現在子育てをしている人たちの多くは、「親から叩かれたり、大きな声で怒られたりするのが当たり前だった」という人も少なくはないでしょう。そういった経験がない人であっても、「しつけの範囲内であれば、叩く・怒鳴るといったことが起こって当然」と考えるでしょう。
しかし、現在の法律ではいずれも虐待に該当してしまう可能性があり、最悪の場合は逮捕される可能性すらあるのです。そのため、正しい知識を持って接さなければ、近所の人や身内などから指摘されたり通報されたりしてしまうかもしれません。
今回は、児童虐待で逮捕されるケースや逮捕された場合に起こり得ることについて、詳しく解説します。
目次
【定義】児童虐待で逮捕されるケースとは?
自分自身では「しつけのつもり」であっても、社会的に見ると「児童虐待」と判断されてしまうケースが多々あります。まずは、児童虐待の定義としつけの違いについて、詳しく解説します。
児童虐待の定義
厚生労働省では、児童虐待について以下のとおり定めています。
- 身体的虐待
- 性的虐待
- ネグレクト
- 心理的虐待
上記4つが児童虐待に該当します。それぞれ、具体的にどのようなケースが児童虐待に該当するのか、詳しくみていきましょう。
身体的虐待
身体的虐待とは、たとえば「殴る」「蹴る」などの暴行、「部屋に監禁する」といった、身体に苦痛を与える行為を指します。
しかし、しつけのつもりで、ときには手を出してしまうときもあるでしょう。今、子育てをしている世代の人の中には、自分の親にしつけとしてお尻を叩かれたり、頬を叩かれたりした経験がある人も少なくはないでしょう。
そういった経験から、「あくまでもしつけの範囲内であれば、手を出しても問題がない」と考えてしまっている人が多いようです。
しかし現在は、2019年6月に成立した児童福祉法の法改正により、子どもに対する体罰が全面的に禁止されました。
昔は当たり前のように行われていた「お尻を叩く」「頬を叩く」などといった、しつけの範囲内とも取れる行為であっても、現在は全面禁止です。また、以下のような行為も身体的虐待・体罰に該当するため禁止されています。
- 長時間の正座
- 食事を食べないなどの理由から、食事を与えない行為
等
身体的虐待の定義は「子どもに対して身体的に苦痛を与える行為」です。身体的虐待、体罰は全面的に禁止されているものであるため、十分に注意する必要があります。
性的虐待
性的虐待とは、たとえば「性器を触る・触らせる」といった行為や「性的行為を見せる」などです。子どもに対して上記のことを行った場合は、性的虐待であると判断されます。
また、ポルノグラフィの被写体とする行為も当然禁止されています。中には、子どもをポルノグラフィの被写体として、写真や子どもが着用した衣類等を販売する親もいますが、これらはすべて性的虐待に該当すると考えて良いでしょう。
ネグレクト
ネグレクトとは、簡単に言ってしまえば「親としての責任を果たさない行為」を指します。
たとえば、育児をしない(オムツを取り替えない・風呂に入れない・食事を与えないなど)、重い病気でも病院に連れて行かない、家や車に放置すると言った行為が該当します。これらはすべてネグレクトという児童虐待です。
子どもが大きくなると、「ある程度のことは自分でできるだろう」と思ってしまうことがあるかもしれません。たとえば、子どもの長期休暇(夏休み・冬休みなど)で親が仕事でいなくなる場合、親は「適当に家の中にあるものを作って食べれば良い」と思うかもしれません。
しかし、上記が「子どもに食事を与えない」として、ネグレクトに該当してしまう可能性があります。そのため、食事を用意しておく、もしくは食費を渡しておく、子どもの能力に合わせて食材や作り方を指示しておくといった工夫が必要となるでしょう。
心理的虐待
心理的虐待とは、たとえば「言葉による脅し」「その他家族等に対する暴行等」が該当します。
具体的には、しつけのつもりで大きな声を出して本人に対して叱る行為や、他の兄弟姉妹や配偶者に対して、暴行したり罵声を浴びせたりする行為を指します。子ども自身が「怖い」など、恐怖を覚えてしまう行為はすべて心理的虐待と判断されるでしょう。
他にも、他の兄弟姉妹にのみ食事やおもちゃを与えたりなど、差別的な行為も禁止されています。
