マルチの勧誘は犯罪になる?違法になるケースと正しい対処法を解説

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「マルチ商法(マルチレベルマーケティング)」という言葉を一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。一見、合法的なビジネスモデルに見えるマルチ商法ですが、実はその勧誘方法や販売手法によっては違法行為に該当し、刑事罰の対象となるケースもあるため注意が必要です。

とくに、最初に目的を告げずに勧誘したり、「絶対儲かる」などの誇大表現を使って契約を迫ったりする行為は、特定商取引法違反として処罰される可能性があります。さらに、脅迫的な手法や詐欺的な言い回しを用いた場合には、刑法上の詐欺罪や脅迫罪が成立する恐れもあるため注意が必要です。

この記事では、マルチ商法の勧誘がどのような場合に違法となるのかを法律に基づいてわかりやすく解説します。また、実際に勧誘を受けた際の断り方や、被害に遭った場合の相談先、マルチ商法とねずみ講との違いなどについても詳しく紹介しています。

目次

マルチ商法の勧誘は犯罪として成立する

マルチ商法の勧誘は、犯罪として成立する可能性があります。まず、マルチ商法は「特定商取引法違反」に該当する可能性があります。他にも、悪質な場合は、詐欺罪や脅迫罪といった刑法犯に問われる可能性もあるでしょう。

まずは、マルチ商法の勧誘がどのような犯罪として成立するのか?について詳しく解説します。

マルチ勧誘は特定商取引法違反に該当する可能性がある

マルチ商法は、「連鎖販売取引」に該当するため特定商取引法違反に該当する可能性が高いです。

そもそも「連鎖販売取引」とは、個人を販売員として勧誘してその販売員が新たな販売員を勧誘する仕組みを指します。たとえばAさんが販売員として活動し、友人のBさんとCさんを勧誘したとしましょう。

BさんとCさんが新たな販売員として活動を開始し、Bさんが新たにDさんEさんを勧誘し、CさんがFさん、Gさんを勧誘する……のように連鎖的な販売取引を指します。

マルチ商法(連鎖販売取引)自体が違法であるわけではないものの、以下に該当する場合は違法行為として処罰対象となるため覚えておきましょう。

  • 事実を告げない
  • 相手を威迫・困惑させて契約させたり契約解除をさせたりしない行為
  • 勧誘目的を告げない誘引方法

上記いずれかに該当する場合は、特定商取引法違反として処罰対象になり得ます。

悪質な場合は詐欺罪や脅迫罪などの刑事責任を問われることもある

マルチ勧誘が悪質な場合は、詐欺罪もしくは脅迫罪等の刑事責任に問われる可能性があります。

たとえば、相手を脅してマルチに勧誘した場合や相手を騙して契約をさせた場合です。他にも、契約解除を求める相手に対して脅迫したり騙したりした場合も刑法犯になり得ます。

万が一、脅迫罪が成立した場合は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」に問われます。具体的には、「契約しないと〇〇するぞ」などと脅かした場合に成立する犯罪です。

詐欺罪に問われた場合は「10年以下の拘禁刑」が科されます。具体的には、相手を騙して金銭等を詐取した場合に成立します。

【拘禁刑とは】
拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された新しい刑罰です。これまでの懲役刑(刑務作業が義務)と禁錮刑(刑務作業の義務なし)が一本化された刑事罰です。

マルチ勧誘が違法となるケース

マルチ勧誘自体が直ちに違法となるわけではありません。以下に該当する場合は、違法となり、処罰対象となるため覚えておきましょう。

  • 目的を告げない
  • 断ってもしつこく誘う
  • 儲かる・絶対成功などの誇大広告

次に、マルチ勧誘が違法となるケースについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「最初に目的を告げない」などは法律違反にあたる

マルチ勧誘で初めに目的を告げずに契約をさせた場合は、特定商取引法違反になります。これを「目的を告げない誘引方法」と言います。

たとえば、キャッチセールスやアポイントメントセールスなどです。キャッチセールスとは、街中や駅前等で通行人に声をかけて喫茶店や営業所へ連れて行ってからマルチ勧誘の話をするセールス方法を指します。

