逮捕後の手続きについて弁護士相談は可能?弁護士へ相談するメリットを解説

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逮捕はある日突然行われます。そのため、突然のことで不安な気持ちになる人も少なくはありません。そのため、逮捕された場合にあなたの唯一の味方となる「弁護人」の存在が必要不可欠です。

弁護人への相談は、被疑者に認められている権利です。そのため、原則あなたの自由なタイミングで弁護人を依頼することが許されています。しかし、弁護人制度はさまざまであるため、どのように相談をすれば良いかわからない人も多いでしょう。

この記事では、弁護人への相談方法やタイミングについて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

逮捕された後に相談できる弁護士とタイミング

逮捕された場合は、弁護士への相談が可能です。多くの人は「逮捕」という経験をせずに人生を終えます。しかし中には、何らかの事情から逮捕をされてしまう人も少なくはありません。

これまで経験したこともなく、突然の逮捕に驚き、今後どのように事件が進んでいくのか?と不安を抱えている人も多いでしょう。そういった場合は、まずは弁護士へ相談をすることを検討しましょう。

逮捕後に弁護士へ相談する方法には以下のものがあります。

  • 当番弁護人制度
  • 国選弁護人制度
  • 私選弁護人制度

まずは、上記弁護人制度を利用できるタイミングやメリット、注意事項や呼び方について詳しく解説します。

刑事事件においては、弁護士のことを「弁護人」と呼びます。本記事でも「弁護人」と記載しますが、弁護士と変わりはないため覚えておいてください。

当番弁護士

当番弁護人制度とは、逮捕された被疑者が一度だけ弁護士を呼ぶことのできる制度です。当番弁護人は、逮捕された後に無料で呼ぶことのできる制度であり、原則読んでから24時間以内に当番に指定されている弁護士が被疑者の元へ駆けつけてくれます。

被疑者とは?
被疑者とは、犯罪の疑いをかけられている人のことを指します。逮捕された者も「被疑者(ひぎしゃ)」と呼びます。

逮捕された被疑者は逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致されるため、当番弁護人もスピード感を持って対応してくれます。

当番弁護人は逮捕後に「一度だけ」という制限があることから、継続的な弁護活動を目的とはしていません。あくまでも今後の流れや取り調べに応じる際の注意事項、アドバイスを行うのみです。

当番弁護人を呼ぶ際は、警察官等に「当番弁護人を呼んでほしい」と伝えるだけで良いです。また、被疑者自ら上記のように伝えなくても、警察等のほうから「当番弁護人を呼ぶことができます」と説明されることがあるため、その際に「呼んでほしい」と伝えれば良いでしょう。

当番弁護人を呼ぶメリットは、「自分の不安を解消できる」という点です。逮捕は、ある日突然行われ、強制的に身柄拘束が行われます。そのため、「今後どのようになるのだろうか?」など、さまざまな不安を抱えている人が多いです。

上記のような不安を少しでも解消するために、弁護士があなたにアドバイス等を行います。また、同時にさまざまな弁護人制度についても教えてくれるため、自分に合った弁護人の選任を検討することになります。

弁護人は刑事事件においてあなたの唯一の味方である人です。そのため、逮捕された場合は、必ず当番弁護人制度を利用しましょう。

当番弁護人は逮捕後に「一度だけ呼べる制度」であることを覚えておきましょう。継続的な弁護活動は行われないため注意してください。

国選弁護士

国選弁護人制度は、無料で弁護人を付けられる制度です。本来、刑事事件の被疑者となっている人は、後ほど解説する私選弁護人を自分で選任するのが原則です。しかし、私選弁護人は実費となるため、経済的な事情等で弁護人を付けられない人も多くいます。

そういった人のためにある制度が国選弁護人です。国選弁護人への報酬は国で支払うこととなっています。そのため、被疑者本人が費用を負担することはありません。

ただし、国選弁護人で注意すべき点は、選任されるタイミングです。私選弁護人であれば自由に自分のタイミングで弁護人を選任することができます。しかし、国選弁護人の場合は「勾留確定後」もしくは「起訴後」のいずれかになり、タイミングとしてはとても遅いです。

