シンナーで逮捕されたらどうなる?刑罰・処分・弁護士対応まで詳しく解説

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シンナーは本来、塗料や接着剤などに使われる工業用の有機溶剤ですが、その揮発性と中枢神経への強い作用から、吸引によって幻覚や陶酔感を得ようとする乱用が後を絶ちません。日本では、シンナーの吸引行為そのものが「毒物及び劇物取締法」や「青少年保護育成条例」で明確に禁止されており、たとえ一度の使用でも逮捕・補導・送検の対象になります。

かつて社会問題化した「シンナー遊び」は、現在も若年層を中心に深刻な健康被害や依存症をもたらしています。吸引を繰り返すことで、脳細胞の破壊や知的機能の低下、幻覚・錯乱状態を招き、最悪の場合は呼吸麻痺による突然死に至ることもあります。

また、シンナー吸引により暴行や交通事故など別の犯罪を引き起こすケースも多く、刑事事件として扱われることも珍しくありません。本記事では、「シンナーとは何か」「どのような行為が違法になるのか」「逮捕・取調べ時の対応」「弁護士による弁護活動」までを体系的に解説します。

目次

シンナーとは

シンナーは、本来は塗料や接着剤などを薄めるための有機溶剤として使われる化学物質です。しかし、その強い揮発性と中枢神経への作用から、吸引によって幻覚や多幸感を得ようとする乱用行為が問題となっています。

日本では、シンナーを吸引する行為や未成年者への譲渡が法律で厳しく禁止されており、違反すると逮捕・処罰の対象になります。まずは、シンナーとは何か?について詳しく解説します。

シンナーの成分と作用

シンナーの主成分には、トルエンやキシレン、アセトンなどの有機溶剤が含まれています。これらの成分は揮発性が高く、吸い込むと脳や中枢神経を麻痺させ、一時的な興奮や陶酔状態を引き起こします。

使用直後には気分の高揚やめまい、幻覚などが現れる一方で、判断力や記憶力の低下、錯乱状態を招く危険性もあります。とくに長期的に吸引を続けると、脳細胞の破壊や運動障害、幻聴・妄想などの精神障害が発生することがあり、医療機関での治療が必要になるケースも少なくありません。

吸引による健康被害・依存性

シンナーの吸引は一時的な快感をもたらす反面、極めて強い依存性を持っています。繰り返し使用すると、脳が正常に機能しなくなり、知的能力や感情のコントロールが低下します。

また、トルエンなどの成分は肝臓・腎臓にもダメージを与え、臓器不全や呼吸麻痺により突然死に至ることもあります。とくに10代など若年層の乱用は、脳が発達途上にあるため影響が深刻で、人格変化や社会的適応能力の低下を招く危険があります。

薬物として規制される理由

シンナーは覚醒剤や麻薬のように「麻薬及び向精神薬取締法」で直接規制されているわけではありませんが、「毒物及び劇物取締法」や各自治体の「青少年保護育成条例」によって、吸引目的での販売・譲渡・使用が厳しく禁じられています。

この規制の背景には、過去に中高生によるシンナー乱用事件が社会問題化した経緯があります。そのため現在でも、警察はシンナー吸引に対して厳しい姿勢を取っており、見つかった場合には即逮捕・補導・送検となるケースが多いのが実情です。

シンナーで逮捕される主なケース

シンナーは本来、塗料や接着剤の溶剤として使われる工業製品ですが、吸引による幻覚作用を目的とした使用は違法行為です。とくに、若者の乱用が社会問題化したことから、警察はシンナー関連の事件に対して非常に厳しい姿勢で臨んでいます。

次に、シンナーで逮捕される典型的なケースを解説します。

吸引行為による現行犯逮捕

よくあるケースが、路上や公園、車内などで吸引しているところを警察に発見されるケースです。シンナーを吸引すると特有の臭いが漂うため、通報によって現行犯逮捕に至ることも少なくありません。

「少量しか吸っていない」「初めてだった」といった言い訳は通用せず、毒物及び劇物取締法違反や各自治体の青少年保護育成条例違反として処罰されます。

シンナーを所持していた場合

吸引していなくても、吸引目的でシンナーを所持していた場合も逮捕対象となります。警察は「目的」を重視するため、吸引器具(ビニール袋・ストロー・タオルなど)と一緒に見つかると、「使用目的あり」と判断されやすいです。

