補導とは、非行少年や不良少年が悪い方向に行かないようにするために行われる「指導」です。あくまでも少年を対象としているため、補導対象年齢は20歳未満です。民法改正に伴い、18歳が成人になりましたが、補導の対象年齢は20歳である点に注意が必要です。
この記事では、補導の対象年齢や補導の対象となり得る不良行為等について詳しく解説しています。補導について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
補導の対象年齢とは
補導とは、少年が非行行為等を行った場合に、悪い方向へ行かないように指導することを言います。補導された場合は、警察等から「厳重注意」として指導を受けます。
補導の対象となる年齢は「少年」であり、小学生以下も当然対象です。まずは、補導の対象年齢は何歳までなのか?について詳しく解説します。
20歳未満の少年
補導の対象年齢は、20歳未満の少年です。2022年4月1日に成人年齢が18歳に引き下げられましたが、少年法による少年の定義は変わらず、20歳未満です。そのため、20歳未満の者のことを少年と呼び、補導の対象としています。
なお、一般的に「少年」と呼ぶと若い男性、いわゆる男の子のことをイメージされる方も多いでしょう。しかし、少年法による「少年」とは、性別に関わらず20歳未満の者のことを指します。
つまり、補導の対象となる人は「少年」と呼ばれるものの、「性別に関わらず20歳未満の者」と考えておいてください。
小学生以下でも補導の対象となり得る
「一般的に補導=悪いことをした場合される」と考えている人が多いでしょう。そのため、中には中高生の人が多く補導されているイメージを持っている人がいるかもしれません。
しかし、実際は小学生以下であっても補導の対象となるため注意しなければいけません。具体的に補導の対象となる行為については後述しますが、たとえば深夜徘徊や飲酒、喫煙、窃盗(万引き)等の行為を行った場合は補導の対象になり得ます。
未就学児の場合、保護者と行動する機会が多いため、補導の対象となるケースは稀です。仮に、未就学児が深夜徘徊等を行っていた場合は、補導ではなく保護をしたうえで親に対してネグレクトがないか?などの調査を行うことになります。とはいえ、補導年齢に下限はないため、法律的には未就学児の補導も可能です。
小学生であれば、1人や友達と行動をする機会も増えるため、補導の対象となるケースも増えます。とくに高学年となれば、中学生以上の人と関わりを持つ機会が増えるため、補導されるケースが多くなり、「中高生以上が補導されている」というイメージを持つ方が多いです。
補導の定義とは
補導の定義は「非行の防止を目的とした指導」です。そのため、逮捕や保護とは異なる意味合いを持ちます。次に、補導の定義とは何か?について詳しく解説します。
非行の防止を目的とした指導
補導とは、「非行の防止を目的とした指導」のことを指します。非行少年を悪い方向に行かないように指導するのが目的です。たとえば、中学生が深夜徘徊を行っていた場合は、遅い時間まで外を徘徊してはいけないこと、なぜ深夜徘徊がダメなのか、について指導をします。
少年によっては、継続的な指導を行う必要がある場合もあります。少年は、大人の影響を受けやすいため、場合によっては悪い人たちとの関わりを回避するための指導等を行うケースもあるのです。
補導内容はさまざまですが、「少年が悪い方向に行かないように指導すること」である点に変わりはありません。
補導と逮捕の違い
補導と逮捕の違いは、身柄拘束があるかどうかや刑事罰や保護処分を目的としているかどうかです。また、逮捕は何らかの犯罪を犯した場合に行われる手続きである一方、補導は「非行行為」を行った場合に行われます。
まず、逮捕も補導も何らかの犯罪を行った場合に行われる行為であることに変わりはありません。たとえば、深夜徘徊は各都道府県の条例に違反しています。飲酒や喫煙は、未成年者飲酒禁止法や未成年者喫煙禁止法といった法律に抵触します。
しかし、上記の法律はいずれも少年に対する罰則規定はありません(販売者等に対する罰則規定があります)。そのため、そもそも刑事罰の対象とはならないため、逮捕されることはありません。
逮捕は、罪を犯した疑いのある人の身柄を拘束して取り調べを行う手続きです。罪を犯したという前提のうえで、身柄を拘束して取り調べを行わなければいけない場合に行われるのです。
14歳以上の少年であれば逮捕される可能性はありますが、とくに重大な犯罪を犯した場合などに逮捕されます。
補導と保護の違い
保護とは、非行少年を社会に適合させるために必要な保護処分を下すために行われる手続きのことを指します。通常は、少年鑑別所という場所へ入所したうえで家庭裁判所で審判を受け、何らかの保護処分が下されます。
