盗撮動画を販売したときに問われる罪状とは?性的映像記録提供等罪の法定刑や弁護士に相談するメリットを解説

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X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを運用したり、自らサイトを運営したりして盗撮動画を販売すると、性的映像記録提供等罪などの容疑で逮捕される可能性があります。

また、自分で盗撮動画を撮影していたり、盗撮被害者が未成年者だったりした場合には、別罪でも検挙されかねないでしょう。

そこで、この記事では、盗撮動画の販売について警察から事情聴取の要請がかかった人や、家族が盗撮動画販売事件を起こして逮捕された人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 盗撮動画を販売したときに問われる可能性がある罪状・法定刑
  • 盗撮動画の販売が警察にバレたときの刑事手続きの流れ
  • 盗撮動画を販売して警察に逮捕されたときに生じるデメリット
  • 盗撮動画の販売が発覚したときに弁護士に相談・依頼するメリット

目次

盗撮動画を販売したときに問われる可能性がある犯罪類型

盗撮動画を販売したときに問われる可能性がある犯罪類型について解説します。

盗撮動画で逮捕されるシチュエーション 適用される罪状
盗撮動画を販売した場合 性的映像記録提供等罪
盗撮動画を販売する目的で保管した場合 性的映像記録保管罪
性的姿態などを盗撮した場合 性的姿態等撮影罪
入手した盗撮動画を販売した場合 わいせつ物頒布罪
児童の盗撮動画を販売した場合 児童ポルノ禁止法違反
映画を盗撮して販売した場合 著作権法違反、映画盗撮防止法違反

性的影像記録提供等罪(提供罪)

性的姿態などを盗撮した動画を販売した場合、性的影像記録提供等罪が成立します。

(性的影像記録提供等)
第三条 性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律|e-Gov法令検索

販売相手が特定かつ少数の場合、性的影像記録提供等罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」です。

これに対して、販売相手が不特定または多数人の場合には、「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金刑(併科あり)」まで法定刑が引き上げられます。

なお、購入者を募るために盗撮動画の一部やサンプルをインターネット上にアップロードしたりSNSで公開したりすると、性的影像記録公然陳列罪が適用されて、「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金刑(併科あり)」の範囲で刑事責任を問われます。

性的影像記録保管罪(保管罪)

提供目的や公然陳列目的で性的影像記録を保管した場合には、性的影像記録保管罪が成立します。

(性的影像記録保管)
第四条 前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
引用:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律|e-Gov法令検索

自分で撮影した盗撮動画だけではなく、第三者から譲り受けた盗撮動画やインターネットなどでダウンロードした盗撮動画を保管していた場合にも、本罪は成立します。

また、実際に盗撮動画を提供・公然陳列しなかったとしても、これらの目的で盗撮動画を自宅PCやスマートフォンに保管していただけで、性的影像記録補完罪の容疑で逮捕されるリスクに晒されます。

性的影像記録保管罪の法定刑は、「2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金刑」です。

性的姿態等撮影罪(撮影罪)

性的姿態等を自分で盗撮して動画をつくったときには、性的姿態等撮影罪が成立します。

(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
引用:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律|e-Gov法令検索

たとえば、トイレに盗撮用カメラを設置して盗撮行為に及んだ場合、電車や駅などで女性のスカート内にスマートフォンを差し向けて下着などを盗撮した場合などでは、性的姿態等撮影罪が成立します。

性的姿態等撮影罪の法定刑は、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」です。未遂犯も処罰されます。

なお、性的姿態等撮影罪が制定されるまでは、盗撮行為は各自治体が定める迷惑防止条例違反として摘発されていました。現在では、迷惑防止条例違反ではなく、性的姿態等撮影罪が立件されるのが一般的です。

わいせつ物頒布等罪

第三者から入手した盗撮動画を販売したり、インターネット上などにアップロードして誰でも閲覧できる状態にしたりした場合には、わいせつ物頒布等罪が成立します。

(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
引用:刑法|e-Gov法令検索

わいせつ物頒布等罪の法定刑は、「2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金刑もしくは科料(併科あり)」です。

また、盗撮動画を有償で販売する目的で所持した場合、盗撮動画データをPCやスマートフォンなどに保存した場合には、有償頒布目的わいせつ物所持等罪が成立します。有償頒布目的わいせつ物所持等罪の法定刑も、「2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金刑もしくは科料(併科あり)」です。

