突然警察から電話がかかってくると、何らやましいことがなくても不安な気持ちになってしまう人が多いでしょう。中には、実際に起こした事件等、心当たりがある人もいるかもしれません。
今回は、警察から電話がかかってくる主な理由や、今後の対処法 について詳しく解説します。警察からの電話を無視した場合のリスクについても触れているため、警察から電話が来ていて不安な人はぜひ参考にしてください。
目次
警察から電話がかかってくる7つの理由
警察から電話が来る理由はさまざまなことが考えられます。もしかすると、家族が事故に巻き込まれたり、逮捕されたりしているかもしれません。中には、警察官を名乗った詐欺の電話がかかってくる可能性もあります。
まずは、警察から電話が来る理由として考え得る7つのことについて、詳しく解説します。
家族・友人等に何らかのことが起きた
家族や友人等に何らかのことが起きたとき、警察から電話がかかってくる可能性があるでしょう。たとえば、事故に巻き込まれて重篤な状況であり、当事者本人から電話をかけるのが困難な場合が考えられます。
スマートフォンの利用者は、ロックをかけている状態であっても緊急連絡先を確認できるように設定できます。仮に、何らかのことが起きた本人の緊急連絡先にあなたの携帯電話番号などが登録されていた場合、電話が来るでしょう。
なお、「多くの人は事故等があった場合は病院から電話がかかってくるのではないか?」と思われているでしょう。確かに、事故や急病等の場合はその可能性が高いです。しかし、以下に該当する場合は、警察から電話がかかってくる可能性があります。
- 孤独死
- 自殺
- 事件性のある死(殺人等)
など
上記以外の場合であっても、何らかの事情で警察から電話がかかってくる可能性はあるでしょう。
遺失物が発見された
遺失物(落とし物)が発見された場合は、警察から電話がかかってきます。
物を紛失した場合の流れは以下のとおりです。
1.警察署や交番へ問い合わせ
2.落とし物を警察のシステムで検索
3.遺失物届の提出
4.遺失物発見時に連絡が来る
警察から電話が来る理由として考えられるのは、「4」に該当しているためです。もしも、遺失物届を過去に出しているのであれば、その連絡の可能性があります。すぐにでも電話番号へ掛け直して遺失物を受け取りましょう。
知人等の身元引受人となっている
知人や家族が事件の被疑者等となっている場合、釈放・保釈される際に身元引受人が必要となります。もし、知人や家族等があなたを身元引受人に指定した場合、警察から連絡が来る可能性があるでしょう。
身元引受人はその人のことを監督する立場になければいけません。よって、一般的には家族が身元引受人になります。ただ、その人をしっかり監督できる状況にあるのであれば、知人や上司と言った立場の人でも問題はありません。
もし、身内に逮捕されている人がいるのであれば、身元引受人の電話かもしれません。
何らかの事件の捜査報告
何らかの事件に関する捜査報告の電話がかかってくる可能性があります。たとえば、あなたが何らかの事件に巻き込まれて被害届等を出していたとしましょう。
その後、警察の捜査により犯人が特定できた場合、報告をするために電話がかかってきます。もし、過去に事件の被害者となっている経験があり、未解決のままの場合はそういった内容の電話である可能性が高いでしょう。
何らかの事件の参考人となっている
何らかの事件の参考人となっている場合は、警察から電話がかかってくる可能性があります。
参考人とは、「何らかの事件に関して何らかの情報を有している可能性がある」という人物を指します。必ずしも、犯人として疑われているわけではありません。
実際、被疑者を特定できているものの、「その事件に関する重大な事情を把握している可能性があるといった理由」から捜査協力の連絡が来ることがあります。
また、重要参考人として警察から電話が来ている場合は、犯人として疑われている可能性が高いです。重要参考人とは「犯罪の嫌疑が濃い」と判断されている状態です。そのため、そのまま逮捕されることになるでしょう。
なお、警察から電話が来た時点でどういった嫌疑がかけられているかはわかりません。「〇〇の事件について聞きたいことがある」といった内容で電話がかかってきます。
何らかの事件の被疑者となっている
何らかの事件の被疑者となっている場合、警察から電話がかかってくる可能性があります。本来であれば、裁判所に逮捕状を請求して令状を持って逮捕という流れが一般的です。
しかし、逮捕状を取得できるほどの証拠が集まっていない状態の場合、重要参考人に対して任意で話を聞こうとします。この場合、警察から電話がかかってくるのです。
