違法アップロードは何罪になる?意外と知らない違法行為について詳しく解説

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違法アップロードとは、他人の著作物を違法にアップロードする行為を指します。著作物は著作権という権利で守られ、著作権法という法律で具体的な違法内容について明記されています。

この記事では、違法アップロードの定義やよくある事例、万が一罪に問われてしまった場合の対処法等について詳しく解説しています。違法アップロードについて詳しく知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次

違法アップロードとは

違法アップロードとは、簡単に言うと「他人の著作物を違法にアップロードすること」です。人が作った物は著作物であるため、著作権者の同意なしにアップロードすることが禁止されています。

また、違法にアップロードされた事実を知りながら、ダウンロードする行為も違法です。まずは、違法アップロードとはどういったものなのか?について、詳しく解説します。

他人の著作物を違法にアップロードすること

他人の著作物を違法にアップロードする行為は法律で禁止されています。たとえば、映画を見に行くと映画泥棒(カメラ男)が踊りながら「映画の撮影・アップロードは禁止」と伝えています。

映画は映画を作った人のものであり、その人が著作権者です。そのため、著作権者の許可なしに映画の一部または全部を撮影し、SNS等に投稿する行為は違法です。

そもそも「著作物」とは著作権法によって以下のとおり定義されています。

(定義)
第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一著作物思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

引用:著作権法|第2条

つまり、人の想像等によって作成された文芸・学術・美術・音楽等が著作物です。そのため、映画も当然著作物となります。そして、「アップロード」とはネットワークを通じてSNSやクラウド上に送信することです。

そのため、上記で説明したとおり「人が制作した映画(著作物)を違法に撮影し、アップロードする」行為は著作権法違反となります。ただし、著作権者の許可がある場合はこの限りではありません。

たとえば、アーティストのライブに行った際「会場の撮影・アップロードはおやめください」と言われることがあります。この場合は、会場を撮影したりアップロードしたりすると著作権法違反になります。

一方で、著作権者本人が「これから歌う歌は撮影して良いです!SNS等に投稿しても良いです!」といった場合は、撮影やアップロードをしても違法性はありません。上記のように著作権者の許可の有無によって、違法アップロードとなるかどうかが変わります。

違法にアップロードされたものをダウンロードするのもNG

「アップロード」の反対語は「ダウンロード」です。アップロードは、許可されていない著作物をSNS等やクラウド上に送信すること。一方で、ダウンロードとはアップロードされているものを自分のスマホやパソコン等に入れることです。

著作権者の許可を得ずに著作物をアップロードすることは、著作権法で禁止されています。逆も然りで、違法にアップロードされていることを知っていながら、ダウンロードをする行為も違反となるため注意しなければいけません。

たとえば、DVDを借りて再生されている映像をスマホで撮影し、その動画をSNSに投稿したとしましょう。この時点で違法アップロードとなります。その後、SNSを見たユーザーが「この映画はおもしろい」と感じ、違法にアップロードされている動画をダウンロードしたとしましょう。

上記の場合は、アップロードした者とダウンロードした者の双方が罪に問われることになるため注意してください。ただし、違法ダウンロードの場合は「違法にアップロードされていることを知りながら」という前提があります。

つまり、違法アップロードであることを知らなかった場合は、たとえダウンロードしたとしても違法性はありません。

違法アップロードによって問われる罪

違法アップロードによって成立する犯罪は、基本的に「著作権法」です。ただし、アップロードした内容が児童ポルノ禁止法に該当する可能性もあるため注意しなければいけません。

次に、違法アップロードによって問われる可能性のある犯罪について、詳しく解説します。

著作権法違反

著作物は「著作権法」という法律によって守られています。著作権法は、著作物や著作権者を守るための法律であり、違反した場合は罪に問われる可能性があるため注意しなければいけません。

違法アップロードの法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」です。非常に厳しい罰則規定がある犯罪であるため注意しなければいけません。

【併科とは】
併科とは、同時に2つ以上の刑罰を科すことです。

著作権法という法律が存在する理由は、著作権者を守るためです。たとえば、漫画家は自分の書いた漫画で生計を立てています。おもしろい漫画を描いて、多くの人に購入してもらうことによって自分や出版社に利益がでます。