ときには、何度同じことを言っても聞かないがために、少し大きな声を出してしまうときもあるでしょう。しかし、この行為が心理的虐待に該当してしまう可能性があるため、十分に注意しなければいけません。
「虐待」と「しつけ」の違い
虐待としつけは紙一重です。親は「しつけのつもり」と思っていても、社会的に見れば児童虐待に該当するケースが多々あります。
明確に定義付けることは難しいですが、たとえば「法律で禁止されている行為は虐待」と判断できます。また、「子どもが肉体的・精神的に苦痛に感じる行為は虐待」であると言えるでしょう。
とはいえ、悪いことをした際に叱らなくて良いのか?叱ると精神的に苦痛を感じるため、虐待に該当するのか?というと、そういうわけではありません。
あくまでも、叱り方を意識しなければいけないという話です。たとえば、大きな声を出すのではなく、普段通りの声で諭すことを意識してみると良いかもしれません。
簡単にいえば、「感情的になって叱る行為は虐待」と判断しても良いでしょう。逆に、冷静に諭すように話をできるのであれば、しつけの範囲内であると判断できます。
また、子どもに対して何らかの罰を与える行為も禁止です。食事を与えない、閉じ込める、正座させるなどの行為は避けましょう。
児童虐待で逮捕された場合の罪状と刑罰
児童虐待を行った場合は、家庭内の話では済みません。最悪の場合、親が刑事罰を受ける可能性があるため、十分に注意する必要があります。
次に、児童虐待で逮捕された場合の罪状と刑罰について、詳しく解説します。
暴行罪
刑法にて暴行罪は以下のとおり定義されています。
(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。引用元:刑法|第208条
つまり、子どもに対して暴行を加えた場合は、暴行罪が適用されて2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金等に処される可能性があります。家庭内の暴行罪は、具体的に以下のようなケースが該当します。
- 殴る・蹴る
- 長時間の正座
- 物を投げつける
等
児童虐待に関する暴行罪は、身体的虐待を与えた場合に適用される可能性がある法律です。また、傷害と暴行の定義は明確になっており、「傷害が発生したかどうか」です。
暴行罪は、傷害罪と比べると比較的軽めであると考えれば良いでしょう。たとえば、子どものお尻を叩いた、頬を軽く叩いたといったケースであれば、暴行罪が適用される可能性があります。
また、暴行罪は直接手を出していなくても適用される可能性があるため、注意しなければいけません。先ほども解説したとおり、子どもに対して物を投げたり反省として長時間正座させたりする行為も立派な暴行罪です。十分に注意してください。
傷害罪
傷害罪とは、暴行の結果傷害を与えた場合に適用される法律です。刑法では、以下のとおり明記されています。
(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。引用元:刑法|第204条
また、傷害の結果子どもを死なせてしまった場合は、傷害致死罪となります。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。引用元:刑法|第205条
子どもの虐待であっても傷害罪が適用される可能性があるため、注意しなければいけません。たとえば、以下のような場合に傷害罪が適用されます。
- 暴行によりケガをさせた場合
- 故意に火傷を負わせた
等
傷害罪は、あくまでも「傷害を負わせた場合」に適用される法律です。たとえば、しつけと称して過度に暴行を加えて、大怪我をさせた場合は傷害罪が適用されます。
また、暴行の末に死亡させてしまった場合は、傷害致死罪が適用されます。傷害致死は、あくまでも「殺意がないこと」が前提です。しつけのつもりで過度な暴行を加えて死なせてしまった場合などが該当します。
ここで、実際に発生した傷害致死事件を紹介します。
判決:懲役9年【事件内容】