とくに深夜や公共の場での所持は「乱用の意図がある」と見なされ、補導・逮捕につながる可能性が高いといえます。

未成年への譲渡・販売

未成年にシンナーを販売・譲渡する行為は、青少年保護育成条例違反として重く処罰されます。たとえ本人が吸引目的でないと主張しても、相手が未成年である以上、販売側に「乱用を助長する可能性を認識していた」と判断されるケースが多いです。過去には、コンビニ店員や個人経営者が未成年者に販売して摘発された事例もあります。

シンナー吸引を助長・幇助した場合

自分で吸っていなくても、他人にシンナーを勧めたり、吸引行為を手伝ったりした場合も処罰の対象です。たとえば「一緒に吸おう」と誘ったり、「場所を提供した」「器具を貸した」などの行為は、幇助や教唆にあたります。とくに、未成年者や複数人での使用が絡む場合は、刑が重くなる傾向があります。

複合的な薬物事件として扱われるケース

最近では、シンナーと他の違法薬物を併用するケースも増えています。LSD・覚醒剤・大麻などと同時に使用していた場合、麻薬及び向精神薬取締法違反や覚醒剤取締法違反と併合して扱われ、刑罰がさらに重くなることがあるでしょう。

また、薬物乱用による暴行・器物損壊・交通事故などが伴う場合は、刑事罰が複数科される可能性もあるため、極めて重大な結果を招く恐れがあります。

「少し吸っただけ」でも逮捕される?

「一度だけ」「少し吸っただけだから大丈夫」と思っていても、シンナー吸引は一回の使用でも逮捕の対象となります。シンナーは「麻薬や覚醒剤のような薬物ではない」と誤解されがちですが、実際には吸引自体が犯罪行為として明確に禁止されています。

次に、シンナーで逮捕される理由と警察がどのように使用を立証するのかを詳しく解説します。

微量でも検挙対象になる

シンナー吸引は、吸引の回数や量に関係なく処罰対象です。毒物及び劇物取締法や各自治体の青少年保護育成条例では、「吸引の目的で所持・使用した場合」は違法とされており、たとえ一吸いでも現行犯として逮捕される可能性があります。

また、吸引後にふらついたり、異常行動をとったりした場合、通行人の通報や警察官の職務質問から事件に発展するケースもあります。つまり、「少量だから」「一度だけだから」という言い訳は、法律上も実務上も通用しないのです。

警察が使用を立証する方法

シンナー事件では、警察は使用の有無を客観的な証拠で立証します。代表的な証拠には以下のようなものがあります。

  • シンナーの残量や容器、吸引器具(ビニール袋・タオルなど)
  • 被疑者の衣服や呼気に残る独特の溶剤臭
  • 現場での挙動・供述内容
  • 一緒にいた人物の証言

これらの証拠がそろえば、「使用目的で所持していた」「吸引直後だった」と判断され、現行犯逮捕や送検に至ることがあります。そのため、本人が「吸っていない」と否認しても、状況証拠だけで立件されるケースは少なくありません。

尿検査・現場証拠の重要性

警察は、シンナー使用を裏づけるために尿検査や現場の科学鑑定を行います。ただし、LSDや覚醒剤と違って、シンナー成分(トルエンなど)は体内に長く残らないため、吸引直後でないと検出が難しいという特徴があります。

そのため、警察は尿検査の結果だけでなく、現場の臭いや吸引器具などの物証を重視します。

取調べでの注意点

シンナー事件で逮捕された場合、警察や検察による取調べが行われます。この段階での発言は、後の起訴や量刑に大きく影響するため、軽い気持ちで話すのは危険です。次に、取調べを受ける際に注意すべきポイントを詳しく解説します。

自白を強要されるリスク

シンナー吸引などの薬物事件では、警察が「事実を早く認めたほうが楽になる」「反省を示せば軽くなる」などと促すケースがあります。しかし、こうした言葉に流されて安易に認めてしまうと、誤った供述調書が証拠として残り、不利な判決につながるおそれがあります。

実際には、曖昧な供述や誘導尋問によって「吸った」と認めた形にされる例も少なくありません。取調べでは、「覚えていないことは覚えていない」「やっていないことはやっていない」と明確に伝えることが大切です。

「軽い気持ちだった」が通用しない理由

シンナー事件で多くの人が言うのが「好奇心だった」「軽い気持ちで吸っただけ」という弁明です。しかし、法律上は行為そのものが犯罪であり、動機の軽重は逮捕・起訴を免れる理由にはなりません。