しかし、せっかくおもしろい漫画を描いても違法アップロードされてしまえば、漫画家の収入は激減してしまいます。なぜなら、人はおもしろいものであっても、お金を払わずに読めるのであれば、お金を払わない方法を選択するためです。すべての人がお金を支払わずに楽しむとは限りませんが、多くの人が選択するでしょう。

極端なことを言うと、漫画をおもしろいと思っている人が1万人いたとしましょう。1万人が漫画を購入してくれれば、数百万円程度の売り上げになります。しかし、違法アップロードが認められていれば、1人が代表して漫画を購入し、アップロードすると9,999人は無料で漫画を楽しめてしまいます。

1万人は満足するかもしれませんが、著作権者である漫画家はせっかくおもしろい漫画を描いても売り上げはまったくありません。

つまり、違法アップロードを認めることによって、著作権者や関係者の利益を大きく害することになるのです。このような事態を回避するために著作権法という法律が存在しているのです。

アップロードした内容次第で児童ポルノ禁止法違反

アップロードした内容次第では、児童ポルノ禁止法違反に処される可能性もあるため注意しなければいけません。児童ポルノ禁止法では、以下のような行為を禁止しています。

  • 所持
  • 製造・提供
  • 不特定多数への提供・公然と陳列
  • 児童ポルノ製造目的の売春
  • 児童ポルノの製造目的の盗撮

児童ポルノの対象となる人は「18歳未満の子ども」です。そして、違法アップロードは
「不特定多数への提供・公然と陳列」に該当します。つまり、18歳未満の被写体を不特定多数への提供もしくは公然と陳列した場合は、児童ポルノ禁止法違反に該当します。

違法アップロードは「ネットワークを通じてSNSやクラウド上に送信すること」です。そのため、児童ポルノをSNSに投稿した場合も違法アップロードに該当します。

そして、SNSへの投稿は「不特定多数への提供」もしくは「公然と陳列」に該当するため、児童ポルノ法違反に該当するということになります。

児童ポルノ禁止法の法定刑は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」であり、非常に厳しい罰則規定のある犯罪であるため注意しましょう。

児童ポルノ禁止法違反では18歳未満の被写体を不特定多数へ提供したり公然と陳列したりする行為を禁止しています。しかし、前提として児童ポルノを所持すること自体が禁止であるため、そもそも著作物かどうかといった点で問題となることがあります。

わいせつ物頒布等罪

わいせつ物を違法に頒布した場合は、わいせつ物頒布等罪に該当します。頒布とは「広く行き渡らせること」といった意味合いがあります。たとえば、他人が製造した猥褻物を著作権者の許可なく頒布した場合は、わいせつ物頒布等罪に該当します。

同罪は刑法に定められている犯罪であり、法定刑は「2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金または科料」です。

科料という刑罰も罪を犯した人に対して、金銭を支払わせるものです。ただし、1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる処分を科料、1万円以上の金銭納付を命じる処分を罰金特別しています。

【注意】違法アップロードとなる事例7選

違法アップロードの定義は、「他人の著作物を違法にアップロードすること」です。何らかの目的を持って意識的に違法アップロードを行う人も多いですが、中には違法の認識を持たずに違法アップロードを行っていることもあります。

具体的には以下のような事例で違法アップロードを行っているケースがあるため注意しましょう。

  • 借りたCD・DVD等を複製して第三者に渡す
  • 番組・動画の切り抜き動画を投稿
  • カラオケで楽しんでいる動画をSNS等に投稿
  • キャラクターをSNSのアイコン等に設定
  • 自分で購入した漫画を撮影してSNS等に投稿
  • 許可されていない音楽を動画のBGMとして使用してSNS等に投稿
  • ゲーム実況動画の投稿

次に、何気なく行っていたことが違法アップロードとなってしまうケースについて詳しく解説します。もし、自分が上記行為をしていた場合は罪に問われる可能性もあるため注意しましょう。

著作権法は「親告罪」です。つまり、罪を犯したからといって直ちに違反となるわけではありません。著作権者からの親告(告訴・告発)があった場合に初めて、犯罪として成立します。そのため、過度に心配をする必要はないものの、注意事項として覚えておいてください。

借りたCD・DVD等を複製して第三者に渡す

レンタルビデオ店等で借りたCDやDVDを複製して第三者に渡す行為は、著作権法違反になり得ます。

現在においては、サブスクリプションの普及によりCDを借りたりDVDを借りたりすることは少なくなってきています。しかし、過去にCDやDVDを借りて複製し、第三者に渡していた経験がある人は違法であるため注意しましょう。

