化学薬品や試薬、化学肥料、洗浄剤、漂白剤など、身の回りにある薬剤などを使用すれば、簡単に自作爆弾は製造できます。
しかし、単なるイタズラやちょっとした好奇心であったとしても、自作爆弾を製造・使用してはいけません。
というのも、自作爆弾を製造・使用などすると、爆発物取締罰則違反などの容疑で逮捕される可能性が高いからです。
自作爆弾などの爆発物は生命・身体・財産に与える影響が大きいため、厳しい法定刑が定められています。どのような経緯・事情があったとしても、自作爆弾の製造・使用などの容疑で刑事訴追されると、初犯でも実刑判決が下されかねないでしょう。
そこで、この記事では、自作爆弾に興味があるものの逮捕されるのではないかと不安を抱えている人や、自作爆弾の製造・使用などを理由に警察から出頭要請がかけられた人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 自作爆弾で逮捕されるときに問われる犯罪類型と法定刑
- 自作爆弾を理由に逮捕されたときの刑事手続きの流れ
- 自作爆弾が原因で逮捕されたときのデメリット
- 自作爆弾を理由に逮捕されたときに弁護士に相談・依頼するメリット
目次
自作爆弾に対して適用される可能性がある犯罪類型
まずは、自作爆弾について適用される可能性がある犯罪類型について解説します。
- 爆発物取締罰則違反
- 激発物破裂罪
- 火薬類取締法違反
- クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律違反
- 火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反
- 銃砲刀剣類所持等取締法違反
- 毒物及び劇物取締法違反
爆発物取締罰則違反
自作爆弾のような爆発物を規制する法規制として、爆発物取締罰則が挙げられます。
爆発物取締罰則とは、治安・公共の安全を脅かす爆発物の使用・製造・所持・輸入などを取り締まる目的で明治17年に施行された勅旨のことで、現在でも法律と同じ効力を有するものです。
爆発物取締罰則で規制されている行為類型及び法定刑は以下のとおりです。
行為類型 | 法定刑 |
---|---|
治安を妨げたり人の身体・財産を害する目的で、爆発物を使用したり、人に爆発物を使用させる行為 | 死刑または無期拘禁刑、7年以上の拘禁刑 |
治安を妨げる目的、人の身体・財産を害する目的で、爆発物を使用しようとする行為(未遂犯) | 無期または5年以上の拘禁刑 |
治安を妨げる目的、人の身体・財産を害する目的で、爆発物それ自体や爆発物を使用する際に必要な器具を輸入・所持・注文する行為 | 3年以上10年以下の拘禁刑 |
治安を妨げる目的、人の身体・財産を害する目的で爆発物を使用するために、脅迫・教唆・煽動・共謀をする行為 | 3年以上10年以下の拘禁刑 |
治安を妨げる目的、人の身体・財産を害する目的で爆発物を使用した者に対して、事情を知りながら、爆発物や器具を製造・輸入・販売・譲渡・寄蔵したり、これらの約束をしたりする行為 | 3年以上10年以下の拘禁刑 |
爆発物を製造・所持・注文した場合において、その理由が治安を妨げる目的や人の身体・財産を害する目的ではないと証明できない場合 | 6ヶ月以上5年以下の拘禁刑 |
爆発物を発見したのに、すぐに警察などに報告をしない行為 | 800円以下の罰金刑 |
爆発物に関する犯罪がおこなわれていることを知りながら、警察や被害を受けそうな人に告知しない行為 | 5年以下の拘禁刑 |
爆発物関係の犯罪者を蔵匿・隠避したり、証拠を隠滅したりする行為 | 10年以下の拘禁刑 |
爆発物取締罰則違反で処罰されるのは、「治安を妨げる目的、人の身体・財産を害する目的」を有していたときに限られます。
たとえば、これらの目的を抱いたうえで、インターネットなどで調べて自作爆弾を作るために化学薬品や試薬、化学肥料等などを注文した場合や、製造した自作爆弾を所持した場合には、「3年以上10年以下の拘禁刑」の範囲で刑事罰が科される可能性があります。
また、これらの目的で自作爆弾を実際に使用した場合には「死刑または無期拘禁刑、7年以上の拘禁刑」、未遂犯にとどまった場合でも「無期または5年以上の拘禁刑」の重い法定刑が科される点に注意が必要です。
なお、爆発物自作などの予備行為に及んだものの、危害が生じるおそれがない段階で自首をすれば、刑事罰が免除されます。
激発物破裂罪
自作爆弾を使用した場合には、刑法が規定する激発物破裂罪に該当する可能性があります。