任意聴取の結果、嫌疑が十分となったところで逮捕状を請求して逮捕するといった流れになり得るでしょう。
警察官を装った詐欺
ひとつの可能性として、警察官を装った詐欺で電話がかかってくる可能性があります。いわゆる特殊詐欺の一環であり、注意が必要です。
着信があったというだけであれば警察かどうかの事実確認を行い、詐欺であれば絶対に折り返しの電話をかけないでください。もし、電話に出てしまった場合で、以下のようなことを言われた場合は、詐欺であるため絶対に言われた通りの行動を取らないでください。
- 詐欺事件の捜査であなたの銀行口座が出てきた。通帳の番号等を教えて欲しい
- 家族が逮捕された。被害者と示談を進めるためには〇〇円必要
上記の例はいずれも詐欺であることが明らかです。まず、警察官が通帳の番号や銀行名等を聞くことは絶対にありません。また、警察官が被害者との示談交渉を行うこともなければ、示談に関する話を持ち出すことすらあり得ません。
そのため「何か怪しい…」と感じた場合は、警察や家族へ相談をするようにしましょう。
警察へ相談をする際、実際にかかってきた電話番号へ折り返すのはやめてください。実際にかかってきた番号は、詐欺師につながるため意味がありません。管轄の警察署の電話番号を調べた上で相談をするようにしましょう。
警察から電話があった場合の対応方法
警察から電話があった場合、初めに「その電話番号が本当に警察のものなのか?」を調べておきましょう。先ほども解説した通り、警察を名乗る詐欺の可能性も否定できないためです。
本当に警察の電話番号だった場合は、すぐに折り返して電話の用件を聞かなければいけません。場合によっては、警察署への出頭が必要となる場合もあるでしょう。いずれにせよ、無視は避けましょう。
電話番号を確認して折り返す
警察から電話がかかってきた場合、初めにその番号が本当に警察署のものなのかどうかを確認してください。もし、詐欺であった場合は、その番号にかけ直すのだけは絶対にやめましょう。思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性が高いです。
もし、本当に警察署の電話番号であった場合、心当たりがなくても必ず掛け直してください。
先ほども解説したとおり、警察からの電話はさまざまな可能性が考えられます。そのため、自分に心当たりがなくても、重大な用件かもしれません。
録音の準備をしておく
警察と電話をする際は、余裕があれば録音の準備をしておきましょう。もし、何らかの事件の捜査協力等の場合、電話による記録が証拠となる可能性があるためです。
たとえば、任意の聴取であるにも関わらず、厳しい言葉を浴びせられたり半ば強引に連れて行かれたりなどの行為は違法性があります。
警察からの電話を無視するとどうなる?
自分に一切の心当たりがない場合、「面倒臭いから無視しよう」などと考えてしまうかもしれません。しかし、警察は何らかの用件を持って電話をかけてきている可能性が高いため、そのまま無視をしていると、さまざまな影響が出る可能性があります。
次に、警察からの電話を無視した場合に起こり得るリスクについても詳しく解説します。
勤務先や自宅宛に連絡が来る
携帯電話へ何度電話しても繋がらない場合、勤務先や自宅宛に電話がかかってくる可能性があります。もし、自分以外の人が電話をとってしまった場合、「警察から電話がかかってきた」という事実のみで、さまざまな憶測が飛び交ってしまうかもしれません。
最悪の場合、トラブルを避ける目的から部署異動や自宅待機などの対応を取られてしまう可能性もあるでしょう。
特にやましいことがないのであれば、警察からの電話に出たほうが良いでしょう。仮に、心当たりがあるとしても、時間の問題であるため無視などはせずに素直に従ったほうが自分のためになります。
自宅に直接来られる場合がある
電話に出てもらえない場合、警察官が自宅に来るかもしれません。ただ、自宅に来たからといって何ら令状のない状態で家宅捜索をしたり逮捕したりすることはできません。もちろん、任意である以上は拒否することもできます。
ただ、自宅に来られることにより、家族や近所の人から「何かあったのではないか?」と疑われてしまうかもしれません。
周囲の人に対してもあまり良いイメージは持たれないため、自宅へ来られる前に電話連絡をして用件を聞いておいたほうが良いでしょう。
逮捕される可能性がある
警察からの電話を無視していた場合、逮捕される可能性があります。
「警察からの電話を無視した」という事実だけで逮捕されることはありませんが、警察が電話をかけてきた用件次第では、逮捕の可能性があるでしょう。