キャッチセールスは、初めに目的を告げずに喫茶店や営業所を連れて行く行為であり、特定商取引法違反になり得ます。多くの人は、目的を告げられずに連れて行かれると「断りにくい」と感じてしまい、結果的に契約をさせられてしまうケースが多くあるためです。

アポイントメントセールスも同様で販売目的を隠して消費者を電話やメール等で勧誘し、喫茶店や営業所等で初めて、契約の話をする行為です。これらの行為は「最初に目的を告げない行為(目的を告げない誘引方法)」に該当するため、違法です。

「断ってもしつこく誘う」は威迫行為とされる可能性がある

断ってもしつこく誘う行為は、威迫行為として特定商取引法違反になり得ます。明確に断っているにも関わらず、しつこく誘われた場合は、「特定商取引法違反になります」などと言い、強気に断りましょう。

「儲かる・絶対成功」など誇大表現は不実告知に該当する

「儲かる」や「絶対成功する」などの誇大表現は、不実告知に該当し、特定商取引法違反になり得ます。そもそも、「絶対に儲かる」や「絶対に成功する」といったことは現実的に考えてあり得ません。そのような言葉で多くの人を勧誘する行為は、信用しないほうが良いです。

とくにマルチ勧誘の場合は、「入会することでこの商品を割引された金額で購入できる。そのため、この商品を第三者に販売することで、確実に利益をあげられる」などもっともらしいことを言って勧誘してきます。

その商品に需要があるのであれば、あなたが入会して第三者に販売する必要がありません。「うまい言葉には裏がある」と常に疑いの目を向けておくことが大切です。

ねずみ講とマルチ商法の違いとは

ねずみ講もマルチ商法も「連鎖販売取引」である点では同じであり、ピラミッド型の組織構造という点でも同じです。このことからねずみ講とマルチ商法を同義に捉えられている方も多いのではないでしょうか。

しかし、ねずみ講は完全に違法であるのに対し、マルチ商法は基本的には合法であるという違いがあります。そのため、次にねずみ講とマルチ商法の主な違いについても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ねずみ講は無限連鎖講として完全に違法

ねずみ講は正式には「無限連鎖講」と呼ばれています。無限連鎖講とは、先に加入した者が2人以上の新規加入者を勧誘し、さらに新規加入者が2人以上ずつ勧誘して加入者を増やして行く仕組みです。

先に勧誘した者は一定の条件のもとで所定の金品を受け取り、順次組織を離れていきます。

たとえば、Aさん(初めに加入した人)がBさんとCさんの2人を勧誘し、BさんとCさんがそれぞれ2人以上勧誘し、勧誘させます。さらに新たに勧誘された人が2人以上勧誘・加入していく……という連鎖的なピラミッド型組織を形成します。

ねずみ講(無限連鎖講)は最終的には破綻する仕組みであるにも関わらず、加入者の経済的損失を与えることから完全な違法行為とされています。

マルチ商法は合法だが厳しく規制されている

ねずみ講(無限連鎖講)は完全に違法こういですが、マルチ商法は直ちに違法となるわけではありません。マルチ商法も会員が別の消費者に対して商品を販売したり、勧誘したりして徐々に会員数を増やすという意味では、ねずみ講と似ています。

しかし、実在するサービスや商品を販売していることなどから、マルチ商法が直ちに違法となるわけではありません。とはいえ、「特定商取引法」という法律に従って営業を行う必要があり、違反した場合は処罰対象となるため注意しなければいけません。

マルチ勧誘を受けた際の断り方

マルチ勧誘を受けた場合、明確に断ることが大切です。しかし、相手もあの手この手を利用してマルチへの勧誘を試みるでしょう。はっきりと断れる人は良いですが、中には相手の口車に乗せられてはっきりと断れない人も多くいます。

そのため、万が一マルチ商法の勧誘を受けた場合のことを考え、以下の断り方を覚えておくと良いでしょう。

  • 特定商法取引に基づいて断るとはっきり伝える
  • 公衆の出入りしない場所での勧誘は違法となる旨を伝える
  • 録音・証拠保存が自分を守る手段になりうることを覚えておく

次に、マルチ商法の勧誘を受けた場合の断り方についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「特定商取引法に基づき断る」と伝えるのが有効

マルチ商法は合法ですが、特定商取引法という法律に基づいて営業をしなければいけません。そのため、マルチ商法の勧誘を行っている相手方は、少なからず特定商取引法についての知識があります。