児童ポルノ禁止法違反

18歳未満の児童の盗撮動画に販売などで関与した場合には、児童ポルノ禁止法違反が成立します。

(児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
2 児童ポルノを提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
6 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
8 第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。
引用:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律|e-Gov法令検索

たとえば、児童の盗撮動画を販売した場合には児童ポルノ提供罪が成立します。個人に対して販売したケースでは「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」の範囲で、インターネット上にアップロードして購入者を募ったケースでは「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金刑(併科あり)」の範囲で量刑判断がおこなわれます。

また、児童の盗撮動画を販売する目的で製造・所持・運搬などの行為に及んだ場合にも刑事罰が科されます。

なお、児童ポルノ禁止法違反に問われる「児童ポルノ」とは、以下のような児童の姿態を視覚によって認識できる方法によって描写された写真や動画、電磁的記録のことです。

  • 児童を相手方とする又は児童による性交または性交類似行為に係る児童の姿態
  • 他人が児童の性器等を触る行為または児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するもの
  • 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部または胸部をいう。)が露出されまたは強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの

著作権法違反・映画盗撮防止法

映画館で上映されている作品を盗撮して販売する行為は、映画盗撮防止法(映画の盗撮の防止に関する法律)違反及び著作権法違反を理由に、刑事責任が問われる可能性があります。

映画の盗撮行為に対して科される法定刑は、「10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金刑(併科あり)」です。

第三者に販売する目的で映画を盗撮した場合だけではなく、私的利用目的で映画を盗撮した場合も処罰対象になるので注意をしてください。

盗撮動画の販売がバレて逮捕されたときの刑事手続きの流れ

盗撮動画の販売を理由に逮捕されるときの刑事手続きの流れについて解説します。

  1. 警察に逮捕される
  2. 警察段階の取り調べが実施される
  3. 検察官に送致される
  4. 検察段階の取り調べが実施される
  5. 検察官が公訴提起するかどうかを判断する
  6. 公開の刑事裁判にかけられる

盗撮動画販売の容疑で警察に逮捕される

盗撮動画の販売が捜査機関に発覚すると、警察に逮捕される可能性があります。

盗撮動画販売事件を起こして警察に逮捕される場合、ほとんどが通常逮捕によって身柄を拘束されます。

通常逮捕とは、裁判官が事前に発付した逮捕状を根拠に実行される強制的な身柄拘束処分のことです。

平日の早朝など、被疑者が自宅にいる可能性が高いタイミングを見計らって警察が自宅に予告なくやってきて、身柄を拘束されたうえで、そのまま警察署に連行されます。「仕事があるから別の日にしてほしい」「連行される前に家族や会社に連絡をしたい」などの要望は一切聞き入れてもらえません。

盗撮動画の販売行為が警察にバレるきっかけ

盗撮動画の販売行為が警察にバレる代表的な端緒として以下のものが挙げられます。

  • 盗撮動画の購入者などからの通報
  • 盗撮された被害者がインターネットなどで自分が被写体になった動画が販売されているのを発見して警察に相談
  • 児童ポルノの所持などを理由に逮捕された別の事件に対する捜査活動から芋づる式に発覚
  • 警察によるサイバーパトロールで発覚 など

盗撮動画の販売行為がバレたとしても常に逮捕されるわけではない

盗撮動画の販売行為は犯罪ですが、警察に発覚したとしても、必ずしも逮捕されるわけではありません

というのも、逮捕状が発付されるのは、以下2つの要件を満たしたときに限られるからです。

  • 逮捕の理由:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
  • 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること

つまり、盗撮動画の販売行為に及んだ客観的証拠がそろっている状況であったとしても、逃亡または証拠隠滅のおそれがないと判断される状況なら、通常逮捕されずに済むということです。通常逮捕をされない場合には、「在宅事件」として任意ベースて刑事手続きが進められます。