第百十七条 火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
2 前項の行為が過失によるときは、失火の例による。
引用:刑法|e-Gov法令検索
まず、火薬やボイラーなどの激発物を破裂させて現住建造物を損壊した場合には「死刑または無期拘禁刑、5年以上の拘禁刑」の法定刑の範囲で刑事罰が科されます。また、激発物を破裂させて他人が所有する非現住建造物を損壊した場合の法定刑は「2年以上の有期拘禁刑」です。
また、自己所有の非現住建造物や、現住建造物・他人が所有する非現住建造物以外の物を激発物で損壊して公共の危険を生じさせた場合には「6ヶ月以上7年以下の拘禁刑」の範囲で量刑判断が下されます。
さらに、過失によって財物を焼損したときには「50万円以下の罰金刑」が下されます。たとえば、自作爆弾を製造して自宅に保管していたところ、不注意で爆発させてしまい、自宅などが焼損したようなケースが挙げられます。
火薬類取締法違反
火薬類の製造・販売・貯蔵・運搬・消費などをする際には、火薬類取締法の規制を遵守しなければいけません。
たとえば、経済産業大臣の許可を得ることなく、以下の火薬類に該当する自作爆弾を製造した場合には、「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑(併科あり)」が科されます。
火薬類の種類 | 具体例 |
---|---|
火薬 | ・黒色火薬その他硝酸塩を主とする火薬 ・無煙火薬その他硝酸エステルを主とする火薬 ・その他、推進的爆発の用途に供せられる火薬であって経済産業省令で定めるもの |
爆薬 | ・雷こう、アジ化鉛その他の起爆薬 ・硝安爆薬、塩素酸カリ爆薬、カーリツトその他硝酸塩、塩素酸塩または過塩素酸塩を主とする爆薬 ・ニトログリセリン、ニトログリコール及び爆発の用途に供せられるその他の硝酸エステル ・ダイナマイトその他の硝酸エステルを主とする爆薬 ・爆発の用途に供せられるトリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、トリニトロクロルベンゼン、テトリル、トリニトロアニソール、ヘキサニトロジフエニルアミン、トリメチレントリニトロアミン、ニトロ基を三以上含むその他のニトロ化合物及びこれらを主とする爆薬 ・液体酸素爆薬その他の液体爆薬 ・その他、破壊的爆発の用途に供せられる爆薬であって経済産業省令で定めるもの |
火工品 | ・工業雷管、電気雷管、銃用雷管及び信号雷管 ・実包及び空包 ・信管及び火管 ・導爆線、導火線及び電気導火線 ・信号焔管及び信号火せん など |
クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律違反
クラスター弾などを自作した場合、クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律違反を理由に逮捕される可能性が高いです。
クラスター弾などを製造した場合の法定刑は「7年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」です。クラスター弾等製造罪は未遂犯も処罰対象とされます。
クラスター弾という用語から誤解をする人も少なくありませんが、クラスター弾等規制法は、クラスター弾だけではなく、子弾や小型爆弾を自作したときにも適用される点に注意が必要です。
たとえば、小型弾薬(地雷以外の弾薬であって、人の殺傷または物の破壊のために使用されるもののうち、その重量が20kg未満のもの)のうち、もっぱら容器に収納されるように設計され、かつ、当該容器から散布された後に爆発するように設計されたものを自作した場合には、クラスター弾等規制法違反の容疑をかけられる可能性があります。
火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反
火炎びんを自作した場合には、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反の容疑をかけられます。
火炎びんとは、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れ、その物質が流出・飛散した場合にこれを燃焼させるための発火装置や点火装置を施したもののうち、人の生命・身体・財産に害を加えるのに使用されるもののことです。
火炎瓶を製造・所持した場合には「3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金刑」の範囲で処断されます。