そもそも、刑事事件は以下の流れに従って進んでいきます。

  1. 逮捕
  2. 送致
  3. 勾留請求
  4. 起訴・不起訴の判断
  5. 刑事裁判
  6. 判決

上記流れについては詳しく解説しますが、逮捕・勾留されている被疑者の場合は、勾留が認められた後に国選弁護人が選任されます。逮捕後に身柄を釈放された被疑者の場合は、起訴後に国選弁護人が選任されます。

そのため、「勾留を回避したい」「不起訴処分を目指している」といった被疑者からすると、タイミングとしては手遅れになってしまうのです。そこで、検討すべき制度が「刑事被疑者弁護援助制度」です。

上記制度については、逮捕後に当番弁護人からも説明があるはずでしょう。刑事被疑者弁護援助制度を利用することによって、当番弁護人〜国選弁護人選任までの期間も弁護人がついてくれます。

ただし、​刑事被疑者弁護援助制度はあくまでも弁護士費用を立て替えるための制度です。そのため、いずれは支払いが発生する点に注意が必要です。とはいえ、刑事被疑者弁護援助制度利用後に支払いが困難となった場合は、一部免除もしくは全額免除も可能であるため、まずは当番弁護人へ相談をしてみましょう。

私選弁護士

私選弁護人とは、自分で弁護士費用を支払って弁護人を選任できる制度です。刑事事件において、私選弁護人が原則です。弁護士費用は弁護士が自由に決定できることとなっているため、事件の内容や弁護内容によって大きく異なります。

私選弁護人のメリットは、自分の好きなタイミングで自由に選任できる点です。当番弁護人や国選弁護人の場合は、費用負担がない分、付けられるタイミングをもともと決められています。

しかし、私選弁護人であれば、タイミングは決められていないため、自由なのです。たとえば、逮捕前でも良いですし、逮捕された直後でも良いです。遅かれ早かれ私選弁護人を選任する予定がある場合は、早ければ早いほど良いでしょう。

呼び方は、警察官等に対して「〇〇弁護士会所属の〇〇弁護士を呼んでください」と伝えれば良いです。また、「〇〇法律事務所の〇〇弁護士」でも良いです。依頼する際の注意事項としては、弁護人を特定できることです。

被疑者には「弁護人依頼権」という権利が認められています。この権利は、刑事訴訟法という法律によって保障されている権利であり、「いつでも弁護人を選任することができる」と明記されています。よって、自分のタイミングでいつでも自由に選任できるため、経済的に余裕がある人は、私選弁護人へ早期に相談をするようにしましょう。

逮捕後の流れ

逮捕された後は、突然のことで不安な気持ちでいっぱいでしょう。その不安を解決するためには、「当番弁護人制度」というものを覚えておくことがとても大切です。この制度を利用することによって、24時間以内に弁護人が駆けつけてくれて、あなたの不安を解消してくれます。

また、同時に逮捕後はどのような流れで事件は進んでいくのか?について、自分の知識として持っておくことも大切です。そこで、次に逮捕された場合の流れについても詳しく解説します。

逮捕

逮捕された場合は、48時間の身柄拘束が可能となります。そもそも「逮捕」という行為は、罪を犯した疑いのある人(被疑者)の身柄を強制的に拘束し、事情聴取を行うためのものです。

そして、刑事事件においては「推定無罪の原則」という原則があります。推定無罪の原則とは、たとえ罪を犯したと疑うに足りる十分な証拠がある場合であっても、刑事裁判で有罪判決が確定するまでは、無罪の者として扱われなければいけない原則です。

そのため、無罪の人の身柄を拘束することは慎重に行わなければいけません。このことから、そもそも「罪を犯した」と疑うに足りる十分な証拠があったとしても、必ずしも逮捕できるとは限りません。