たとえば、CDを借りてミュージックプレイヤーに入れていた経験をしたことがある人は多いでしょう。この行為自体に違法性はありません。しかし、あなたが借りたCDで友人等複数人のミュージックプレイヤーに音楽を入れるのは著作権法違反になり得ます。

通常、初めにパソコン等に音源を入れたうえでミュージックプレイヤーに入れます。そのため、CDを返却したあとも友人等に頼まれて音楽を入れてあげた。という経験者も多いでしょう。この行為はNGとなるため注意しましょう。

現在は、サブスクリプションの普及により、CDやDVDを借りる機会は少なくなりました。代わりに、サブスクリプションのアカウントを共有している人もいるでしょう。サブスクリプションの共有については、許可されている場合と許可されていない場合があります。まずは、登録しているサブスクリプションを確認のうえ、対応を検討してください。

番組・動画の切り抜き動画を投稿

テレビ番組や映画、各種動画サイトで投稿されている動画はすべて著作物です。そのため、著作権者の許可を得ずに切り抜いて投稿すると違法であるため注意してください。

動画視聴サイトではよく、切り抜き動画として投稿されている人が多くいます。その大半は不許可のものであり、違法アップロードされているものです。

違法アップロードされている動画であることを知っていながら、ダウンロードすることも違反です。そのため、動画投稿サイトに投稿されている動画をダウンロードする際も注意しましょう。

YouTubeなど個人が動画投稿をしている場合、中には切り抜き動画の許可を得て投稿している人もいます。そのため、すべての動画が直ちに違法アップロードに該当するわけではありません。あくまでも「著作権者の許可なしに」という前提が必要です。

カラオケで楽しんでいる動画をSNS等に投稿

カラオケで楽しんでいる動画をSNS等に投稿する行為も違法アップロードに該当します。そもそも、カラオケで流れる音源の著作権は、カラオケ会社に帰属しています。

そのため、カラオケ内で音源と共に歌を歌っている姿を撮影し、SNS等に投稿をしてしまうと著作権法違反となる可能性があるのです。逆に言えば、音源を消していたりアカペラで歌っている姿であれば問題はありません。

歌は誰かの著作物です。そのため、中には「アカペラで歌う行為も著作権侵害になるのではないか?」と考える人もいるでしょう。しかし、直ちに著作権法違反となるわけではありません。著作権法違反となるのは「歌詞を歌った場合」に限定されています。

キャラクターをSNSのアイコン等に設定

著作権の付いているキャラクター等をSNSのアイコンに設定している場合、著作権法違反となる可能性があります。直ちに著作権法違反となるわけではないものの、利用承諾を得ていない状況でアイコンに設定してしまえば、違法となる可能性があることは覚えておきましょう。

なお、先ほども解説したとおり著作権法は「親告罪」です。そのため、著作権者からの告訴等がなければ罪に問われることはありません。著作権者が一人一人の個人に対して著作権侵害を主張することはほとんどないため、過剰に心配する必要はないでしょう。

ただ、著作権侵害であることに間違いはないため、利用許可を得ているキャラクター等を使用するかフリー素材を使用するかしたほうが良いでしょう。

自分で購入した漫画を撮影してSNS等に投稿

自分で購入した漫画を撮影してSNS等に投稿する行為も違法アップロードに該当します。たとえ、自分でお金を支払って購入した漫画であっても、その漫画には著作権が付いているためなんでも許されるわけではありません。

自分でお金を払って購入した漫画であっても、撮影してSNS等に投稿する行為は、漫画家の収入を減らす原因とする行為です。著作物を守る著作権法に違反していることとなり、処罰の対象となるため注意しなければいけません。

ただし、あなたが購入した漫画を友人とシェアすることは禁止されていません。簡単に言えば漫画の貸し借りは何ら問題はないということです。そのため、友人等におもしろい漫画をシェアしたい場合は、単行本のシェアを検討しましょう。

なお、著作権法に触れるかどうかの定義は「複製物を他人に譲渡している」で判断をすると良いでしょう。

許可されていない音楽を動画のBGMとして使用してSNS等に投稿

SNS等に自身で制作した動画を投稿する際、BGMを付ける人も多いでしょう。しかし、この行為が違法であると判断されるケースもあるため注意しなければいけません。

具体的には、利用承諾を得ていない音楽を無断で動画のBGMとして設定する行為は著作権法に抵触します。そのため、動画のBGMとして音楽の利用を検討されている場合は、利用承諾を得ている楽曲を選ぶ必要があります。

