違法ダウンロードをすると著作権法違反の容疑で逮捕される可能性があります。著作権法の改正により、音楽や映像だけではなく、漫画・書籍・論文などの静止画コンテンツやコンピュータープログラムのダウンロードも、一定の要件の満たす範囲において刑事訴追の対象とされました。
つまり、「Web上には無数の違法アップロードデータがあるのだから、自分ひとりが違法ダウンロードしても見つかることはないだろう」などと安易な動機で著作権法違反を繰り返すのはハイリスクだということです。
そこで今回は、過去に違法ダウンロードを繰り返して刑事訴追されるか不安を抱えている方や、違法ダウンロードの容疑で警察から任意の事情聴取を求められた方のために、以下5点についてわかりやすく解説します。
- 著作権法違反の容疑で逮捕される「違法ダウンロード罪」の構成要件
- 違法ダウンロードをしたときに問われる刑事責任・民事責任
- 違法ダウンロードの容疑で逮捕されるときの刑事手続きの流れ
- 違法ダウンロードの容疑で逮捕されたときに生じるデメリット
- 違法ダウンロードの容疑で逮捕されそうなときに弁護士へ相談するメリット
著作権侵害厳罰化の流れを踏まえると、今後違法ダウンロードの容疑で逮捕されるケースは確実に増えていくと考えられます。悪質な違法ダウンロードが認定されると逮捕・勾留による身柄拘束処分や実刑判決が下される可能性もあるので、念のために刑事事件や著作権法に強い弁護士までご相談ください。
目次
違法ダウンロードは著作権法違反の容疑で逮捕される
違法ダウンロードに対しては複数の著作権法改正を経て厳しい刑事罰が定められるに至りました。
まずは、違法ダウンロードが著作権法違反の罪に問われるときのシチュエーションについて解説します。
- 平成21年改正:違法にインターネット配信されている映画・音楽などを違法ダウンロードすることは「違法」(刑罰なし)
- 平成24年改正:違法にインターネット配信されている映画・音楽などを違法ダウンロードすることは「刑事罰の対象」
- 令和3年改正:違法にインターネット配信されている映画・音楽・漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムなどを違法ダウンロードすることは「刑事罰の対象」
以上の著作権法改正を経て、違法にウェブサイトに公開されている録音・録画データやさまざまな「海賊版」をダウンロードするほとんどすべての行為が著作権法違反の対象に含まれ得ることになります。
著作権法違反になる違法ダウンロードの構成要件
違法ダウンロードをした者が著作権法違反の容疑で逮捕されるのは、以下の構成要件を満たすときです(著作権法第119条第3条1号2号)。
- 違法にアップロードされた著作物であること
- 対象著作物が有償著作物であること
- 違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードすること
- 違法にアップロードされた著作物であること
- 対象著作物が有償著作物であること
- 違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードすること
- 違法ダウンロード行為を継続的または反復的におこなうこと
第1に、すべての著作物に共通する要件として、違法ダウンロードの客体は「違法にアップロードされた有償著作物であること」である必要があります。たとえば、正規品、純正品のダウンロードや、無償で頒布されている著作物のダウンロードは、著作権法違反で逮捕されることはありません。
第2に、違法ダウンロードが著作権法違反に問われるには、行為者が「違法にアップロードされたこと」に対する故意(認識・認容)を有する必要があります。たとえば、正規品であると完全に誤解をしてダウンロードしたような事例では、故意を欠くことを理由に刑事訴追されることはないでしょう。また、パソコン操作を誤って知らずしらずのうちにダウンロードしてしまったような「過失」のケースも処罰対象外です。
第3に、「漫画・書籍・論文・コンピュータプログラムなどの音楽・映像以外の著作物」についての違法ダウンロードが処罰されるのは、「違法ダウンロード行為が継続的または反復的におこなわれること」という要件を満たすときに限られます。たとえば、1回限りのダウンロード行為だけで著作権法違反に問われることはなく、漫画などのダウンロード行為の回数・頻度などから悪質性が高いと認められるケースに限って捜査対象になると言えるでしょう。
以上をわかりやすく表現すると、「正規品が有償で販売されている状況において、違法にアップロードされている海賊版などが侵害コンテンツであることを知りながらダウンロードする行為」が著作権法違反を理由に刑事処罰の対象になるということです(これに加えて、漫画・書籍などの違法ダウンロードについては「継続性または反復性」という要件が課されます)。
