任意同行は拒否できる?拒否したあとのリスクや適切な対応方法を解説

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任意同行は、基本的には拒否できます。しかし、現実的に考えると難しいでしょう。任意同行は、あくまでも任意であり、言わば職務質問と同じようなものです。職務質問も任意ではあるものの、現実的に断るのが難しいです。

この記事では、任意同行を拒否できるのか?任意同行に応じた場合はどうなるのか?について詳しく解説しています。任意同行の拒否について知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

任意同行は拒否が可能

任意同行とは、任意で警察署等に同行を求める行為を指します。あくまでも「任意」であるため、拒否しても良いです。しかし、現実的に考えると拒否は難しいです。

めずは、任意同行を求められた際に拒否できるのか?どのように拒否すれば良いのか?について詳しく解説します。

「任意」であるため拒否が可能

任意同行は、あくまでも「任意」です。出前館のため拒否が可能です。そもそも任意とは、その人の意思に任せることを指します。つまり、警察等から警察署等への動向を求められた際は、断ることができます。

一方で、強制である場合は拒否できません。強制的に警察署へ連れて行く場合は、逮捕状が必要です。逮捕状は罪を犯した疑いのある人の身柄を強制的に拘束するために発付される書類であり、断ることはできません。

逆に言えば、逮捕状がない場合は任意であり、同行に応じる必要はないのです。もちろん、警察官等は任意同行を求める際に「任意だから、断っても構わない」とは言いません。そのため、知識として任意同行は拒否できることを覚えておくと良いでしょう。

任意同行した場合、いつでも退去可能

任意同行を求められ、警察署等に行ったとしましょう。その後、自分のタイミングでいつでも退去して構いません。そのため、たとえば後に予定が入っている場合は、時間に余裕がある間は任意同行に応じ、その後は退去しても良いです。

たとえ、取り調べが途中であったとしても、警察官等に相手を止める権利はありません。なぜなら、あくまでも任意であるためです。

ただし、拒否するのは難しい

任意同行は任意であるため拒否が可能です。しかし、拒否するのは現実的に難しいでしょう。なぜなら、任意同行を求められるということは、何らかの事件の取り調べの対象になっているためです。

任意同行を求められる主な理由としては、犯罪の嫌疑をかけられている、もしくは職務質問の延長線上で行われるケースのいずれかです。

とくに犯罪の嫌疑をかけられている場合、任意同行を求めて拒否したとしても警察官等が「わかりました」といってすぐに帰ることはありません。なぜ、任意同行に応じられないのか?何かやましいことがあるのか?など、さまざまなことを聞かれ、結果的に拒否が難しいでしょう。

とはいえ、たとえばこの後すぐに何らかの予定が入っているなど、何らかの事情がある場合は拒否できる可能性が高いです。この場合、後から警察署へ出向くことなどを約束しておく必要があるでしょう。

なお、約束をしていたとしても、任意である以上行かなくても罪に問われることはありません。

任意同行2つの種類

任意同行を求められる主なケースは、以下のとおりです。

  • 犯罪の嫌疑をかけられている場合
  • 職務質問の一環として行われる

次に、任意同行を求められる主なケースについて、詳しく解説します。

犯罪の嫌疑をかけられている場合に行われる

犯罪の嫌疑をかけられている場合は、任意同行を求められる可能性があります。たとえば、あなたが何らかの罪を犯していて、容疑者や重要参考人として話を聞きたいとします。

しかし、さまざまな状況等を考慮して、逮捕せずに捜査を行いたいと考えた場合は、容疑者や重要参考人であるあなたに対して任意同行を求めるのです。

そもそも、罪を犯したからかならず逮捕されるわけではありません。証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがある場合、その他逮捕する必要があると判断された場合にのみ逮捕状を請求・発付して逮捕します。

そのため、もし任意同行を拒否した場合は、「逃亡もしくは証拠隠滅の可能性がある」と判断されて逮捕される可能性が高まるため注意しなければいけません。

また、逮捕するまでの証拠が集まっていない場合も、任意同行を求められることがあります。この場合、任意同行で取り調べを行い、証拠が集まり次第逮捕される可能性もあるでしょう。