たとえば、フリー素材やお金を支払って利用承諾を得ている楽曲等でなければいけません。

ゲーム実況動画の投稿

著作権者の承諾を得ることなくゲームの実況動画をアップロードした場合は、著作権法違反となるため注意してください。

最近では、動画投稿サイト等を利用してゲームをプレイしているところを配信している人も増えてきました。動画配信を行う際は、ゲームを制作する会社等、著作権者からの利用承諾を得ている必要があります。

万が一、利用承諾を得ずにゲーム実況動画を投稿していると、著作権法に抵触してしまうため注意しなければいけません。通常、ゲームを制作しているゲーム会社が著作権を持っているため、ゲーム配信を検討されている人は、事前に問い合わせをしておきましょう。

違法アップロード・ダウンロードされた作品を視聴しても罪に問われない理由

他人の著作物を違法にアップロードしたり、違法にアップロードされたことを知っておきながらダウンロードしたりする行為は法律に違反します。しかし、知ってか知らずか違反を行っている人は大勢います。

その大半が罪に問われることもなく、また、自分が悪いことをしているという自覚も持っていません。その主な要因としては、以下のことが挙げられます。

  • 著作権者の告訴が必要
  • 違法ダウンロードの証明が難しい
  • 視聴自体に問題はない

次に、違法アップロード・ダウンロードをしても実際に罪に問われるケースが少ない理由について詳しく解説します。

著作権者の「告訴」が必要であるため

著作権法は著作権者による「告訴」がなければ罪に問うことはできません。告訴とは、犯罪被害者や犯罪被害者の法定代理人が捜査機関に対して、犯罪事実を申告して処罰を求める意思表示をすることです。

たとえば、漫画の違法アップロードしている人を発見した場合、著作権者である漫画家本人もしくは漫画家の法定代理人による告訴が必要です。

通常、犯罪が起きると警察等の捜査機関は事件について捜査を開始します。たとえば、遺体が発見された場合は告訴(告発)がなくても捜査を開始するのは当然です。

上記のような犯罪を「非親告罪」と言います。非親告罪は被害者や被害者遺族等からの告訴・告発を必要としていません。しかし、犯罪の中には著作権法のように被害者等からの告訴が必要な犯罪があります。これを「親告罪」と言います。

親告罪の場合、被害者等による告訴が必要であるため一人一人に対応をしていると相当な手間と労力が必要です。そのため、ある程度被害がでていない場合は、大半の著作権者は告訴を行いません。

有名な「漫画村事件」では、被害額が3200億円に及んだと言われています。このように、高額な被害額が出ている場合や実害が出ている場合を除いて、ほとんどの著作権者は告訴をしないため、違法アップロード・ダウンロードをしても罪に問われるケースが少ないのです。

違法ダウンロードは証明が難しいため

違法ダウンロードを証明するのはとても難しいです。そもそも、違法アップロードされた著作物を視聴しただけでは違法性はありません。あくまでも、違法にアップロードされていたことを知りながらダウンロードした場合に違法となります。

仮に、パソコンやスマートフォンの中に違法アップロードされた著作物が保存されていたとしても、「違法にアップロードされたことを知っていた」という事実を証明するのは非常に困難です。そのため、実情として違法ダウンロードによる事件化は難しいです。

視聴自体に問題はないため

違法アップロードされた著作物を視聴しただけでは、著作権法違反となりません。あくまでも「違法アップロードされたと知りながら、ダウンロードした場合」に成立します。

そのため、そもそも違法アップロードされた著作物をネット上で楽しんでいただけであれば、違法性はなく罪に問うこともできません。違法アップロードであることを知っている人の大半は、違法ダウンロードに関する知識もあるため、ネット上で楽しむ人が多いです。

結果的に犯罪として成立しないため、著作権法として処罰するのが難しくなります。

違法アップロードで逮捕されないために

違法アップロードは「知らずに行っていた」という人も少なからずいます。たとえば、カラオケで歌っている姿を撮影して動画投稿サイトに投稿してしまった。映画でおもしろいシーンがあってSNSで投稿してしまった。