逮捕するためには、「証拠隠滅の恐れがあること」もしくは「逃亡の恐れがあること」のいずれかの条件を満たしている必要があります。つまり、逮捕されたということは、証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがあると判断されたうえでの行為であることを覚えておきましょう。

逮捕された被疑者は、警察署内にある留置所と呼ばれる場所に収容され、原則1日8時間を超えない範囲で取り調べが行われます。警察等も48時間というタイムリミットの中である程度の証拠を固めなければいけないため、時間をしっかり使って取り調べを行ってくるでしょう。

なお、逮捕されている間は友人や家族、会社の人であっても接見(面会)が認められていません。唯一、接見が認められているのは弁護人のみです。そのため、自分の不安を少しでも解消するために、弁護人制度があることを頭に入れておきましょう。

勾留請求

逮捕された被疑者は、逮捕から48時間以内に事件を検察官へ送致されます。その後、さらに24時間以内に検察官は、引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があるかどうかを判断し、必要があると判断した場合は勾留請求を行います。

勾留請求とは、引き続き被疑者の身柄を拘束する必要がある場合に、裁判官に対して「引き続き勾留することを認めてください」と請求する手続きです。逮捕時同様に人の身柄を強制的に拘束する手続きであるため、「証拠隠滅の恐れ」もしくは「逃亡の恐れ」がなければ勾留は認められません。

勾留請求が行われた場合は、被疑者を裁判所へ連れて行き、勾留質問を経て最終的に裁判官が勾留の有無を判断する流れです。

勾留が認められた場合は、初めに10日間の身柄拘束が可能となります。さらに、勾留延長されるケースが大半であり、プラス10日合計20日間の身柄拘束となる可能性があるため注意しましょう。

この時点で逮捕から23日間の身柄拘束となり、社会的な影響も大きくなるでしょう。そのため、可能な限り早めに弁護士へ相談をしたうえで、「勾留する必要がない」という主張をし、早期の釈放を目指すべきでしょう。

なお、勾留請求が認められずに釈放されたとしても、無罪放免となったわけではありません。あくまでも身柄拘束を行わずに在宅にて捜査を行うだけであり、その後の手続きに大きな差はありません。

起訴・不起訴の判断

勾留されている被疑者の場合は、勾留期間中に起訴するか不起訴とするかを検察官が判断します。勾留されていない場合は、期間に定めがなく、一般的には書類送検から2カ月〜3カ月程度で起訴・不起訴の判断がなされます。

書類送検とは?
書類送検とは、警察から検察へ事件を送致されることを指します。身柄拘束されている被疑者の場合は、「身柄付送致」と呼びますが、身柄拘束されていない場合は「書類送検」と呼びます。いずれも「送致」であることに変わりはありません。

起訴には「略式起訴」と「正式起訴」の2種類があります。略式起訴は、100万円以下の罰金にのみ行える起訴方法であり、早期に釈放される点が大きなメリットです。

略式起訴が選択された場合は、刑事裁判を行いません。略式命令という形で判決が言い渡され、罰金を納めることによって事件は終了します。早期に釈放される点はメリットですが、刑事裁判が開かれないため、検察官等の言い分をすべて受け入れる必要があります。

たとえば、判決に納得ができない場合や無罪を主張する場合など、略式起訴ではできないため、その点はデメリットになり得るでしょう。なお、略式起訴を提案された場合は、被疑者側から断ることも可能です。弁護人とよく話し合ったうえで、略式起訴を受け入れるかどうかを検討すると良いでしょう。

正式起訴された場合は、通常通り刑事裁判が開かれます。有罪か無罪かを審理し、有罪である場合はどの程度の刑罰に処するかを決定します。

なお、身柄拘束されている被疑者が正式起訴された場合、引き続き身柄拘束が続きます。ただし、起訴された後は家族や友人等との接見が許可されるケースが多いです。また、保釈請求を行うこともできます。