職務質問の一環として行われる

職務質問の一環として、任意同行を求められるケースもあります。たとえば、警察官があなたに対して職務質問をしたとしましょう。職務質問の結果、腕に注射痕を発見し、覚せい剤使用の疑いがあるため、尿検査を行う必要があるようなケースです。

この場合、任意で動向を求めたうえで、尿検査に協力をしてもらいます。もし、覚せい剤使用の疑いが非常に強い場合は、捜索差押許可状の発付が必要です。そこまでの証拠が揃っていない場合は、捜索差押許可状の発付を請求しても認められないため、任意での採尿を依頼します。

また、近くで事件が発生し、人相が似ている人に職務質問を行った結果、事件に関係する物を所持していた場合も任意同行を求められるでしょう。事件と関係している可能性が高いと判断され、結果的に任意同行を求められる流れです。

上記のように、職務質問を行った結果、事件の可能性があると判断された場合は、任意同行を求められるでしょう。

任意同行を拒否するとどうなる?

任意同行を拒否してもとくに何も起きません。しかし、任意同行を拒否したところで「わかりました」といってそのまま帰ることはありません。基本的には、説得をしたうえで任意同行に協力してもらいます。

また、何らかの事件の可能性が高く、逮捕状請求・発付の条件が揃っている場合は、逮捕される可能性があるため注意しましょう。次に、任意同行を拒否した場合、どうなるのか?について詳しく解説します。

とくに何も起きない

任意同行は、あくまでも任意であるため拒否をしても何も起きません。強制ではないため、任意同行を拒否したことによって、何らかの犯罪が成立することはありません。

ただし、拒否をする際に無理やりその場を離れようとして警察官を突き飛ばしたり、危険な行為をした場合は、公務執行妨害罪に問われる可能性があります。そのため、任意同行を拒否する場合は、言葉で「拒否します」と言いましょう。

強く任意同行を求められる(説得)

任意同行を拒否した場合、警察官等から強く説得されるでしょう。多くのケースでは、任意同行を求められている者が応じるまでは、警察官も引かないケースが多いです。

任意同行を求められるということは、何らかの罪の疑いをかけられている可能性が高いです。後のことを考えても、任意同行に素直に応じたほうが良いでしょう。

もし、どうしても任意同行に応じたくないにも関わらず、何度もしつこく求められた場合は、弁護士へ相談をしてみましょう。逮捕されているわけではないため、携帯電話を使用できます。知り合いの弁護士もしくはネットで見つけた弁護士への相談を検討してください。

逮捕される可能性がある

もし、何らかの罪を犯している場合、任意同行を拒否することによって逮捕される可能性があります。逮捕するためには、逮捕状の発付が必要です。

任意同行を求めた時点である程度の証拠が揃っているものの、在宅捜査で事件を進めていこうと考えている可能性もあります。この場合、任意同行を拒否することによって、「逃亡・証拠隠滅の可能性がある」と判断されてしまう可能性があります。そのため、罪を犯した事実がある場合は、素直に任意同行に応じたほうが良いでしょう。

ただし、任意同行を求められて警察署等へ行った後、そのまま逮捕状を発付して逮捕される可能性もあります。不安がある場合は、任意同行に応じる前に弁護士への相談を検討しておきましょう。

任意同行を拒否するメリット・デメリット

任意同行を求めるメリットは、時間を使わずに済む点です。一方で、デメリットは犯罪の嫌疑をかけられたり、逮捕をされたりする可能性がある点です。

次に、任意同行を拒否した場合のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

メリット1:時間を使わずに済む

任意同行を拒否する唯一のメリットは、時間を使わずに済む点です。任意同行に応じた場合は、警察署等で取り調べをが行われます。取り調べの時間は、事件の内容や聞きたい内容によって異なりますが、1日程度かかるケースが多いです。

たとえば、朝一番で任意同行を求められた場合、夕方頃まで時間がかかります。そのため、任意同行に応じた場合は、仕事や学校に行けないなどの日常生活への弊害が発生する可能性が高いです。

また、短時間で終了するケースであっても、半日程度の時間はかかる可能性が高く、時間が無駄に感じてしまう人も多いでしょう。その点、任意同行を拒否すれば、時間を使わずに済むためメリットになり得ます。

