SNSやネットで「これはヤバい」「拡散希望」と流れてきた投稿を、深く考えずにリツイート・シェアしてしまった。そんな経験がある人も多いでしょう。しかし、デマの拡散はうっかりでも、状況次第で罪になる可能性があります。
デマそのものは言葉にすぎず、ただちに犯罪と決まるわけではありません。とはいえ、特定の個人や企業の社会的評価を下げれば名誉毀損罪や侮辱罪、企業の信用を傷つけたり業務を妨害したりすれば信用毀損罪・偽計業務妨害罪に該当し得ます。
さらに、刑事事件に発展しなくても、被害が出れば民法709条の不法行為として損害賠償・慰謝料請求を受けるリスクがあります。しかも責任を問われるのは投稿者だけではありません。
リツイートや引用投稿などの拡散行為も、内容の悪質性や認識次第で「加害行為」と評価されることがあります。「不確定情報です」と添えても免責されるとは限らず、削除しても責任が消えるわけではない点にも注意が必要です。
本記事では、刑事罰・民事責任の典型パターン、違法にならない可能性があるケース、拡散を防ぐための一次情報確認のコツまで、デマ拡散の法的リスクをわかりやすく整理します。
デマを拡散すると罪になるのか?
インターネットやSNSの普及により、誰でも簡単に情報を発信・拡散できるようになりました。しかし、この便利さの裏側で大きな問題になっているのが「デマ情報」の拡散です。では、デマを広めるだけで罪になるのか。結論から言うと、状況次第では「刑事罰」や「民事責任」の対象になり得ます。
発信者の立場や事情に関係なく、結果として誰かに損害を与えた場合、法的責任を問われる可能性があるのです。まずは、デマを拡散するとどのような罪に問われる可能性があるのか?について詳しく解説します。
【結論】状況次第で刑事罰・民事責任の対象になる
デマ自体は「言葉」であり、直ちに犯罪になるとは限りません。しかし、その内容によっては次のような法的な責任が発生する可能性があります。
【刑事責任】
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 偽計業務妨害罪
たとえば、人の名誉を傷つけるようなデマを流した場合は、名誉毀損罪に問われる可能性がります。名誉毀損罪は「事実」のデマを告げることによって成立する犯罪ですが、内容は真実か虚偽かは問われません。つまり、たとえ嘘の内容を流したとしても、罪に問われる可能性があります。
そして、結果として業務を妨害した場合は、偽計業務妨害罪などの刑事罰に問われる可能性も発生するため注意が必要です。
【民事責任】
- 不法行為責任(民法709条)
- 損害賠償責任
たとえば特定の個人・企業について真実性のない重大な悪評をSNSで拡散すると、被害者が訴えることで刑事・民事の両面で責任を負うことがあります。刑事責任としては、真実でない情報を故意に流布し、他人の名誉を傷つけた場合に名誉毀損罪が成立しますし、不正な情報を用いて業務や信用を傷つければ、偽計業務妨害罪が成立する可能性もあります。
個人の誤情報発信でも違法性を問われる可能性がある
「個人が間違えてデマを投稿しただけだから大丈夫」と考える人もいますが、発信者が個人であっても違法性が否定されるわけではありません。たとえば、以下のようなケースでは違法性が認められることがあります。
- 明らかに根拠のない情報を不特定多数に拡散した
- 虚偽の疑いを確信をもって共有した
- 情報が拡散されて被害が生じた
公的機関や報道機関の情報でない限り、発信者には内容の正確性を確認する義務や注意義務が求められます。とくに影響力のあるアカウントやインフルエンサー的な立場にある場合、より高い注意義務が課されると評価されることがあります。
その結果、本人が「知らなかった」「気づかなかった」と主張しても、結果として誰かに損害を与えた事実が重視されることがあります。この判断は裁判例でも確認されており、単なる誤報であっても、損害や信用毀損の事実があれば責任追及が可能です。
拡散行為も「加害行為」と判断されるケースがある
デマの「発信者」だけでなく、拡散に加担した行為自体も法的責任を問われる場合があります。SNSのリツイート、シェア、引用投稿、コメントによる拡散も、事実上は情報の流通に寄与しているため、状況によっては以下のように評価されることがあります。
- 名誉毀損の共同正犯・幇助
- 偽計業務妨害の幇助
- 損害発生への寄与行為としての責任追及
実務では、単なる反応としての拡散と、「意図的にデマを拡散した・拡散させようとした」行為とを区別して評価します。つまり、「誤解して拡散してしまった」といった消極的な事情と「確信犯的にデマを拡散した」という積極的な行為とでは、責任の重さ・法的評価が大きく異なります。どちらであっても、被害者側から損害賠償請求が提起される可能性があり、名誉回復や慰謝料の支払いを命じられるケースもあります。
どのような法律がデマ拡散に適用されるのか?