また、相手はあなたが素人であると考えています。「特定商取引法に関する知識は乏しいであろう」「何も知らないだろう」と考えたうえで勧誘していると思っておきましょう。

そこであなたが「特定商取引法」という法律を口に出すことで、相手は「この人はマルチ商法に詳しい」「この人は法律に詳しい」と判断します。そのうえでしっかりと断ることで、無理な勧誘等を行えなくなります。

「公衆の出入りしない場所」での勧誘は違法なので、その場から離れる

特定商取引法では、「公衆の出入りしない場所」での勧誘を違法としています。たとえば、マルチ商法を行っている営業所や周囲に人のいない場所での勧誘は完全に違法です。

他にも、喫茶店であっても違法であると判断されるケースは多いです。そのため、とにかく「その場を離れる」ようにしましょう。無理に引き留めたり、無理に勧誘を続けたりした場合は、特定商取引法違反となります。

録音・証拠保存が自分を守る手段になる

マルチ商法の勧誘を受けていると気付いた場合は、途中からでも良いため録音するなどして証拠保全に努めましょう。万が一、契約をしてしまった場合であっても、最終的に録音した記録データが証拠となり、契約解除や返金を求める際に有利になる可能性が高まります。

【一覧】マルチ商法で被害に遭った場合の相談先

マルチ商法で被害に遭った場合の相談先は、主に「消費生活センター」にて相談可能です。また、弁護士へ相談することで損害賠償請求や契約解除の検討も可能です。

次に、マルチ商法で被害に遭った場合の相談先についても詳しく解説しますので、実害が発生してしまった人はぜひ参考にしてください。

消費生活センターが窓口になる

マルチ商法の主な相談先は、消費生活センターです。それぞれの相談方法は以下のとおりです。

【消費生活センター】
消費者ホットライン:188
お住まいの地域の消費生活センターはこちら

弁護士への相談で損害賠償や契約解除も検討できる

マルチ商法の被害相談は、基本的には消費生活センターへの相談で対応してもらえます。しかし、内容等によっては消費生活センターの相談のみでは不十分である可能性が高いです。

この場合は、弁護士へ相談することによって損害賠償請求や契約解除について交渉を行ってもらえます。当然、弁護士へ支払う費用は発生しますが、より現実的かつスピーディーな対応を求める人は、弁護士への相談を検討されてみてはいかがでしょうか。

クーリングオフは20日以内に手続きすれば取り消し可能

マルチ商法は、基本的にクーリングオフの対象です。対象期間は20日間であるため、契約後20日以内であれば無条件で契約を解除できます。

万が一、契約から20日以上経過してしまった場合であっても、弁護士への相談で契約解除できる可能性があるため、まずは相談をされてみてはいかがでしょうか。

マルチ商法と知らずに契約した場合の対処法

マルチ商法であることを知らずに契約をしてしまった場合、クーリングオフによる無条件での契約解除が可能です。しかし、クーリングオフが可能な期間は、契約から20日以内です。

万が一、契約から20日以上経過した場合であっても、以下に該当する場合は契約を解除できる可能性があります。

  • 重要事項説明の不備があれば契約を無効にできる
  • 返金請求も可能なケースがある

次に、マルチ商法と知らずいn契約をしてしまった場合の対処法について詳しく解説します。

重要事項説明の不備があれば契約無効を主張できる

マルチ商法は「連鎖販売取引」であるため、特定商取引法という法律に従って営業をしなければいけません。特定商取引法では、重要事項説明が義務付けられています。

重要事項説明とは、消費者トラブルを未然に防止することを目的としたものであり、契約に際して重要な事項を消費者に説明しなければいけないという義務です。具体的には、商品に関することや契約に関する内容を消費者が理解し、納得できるような内容で説明する必要があります。

もし、重要事項の説明を受けていないのであれば、契約無効を主張できます。また、勧誘した側も特定商取引法違反として処罰対象となるため、まずは消費生活センター等への相談を検討してください。

商品購入のみなら返金請求も可能なケースがある

マルチ商法側に違法な行為が認められた場合は、返金請求が可能なケースもあります。返品に関しては、「未使用品であること」や「再販売していないこと」などが条件となるケースが多いです。

