煽り運転してしまった場合どうなる?下される処分内容について詳しく解説

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煽り運転となる行為は、違反となるものが多く、違反点数に加えて反則金の支払いを命じられる可能性があります。また、悪質な煽り行為の場合は、妨害運転罪が適用されてしまうため注意しなければいけません。

この記事では、煽り運転の定義や罰則について詳しく解説しています。煽り運転をしてしまった場合、今後どのようなことが起こり得るのかについても解説しているため、参考にしてください。

煽り運転の定義と違反・罰則規定

煽り運転と呼ばれる行為の定義と違反・罰則規定は以下のとおりです。

煽り運転 罰則
車間を詰める行為 車間距離不保持
車両の前に出て急ブレーキ 急ブレーキ禁止違反
蛇行運転 通行区分違反
無理やり車の前に出る 進路変更禁止違反・追い越し違反
ハイビームで走行 減光等義務違反
クラクションを鳴らす 警音器使用制限違反
高速道路上での低速運転・停車行為 最低速度違反・駐停車違反
その他 安全義務違反

まずは、煽り運転行為となり得る行為とそれぞれの違反・罰則規定について解説します。

車間を詰める行為|車間距離不保持

前を走っている車との車間距離を極端に詰める行為は「車間距離不保持違反」となります。車間距離不保持違反による違反点数は、一般道で全車両1点です。反則金は以下のとおりです。

車両 反則金
大型車 7,000円
普通車・二輪車 6,000円
原付 5,000円

高速道路上で車間距離不保持違反となった場合、違反点数は全車両2点です。反則金は以下のとおりです。

車両 反則金
大型車 12,000円
普通車 9,000円
二輪車 7,000円

 

車間距離は「前の車が急停止しても追突しない距離」と定義されています。目安としては、60キロ以下で走行中の場合は「速度−15キロ=安全な最低限の車間距離」です。たとえば、60キロで走行している場合は45メートル以上の車間距離をあける必要があります。

60キロを超える場合は、速度と同じ距離以上の車間をあけなければいけません。

そのため、極端に車間を詰めて走行していると煽り運転と見なされてしまうため注意しなければいけません。。車間距離不保持の違反点数や反則金は上記のとおりですが、妨害運転と見なされた場合はより重い罰則規定があるため注意しましょう。

車両の前に出て急ブレーキ|急ブレーキ禁止違反

前を走っている車の前に出て、急ブレーキを踏む行為は急ブレーキ禁止違反となり、煽り運転に該当するため注意してください。

前を走っている車の前に出る、いわゆる追い越し行為自体はその道路規制状況によって違反とならない可能性もあります。しかし、相手に怒りの態度を示す目的で急ブレーキを踏み、後ろを走っている車に危険を与える行為は違反行為です。

急ブレーキ禁止違反に問われた場合は違反点数2点、反則金7,000円の罰則です。

また、突然急ブレーキを踏む行為は、自分自身も大きな傷害を追う恐れがある行為であるため、絶対にやめましょう。とくに後ろを走っている車が大型トラックであった場合、止まれずに追突されて大事故につながる恐れがあります。

仮に追突を避けられたとしても荷崩れによる賠償金を請求される可能性があります。

現在、多くの車でドライブレコーダーが付いているため、違反の証拠として残ってしまう可能性が高いです。そのため、煽り運転は絶対にやめましょう。

蛇行運転|通行区分違反

煽り運転の対象となっている車の前方もしくは後方で蛇行運転を行う煽り運転です。この行為は、通行区分違反という違反になります。蛇行運転は、対向車線にはみ出したり後続車もしくは前方車に危険を感じさせたり不安を感じさせたりした場合であっても成立し得ます。

通行区分違反に問われた場合の違反点数は2点、反則金は普通車・二輪車で6,000円、大型車で7,000円です。

また、蛇行運転は煽り運転に該当するため、妨害運転罪が適用される場合もあり、一髪免許取り消しとなる可能性もあるため絶対にやめましょう。

無理やり車の前に出る|進路変更禁止違反・追い越し違反

無理に前の車の前に出る行為は、進路変更禁止違反もしくは追い越し違反となる可能性があります。たとえば、黄色い車線を跨いで進路変更をした場合や並走している車の前に割り込んだりする行為が禁止されています。