デメリット1:犯罪の嫌疑をかけられる

任意同行を拒否した場合のデメリット一つ目は、犯罪の嫌疑をかけられる可能性が高まる点です。職務質問と同様で、とくに何もしていないのであれば、任意同行に応じて身の潔白を証明したほうが良いです。

つまり、相当な理由がないにも関わらず任意同行を拒否するということは、「何か犯罪をしているのではないか?」と疑われる可能性があります。

ただし、任意同行を求められている時点で何らかの犯罪の嫌疑をかけられている可能性が高いです。もし、何らかの事情でどうしても任意同行に応じられない場合は、その事情を説明したうえで、改めて警察署に出向く旨を伝えたほうが良いです。

デメリット2:逮捕される可能性がある

デメリット2つ目は、任意同行を拒否することによって逮捕されてしまう可能性があることです。

基本的には、逮捕するためには逮捕状の請求・発付が必要です。逮捕状が発付されるためには、罪を犯したと疑うに足りる十分な証拠があること、逃亡や証拠隠滅の恐れがあること、その他逮捕する理由がある場合に限られています。上記理由がないと認められれば、逮捕状を請求しても発付されることはありません。

そのため、たとえばあなたが何らかの罪を犯していて、警察官等が逮捕状を請求したものの、上記条件を満たしていなかったことによって逮捕状が発付されなかったとします。この場合、罪を犯したと疑わしいあなたに対して、あくまでも任意という形で同行を求めるしかありません。

任意同行で捜査・事件を進めていく場合ことを在宅と呼びます。在宅事件の場合は、あくまでも任意という形で警察や検察の呼び出しに応じてもらい、取り調べに応じてもらうしかありません。

しかし、任意での同行を拒否されてしまった場合、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと判断され、強制捜査である逮捕に踏み切るのです。なぜなら、罪を犯したと疑うに足りる十分な証拠があり、任意同行にも応じないため、逮捕をして強制的に捜査を行うしかないためです。

【結論】メリットは少ないため素直に応じたほうが良い

結論として、任意同行を拒否するメリットはほとんどありません。むしろデメリットの方が多く、影響も大きいです。そのため、任意同行を求められた場合は、素直に応じたほうが良いです。

仮に、何らかの犯罪の嫌疑をかけられているのであれば、素直に任意同行や取り調べに応じたほうが、逮捕されずに済むケースも多いです。

任意同行に応じることに不安を感じているのであれば、弁護士への相談を検討してみると良いでしょう。あくまでも任意であるため、実費で弁護士費用を支払わなければいけないものの、アドバイスやサポートを受けられます。

任意同行を求められた場合の適切な対応方法

任意同行を求められた場合、どのように対応すれば良いのか?と悩まれている人も多いのではないでしょうか。正しい対応方法を把握し、適切に行動することが大切です。次に、任意同行を求められた場合の適切な対応方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

任意同行を求められている理由を把握する

初めに、なぜ任意同行を求められているのか?について把握しておきましょう。

任意同行を求めるためには、何らかの嫌疑が必要です。たとえば、犯罪の疑いがある、危ない物を所持していたため話を聞きたい、などさまざまな理由が考えられます。その理由を聞いたうえで、対応方法を検討する必要があります。

たとえば、何らかの犯罪の疑いをかけられていて、その犯罪について心当たりがある場合は、素直に応じたほうが良いでしょう。心当たりがない場合は、任意同行に応じずに「そのような事実はない」と主張をしても良いです。

任意同行に応じて警察署に行ってしまうと、任意であっても途中退出は難しいです。警察官等に途中退出を止める権利はないものの、現実的に考えると難しいため、初めから任意同行に応じない選択を取ることが良いでしょう。

弁護士へ相談をする

任意同行を求められた時点で、弁護士への相談を検討したほうが良いです。たとえば、罪を犯した事実がある場合であっても、弁護士からアドバイスを受けられたり、弁護士に対応してもらえたりします。

仮に、罪を犯した事実がまったくないのであれば、弁護士へ相談をしたうえで弁護活動を行ってもらうことが適切です。任意同行は、あくまでも任意であるため、警察官等にスマートフォン等の使用を止める権利はありません。

任意同行を求められた時点で知り合いの弁護士もしくはインターネット等で検索し、刑事弁護に強い弁護士への相談を検討しましょう。

任意同行の拒否に関するよくある質問

任意同行に関するよくある質問を紹介します。

Q.任意同行に応じれば逮捕されないのですか?

