盗撮で捕まった場合、すみやかに弁護士に相談することを強くおすすめします。
というのも、盗撮罪(撮影罪)が新設されたり、刑法改正によって不同意性交等罪などの要件が見直されたりするなど、性犯罪厳罰化の動きが強まっているため、捜査機関から厳しい追及を受ける可能性が高いからです。
たとえば、盗撮の容疑で現行犯逮捕されると、逮捕・勾留によって数週間に及ぶ身柄拘束を強いられかねません。また、捜索差し押さえによってPCなどから性犯罪を証拠付ける動画や画像が見つかったときには、児童ポルノ製造罪や不同意性交等罪などの別罪の容疑で刑事訴追されることもあります。さらに、悪質な盗撮事件を起こしたときには、初犯でも実刑判決が言い渡されるリスクも生じます。
そこで今回は、盗撮で捕まった場合にどうなるのか不安を抱えている方や、ご家族が盗撮の現行犯で捕まって弁護士への相談を検討している方などのために、以下の事項について分かりやすく解説します。
- 盗撮で捕まった場合に弁護士へ相談するべき理由
- 盗撮で捕まったときにかけられる罪状や構成要件・法定刑
- 盗撮で捕まった場合の刑事手続きの流れ
- 盗撮で捕まった場合の末路
「たかが盗撮」と安易に考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、盗撮はれっきとした犯罪です。
刑事事件に強い弁護士へ依頼をすれば、早期の身柄釈放や軽い刑事処分獲得に向けた防御活動を期待できるので、当サイト掲載中の専門家までお問い合わせください。
目次
- 1 盗撮で捕まった場合にすぐ弁護士へ連絡すべき10の理由
- 1.1 盗撮で捕まった被疑者と接見できるのは弁護士だけだから
- 1.2 盗撮で捕まった被疑者の不安を払拭できるから
- 1.3 盗撮で捕まった被疑者と相談して今後の防御方針を明確化できるから
- 1.4 盗撮被害者との示談交渉をすみやかに開始できるから
- 1.5 盗撮で捕まっても早期の釈放を期待できるから(在宅事件化)
- 1.6 盗撮で捕まった後の勾留請求にも対抗できるから
- 1.7 盗撮で捕まって起訴された後にスムーズな保釈手続きを期待できるから
- 1.8 盗撮で捕まっても軽い刑事処分獲得の可能性が高まるから
- 1.9 余罪の防御活動にも対応できるから
- 1.10 性依存症などのケアにも配慮してもらえるから
- 1.11 【注意!】盗撮で捕まった場合は当番弁護士制度ではなく私選弁護人へ相談しよう
- 2 盗撮で捕まった場合にかけられる容疑
- 3 盗撮で捕まった場合の刑事手続きの流れ
- 4 盗撮犯人の末路とは?捕まった場合に生じるデメリット6つ
- 5 盗撮で捕まった場合にはすぐ弁護士へ連絡を!社会復帰のためには早期の防御活動が不可欠
盗撮で捕まった場合にすぐ弁護士へ連絡すべき10の理由
盗撮で捕まった場合に最初にするべきことは「弁護士への連絡」です。
その理由として以下10点が挙げられます。
- 身柄拘束中の被疑者と自由に接見できるのは弁護士だけだから
- 身柄拘束中の被疑者を励まして厳しい取調べに向き合えるから
- 被疑者の意向や捜査状況を踏まえた防御方針を早期に明確化できるから
- 盗撮被害者との間の示談交渉を早期にスタートできるから
- 盗撮の容疑で逮捕されても「在宅事件」への切り替えを期待しやすくなるから
- 盗撮の容疑で捕まった場合でも「勾留阻止活動」に力を入れてくれるから
- 盗撮で捕まって起訴された後にスムーズな保釈手続きを期待できるから
- 盗撮の容疑で逮捕されても軽い刑事処分を獲得しやすくなるから
- 盗撮以外の性犯罪に関する刑事訴追リスクにも配慮してもらえるから
- 性依存症などの疾患に対するケアも期待できるから
盗撮で捕まった被疑者と接見できるのは弁護士だけだから
まず、盗撮で捕まった場合、逮捕段階の被疑者には接見禁止処分が下されることが多いので、家族などの第三者は一切面会できません。また、盗撮で捕まった後に勾留請求されたときには、家族などの第三者との面会には時間・曜日・立会人・制限時間などの諸条件が課されることが多いです。
これに対して、被疑者には「接見交通権」が保障されており、弁護士とは原則としていつでも自由に面会可能で、物や書類の受け渡しも許されています(刑事訴訟法第39条第1項)。
つまり、盗撮で捕まった場合に、味方として自由に被疑者と直接コミュニケーションの機会を設けることができるのは弁護士だけだということです。
「被疑者ノート」などの差し入れによって違法捜査(過度に長時間に及ぶ取調べ、自白強要、強迫的な取調べなど)へのリスクヘッジをしてくれるでしょう。
盗撮で捕まった被疑者の不安を払拭できるから
逮捕後に実施される取調べ期間中、被疑者は常に厳しい事情聴取を受ける必要があります。また、留置場・拘置所生活を強いられるので自宅に戻ることも許されません。さらに、スマートフォンなどの所持品はすべて取り上げられるので、家族や恋人、会社などに電話連絡を入れることもできないのが実情です。
つまり、盗撮で捕まった後、被疑者は常にひとりで心細い状況に追い込まれるということです。