また、警察や検察は「軽い気持ち」という供述を「反省が浅い」「再犯の恐れがある」と逆に不利な評価をすることもあります。つまり、取調べでは感情的な言い訳よりも、冷静な態度と反省の意思を伝えることが重要です。

事実関係を整理し、どうしてそうなったのかを弁護士と一緒に説明できるようにしておきましょう。

黙秘権・弁護士相談の重要性

取調べでは、黙秘権が憲法で保障されています。警察の質問に無理に答える義務はなく、不利な供述を避けるために黙秘を選ぶのは正当な判断です。

また、弁護士へ早期に依頼すれば、取調べでの対応方針を相談できるほか、供述内容の確認や、違法・不当な取調べが行われていないかを監視してもらうこともできます。弁護士が関与することで、不当な自白強要を防ぎ、適正な手続きの中で弁護活動を進めることが可能になります。

弁護士による弁護活動

シンナー吸引などの薬物事件では、早期に弁護士を依頼できるかどうかが結果を大きく左右します。弁護士は、逮捕後の釈放から裁判での量刑軽減、再犯防止支援まで、あらゆる局面で本人と家族をサポートします。次に、シンナー事件で弁護士が行う主な弁護活動の内容を紹介します。

逮捕された被疑者の場合、一度だけ当番弁護人を呼べます。しかし、当番弁護人は継続的な弁護活動を目的としていないため、基本的には私選弁護人を選任するほうが良いです。

早期釈放・保釈を目指す対応

逮捕後、警察から検察・裁判所へと手続きが進む中で、弁護士は勾留請求の回避や早期釈放を目指します。もし勾留が認められた場合でも、準抗告や保釈請求を行い、できる限り早く自宅での生活を取り戻せるよう働きかけます。

とくに学生や社会人がシンナー事件で逮捕された場合、勾留期間が長引くと学校・職場への影響が深刻になるため、早期の身柄解放は極めて重要です。弁護士は、家族や勤務先の協力を得ながら、裁判所に「監督体制が整っている」と訴えることで、保釈を実現させるケースもあります。

違法捜査や証拠不十分の主張

シンナー事件では、警察が職務質問や家宅捜索の際に手続き上の違法があることも少なくありません。たとえば、令状の提示が不十分だったり、同意を得ないまま尿検査を実施したりした場合、弁護士は違法捜査として証拠排除を求めることができます。

また、「シンナーを吸っていない」「たまたま近くにあっただけ」といったケースでは、証拠不十分による不起訴処分を目指して、警察や検察の主張を慎重に精査します。弁護士は供述調書や鑑定結果を確認し、矛盾点を突くことで依頼人の無実や過剰な処罰の回避を図ります。

反省・更生を示す情状弁護

もし使用の事実を認める場合でも、弁護士は刑を軽くするための情状弁護を行います。そのために、本人の反省文、家族の誓約書、医療機関での治療記録などを提出し、「更生の意思がある」「再犯の可能性が低い」と裁判所に訴えます。

また、初犯であれば不起訴や執行猶予の可能性も十分あります。弁護士は、本人の性格や背景、事件に至る経緯を丁寧に説明し、実刑を避けるための最善の主張を行います。

家族・学校との連携による再犯防止支援

シンナー事件の再犯防止には、家族や学校との協力が不可欠です。弁護士は、家族に対して「監督の仕方」「支援の仕組み」を助言し、学校や職場とも連携して生活の安定と社会復帰の環境づくりをサポートします。

また、必要に応じて医療機関や更生支援団体(例:ダルク)を紹介し、依存治療やカウンセリングの継続を通じて再犯防止を強化します。このような更生支援の取り組みは、裁判所からも高く評価される傾向があります。

不起訴・執行猶予を得るためのポイント

シンナー事件で逮捕されたとしても、すべてのケースが起訴や実刑になるわけではありません。初犯で反省している場合や、再犯防止に向けた具体的な行動をとっている場合は、不起訴処分や執行猶予付き判決を得られる可能性があります。ここでは、刑事処分を軽減するために重要なポイントを解説します。

初犯・反省している場合の対応

シンナー事件では、初犯かどうかが量刑に大きく影響します。初めての逮捕で、かつ素直に反省の態度を示している場合、検察官が「起訴猶予処分(不起訴)」を選択することがあります。

また、取調べでの態度も重要です。

  • 「なぜシンナーを吸ってしまったのか」
  • 「今後どう更生していくのか」

上記のような具体的な反省の姿勢を伝えることで、再犯の可能性が低いと判断されやすくなります。弁護士の助言を受けながら、反省文の作成や謝罪の意思表示を行うことも、処分の軽減に有効です。