A.かならず逮捕されないとは限りません。

任意同行に応じたとしても、逮捕される可能性があります。たとえば、何らかの犯罪の嫌疑をかけられている人が、任意同行を求められて応じたとしましょう。

被疑者に対して任意同行を求める目的は、大きく分けて2パターンあります。ひとつ目が、「在宅捜査で捜査を進めていこう」としているパターンです。もうひとつが、「逮捕するまでの証拠が揃っていない」というパターンです。

前者の場合、任意同行に応じたことによって、在宅捜査で捜査が進められていくでしょう。結果的に、逮捕される可能性は低いです。一方で、後者の場合は任意同行を求めて取り調べを行った結果、証拠が揃ったとします。この場合は、証拠をもとに逮捕状を請求して逮捕される可能性があります。

そのため、任意同行に応じたからといって必ずしも、逮捕を回避できるとは限りません。もし、罪を犯した事実があるのであれば、逮捕を覚悟しておいたほうが良いでしょう。

Q.いずれ逮捕されるのであれば、任意同行を拒否したほうが拘束時間を短くできますか?

A.拘束時間に変わりはないものの、逮捕までの準備期間の猶予が発生するでしょう。

逮捕にはいくつかの種類がありますが、逮捕状を発付して行う逮捕(通常逮捕)の場合、事前に逮捕されることは知らされません。被疑者目線で見ると「ある日突然逮捕された」という状況になります。

そのため、逮捕までに猶予がなく、家族のケアや仕事に対する準備等、日常生活における準備を進められません。

一方で、罪を犯した事実があって任意同行を求められた場合、いずれ逮捕される可能性があります。もしかすると、任意同行に応じてそのまま逮捕されるかもしれません。

上記観点で見ると、任意同行を拒否することによって、最短でも数時間程度の猶予期間が与えられるでしょう。この時間で家族のケア等を行える点はメリットになり得るかもしれません。

とはいえ、任意同行に応じないことによる逮捕の可能性も否定はできないため、慎重な判断が必要です。

Q.任意同行の拒否方法を教えてください。

A.「任意同行には応じません」と伝えるしかありません。

任意同行は、あくまでも任意であるため拒否できます。しかし、任意同行を拒否したとしても「わかりました」といってその場から離れることはほぼありません。どうにかして応じてもらおうと説得します。

とはいえ、任意同行を求められた側からできることとしても、「任意同行には応じません」「拒否します」と伝えることしかできません。当然警察官等も折れずに押し問答になるかもしれませんが、それ以上できることはないでしょう。

唯一できることとしては、弁護士へ相談をすることです。弁護士が法律を元に警察官へ主張し、任意同行を拒否できる可能性があります。

Q.仕事のため「後から出頭する」と言った場合、任意同行を拒否できるのでしょうか?

A.可能です。

任意同行はあくまでも任意であり、強制力はありません。そのため、「後から出頭します」という主張も認められるのが原則です。しかし、「後から出頭します」と伝えて、必ずしも応じてもらえるとは限りません。

Q.取り調べ中に帰っても良いのですか?

A.良いです。

任意同行は、あくまでも任意であるためいつ退出しても良いです。これを止める権利はありません。しかし、取り調べが終了していなければ、説得を受けることになるでしょう。そのため、取り調べ中に帰ることはできますが、現実的には難しいと考えていたほうが良いです。

まとめ

今回は、任意同行を拒否できるのか?について解説しました。

任意同行は、その名の通り「任意」であるため、当然拒否できます。強制的に連行する権利はありません。しかし、現実的に任意同行を拒否することは難しいでしょう。

何らかの嫌疑をかけられている以上、「わかりました」といってその場を離すわけにはいきません。そのため、強い説得を受けるケースが多いです。つまり、現実的に考えれば、拒否するのは難しいということです。

本記事で何度もお伝えしているとおり、任意同行を求められて困っている方は、弁護士への相談を検討してください。弁護士であれば、法律を元に任意同行を拒否したり、任意同行に応じる際のアドバイス等をしてくれます。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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