また、自作の火炎びんを使用して、人の生命・身体・財産の危険を生じさせたときには「7年以下の拘禁刑」が科されます。たとえば、火炎びんの使用によって人に死傷結果が生じた場合には傷害罪・殺人罪などが適用されますが、直接的に被害が生じなくても、その危険が生じただけで、火炎びん使用罪の容疑で刑事訴追される可能性があります。
銃砲刀剣類所持等取締法違反
正当な理由がないのに、自作の鉄砲(装薬銃砲、空気銃、電気石銃)を所持した場合には、銃砲刀剣類所持等取締法違反を理由に逮捕される可能性が高いです。
違法に自作の鉄砲を所持した場合の法定刑は「1年以上10年以下の拘禁刑」、所持していた自作鉄砲の合計数が2つ以上の場合には「1年以上15年以下の拘禁刑」の法定刑が定められています。
その他、運搬・保管・輸入などについても厳しい法定刑が定められているので注意が必要です。
毒物及び劇物取締法違反
爆弾を自作するための原材料を入手・所持した場合、入手した原材料を混和等して毒物や劇物を製造した場合などでは、毒物及び劇物取締法違反の容疑で逮捕される可能性があります。
毒物及び劇物取締法の規制対象になる物として、以下のものが挙げられます。
毒物 | エチルパラニトロフエニルチオノベンゼンホスホネイト、黄燐、オクタメチルピロホスホルアミド、クラーレ、四アルキル鉛、シアン化水素、シアン化ナトリウム、ジニトロクレゾール、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイト、水銀、セレン、チオセミカルバジド、テトラエチルピロホスフエイト、ニコチン、ニツケルカルボニル、砒素、弗化水素、モノフルオール酢酸、モノフルオール酢酸アミド、硫化燐など |
---|---|
劇物 | アクリルニトリル、アクロレイン、アニリン、アンモニア、、エチレンクロルヒドリン、塩化水素、塩化第一水銀、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化尿素、カリウム、カリウムナトリウム合金、クレゾール、クロルエチル、クロルスルホン酸、クロルピクリン、クロルメチル、クロロホルム、硅弗化水素酸、シアン酸ナトリウム、四塩化炭素、シクロヘキシミド、ジメチル硫酸、重クロム酸、硝酸、二硫化炭素、ホルムアルデヒド など |
特定毒物 | オクタメチルピロホスホルアミド、四アルキル鉛、ジエチルパラニトロフエニルチオホスフエイト、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイト、ジメチルパラニトロフエニルチオホスフエイト、テトラエチルピロホスフエイト、モノフルオール酢酸、モノフルオール酢酸アミド など |
自作爆弾の使用などを理由に逮捕されたときの刑事手続きの流れ
自作爆弾の使用などを理由に逮捕されるときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 爆発物取締罰則違反などの容疑で逮捕される
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が起訴・不起訴を決定する
- 公開の刑事裁判にかけられる
自作爆弾の使用などの容疑で逮捕される
自作爆弾を使用などした場合、爆発物取締罰則違反などの容疑で通常逮捕される可能性が高いです。
通常逮捕とは、裁判官が発付する逮捕令状に基づいて実施される強制的な身柄拘束処分のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。
平日早朝の自宅など、被疑者が所在している可能性が高い場所・タイミングを見計らって、逮捕状を持参した警察官がやってきます。
逮捕状が執行されると、その場で被疑者の身柄は押さえられて、警察署に連行されます。連行されるタイミングを調整したり、家族や会社などに電話連絡する猶予は与えられません。
自作爆弾を使用しても逮捕されずに済む場合がある
自作爆弾を使用したとしても、常に逮捕されるわけではありません。
というのも、逮捕状が発付されるのは、以下2つの要件を満たしたときに限られるからです。
- 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
つまり、自作爆弾を使用した事実を争う余地が残されていない状況であったとしても、「逃亡または証拠隠滅のおそれがない」と判断される場合には、逮捕状は発付されず、在宅事件として処理されるということです。
逃亡または証拠隠滅のおそれがないという判断を引き出すには、以下のようなポイントを踏まえた対応が不可欠です。