上記のように悪気もなく違法アップロードをしてしまっている人も大勢います。上記のことで直ちに罪に問われる可能性は低いものの、可能性としてはゼロではありません。

そのため、今後万が一にも違法アップロードで逮捕されないために、これから解説する注意事項を覚えておいてください。

著作権法について理解する

著作権法について理解をしておくことで、著作権法違反に問われるリスクを軽減できます。著作権法による著作物の定義は「人の想像等によって作成された文芸・学術・美術・音楽等」です。著作物を著作権者の利用承諾を得ずに利用するのが法律違反となります。

カラオケや漫画、音楽、映画やキャラクターなど世の中にはさまざまな著作物があります。これらの著作物を利用者の利用承諾を得ずに利用するのがNGとなり、罪に問われる可能性があるのです。

そのため、先ほども紹介したようにカラオケで歌を歌っている姿を投稿したり、SNSのアイコンにキャラクター等の著作物を投稿したりするのが法律違反です。そのため、著作物を利用する際は、事前に違法性がないかどうかを確認しておくようにしましょう。

違法行為が発生しないように注意する

著作物を違法にアップロードした場合に罪に問われる可能性があります。そのため、著作物を利用する際は、事前に「違法行為ではないか?」と一度立ち止まって考えることが大切です。

この世の中にはさまざまな著作物があります。素敵な音楽があったりおもしろい漫画、映画があったりします。これらを友人同士で共有したいと考えるのは当然です。

しかし、著作物である以上、著作権者がいることを忘れてはいけません。自分が好きなものであるからこそ、著作権者の存在を理解して適切に対応していく必要があるでしょう。

他人の著作物を利用する際は、フリー素材となっているかどうかをまずは確認し、フリー素材でない場合は利用承諾を得なければいけないことを覚えておくと良いでしょう。不安がある場合は、利用しないという選択を検討することも大切です。

違法アップロードをしてしまった場合の対処法

違法アップロードをすると最悪の場合、罪に問われてしまう可能性があります。違法アップロードの場合は、違法であることの認識有無に関わらず罪に問われる可能性があるため注意しなければいけません。

そのため、違法アップロードに気付いた時点で以下の対処法を検討したほうが良いでしょう。

  • コンテンツの削除
  • 著作権法への理解を深めて反省をする
  • 被害者と示談交渉を行う
  • 不安な場合は弁護士へ相談をしても良い

次に、違法アップロードをしてしまった場合の対処法について詳しく解説します。

コンテンツの削除

初めに、直ちにコンテンツの削除を行いましょう。違法アップロードに気付いた時点で早期にコンテンツを削除することで、処罰を免れる可能性があります。

なぜなら、著作権法はそもそも「告訴」がなければ罪に問うことはできないためです。今はまだ著作権者に気付かれていない可能性もあるため、早めにコンテンツを削除してしまいましょう。

そうすることで著作権者の目に留まるリスクを抑えられ、結果として処罰を回避できる可能性があります。違法アップロードに気付いてもなお、継続的に違反を行っていると遅かれ早かれ著作権者に告訴される可能性があるため注意してください。

著作権者は「自分の著作物を広く知れ渡らせたい」と考えているかもしれません。この場合、あえて告訴をしないケースもあります。また、一人一人の個人に対して告訴をしていればキリがありません。そのため、著作権者の意向を汲んだうえで対応を検討することも大切です。

著作権法への理解を深めて反省する

万が一、著作権者に告訴されてしまった場合は、著作権法への理解を深めて2度と同じことの内容に反省をしましょう。違法アップロードは相当悪質ではない限り、告訴されてしまうケースは稀です。

とはいえ、著作権者は告訴をする権利があります。自分の著作物を不当に利用されていると感じれば、当然のように告訴をします。「このくらいであれば大丈夫」や「自分が拡散してあげてる」といった意識を持つのはやめましょう。

著作権者の著作物であることを理解し、著作権法についてもしっかりと理解したうえで今後同じことがないように反省をしましょう。

また、違法アップロードは悪質ではない限り、罪に問われて処罰されるケースは少ないです。仮に罪を犯して告訴されたとしても、しっかり反省している態度を示すことで実際に発生した賠償金程度で示談が成立するでしょう。

示談が成立すれば不起訴処分や減刑もあり得ます。示談を成立させるためには、賠償金はもちろんのこと「反省している態度」が非常に重要です。そのため、理解を深めて反省をしましょう。