特に、行為の悪質性や故意の有無などの構成要件は事実認定を争う余地が残されているので、著作権法違反の違法ダウンロード行為を理由に警察に逮捕されそうなときには、すみやかに弁護士へ相談をして、構成要件該当性から争うことができるか判断してもらうべきでしょう。
違法ダウンロードが著作権法違反になったときの法定刑
違法ダウンロードが著作権法違反を理由に有罪になると、「2年以下の懲役刑もしくは200万円以下の罰金刑(併科あり)」の範囲で刑事罰が言い渡されます(著作権法第119条第3条柱書)。
なお、執行猶予付き判決が言い渡される対象が「3年以下の懲役刑・禁錮刑・50万円以下の罰金刑の言渡しを受けたとき」であることを踏まえると、違法ダウンロードについて著作権法違反を理由に逮捕・起訴されたとしても、初犯でいきなり実刑判決が下される危険性は高くないと考えられます(刑法第25条第1項)。
著作権法違反の違法ダウンロードに該当しないケース
以下のケースは著作権法違反の違法ダウンロードには該当せず逮捕されることはありません。
- 違法ダウンロードについて著作権者の告訴がない場合
- ダウンロードされた内容が軽微な場合
- 違法ダウンロードした内容が二次創作やパロディーの場合
- 著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合
- 違法にアップロードされたものだと知らなかった場合
違法ダウンロードについて著作権者の告訴がない場合
著作権法第119条第3項の違法ダウンロードは「親告罪」です(著作権法第123条第1項)。
そのため、著作権者から告訴がない場合には逮捕されることはありません。
この意味では、違法ダウンロードについて著作権法違反の容疑をかけられたときには、「警察にバレる前に被害者との間で示談を成立させて告訴状の提出自体を回避すること」「警察に発覚した後に示談を成立させて告訴状を取り下げてもらうこと」が重要だと考えられます。
逮捕・勾留という身柄拘束処分を回避したかったり有罪判決を下されたくなかったりするなら、すみやかに著作権問題や刑事事件に強い弁護士に相談して示談交渉を開始してもらいましょう。
ダウンロードされた内容が軽微な場合
ダウンロードされた内容が軽微な場合、著作権法違反を問われることはありません(著作権法第30条の2第1項、同法第119条第3項第2号)。
ダウンロードや複製された程度が軽微か否かを判断する際には、ダウンロードされた部分が全体に占める割合、ダウンロードされた後に表示される精度などの客観的事情が総合的に考慮されます。
たとえば、以下のようなケースは、複製やダウンロードの程度が軽微であることを理由に著作権法違反には該当しないと判断される可能性が高いです。
- 数十ページで構成される漫画の数コマ程度を複写したに過ぎない場合
- 長文の論文・新聞記事の数行程度をダウンロードしたに過ぎない場合
- ダウンロードした漫画の画像精度が粗くて鑑賞に堪えない場合
- ダウンロードやスクリーンショットした際に著作物が付随的に写り込んでしまったに過ぎない場合
ダウンロードや複写行為の内容・状況次第では、捜査機関から追及されたとしても、軽微性を主張立証して捜査活動に対抗し得るということです。警察から違法ダウンロードについて追及を受けた場合にはかならず弁護士までご相談ください。
違法ダウンロードした内容が二次創作やパロディーの場合
二次的著作物(二次創作作品やキャラクターを流用したパロディーなど)をダウンロード・複写しても、”元々の著作権者との関係”において著作権法違反の違法ダウンロードに問われることはありません。
ただし、二次的著作物の製作者が有償で当該二次的著作物を販売している状況において正規ルート以外の方法でダウンロードした場合には、“二次的著作物の製作者との関係”において著作権法違反を問われる可能性がある点にご注意ください。
著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合
「ダウンロードや複写行為が著作権者の利益を不当に害するものではない」と認められる特別な事情がある場合、外形的には著作権法違反に該当する違法ダウンロードに該当するとしても、逮捕されることはありません(著作権法第119条第3項第2号)。
「著作権者の利益を不当に害するものではないと認められる特別な事情があるか否か」については、当該著作物の種類、用途、経済的価値、ダウンロードや複製の態様、目的などの諸般の事情が考慮されます。
たとえば、自らの著作物が悪用されてWeb上に無断掲載されている事案において、権利保全に向けた法的措置の準備活動として当該著作物をダウンロードする行為は、目的に正当性があると評価されるため、著作権法違反の違法ダウンロードに該当することを理由に逮捕されることはないでしょう。