両親が共謀して当時4歳だった実子に対して、過度な暴行を加えて腹腔内出血によって死亡させた事件。また、当時2歳だった実子に対して暴行を加え、全治1週間以内の多発打撲等の傷害を負わせた参考元:事件番号平成30(わ)37|裁判例
上記のように、暴行の末に傷害を負わせたり死亡させたりした場合は、実刑判決となる可能性が高いです。そもそも体罰(暴行)が禁止されているように、しつけであっても手を出すのは絶対に避けるべきでしょう。
とくに子どもが小さい間は、暴行によって死亡してしまうリスクが大人よりも圧倒的に高いです。「しつけのつもり」であっても、範疇を超えないように十分注意する必要があります。
強要罪
強要罪は、本来行う義務のないことなどを強制的に行わせる行為を言います。刑法では、以下のとおり定められています。
(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。引用元:刑法|第223条
たとえば、何らかの罰として「長時間にわたって屋外等に立たせておく行為」などが強要罪に該当します。
保護責任者遺棄等罪
保護責任者遺棄等罪とは、保護する責任がある人がその責任を果たさなかった場合に適用されます。刑法では、以下のとおり定められています。
(保護責任者遺棄等)
第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。引用元:刑法|第218条
たとえば、親権者は子どもを保護する責任を有しています。この責任を放棄した場合は、保護責任者遺棄等罪に問われる可能性があります。具体的には、以下のような虐待が該当するでしょう。
- 小さい子どもを残して出かける
- 病気にかかっているにも関わらず、医師に見せなかった
- 食事を与えなかった
等
万が一、責任を遺棄して保護されるべき側の人間が死亡してしまった場合は、さらに重たい保護責任者遺棄致死罪が適用されます。条文は以下のとおりです。
(遺棄等致死傷)
第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。引用元:刑法|第219条
たとえば、小さい子どもを残してパチンコへ出かけ、子どもが何らかの理由で死亡してしまった場合は、同罪が適用されます。過去には実刑判決が下っている事件もあります。
判決:懲役16年【事件内容】
当時1歳の実子に対して、さまざまな暴行を加えて全治約3週間の傷害を負わせた上、骨折をしているにも関わらず放置をした。また、重度の低栄養失調症になっており、食事を摂ることができない被害者を放置するなどし、肺感染症による急性呼吸不全により死亡させた。参考元:事件番号令和1(わ)1488|裁判例
親は自分の責任を認識してその責務を全うする義務があります。それを放棄する行為は立派な虐待、犯罪であることを認識し十分に注意したほうが良いでしょう。
監護者わいせつ及び監護者性交等罪
監護者わいせつ及び監護者性交等罪とは、監護者(実親等、監護する者)が18歳未満の者に対して、監護者である地位を利用してわいせつな行為等を行った場合に成立します。
監護者わいせつ及び監護者性交等罪は、刑法にて以下のとおり明記されています。
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。引用元:刑法|第179条
たとえば、自分が監護をしている実子に対してわいせつな行為を行った場合などに、本法律が適用されます。つまり、性的虐待を行った場合に適用されると考えておけば良いでしょう。
監護者わいせつ及び監護者性交等の法定刑は、「6カ月以上10年以下の懲役」です。過去の判例でも、実刑判決が下されたケースがあります。
【監護者】虐待で逮捕された場合の流れ
もしも、虐待の疑いで逮捕されてしまった場合、監護者は今後どうなってしまうのでしょうか。今後起こり得る逮捕後の流れについて、詳しく解説します。
逮捕後48時間以内に送検
初めに、逮捕後48時間以内に検察へ事件を送致しなければいけません。事件を送致する際は、被疑者の身柄を拘束したまま送致するか否かを決定します。もし、身柄の送検をしない場合は、そのまま釈放されて在宅での捜査に切り替わります。
また、警察の判断で検察への送致(書類送検)を行わず、微罪処分とする場合もあるため、逮捕=勾留等と考える必要はありません。微罪処分となった場合は、即釈放されます。