誰でもSNSやネットで簡単に情報発信できるようになった一方で、虚偽情報(デマ)による被害やトラブルも増えています。「単なる噂話だと思ったら、法的責任を問われるかもしれない」といった不安を感じる人も多いはずです。実際に、状況によってはデマの発信や拡散が以下のような刑事罰・民事責任の対象になります。ここでは、代表的な法律をわかりやすく整理して解説します。
名誉毀損罪(刑法230条):事実でなく評価を下げる場合
名誉毀損罪は、真実性のない情報や根拠のない事実を公にし、特定の人の社会的評価を低下させた場合に成立する犯罪です。刑法230条は、次のような行為を禁じています。
- 実在の個人や法人に関する虚偽事実を公表した
- その結果、評判・信用が傷ついた
ここでポイントとなるのは「事実と異なる内容」です。たとえば、根も葉もない犯罪歴をSNSで特定人物に結び付けて発信した場合、投稿者は名誉毀損罪として処罰される可能性があります。
名誉毀損は「真実の事実」を述べた場合であっても、公共性や公益性のない私的な内容で相手の評価を不当に下げた場合にも問題とされることがあり、発信者には発信の正確性・必要性についての注意義務が求められます。
前述のとおり、名誉毀損罪は必ずしも「真実と異なる内容(虚偽)」である必要はありません。たとえば、「会社の同僚が〇〇さんと不倫関係にある」という事実があったとしましょう。たとえ、事実であってもこのことを公にすることによって、会社の同僚の社会的信用を著しく下げる行為に該当します。
そのため、たとえ事実であっても、内容次第では拡散行為が名誉毀損罪に問われる可能性もあるため注意しましょう。
信用毀損罪・偽計業務妨害罪(233条・234条)
デマ情報が個人の評価だけでなく事業者・組織の信用や業務に損害を与えた場合には、以下の犯罪が問題になります。
【信用毀損罪(刑法233条)】
企業や店舗などの事業者の信用を害する虚偽情報を流布した場合に成立します。
例:ネット上で「この店は賞味期限切れの食品を売っている」と虚偽情報を拡散し、客足が激減した場合。
法定刑:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
【偽計業務妨害罪(刑法234条)】
虚偽情報を利用して、相手の業務運営そのものを妨害した場合に成立します。
例:架空の事故情報をSNSで広めて公共交通の運行を停止させた、など。どちらも、偽計(虚偽の手段)によって他人の信用や業務を損なった行為を処罰するものです。情報が不確かであっても、それによって信用被害や業務妨害が発生すれば、発信者・拡散者は刑事責任を負うことがあります。
法定刑:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
侮辱罪:根拠ない誹謗の場合
侮辱罪は、特定の人物に対して根拠のない誹謗・中傷を行い、その人格・尊厳を侵害した場合に成立します。この罪は、被害者の社会的評価の低下というよりも、人格そのものへの無礼・否定的な表現が問題となります。
たとえば、以下のような発言が侮辱罪に問われる可能性があります。
- 名指しで「◯◯はバカだ」「常識がない」「嘘つきだ」といった根拠のない誹謗を繰り返す
- 発信内容に客観的な事実がなく、人格攻撃に終始している
こうした表現は、単なる意見や批評の範囲を超えて侮辱罪として処罰対象になり得ます。侮辱罪は親告罪であり、発信者が特定されると告訴を受けて刑事手続きに進む可能性が高くなります。
親告罪とは、被害者の告訴がなければ検察は、公訴をできない(起訴できない)犯罪を指します。侮辱罪は親告罪であるため、公訴するためには被害者からの告訴が必要となります。
損害発生があれば民事賠償の対象になる
