違法漫画サイトの運営・利用で逮捕される可能性はある?違法サイトの見分け方も解説

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違法漫画サイトの運営は、著作権法という法律によって厳しく処罰されます。また、閲覧している人は、刑事罰で処罰される可能性は低いものの、さまざまなリスクが伴うため注意しなければいけません。

今回は、違法漫画サイトの運営・利用で問われる犯罪の種類や、処罰されてしまう可能性等について詳しく解説をします。もしも今、「違法漫画サイトではないか?」と疑われるサイトを利用されている人は本記事をぜひ参考にしてください。

違法漫画サイトの開設・利用で問われる犯罪

違法漫画サイトは、違法に漫画をアップロードしているサイトなどのことを指します。本来、漫画はお金を出して単行本を購入したりWEB上で閲覧したりするためのものです。

漫画家は、漫画を描いて生計を立てているため、違法にアップロードされてしまえば漫画家の売り上げに大きく影響を与えます。まずは、違法漫画サイトの開設。利用によって問われる犯罪について詳しく解説をします。

サイト運営者は「著作権法」に違反する

サイトを運営している人は「著作権法」に問われる恐れがあります。著作権法とは、人の著作物などを守るための法律です。

そもそも「漫画」は、漫画家と呼ばれる人たちがストーリー構成を組み、絵を描いて週刊誌や単行本、あるいはインターネット上に公開します。漫画家は読者に「おもしろい」と思ってもらうために考え、努力をしています。

そして、一生懸命作成した漫画は世に出回り「この漫画を読みたい」と思った人はお金を払い、その漫画を読むことができる仕組みです。そして、読者が支払ったお金は漫画家や関係各所に支払われ、漫画家や関係者の生活を維持できています。

しかし、違法漫画サイトのように不当にアップロードされた漫画が公開されたらどうなるでしょうか。

多くの読者は「この漫画を読みたい」と思っても、お金を支払わずに見れるサイトへ移ります。結果的に、漫画家や関係各所へお金が回らなくなってしまい、多大な損失が発生することになるでしょう。

上記のような状況を防止するために「著作権法」という法律があります。著作権法は、人が制作したもの等は著作権(権利)として守り、侵害されないようにしています。

もし、人が制作したものを無料で勝手に公開できてしまえば、多くの漫画家やアーティストといった芸術家は活動できなくなってしまいます。なぜなら、人は衣食住を確保しなければいけず、お金を稼がなければいけないためです。

上記のことから、違法漫画サイトは著作権法という法律によって裁かれることになるでしょう。

利用者は原則違法にならない

現状で、違法漫画サイトにアップロードされた漫画を閲覧する行為は、違法にはなりません。ただ、違法漫画サイトはさまざまなリスクがあるうえに、漫画家やその他関係者の利益を損害する行為であり、許されるべきではありません。

「違法とならない行為=やっても良い」ということでは絶対にありません。道徳的な話であり、違法性はないものの絶対に閲覧するべきではないでしょう。

なお、違法アップロードされた漫画を視聴すること自体に違法性はありません。しかし、反復継続的にダウンロードした場合は、運営者同様「著作権法」によって裁かれる可能性があるため注意しましょう。

違法漫画サイトの運用・利用で逮捕される可能性

違法漫画サイトは、著作権法違反に抵触する犯罪であり、当然逮捕される可能性があります。ただし、著作権法は罪を犯したからといって直ちに犯罪となるわけではありません。

次に、違法漫画サイトの運用・利用で逮捕されてしまう可能性について詳しく解説します。

親告罪であるため著作権者からの親告が必要

著作権法は「親告罪」です。そのため、著作権者からの親告がなければ、逮捕されることはありません。親告罪とは「被害者による告訴が必要な犯罪」を指します。

つまり、たとえば漫画を実際に書いている著作権者が違法漫画アップロードをしている人に対し、告訴(処罰を求めること)をする必要があります。

通常、「犯罪=即時逮捕」とイメージをされる人も多いでしょう。実際、殺人罪や強盗罪、窃盗罪などニュース等で見聞きする犯罪は、非親告罪と呼ばれ、被害者からの告訴がなくても警察が捜査をしたり逮捕をしたりすることができます。

しかし中には、著作権法のように親告罪と呼ばれる犯罪があります。親告罪の場合は、被害者からの申告が必要となるため、必ずしも逮捕されたり処罰されたりすることはありません。

たとえば、違法漫画サイトであっても、多くの人にあまり知られていないサイトであれば漫画家が知ることは少ないでしょう。この場合、漫画家からの告訴が行われることはなく、直ちに処罰されることがないのです。

ただ、過去に実際に発生したような違法漫画サイト「漫画村」のように大きくなり過ぎてしまうと、多くの人の目に留まります。当然、漫画家等も発見し、告訴し始めることでしょう。結果的に、漫画村の運営者は著作権法違反で処罰されています。