違法にアップロードされたものだと知らなかった場合
違法ダウンロードや複写行為が著作権法違反の容疑で逮捕されるのは「故意」が認められる場合に限られます。つまり、「著作権法違反の違法ダウンロード」に対する認識・認容がないときには、刑事訴追されることはないということです。
そのため、ダウンロードや複写をした著作物が違法にアップロードされたものだと知らなかった場合や、著作権者本人によってアップロードされたものだと誤信していた場合、ダウンロードした著作物が軽微な範囲にとどまるので著作権法違反に問われるとは思っていなかった場合などでは、著作権法違反の容疑で逮捕されることはないでしょう。
【注意!】違法ダウンロードは高額な民事責任も発生する
違法ダウンロードは所定の要件を満たす場合に著作権法違反の容疑で刑事責任を科されるものですが、刑事責任とは別に、民事責任を追及される危険性がある点に注意が必要です。
違法ダウンロードについて民事の賠償責任(不法行為責任)が発生するのは、「故意または過失によって著作権者の権利や法律上保護される利益を侵害したとき」です(民法第709条)。違法ダウンロード行為によって生じた損害について、金銭的な賠償責任を求められます。
第1に、違法ダウンロードに関する民事責任と刑事責任とでは要件が異なります。著作権法違反の容疑で逮捕されるのは「違法にアップロードされた著作物全般で正規版が有償で提供されているものについて、違法にアップロードされたことを知りながら(反復的または継続的)ダウンロードする場合」に限られるのに対して、民事の賠償責任はこれよりも広い範囲で発生する可能性があります。つまり、著作権法違反で刑罰を科されない場面でも、民事の賠償責任を追及されかねないということです。
第2に、違法ダウンロードに関する民事上の不法行為責任は、刑事責任の公訴時効が完成した後にも追及され得る点に注意が必要です。なぜなら、違法ダウンロードの刑事責任は「違法ダウンロードをしたときから3年」で消滅するのに対して、不法行為に基づく損害賠償責任は以下の期間が経過するまでは消滅時効にかからないからです(民法第724条)。
- 著作権者本人またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから「3年間」
- 違法ダウンロードをしたときから「20年間」
このように、違法ダウンロードが事件化した場合には、警察からの追及以外に民事的な問題への対策もする必要があるので、かならず民事・刑事の両面に強い弁護士までご相談ください。
違法ダウンロードの容疑で逮捕されるときの刑事手続きの流れ
今後、著作権法違反に該当する違法ダウンロードが刑事訴追されるケースは増えていくと予想されるので、違法ダウンロードが刑事事件化したときの刑事手続きの流れは理解しておくべきでしょう。
違法ダウンロードが著作権法違反で逮捕されるときの刑事手続きの流れは以下の通りです。
- 違法ダウンロードについて警察から接触がある
- 違法ダウンロードについて捜査機関で取調べを受ける
- 違法ダウンロード事件を公訴提起するか否か検察官が判断する
- 違法ダウンロード事件が公開の刑事裁判にかけられる
違法ダウンロードについて警察から接触がある
警察からの接触によって違法ダウンロードの刑事手続きが開始します。
違法ダウンロード事件は任意の出頭要請がかけられるのが一般的
著作権法違反の違法ダウンロードが警察にバレた場合、任意の出頭要請がかけられるのが一般的です。
たとえば、警察から電話がかかってきたり、捜査員が自宅にやってきたりして、任意で出頭するように求められます。
そして、任意の出頭要請に応じた場合、警察署などで違法ダウンロード事件について取調べが実施されます。
なお、違法ダウンロード事件について任意の出頭要請がかけられるのは以下のケースです。
- 氏名・住所・職業が明らかで逃亡のおそれがない場合
- 違法ダウンロード行為に及んだことを自供している、真摯に反省の態度を示している場合
- 著作権者との間で示談が成立しており、権利者の処罰感情がなくなった場合
- 違法ダウンロードによって生じた被害額が高額ではない場合
- 違法ダウンロードのデータやPC、スマホなどの証拠物を隠滅するおそれがない場合
- 組織的に違法ダウンロード行為に及んでいたわけではない場合
- 警察からの任意の出頭要請や事情聴取を拒絶せずに素直に応じている場合
- 違法ダウンロード以外の余罪に関与した疑いがない場合
- 前科前歴がない場合
なお、警察からの任意の出頭要請に応じるかは自由なので、警察からの出頭要請に応じなくても直接的にペナルティを科されることはありません。
ただし、任意の出頭要請に応じない状況がつづくと逮捕状が請求されて強制的に身柄拘束される可能性が高まるため、任意の出頭要請にはできるだけ素直に応じるべきです。出頭前に弁護士へ相談すれば事情聴取における注意事項や供述方針についてアドバイスを期待できるでしょう。