保釈請求とは、保釈金を預ける代わりに一時的に社会に戻ることを請求することです。認められるかどうかは、事件や被告人の状況によって異なるため一概には言えません。まずは、担当弁護人とよく話し合ったうえで方針を決定しましょう。

被告人とは?
被疑者(犯罪の疑いをかけられている人)は、起訴されると呼び名が「被告人」に変わります。つまり、「被告人=起訴された人」と考えておけば良いでしょう。

刑事裁判を受ける

正式起訴された場合は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では、あなたの犯した罪について有罪か無罪かを審理し、有罪である場合はどの程度の刑罰に処するのが妥当かを判断します。罪を犯した事実がある以上、無罪判決が下される可能性はゼロに近いでしょう。

判決に従って刑に服する

最終的に判決が言い渡され、その判決に従って刑に服します。懲役刑や禁固刑といった自由刑であれば、一定期間刑務所等に収容されます。罰金刑等の財産刑であれば、金銭を納めて事件は終了します。

しかし、罰金を支払えない場合は、1日5,000円程度で労役場留置となり、懲役刑と同じように刑務作業を行わなければいけないため注意しましょう。

なお、執行猶予付きの判決が下された場合は、直ちに刑罰が執行されません。執行猶予とは、その名の通り「執行を猶予すること」を指します。

たとえば、懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡された場合は、懲役1年という刑罰は直ちに執行されずに3年間猶予されます。この間は、社会に戻って生活を送ります。この間に罰金刑以上の刑罰が下されなければ、懲役1年という刑罰は執行されません。

ただし、罰金刑以上の刑罰が確定した場合は、懲役1年が加算される可能性があるため注意しなければいけません。

なお、執行猶予期間を何事もなく過ごしたとしても、無罪なわけではありません。前科は残り、前科による影響は少なからず発生するため注意しましょう。

逮捕後の弁護士相談は早いほうが良い

弁護士への相談を検討している人は、できるだけ早めに相談をしたほうが良いです。逮捕されてから弁護士へ早期に相談するメリットは、以下のとおりです。

  • 逮捕後72時間は弁護人としか面会できない
  • 弁護人への相談で長期勾留を回避できる可能性がある
  • 弁護人への相談で処分・刑罰が軽減される可能性がある

次に、逮捕後に早期に弁護人へ相談をするメリットについて詳しく解説します。

逮捕後72時間は弁護人としか面会できない

逮捕された被疑者は、勾留が確定するまでは接見(面会)することができません。勾留が確定するまでの期間は、最長で逮捕から72時間経過後であるため、基本的には逮捕から72時間以内は弁護人以外との接見はできないと思っておいたほうが良いでしょう。

弁護人は、刑事事件において唯一被疑者の味方となってくれる人です。そういった人と定期的に接見をできるのは、被疑者にとっても安心できる材料となり得るでしょう。

また、弁護人は被疑者の家族や会社等との窓口ともなってくれます。職業倫理に反しない範囲で、家族に「〇〇と伝えてほしい」や、会社に「〇〇について伝えてほしい」などということも可能です。逆に、会社や家族からの伝言を聞くこともできます。

逮捕されることによって、外の社会とは完全に遮断されてしまいますが、弁護人を通すことで家族等とつながることができる点は大きなメリットです。

なお、勾留確定前に弁護人へ相談をできる制度は、私選弁護人もしくは当番弁護人のみです。当番弁護人は「逮捕後に一度だけ」であるため、上記のようなメリットを受けるためには、私選弁護人を選任する必要があることも覚えておきましょう。

勾留確定後は国選弁護人が付きますが、タイミングとしてはとても遅いため注意しましょう。

弁護人への相談で長期勾留を回避できる可能性がある

逮捕や勾留をするためには、「逃亡の恐れ」もしくは「証拠隠滅の恐れ」がなければいけません。早期に弁護人へ相談をすることによって、弁護人が「逃亡や証拠隠滅の恐れはない」ということを主張してくれます。