たとえば、何らかの事件の重要参考人になっている場合で警察から電話が来ていたとしましょう。あなた自身、警察からの連絡に心当たりがあるため、電話を無視していたとします。
そうすると、自宅へ来られて任意同行を求められたり、逮捕状を持って来られたりする可能性があります。もし、逮捕状が発付された場合、複数の警察官が自宅へきます。そのため、最悪の場合は家族に逮捕されるところを見られてしまうでしょう。
そのため、遅かれ早かれ逮捕の可能性があるのであれば、初めから素直に応じておいたほうが良いでしょう。また、あらかじめ弁護士へ相談しておくことも検討してください。取調べ時の対応のアドバイスを行ってくれます。
警察から電話が来た場合の確認事項
警察から電話が来た場合、咄嗟に「何かあったのではないか?」と疑って、すぐに掛け直してしまう人がいるかもしれません。ほとんどの場合、すぐに掛け直して用件を確認したほうが良いです。
しかし、中には警察官を名乗って財産等を交付させようとする詐欺師がいるかもしれません。可能性は低いものの、ゼロではないため警察から連絡があった場合は必ず以下のことを確認するようにしてください。
- 電話番号
- 名前・所属
- 内容
上記すべてを確認した上で本物の警察官かどうか、電話口の人に該当する内容かどうかといったことを判断してください。もし、詐欺による電話だった場合は、警察へ相談をしましょう。
電話番号下4桁を確認
初めに、警察を名乗る人物からかかってきた電話番号を確認してください。下3桁が「110」になっている場合、警察署からの電話である可能性が高いです。
ただし、すべての警察署がこの番号を採用しているわけではありません。また、その他の事業者等でも使われています。そのため、必ずしも万能なものではなく、あくまでも「警察署からの電話である可能性が高い」といった認識にとどめ、参考程度にしておきましょう。
また、市外局番からもおおよその地域を把握できます。中には、自分の住んでいる地域ではない所の警察署から電話がかかってくる場合もあります。
そのため、「この地域の電話番号ではない=詐欺である」と直ちに判断してしまうのは早計です。警察は、その事件があった場所等の警察署が動き、連絡等を行うため、必ずしも自分が住んでいる地域とならない可能性があるためです。
名前・所属を確認
警察から電話がかかってきた場合は、必ず以下のことを確認してください。
- 名前
- 所属
初めに、どこの警察署の何という名前の警察官なのかを聞きます。また、所属についても必ず聞いておきましょう。詐欺師の場合は、ここで矛盾が生じる可能性が高いためです。
たとえば、所属とは一般的な会社で言う部署のようなものです。たとえば、殺人事件などの凶悪犯罪の場合、捜査◯課が一般的な所属となります。
他にも、遺失物であれば「会計課」などその内容によって所属が異なります。そのため、電話が来た時点で氏名と所属を確認し、答え合わせをしておくと安心です。
内容に心当たりがあるか確認
警察から伝えられた内容に心当たりがあるかどうかを確認しましょう。たとえば、「〇〇で遺失物が発見されました」といった内容の場合、遺失物届を出した記憶があるか?を確認すれば良いでしょう。
もし、「身内が逮捕された」という内容であれば、初めにその本人に電話をかけるなどして事実確認を行う必要があります。一切の心当たりがない場合は、詐欺である可能性を疑ったほうが良いでしょう。
心当たりがある場合は早めの対応が必要
もしも、警察からの電話の内容に心当たりがあるのであれば、早急な対応が必要となります。無視や放置をしていると、先ほども解説した通り自宅や職場への連絡、逮捕などのリスクが発生し得るためです。
たとえば、「過去の事件のことではないか…」と思った場合は、すぐにでも弁護士へ相談をして今後の対応方法を検討したほうが良いです。その上で、警察署へ出頭して事情聴取を受けるなどしたほうが良いでしょう。
早め早めの対応が今後の流れにも大きな影響を与えます。心当たりがある場合ややましいことを隠している場合は、できるだけ早めに行動しましょう。
警察からの電話でよくある質問
普通の生活を送っていると、警察から電話がかかってくることはほとんどありません。そのため、突然電話がかかってくると「何事か?」と構えてしまう人も多いでしょう。
少し冷静になって、そもそも「〇〇ってどうなんだろうか?」といった疑問が発生することもあります。最後に警察からの電話でよくある質問について詳しく解説します。
Q.一切の心当たりがない場合は無視しても良い?