単純な進路変更は道路上で禁止されている場合を除いて違反とはなりません。しかし、煽る目的で何度も車線変更を繰り返していると進路変更禁止違反に問われる可能性もあるため注意が必要です。

進路変更禁止違反の違反点数は1点、反則金は普通車・二輪車で6,000円、大型車で7,000円です。また、妨害運転罪が適用される可能性もあるため注意してください。

ハイビームで走行|減光等義務違反

ハイビームでの走行は減光等義務違反に問われます。本来、夜間はハイビームでの走行が原則です。しかし、対向車がいる場合もしくは前方に車両がある場合は、減光(いわゆるロービーム)にしなければいけません。

単純に切り替えを忘れて走行してしまった場合は、減光等義務違反として違反点数1点、反則金6,000円になります。

煽り運転を目的としてハイビームで走行をした場合も、減光等義務違反もしくは妨害運転罪に問われる可能性があるため注意しましょう。

クラクションを鳴らす|警音器使用制限違反

クラクションを鳴らして良い状況、場所は道路交通法によって以下のとおり定められています。以下以外で無闇にクラクションを鳴らす行為は、警音器使用制限違反となるため注意してください。

  • 「警笛鳴らせ」の標識があるところ
  • 警笛区間
  • 危険な場合でやむを得ない状況
  • 左右の見通しの悪い交差点

基本的には危険がある場合に自分の存在を相手に知らせたり、危険を回避する目的でクラクションを使用します。そのため、上記以外の目的でクラクションを鳴らすと警音器使用制限違反となり、違反点数なし反則金3,000円です。また、2万円以下の罰金もしくは科料となる可能性もあるため注意しましょう。

【科料とは?】
科料とは1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる罰のことです。1万円以上の金銭納付を命じる罰は罰金刑と呼びます。

高速道路上での低速運転・停車行為|最低速度違反・駐停車違反

高速道路上での低速運転や停車行為は最低速度違反もしくは駐停車違反に問われます。

高速道路では最低速度を時速50キロと定められています。そのため、時速50キロ以下で走行していた場合は、最低速度違反となるため注意しましょう。なお、最低速度違反の反則金は6,000円、違反点数は1点です。

また、運転免許証を持っている人であればすべての人が知っているはずですが、高速道路上は原則駐停車禁止です。「原則」というのは、故障等で自動車を動かせなくなった場合などやむを得ない事情がある場合は、三角表示板や発煙等などで後続車に知らせなければいけません。

上記のようなやむを得ない事情がないにも関わらず、高速道路上で駐停車した場合は、妨害運転罪が適用される可能性があります。

高速道路上の駐停車は、原則「故障車両表示義務違反」となり、反則金は普通車・二輪車で6,000円、大型車で7,000円、違反点数は1点です。

しかし、上記違反はあくまでも故障車両(やむを得ない事由)で停車した場合であって、必要な措置を講じなかった場合に成立する違反です。そもそも、故障者等やむを得ない事情がないにも関わらず、高速道路上に駐停車する行為は危険であり禁止されています。

つまり、たとえば相手の行為や運転に腹を立てて自分の車を停車させ、相手の車も停車させるような行為は、そもそも「故障車両表示義務違反」ではありません。この行為は非常に危険な行為であり、妨害運転(著しい交通の危険)によって処罰される可能性が高いです。

妨害運転(著しい交通の危険)は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。さらに違反点数は35点となり、免許の取り消し(欠格3年)の厳しい罰則があります。

とくに高速道路上での駐停車等の煽り運転は非常に危険です。絶対に行わないでください。

その他|安全義務違反

その他の行為が安全義務違反に該当する可能性があります。安全義務違反とは、すべてのドライバーは、運転をする際に安全に配慮する義務があります。この安全義務に違反した場合に安全義務違反として反則金や違反点数が加点されることになるため注意が必要です。