違法ダウンロード事件の状況次第では通常逮捕されることもある
違法ダウンロード事件や被疑者の状況次第では、著作権法違反の容疑で通常逮捕(後日逮捕)される可能性もゼロではありません。
通常逮捕とは、「裁判官の事前審査を経て発付される逮捕令状に基づいて実施される身柄拘束処分」のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。
逮捕状が発付された場合、警察署への出頭や取調べを拒絶することはできません。たとえば、「今から仕事があるから」「後日自分で出頭するから」などの言い訳は一切通用せず、通常逮捕処分が実施された時点で所持品などはすべて取り上げられたうえで強制的に警察署に連行されます。
逮捕状が発付されるのは、「逮捕の理由(被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること)」「逮捕の必要性(被疑者の身柄を強制的に拘束した状態での取調べを実施する必要性=留置の必要性)」の2要件を満たしたときです(犯罪捜査規範第118条、同規範第122条)。
たとえば、違法ダウンロード事件が以下のような状況にあるとき、任意捜査ではなく通常逮捕手続きが実施される可能性が高いでしょう。
- 住所不定・無職・職業不詳で逃亡するおそれがある場合
- 違法ダウンロードに関する証拠物を隠滅するおそれがある場合
- 前科・前歴がある場合
- 違法ダウンロードで高額の被害が発生した場合
- 違法ダウンロードの被害者の処罰感情が強い場合
- 違法ダウンロード事件の任意の出頭要請を拒絶した場合
- 違法ダウンロード事件に関する任意の事情聴取で黙秘・否認した場合
- 違法ダウンロードだけではなく、共有ファイルを介した違法アップロードや児童ポルノなどの余罪への関与が疑われる場合
なお、逮捕処分には通常逮捕以外に、現行犯逮捕・緊急逮捕も存在しますが、違法ダウンロード事件は通常逮捕以外は考えにくいでしょう。
過去の違法ダウンロードが警察にバレる理由
著作権者が発信者情報開示請求訴訟などの法的措置をした場合、違法ダウンロードをした個人の身元が著作権者に発覚して、告訴状の提出や賠償請求訴訟の提起などのステージに移行します。
また、捜査機関がサイバーパトロールなどで悪質な違法アップロード事件を摘発している過程で、悪質な違法ダウンロードをしている人物の存在が明るみに出た場合、警察から違法ダウンロード事件について問い合わせがくることもあります。
このように、過去の違法ダウンロード・複写行為は、どのタイミングでバレるか分かりません。著作権者や警察から連絡がきたときにスムーズに対抗策に踏み出せるように、現段階で念のために弁護士へ相談しておくことを強くおすすめします。
過去の違法ダウンロードは公訴時効が完成するまで刑事事件化する危険性がある
違法ダウンロードの公訴時効期間は「違法ダウンロードをしたときから3年」です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。
3年が経過した時点で公訴時効が完成するので、逮捕・起訴される心配はなくなります。
公訴時効との関係で注意すべき点は以下3点です。
- 違法ダウンロード行為ごとに公訴時効期間はカウントされるので、公訴時効未完成の行為があれば逮捕されるリスクは消えない
- 3年経過するまではいつ逮捕されるか分からないので、2年以上が経過してもある日いきなり警察から連絡がくる可能性もある
- 公訴時効が完成して刑事責任追及のリスクがなくなっても民事の賠償責任は消滅時効完成まで追及される危険性がある
違法ダウンロードについて取調べが実施される
違法ダウンロード事件について捜査機関の取調べが実施されます。
取調べの流れは以下の通りです。
- 警察段階の取調べ
- 送検
- 検察官段階の取調べ
捜査機関で実施される取調べの態様は身柄拘束されているか否かで大きく異なります。
まず、逮捕状が発付されずに任意ベースで取調べが実施される場合(在宅事件の場合)、警察段階・検察段階の取調べに時間制限はありません。違法ダウンロード事件は解析などに時間を要することが少なくないため、事情聴取の期間が数カ月に及ぶ可能性もあります。
次に、逮捕状が発付された場合、警察段階と検察段階の取調べにはそれぞれ制限時間が設けられています。「警察段階48時間以内と検察段階24時間の合計72時間以内」が原則です(刑事訴訟法第203条第1項、同法第205条第1項)。ただし、72時間以内の身柄拘束付きの取調べでは足りない場合には、勾留請求によって身柄拘束期間が10日~20日の範囲で延長されます(同法第206条第1項、同法第208条各項)。