盗撮動画の販売行為を理由に逮捕・勾留されて長期間身柄拘束をされると、それだけで被疑者の社会生活にはさまざまな支障が生じかねません。

ですから、盗撮動画の販売行為が警察にバレたときには、在宅事件処理を目指した防御活動を展開するのが重要だと考えられます。

盗撮動画販売行為について警察段階の取り調べが実施される

逮捕されて警察署に連行されたあとは、警察段階の取り調べが実施されます。

警察段階の取り調べには「48時間以内」の制限時間が設けられています。

逮捕後に実施される取り調べは拒絶できません(どのような供述をするかは自由です)。取り調べがない時間帯は留置場に身柄をとどめられるので帰宅できません。また、スマートフォンなどの所持品は取り上げられるので、家族や会社と連絡を取ることも不可能です。

逮捕後の取り調べとは異なり、在宅事件として処理された場合には、呼び出しを受けたタイミングで警察署に出頭して事情聴取を受ければ良いだけです。事情聴取の日時について警察と調整することも可能ですし、事情聴取を途中で切り上げて帰宅することも許されます。ただし、任意の事情聴取を何度も拒否したり、黙秘を貫いたりすると、途中で逮捕状が請求されて強制的に身柄拘束されるリスクが高まる点に注意が必要です。

盗撮動画販売事件が検察官に送致される

盗撮動画の販売事件について警察段階の取り調べが終了すると、検察官に身柄が送致(送検)されます。

一般論として、極めて軽微な事件については微罪処分が下される可能性がありますが、盗撮動画を販売したような悪質な事件類型については微罪処分を獲得するのは難しいでしょう。

盗撮動画販売行為について検察段階の取り調べが実施される

送検されたあとは、検察段階の取り調べが実施されます。

検察段階の取り調べの制限時間は「24時間以内」が原則です。警察段階と同じように、強制的に身柄を拘束された状態で取り調べを受けなければいけません。

ですから、盗撮動画を販売して逮捕された場合には、原則として72時間以内(警察段階48時間以内 + 検察段階24時間以内)の身柄拘束を覚悟する必要があります。

勾留請求が認められると身柄拘束期間が延長される

盗撮動画の販売事件が以下のような事情を有すると、原則的な72時間以内の取り調べだけでは十分な証拠を得られません。

  • 押収した顧客リストの裏取りをするのに時間を要する場合
  • 盗撮動画の購入者に対する参考人聴取などに時間を要する場合
  • 販売された盗撮動画のデータが削除されてしまい、復元するのに時間を要する場合
  • SNSや匿名掲示板、捨て垢などを使ったやり取りの解析、身元特定に時間を要する場合
  • 被疑者が犯行を否認・黙秘している場合
  • 盗撮被害者の身元や盗撮場所を特定するのに時間を要する場合 など

このような事情があると、検察官が勾留請求をする可能性が高いです。

検察官の勾留請求を受けて裁判所が勾留状を発付すると、被疑者の身柄拘束期間は最長20日間の範囲で延長されます。

ですから、盗撮動画を販売して逮捕・勾留されると、検察官の公訴提起判断までに最長23日間の身柄拘束期間を強いられると考えられます。

ここまで紹介した逮捕・勾留の制限時間は事件単位で判定されます。ですから、盗撮動画の販売を理由に逮捕されたあと、児童ポルノの製造などの別罪で逮捕・勾留されたときには、さらに身柄拘束期間が生じるということです。複数の容疑で逮捕・勾留を繰り返されると、検察官が起訴・不起訴を決定するまでに数ヶ月の期間を強いられる可能性がある点に注意をしてください。

検察官が盗撮動画販売事件の起訴・不起訴を決定する

逮捕期限・勾留期限が到来するまでに、検察官が盗撮動画販売事件を公訴提起するかどうかを判断します。

起訴処分とは、盗撮動画販売事件を刑事裁判にかける旨の判断のことです。これに対して、不起訴処分とは、盗撮動画販売事件を刑事裁判にかけることなく検察限りの判断で刑事手続きを終了させる旨の判断を意味します。

日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、起訴処分が下されて刑事裁判にかけられることが決まった時点で、実質的に有罪が決まってしまいます

ですから、「有罪になりたくない」「前科がつくと困る」と考えるのなら、刑事裁判で無罪判決獲得を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動を展開するのが重要だと考えられます。

盗撮動画販売事件が公開の刑事裁判にかけられる

検察官が起訴処分の判断を下すと、盗撮動画の販売行為が公開の刑事裁判にかけられます。

刑事裁判が開かれるタイミングは、起訴処分から1ヶ月〜2ヶ月後が一般的です。公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審しますが、公訴事実を争う場合には複数の公判期日をかけて証拠調べや弁論がおこなわれます。