医療機関での治療・カウンセリング受診

シンナー依存や薬物乱用には、医療的な治療やカウンセリングが不可欠です。事件後すぐに精神科や依存症外来を受診し、治療を継続していることは、裁判所や検察から「更生のための努力」として高く評価されます。

また、医師の診断書や通院記録を提出することで、「依存症として治療を受けている」「社会復帰に向けた意識がある」といった点を示すことができます。これは、執行猶予判決や不起訴処分を目指すうえで極めて有効な情状資料となります。

家族・保護者の監督体制

シンナー事件で再犯を防ぐためには、家族の協力が欠かせません。弁護士は、家族や保護者と連携し、本人の生活環境を安定させる監督体制を整えるよう助言します。

とくに以下のようなサポートが必要です。

  • 家族が常に行動を把握できる状況をつくる
  • 外出先・交友関係の管理を徹底する
  • 生活リズムの改善や就労支援を行う

上記のような形で「更生支援の枠組み」ができていることを、裁判所に示すことが重要です。家族の誓約書や保証書も、弁護士を通じて情状資料として提出できます。

更生支援計画の提出

弁護士は、本人の生活再建を見据えて「更生支援計画書」を作成・提出することがあります。

この計画書には、以下のことが記載されています。

  • 今後の生活方針
  • 医療機関での治療継続
  • 就労・学業の再開予定
  • 家族・支援機関によるサポート内容

上記の書面を通じて、裁判所に「再犯の恐れがなく、社会復帰の準備が整っている」と印象づけることができれば、執行猶予付き判決や不起訴処分の実現に大きく近づくでしょう。

シンナー使用による健康・社会的影響

シンナー吸引は、一時的な興奮や快感をもたらす一方で、脳や神経への深刻なダメージを引き起こす極めて危険な行為です。身体的・精神的な健康を蝕むだけでなく、逮捕による社会的信用の失墜や職場・学校への影響も避けられません。次に、シンナー使用がもたらす代表的な健康・社会的リスクについて解説します。

脳へのダメージと依存症

シンナーに含まれる有機溶剤(トルエン、キシレンなど)は、吸引すると血液を通じて脳に到達し、神経細胞を破壊します。短期間の使用でも記憶力や集中力が低下し、長期的には脳の萎縮や知的能力の低下を招くこともあります。

さらに、シンナーは強い依存性を持っており、快感や現実逃避を求めて繰り返し使用するうちに、精神的・身体的な依存症に陥ります。依存症になると、自力でやめることはほぼ不可能であり、医療機関での治療や長期的な支援が必要です。

人格変化・幻覚・錯乱の危険性

シンナーの吸引によって一時的に高揚感を感じた後、幻覚・幻聴・錯乱状態に陥るケースが多く見られます。また、使用を重ねるうちに感情の起伏が激しくなり、攻撃的・無気力・猜疑的な性格変化が生じることもあります。

これらの症状は「シンナー脳」と呼ばれ、社会生活や人間関係に深刻な悪影響を及ぼします。中には、幻覚や妄想に基づいて暴力を振るったり、犯罪行為に発展したりするケースもあるため、早期の治療が欠かせません。

社会的信用の失墜

シンナーによる逮捕・報道は、社会的信用を著しく損なう結果を招きます。前科がつけば、就職や転職が難しくなり、資格の制限を受ける可能性もあります。また、近隣や知人からの目も厳しくなり、地域社会で孤立することも少なくありません。

たとえ「好奇心で一度だけ」としても、薬物事件は社会的には重大な犯罪として扱われます。信頼を回復するには、長期的な更生努力と誠実な生活が必要になります。

学校・職場復帰への影響

シンナー事件によって逮捕・勾留された場合、学校では停学・退学処分、職場では懲戒解雇や自主退職に至るケースがほとんどです。とくに学生の場合、学業の継続が困難となり、将来の進学や就職にも大きな影響を及ぼします。

ただし、家族や弁護士、支援団体の協力により、再入学や社会復帰を果たした例もあります。重要なのは、「事件後の行動をどう変えるか」です。治療や更生プログラムを受け、真摯な反省を示すことで、再出発の道を開くことは可能です。

未成年者とシンナー事件

未成年者によるシンナー吸引事件は、刑事裁判ではなく家庭裁判所での少年審判によって処理されます。少年の場合、目的は「処罰」ではなく「更生」であり、再非行防止に向けた教育的な措置が中心です。次に、家庭裁判所での処分内容や家族がとるべき対応について詳しく解説します。