- 任意の出頭要請や事情聴取には誠実に対応する
- 自主的に自作爆弾や原材料などの証拠物を提出する
- 客観的証拠に反する証言をしない
- 取り調べで反省の態度を示す など
自作爆弾が警察にバレるきっかけ
自作爆弾に関する違法行為が警察にバレるきっかけとして以下のものが挙げられます。
- 自作爆弾を使用した様子が防犯カメラ・ドライブレコーダーなどに記録されていた
- 自作爆弾で壊された物の所有者が警察に被害届を提出した
- 肥料や化学物質の販売事業者からの情報提供により自作爆弾を製造した疑いが生じた
- 自作爆弾に関するSNSの投稿や匿名掲示板への書き込み、過激なウェブサイトに対するサイバーパトロールで見つかった
- 爆弾を自作している事実を知った家族や知人が警察に相談した など
自作爆弾の使用などについて警察段階の取り調べが実施される
逮捕後は、自作爆弾について警察段階の取り調べが実施されます。警察段階で実施される取り調べの制限時間は「48時間以内」です(刑事訴訟法第203条第1項)。自作爆弾についての取り調べが終了すると、被疑者の身柄と関係書類が検察官に送致されます。
どのような供述をするかは自由ですが、逮捕後に実施される取り調べは必ず受けなければいけません。また、取り調べが終了すると、留置場に身柄をとどめられます。帰宅や出社は当然許されませんし、スマートフォンなどで外部と連絡をとることも不可能です。
自作爆弾の使用などについて検察段階の取り調べが実施される
自作爆弾について警察段階の取り調べが終了すると、自作爆弾事件が検察官に送致されます。一般論として、極めて軽微な刑事事件については「微罪処分」によって警察段階で刑事手続きが終了する可能性がありますが、自作爆弾事件のような悪質な犯罪が微罪処分の対象になることはありません。
そして、自作爆弾事件が送検されると、検察段階の取り調べが実施されます。
逮捕後に実施される検察段階の取り調べには「24時間以内」の制限時間が設けられています(刑事訴訟法第205条第1項)。警察段階48時間以内と検察段階24時間以内の合計72時間以内の取り調べで得られた証拠・供述を前提に、検察官が自作爆弾事件を起訴するかどうかを決定します。
自作爆弾事件は検察官に勾留請求される可能性が高い
自作爆弾事件の事情次第では、72時間以内の捜査活動だけでは公訴提起判断に必要な証拠を収集しきれない場合があります。
以下のように、自作爆弾事件の捜査活動においてやむを得ない事情があるときには、検察官が勾留請求をする可能性が高いです(刑事訴訟法第206条第1項)。
- 自作爆弾の原材料の入手経路の調査・特定に時間を要する場合
- 自作爆弾の成分分析や鑑定に時間を要する場合
- 自作爆弾の製造・使用などについて被疑者が黙秘をしている場合
- 自作爆弾の被害者に対する参考人聴取に時間を要する場合 など
検察官による勾留請求が認められた場合、被疑者の身柄拘束期間が最長20日間延長されます(刑事訴訟法第208条)。
つまり、逮捕された時点からカウントすると、逮捕・勾留によって満期まで身柄拘束されると、最長23日間の拘束期間が生じるということです。
不起訴処分の獲得に成功したとしても、捜査機関に身柄を押さえられる期間が生じるだけで、被疑者の日常生活には大きな支障が生じかねません。
ですから、自作爆弾事件を起こしたときには、軽い刑事処分の獲得だけではなく、身柄拘束期間の回避・短縮化を目指した防御活動が重要だといえるでしょう。
自作爆弾の使用などについて検察官が起訴・不起訴を決定する
自作爆弾事件について捜査活動が終了した段階で、検察官が公訴提起するか否か(起訴するか不起訴にするか)を判断します。
起訴処分とは、自作爆弾事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分は、自作爆弾事件を刑事裁判にかけずに検察官の判断で手続きを終了させる旨の意思表示を意味します。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いため、刑事裁判にかけられることが確定した時点(検察官が起訴処分を下した時点)で有罪判決が事実上決まってしまいます。
有罪・前科になると今後の社会生活に大きな支障が生じるので、自作爆弾事件を起こしたときには、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動を展開するべきでしょう。
自作爆弾の使用などについて刑事裁判にかけられる