保護処分は、少年にとって必要となる何らかの処分が下されます。たとえば、少年院送致や児童自立支援施設送致、保護観察処分等の処分が下されるでしょう。少年院送致や児童自立支援施設送致の場合は、半年〜数年単位で親元を離れて生活をし、更生を目指していきます。
補導の種類
補導は主に以下の2種類があります。
- 街頭補導
- 継続補導
次に、補導の種類について詳しく解説します。
街頭補導
該当補導とは、不良行為が発生しやすい場所に警察官等が行って、該当で不良少年等に対して指導(補導)を行う補導行為です。たとえば、深夜の繁華街で不良少年の溜まり場となっているような場所に行って、少年に合った必要な指導等を行います。
街頭補導は、非行行為を未然に防止するために行われるものです。また、街頭補導を行うのは警察官だけではなく、少年警察ボランティアと呼ばれる人たちが行うこともあります。
少年警察ボランティアは、「少年補導員」「少年指導委員」「少年指導委員」などと呼ばれることもあります。一般の人が、少年警察ボランティアとして、行っているケースが多いです。「地域の少年は地域で育てる」といった基本理念の元で活動をしています。
継続補導
継続補導とは、街頭補導や警察相談によって関わった少年に対して、必要な指導を行っていくことを指します。とくに身柄拘束を受けたりすることはなく、少年本人や保護者の同意のうえで、定期的に警察官等が面会等を行って指導します。
補導と聞くと悪いイメージを持たれる人も多いかもしれませんが、実際は、少年が悪い方向に行かないように指導するために行われる行為です。そのため、継続補導は何か悪いことをしたわけでなくても、「その後どうだろうか?」といった話をするために設けられている機会です。
何もなければ、世間話をしたり日常の会話をしたりします。警察官等と話をすることによって、少年自身も良し悪しの判断ができるようになり、健全な育成に役立っているといえます。
補導の対象となる4つの少年
補導の対象となる4つの少年は以下のとおりです。
- 非行少年
- 不良行為少年
- 被害少年
- 要保護少年
次に、補導対象となる少年の種類や違いについて詳しく解説します。
非行少年
非行少年とは、家庭裁判所の審判によって何らかの保護処分を下すことが相当であると判断された少年を指します。具体的には、触法少年、犯罪少年、虞犯少年のことです。
触法少年とは、刑罰法令に違反した少年のうち、14歳未満の者のことを指します。14歳未満の少年は、刑事罰に問われることはないものの、罪を犯した場合は保護処分が下されます。そのため、非行少年と呼ばれます。
犯罪少年とは、犯罪行為を行った14歳以上20歳未満の少年のことを指します。先ほども解説したとおり、14歳以上の少年は刑事罰に問われる可能性があり、犯罪少年はこれに該当するため注意しなければいけません。犯罪少年の場合は、逮捕されることが原則です。
虞犯少年とは犯罪を犯したわけではないものの、不良行為が認められ、将来的に犯罪を犯す可能性が高いと判断された少年です。犯罪を犯したわけではないため、逮捕されることはありません。しかし、何らかの保護処分が下される可能性があります。
上記のとおり、「触法少年」「犯罪少年」「虞犯少年」が非行少年に該当し、補導されたり何らかの保護処分が下されたりする可能性があります。
不良行為少年
不良行為少年とは、何らかの刑罰法令に違反したわけではないものの、不良行為が認められる少年を指します。たとえば、飲酒や喫煙、深夜徘徊等を行っている少年です。
不良行為少年は、何らかの刑罰法令に違反しているわけではないため、逮捕されることはありません。しかし、補導された場合は補導歴が残るため、繰り返し補導されていると虞犯少年・非行少年となり、何らかの保護処分が下されることもあるため注意しなければいけません。
被害少年
被害少年とは、その名の通り被害にあっている少年を指します。たとえば、犯罪被害やいじめ、児童虐待等にあっている少年です。
「補導=悪いことをした少年に対して行うもの」といったイメージを持たれている方も多いでしょう。しかし実は、被害少年に対しても補導を行うことがあるのです。
そもそも「補導」とは、指導や支援といった意味合いがあります。つまり、被害少年に対しても支援が必要であると判断された場合は、継続的な補導を行うこともあるのです。
要保護少年
要保護少年とは、保護者等から虐待や放任を受けている少年を指します。先ほども解説した通り、補導は必ずしも悪いことをした少年に対して行うものではありません。「悪い方向に行かないようにする」といった意味合いから、要保護少年に対して補導をすることもあります。