家庭裁判所での処分内容

未成年がシンナーを吸引・所持した場合、まず警察に補導・逮捕された後、家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所では、非行の動機や家庭環境、交友関係、学校での態度などを調査し、「どのような処分が更生に適しているか」を判断します。

主な処分内容は次のとおりです。

  • 不処分:再非行の可能性が低く、本人が深く反省している場合
  • 保護観察:家庭での生活を続けながら、保護観察官の指導を受ける
  • 児童自立支援施設・少年院送致:非行傾向が強く、家庭での改善が難しいと判断された場合

とくに「初めての非行」や「家族の支援体制がある」場合には、不処分または保護観察で済むケースが多くなります。

保護観察・少年院送致の基準

家庭裁判所がどの処分を選ぶかは、反省の度合い・家庭環境・再非行の可能性など、複数の要素を総合的に判断して決められます。

たとえば、以下の場合は保護観察で済む可能性が高いです。

  • 「好奇心で1度だけ吸った」
  • 「素直に認めて反省している」
  • 「家族が監督できる体制にある」

一方で、以下の場合は少年院送致の可能性が高まります。

  • 複数回の吸引歴がある
  • 暴走族や非行グループとの関わりがある
  • 家庭での監督が難しい

少年院では、生活指導・職業訓練・心理教育を通じて、再犯防止に向けた更生教育が行われます。

家族がとるべき対応

未成年のシンナー事件では、家族の協力が重要です。家庭裁判所も「本人を支えられる環境があるか」を重視するため、家族が積極的に更生に関与する姿勢を示す必要があります。

具体的には、以下のような取り組みが求められます。

  • 裁判所・弁護士・保護観察官と連携する
  • 生活リズムの見直しや交友関係の整理をサポートする
  • 家庭内での会話や信頼関係を回復させる

家族が「再び非行に走らせない」という姿勢を示すことは、処分の軽減にもつながる重要な要素です。

再非行防止のための支援策

再びシンナーや薬物に手を出さないためには、専門機関のサポートを受けることが効果的です。たとえば、依存症治療を行う精神科や、若年層の支援に特化した更生支援団体などがあります。

また、学校や地域社会と協力し、以下のような支援を受けることも大切です。

  • 学業の継続支援
  • 就労支援
  • カウンセリング・相談体制の整備

再非行を防ぐ環境を整えることが可能です。家庭だけで抱え込まず、行政や専門家と連携して支える体制づくりが、子どもの将来を守る鍵となります。

シンナーの再犯防止・更生支援

シンナー事件の再犯防止には、「罰を受けること」よりも「生活を立て直すこと」が何よりも重要です。シンナーには強い依存性があるため、意思の力だけでやめ続けるのは非常に困難です。再び手を出さないためには、医療・家族・地域が連携した継続的な支援体制の構築が欠かせません。次に、シンナーの再発防止や更生支援について詳しく解説します。

依存治療プログラムの活用

シンナー依存は「病気」として治療が必要な状態です。精神科や依存症専門医療機関では、薬物依存治療プログラム(リハビリテーション)が行われており、心理カウンセリングやグループセラピーを通して、薬物に頼らない生活習慣を取り戻すサポートが受けられます。

また、断薬を継続するためには「医師との信頼関係」「通院の継続」「再発防止教育」が重要です。裁判でも、治療を継続していることが情状酌量の要素となり、執行猶予や不起訴の判断に有利に働く場合があります。

地域・NPO団体の支援

依存症の回復には、社会の中で支えてくれる人や場所が欠かせません。たとえば、ダルクや地域の依存症回復支援センターでは、元使用者の体験談やグループミーティングを通じて、同じ立場の仲間と支え合う環境が整えられています。

これらの団体は、医療的な治療だけでなく、就労支援・生活指導・住居支援などの実践的なサポートも提供しています。孤立を防ぎ、「社会の中で生き直す力」を育てることが、再犯防止に直結します。

学校・職場との協力体制

シンナー事件の後、学校や職場に復帰することは簡単ではありません。しかし、教育機関や勤務先が更生を支援する姿勢を示すことで、本人の再出発を後押しできます。

弁護士が学校や職場と連携し、以下のサポートをするケースもあります。

  • 再登校や復職のための条件整理
  • 周囲への理解促進
  • 定期的な報告体制の構築

「社会に戻る」こと自体が治療の一環であり、責任ある立場を持つことで再犯の抑止力が高まるのです。

社会復帰を支える環境づくり

再犯防止の鍵は、「シンナーを使わなくても安心して生活できる環境」を整えることです。安定した住居・仕事・人間関係があれば、誘惑に打ち勝つ力が強まります。家族や支援者は以下のことを一緒に考え、再び孤立しない環境を築くことが大切です。

