出すにあたって必要な情状証拠を用意してくれたり、公判廷での供述方針についてアドバイスを提供してくれたりするでしょう。
罰金刑の公算が大きいのなら略式手続きに同意するのも選択肢のひとつ
脱税事件で刑事告発されたケースでは、最終的に「罰金刑」が求刑される可能性もあります。
執行猶予付き判決・罰金刑も実刑判決と同じ有罪判決なので前科は付きますが、実刑判決と比べると社会生活への影響は極めて小さいため、起訴を避けることができない状況なら、罰金刑での決着は被疑者・被告人にとって有利なものだと考えられます。
ですから、検察官が公判廷で罰金刑を求刑する予定であるのならば、略式手続き(略式裁判、略式起訴、略式命令)に同意するのも合理的な判断です。
略式手続きとは、簡易裁判所の簡略化された手続きによって、公開の刑事裁判を経ずに、100万円以下の罰金刑または科料を確定させる刑事手続きのことです(刑事訴訟法第461条)。公開の刑事裁判で反論する機会を失うものの、刑事裁判に対応する負担が全てなくなるので、略式起訴が下されて罰金を納付した時点で刑事手続きが終了します。
略式手続きに同意するべきかは事案の状況を踏まえて判断する必要があるので、必ず事前に刑事事件のノウハウを有する弁護士の意見を仰ぎましょう。
脱税トラブルが生じないような経理体制構築に関するアドバイスを提供してくれる
弁護士に相談すれば、脱税や申告漏れが生じないような経理体制構築に役立つアドバイスを提供してくれます。
たとえば、企業の脱税トラブルの場合、経理業務に複数人を関与させたり、データの電子化によって後から改竄できないようなバックオフィス部門の体制を構築させたりする方法が考えられます。また、個人の脱税事件の場合、日々の会計処理などから税理士に依頼するなどの対策が有効です。
脱税が原因で逮捕されるような事案の場合、脱税に至った原因、脱税を許すような環境を現段階で改善しておかなければ、将来的に再び税金関係でトラブルが生じる可能性があります。刑事弁護について依頼をするタイミングで専門家の知見を仰ぎ、健全な会計処理を実現できる状況を作り出すべきでしょう。
脱税と逮捕に関するFAQ
さいごに、脱税と逮捕についてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
そもそも脱税とは何ですか?
脱税とは、不正な手段を用いて収めるべき税額を引き下げる「税逃れ」の行為のことです。
たとえば、経費や人件費などを水増しして計上したり、売り上げを過少申告したりするケース、税金の不正還付などが挙げられます。
うっかりミスで脱税しても逮捕されますか?
脱税は、意図的(故意)に税逃れをする行為を指します。
この意味では、うっかりミス(過失)で税金の申告漏れがあったケースは、典型的な脱税には該当しないとも考えられます。
もっとも、事業活動をおこなううえで税法や税制に関する知識はあって当然のものです。また、事業主本人が税制度に詳しくないのであれば、税理士などの専門家を頼って適法に税務処理をおこなわなければいけません。
ですから、「税法のルールを知らなかった」「経費の処理方法の理解を間違っていた」という理由で脱税への該当性が否定される可能性は低いといえます。税金の未払いなどが発生したときには、常に税務署から指摘を受けて何かしらのペナルティを科されるリスクがあると理解しておきましょう。
脱税で逮捕されるきっかけは何ですか?
脱税が発覚する理由はさまざまです。
たとえば、定期的に実施される税務調査のタイミングで不正な会計処理が発覚するケースが挙げられます。また、関係者からの内部告発、知人などからの通報によって脱税がバレることも多いです。
もっとも、税務署や国税庁に脱税が発覚したからといって、すぐに検察官に告発されたり、逮捕されたりするとは限りません。刑事告発されるのは、悪質な脱税事件に限られます。
ですから、「脱税をしたのは間違いないが、何としても刑事告発だけは避けたい」と希望するのなら、国税庁などのチェックが入った時点で弁護士へ相談・依頼をして、検察官への告発を避けるための防御活動を展開してもらうべきでしょう。
脱税で逮捕されるときはどの法律違反が問題になりますか?
脱税は、所得税、相続税、法人税、消費税など、納税義務が課されるあらゆる税目で問題になる事象です。
たとえば、所得税の脱税があった場合には、「10年以下の懲役刑または1,000万円以下の罰金刑(併科あり)」というように、各法律で罰則が定められています(所得税法第238条第1項)。
脱税で逮捕されるのはいくらからですか?
一般論として、課税額が1,000万円を超えるような状況になると、税務調査が入る可能性が高まると言われています。
もっとも、税務調査は課税額が1,000万円以下のケースでも実施されることがありますし、僅少な未納額であったとしても、納税義務に違反している以上は「脱税」です。
ですから、「いくらからなら脱税として逮捕される」「脱税の逮捕基準は〇〇万円から」という客観的な基準は存在しないといえるでしょう。
脱税が発覚すると逮捕以外にどのようなペナルティが科されますか?
脱税が発覚した場合、以下のような行政処分が課されます。
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
どの項目の追徴課税が課されるかは脱税の経緯や内容によって異なります。
ただし、脱税が発覚してからの期間が長いほど、また、脱税額が高額になるほど、ペナルティの金額は高額になります。また、税務署から脱税を指摘した後、すぐに修正申告や追徴課税に応じなければ、検察官に刑事告発されるリスクが高まるのが実情です。
ですから、税務調査などで脱税が発覚したときには、できるだけ早いタイミングで行政処分に応じるようにしてください。
脱税で逮捕された事例はニュースになりますか?
脱税で逮捕されると、ニュースなどで実名報道されるリスクに晒されます。
「脱税で逮捕されてニュースになるのは有名人や議員だけ」「個人が脱税してもニュースで報道されることはない」というのは間違いです。著名人であれ個人であれ、脱税をした以上は等しくペナルティを科されるものだからです。
特に、近年ではフリマサイトでの転売行為や”パパ活”について税務調査が入って脱税を指摘されるケースが急増しています。
個人であったとしても脱税がバレてニュースになる可能性は否定できないので、脱税について心当たりがある方は、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談をして、今後の対応方法についてアドバイスをもらうべきでしょう。
脱税の容疑で逮捕されるか不安を抱えているときには迷わず弁護士へ相談しよう
脱税が発覚すると、追徴課税などの行政処分が下されるだけではありません。
悪質な脱税事件に関与すると、一般的な刑法犯と同じように、逮捕・勾留されたり有罪判決を下されたりするリスクに晒されます。
刑事手続きに巻き込まれると、現在の社会生活に支障が出るだけではなく、今後のキャリアなどにも傷がつく可能性が高まります。これらのデメリットを回避するには、脱税が発覚した時点で弁護士などの専門家に相談をして適切な防御活動をスタートするべきでしょう。
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