万引きの時効は何年?刑事・民事で見る時効の成立年数を解説

万引きの時効は何年?刑事・民事で見る時効の成立年数を解説
万引きの時効は何年?刑事・民事で見る時効の成立年数を解説

万引きは刑法に定められている窃盗罪が成立する犯罪です。10年以下の懲役または50万円以下の罰金に科される可能性がある犯罪であり、注意しなければいけません。

ただし、窃盗罪は犯罪が終了してから7年経過すると公訴時効を迎え、起訴することができなくなります。民事上の責任は3年もしくは20年経過した時点で時効が成立します。

この記事では、万引きを行ってしまった場合の刑罰や公訴時効・民事上の時効について詳しく解説しています。

万引きの公訴時効は7年

万引きは窃盗罪が成立し得ます。窃盗罪の公訴時効は7年であるため、万引きによる公訴時効は7年であると考えて良いです。ただし、公訴時効は停止する場合があるため注意しなければいけません。

まずは、窃盗罪の成立要件や公訴時効の期限、停止の要件等について詳しく解説します。

万引きは「窃盗罪」が成立

万引きは、刑法に定められている窃盗罪が成立します。窃盗罪は、以下のとおり明記されている犯罪です。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法|第235条

万引きは店舗等にある「他人の財物」を窃取した場合に成立する犯罪です。そのため、窃盗罪の成立要件は満たしていると考えられます。

万引き(窃盗罪)の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金であり、とても厳しい刑罰を受けることになります。特に常習性が高い場合は、厳しい処罰が下される可能性もあるため注意してください。

窃盗罪の公訴時効は7年

万引き(窃盗罪)の公訴時効は7年です。公訴時効の起算日は、犯罪をし終えたときです。万引きの場合、お店の商品を窃取してお店の敷地から出た場合に窃盗罪が成立します。

つまり、お店の敷地から出た日から起算して7年間経過すると、公訴時効が成立するということです。公訴時効が成立すると、公訴ができなくなります。公訴とは起訴のことを指します。

つまり、公訴時効を迎えると検察官は起訴できなくなるのです。このことから、公訴時効を迎えると、逮捕されることもありません。

【要注意】公訴時効は停止することがある

窃盗罪の公訴時効は、通常犯罪をし終えた日から7年経過すると成立します。しかし、公訴できない期間があった場合は、その期間の時効までの起算期間が停止します。

公訴できない期間とは、被疑者が海外へ逃亡や潜伏(逃亡目的ではない場合も)しており、起訴状を送付することができない期間です。この期間は時効が進行しないため、起算日としてカウントしません。

たとえば、万引きを行ってから時効が成立する前に1年間の海外生活を送っていた場合、実際は犯罪の日から8年経過するまでは時効が成立しません。自分が「時効は成立しているものだ」と勘違いをしている状態はとても危険です。十分に注意しましょう。

万引きによる民事上の責任時効は3年もしくは20年

万引きによる公訴時効は7年ですが、あくまでも「7年」という期間は刑事処分を下せる期間を指します。犯罪を行った場合は、刑事罰のみならず被害者側への民事上の責任も生じるため注意しなければいけません。

万引きにおける民事上の責任時効は、3年もしくは20年です。次に、万引きの民事上の責任の時効についても詳しく解説します。

万引きは民事上の賠償責任も負う

万引きは民事上の責任も負うため注意しなければいけません。民事上の責任とは、不法行為によって発生した損害を賠償する責任です。

たとえば、万引きを行った場合は商品を窃取しているため、商品分の損害が発生しています。また、店員が万引きを見つけて追いかけて転び、怪我をしてしまったとしましょう。この場合、治療費や休業補償料等も発生します。

つまり、不法行為による罰は、刑事罰のみならず民事上も負うことがあることを覚えておきましょう。

民事上の時効は3年もしくは20年で成立する

万引きを行った場合、民事上の責任を負う場合があります。ただし、民事責任もいつまでも発生するわけではなく、3年もしくは20年という期間が過ぎた場合は責任が発生しません。

まず3年で時効が成立するためには「被害者が犯罪被害と加害者を把握したときから」という条件があります。つまり、万引き被害を知り、また万引きを行った加害者を把握した場合、そのときから3年が経過した時点で民事上の時効は成立します。

一方、万引き被害が発覚しないもしくは加害者が発覚せずに20年経過した場合は、その時点で民事上の責任問題は生じなくなります。

つまり、万引きを行ったときに犯行が見つかった場合は、犯行日時から3年で民事時効が成立します。万引きを行い、店舗側が発覚せずにその場を逃げられた場合であり、その後も発覚することがなければ犯行日時から20年で民事時効が成立するということです。