上記のことから「勾留する必要がない」という旨を主張することができるため、結果的に長期間の勾留を回避できる可能性が高まるでしょう。とはいえ、事件の内容等によっては弁護人が弁護活動を行ったところで、勾留を回避できない可能性もあるため注意してください。

弁護人への相談で処分・刑罰が軽減される可能性がある

弁護人へ早期に相談をすることによって、処分や刑罰が軽くなる可能性があります。そもそも、刑事事件は先ほども解説したとおり、時間制限が細かく決められています。そのため、できるだけ早め早めに行動することがとても大切です。

たとえば、起訴される前に弁護人へ相談をしておくことによって、不起訴処分を得られる可能性があります。不起訴処分となれば、前科も付かずに早期に事件が終了するため、被疑者としてのメリットはとても大きいです。

また、逮捕された直後に弁護人へ相談をして適切な弁護活動を行ってもらえれば、事件次第で微罪処分となる可能性もあるでしょう。

微罪処分とは?
原則、事件はすべて検察官へ送致しなければいけません。これを「全件送致の原則」と言います。しかし、比較的軽微である事件の場合は、検察官へ事件を送致せずに警察内で事件を終了させることがあります。これを「微罪処分」と言います。

そもそも、時間制限があるのは被疑者を守るためです。被疑者は「推定無罪の原則」という原則のもとで拘束されています。推定無罪である人を長期間拘束することは、憲法にも違反している行為です。

そのため、必要最小限の範囲内として時間制限が設けられています。しかし、この時間制限が被疑者にとってデメリットとなることもあります。そのため、逮捕された場合はとにかく早めに弁護人へ相談することを心がけましょう。

逮捕に対して弁護士ができること

弁護人は、被疑者にとって唯一の味方となってくれる人です。その弁護人が、逮捕後にできることは、主に以下のとおりです。

  • 弁護活動
  • 早期の身柄解放を目指す
  • 被害者と示談交渉を行う
  • 被疑者の連絡窓口となる
  • 差し入れが可能

次に、弁護人が逮捕後にできることについて詳しく解説します。被疑者である人の味方として、法律の専門家としてできることについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

弁護活動

弁護人は、被疑者にとって唯一の味方となる人です。法律の専門家として、適切な弁護活動を行います。弁護活動とは、主に以下のような行為を指します。

  • 違法捜査の防止
  • 有効な証拠
  • 裁判での方針決定
  • 被害者との示談交渉
  • 検察官と交渉
  • 保釈請求
  • 意見書の提出

警察や検察の取り調べでは、度々違法捜査が行われて問題になります。違法捜査とは、たとえば自白を強要したり暴力を働いたりする行為です。これらの行為によって得た自白はすべて証拠として扱うことができない人権侵害となります。これらの行為を防止するための活動を行います。

有効な証拠とは、被疑者が無罪を訴えている場合、無罪となるための証拠を集めます。仮に罪を犯していた場合は、少しでも刑罰や処分を軽くするために証拠を集めたり、検察官と交渉、裁判の方針を決定したりといった弁護活動を行っているのです。

被害者との示談交渉は、基本的には弁護人が行います。刑事事件において、被害者と示談交渉が成立しているかどうかは、非常に重要です。そのため、早期に相談をして示談交渉の成立を目指します。

保釈請求とは、起訴後に認められている被告人の権利です。保釈金を支払って保釈請求を行うこととなりますが、「逃亡の恐れ」や「証拠隠滅の恐れ」等がないことを主張して保釈請求を行うことになります。

上記のように弁護人が付くことによって、被疑者にとっては多くのメリットが発生します。できるだけ早めに相談をすることによって、多くのメリットを受けられるため、早めの相談を心がけましょう。

早期の身柄解放を目指す

弁護人が付くことによって、早期の身柄解放を目指せます。逮捕後は、勾留、起訴後も引き続き身柄拘束が続きます。弁護人がついていることによって、勾留や身柄拘束の必要性がないことを主張し、早期の身柄解放を目指せるでしょう。