身柄拘束されていない在宅事件の場合、捜査機関からの要請があったタイミングで出頭すれば良いだけで、それ以外は日常生活を送ることができます。これに対して、違法ダウンロード事件の容疑で逮捕・勾留された場合には、身柄拘束期間中は身体・行動の自由が大幅に制限されるため、自宅に戻ることや外部と連絡をとることも許されません。つまり、刑事処分の内容にかかわらず、身柄拘束されるだけで被疑者の立場にさまざまな悪影響が生じるということです。
したがって、違法ダウンロード事件が警察に発覚した場合には、「身柄拘束されずに取調べを進めてもらうこと」が重要だと考えられます。刑事手続き初期段階の防御活動次第で身柄拘束されるか否かが変わってくるので、警察から接触がある前に弁護士へ相談することを強くおすすめします。
違法ダウンロード事件を公訴提起するか否か検察官が判断する
捜査機関での取調べが終了した段階、もしくは、逮捕・勾留の身柄拘束期限が到来するまでに、検察官が違法ダウンロード事件を公訴提起するか否か(起訴か不起訴か)を判断します。
起訴処分とは、「違法ダウンロード事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為」のことです。起訴処分が下された場合には、後述の略式手続きに同意しない限り、公開の刑事裁判を受けなければいけません。
これに対して、不起訴処分とは、「違法ダウンロード事件を公開の刑事裁判にかけることなく検察官限りの判断で刑事手続きを終結させる旨の意思表示」を意味します。不起訴処分が下された時点で刑事手続きは終了するので、有罪判決や前科のリスクから解放されます(前歴は残ります)。
ただし、検察官の公訴提起判断には「刑事裁判にかけられるか否か」以上の意味が含まれている点に注意が必要です。なぜなら、日本の刑事裁判の有罪率は約99%以上とも言われているので、刑事裁判にかけられた時点=検察官が起訴処分を下した時点で有罪になることが事実上確定的になるからです。
したがって、違法ダウンロードの容疑で逮捕されたり任意での事情聴取がおこなわれた場合、「有罪になりたくない」「前科は嫌だ」と希望するなら「不起訴処分の獲得」は必須の課題だと考えられます。特に、著作権法違反の容疑で逮捕された場合には公訴提起判断までの日数が限られているので、すみやかに刑事事件に強い弁護士に相談のうえ、不起訴処分獲得に向けた防御活動を展開してもらうべきでしょう。
違法ダウンロード事件が公開の刑事裁判にかけられる
検察官が起訴処分を下した場合、違法ダウンロード事件が刑事裁判にかけられます。
刑事裁判が開廷されるタイミングは「起訴処分後1カ月~2カ月」が目安です。在宅事件のまま起訴(在宅起訴)された場合には裁判所から出頭を求められた期日に出廷するだけで良いので、第1回公判期日までの期間は日常生活を送りながら刑事裁判に向けた準備をおこなうことになります。これに対して、逮捕・勾留後に起訴処分が下された場合、状況次第では第1回公判期日まで起訴後勾留が続く危険性に晒される点に注意が必要です。日常生活に復帰するタイミングを早めたいなら保釈手続きが必須なので、弁護士に保釈請求をおこなってもらいましょう。
検察官の公訴事実に対して全面的に同意するなら第1回公判期日で結審するのが一般的です。これに対して、検察官が主張する公訴事実を争う場合には、複数回の公判期日を経て弁論手続き・証拠調べ手続きがおこなわれて判決言渡しに至ります。
違法ダウンロード事件は実刑判決が言い渡されるリスクもゼロではないので、刑事裁判実績豊富な弁護士に執行猶予付き判決や罰金刑の獲得を目指してもらいましょう。
違法ダウンロードの容疑で逮捕されたときに生じるデメリット5つ
違法ダウンロードの容疑で逮捕されると、以下5点のデメリットが生じる可能性があります。
- 著作権法違反の容疑で逮捕・勾留による長期の身柄拘束を強いられる可能性がある
- 違法ダウンロード事件は話題性が強いため逮捕された時点で実名報道される危険性が生じる
- 著作権法違反の容疑で逮捕・起訴されたことが会社にバレると懲戒処分を下される可能性がある
- 著作権法違反の容疑で逮捕・起訴されたことが学校にバレると何かしらの処分を下される可能性がある
- 違法ダウンロードで逮捕・起訴されると前科がつく
事案の態様次第では逮捕・勾留による長期の身柄拘束を強いられる可能性がある
違法ダウンロードの容疑で逮捕・勾留されると、数日~数週間の身柄拘束期間が生じます。
たとえば、身柄拘束期間中は取調室と留置施設の往復だけなので、自宅に戻ることは許されません。違法ダウンロード事件について厳しい取調べが実施されることが予想されるため、心身に相当な負荷がかかるでしょう。
また、身柄拘束期間中は日常生活から完全に隔離されるため、学校に通ったり勤務先に出社することも不可能です。さらに、社会人の場合には自分の口で欠勤理由を電話連絡することもできないため、状況次第では相当期間無断欠勤が続くことになりかねません。