刑事事件を専門にする弁護士は、接見機会をフル活用して、さまざまな不安に苛まれている被疑者を励ましてくれるでしょう。
盗撮で捕まった被疑者と相談して今後の防御方針を明確化できるから
刑事事件に強い弁護士は、接見機会を重ねる過程で、捜査状況の進捗状況や被疑者の希望などを踏まえて、今後の防御方針を明確化してくれます。
たとえば、盗撮で現行犯で捕まった場合でも、誤認逮捕・冤罪を積極的に争いたいのなら、「弁護士が来るまで何も話しはできません」というように供述を拒否したうえで、弁護士との接見機会で今後の戦略を練る必要があります(弁護士と打ち合わせをする前に被疑者本人の判断だけで供述をすると、気付かないうちに”捜査機関側にとって有利な供述”を引き出されかねません)。
また、実際に盗撮をして犯行について自供するとしても、動機や経緯などの供述内容次第でどのような刑事処分が下されるかが変わるのが実情です。通勤中に衝動的にスマホで動画を撮影してしまったようなケースならある程度軽い刑事処分を獲得しやすくなりますが、その一方で、盗撮専用の機器をわざわざ購入して駅構内を何時間も徘徊していたような不審な行動が日常的に繰り返されていたような事案では重い刑事処分が下されるのを見据えて供述方針を練る必要があります。
このように、盗撮で捕まったときの状況によって供述内容・防御方針はまったく異なります。弁護士は被疑者と密に接見機会を設けて、時々刻々と推移する捜査状況や被疑者本人の意向などを総合的に考慮して、少しでも有利な刑事処分獲得を目指した防御活動を展開してくれるでしょう。
盗撮被害者との示談交渉をすみやかに開始できるから
盗撮で捕まった後、刑事事件に強い弁護士へ相談をすれば、すみやかに盗撮被害者との間での示談成立を目指してくれます。
示談とは
示談とは、「盗撮加害者・被疑者の間で話し合いの機会を設けて、慰謝料などの解決条件について和解契約を締結すること」です。
どのような示談条件で合意を形成するかは当事者間で自由に決定できますが、一般的な盗撮事件では、以下の示談条項が契約書に掲げられるのが一般的です。
- 加害者が被害者に対して慰謝料などの示談金(解決金)を支払う(支払い金額・支払い方法・支払い期限など)
- 被害者は提出済みの被害届・告訴状を取り下げる
- 被害申告前なら、示談契約の締結をもって終局的解決に合意し、今後捜査機関に被害届・告訴状の提出をしない
- 被害者は捜査機関や裁判所に対して「処罰感情がない旨」を伝える(宥恕条項)
- 被害者は今後一切盗撮事件について口外しない
- 加害者は盗撮事件を起こした駅・路線などを今後一切使用しない、被害者宅周辺エリアに近付かない
盗撮で捕まった場合に示談をするメリット
そもそも、逮捕や刑罰などは刑事責任に関すること、示談交渉や慰謝料などは民事責任に関するものに棲み分けられます。
そして、理屈上は、民事責任と刑事責任は全く別問題と扱われます。たとえば、過去の盗撮事件について公訴時効が完成して刑事責任が消滅したとしても、民事の賠償責任は別途追及される可能性があります。また、当事者間で民事紛争の解決方法について話し合いがまとまったとしても、捜査機関側が刑事訴追の必要性があると判断したときには逮捕手続きに移行するケースも存在します。
ただし、盗撮事件では、被害者との間で示談が成立することで刑事手続き上も以下のメリットが生じるのが実情です。
- 盗撮事件では被害者の処罰感情の強さが処分内容判断時に考慮される傾向が強い
- 示談成立によって「軽い刑事処分」を獲得しやすくなる(不起訴処分・執行猶予付き判決など)
- 示談成立によって「身柄拘束期間の短縮化」を期待しやすくなる(早期の身柄釈放・勾留阻止など)
なお、捜査機関に盗撮事件が発覚する前に示談契約締結に成功すれば、刑事事件化自体を回避できる可能性もあります。
過去に盗撮行為に及んで現段階で警察から問い合わせがない状況なら、すみやかに弁護士へ相談のうえ、示談の要否などについて判断してもらうべきでしょう。
盗撮で捕まった場合の示談交渉を弁護士に依頼するメリット
示談は当事者同士で直接交渉を進めることも可能です。
しかし、痴漢で捕まった場合には、示談交渉は弁護士に依頼することを強くおすすめします。
なぜなら、痴漢被害者との示談交渉を弁護士へ依頼することで、被疑者側には以下のメリットが生じるからです。
- 弁護士が就任した方が被害者側の連絡先を入手しやすい(連絡先がわからなければ示談交渉を開始すらできない)
- 弁護士が交渉に要する作業の大部分を代理してくれるので、加害者側は生活のことや仕事のことに集中できる
- 怒りや不安、恐怖心を抱いている性犯罪被害者との間でも、専門家の知見・ノウハウを活かして冷静に交渉を進めることができる
- 身柄拘束中の被疑者本人に代わって示談交渉を進めてくれる
- 複数の痴漢被害者との間でも同時に示談交渉を展開してくれる
- 刑事手続きの時間制限に間に合うようにスピーディーな示談成立を目指してくれる
- 不当な示談金の釣り上げなどには粛々を対応をして、示談相場通りの条件での合意形成を目指してくれる