万引きによる後日逮捕の可能性について

万引きを行った場合、後日逮捕されてしまう可能性があるため注意しましょう。その場を逃げられたとしても、警察へ通報をして捜査され、逮捕状を請求されて逮捕となるケースがあります。

次に、万引きによる後日逮捕の可能性について詳しく解説します。

万引きは「窃盗罪」であるため逮捕される可能性はある

万引きは刑法に定められている窃盗罪であり、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑罰が定められています。そのため、当然ながら逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。

逮捕の種類は「現行犯逮捕」「通常逮捕」「緊急逮捕」の3種類があります。万引きが発見されて、その場で警察官に逮捕された場合は現行犯逮捕が成立します。

いわゆる後日逮捕の場合は、通常逮捕です。通常逮捕は、ある日突然警察官が訪ねてきて逮捕状を元に逮捕し、あなたの身柄を拘束して取り調べを行います。

逮捕の種類はさまざまですが「逮捕」であることに違いはありません。いずれの場合も身柄を拘束されて取り調べを受けることになります。

被害額が軽微かつ初犯の場合は注意で終了するケースがある

万引きは窃盗罪が成立するものの、被害額が軽微の場合や初犯の場合は逮捕をせずに任意聴取を行い、最終的には注意で終了させる場合もあります。これを「微罪処分」と言います。

微罪処分となった場合は、検察官へ事件を送致されることはありません。仮に、逮捕されて身柄拘束されている場合であっても、即時釈放されて社会生活へ戻ることができます。

被害額が軽微かつ初犯の場合は、微罪処分となるケースは多いですが、本人の反省度合いによっても処分が変わります。そのため、犯罪を行った事実を認め、しっかり反省している態度を示すことも大切です。

悪質性が高い場合は罰金刑・実刑判決の可能性となる高い

悪質性が高い場合は、逮捕されてそのまま事件を送致されてしまう可能性があります。送致された場合は、検察官が事件を引き継ぎ、起訴するか不起訴とするかを判断します。起訴された場合は、99.9%の確率で有罪判決が下されるため注意してください。

判決の傾向は悪質性や常習性によっても異なりますが、最低でも罰金刑、最悪の場合は数年程度の懲役刑となるため注意しましょう。万引きであっても立派な窃盗罪である以上、刑務所へ収容されてしまう可能性もあります。

万引きを犯してしまった場合の対処法

万引きを犯してしまった場合の対処法は以下のとおりです。

  • 弁護士へ相談をする
  • お店側へ謝罪をする
  • 賠償金を支払って示談を成立させる

次に、万引きを犯してしまった場合の対処法について解説します。

弁護士へ相談をする

初めに弁護士への相談を検討しましょう。弁護士へ相談をすることによって、今後の対応方法等についてアドバイスを受けられます。また、少しでも処分を軽くするための弁護活動も行ってくれます。結果的に処分や判決が軽くなり、早期の社会復帰を目指せるようになります。

なお、犯罪を犯してしまった人は、無料で弁護士を呼べる制度もあります。しかし、これらは「逮捕されたあとに一度だけ」もしくは「勾留または正式起訴された場合」のいずれかです。

そのため、万引きをしてしまったけど逮捕や勾留を回避したい、といった場合は自分で弁護士を探して選任する必要があります。

お店側へ謝罪をする

万引きが発見されてしまった場合、素直にお店側に謝罪をしましょう。誠意を見せることによって許してもらえる可能性もあります。

とくに常習性が低い場合や被害額が軽微である場合、誠意を見せることによって見逃してもらえることがあるかもしれません。

万引きという犯罪を犯している者が初めから太々しい態度をとっていると、被害者である店舗側からも厳しい対応を取られることでしょう。また、厳しい処分が下されてしまうことになるため注意しましょう。

賠償金を支払って示談を成立させる

お店側に賠償金を支払うことによって、示談を成立させられる場合があります。賠償金の相場は、被害商品の金額+その他実際に受けた被害額程度です。

たとえば、万引きを見つけて追いかけて来た従業員が転んで怪我をしてしまった場合は、治療費や休業補償といった金額も加算されるでしょう。これらの金額をすべて合計して支払い、示談を成立させることで比較的軽めの処分が下される可能性が高まります。

一方で万引き被害が著しい店舗である場合、「示談交渉には断固応じない!」といった姿勢をとっている場合もあるため注意しましょう。

万引きの時効に関するよくある質問

万引きの時効に関するよくある質問を紹介します。

Q.時効が成立するとどうなりますか?