刑事責任とは別に、デマの拡散によって実際の損害が発生した場合、民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。
たとえば、以下のような行為をした場合は、損害賠償の対象となり得ます。
- 店舗にデマを流したことで売上が激減した
- 企業の信用が傷つき取引が中止になった
- 個人の評価が落ち、職を失った
このような状況では、発信者に対して民法709条の不法行為責任が問われることがあります。被害者は、損害の補償(慰謝料・逸失利益等)を求めて民事訴訟を起こすことができます。
裁判所は以下の要件を検討します。
- 発信者の行為が違法であること
- 被害者に損害が生じたこと
- 行為と損害との因果関係があること
- 発信者に過失があったこと
刑事責任の有無に関わらず、実際の損害発生があれば民事責任は独立して追及可能です。SNSの投稿でも、誹謗中傷や虚偽情報によって相手に経済的・精神的損害が生じた場合、賠償を命じられるリスクがあります。
デマ拡散が犯罪にならないケースとは
ニュースやSNSでの情報発信が容易になった現代では、「この投稿ってデマになるのか?」と悩む人が増えています。たしかに、虚偽の情報を広めたことが刑事責任・民事責任の対象になるケースはありますが、すべてのデマが即犯罪になるわけではありません。
状況や発信者の主観・行為の態様によっては、法律上違法性が否定される場合もあります。次に、デマ拡散が犯罪にならない代表的なケースとその根拠・注意点について詳しく解説します。
真実であると合理的に信じていた場合
虚偽の内容を発信したとしても、発信時点で「事実」と信じる合理的な根拠があれば、刑事責任が否定される場合があります。これは刑法上の名誉毀損罪(刑法230条)などで問題になる際にも認められる重要な要素です。
たとえば、以下のような状況が該当します。
- 公的な発表を根拠として共有した
- 信頼性の高い複数の情報源に基づいて発信した
- 後に誤りと判明したが、発信時には確認可能な証拠があった
この場合、発信者は「真実と合理的に信じるに足る理由があった」と評価され、違法性が否定される可能性があります。ただし、ここでのポイントは「合理性」です。単なる思い込みや噂話レベルではなく、客観的な根拠・裏付けがあり、発信時に合理的に真実性を信じていたと評価できるかが判断基準になります。
たとえば、週刊誌で報道された内容について意見をしたような場合は、「真実であると合理的に信じていた」と認められる要素になり得るでしょう。
公益性のある指摘で善意の場合
デマに該当する可能性がある情報であっても、公益性があり、社会的に重要な関心事に対する善意の指摘であると評価される場合は、違法性が否定されることがあります。これは、表現の自由・報道の自由の観点からも重要な考え方です。
たとえば、以下のような拡散が該当します。
- 社会全体の安全・医療・行政による不正に関する注意喚起
- 消費者保護に資する情報提供
- 公共の利益に関わる疑義・警告
こうしたケースでは、単なる中傷・誹謗ではなく、社会的な利益を守るための情報提供と評価されることがあります。ただし、公益性があるとしても「根拠なく断定的に攻撃する行為」は評価が分かれますので、慎重な表現・情報精査・出典提示が不可欠です。
情報源を明らかにし注意喚起目的の場合
情報発信に当たって、情報源を明示し、「確証が不十分である可能性」を併記した注意喚起として発信することは、違法性判断において重要な要素になります。これは、虚偽の可能性を意図的に隠す「デマ」の拡散と区別される行為です。
具体的には以下のような行為が該当します。
- 情報源(URL・公式発表・報道引用等)を明記
- 「事実は○○と確認されていない」等の断り書きを付ける
- 自身の見解・意見であることを明確にする