たとえば、子どもを叱る際に少し声が大きくなってしまい、近所の人に警察を呼ばれたとしましょう。しかし、虐待の疑いがなく、日常的に怒声が聞こえるわけではない、さらに一般的に考えて子どもが悪いことをして叱るべき事情がある場合は、送致されることはないでしょう。
一方で、日常的な虐待が散見され、子どもの体にも虐待の跡が残っているなど、明らかな場合は逮捕後に身柄付送致される可能性が高いです。
送検後24時間以内に勾留有無の判断・勾留請求
事件が送致されてから24時間以内に、検察官は身柄を勾留し続けるかどうかを決めなければいけません。身柄の勾留が必要であると判断した場合は、裁判所へ勾留の請求を行います。
この時点で最大72時間(3日間)は、身柄を拘束されている状態です。この期間は、警察署内の留置施設で過ごすことになります。日常生活へ戻ることはできないため、社会的影響も出始めるでしょう。
最大20日間の勾留
勾留が認められると、最大で20日間勾留されます。勾留期間中は、検察官等からの取り調べを受けます。当然、外に出られることはないため、勤務先等に多大な迷惑をかけてしまう可能性があります。
勾留期間中に検察官は事件を起訴するか不起訴とするかを決定しなければいけません。不起訴となった場合は、そのまま釈放されて日常生活に戻れます。もし、起訴された場合は刑事裁判を受けることになります。
起訴・不起訴の判断は、犯罪の有無のみではありません。仮に、虐待による犯罪が成立していたとしても、直ちに起訴されるわけではありません。嫌疑が不十分であったり、事件の内容や被害者の情状などを考慮して起訴猶予にしたりする場合があります。
起訴された場合は刑事裁判を受ける
起訴された場合は、刑事裁判を受けることになります。日本では、起訴されると99.9%の確率で有罪判決が下されると言われています。
実際、虐待による犯罪が成立しており、起訴された場合は「無罪」となるのは難しく、ほぼ確実に有罪判決となるでしょう。
判決に準ずる
有罪判決が下った場合は、その判決に従って刑罰を受けます。懲役刑であれば、刑務所に収監されて刑期を全うします。執行猶予付きの判決であれば、刑の執行は一時的に猶予されます。
執行猶予期間が終了すると、刑罰の効力は失効します。ただし、執行猶予期間中に罰金刑以上の有罪判決を受けた場合は、執行猶予付きの刑罰も加算されます。
【子ども】虐待で親が逮捕された場合の流れ
虐待によって親が逮捕されてしまった場合、子どもだけが残されてしまうことになります。子どもが一定以上の年齢になっており、自律して生活をしていけるのであれば特に問題はありません。
しかし、虐待を受ける子どもの大半は自分たちのみで生活を送ることのできない、年齢の若い子達です。そのため、もし親(監護者)が逮捕されていなくなってしまった場合、子どもたちはどうなってしまうのか?についても詳しく解説します。
両親が逮捕された場合は原則一時保護(子どもの保護)
児童福祉法という法律に従い、基本的には子どもを一時的に保護します。保護する施設は、住まいの地域を管轄する児童相談所です。仮に、逮捕された親が児童相談所への入所を拒否したとしても、児童相談所が家庭裁判所へ申立てを行うことによって保護が認められる場合があります。
保護の期間は原則2カ月と定められていますが、その事情に応じて延長ができます。もし、延長等せずとも親戚等で保護監督できる場合は、そちらへ住まいを移すことも可能です。ただし、児童相談所の判断・許可が必要となるため注意してください。
親が逮捕された場合の影響
児童虐待によって親が逮捕された場合は、子どもへの配慮から以下の制限を設ける場合があります。
- 面会・通信の制限
- 接見の禁止
- 親権の停止
児童虐待による逮捕によって、実際に起こり得る影響についても詳しく解説します。
親からの面会・通信制限
児童相談所の所長や入所施設の所長は、権限により親からの面会・通信を制限することができます。通信とは、具体的に以下のような方法を指します。
- メール
- 電話
- 手紙
- ファックス
- 宅配
等
本制限は、あくまでも児童虐待を行った親に対する制限です。子どもの心象などを考慮した上で制限の有無を決定します。