A.警察からの電話であることが明らかな場合、無視は絶対に避けましょう。
警察からの電話であることが確実の場合は、ほぼ確実に何らかの用件があって電話をしています。そのため、絶対に無視だけは避けましょう。中には、間違い電話である可能性も否定はできません。しかし、その可能性は極めて低いです。
仮に、警察からの電話を無視してしまった場合は、その後の生活等にも影響が出るため注意してください。
Q.「捜査に協力してほしい」の本心は?
A.確証を持っている場合とそうでない場合があります。
警察があなたを参考人あるいは重要参考人として捜査協力を依頼する場合、確証を持っている場合とそうでない場合があります。そもそも参考人と重要参考人は以下の違いがあります。
被疑者・被告人以外の者で事件に関する情報を持っており、参考にできる人
犯罪の嫌疑が濃いと警察が睨んでいる人物
「捜査に協力して欲しい」という内容だけの場合、警察官が何を思って電話をしてきているかその詳細を知ることはできません。ただ、何らかの事件の参考人として呼ばれている場合は、純粋に「事件関係者のことや事件の詳細を聞きたい」と考えています。
しかし、重要参考人として呼ばれている場合は、あなたに対して嫌疑が濃い状態となっています。もし、心当たりがある場合はそのまま逮捕となる可能性も覚悟しなければいけません。
Q.出頭したまま逮捕の可能性はありますか?
A.あり得ます。
初めは任意で「捜査に協力して欲しい」と言って呼び出し、証拠が固まり次第逮捕状を請求して逮捕するといったことはあり得ます。
Q.警察への出頭要請を拒否できますか?
A.拒否できます。
警察などの出頭要請に強制力はなく、あくまでも任意という扱いです。そのため、拒否をしても何ら問題はありません。ただし、本来であれば逮捕・勾留されないような軽微な事件であっても、その後に逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。
なぜなら、警察等は「任意徴収に応じないということは、釈放しても逃亡の恐れがある」と判断されてしまうためです。
もし、何らかの事件の心当たりがある場合であって、その内容が軽微である場合は素直に応じたほうが良いケースもあります。不安な場合は、弁護士へ相談をして対応を相談されると良いでしょう。
Q.電話が詐欺かどうかを確認する方法はありますか?
A.伺った情報を実際の警察署へ確認すれば良いです。
電話が詐欺か否か調べる方法はさまざまであり、詳細は先述した通りです。
確実に詐欺か否かを見極める方法としては、伺った警察署の名前をインターネットなどで調べて電話番号を確認する方法です。番号が異なる場合は、当該警察署へ電話をかけて事実確認を行うと確実に見極められます。
この時注意しなければいけないのは、着信があった電話番号に折り返してはいけない点です。なぜなら、その番号が詐欺である可能性があるためです。必ず、自分自身で検索をして確認した警察署の電話番号へ問い合わせるようにしてください。
まとめ
今回は、警察から電話がかかってくる主な原因や、今後の対応方法について詳しく解説しました。
警察からの電話は、普段あまり掛かってくるものではありません。そのため「何となく怪しい」や「何事!?」などと驚かれる人が大半です。
中には、やましいことがなくても「変な疑いをかけられているのではないか?」といった不安から、電話を無視してしまう人がいるかもしれません。しかし、電話を無視していると状況は悪化する一方です。
そのため、心当たりの有無に関わらず、電話番号を確認した上で折り返しの電話をかけて内容を聞くようにしてください。
もし、心当たりのない疑いをかけられていたり、実際に起こした事件の内容のことを聞かれて不安があったりする場合は、弁護士への相談も検討してください。