たとえば、保護者から虐待や放任を受けている少年は、家での居場所がなく、悪い人と付き合ったり深夜徘徊を行ったりするケースがあります。そういったことが起こらないように、事前に指導することを目的として補導を行うのです。
補導の対象となる17の行為
補導の対象となる主な行為は以下のとおりです。
- 飲酒
- 喫煙
- 薬物乱用
- 粗暴行為
- 刃物等所持
- 金品不正要求
- 金品持ち出し
- 性的いたずら
- 暴走行為
- 家出
- 無断外泊
- 深夜徘徊
- 怠学
- 不健全性的行為
- 不良交友
- 不健全娯楽
- その他
次に、補導の対象となる主な行為について詳しく解説します。
飲酒
20歳未満の少年が飲酒をしたり、飲酒する目的で酒類を所持していた場合は、補導の対象となります。民法改正に伴い、成人年齢が18歳に引き下げられましたが、飲酒の年齢は20歳以上であるため、注意しなければいけません。
20歳未満の少年が罪に問われることはないものの、保護者やその場にいた監督者、酒類を販売した人が未成年者飲酒禁止法によって処罰される可能性があります。
喫煙
20歳未満の少年が喫煙した場合、不良行為に該当するため補導の対象になります。飲酒と同じく、法改正に伴う喫煙可能年齢の引き下げは行われていません。そのため、20歳以上にならなければ喫煙もできないため注意しましょう。
また、20歳未満の者が喫煙した場合は、補導されることはありますが、刑事罰に処されることはありません。飲酒同様に保護者やその場にいた監督者、タバコを販売した者が未成年者喫煙禁止法によって処罰されます。
薬物乱用
心身に有害となる薬物を乱用したり、乱用する目的で所持したりしていた場合は、不良行為に該当します。また、違法薬物はすべて法律で禁止されているため、刑事罰を受ける可能性があります。
たとえば、覚せい剤を乱用したり所持したりしていた場合は、覚せい剤取締法違反によって処罰される可能性があります。逮捕・刑事罰を受けなくとも、何らかの保護処分が下される可能性が高いです。
とくに、継続的な薬物乱用がある場合は、医療少年院への入院することとなるため注意しましょう。
粗暴行為
20歳未満の者が行う粗暴行為も不良行為に該当します。粗暴行為とは、放置していたら暴行や傷害など重大な犯罪に発展しかねない行為を指します。
たとえば、複数人でコンビニの前で集まり、他のお客さんに対してすごんだり暴言を吐いたりするような行為です。実際に暴行等を加えた場合は、暴行罪や傷害罪などの犯罪が成立します。
上記のような犯罪が成立する前であっても、粗暴行為(不良行為)となり、補導されることがあるため注意しましょう。
刃物等所持
正当な理由がないにも関わらず、刃物等を所持していた場合も補導の対象です。法律的には「銃砲刀剣類所持等取締法」という法律によって禁止されています。
誰かに危害を加える目的で刃物等を所持していたり、危害を加える恐れがある場合は、補導の対象となるため注意しましょう。なお、「仕事で使う道具を車内に積んであった」など、正当な理由がある場合は補導の対象になりません。
金品不正要求
正当な理由がないにも関わらず、人に対して金品を要求したり貸与させたりする行為も不良行為に該当し、補導の対象となります。たとえば、学校内で行われるいじめ行為の中で、「明日までに〇〇万円持ってこい」などと言って要求した場合です。
刑法では、恐喝罪もしくは恐喝未遂罪などの犯罪が成立する可能性もあり、刑事罰の対象となることもあるため注意してください。
金品持ち出し
金品の持ち出しとは、保護者等の財布からお金を抜き取る行為を指します。通常、親族間では窃盗罪が成立しません。しかし、少年事件の観点から見ると、不良行為と判断されて補導の対象となり得ます。
罪に問われることはないものの、補導の対象となることは覚えておきましょう。
性的いたずら
性的ないたずらも不良行為に該当します。性的ないたずらは、不同意わいせつ罪等の犯罪が成立するケースもありますが、これらに該当しない場合であっても、不良行為で補導対象となるため注意しましょう。
暴走行為
暴走行為は、いわゆる暴走族等が行っている行為を指します。交通の危険を生じさせたり他人に迷惑をかけたりする運転行為を暴走行為として補導の対象としています。
なお、暴走行為は道路交通法によっても処罰される可能性があるため注意しましょう。重大な交通違反を犯した場合は、欠格となり数年間運転免許の取得ができなくなることもあります。
家出
正当な理由がないにも関わらず、家を出たり帰らない行為も不良行為に該当します。家出をして友達の家に宿泊している場合であっても、補導の対象となる可能性があるため注意しなければいけません。