検察官が自作爆弾事件を起訴すると、公開の刑事裁判にかけられます。公開の刑事裁判が開かれるタイミングは、起訴処分から1ヶ月〜2ヶ月後が目安です。逃亡や証拠隠滅のおそれが継続するなどの事情がある場合には、刑事裁判まで起訴後勾留が続く可能性もあります。
公訴事実を争わない場合には、第1回公判期日で結審します。これに対して、否認事件では、複数回の公判期日を経て証拠調べや証人尋問などが実施されて判決言い渡しに至ります。
自作爆弾に適用される罪状の法定刑は重いものばかりです。初犯でも実刑判決が下される危険性が高く、実刑判決が確定すると刑務所への服役を強いられて社会復帰が難しくなるので、執行猶予付き判決や罰金刑か獲得を目指した防御活動が重要といえるでしょう。
自作爆弾の使用などを理由に逮捕されたときのデメリット4つ
自作爆弾が原因で逮捕されたときに生じる可能性があるデメリットは以下のとおりです。
- 実名報道リスクに晒される
- 逮捕・勾留などによって長期間身柄拘束される可能性がある
- 学校や会社から何かしらの処分を下される可能性が高い
- 前科によるデメリットに悩まされつづける
自作爆弾事件について実名報道される可能性がある
自作爆弾が原因で刑事訴追されると、テレビの報道番組やネットニュースなどで実名報道されるリスクがあります。
もちろん、すべての刑事事件が実名報道の対象になるわけではありません。ただし、逮捕・起訴された刑事事件、社会的関心が高い刑事事件については、実名報道の対象になる可能性が高いのが実情です。昨今、自作爆弾を使った事件が世間の注目を集めた経緯を踏まえると、自作爆弾を理由に逮捕・起訴されたときには実名報道されやすいと理解しておきましょう。
そして、自作爆弾事件を起こした事実が実名報道されると、親族や知人などに事件のことを知られるだけでなく、就職や転職、結婚などにも悪影響が生じます。
爆発物取締罰則違反などの容疑で長期間身柄拘束される危険性がある
自作爆弾が原因で刑事訴追されると、以下の期間、捜査機関に身柄拘束される危険性があります。
- 警察の取り調べ(逮捕段階):48時間以内
- 検察官の取り調べ(逮捕段階):24時間以内
- 検察官の取り調べ(勾留段階):20日間以内
- 起訴後勾留:刑事裁判が終了するまで
これらの期間中、通常の社会生活を送ることはできません。つまり、身柄拘束期間が長引くほど、社会生活に生じるデメリットも大きくなるということです。たとえば、満期まで勾留されてなかなか保釈請求が認められないと、いつまでも勤務先に出社できず、長期の無断欠勤を理由に仕事をクビになるリスクが生じます。
自作爆弾事件を理由に学校や会社から何かしらの処分を下される可能性がある
被疑者が学生・会社員の場合には、自作爆弾が原因で刑事訴追されると、所属している学校や企業から何かしらの処分を下される可能性が高いです。
たとえば、被疑者が学生の場合、学則・校則の規定にしたがって、退学・停学・訓告などの処分が下されかねません。退学や停学になると、就職にも大きな影響が生じます。
また、被疑者が社会人の場合、勤務先の就業規則の懲戒規程に基づき懲戒処分が下されます。懲戒処分は戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇の7種類に分類されますが、自作爆弾が原因で逮捕・起訴された場合、自作爆弾事件が実名報道されて企業の社会的信用が毀損された場合などでは、懲戒解雇処分が下されかねないでしょう。
自作爆弾が原因で有罪になると前科がつく
自作爆弾が原因で有罪になると、刑事罰を科されるだけではなく、前科がつく点に注意が必要です。
前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が確定したときにも、前科持ちになります。
そして、前科者になると、今後の社会生活において以下のデメリットに晒されつづけます。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
- 前科を隠して内定を獲得したり就職に成功したりしても、前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に内定取り消し・懲戒解雇処分が下される
- 前科を理由に就業が制限される資格・仕事がある(士業、警備員、金融業など)
- 前科を理由に離婚を言い渡されたり結婚話がなくなったりしかねない
- ビザやパスポートの発給制限を受ける場合がある(海外旅行、海外出張に支障が生じる)
- 再犯に及んだときに刑事処分が重くなる可能性が高い など
日本の刑事裁判の有罪率データを考慮すると、刑事裁判で無罪判決を獲得するのは至難の技です。