特に、盗撮の容疑で捕まった場合、不起訴処分獲得を目指すには、「原則72時間以内(勾留請求されたら例外的に23日間以内)」の示談成立が不可欠です。
加害者本人や加害者家族だけではタイムリミットに間に合わないリスクがあるので、かならず弁護士の力を借りるべきでしょう。
盗撮で捕まっても早期の釈放を期待できるから(在宅事件化)
盗撮で捕まった場合に弁護士へ相談をすれば、「在宅事件への切り替え」を期待できます。
在宅事件とは、「逮捕・勾留という身柄拘束処分を受けることなく、盗撮事件に関する捜査手続き・裁判手続きが進められる事件処理類型」のことです。逮捕処分とは異なり「任意捜査」の対象として扱われます。つまり、令状に基づく身柄拘束が解かれて、日常生活に戻ることができるということです。
逮捕処分から在宅事件に切り替わるメリットは以下の通りです。
- 警察に出頭して事情聴取を受ける日時・時間帯を捜査機関側と調整できる
- 事情聴取を途中で切り上げて自宅に戻ることができる
- 強制的に拘置所に身柄が押さえられることはないので、会社や学校に盗撮事件を起こしたことを隠しやすい
盗撮で捕まった場合に在宅事件への切り替えを目指すには、「”逮捕の必要性(逃亡または証拠隠滅のおそれ)”がないこと」を丁寧に捜査機関側にアピールする必要があります。
「どのような供述をするか」「捜査機関側にどの証拠物を提出するか」などの細かい対応次第で身柄釈放の可否・タイミングが変動するので、捜査開始段階直後から弁護士のアドバイスを参考にするべきでしょう。
盗撮で捕まった後の勾留請求にも対抗できるから
盗撮で捕まった場合、逮捕段階の後に実施される可能性がある「勾留請求」に対抗する必要があります。
なぜなら、逮捕されてそのまま公訴提起判断に至れば「72時間以内」に身柄釈放される可能性が高いですが、公訴提起判断の前に勾留請求をされてしまったら身柄拘束期間が「最長23日間」まで延長されるリスクが生じるからです。
例えば、数日程度の欠勤・欠席ならわざわざ逮捕されたことを会社や学校に伝えなくてもやり過ごすことができますが、数週間に及ぶ長期欠勤・欠席は言い訳のしようがありません。学校生活や会社生活への影響を回避するには、身柄拘束期間の短縮化は不可欠の課題です。
検察官が勾留請求をするのは「やむを得ない理由」があるときに限られます(刑事訴訟法第206条)。証拠関係に反する黙秘や否認は徒に身柄拘束期間の延長を招くだけなので、弁護士の意見を参考に、短期間で捜査手続きが終了するような防御活動を意識してください。
なお、不当な勾留請求に対しては、勾留取消請求や準抗告などの方法で対抗することも可能です。捜査状況を踏まえて弁護士に適切な法的措置を検討してもらいましょう。
盗撮で捕まって起訴された後にスムーズな保釈手続きを期待できるから
盗撮で捕まって起訴された場合、略式手続きに同意をしない限り、公開の刑事裁判を受けなければいけません。
ここでのポイントは、「起訴処分が下されてから第1回公判期日までの期間」の扱いです。というのも、起訴処分が下された後スムーズに保釈請求が認められると刑事裁判の日時までは日常生活に復帰できますが、保釈請求が通らないと「起訴後勾留」によって刑事裁判までの2カ月(その後1カ月ごとに延長)拘置所生活が続くからです。
仮に刑事裁判で執行猶予付き判決を勝ち取っても、起訴後勾留が続くだけで社会生活に生じるデメリットは甚大なものになってしまいます(数カ月に及ぶ欠勤期間が生じるだけで会社に籍を置き続けるのは難しいでしょうし、単位や出席日数の問題で留年などを強いられる可能性が高いです)。
弁護士は、盗撮事件の状況に応じた保釈請求手続きや、勾留取消請求や勾留決定に対する準抗告なども視野に入れた防御活動を展開してくれるでしょう。
- 権利保釈(保釈除外事由に該当しない限り認められる保釈)
- 裁量保釈(裁判官の裁量によって認められる保釈)
- 義務的保釈(身柄拘束期間が不当に長期化している場合に認められる保釈)
盗撮で捕まっても軽い刑事処分獲得の可能性が高まるから
刑事事件に強い弁護士は、盗撮で捕まった被疑者が少しでも軽い刑事処分を獲得できるように、刑事手続きの段階に応じた適切な防御目標を掲げてくれるでしょう。
盗撮で捕まった場合には「微罪処分」を狙える場合がある
微罪処分とは、「捜査活動を開始した事件について、検察官に送致をせずに警察限りの判断で刑事手続きを終結させる処分」のことです。送検リスクや有罪・前科が付くことも回避できるので、日常生活に生じるデメリットが大幅に軽減される点がメリットとして挙げられます。
たとえば、盗撮の現行犯で逮捕されたものの、スマホやPCに保存されている他の盗撮データが一切存在せず、被疑者本人も真摯に反省の態度を示している場合には、厳重注意だけで済む可能性があります。
微罪処分の対象になる事件の目安は以下の通りです。逮捕後、すみやかに弁護士に防御活動を展開してもらえれば、微罪処分の獲得も視野に入ってくるでしょう。
- 検察官が予め指定した軽微な犯罪類型の容疑をかけられていること(軽犯罪法違反など)