親告がある場合は逮捕の可能性がある

著作権の侵害は「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」であり、罰則規定のある犯罪です。そのため、逮捕される可能性のある犯罪であることを認識しておいたほうが良いでしょう。ただし、「著作権者等からの告訴(親告)がある場合」に限られます。

先ほども解説したとおり、著作権法は権利者からの親告が必要です。よって、親告があった場合は、逮捕される可能性があると認識しておけば良いでしょう。

また、逮捕とはあくまでも被疑者の身柄を拘束する一つの手続きにしか過ぎません。漫画家等が求めることは、実際に受けた被害に対する損害賠償やサイト運営者に対する刑事罰です。そのため、逮捕がすべてではないことも覚えておきましょう。

違法漫画サイトを閲覧しているだけでは違法にはなりません。そのため、逮捕されることもありません。ただし、漫画を違法にダウンロードをしていたなど、著作権法に抵触する何らかの事情がある場合は逮捕の可能性があります。また、処罰される恐れがあります。

違法漫画サイトを利用するリスク

違法漫画サイトは、利用者からすると「無料で漫画を見れるサイト」であるためとてもお得に感じるでしょう。また、閲覧しているだけでは違法性がないということであれば、「まあ大丈夫か」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、違法漫画サイトを利用するリスクは「捕まる・捕まらない」の話だけではありません。実際、以下のようなリスクもあるため注意しましょう。

  • ウイルスに感染する恐れ
  • 悪質なサイトへの誘導
  • 個人情報漏洩のリスク
  • 通信量増大リスク

次に、違法漫画サイトを利用するデメリットについても詳しく解説します。

ウイルスに感染する恐れ

違法漫画サイトは、さまざまな目的を持って運営されています。大半は違法漫画サイトにアフィリエイト広告をつけて収益を出すためのサイトです。

一方で、アクセスしてきたスマートフォンやPCに対してウイルスを仕込もうとしているサイトもあるため注意しなければいけません。

ウイルスに感染することにより、起動していないアプリを勝手に起動されたり、知らない電話番号に電話をかけられて莫大な通話料金を請求されたりする恐れがあります。さらに恐ろしいのは、クレジットカード番号等の情報を搾取されるケースです。

とくに、キャッシュレスが普及している現代においては、「スマートフォン一台で何でもできる。財布代わりにしている」という人も多いのではないでしょうか。キャッシュレスの情報を抜き取り、ダークウェブ等で販売したりするケースが多いです。

また、多いのが「ウイルスに感染しました」と表示させて金銭を要求する方法です。自分のスマートフォンやパソコン、あるいは会社のスマホ・パソコンで「ウイルスに感染しました」と出ればほとんどの人が焦るでしょう。

実際にウイルスに感染していないケースもありますが、上記のように表示されることにより、少数の人がお金を支払ってしまう事例は多くあります。

また、違法漫画サイトの運営元は海外であるケースが多く、日本の刑罰で処罰できない、捜査をできないといった自体になることも多いため注意しなければいけません。

悪質なサイトへの誘導される恐れ

ゲームアプリなどを利用していると「広告を見なければ先へ進めません」といったことがよくあります。これは、違法漫画サイトも同様です。「クリックしなければ先へ進めません」のように表示して悪質なサイトへ誘導し、「ウイルスへ感染しました」などと表示して金銭を要求します。

また、悪質なサイトへ誘導することでウイルスに感染させる方法もあります。いずれにせよ、違法漫画サイトはさまざまな危険があることを頭に入れておくようにしましょう。

個人情報漏洩のリスク

違法漫画サイトへの流入は、個人情報漏洩のリスクがあるため注意してください。とくに、スマホもしくはパソコンの利用者がわからない状態でウイルスに感染している場合は要注意です。

スマホやパソコンの中には、自分のSNSのログインID・パスワードや決済手段などさまざまな情報が入っています。

これらの情報は高値で売却されることも多く、「お金になる情報」です。そのため、ウイルスに感染させたうえでスマホやパソコン内に入っている情報を抜き取り、売却し、さまざまな被害を受ける可能性があるため注意しなければいけません。

通信量増大リスク

ただ「漫画サイトで漫画を視聴しているだけ」であるにも関わらず、膨大な通信量を請求されてしまう可能性があります。通常利用の範囲を超え、場合によってはスマホ利用料の金額が跳ね上がる可能性もあるため注意が必要です。

とくに「毎月◯Gまで」などと決められているプランで契約をしている人は要注意です。

違法漫画サイトの見分け方

違法漫画サイトかどうかを見極める方法は以下の3通りです。

  • 有料・無料で判断
  • 広告の有無で判断
  • 「ABJマーク」の有無

次に、違法漫画サイトの見分け方について詳しく解説をします。

本来有料の漫画が無料かどうか

本来有料で販売されている漫画が無料で閲覧できる状態になっているサイトは、違法漫画サイトである可能性を疑ったほうが良いです。

本来、漫画サイトを運営する場合は、著作権者に対して著作権使用料を支払わなければいけません。そのため、無料で閲覧できている漫画サイトは、著作権者に対して著作権使用料を支払っていない可能性が高いです。この場合、違法サイトであると判断して良いでしょう。