性的影像記録提供等罪は比較的重い刑事罰が定められているので、初犯でも実刑判決が下される危険性があります。

刑務所に収監されると出所後の社会復帰が難しくなるので、刑事裁判への対応を強いられた場合には、執行猶予付き判決や罰金刑の判断を引き出して実刑判決回避を目指すべきでしょう。

盗撮動画の販売が原因で刑事訴追されたときに生じるデメリット4つ

盗撮動画の販売がバレて刑事訴追されたときに生じる4つのデメリットを紹介します。

  • 実名報道リスクに晒される
  • 逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される危険性がある
  • 学校や会社から何かしらの処分を下される可能性がある
  • 前科持ちとしてのペナルティが科される

実名報道される危険性がある

刑事事件が以下のような事情を有する場合には、テレビの報道番組やネットニュース、新聞などで実名報道される可能性があります。

  • 社会的関心の高いトピックに関する刑事事件
  • 被害が大きい刑事事件
  • 被疑者が逮捕・起訴された刑事事件
  • 著名人、有名人、社会的地位の高い人物による刑事事件

盗撮動画販売のような性犯罪は社会的関心が高いテーマです。

そのため、盗撮動画の販売や児童ポルノ関係などの容疑で逮捕・起訴されると、実名報道のリスクに晒されると覚悟する必要があります。

そして、一度でもメディアで実名報道されると、半永久的にインターネット上に事件に関する情報が残りつづけてしまいます。就職や転職、結婚など、今後の社会生活にさまざまな支障が生じるでしょう。

逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される危険性がある

盗撮動画を販売して逮捕されると、最長23日間の身柄拘束を強いられます。また、別罪でも逮捕・勾留が繰り返されると、身柄拘束期間はさらに長期化します。

逮捕・勾留によって身柄拘束されている期間中は、帰宅・外出はもちろんのこと、電話やメールで外部と連絡をとることも許されません。

そのため、家族や知人、恋人に心配をかけてしまうでしょうし、学校や会社にも何かしらのトラブルに巻き込まれたことがバレてしまうでしょう。

また、逮捕・勾留期間は厳しい取り調べと留置場生活を強いられるため、心身に多大なるストレスが生じます。

会社や学校から何かしらの処分を下される

盗撮動画を販売して逮捕されると、会社や学校から何かしらの処分を下される可能性が高いです。

たとえば、被疑者が会社員やフリーターの場合、勤務先の企業が定める就業規則の懲戒規程に基づいて懲戒処分が下されます。一般的に、懲戒処分は戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇に分類されますが、盗撮動画の販売によって世間を騒がせて企業の社会的信用を失墜させた場合や、会社内で盗撮行為に及んで動画を販売したような場合には、クビになることを覚悟しなければいけません

また、被疑者が学生の場合には、学則・校則のルールにしたがって処分が下されます。たとえば、退学や停学になると、卒業後の進路にも悪影響が生じかねないでしょう。

有罪になると前科によるデメリットが発生する

盗撮動画を販売して有罪になると、刑事罰だけではなく、前科によるデメリットも強いられます。

前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が下された場合にも、前科として扱われます

そして、前科持ちになると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。

  • 前科に関する情報は、履歴書の賞罰欄への記載義務・採用面接時に質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動や転職活動の難易度が高くなる
  • 前科を隠したまま内定を獲得したり就職をしたりしても、前科がバレると、経歴詐称を理由に内定が取り消されたり、懲戒解雇されたりする
  • 前科を理由に就業が制限される職業や資格がある(警備員、士業、金融業など)
  • 前科は法定離婚事由に該当すると判断される可能性が高いので、配偶者から離婚を求められると拒絶できない(慰謝料や親権、面会交流などの離婚条件も不利になる可能性が高い)
  • 前科を理由にビザ・パスポートが発給制限されると、海外旅行や海外出張に支障が生じる
  • 前科持ちが再犯に及ぶと刑事処分が重くなる可能性が高い など

盗撮動画の販売が原因で逮捕されたときに弁護士に相談するメリット4つ

盗撮動画を販売して刑事訴追されたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください

というのも、刑事事件が得意な弁護士に相談・依頼をすると、以下4つのメリットを得られるからです。

  • 盗撮被害者との間で示談交渉を進めてくれる
  • 身柄拘束処分によるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
  • 不起訴処分獲得を目指してくれる
  • 執行猶予付き判決獲得を目指してくれる