被害者と示談交渉を行って賠償金を支払う

被害者に告訴されてしまった場合は、被害者である著作権者と示談交渉を進めて賠償金の支払いを検討しましょう。

被害者が告訴するということは、違法アップロードの程度が著しいと判断されたためでしょう。実害が発生している可能性も高く、被害に対する賠償金を支払う必要があります。

そのため、告訴されてしまった場合は初めに被害者である著作権者と示談交渉を行い、反省している態度を示し、賠償金+慰謝料の支払いを相談してください。

通常、示談交渉を行う場合は弁護士を介して行います。示談金の相場もさまざまな状況によって変化するため一概には言えません。まずは弁護士に相談をしたうえで示談交渉を進め、成立させることを目指してください。

示談交渉が成立した場合、不起訴処分となったり減刑されたりなどさまざまなメリットに期待ができます。そのため、まずは告訴された事実を知った時点で早期に弁護士へ相談することを強くおすすめします。

不安な場合は弁護士への相談を検討する

自分が違法アップロードをしていることに気付いた場合や著作権者から告訴されてしまった場合等、不安がある場合は弁護士へ相談をしてみてください。弁護士への初回相談は30分〜1時間5,000円〜1万円程度で可能です。

とくに軽微な違法アップロードの場合は「とくに心配することはありません」と言われて終了するケースが大半です。本記事でも解説している通り、実際に違法アップロードをしてしまったとしても、損害が発生している場合を除いて告訴されるケースは稀です。

とはいえ、「気付かずに犯罪を犯してしまった……」という罪悪感がある人は、弁護士へ相談をしてみても良いでしょう。弁護士へ相談をすることによって安心できるのであれば尚更です。

また、告訴されてしまった人も弁護士へ相談をされたほうが良いでしょう。告訴された場合は、捜査機関からの捜査の対象となっています。遅かれ早かれ警察等による露理調べが開始されるため、早めに弁護士へ相談をしておいたほうが安心です。

違法アップロードで逮捕された場合の流れ

違法アップロードは著作権法に違反する行為であり、法定刑は最大で「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」です。重大な犯罪であるため、当然逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。

万が一、違法アップロードで逮捕されてしまった場合、今後どのような流れで事件が進んでいくのか?と不安に思っている人も多いのではないでしょうか。

次に、違法アップロードで逮捕されてしまった場合の流れについて詳しく解説します。不安がある人は、これから解説する内容を参考にしてください。

逮捕

違法アップロードは犯罪であるため、逮捕されてしまう可能性があります。逮捕とは、罪を犯した疑いのある人の身柄を拘束するための手続きです。罪を犯したからといって、必ずしもすべての人を逮捕するわけではなく、主に逃亡・証拠隠滅の恐れがあると判断された人や重大な罪を犯した人を対象に行います。

違法アップロードは著作権法違反であり、法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」です。犯罪の程度次第ではありますが、比較的軽微な場合は逮捕せずに捜査を行うケースもあります。

逮捕せずに捜査を行う場合は、「在宅捜査」として扱われます。在宅捜査と逮捕された事件(身柄事件)の主な違いは身柄の拘束が発生しているかどうかです。つまり、その後の手続きに大きな差はありません。

仮に、在宅事件として捜査が進められた場合、警察等の捜査機関から任意聴取という形で呼び出しが行われます。あくまでも「任意」であるため、応じる応じないは自分次第です。

ただし、事件の捜査対象(被疑者)となっている以上、任意聴取に応じなければ身柄事件に切り替えられる可能性もあるため注意しなければいけません。そのため、たとえ「任意」であっても、逮捕を回避するためにも素直に応じたほうが良いでしょう。

そして、逮捕された身柄事件の場合、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致しなければいけません。これを「身柄付送致」と言います。一方で、在宅捜査の場合は送致までに時間の定めはありません。また、一般的には「書類送検」と呼びます。

勾留請求

身柄付事件の場合、警察は逮捕から48時間以内に検察官へ送致しなければいけません。送致された事件について、検察官はさらに24時間以内に引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があるかどうかについて判断をします。

判断基準は逮捕時と同様であり、証拠隠滅や逃亡の恐れはあるか?犯罪の程度はどうか?といった点で判断されます。

身柄拘束の必要がないと判断されれば、そのまま在宅事件に切り替わる流れです。一方で、身柄拘束の必要があると判断された場合は、検察官は裁判所に対して「勾留請求」というものを行います。