- 犯情が極めて軽微であること(盗撮用機器や盗撮専用アプリを使用するなどの計画性がない、衝動的に盗撮行為に及んだなど)
- 盗撮被害者の数が極めて少数であること
- 盗撮した画像が少数、動画が短時間、盗撮された対象が下着などではないなど
- 被害者との間で示談が成立していること、被害弁償が済んでいること
- 素行不良者ではないこと
- 余罪に関与した疑いがないこと
- 盗撮した動画像を販売したりネット上に公開していないこと
- 家族、上司、親族などの身元引受人がいること
盗撮で捕まった場合は「不起訴処分獲得」が重要な防御目標
盗撮で捕まった場合には、「検察官から”不起訴処分”を引き出すこと」が重要な防御目標になります。
盗撮で捕まった後の取調べが終了すると、検察官が盗撮事件を刑事裁判にかけるか否かを判断します。刑事裁判にかける判断のことを「起訴処分」、刑事裁判にかけることなく検察官の判断で刑事手続きを終結させる判断のことを「不起訴処分」と呼びます。
つまり、不起訴処分を獲得すれば、有罪や前科のリスクに怯える必要がなくなるということです。
ただし、「盗撮事件を起こしたことに間違いはないので、刑事裁判は覚悟しなければいけない、不起訴処分を獲得するのは無理だ」と諦める必要はありません。
というのも、不起訴処分は以下3種類に分類されるので、盗撮事件を起こしたことに間違いがなくても「起訴猶予を理由とする不起訴処分獲得」の余地が残されているからです。
- 嫌疑なし:盗撮事件を起こした証拠がない、冤罪・誤認逮捕のケース
- 嫌疑不十分:盗撮事件を立証する証拠が不足しているケース
- 起訴猶予:盗撮事件を立証する証拠は存在するが、諸般の事情を総合的に考慮すると刑事裁判にかける必要性が低いケース
起訴猶予に付するか否かの判断をするときには、「犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況」などの諸般の事情が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。
弁護士は、盗撮に至った経緯や家庭環境、被疑者本人が抱える問題や、社会復帰を目指すための更生環境が整っていることなど、起訴猶予処分獲得に役立つ情状証拠を丁寧に収集してくれるでしょう。
盗撮で捕まって起訴された場合は「執行猶予付き判決の獲得」が今後の運命を分ける
盗撮で捕まって起訴処分が下された場合、「執行猶予付き判決の獲得」が最大の防御目標になります。
執行猶予とは、「所定の執行猶予期間中に何のトラブルもなく日常生活を過ごすことで、懲役刑や禁錮刑の執行を消滅させる制度」のことです。執行猶予付き判決を獲得すれば「実刑判決による刑務所への収監」がなくなるので、社会復帰の難易度を大幅に下げることができます。
ただし、執行猶予付き判決を獲得するには、「3年以下の懲役刑・禁錮刑・50万円以下の罰金刑の言渡しを受けたとき」という要件を満たさなければいけません(刑法第25条第1項)。
たとえば、迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」違反の容疑で逮捕されたときには、法定刑の関係で執行猶予付き判決を得るのは難しくはないでしょう。これに対して、児童ポルノ関係や不同意性交等罪などの別件でも刑事訴追されたときには、執行猶予付き判決を獲得するために自首減軽・酌量減軽などの防御方法が不可欠になります。
刑事裁判経験豊富な弁護士は、執行猶予付き判決を引き出すための情状証拠の主張立証のノウハウを駆使してくれるでしょう。
盗撮で捕まって起訴されても「略式手続き」に同意するのも選択肢のひとつ
盗撮で捕まって起訴されたとしても、事案の状況次第では「”略式手続き”による早期の刑事手続き終結」を実現できる場合があります。
略式手続き(略式起訴・略式裁判・略式命令)とは、「簡易裁判所の管轄に属する刑事事件について100万円以下の罰金刑が想定される場合に、被疑者側の同意がある場合に限って、公開の刑事裁判を省略して簡易・簡便な形で罰金刑を確定させる裁判手続き」のことです(刑事訴訟法第461条)。
公開の刑事裁判で反論を主張する機会は放棄しなければいけませんが、刑事裁判手続き自体を省略できるので、社会復帰に向けて歩み出すタイミングを前倒しできます。
ただし、略式手続きの対象になるのは「検察官が公判で100万円以下の罰金刑を求刑する予定のとき」だけです。実刑判決や100万円超の罰金刑を求刑する予定のときには、略式手続きに同意するか否かの打診をされることはありません。
「不起訴処分の獲得は難しいけれども、罰金刑を落としどころにして実刑判決リスクを回避したい」と希望する場合には、弁護士に捜査段階から丁寧に情状証拠を積み上げてもらいましょう。
余罪の防御活動にも対応できるから
盗撮で捕まった場合に弁護士へ相談をすれば、余罪の防御活動にも対応してくれます。
たとえば、撮影罪の容疑で逮捕された後に実施される捜索差し押さえによって被疑者宅のPCから大量の児童ポルノが見つかったときには、撮影罪とは別に児童ポルノ製造罪の容疑で逮捕される可能性があります。さらに、撮影されたデータを解析した結果、レイプについて被害届が出ていることが判明したときには、不同意性交等罪などの別件で刑事告訴されるパターンもあり得ます。