そのため、少しでも「怪しい」と感じた場合は、商品を開封せずに消費生活センターや弁護士へ相談をしたうえで、返金請求を検討しましょう。

マルチ勧誘と警察対応

マルチ商法は直ちに違法となる行為ではありません。しかし、詐欺的手口や脅迫があれば、警察の捜査対象となり得ます。警察へ届出する際は、証拠や被害状況の整理をしておくことが大切です。

なお、「民事」と「刑事」は別問題である点に注意が必要です。刑事事件は、あくまでもマルチ商法側の刑事責任を問うためのものです。警察では、退会や返金対応等のトラブル対応は行っていないため注意しましょう。

次に、マルチ勧誘と警察対応についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

詐欺的手口や脅迫があれば捜査対象になることがある

詐欺的な手口や脅迫があった場合は、刑法犯となるため警察の捜査対象になり得ます。たとえば、詐欺罪が成立するためには以下の4要件を満たしている必要があります。

  • 欺罔行為
  • 錯誤
  • 交付
  • 財産の移転

欺罔行為とは「相手を騙そうとする意思」を指します。つまり、勧誘をしてきた人があなたを騙そうとしていた意思がある場合は、欺罔行為が認められます。そして、欺罔行為の結果、あなた自身が錯誤(実際に騙された)した場合は、2つ目の要件を満たしていると言えるでしょう。

騙された結果、実際にお金を支払ってしまった場合は、交付・財産の移転があったと認められるため、詐欺罪が成立します。マルチ商法の中には、詐欺的行為を行って新たな会員を増やすケースもあります。もし、詐欺罪が認められる場合は、捜査対象となるため警察への相談を検討しましょう。

そして、勧誘にあたって脅迫行為があった場合は脅迫罪(刑法犯)が成立するため、これも警察の捜査対象になります。たとえば、「契約しなければ〇〇する」などと脅された場合は、脅迫行為に該当します。

一方で、刑法犯に該当しない場合や特定商取引法違反に該当しない場合は、合法であるため警察の対応はできません。

証拠や被害状況を整理して届け出ることが重要

警察へ届出する際は、事前に証拠や被害状況を可能な限り集めておくことが大切です。可能であれば、契約時の勧誘状況を録音したデータや契約書の書類等を集めておくと立件しやすくなります。

何が証拠になり得るのか等、不明な場合は事前に弁護士へ相談をしてみるのもひとつの手段です。弁護士であれば、どのような犯罪が成立するのか?どのような証拠が有効なのか?をアドバイスしてくれます。

民事と刑事は別問題として対応される点に注意

警察で対応できる範囲は、あくまでも「刑事事件のみ」である点に注意しましょう。たとえば契約解除や返金請求、行政処分等はいずれも民事となるため、警察では対応できません。民事処分を求める場合は消費生活センターや弁護士への相談が必要となります。

マルチ勧誘の主な手口

マルチ商法は、新規会員を勧誘しなければいけません。そのため、さまざまな方法で新規顧客となる人を見つけ、言葉巧みに勧誘します。

とはいえ、最初の見込み客の発見が非常に難しく、難易度が高いです。そこで、よく利用される手口が以下のとおりです。

  • マッチングアプリの利用
  • SNS広告の利用

次に、マルチ商法のよくある手口を紹介します。マルチ商法の勧誘にひっからないようにするためにも、これから紹介する内容をぜひ参考にしてください。

マチアプ利用|恋愛感情や信頼を利用した勧誘は不実告知に該当する可能性あり

マッチングアプリを利用して、見込み客を獲得するケースがよくあります。マッチングアプリは男女の出会いの場であり、とくに若い女性の場合は男性(見込客)を見つけやすいのが特徴です。

マッチングアプリ上のメッセージのやり取りは、日常会話を行い、あたかも「恋人探しています」のような雰囲気で話を進めます。実際に会うところまで話を進め、会ったときに初めてマルチ商法の勧誘を行います。

上記の手口は、恋愛感情や相手に対する信頼を悪用した勧誘であり、不実告知(特定商取引法違反)に該当する可能性があり、処罰対象です。

SNS広告|ステルス勧誘(目的を隠す行為)は法的リスクが高い

SNSを利用したマルチ商法の勧誘もよくある手口です。たとえば、SNSに高級車や高級腕時計、ブランド物などの写真を載せた上で「誰でも稼げる」「興味がある人はDMを!」などと記載して勧誘する方法です。

煌びやかな世界に憧れを持った人の中には、実際にSNSに掲載されている写真や文言を信用してDMを送ってしまう人がいます。上記手口はステルス勧誘と呼ばれ、目的を隠して勧誘する手口であり、特定商取引法違反に問われる可能性が高い行為です。

マルチ勧誘のよくある質問

マルチ勧誘に関するよくある質問を紹介します。

Q.マルチの勧誘を断ったらしつこく連絡が来るのですが、どうすればいいですか?