勾留請求を行うために、被疑者を裁判所へ連れて行きます。その後、裁判官からの勾留質問を経て、最終的に交流の必要があるかどうかについて裁判官が判断をするのが流れです。

その後、勾留請求が認められると初めに10日間の勾留が認められます。ただ、実務上はさらなる勾留延長が認められる傾向であり、プラス10日で合計20日間の勾留となるケースが大半です。

勾留が確定すると、私選弁護人が付いていない被疑者に対しては、国選弁護人が選任されます。

起訴・不起訴の判断

勾留されている事件の場合、検察官は勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。起訴された場合は、そのまま刑事裁判を受ける、もしくは略式起訴という形で罰金刑が確定して事件が終了します。

略式起訴(略式命令)とは、通常通りの刑事裁判を行わずに事件を終了させるための手続きです。100万円以下の罰金に対して行える手続きであり、刑事裁判を行わずに事件が終了するため、刑事裁判を受ける場合と比較して早く社会復帰できる点がメリットです。

一方で、刑事裁判が開かれないため、自分自身の弁解をする機会が与えられません。言い分があっても言う機会を与えられない点がデメリットです。

そして、実際に違法アップロードという罪を犯していたとしても、必ずしも起訴されるとは限りません。被害者である著作権者と示談交渉が成立している場合や、罪の内容が比較的軽微である場合は、不起訴処分とすることもあります。

そのため、まずは弁護人とよく相談をしたうえで不起訴処分を取りに行くのか、減刑を目指すのかといった方向性を擦り合わせましょう。

在宅事件の場合、起訴・不起訴の判断までに時間制限はありません。通常は、書類送検から2カ月〜3カ月程度で起訴・不起訴の判断が行われます。この間は、在宅事件であるため社会生活を送れますが、検察等の呼び出しには応じる必要があります。

刑事裁判を受ける

正式起訴された場合は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では、あなたが行った事件について審理し、有罪か無罪かを判断します。違法アップロードを行った事実がある以上、無罪判決となる可能性はほぼゼロです。

そのため、違法アップロードの罪を犯し、著作権者から告訴されている事実がある場合は、ほぼ確実に有罪判決が確定します。その後、刑罰をどの程度にすべきかを決定し、判決として言い渡します。

どのような判決であれ、有罪判決が確定した時点で前科として残ります。前科があると、社会生活を送るうえでさまざまな弊害が発生します。

判決に従って刑に服する

有罪判決が確定した場合、その刑罰に従って刑に服する必要があります。著作権法の法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」であるため、この範囲内で刑罰が確定します。

罰金刑であれば、罰金を支払うことで刑務所への収監は免れます。ただし、罰金を支払えなければ、労役場留置となるため注意しましょう。

懲役刑が確定した場合、執行猶予付の判決が下されなければ、一定期間刑務所へ収容されます。最長10年ではあるものの、実際の犯罪の程度によって数年程度の刑罰が確定すると思っておけば良いでしょう。

【執行猶予とは?】
執行猶予とは、直ちに刑罰の執行をせずに一定期間猶予することを言います。たとえば判決では、「懲役3年ただし、刑の執行を4年間猶予する」のように言われます。あなたに対する刑罰は「懲役3年」ではあるものの、この刑罰を直ちに執行せず、4年間執行を猶予して社会に戻すための制度です。4年の間、何事もなく過ごせれば懲役3年という刑罰は執行されません。

違法アップロードに関するよくある質問

違法アップロードに関するよくある質問を紹介します。

Q.違法アップロードの罪に問われる可能性は低いですか?

A.違法性の程度によるため一概には言えません。

違法アップロードは著作権法違反に問われる可能性のある犯罪です。犯罪ではあるものの、親告罪であるため著作権者からの告訴がなければ罪に問われることはありません。

上記のことから、違法アップロードされたすべての著作物に対して直ちに罪に問われるとは考えにくいです。実際、著作権者が違法アップロードしている一人一人に対して告訴していてはキリがありません。

また、とくに損害が発生していない場合は、あえて手間をかけて告訴をする著作権者は少ないでしょう。逆に、多大な損害が発生している場合は、告訴をして処罰を求めるでしょう。

上記のように違法アップロードをしたからといって、直ちに処罰されるかどうかは一概に言えません。あくまでも被害者である著作権者の処罰感情によるものであることを覚えておきましょう。

Q.違法アップロードの罪に問われた場合、どのくらいの刑罰となりますか?