このような形式であれば、表現の自由や報道の自由の範囲として評価されることがあり、刑事責任の対象にならない可能性が高まります。ただし、後に誤りと判明した場合でも、責任の有無・程度はケースごとの評価になりますので、情報発信時に注意義務を果たしているかが重要です。
悪意がない場合でも民事責任は残り得る
刑事責任(罪)として問われない場合が存在しますが、これが民事責任(損害賠償責任)まで否定されることを意味するわけではありません。たとえ善意・合理的な信念・公益性が認められたとしても、以下のような場合には民事責任が問題になることがあります。
- 実際に被害者(個人・法人)が損害を被った
- 経済的損失や逸失利益が発生した
- 名誉・信用の回復に費用がかかった
- 精神的苦痛が生じた
この場合、民法の不法行為責任(民法709条)に基づき、損害賠償請求や慰謝料請求がされる可能性があります。発信時に合理的な判断をしていたかどうかは、民事責任の有無や金額にも影響しますが、善意であっても責任が完全に免除されるとは限らない点に注意が必要です。
デマ拡散を防ぐための注意点
デマの拡散は、単なるネット上の「誤情報」に留まらず、人や企業の信用・業務・社会秩序に深刻な影響を与える可能性があります。近年では、虚偽情報の影響で営業妨害・名誉毀損・偽計業務妨害といった刑事事件や民事紛争に発展した例も多数あります。
情報発信の自由は重要ですが、同時に「責任ある発信」が求められる時代です。ここでは、日常的にデマ拡散を防ぐための具体的な注意点を詳しく解説します。
情報の一次情報源を確認する習慣
情報の信頼性を判断する際、まず確認すべきは「一次情報源」です。一次情報源とは、最初に事実を報告した公式発表や報道、データそのものを指します。ニュースの見出し・SNS投稿・まとめサイトに記載された内容をそのまま信じるのではなく、元の情報にアクセスして内容を確認する習慣を持つことが重要です。
たとえば、次のような一次情報源は信頼性が高いと評価されます。
- 国・自治体・公的機関の公式発表
- 主要報道機関による取材報道
- 企業や当事者の公式声明
- 学術的なデータ・統計資料
一次情報源を確認することで、情報の真偽を自分で検証することができ、誤った情報を意図せずに拡散するリスクを大きく減らせます。とくに「センセーショナルな見出し」「感情を煽る表現」は要注意です。一次情報に遡る習慣が、デマ拡散防止の基本になります。
「不確定情報」と明記するだけでは免責されない
「これはまだ確認中の情報です」「不確定情報なのでシェアします」といった表現を付けたとしても、それだけで責任を免れるわけではありません。不確定情報の発信は、受け手に誤解を与える可能性があり、場合によっては名誉毀損や信用毀損、偽計業務妨害の問題として扱われることがあります。
法律的には「善意だった」という主観だけでは免責されず、次のような観点が重視されます。
- 発信者が合理的な根拠を持っていたか
- 情報の真偽を確認する努力をしたか
- 発信によって第三者に具体的な損害が生じたか
たとえば、根拠が不十分なうわさを「まだ確定していませんが……」として拡散した結果、個人の名誉や企業の信用が毀損した場合、発信者に民事責任・場合によっては刑事責任(名誉毀損罪)まで問われる可能性があります。したがって、不確定情報を共有する際も、十分な根拠と慎重な表現・検証努力が必要であり、それだけで安心して良いという安心材料にはなりません。
まとめサイト情報は鵜呑みにしない
ネット上には、ニュースや情報を集約して掲載したいわゆる「まとめサイト」が多数あります。これらは手軽に情報を得られる反面、一次情報からの引用が正確でない・誤解を招く編集が加えられている可能性があります。
まとめサイトの情報をそのまま拡散すると、次のようなリスクがあるため注意しましょう。