このように、盗撮事件は他のより重い犯罪で立件されるリスクを伴うものなので、できるだけ早いタイミングで弁護士へすべての事情を伝えたうえで、捜査機関より先回りした防御活動をスタートしてもらいましょう。
性依存症などのケアにも配慮してもらえるから
刑事事件を専門に扱う弁護士は、被疑者・被告人が本当の意味で社会復帰を目指すためのサポートをしてくれます。
たとえば、盗撮事件を起こした被疑者のなかには、性依存症などの精神疾患を抱えているケースが少なくありません。つまり、根本問題である性依存症に向き合わなければ再犯リスクを抱えたままだということです。
盗撮などの性犯罪弁護に力を入れている専門家は、専門の治療機関やNPO法人、カウンセリング施設などを紹介して、被疑者・被告人が本当の意味で更生を目指せる環境に繋げてくれるでしょう。
【注意!】盗撮で捕まった場合は当番弁護士制度ではなく私選弁護人へ相談しよう
盗撮で捕まった場合、身柄拘束中の被疑者はすべて「当番弁護士制度」を利用可能です。
当番弁護士制度を利用すれば、初回無料で弁護士との接見機会を得られるので、無料で今後の刑事手続きの流れなどを把握できます。
ただし、盗撮事件を起こしたときには、当番弁護士制度を頼るのではなく、私選弁護人と契約することを強くおすすめします。
というのも、当番弁護士制度を使ったとしても、盗撮事件などの性犯罪弁護の経験豊富な専門家がやってくるとは限らないからです。私選弁護人なら、年齢・性別・キャリア・得意分野・事務所へのアクセス・熱意など、さまざまな観点から信用できる専門家の助けを借りることができるでしょう。
当サイトでは、盗撮事件などの弁護経験豊富な専門家を多数掲載中です。現段階で警察から何のアクションがない段階でも、心当たりがある方は念のためにお問い合わせください。
盗撮で捕まった場合にかけられる容疑
盗撮事件が発覚したとき、以下の罪状の容疑で捕まることが多いです。
- 撮影罪(盗撮罪)
- 迷惑防止条例違反
- 児童ポルノ禁止法違反
- 軽犯罪法違反
- 建造物等侵入罪
撮影罪(盗撮罪)
令和5年7月13日に新たに施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(通称、性的姿態撮影等処罰法)」で、盗撮行為は全国一律に適用される基準によって逮捕されます。
撮影罪(盗撮罪)に該当する行為は以下4類型に分類されます(同法第2条第1項)。
- 正当な理由がないのに、ひそかに、性的姿態等(人の性的部位、下着、性交等をしている人の姿態など)を撮影する行為
- 刑法第176条第1項各号に掲げる行為(暴行、脅迫、アルコールの過剰摂取、虐待に起因する心理的反応、経済的・社会的地位の利用など)によって、同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態を作出したうえで、人の性的姿態等を撮影する行為
- 「行為の性質が性的なものではない」「特定の者以外の物が閲覧することはない」と誤信させて、人の性的姿態等を撮影する行為
- 正当な理由がないのに13歳未満の者の性的姿態等を撮影する行為(13歳以上16歳未満の者については5歳以上年上の加害者のみ処罰対象)
つまり、撮影対象者が気付かないうちに盗撮をする行為だけではなく、さまざまな状況で性的姿態等を撮影したときにも、撮影罪(盗撮罪)で逮捕される可能性があるということです。
なお、撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」です。そして、撮影罪は未遂犯も処罰対象とされている点にご注意ください(同法第2条第2項)。
また、新設された性的姿態撮影等処罰法では、撮影罪に関連して以下の行為類型も処罰対象とされています。
罪名 | 法定刑 |
---|---|
性的影像記録提供等罪 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑 |
性的影像記録保管罪 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 |
性的姿態等影像送信罪 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金刑(併科あり) |
性的姿態等影像記録罪 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑 |
迷惑防止条例違反
盗撮行為は、各自治体が定める迷惑防止条例違反の容疑で逮捕される可能性があります。
迷惑防止条例違反の構成要件や法定刑は各自治体によって異なります。
たとえば、東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または、人に不安を覚えさせるような行為であって、以下に掲げる場所・乗り物における人の通常衣服で隠されている下着や身体を撮影する行為」を盗撮行為(粗暴行為)を処罰対象として掲げています(同法第5条第1項)。