ですから、「どうしても前科を避けたい」などと希望する場合には、検察官から不起訴処分を引き出すための防御活動を展開するべきだと考えられます。
自作爆弾の使用などで刑事訴追されそうなときに弁護士へ相談するメリット3つ
自作爆弾が原因で刑事訴追されそうなときは、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
というのも、刑事事件への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下3つのメリットを得られるからです。
- 自首についてのアドバイスを期待できる
- 有利な刑事処分獲得を目指してくれる
- 社会生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
自作爆弾について自首するときのサポートを期待できる
自作爆弾を製造・使用したものの、現段階で捜査機関から何の問い合わせもない状況なら、自首をするべきか否かについて検討をしてください。
というのも、自首をすれば、反省の態度があると判断されて起訴猶予処分を獲得しやすくなりますし、刑事裁判にかけられたとしても自首減軽による有利な量刑判断を引き出しやすくなるからです。
そして、弁護士に相談をすれば、自首について以下のようなメリットをもたらしてくれるでしょう。
- 自作爆弾を製造・使用した経緯などを聴取したうえで、自首をするべきか否かについて判断をしてくれる
- 自作爆弾について自首したあとに実施される取り調べでどのような供述をするべきかアドバイスをくれる
- 自作爆弾について自首するときに警察署まで同行してくれる
- 自作爆弾の処理方法などについてアドバイスを期待できる など
自作爆弾を理由に刑事訴追されても軽い刑事処分獲得を目指した防御活動を期待できる
自作爆弾について刑事訴追のリスクに晒されたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
以下のように、刑事事件への対応が得意な弁護士は、刑事手続きの各ステージに応じて、被疑者にとって有利な状況を作り出してくれるでしょう。
- 供述内容・供述姿勢へのアドバイスを通じて、逮捕・勾留といった身柄拘束処分を回避し、在宅事件化を目指してくれる
- 検察官から起訴猶予処分の判断を引き出すための防御活動を展開してくれる
- 刑事裁判にかけられたとしても、執行猶予付き判決獲得に役立つ情状証拠を用意してくれる
そして、社会復帰の可能性をできるだけ高めたいなら、検察官から起訴猶予処分の判断を引き出すことができるかがポイントになるでしょう。
起訴猶予処分の判断の際には、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が総合的に考慮されるので、刑事事件に強い弁護士に必要な証拠などを用意してもらいましょう(刑事訴訟法第248条)
日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
以下のように、刑事事件への対応が得意な弁護士は、刑事訴追が原因で日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれます。
- 逮捕・勾留されたとしても、会社や学校にバレないように尽力してくれる
- 会社や学校から下される処分に対して意見書を提出したり、聴聞での回答方法についてアドバイスをくれたりする
- SNSや匿名掲示板、まとめサイトなどでの名誉毀損・誹謗中傷に対して、削除請求・発信者情報開示請求・慰謝料請求などの法的措置をとってくれる
- 接見の機会をフル活用して、被疑者を献身的にサポートしてくれる など
自作爆弾を理由に刑事訴追リスクに晒されたときは弁護士へ相談しよう
自作爆弾を製造したり使用したりしたときには、警察から出頭要請がかかったかどうかは関係なく、念のために一度は弁護士に相談をしてください。
刑事事件への対応が得意な弁護士に相談・依頼をすることで、起訴猶予処分獲得の可能性が高まったり、逮捕・勾留といった強制処分を避けやすくなったりするでしょう。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、自作爆弾事件などの刑事弁護が得意な法律事務所を多数紹介中です。弁護士に相談するタイミングが早いほど幅広い選択肢から有利な対策を講じやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。