- 元情報の文脈が変わってしまう
- 真偽不明の噂が誤って事実として認識される
- 誤った拡散で第三者に損害が生じる
まとめサイトの情報を利用する際は、かならず元の情報源(公式発表や信頼性の高い報道)に遡り、その内容を確認することが重要です。情報の一次性・正確性を確認せずに引用・拡散することは、デマ拡散につながる典型的な要因の一つであるため、注意が必要です。
企業情報・人物情報の取り扱いは慎重に
個人や企業に関する情報を扱う際は、さらに慎重な配慮が求められます。とくに以下のような情報は、法的責任が発生しやすい分野です。
【個人情報】
- 実名・顔写真・住所・連絡先・勤務先
- 疑惑・噂・噂話レベルの情報
たとえば、配偶者の不倫を厳しく追及するためにSNSに顔写真を載せて「〇〇が不倫をしました」と発信したとしましょう。この情報の事実確認を怠ったまま、拡散をしてしまうと、法的な責任が発生しやすくなるため注意が必要です。
【企業情報】
- 不確かな製品の欠陥情報
- 業績や取引先に関する憶測
- 経営者のプライベートな噂
とくに、個人や企業の名誉・信用に関わる情報を取り扱う場合は、明確な根拠・公的な証拠・一次情報源の開示が必須です。「信頼できそうだから」という理由だけで第三者の情報を共有することは、名誉毀損や偽計業務妨害といった法的問題に発展するリスクがあります。
よくある質問
デマの拡散に関するよくある質問を紹介します。
Q.リツイートだけでも罪になりますか?
A.罪に問われる可能性があるため注意しましょう。
リツイートやシェアそのものは単なる共有行為に見えますが、そこに「虚偽情報であることを認識していた」「内容を肯定的に広めた」といった事情があると、名誉毀損罪(刑法230条)や偽計業務妨害罪(刑法233条・234条)の共同正犯・幇助と判断される可能性があります。
ポイントは以下のとおりです。
- 発信者だけでなく、拡散に加担した行為自体も評価対象となる
- 単なる引用・注意喚起でも文脈次第で違法性が問われ得る
- 虚偽情報の内容によっては、民事上の責任(損害賠償)にも発展する
つまり「リツイートだから無罪・無責任」という線引きはなく、情報の影響と拡散者の認識・態様を総合的に見て判断されるという点が重要です。
Q.デマ拡散で慰謝料請求されますか?
A.はい、慰謝料請求される可能性があります。
デマによって名誉・信用・精神的な苦痛が生じた場合、不法行為に基づく損害賠償を請求されることがあります。慰謝料は、金銭的損害だけでなく、精神的損害に対して請求されることが一般的です。
たとえば、以下のようなケースです。
- 事実無根の噂で職を失った
- ネットで個人情報を晒され名誉が傷ついた
- 企業がデマで売上を大幅に失った
上記のようなケースでは、被害者が民事裁判で慰謝料や逸失利益の支払いを求めることができます。重要となるポイントは、以下のとおりです。
- 発信内容が虚偽であったこと
- 被害者に損害が発生したこと
- 発信者の注意義務違反が認められること
上記3つが揃うと、慰謝料請求が認められる可能性が高まるということです。
Q.匿名の投稿は特定されますか?
A.匿名でも特定される可能性があります。
SNSや匿名掲示板での投稿は一見プライバシーを守れるように見えますが、実際には以下のような手段で特定されるケースが多いです。
- IPアドレスの開示請求
- プロバイダ責任制限法に基づく開示
- 投稿時の端末情報・アクセスログ
- 他の投稿内容や行動パターンとの照合
捜査機関や弁護士が裁判所に申し立てを行うことで、匿名アカウントの運営者情報が開示されるケースがあります。つまり、「匿名だから安心」という考え方は法律的には正しくありません。
Q.注意喚起目的でも違法になる可能性はありますか?