- 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所
- 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定または多数の者が利用したり出入りする場所・乗物
なお、東京都の迷惑防止条例では、盗撮行為に対して「1年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑」という法定刑を定めています(同法第8条第2項第1号)。
児童ポルノ禁止法違反
18歳未満の児童の性的姿態等をひそかに写真などで撮影したときには、「児童ポルノ製造罪」の容疑で逮捕される可能性があります(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」第7条第5項)。
児童ポルノ製造罪の法定刑は、「3年以下の懲役刑または300万円以下の罰金刑」です。
なお、盗撮した児童ポルノを所持したときには「児童ポルノ所持罪」、製造した児童ポルノをWeb上に公開したときには「児童ポルノ提供罪」など、別罪の容疑をかけられることもあるのでご注意ください。
軽犯罪法違反
盗撮行為それ自体ではなく、「盗撮行為に及ぶ前段階で、正当な理由なく、人の住居・浴場・更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た」行為を捉えて、軽犯罪法違反の容疑で逮捕される可能性もあります(同法第1条第23号)。
軽犯罪法違反の法定刑は、「拘留または科料」です。拘留とは「1日以上30日未満の拘禁」、科料は「1,000円以上10,000円未満の罰金刑」を意味します。
軽犯罪法違反は極めて軽微な犯罪類型に分類されますが、判決が確定すると前科扱いになるのでご注意ください。
建造物等侵入罪
盗撮行為をおこなうために駅構内などに立ち入ったときには、「建造物等侵入罪」の容疑で逮捕される可能性があります(刑法第130条前段)。
建造物等侵入罪は、「正当な理由がないのに、人の住居、人の看守する邸宅、建造物などに侵入したとき」に成立する犯罪類型のことです。たとえば、駅は「電車を利用する人」が立ち入る場所であり、「盗撮行為をする人」の立ち入りは許可されていません。そのため、駅の管理人の許諾権に違反して侵入していると考えられるので、建造物等侵入罪が成立します。
建造物等侵入罪の法定刑は、「3年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑」です。
なお、撮影罪と建造物等侵入罪の両罪で捕まった場合には、建造物等侵入罪の被害者との間でも示談交渉をおこなう必要があるのでご注意ください。
盗撮で捕まった場合の刑事手続きの流れ
盗撮で捕まった場合の刑事手続きの流れは以下の通りです。
- 盗撮の容疑で逮捕される
- 盗撮の容疑について警察段階の取調べが実施される
- 盗撮事件が検察官に送致される
- 盗撮の容疑について検察段階の取調べが実施される
- 盗撮事件について検察官が公訴提起するか否かを判断する
- 盗撮事件が公開の刑事裁判にかけられる
盗撮の容疑で警察に逮捕される
盗撮事件を起こしたことが捜査機関に発覚すると、警察に逮捕されるのが一般的です。
盗撮に対する逮捕は「現行犯逮捕」が大半
現行犯逮捕とは、「現に罪を行い、または、罪を行い終わった者(現行犯人)に対する身柄拘束処分」のことです(刑事訴訟法第212条第1項)。通常逮捕とは異なり、逮捕状の発付手続きは必要とされません。また、警察官だけではなく一般私人でも現行犯逮捕は可能です(同法第213条)。
たとえば、デパートのエスカレーターで盗撮カメラ内蔵の靴を使って犯行に及んだところを警邏中の私服警察官に現行犯逮捕されると、そのまま警察署に連行されます。「別の日に出頭したい」「連行される前に家族に電話連絡を入れたい」などの要望は聞き入れてもらえません。
- 犯人として追呼されているとき
- 贓物や明らかに犯罪に使ったと思われる証拠物などを所持しているとき
- 身体や被服に犯罪の顕著な証跡があるとき
- 「盗撮犯だ!」と誰何されて逃走しようとするとき
盗撮は現行犯以外難しいが通常逮捕される可能性もある
盗撮行為の多くは現行犯逮捕されるのが一般的ですが、過去の盗撮行為が後から発覚して通常逮捕される可能性も否定できません。
たとえば、盗撮犯人がWeb上に流出させた動画像データがサイバーパトロールに見つかって、ログ解析などを経てデータをアップロードした人物が特定されると、過去の盗撮行為が捜査機関にバレるでしょう。
なお、過去の盗撮事件が掘り起こされるのは「公訴時効が完成するまで」です。たとえば、撮影罪の公訴時効期間は「3年」なので、盗撮行為から3年が経過すれば刑事訴追されるリスクは完全に消滅します。
盗撮の容疑について警察段階の取調べが実施される