仮に不起訴処分を獲得できたとしても、身柄拘束期間が生じた以上は社会生活への支障を避けるのは難しいのが実情です。違法ダウンロード事件の場合には早期の防御活動次第で在宅事件扱いの期待が高まるので、できるだけ早いタイミングで弁護士までご相談ください。
違法ダウンロード事件は社会的関心が高いので実名報道のリスクが生じる
違法アップロードや違法ダウンロードに関する刑事事件は社会的関心度の高い事件類型に位置付けられます。
そのため、違法ダウンロードについて著作権法違反の容疑で逮捕された場合、実名報道される危険性が高いです。
たとえば、実名報道されると会社や知人などに刑事事件を起こしたことがバレてしまいますし、インターネット上に半永久的に情報が残り続けることになります。
このような実名報道によるリスクを回避する方法には、「違法ダウンロードの容疑で逮捕されること」自体を回避するしかありません。早期の示談交渉によって被害申告自体を防いだり、在宅事件処理によって逮捕を免れることができるので、違法ダウンロード事件について警察から連絡がくる前に念のために弁護士へ相談することを強くおすすめします。
違法ダウンロードが会社にバレると懲戒処分の対象になりかねない
違法ダウンロード行為について著作権法違反の容疑で逮捕されると会社にバレる可能性が高いです。そして、会社にバレた場合には、就業規則で規定される懲戒ルールにしたがって何かしらの懲戒処分が下されることになります。
懲戒処分は「戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇」に分類されますが、コンプライアンスに厳しい企業であれば、違法ダウンロード事件での逮捕・起訴であったとしても懲戒解雇処分の対象になりかねません。
会社バレのリスクを軽減するには、逮捕・勾留という身柄拘束処分を回避する必要があります。違法ダウンロード事件に関する警察からの出頭要請に誠実に対応することで日常生活への支障を軽減できるので、弁護士のアドバイスを参考に素直に捜査協力してください。
違法ダウンロードが学校にバレると退学処分などのリスクに晒される
学生が違法ダウンロードに及んで逮捕された場合、会社員ほどではありませんが、学校にバレるリスクに晒されます。そして、学校にバレたときには、学則・校則のルールにしたがって何かしらの処分が下されます。
たとえば、刑事事件に対して厳しい考え方をもっている学校であれば退学や停学などの重い処分の対象になることもあるでしょう。これに対して、違法ダウンロード事件が比較的軽微であることや、普段の学校生活での態度などを勘案した結果、注意などの軽い処分で済ましてくれる可能性も否定できません。
学校から処分されるリスクを減らしたいなら、学校バレ自体を回避するのが重要です。早期の示談交渉などによって刑事事件化自体の回避や在宅事件処理を目指しましょう。
違法ダウンロードで逮捕・起訴されると前科がつく
違法ダウンロードが著作権法違反の容疑で逮捕・起訴されると、有罪判決が下されるだけではなく、前科がつく点にも注意が必要です。
前科とは、「刑事罰を受けた経歴」のことです。前科者になると、以下のデメリットが今後の生活に生じ続けます。
- 前科情報は履歴書の賞罰欄への記載義務が生じるので、今後の就職活動・転職活動の妨げになる(隠蔽すると経歴詐称を理由に懲戒事由に該当する)
- 前科を理由に就業制限を受ける資格・職業がある(士業、警備員、金融業など)
- 逮捕歴や前科を理由に離婚を求められると、最終的には拒絶しにくい(法定離婚事由に該当するため)
- 結婚前に実施されることが多い身元調査で逮捕歴や前科が発覚するとパートナーと破談になる可能性が高い
- 前科を理由にビザやパスポートの発給制限を受けると、自由に海外旅行や海外出張に行けなくなる
- 前科がある状態で再犯に及ぶと刑事処分や判決内容が重くなる可能性が高い
実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑でも前科として扱われます。また、上述のように、日本の刑事裁判の有罪率は約99%なので、刑事裁判でどれだけ防御活動に力を入れたとしても、刑事裁判にかけられることが確定した時点で有罪・前科になることを受け入れなければいけません。
したがって、今後の生活に前科によるデメリットが生じることを避けたいのなら、「違法ダウンロード事件を刑事事件化しないこと」「刑事事件化されたとしても検察官の不起訴処分を獲得すること」の2点が重要だと考えられます。早期に弁護士へ相談すれば示談交渉に着手して告訴の取り下げを実現できるでしょう。
違法ダウンロードをしたときに弁護士へ相談するメリット4つ
過去に違法ダウンロードをした記憶がある方や、違法ダウンロード行為について警察から問い合わせがあった方は、すみやかに弁護士までご相談ください。