A.注意喚起目的であっても違法となる可能性があります。
注意喚起や警告を目的として情報を共有する場合でも、その根拠が不十分で虚偽情報であれば違法性が問題になります。注意喚起の内容が真実かどうか、一次情報源が確認できるかどうか、発信の必要性・公益性があるかどうかが判断基準です。
- 事実確認が十分でないまま拡散した
- 「〜らしい」「〜かもしれない」と断定的に共有した
- 結果として特定人物や企業に損害が生じた
上記の場合、たとえ善意であっても名誉毀損や信用毀損の問題として扱われる可能性があります。注意喚起の発信は、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 確かな出典(一次情報源)を示す
- 誤解を避けるための慎重な言葉遣い
- 事実と意見を明確に区別する
これらの配慮がなければ、法的な問題が発生するリスクが残ることを理解しましょう。
たとえば、学校内で発生した盗難事件について「〇〇(同じ学校の同級生)が今回の窃盗の犯人である可能性が高いです!皆さん注意してください!」といった注意喚起だったとしましょう。この場合であっても、事実を確認せずに拡散をした場合は、罪に問われる可能性があります。
仮に、この情報が誤りであった場合は、その人の名誉を著しく毀損する行為であるため、たとえ注意喚起であっても、ポイントを押さえて正確な情報を発信することが大切です。
Q.削除したら責任免除されますか?
A.削除をしても責任を免れるとは限りません。
デマや虚偽情報を投稿・拡散した後に削除したとしても、すでに違法行為が成立していれば、刑事責任や民事責任が消えることはありません。投稿時点で名誉侵害や業務妨害などの要件を満たしていれば、削除は「事後対応」に過ぎず、責任の有無とは別問題として判断されます。
たとえば、以下に該当する場合は証拠が残るため、責任追及が可能です。
- 投稿がスクリーンショット等で保存されている
- 第三者がすでに拡散している
- 被害(信用低下・売上減少・精神的苦痛)が発生している
ただし、削除のタイミングや態度は「量刑」や「損害額の評価」に影響することがあります。早期に削除し、謝罪や訂正対応を行った場合は、以下のとおり評価される可能性があるでしょう。
- 不起訴や処分軽減
- 民事事件では慰謝料の減額
つまり、削除=無罪・免責ではないが、早期削除は不利益を最小限に抑える重要な行動といえます。問題になりそうな投稿に気づいた場合は、削除だけで済ませず、記録の整理や専門家への相談を検討することが重要です。
まとめ
デマの拡散は、内容と状況次第で刑事責任・民事責任の対象になります。個人の誤投稿であっても「間違えたから無罪」とは限らず、特定の人の評価を下げる事実を公然と示せば名誉毀損罪、根拠のない人格攻撃なら侮辱罪が問題になります。
企業や店舗に関する虚偽情報で信用を害したり業務に支障を生じさせたりした場合は、信用毀損罪・偽計業務妨害罪に該当する可能性もあります。また、刑事事件にならなくても、実害が出れば民法709条の不法行為として損害賠償や慰謝料を請求され得ます。
重要なのは、発信者だけでなく拡散者も責任追及の対象になり得る点です。リツイートやシェア、引用投稿は情報流通に寄与するため、虚偽と知りながら拡散した、断定的に煽ったなどの事情があると違法性が強まります。
一方で、公的発表などを根拠に「真実と合理的に信じた」場合や、公益性のある注意喚起として慎重に表現した場合は、刑事責任が否定される余地があります。ただし「不確定情報」と書くだけで免責されるわけではなく、善意でも民事責任が残ることはあります。
デマ拡散を防ぐには、一次情報源の確認、まとめサイトの鵜呑み回避、個人・企業情報の慎重な扱いが基本です。投稿後に削除しても責任は消えないため、早期の訂正・謝罪や専門家への相談で被害拡大を防ぎましょう。