盗撮で捕まった場合、強制的に警察署に連行されて、「警察段階の取調べ」を受けなければいけません。
警察段階で実施される取調べには「48時間以内」という時間制限が存在します(刑事訴訟法第203条第1項)。
取調べ自体に対してどのような態度をとるかは自由ですが、取調べ自体を拒絶することはできません(身柄拘束中の被疑者には受忍義務が課されています)。また、事情聴取以外の時間は留置場・拘置所に身柄を留められるので、帰宅することや家族・会社に電話連絡を入れることも不可能です。
盗撮事件が検察官に送致される
盗撮で捕まった後、警察段階の取調べが終了すると、身柄・事件・証拠物がすべて検察官に送致(送検)されます(刑事訴訟法第246条本文)。
ただし、微罪処分の対象になるケースでは、例外的に送検を免れ、警察段階で刑事手続きは終了します。
盗撮の容疑について検察段階の取調べが実施される
盗撮で捕まった後、送検されると、「検察段階の取調べ」が実施されます。
原則として、検察段階で実施される取調べの制限時間は「24時間以内」です(刑事訴訟法第205条第1項)。つまり、盗撮で逮捕された場合には、「合計72時間以内(警察段階48時間と検察段階24時間)」の身柄拘束期間が生じるということです。
ただし、盗撮事件の状況では、「72時間以内」だけでは公訴提起判断のために必要な取調べを実施できないケースも少なくありません。
そこで、「やむを得ない理由」によって72時間だけでは間に合わないときには、「検察官による勾留請求」が認められています(同法第206条第1項)。裁判官が勾留状を発付した場合には、被疑者の身柄拘束期間が「10日間~20日間」の範囲で延長されます(同法第208条各項)。
したがって、盗撮で捕まった場合には、公訴提起判断までに最長23日間の身柄拘束リスクに晒されるといえるでしょう。
盗撮事件について検察官が公訴提起するか否かを判断する
逮捕・勾留期限が到来する前に、検察官が盗撮事件を公訴提起するか否か(起訴か不起訴か)を決定します。
ただし、検察官の公訴提起判断には、「刑事裁判にかけられるかどうか」以上の意味をもつ点に注意が必要です。
なぜなら、日本の刑事裁判の有罪率は約99%以上とも言われているので、検察官が起訴処分を下した時点で有罪・前科が実質的に確定するからです。
したがって、「実刑判決だけはどうしても回避したい」「前科のデメリットは困る」と考えるなら「不起訴処分の獲得」は必須です。盗撮で捕まってすぐに私選弁護人に連絡をすれば、不起訴処分獲得に役立つ情状証拠を揃えてくれるでしょう。
盗撮事件が公開の刑事裁判にかけられる
検察官が起訴処分を下すと、盗撮事件は公開の刑事裁判にかけられます。
公開の刑事裁判が開廷される時期は、「起訴処分から1カ月~2カ月後」が目安です。公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審して後日判決が言い渡されます。これに対して、否認事件の場合には複数の公判期日をかけて弁論手続き・証拠調べ手続きが行われて判決言い渡しに至ります。
「たかが盗撮」と思われるかもしれませんが、過去に執拗な盗撮行為に及んでいたことが発覚すると、初犯でも実刑判決が下される可能性も否定できません。
かならず刑事裁判経験豊富な弁護士に相談をして、執行猶予付き判決獲得に向けた防御活動を展開してもらいましょう。
盗撮犯人の末路とは?捕まった場合に生じるデメリット6つ
盗撮で捕まった場合、盗撮犯には以下6つのデメリットが生じる可能性が高いです。
- 実名報道のリスクに晒される
- 長期間身柄拘束される危険性が生じる
- 家族・恋人・知人との信頼関係が崩れる
- 勤務先から懲戒処分を下される可能性が高い
- 学校から何かしらの処分を下される可能性が高い
- 前科によるデメリットが原因で今後の社会生活にさまざまな支障が生じかねない
実名報道のリスクに晒される
盗撮事件を起こして捕まった場合、テレビの報道番組やネットニュース等で実名報道される可能性があります。
もちろん、すべての刑事事件が実名報道の対象になるわけではありません。
しかし、近年性犯罪厳罰化の動きは強まっていますし、撮影罪(盗撮罪)が新設されるなど性犯罪法制の改正も積極的におこなわれているのが実情です。盗撮などの性犯罪に対する社会的関心度が集まっている現状を踏まえると、他の犯罪に比べて盗撮の実名報道リスクは高いといえるでしょう。
一度でも実名報道されると、身近な人に逮捕された事実がバレれしまいます。また、盗撮事件を起こした情報がインターネット上に一生残り続けてしまうため、今後の転職活動などにも支障が生じかねません。
長期間身柄拘束されるリスクに晒される
盗撮で捕まった場合、長期間身柄拘束されて日常生活から隔離されるリスクに晒されます。
まず、逮捕・送検されてそのまま起訴されたとしても、「72時間以内(3日以内)」の身柄拘束は避けることができません。
次に、逮捕後に勾留請求されたときには、身柄拘束期間が「最長23日間」に及ぶ可能性があります。