  • 生活リズムの安定
  • 経済的な基盤づくり
  • 新しい目標設定(資格・就職など)

再犯を完全に防ぐには時間がかかりますが、焦らず一歩ずつ社会とつながる意識を持ち続けることが、真の更生につながります。

よくある質問

シンナーによる逮捕に関するよくある質問を紹介します。

Q.シンナーを1回吸っただけでも逮捕されますか?

A.逮捕される可能性はあります。

シンナーは「毒物及び劇物取締法」や「東京都青少年健全育成条例」などにより、吸引行為そのものが禁止されています。警察は「常習性があるかどうか」に関わらず、現行犯逮捕や補導の対象とするケースが多いです。

とくに、路上や公園などの公共の場で吸っていた場合は悪質と判断され、初犯でも検挙・送致される可能性が高いでしょう。

Q.未成年でも刑事事件として処罰されますか?

A.未成年者の場合は、通常の刑事裁判ではなく家庭裁判所での少年審判によって処分が決定します。

未成年者の場合、罰として刑務所に入るのではなく、更生を目的とした教育的措置(保護観察・児童自立支援施設・少年院送致など)が取られます。ただし、繰り返しシンナーを吸っている場合や、他の非行(窃盗・暴走行為など)と併発している場合は、厳しい処分になる傾向があります。

Q.所持していただけで罪になりますか?

A.罪に問われる可能性があります。

シンナーを「吸引目的で所持」していた場合は、たとえ吸っていなくても逮捕される可能性があります。警察は、容器・吸引器具・残留物などから「吸う意図があった」と判断すれば、所持段階で検挙対象とします。

一方、塗料や接着剤などの業務用途で正当な理由がある場合は違法にはなりませんが、使用目的の立証が鍵となります。弁護士のサポートを受けて、正当な所持であることを主張することが大切です。

Q.初犯でも実刑になる可能性はありますか?

A.可能性はゼロではありません。

シンナー吸引事件では、初犯であれば実刑になるケースは少ないです。多くは、罰金刑や執行猶予付き判決にとどまります。ただし、以下の事情がある場合は、厳しい量刑の可能性もあります。

  • 他の薬物と併用していた
  • 暴行・窃盗など別の犯罪と併発していた
  • 過去にも補導歴や警察沙汰があった

早期に弁護士へ相談し、反省や治療の意思を示すことが軽減につながります。

Q.シンナー事件で家族が逮捕された場合、何をすべき?

A.まずは弁護士へ相談してください。

弁護士は、身柄拘束中の本人に面会(接見)し、取調べでの対応方針や釈放の可能性を確認します。家族としてできることは、以下のとおりです。

  • 本人の反省・治療の意思を示す資料を集める
  • 家族による監督体制を整える
  • 保証人・身元引受人として協力する

家族の支援があると、検察や裁判所も「再犯の恐れが低い」と判断しやすくなり、保釈や執行猶予の獲得につながるケースもあります。

まとめ

シンナーは合法的な工業製品である一方、その吸引を目的とした使用・所持・譲渡は、明確に違法行為として処罰されます。とくに未成年者への販売や譲渡は厳罰化されており、たとえ「少しだけ」「好奇心で」といった軽い動機でも逮捕・送検の可能性は高いです。

シンナー吸引は脳や神経への障害を引き起こし、強い依存症を生むため、医療機関での治療やカウンセリングが欠かせません。もし逮捕された場合には、早期に弁護士へ相談し、取調べ対応・釈放請求・情状弁護を進めることが重要です。

初犯や反省が見られるケースでは、不起訴や執行猶予の可能性もありますが、再犯や他の薬物との併用がある場合は実刑に至ることもあります。さらに、シンナー事件は本人だけでなく、家族・学校・職場にも深刻な影響を及ぼします。

再犯防止には、家族の監督体制や更生支援団体(ダルクなど)の協力、医療的な治療を継続することが欠かせません。シンナーを「薬物ではない」と安易に考えることが、危険な誤解です。違法性とリスクを正しく理解し、もし関わってしまった場合は、専門家とともに更生の道を歩むことが再出発の第一歩となります。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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