ただし、家出は少年の年齢等を考慮して判断されます。少年は20歳未満の者のことを指しますが、18歳以上で成人している少年の場合は、補導することは少ないです。とはいえ、18歳でも高校生であったり、18歳以上でも悪い人たちのところに出入りしているようなケースでは、補導の対象となることがあります。
無断外泊
正当な理由がないにも関わらず、保護者に伝えることなく無断で外泊する行為も不良行為として補導の対象になります。たとえば、保護者の同意を得ずに友達の家に勝手に泊まりに行った場合です。この場合は、補導の対象になり得ます。
ただ、家出同様に年齢によって補導対象とならないケースもあるでしょう。たとえば、19歳で社会人として一人暮らしをしている人であれば、いちいち保護者に外泊の許可は得ません。だからと言って、補導されることもありません。
深夜徘徊
深夜街中等を徘徊していた場合も不良行為として補導の対象になり得ます。深夜徘徊は、各都道府県の条例でも禁止されているため、条例違反となる可能性があるため注意しなければいけません。
ただし、成人している少年については、深夜徘徊を行っていても補導されることはありません。
怠学
正当な理由がないにも関わらず、学校を休んだり早退したりする行為も不良行為として補導対象になり得ます。風邪を引いている、学校に行くことができない、などさまざまな事情を抱えている人もいるでしょう。
上記のような事情を抱えている場合は、この限りではありません。あくまでも、正当な理由がないにも関わらず、学校を休む行為が不良行為に該当します。
なお、怠学は主に義務教育の少年が対象です。高校生以上の場合、ある程度自由であり、自分で判断をできるためです。
不健全性的行為
不健全性的行為とは、たとえば売買春が該当します。そもそも、青少年保護育成条例違反という法律では、18歳未満の少年が性行為等を行うことを禁止しています。
とはいえ、18歳未満の少年がお互いに同意をしたうえで性行為等を行ったからといって、直ちに違反になるケースは少ないです。そのため、不健全性的行為とは、あくまでも不健全な性的行為であることが前提で補導対象となり得ます。
不良交友
不良交友とは、たとえば反社会勢力の人と関わっているような場合です。犯罪性のある人等と関わっている場合には、補導の対象となるため注意しましょう。
なお、不良交友を行っていたからといって、何らかの犯罪に抵触するわけではありません。しかし、犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあるため注意しなければいけません。
不健全娯楽
不健全娯楽とは、健全育成上相応しくない娯楽を行っていた場合を指します。たとえば、スナック等の飲食店に遊びに行く、パチンコ店で遊ぶ、競馬場で馬券を購入するなどの行為が該当します。
スナックやパチンコ店であれば、18歳以上であれば入店や遊戯が可能です。そのため、あくまでも対象年齢に満たしていないところに遊びに行く行為が不良行為に該当するということです。
その他
これまでに紹介した不良行為以外であっても、健全育成上相応しくないと判断された行為については、補導の対象になるため注意しましょう。
非行事実で補導された場合の流れ
非行や不良行為で補導された場合、どうなるのだろうか?と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。次に、非行事実で補導された場合の流れについて詳しく解説します。
補導・逮捕
非行行為や不良行為が認められた場合、補導もしくは逮捕されます。補導は、本記事で何度もお伝えしているとおり「指導」のことを指し、わかりやすくいえば厳重注意のようなものです。一方で、逮捕とは罪を犯した場合にあなたの身柄を強制的に拘束するための手続きです。
罪を犯した場合であっても補導で終わるケースもあれば、逮捕されてしまうケースもあります。明確な基準はないものの、犯罪の内容やこれまでの補導歴・前科等を考慮して判断されることとなります。
児童相談所への送致・通告
初めての補導であれば、指導を受けて終了します。状況次第では継続的な補導が行われることもありますが、基本的には交番や警察署に連れて行って指導をして、保護者に引き渡して終了です。
もし、過去の補導歴等を考慮して保護処分が必要であると判断された場合、児童相談所へ送致もしくは通告されることがあります。警察等が審判に付することが妥当であると判断した場合は、送致され、何らかの保護処分が下される可能性が高まるでしょう。
家庭裁判所送致・観護措置
児童相談所への送致後、家庭裁判所へ送致されることがあります。家庭裁判所へ送致された場合は、審判というものを受けます。審判は、大人で言うところの裁判のようなものです。