A.「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」の範囲内で刑罰が確定します。

違法アップロードは著作権法違反となります。同法の法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」であるため、この範囲内で刑罰が確定することになります。

とくに違法アップロードとしての行為が著しく、著作権者等に対しても多大な損害が発生している場合は厳しい判決が下されることになるでしょう。

著作権法違反として有名な「漫画村」の運営者に対して下された判決は、懲役3年、罰金1,000万円、追徴金約6,257万円です(罪状は著作権法違反・組織犯罪処罰法違反)。なお、漫画村の運営者は執行猶予が付かずに実刑判決となり、刑務所へ収監されています(現在は景気満了により出所)。

Q.著作権者から賠償金を請求された場合、支払う義務がありますか?

A.支払う義務があります。

賠償金は、実際に発生した損失に対する賠償金であるため、違法アップロードをして著作権者の利益を外している以上支払い義務は発生します。もし、著作権者から請求されている賠償金額に納得ができない場合は、民事裁判で争うことになります。

最終的には、裁判の判決によって強制力が発生する流れです。基本的には裁判で賠償が確定したとしても自分の意思で支払いを求めます。裁判確定後も支払いを拒否し続けた場合は、強制執行となる可能性もあるため注意しましょう。

強制執行となった場合は、給与所得者であれば給与の差し押さえが行われる可能性があります。給与所得者以外であっても、銀行口座のお金が差し押さえられる可能性もあるため注意してください。

Q.収益を得なければ違法アップロードになりませんか?

A.収益を得ていなくても違法アップロードは成立します。

違法アップロードは「著作権者の利用承諾を得ずに違法にアップロードすること」です。そのため、収益の有無は一切関係ありません。また、仮にあなたが収益を得ていなかったとしても、著作権者の利益を害している場合は厳しく対処される可能性が高いです。

たとえばあなたが「多くの人にこのおもしろい漫画を読んでほしい」と考え、違法漫画サイトの運営を開始したとしましょう。あなたは、純粋に「多くの人にシェアしたい」という思いからサイト運営をしているため、収益化は検討していません。

しかし、あなたが善意のつもりでやっている行為は漫画家の利益を外していることになります。そのため、著作権者である漫画の処罰感情は強くなり、告訴されてしまう可能性はあるでしょう。

上記のように告訴をするうえで違法アップロードをしている者が収益を得ているかどうかは一切関係ありません。そもそも著作権法とは、著作権者を守るための法律であるため、著作権者の利益を害する行為があれば罰せられる可能性があります。

Q.違法アップロードの定義がよくわかりません。教えてください。

A.著作物を著作権者の利用承諾を得ることなくアップロードすることです。

著作権法による著作物の定義は「人の想像等によって作成された文芸・学術・美術・音楽等」です。これらを作った人が著作権者です。

著作権法では、著作者の利益を守るために「著作権者の利用承諾を得ずに著作物をアップロードしてはいけない」と定めています。つまり、「著作物を著作権者の利用承諾を得ずに勝手にアップロードしてはいけない」というのがこの法律です。

上記に違反をすると違法アップロード(著作権法違反)として処罰されることになります。

たとえば、あなたが作った歌はあなたの著作物です。そして、あなたが作った歌が多くの人に聞かれたとしましょう。中には、「有名な曲ではないから、自分の歌ってことにして売り出そう」と考える人がいるかもしれません。

もし、上記のような考えの人がいた場合、本来あなたが作った歌であなたが得られるはずだった利益を得られなくなります。そういった自体を回避するために著作権という権利で守り、罰則規定を設けているのです。

まとめ

今回は、著作権法違反(違法アップロード)について解説しました。著作権法という法律は、人の想像等によって作成された文芸・学術・美術・音楽等(著作物)と著作権者の利益を守るための法律です。

著作物はさまざまな人がさまざまな思いを持って作成した作品です。そのため、他人が侵害をすることは決して許されません。

違法アップロードは、多くの人が著作権に対する理解が浅く、犯罪である意識なくやってしまっています。今一度他人の著作物を利用する際は著作権について確認し、犯罪とならないように注意したほうが良いでしょう。

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