親からの接近禁止
家庭裁判所の許可を経て施設へ入所した場合の子どもの場合、親からの接近も禁止されてしまう可能性があります。
接近とは、いわゆる面会や直接会って出掛けるなどといった行為のみならず、近くに寄る行為等も含みます。そのため、たとえば遠くから子どもの様子を見る、といった行為すらも禁止されてしまうということです。
ただし、接近禁止はいつまでも続くわけではありません。接近禁止命令の有効期限は、原則6カ月以内と決められています。接近禁止の理由がなくなったと認められる場合に限り、接近できるようになります。
ちなみに、接近禁止が解除される理由とは、子どもへの虐待の可能性がなくなった状態です。客観的に判断することは難しいものの、ひとつの基準となり得ます。
親の親権を停止
一時的に親としての権利(親権)を停止させられる可能性があります。親権が停止された場合、親権を有していないことになるため、子どもに関する手続き等を一切行うことができなくなります。
親の親権停止は、子ども本人もしくは子どもの親族、検察官、児童相談所の所長等が家庭裁判所に対して行わなければいけません。
なお、親権の停止期間は最長で2年です。親権は、親としてのさまざまな権利が認められているため、これを一時的に停止することで子どもの安全を確保することが目的とされています。
自分の気持ちをコントロールできないときの対処法
「子どもを虐待して逮捕された」といった報道を見ていると、多くの人は「なぜそのようなことをしてしまうのだろう?」と感じるでしょう。しかし、とくに小さい子どもを育てている親は、気持ちに余裕がなくなってしまい、「つい…」ということがあり得ます。
実際、虐待で逮捕されたケースの中には、突発的に暴行等を行ってしまった事例も多々あります。
また、本記事で解説した通り、自分では「しつけ」のつもりでも、法律の観点から見ると犯罪が成立しているケースも多いです。
そのため、もし「自分も虐待しているのではないか?」「このままだと、虐待をしてしまいそう…」と感じているときは、一度立ち止まってください。その上で、これから解説する方法を参考に相談等をされてみてはいかがでしょうか。
家族や公的機関を頼って一度育児から離れる
可能であれば、一度自分の配偶者や親などを頼り、一時的に子育てから離れられる環境を作りましょう。「自分がすべてをやらなければいけない」というプレッシャーが虐待の火種になりかねません。
もしも、「心に余裕がなくなってきたな…」と感じた際は、身内を頼りましょう。
また、身内を頼れないのであれば、公的機関へ相談する方法があります。相談先としては、最寄りの児童相談所や市役所になるでしょう。一時保護の必要性が認められれば、子どもを保護してもらえる可能性があります。
しかし、実際に虐待を行っているわけではないため、多くのケースで一時保護を認めてくれません。そのため、可能であれば近しい間柄の人に相談するのが最善策でしょう。
「自分が危ない」と思ったときの連絡先を把握しておく
子育てをしている中で、「虐待をしてしまいそう」「自分が危ない」と思ってしまうことがあるかもしれません。そういった際、すぐに電話をかけられるところを知っておくと気持ちに余裕ができます。
たとえば、以下のような相談先があります。
あらかじめ携帯電話などに登録しておくことで、いざという時にすぐに電話をかけられる状態にしておくと良いでしょう。「もう限界!」そう思ったときは、ぜひご利用ください。
まとめ
今回は、児童虐待で逮捕された場合について解説しました。
子育てを行っていると、つい声が大きくなったりしつけのつもりで叩いたりすることがあるでしょう。「自分たちはそのようにして育てられた」と考える人も多いです。
しかし、現在の法律においては、しつけであっても手を出したり大きな声を出したりする行為は禁止されています。また、長時間の正座や閉じ込めなどの間接的なしつけ行為も犯罪に該当してしまいます。
万が一、親が逮捕されてしまえば、子どもにしばらく会えなくなってしまう可能性もあるでしょう。お互いに寂しい思いをするだけです。そのため、今回紹介した内容を踏まえ、虐待が怒らないように十分注意しましょう。