なぜなら、刑事事件に強い弁護士へ相談することで以下4点のメリットを得られるからです。
- 自分のしてしまったダウンロード行為が著作権法違反に該当するか判断してくれる
- 違法ダウンロード事件の被害者との間で示談交渉を進めてくれる
- 少しでも軽い刑事処分獲得に向けて尽力してくれる
- 別件での逮捕リスクに備えた防御活動も意識してくれる
不安を抱えている違法ダウンロードが刑事処罰の対象になるか判断してくれる
違法ダウンロードについて著作権法違反に問われるのは限られた要件を満たすときです。ダウンロードの対象が「音楽・映像」なのか「論文や漫画など」なのかによって要件が異なりますし、先ほど紹介したように違法性が阻却する状況も多岐にわたります。また、当該ダウンロード行為が著作権法違反の容疑に問われないとしても別途民事責任が発生するリスクもある点に注意が必要です。
弁護士に相談すれば、相談者のおこなったダウンロード行為に対してどのような法的責任が発生するかすぐに判断してくれます。「相談者は違法ダウンロードをしたと不安を抱えていたが、実は法的な責任を問われないものだった」など杞憂に終わる案件も少なくないでしょう。
著作権者との間で示談交渉を進めてくれる
違法ダウンロード行為について刑事責任・民事責任が発生する場合、弁護士はすみやかに著作権者との間で示談交渉を開始してくれます。
示談とは、「違法ダウンロード事件の当事者同士で解決策について直接話し合いを行い和解契約を締結すること」です。
違法ダウンロード事件の示談交渉では、以下の示談条件が提示されるのが一般的です。
- 著作権者に対して示談金(損害賠償額と慰謝料など)を支払う
- (被害申告前)著作権者は示談契約の締結をもって解決に納得し、告訴状を提出せず刑事事件化しない
- (被害申告後)著作権者はすみやかに告訴状を取り下げて、捜査機関や裁判所に対して「処罰感情がない旨」を伝える
つまり、示談交渉に成功すれば、民事の賠償問題が円滑に解決するだけではなく、刑事責任を軽くしたり、刑事事件化自体も回避できるということです。
このように、早期の示談交渉によって前科・前歴を残さない状況も作り出せるので、警察が本格的な捜査活動に着手する前に弁護士へ相談をして示談について検討してもらうべきでしょう。
少しでも軽い刑事処分獲得を目指して尽力してくれる
違法ダウンロード事件について民事的な解決が難しい状況に追い込まれたとしても、弁護士への相談によって軽い刑事処分を獲得できる可能性が高まります。
違法ダウンロード事件において検討すべき防御方針は以下5つです。
- 自首
- 不起訴処分の獲得
- 執行猶予付き判決の獲得
- 略式手続きへの同意
- 早期の身柄釈放に向けた防御活動
自首
違法ダウンロード事件が警察に発覚する前や、違法ダウンロード行為について被害者との間で示談交渉が成立する見込みがない場合には、「自首」が有力な防御活動になります。
自首とは「まだ捜査機関に発覚しない前に、犯人自ら進んで違法ダウンロード行為に及んだ事実を申告し、刑事処罰を求める意思表示」のことです(刑法第42条第1項)。
たとえば、違法ダウンロード事件について警察が一切把握をしていない状況や、違法ダウンロード事件自体は把握しているが犯人が明らかになっていない場合に、ダウンロード行為者自身が捜査機関に出頭すれば「有効な自首」と扱われます(これに対して、事件や被疑者が判明した後で逃げ回るのをやめて出頭したところで「有効な自首」とは扱われません)。
自首をするメリットは「刑の任意的減軽」です。つまり、違法ダウンロード事件が起訴されたとしても、執行猶予付き判決や罰金刑を獲得できる可能性が高くなるということです。
刑事事件の実績豊富な弁護士に相談をすれば、示談交渉に着手した時点で著作権者側が示談条件に応じるか否かを予測できるので、告訴状の提出に先回りする形で自首をすることで、刑事処罰内容の軽減を目指せるでしょう。
不起訴処分の獲得
違法ダウンロード事件が刑事事件化した後は、「不起訴処分の獲得」が最重要課題になります。
なぜなら、起訴処分が下されると有罪・前科が確定的になるのに対して、不起訴処分が下されると刑事処罰や前科の無い状態で社会復帰を目指せるからです(ただし、不起訴処分を獲得できたとしても「前歴」は残ります)。
なお、不起訴処分は以下3つに分類されるので、実際に違法ダウンロード行為に及んだことに間違いはない状況でも、不起訴処分を獲得して刑事裁判を回避することは可能です。
- 嫌疑なし:著作権法違反の違法ダウンロードをした事実・証拠がないケース
- 嫌疑不十分:著作権法違反の違法ダウンロードを根拠付ける証拠が充分でないケース
- 起訴猶予:著作権法違反の違法ダウンロードをした証拠は揃っているが、諸般の事情を総合的に考慮すると、刑事裁判にかけずに検察限りの判断で刑事手続きを終了させても良いケース