たとえば、急な加減速や幅寄せ等の煽り行為は、とても危険であり、結果的に何らかのことが発生した場合は安全義務違反として反則金や違反点数の加点がなされます。

煽り運転によって下される3つの処分

煽り運転を行うと以下の処分が下される可能性があります。

  • 行政処分
  • 民事処分
  • 刑事処分

上記いずれかの処分が下されるわけではなく、すべての処分が下される可能性があるため注意しなければいけません。次に、煽り運転を行った場合に下される可能性がある犯罪について詳しく解説します。

行政処分

行政処分とは、行政上の処分を指します。たとえば、煽り運転を行うと違反点数が加点されたり反則金の支払いを命じられたりします。これらの処分が行政処分です。

また、煽り運転によって妨害運転罪に問われた場合は、違反点数25点もしくは35点が加点されます。これは、一発で免許取り消し処分となり、欠格期間も設けられています。

上記のような処分が「行政処分」です。行政処分では、あくまでも行政的な処分しか下せません。

民事処分

民事上の処分とは、民事責任のことを指します。たとえば、煽り運転をして人を死傷させてしまった場合、損害賠償の責任を負います。

たとえば、壊れた自動車の修理費用やケガをした相手の治療費、休業補償や慰謝料を支払わなければいけません。これは、すべての人の義務であり、被害者は損害賠償請求を行う権利があり、加害者は損害賠償責任を負う義務があります。

刑事処分

刑事処分とは、刑事上の責任を負うことを指します。たとえば、煽り運転を行って人を死傷させた場合、加害者となる人は妨害運転罪や危険運転致死傷罪で罪に問われてしまう可能性があります。これが刑事処分です。

たとえば、妨害運転罪の刑事罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」もしくは「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科されます。異なる刑事罰が設けられている理由は、他の自動車にどの程度の危険を与えたかどうかで判断されます。

高速道路上で車両を停止させたような場合、非常に危険であるため、妨害運転罪の「著しい交通の危険」となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。また、妨害を目的とした煽り運転の場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになるでしょう。

このように、煽り運転を行った場合は行政処分として運転免許証に影響を与え、民事処分として損害賠償責任を負います。さらに、刑事罰として罰金刑を受けたり懲役刑を受けたりする可能性があるため注意しなければいけません。

煽り運転によって問われる罪

煽り運転を行うと以下のような罪に問われる可能性があります。

  • 妨害運転罪
  • 危険運転致死罪

次に、煽り運転によって問われる恐れのある「罪」について詳しく解説します。罪とは刑事罰のことを指します。実際、どういった刑罰が下されるのかについても詳しく解説しますので、煽り運転をした場合のリスクとして覚えておいてください。

妨害運転罪

2020年に煽り運転に対する規制を強化するため、道路交通法が改正され、「妨害運転罪」が創設されました。

妨害運転罪では、いわゆる煽り運転の行為(先ほど紹介した行為)を行い、「交通の危険の恐れ」もしくは「著しい交通の危険」があった場合に成立する犯罪行為です。

交通の危険の恐れと著しい交通の危険、それぞれの定義は難しいです。しかし、煽り運転という行為自体が、交通の危険の恐れがあることは間違いありません。そのため、煽り運転=妨害運転(交通の危険の恐れ)であるという認識を持っていたほうが良いです。

そして、煽り運転の結果、人の生命を危険に晒すようなことがあったときには、より厳しい「著しい交通の危険」が認められるため注意してください。たとえば、「高速道路上で車を停車させた」というような場合です。

交通の危険の恐れが認められた場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に加えて、行政罰として違反点数25点、免許取り消し(欠格期間2年)です。

【欠格期間とは?】
欠格期間とは、運転免許資格が失われてから新たに運転免許を取得できるまでの期間です。欠格期間2年とは、免許取り消しから2年経過しなければ、新たに運転免許を取得できません。

「著しい交通の危険」が認められた場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。さらに、行政罰として違反点数35点となり、免許は取り消し(欠格期間3年)です。