身柄を解放されたからといって、罪に問われないわけではありません。しかし、社会に戻れることによって、弁護士との打ち合わせがスムーズにいったり、さまざまな身辺準備を進められたりする点が大きなメリットです。

被害者と示談交渉を行う

弁護人は、被害者と示談交渉を進めてくれます。示談交渉とは、被害者のいる事件の場合に行われる交渉です。被害者に対して謝罪をしたり被害弁済、慰謝料を支払う代わりに許してほしいとお願いをする交渉です。

示談交渉が成立した場合は、被害者から「嘆願書」というものを提出してもらえます。嘆願書に法的効力はないものの、「被害者が本事件について許している」ということが明らかとなるため、刑罰や処分に大きな影響を与えるケースが大半です。

事件の内容次第では、示談が成立していることによって不起訴処分となったり、執行猶予付きの判決が下されたりするケースもあります。

示談交渉は、基本的には弁護人が被害者もしくは被害者の代理人と直接交渉を行います。被疑者自身が行うことは難しいため、基本的には弁護人を介して行うことになることを覚えておきましょう。

なお、不起訴を目指す場合は、「起訴される前」に示談交渉を成立させておくことが大切です。起訴までの期間は、早ければ逮捕から23日以内であるため、できるだけ早めに弁護人へ相談をしておきましょう。

被疑者の連絡窓口となる

逮捕から勾留までの72時間は、弁護人以外の者と接見することはできません。しかし、家族や会社の人などに「〇〇について伝えてほしい」という場面もあるでしょう。そういった場合、弁護人が連絡窓口となってくれます。

自分で外部の人に直接連絡を取ることはできないため、何か伝えたいことがある場合は弁護人を通すしかありません。

そもそも逮捕は、ある日突然行われるため、家族や会社もあなたが突然いなくなることによって不安を感じるでしょう。そういった際、連絡窓口となる弁護人がいるだけで、家族や会社に少なからず安心を与えられるはずです。

差し入れが可能

逮捕から勾留決定までの72時間は、弁護人以外の接見はできません。そのため、当然家族や会社の人などからの差し入れを受け取ることもできません。

しかし、弁護人を介することによって差し入れが可能となります。また、弁護人の場合は何を差し入れできるのか?についても把握しているため、確実な差し入れが可能である点もメリットです。

逮捕後の弁護士相談に関するよくある質問

逮捕後の弁護士相談に関するよくある質問を紹介します。

Q.弁護士費用を支払えないのですがどうすれば良いですか?

A.弁護士費用を支払えない場合は、国選弁護人制度を利用することになります。

弁護士へ支払う報酬額は、事件の内容によって異なります。弁護士報酬は、弁護士が自由に決定できることになっているため、高額である場合もあるため、事前に報酬を確認しておくことが大切です。

もし、弁護士費用を支払えないのであれば、国選弁護人制度を利用することになります。ただし、国選弁護人制度は勾留決定後もしくは起訴後に私選弁護人が付いていない者に対してしか付けられません。本記事で何度もお伝えしているとおり、タイミングとしてはとても遅いです。

そこで、隙間なく弁護活動を行ってもらうためにも、弁護士費用の立替制度の利用を検討しましょう。この制度は「刑事被疑者弁護救助制度」と言います。逮捕後に無料で呼ぶことのできる当番弁護人制度を利用した際に説明を受けられます。

なお、刑事被疑者弁護救助制度は、あくまでも立替制度です。そのため、返済を前提としています。そもそも支払い能力がなければ、本制度を利用することができないため注意しましょう。

Q.逮捕後、弁護士から家族や職場へ連絡してもらうことは可能ですか?

A.可能です。

弁護士以外であっても、警察や裁判官等にお願いをすることによって、連絡をしてもらえることがあります。しかし、警察や裁判官の場合は捜査に影響が出る可能性のあることを伝えることはできません。

そのため、柔軟に対応してくれる弁護人に依頼をして、家族や会社へ連絡をしてもらうと良いでしょう。もちろん、お互いの伝言も可能であるため、相談をしてみると良いでしょう。

Q.休日に逮捕された場合、弁護人との面会は翌平日になるのですか?