盗撮被害者との間で示談交渉を進めてくれる

盗撮動画の販売が原因で刑事責任を問われる事態におちいったときには、できるだけ早いタイミングで盗撮被害者との間で示談交渉をスタートしてください。

というのも、盗撮被害者との間で示談が成立すれば、刑事手続きにおいて以下のメリットを得られるからです。

  • 警察が盗撮動画販売事件を把握する前に示談が成立すれば、刑事事件化自体を回避できる
  • 警察に盗撮動画販売事件がバレたとしても、示談成立によって、不起訴処分獲得や実刑判決回避の可能性が高まる
  • 被害者との間で示談が成立していることで、逮捕・勾留といった強制的な身柄拘束処分を回避しやすくなる

そして、盗撮動画販売事件において示談交渉をするときには、加害者本人や加害者家族が直接話し合いをするのではなく、弁護士を代理人に選任して示談交渉を任せるのがおすすめです。

弁護士に示談交渉を任せれば、以下のメリットを得られるでしょう。

  • 弁護士が代理人に就任したほうが盗撮被害者の連絡先を入手しやすい
  • 怒りや不安を感じている盗撮被害者も、弁護士が示談交渉の窓口になることで、冷静に話し合いに応じてくれやすくなる
  • 不当な金額の慰謝料を請求されたとしても、粘り強い交渉によって相場どおりの示談条件での合意形成を目指しやすくなる
  • 宥恕条項や債務不存在条項など、示談書に盛り込むべき内容を漏れなく記載してくれる
  • 被害者とのやりとりをすべて任せることができる
  • 検察官による公訴提起判断や判決言い渡しに間に合うように、スピーディーに示談成立を目指してくれる

逮捕・勾留といった身柄拘束処分によるデメリットの回避・軽減を目指してくれる

盗撮動画販売事件を起こして逮捕・勾留されると、それだけで被疑者の社会生活にはさまざまな支障が生じます。

弁護士は、事情聴取における供述方針を明確化したり、準抗告や取り消し請求などの法的措置を尽くしたりすることで、強制的な身柄拘束によるデメリットの回避・軽減を目指してくれるでしょう。

不起訴処分獲得を目指してくれる

盗撮動画を販売した事実に間違いがなくても、必ずしも起訴されるわけではありません。

というのも、不起訴処分は以下3種類に分類されており、実際に盗撮動画販売事件を起こしたとしても起訴猶予処分を獲得する余地は残されているからです。

  • 嫌疑なし:盗撮動画を販売した客観的証拠が存在しない場合。冤罪、誤認逮捕など。
  • 嫌疑不十分:盗撮動画を販売した事実を示す客観的証拠が不足している場合。
  • 起訴猶予処分:盗撮動画を販売した事実に間違いはないものの、諸般の事情を総合的に考慮すると、刑事裁判にかける必要性がないと判断される場合。

起訴猶予処分に付するかどうかを決めるときには、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況などの諸般の事情が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。

刑事事件が得意な弁護士は、起訴猶予処分獲得に役立つ情状証拠を用意したり、供述方針を明確化してくれたりするでしょう。

起訴されたとしても執行猶予付き判決獲得を目指してくれる

盗撮動画販売事件を起こして起訴された場合には、実刑判決回避に向けた防御活動が欠かせません。

というのも、実刑判決が確定して刑務所への服役を強いられると、出所後の社会復帰が極めて困難になってしまうからです。

刑事裁判経験豊富な弁護士は、執行猶予付き判決や罰金刑といった量刑判断を引き出すために役立つ証拠を用意してくれるでしょう。

盗撮動画を販売して罪に問われそうになったらすぐに弁護士へ連絡しよう

盗撮動画を販売した件について刑事責任を問われる事態におちいったときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼するのがおすすめです。

早期に弁護士に連絡することで、身柄拘束処分を回避したり、起訴猶予処分を獲得したりする可能性を高めることができるからです。

刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、盗撮動画の販売などの性犯罪弁護が得意な弁護士を多数紹介中です。弁護士に相談するタイミングが早いほど刑事手続きを有利に進めやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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