なお、欠格期間はこれまでの実績等に応じて最長10年です。最悪の場合、10年間は新たに運転免許を取得できなくなってしまうため、注意してください。

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪とは、危険な運転が原因で人を死傷させた場合に成立する犯罪です。たとえば、飲酒運転をして人を死傷させた場合や運転免許を持っていない人が自動車を運転し、人を死傷させた場合などに成立します。

本来であれば、危険な状態で運転をして人を死傷させた場合に成立する犯罪ですが、煽り運転であっても成立すると解釈されています。とくに煽り運転のように危険な行為で人を死傷させた場合は、本罪が成立するため要注意です。

ちなみに危険運転致死罪の法定刑は被害者が負傷の場合で15年以下の懲役、死亡した場合は1年以上の有期懲役となります。非常に厳しい罰が下されるため注意してください。

煽り運転に関するよくある質問

煽り運転に関するよくある質問を紹介します。

Q.煽られるような運転をしているドライバーを取り締まる法律はないのですか?

A.煽られる原因となる行為によっては違反となる場合があります。

たとえば、1車線しかない高速道路で低速走行している車両が目の前にいた場合、つい、車間距離を詰めてしまうことがあるかもしれません。車間距離を詰めるという行為は、当然ながら煽り運転に該当します。

また、低速走行している車両も走行している速度によっては、最低速度違反に問われる可能性があります。

他にも、急な割り込みをしてきたり、右側車線をずっと走行していたりなど、煽られる原因次第では違反となる場合もあるでしょう。ただし、煽られる運転をしていたとしても、煽って良いわけではありません。

どのような理由があったとしても、お互いに心に余裕を持って運転をしなければいけません。

Q.つい、煽り運転をしてしまいました。今後どうなるのでしょうか?

A.具体的にどういった行為があったかによって今後の対応は異なります。

現在は、多くの車にドライブレコーダーが取り付けられています。そのため、あなたが行った行為はほぼ確実にドライブレコーダーに記録されていると考えて良いです。当然、車両のナンバーも記録されているため、内容次第では後日逮捕となる可能性もあります。

煽り運転といってもその内容はさまざまであり、実際に交通の危険の恐れがあった場合や著しい交通の危険があった場合は、処罰される可能性が高いです。

一方で、「煽ったつもりはないけど、少し車間が近かったかな……」と、後から反省する程度のことであれば、とくに心配する必要はないでしょう。

もし、不安であれば自分の車両に取り付けられているドライブレコーダーの映像を確認したうえで早めに弁護士へ相談をして手を打っておくのもひとつの手段です。

Q.煽り運転で逮捕される可能性はありますか?今後、どのように対処すれば良いですか?

A.煽り運転によって「交通の危険の恐れ」もしくは「著しい交通の危険」があった場合は、道路交通法の妨害運転罪によって処罰されます。

妨害運転罪は、交通の危険の恐れで「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。著しい交通の危険があった場合は、「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される恐れがあります。

また、煽り運転の結果人を死傷させたような場合は、危険運転致死傷罪が適用される場合もあるため要注意です。

上記はいずれも刑事罰の対象となるため、逮捕される可能性があります。とくに、現在は多くの車両でドライブレコーダーを設置しているため、煽り運転の程度が著しく、危険な場合は逮捕の可能性も覚悟しておいたほうが良いでしょう。

もし、不安なことがあるのであれば、あらかじめ弁護士へ相談をしておくと良いでしょう。今後の流れや取り調べ時のアドバイスなどを受けられます。

まとめ

今回は、煽り運転をしてしまった場合の罰則や対処法について解説しました。

現在、煽り運転は厳罰化されており、その行為が原因で交通の危険を生じさせた場合は厳しく処罰される可能性があるため注意しなければいけません。

煽り運転をする人の言い分としては、「煽り運転をされるような運転をしている人が悪い」かもしれません。この言い分にも一部納得できる部分はあります。しかし、どのような事情があれ、煽り運転をして良い理由にはなりません。

自動車を運転する人は、すべての人が気持ちに余裕を持ち、安全運転を心がけましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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