A.時効が成立すると公訴や賠償請求ができなくなります。

時効は公訴ができなくなる公訴時効と民事的な責任を負わせることができなくなる、民事上の時効があります。

公訴時効が成立した場合は、公訴ができなくなります。公訴とは起訴をすることであるため、「公訴時効を迎える=起訴できない」ということです。犯罪を犯してしまった者に対して刑事罰を与えるためには起訴をする必要があります。

しかし、公訴時効を迎えることによって起訴ができなくなるため、刑事罰を科すことができなくなります。よって、警察等に逮捕されることもありません。

民事上の時効を迎えると被害者は、犯罪を行った者に対して賠償金等の請求を行っても支払い責任は生じなくなります。

Q.万引きをして数年後に逮捕される可能性はあるのですか?

A.公訴時効を迎えるまでは、逮捕の可能性はあります。

万引き(窃盗)の公訴時効は犯罪を終えたときから7年間です。つまり、万引きを行ってから7年以内は逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。

たとえば、同じ店舗で何度も万引きを行っていた場合、過去の分も含めて立件されてしまい、逮捕されてしまう可能性も考えられます。また、万引きをしたことが店舗側で把握し、警察へ被害届出ていた場合、捜査を行って逮捕される可能性も当然に考えられます。

そのため、時効が成立するまでは窃盗罪に問われる可能性があるという認識で良いでしょう。

万引きは比較的軽微な犯罪であると認識されがちですが、窃盗罪という立派な犯罪です。当然ながら、逮捕されてしまう可能性はあるため注意してください。

Q.万引きの意思はなく、誤って持ち帰ってしまった場合は窃盗罪が成立しますか?

A.窃盗罪が成立するためには「他人の財産を自分の財産にしようとする意思」が必要であるため、誤って持ち帰った場合は窃盗罪になりません。

窃盗罪が成立するためには、上記のとおり「他人の財産を自分の財産にしようとする意思」が必要です。そのため、誤って持ち帰ってしまった場合は万引きとして窃盗罪が成立することはありません。

たとえば、小さい子どもが誤って持ち帰ってしまった場合や親のカバンに入れてしまった場合などさまざまな状況が考えられます。これらの場合は、窃盗罪は成立しません。

ただし、親が子どもを利用して窃盗を行っていた場合など、窃盗の意思がある場合は当然ながら罪に問われます。また、意思なく窃盗してしまった場合は、直ちに店舗へ商品を返却したりお金を払ったりして謝罪をしましょう。

Q.時効が成立すると何らかの通知が届いたりするのですか?

A.時効が成立しても何らかの通知が届くことはありません。

そもそも、窃盗を行った犯人や所在が発覚していれば、直ちに警察等が来て逮捕したり聴取をしたりします。時効が成立するということは、犯人が特定できていないもしくは、所在がわからないために逮捕できず、一定期間が経過してしまっています。そのため、何らかの通知を行うことはできません。

また、何らかの方法で告知されることもありません。よって、時効が成立しているかどうかは、自分自身で判断をする必要があります。誤った認識を持っていると、後から逮捕されてしまう可能性もあるため注意しましょう。

Q.万引きをした場合、自首をするとどうなりますか?

A.自首をすると事件が発覚して捜査対象となるでしょう。

自首とは、捜査機関が事件を認知していないもしくは被疑者を特定できていない場合に成立します。自首をすると罪が軽くなるという規定があり、万引きの場合は比較的軽微な犯罪であるため、処分も軽くなると考えて良いでしょう。

なお、自首をする前に一度被害者へ謝罪をしに行ったほうが良いでしょう。被害者側と示談が成立していれば、警察等も任意で聴取を行って微罪処分を下す可能性も高まります。また、お店側から警察へ通報しないケースもあるでしょう。

窃盗罪は親告罪ではないため、行った時点で警察の捜査対象となります。しかし、お店側が許した場合は、警察への通報も避けられる場合があります。結果的に捜査されない可能性もあるでしょう。

まとめ

今回は万引きの時効について解説しました。

万引きは刑法に定められている「窃盗罪」が成立します。窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金である重罪です。しかし、犯罪を行ってから7年経過すると公訴時効は成立するため、公訴できなくなります。民事上は3年もしくは20年経過した時点で時効が成立します。

もしも今、万引きを行って罪悪感に苛まれているのであれば、被害者であるお店へ行って直接謝罪をするのもひとつの手段です。一人で不安な場合は、弁護士へ相談をしたうえでアドバイスをもらっても良いでしょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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