A.休日であっても24時間以内に弁護人が来ます。

そもそも、逮捕という行為は24時間365日いつでも行われます。休日だからといって犯罪が怒らないとも限りません。そのため、逮捕状を発布する裁判所も担当裁判官が常にいる状態となっています。

また、刑事事件においては「逮捕から◯時間以内」など細かく時間制限が決められています。この時間制限があるにも関わらず、休日だからといって弁護人が来なければ、被疑者の権利を侵害していることになるのです。

そのため、休日であっても依頼から24時間以内に必ず担当弁護人が駆けつけてくれるため安心してください。

なお、私選弁護人の場合は、私選弁護人に連絡が付かなければ呼ぶことはできません。大半の弁護士事務所は、夜間・休日の連絡窓口を設けており、いつでも対応できるようにしていますが、中には対応していないところもあるため注意しましょう。

Q.逮捕前でも弁護士への相談は可能ですか?

A.私選弁護人であれば可能です。

逮捕前であっても、何らかの罪の疑いをかけられている場合は、不安な気持ちになっていることでしょう。この場合、私選弁護人であれば自分の好きなタイミングで弁護人への相談が可能です。

たとえば、「自首や出頭を検討しているが、1人だと怖いので付き添って欲しい」といったことも可能です。

無料で弁護人を付けられる制度である当番弁護人制度や国選弁護人制度は、付けられるタイミングが決められているため逮捕前に依頼することはできません。この点には注意しましょう。

Q.弁護人が証拠隠滅の手伝いをした場合、どうなりますか?

A.弁護人は罪に問われます。

弁護人は被疑者を守る立場ではあるものの、証拠隠滅をすることは職業倫理上許されるべき行為ではありません。もし、このような行為を行った場合は、証拠隠滅等罪という犯罪が成立します。また、当然、弁護士資格も失われることになるでしょう。

2023年には、弁護人が面会室でタブレットで被疑者と外部の人間をビデオ通話で繋げ、証拠隠滅容疑で書類送検された事例もあります。このようなことは、基本的にはないため、弁護人へ証拠隠滅を依頼するのは絶対にやめましょう。

Q.弁護士を呼べるのは被疑者本人のみですか?

A.弁護人制度によって異なります。

弁護人を呼べる制度としてあげられるのは、私選弁護人、当番弁護人、国選弁護人です。私選弁護人および当番弁護人は、家族等からでも依頼可能です。ただし、国選弁護人は、被疑者本人からしか呼ぶことはできません。

Q.知り合いの弁護士がいない場合はどうすれば良いですか?

A.インターネット等を介して弁護士を探す方法があります。

インターネットで検索をすると、刑事弁護に強い弁護人へ依頼することができます。ただし、逮捕された場合はインターネットを利用することはできません。そのため、家族等から私選弁護人を依頼してもらうことになります。

また、当番弁護人として来てもらった弁護人にそのまま私選弁護人として依頼をする方法もあります。当番弁護人の場合は、刑事弁護に強い人がほとんどであるため、安心して依頼できるでしょう。

そして、国選弁護人の場合は選任や解任の自由は認められていません。つまり、自分で弁護人を選ぶことはできないため、知り合いがいなくても問題ありません。

まとめ

今回は、逮捕後の弁護士相談について解説しました。

逮捕された場合は、さまざまな不安を抱えていることでしょう。弁護人は、あなたにとって唯一の味方となってくれる人です。逮捕後は、当番弁護人制度の利用が可能であるため、まずは早期に当番弁護人への依頼をしてください。

そのうえで弁護人に関する説明を受け、今後の対応方法について検討していくと良いでしょう。また、逮捕前であっても今後逮捕される可能性を懸念しているのであれば、早めに弁護士へ相談をしておいても良いです。本記事を参考にしていただいたうえで、方針を決定しましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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