A.特定商取引法違反になる旨を伝えましょう。

本記事で解説しているとおり、マルチ商法は「特定商取引法」という法律に従って営業をしなければいけません。本法律では「再勧誘の禁止」についても明記されています。

断っているにも関わらず、何度も勧誘をする行為は特定商取引法違反の再勧誘の禁止に違反しています。そのため、まずはその旨を伝えてキッパリと断ってみましょう。それでもなお、しつこく勧誘を受けた場合は、消費生活センターへの相談を検討されてみてはいかがでしょうか。

Q.マルチ商法の勧誘はどこまでが違法になるのですか?

A.マルチ商法の勧誘は、特定商取引法にて禁止行為が明記されています。

禁止とされている行為は主に以下のとおりです。

  • 不実告知
  • 誇大広告
  • 威迫・困惑行為
  • 契約内容書面や概要書面の不交付
  • 未承諾者への電子メール広告

上記に該当する場合は、すべて特定商取引法違反に該当します。

Q.ねずみ講とマルチ商法の違いは何ですか?

A.大別すると「違法」か「合法」かの違いです。

ねずみ講は「無限連鎖講」と呼ばれ、完全に違法行為です。一方で、マルチ商法は「連鎖販売取引」に該当し、違法行為ではありません。ただし、特定商取引法に触れる行為は違法です。

Q.被害に遭った場合、どこに相談すればよいですか?

A.消費生活センターもしくは弁護士への相談が有効です。

マルチ商法の消費者トラブルは、消費生活センターへの相談が有効です。消費生活センターで対応しきれない部分については、弁護士への相談を検討しましょう。

消費生活センターは、直接交渉を行うことはできません。あくまでも、自分自身で交渉手続きを行う必要があるため、契約解除や返金対応などは弁護士へ相談をしたうえで交渉してもらったほうがスムーズです。

また、刑法に触れる犯罪行為が認められる場合は、警察へ相談しても良いです。詐欺的行為や脅迫、恐喝等の行為があった場合は、警察でも対応できます。

Q.マルチ商法の勧誘をしてしまったら罪になりますか?

A.勧誘したからといって、直ちに罪に問われるわけではありません。

本記事で解説しているとおり、マルチ商法の勧誘自体は合法です。ただし、禁止されている方法で勧誘等をした場合に特定商取引法違反もしくは刑法犯になり得るため注意しなければいけません。

まとめ

マルチ商法は、すべてが違法なわけではありません。実際に、法律上は「連鎖販売取引」として認められており、適切に運営されていれば問題ないビジネスモデルです。しかし、その勧誘手法や契約方法に違法性が認められる場合は、特定商取引法違反や刑法上の犯罪に問われることがあります。

たとえば、「目的を告げない勧誘」「断ってもしつこく誘う行為」「絶対儲かる」といった誇大広告などは、すべて特定商取引法で禁止されている行為です。さらに、相手を騙して契約させるような行為は詐欺罪、脅すような発言があれば脅迫罪に問われる可能性もあります。

万が一、マルチ商法の勧誘を受けた場合は、特定商取引法に基づき断る意思を明確に伝えることが大切です。また、公衆の出入りしない場所での勧誘には違法性があるため、その場から離れたり、録音して証拠を残したりすることも重要です。

被害に遭った場合は、消費生活センターや弁護士へ相談することで、契約解除や返金請求などの対応が可能です。さらに、刑法に抵触する可能性がある場合は警察への相談も視野に入れましょう。

マルチ商法に関する正しい知識を身につけ、万が一の際にも冷静に対処できるよう備えておくことが、被害を未然に防ぐ最大の武器になります。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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