ただ、少年に対しては刑罰を与えるのではなく、保護処分を与えるのが原則であるため、審判を経て何らかの保護処分を下す流れです。
審判が行われる前に、少年鑑別所という場所に入所させて観護措置を取る場合があります。観護措置では、事件に関することや生い立ち、これまでの生活環境等について調査します。
観護措置は原則2週間ですが、一般的には更新されるためさらに2週間、合計で4週間の間少年鑑別所へ入所しなければいけません。
審判を受ける
観護措置で得た情報を元に、審判を行います。審判は家庭裁判所で行われ、裁判官が少年に対して何らかの保護処分を言い渡すまでが一連の流れです。
処分決定
審判の結果、以下いずれかの保護処分が下されます。
- 保護観察処分
保護観察官や保護司の指導のもとで、日常生活を送りながら約束事を守り、更生を目指していきます。 - 少年院送致
一定期間少年院へ入院し、更生を目指します。 - 児童自立支援施設送致
開放的な施設の中でさまざまな人と生活を送りながら更生を目指します。
基本的には、上記いずれかの処分が下されますが、以下の処分が下される場合もあります。
- 検察官送致
いわゆる逆送であり、大人と同様に刑事裁判を受けて刑事罰を受けます。 - 知事または児童相談所長送致
児童福祉司による指導、児童福祉施設への入所もしくは里親への委託などの措置が行われます。 - 不処分・審判不開始
調査の結果、再非行の可能性が低いと判断された場合に下される処分です。上記いずれかの処分が下されずに事件が終了します。
補導年齢に関するよくある質問
補導年齢に関するよくある質問を紹介します。
Q.18歳以上の成人が深夜徘徊していた場合は補導対象となるのでしょうか?
A.補導対象になりません。
20歳未満の者のことを「少年」と呼びますが、民法的には18歳以上は「成人」です。そして、18歳以上の少年については、深夜徘徊という概念がありません。社会人として夜遅くまで働く人もいますし、付き合いで帰りが遅くなることもあるでしょう。そのため、18歳以上であれば、深夜徘徊をしていても補導されることはありません。
Q.高校生で一人暮らしをしている場合、深夜徘徊や無断外泊に該当するのでしょうか?
A.一人暮らしをしていても、深夜徘徊や無断外泊となる可能性はあります。
まず、18歳未満の少年については各都道府県条例によって、深夜徘徊を禁止しています。ただし、深夜徘徊の定義は「正当な理由なく外出する行為」を指します。
たとえば、1人暮らしをしていて「コンビニへ食事を買いに行かなければいけない」、「塾に行っていて帰りが遅くなった」などの事情を抱えている人もいるでしょう。これらの場合は、正当な理由と判断される可能性が高いです。
ただ、1人暮らしだからと言って、深夜に遊びに行ったり徘徊したりしたりしていると、補導の対象になるため注意しなければいけません。また、無断外泊についても同様です。基本的には、保護者の同意を得たほうが良いでしょう。
Q.親の許可があれば外泊や深夜徘徊も許されるのですか?
A.深夜徘徊については、条例によって禁止されている可能性があります。
まず、親の許可があれば外泊をしても問題はありません。たとえば、友達の家に泊まりに行くこともあるでしょう。この場合、親の同意があれば補導の対象にはなりません。
深夜徘徊については、親の同意があっても補導の対象となり得ます。前提として「正当な理由」があれば良いですが、正当な理由がない場合は補導の対象となるため注意しましょう。
Q.18歳の高校生が深夜徘徊していた場合は補導対象ですか?
A.深夜徘徊に該当しません。
18歳は成人であるため、高校生であっても深夜徘徊に該当しません。たとえば、18歳の高校生が23時を超えてアルバイトをしていても補導の対象になりません。
Q.補導された場合は前科が残りますか?
A.前科は残りませんが、補導歴が残ります。
前科は、有罪判決が確定した場合に残る履歴です。補導は刑事罰ではないため、前科は付きません。ただし、補導された履歴が残るため注意しなければいけません。
補導歴が何度もあると、非行少年・不良少年と判断されて、何らかの保護処分が下される可能性があるため注意しましょう。
まとめ
今回は、補導年齢について解説しました。
補導の対象となるのは20歳未満の少年であり、20歳未満であれば補導される可能性があります。ただ、補導の対象となる不良行為の中には、18歳未満を対象としているものも多くあります。そのため、すべての不良行為について20歳未満が対象となるわけではありません。
今回解説した内容を踏まえ、補導年齢について把握しておきましょう。