起訴猶予に付するのが相当か否かは、犯人の性格・年齢・境遇・犯罪の軽重・情状・犯罪後の情況などの事情が考慮されて判断されます(刑事訴訟法第248条)。検察官の公訴提起判断までの時間は限られているので、不起訴処分獲得実績豊富な弁護士の効率的かつ効果的な防御活動に期待しましょう。
執行猶予付き判決の獲得
違法ダウンロード行為が著作権法違反の容疑で起訴されてしまった場合には、「実刑回避」を目指した防御活動に注力することになります。なぜなら、実刑判決が下された場合、刑期が数カ月程度の短期で済んだとしても退学や退職を余儀なくされるため、刑期満了後に社会復帰を果たすには相当の困難を強いられるからです。
そして、実刑判決を回避するには、「執行猶予付き判決」の獲得がポイントになります。
執行猶予とは、「所定の執行猶予期間が無事に経過することによって刑の執行機会が消滅する制度」のことです。社会生活から断絶される期間がゼロになるので、日常生活への支障を軽減できるでしょう。
なお、執行猶予付き判決を獲得するには、「3年以下の懲役刑・禁錮刑・50万円以下の罰金刑の言渡しを受けたとき」という要件を満たさなければいけません(刑法第25条第1項)。違法ダウンロードの法定刑は「2年以下の懲役刑もしくは200万円以下の罰金刑(併科あり)」なので原則として執行猶予付き判決の対象にはなりますが、反省の態度などの情状要素が揃っていなければ実刑判決が下される危険性もあるので、刑事裁判の実績豊富な弁護士の力を借りましょう。
略式手続きへの同意
違法ダウンロード行為について著作権法違反の容疑で逮捕・起訴された場合、「略式手続き(略式起訴・略式命令・略式裁判)」がポイントになることがあります。
略式手続きとは、「簡易裁判所の管轄に属する刑事事件について100万円以下の罰金刑が想定される場合に、被疑者側の同意がある場合に限って、公開の刑事裁判を省略して簡易・簡便な形で罰金刑を確定させる裁判手続き」のことです(刑事訴訟法第461条)。検察官が公開の刑事裁判で罰金刑を求刑する予定なら、略式手続きの利用に同意をすればわざわざ刑事裁判手続きを履践する必要がなくなるので、社会復帰を目指すタイミングを前倒しできるでしょう。
ただし、略式手続きに同意をすれば、公開の刑事裁判で反論する機会が失われてしまいます。たとえば、「軽微なダウンロードに過ぎないから著作権法違反には該当しない」「継続的・反復的なダウンロードではない」などの事実認定を争うことはできず、検察官が主張する公訴事実に全面的に賛同することになります。
略式起訴段階で罰金刑で手打ちにするのか、刑事裁判手続きに移行して全面的に争うことに実益があるのかは、刑事事件の実績豊富な弁護士でなければ判断できません。依頼先の弁護士を検討する際には、かならず弁護士の実績や得意分野をご確認ください。
早期の身柄釈放に向けた防御活動
以下のように、刑事事件に強い弁護士に相談すれば、「身柄拘束」という刑事手続きのデメリットに対抗するための方策を尽くしてくれます。
- 捜査機関からのアクション前なら「在宅事件処理」
- 警察に逮捕された後なら「勾留回避」
- 検察官に起訴された後なら「保釈請求」
身柄拘束の観点で有利な状況を作り出すには、「逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと」を丁寧にアピールしなければいけません。弁護士の意見を参考にしながら、捜査活動に対して誠実に向き合ってください。
児童ポルノなどの別件への防御活動も意識してくれる
違法ダウンロード行為が刑事事件化するときに注意しなければいけないのは、著作権法違反以外の容疑で刑事訴追される可能性があるという点です。
たとえば、違法ダウンロードによって入手した動画像などをアップロードした場合には、「違法アップロード行為」に対して著作権法違反の容疑がかけられます。また、児童ポルノを違法ダウンロードして所持していた場合には、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」違反の容疑で逮捕される可能性も生じます。
違法アップロードや児童ポルノ規制法違反は違法ダウンロードよりも重い刑事処罰が科されるものです。これらの犯罪での刑事訴追リスクを抱えている場合には、できるだけすみやかに弁護士へ相談をして捜査活動に対する防御方針を明確化してもらいましょう。
違法ダウンロードで逮捕されるか不安なときは弁護士へ相談しよう
違法ダウンロードをすると刑事・民事の両方の法的責任を追及される可能性があります。
特に、違法ダウンロード厳罰化の流れが強まっている現状では、著作権法違反の容疑をかけられると逮捕・起訴されるリスクがある点に注意が必要です。
弁護士に相談するタイミングが早いほど有利な状況を作り出すことができるので、刑事事件に強い弁護士に示談交渉・自首の是非について検討してもらうべきでしょう。