また、漫画サイトの中には「1話無料」などとしているところがあります。このように1話無料のサイトは違法漫画サイトである可能性は低いと判断をして良いです。

漫画を読もうとしている人は、多くの場合「もともと知っていて読んでみたいと思った漫画」もしくは「読者が好きだから」「面白そうだから」といった興味で読み始める場合の2パターンです。とくに後者の場合は「読者の興味を引くために1話無料で閲覧してもらう」というのはとても有効です。

なぜなら「興味はあるけど、まずは試し読みしたい」と考える人が大多数であるためです。1話読んでみて「面白い」と思えば、次話以降お金をかけてでも読んでくれます。

そのため、必ずしも「閲覧が無料=違法漫画サイトである」といった判断はできません。あくまでも、すべてもしくは大半の漫画を無料で視聴できる場合は、注意したほうが良いということです。

広告が多いかどうか

違法漫画サイトは、広告の有無でも判断が可能です。とくに違法漫画サイトの場合、収益を上げるためにアフィリエイト広告をたくさん貼っているケースが多いです。有名な違法漫画サイト「漫画村」でも運営者が「莫大なアフィリエイト広告による利益をあげていた」と話しています。

上記のように多くの広告がある場合は、「違法漫画サイトではないか?」と疑ってみたほうが良いでしょう。

本来の漫画サイトであれば、読者が購入したコイン等で漫画を閲覧することにより、一部の収益を得られる仕組みになっています。そのため、広告が多いサイトは違法漫画サイトである可能性を疑ったほうが良いでしょう。

また、表示されている広告をクリックすることでウイルスに感染してしまう可能性があります。そのため、違法漫画サイトである可能性が疑われる場合は、絶対に広告へクリックしないようにしましょう。

「ABJマーク」の有無

ABJマークとは。著作権者から承諾を得て電子書籍もしくは電子書店サービスを行っていることを証明するための登録商標です。そのため「ABJマーク」が記載されている漫画サイトの場合は、安心して利用できるサイトであると判断して良いです。

また、「JEBA」もしくは「JEBC」の会員であれば、なお安心して利用できる漫画サイトであると判断できます。もし、「違法漫画サイトではないか?」と疑われる場合は、上記マークの確認や上記会員かどうかの確認をしてみると良いでしょう。

違法漫画サイトに関するよくある質問

違法漫画サイトに関するよくある質問を紹介します。

Q.自分で購入した漫画を撮影して友人と共有するのは犯罪ですか?

A.著作権法違反となる可能性が高いため、絶対にやめましょう。

たとえ自分でお金を払って購入した漫画であっても、撮影をして友人と共有する行為は犯罪です。一方で、自分で購入した単行本を友人に貸し出すのは違法ではありません。

上記の違いは、貸しているか複製して共有しているか、といった点です。

単行本を貸すという行為は、自分の所有物を他人に貸し出す行為であり、違法性はありません。一方で、自分が購入した漫画を撮影(複製)し、友人へ共有する行為は「複製物を他人に譲渡している」ことになるため許されません。

Q.合法な漫画サイトのアカウントを共有して複数人で閲覧するのは違法ですか?

A.漫画サイト側でアカウント共有を許可されている場合は、違法にはなりません。

たとえば、漫画サイトの中にもサブスクリプション形式で運営しているところはあります。また、家族アカウントの作成等が可能なものもあり、そういったサイトであれば共有しても問題はありません。

また、先ほども解説したとおり「漫画を貸す」という状況であれば違法性は問われません。とはいえ、漫画サイトによってはアカウントの共有を禁止しているところもあるため、そういった場合はサイト側の利用規約に違反する可能性があるため注意してください。

Q.違法漫画サイトはどのように収益をあげているのですか?

A.主にアフィリエイト広告からの収入です。

アフィリエイト広告とは、違法漫画サイトに訪れた人に広告を見せ、広告をクリックしたり商品を購入したりすることによりサイト運営者に一部料金が支払われる仕組みです。

また、違法漫画サイトの中には、ウイルス感染をさせたり個人情報を抜き取ったりしてその情報を売って利益をあげているところもあります。そのため、違法漫画サイトである可能性が高いところは絶対に利用しないこと、広告をクリックしないことに注意してください。

まとめ

今回は、違法漫画サイトについて解説をしました。

違法漫画サイトは、著作権法違反によって処罰される可能性のある犯罪です。親告罪ではあるものの、規模が大きくなればなるほど知られてしまう可能性が高いため要注意です。

また、刑事罰のみならず民事上で莫大な損害賠償金の支払いを命じられることもあります。そのため、「刑事罰のみならず民事上の責任も負う可能性がある」と認識しておきましょう。

違法漫画サイトの利用者は著作権法で処罰されることはありません。しかし、漫画家の利益を損害していることを自覚しましょう。また、さまざまなリスクが伴うことを考え、絶対に利用しないようにしてください。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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