さらに、保釈請求が通らずに起訴後勾留が続くと、刑事裁判で判決が確定するまでの数カ月間(最低2カ月、1カ月ごとに延長)拘置所生活を強いられます。実刑判決が確定すると、そのまま刑期を満了するまで服役を強いられます。
また、盗撮で捕まった後に児童買春罪・不同意強制わいせつ罪・不同意強制性交等罪などの別件で捕まった場合には、さらに逮捕・勾留の期間が加算されかねません。
身柄拘束期間が長期化するほど被疑者の心身に過度な負担が生じます。そして、会社や学校にも欠勤・欠席の言い訳ができなくなるので、盗撮で捕まったことがどこかのタイミングでバレる可能性が高いです。これでは、最終的に不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できたとしても、普段通りの生活に復帰するのが困難になってしまいます。
家族や恋人・知人からの信用を失う
性犯罪に対する世間の目は厳しいので、盗撮で捕まった場合には、家族・恋人・知人との信頼関係が崩れる可能性が高いです。
たとえば、盗撮で逮捕されると配偶者に隠し通すのは難しく、離婚問題に発展しかねません。慰謝料請求や子どもの親権などの諸条件についても、有責配偶者であることを理由に不利な扱いを受けます。
また、盗撮で捕まったことが恋人や知人にバレると、今まで通りに連絡を取り合ったり関係性を継続するのも困難になってしまいます。被疑者の置かれた環境次第では、引越しや退学・転校などを検討せざるを得ない場面もあり得るでしょう。
勤務先にバレると懲戒処分を下される可能性が高い
盗撮で捕まったことが勤務先にバレると、懲戒処分を下される可能性が高いです。
一般的に、懲戒処分の種類は「戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇」に分類されます。どのような懲戒処分が下されるかは、就業規則の懲戒規定と盗撮事件の態様や普段の勤務態度などを踏まえて判断されます。
たとえば、複数の盗撮事件を起こして実名報道されて会社の社会的信用も毀損した場合や、盗撮事件で逮捕されたことがきっかけで児童ポルノ製造罪や強姦事件でも刑事訴追された場合などでは、諭旨解雇処分・懲戒解雇処分が下される可能性が高いです。
これに対して、泥酔中に出来心で1回限り盗撮に及んだものの被害者と早期に示談が成立して不起訴処分で済んだような場合には、戒告・譴責・減給・出勤停止・降格などの比較的軽い懲戒処分で済むこともあります。
なお、仮に懲戒処分の程度が軽くで済んだとしても、社内に噂が広がるだけで居辛くなりますし、昇進・昇給などは期待しにくくなる点に注意が必要です。
学校にバレると何かしらの処分が下される可能性が高い
学生が盗撮事件を起こして捕まった場合、学校から何かしらの処分が下される可能性が高いです。
学生に対する処分の内容は、学則・校則の規定にしたがって決定されます。
たとえば、盗撮事件を起こした学生の生活態度が芳しくなく、学校側では更生のサポートをしきれないと判断されたときには、退学処分が下されかねません。
これに対して、学生の更生支援に力を入れている学校の場合には、厳重注意や出席停止、停学処分などを通じて反省を促すだけのこともあるでしょう。
ただし、会社バレのケースと同じように、学校のクラスメイトに盗撮で捕まった事実がバレると、学校に通いにくくなりかねません。場合によっては、自主退学や転校を強いられることもあるのでご注意ください。
前科がつく可能性がある
盗撮で捕まって起訴されたときには、有罪判決が確定して刑事責任が追及されるだけではなく、前科がつく可能性が高いです。
前科とは、「有罪判決を受けた経歴」のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑も前科に含まれます。
そして、盗撮で捕まって前科者になると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。
- 前科情報は履歴書の賞罰欄への記載義務が生じるので、就職活動・転職活動が困難になる
- 前科を理由に制限される資格・職業に就いていると、家計が逼迫するおそれがある(士業・警備員・金融業など)
- 前科や逮捕歴は「法定離婚事由」に該当するので、配偶者に後からバレると離婚を拒絶できない
- 前科を理由にパスポート・ビザが発給制限を受けると、自由に海外旅行や海外出張に行けなくなる
- 前科がある状態で再犯に及ぶと、刑事処分が重くなる可能性が高い
盗撮で捕まった場合にはすぐ弁護士へ連絡を!社会復帰のためには早期の防御活動が不可欠
盗撮罪の新設など、近年性犯罪厳罰化の動きが強まっています。そのため、盗撮で捕まった場合には、法的責任だけではなく実生活に生じるデメリットを回避・軽減するために、できるだけ早いタイミングで効果的な防御活動に着手しなければいけません。
性犯罪弁護に強い弁護士は、早期の身柄釈放や軽い刑事処分(不起訴処分・執行猶予付き判決など)獲得のために、刑事手続きの段階に応じた防御活動を展開してくれるでしょう。
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