スケートボード(スケボー)は、子どもから大人まで楽しめる人気のスポーツとして定着しています。近年ではオリンピック種目にも選ばれ、愛好者の数も年々増加しています。それに伴い「どこで滑っていいのかわからない」「公園でスケボーをしていたら注意された」といった声も少なくありません。
とくに公園は、多くの人が集まる公共の場所であり、スケボーの使用をめぐってトラブルが起こるケースもあります。「公園でスケボーをするのは違法なのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際には、スケボーを使ったからといってすぐに法律違反になるわけではありません。しかし、状況によっては軽犯罪法や条例違反、過失傷害罪などの対象となることもあるため注意が必要です。
この記事では、公園でのスケボー利用が違法となる場合や、気をつけるべきポイント、違法とならないための確認方法などをわかりやすく解説します。安心してスケボーを楽しむために、ぜひ参考にしてください。
目次
公園でのスケボー利用に関する違法性
公園でのスケボー利用は直ちに違法となるわけではありません。ただし、禁止されている場所での利用や迷惑行為に該当する場合は、違法となるケースもあるため注意しなければいけません。
まずは、公園でのスケボー利用が違法なのかどうかについて解説します。
基本的に違法性はない
公園でスケボーを利用することが直ちに違法となるわけではありません。そもそも、公園は公共の場所であり、人が休んだり遊んだりする場所です。中には、スケボーが利用できる施設が併設されている場所もあるため、公園でスケボーを利用しても問題ありません。
公園によっては禁止されている場合がある
公園でのスケボー利用は、違法ではありませんが禁止されている場合は注意が必要です。公園によっては、スケボー利用が禁止されているところもあります。
もし、禁止されている場所でスケボーを利用した場合は、違法にならなくてもトラブルの原因となり得るため注意しなければいけません。また、禁止されている公園でスケボーを利用し、人に怪我をさせてしまった場合は違法となる可能性があります。
たとえば、禁止場所でスケボーを利用して人に怪我をさせてしまった場合は、過失傷害罪に問われる可能性があるため注意が必要です。過失傷害罪の法定刑は「30万円以下の罰金または科料」です。
科料とは1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。罰金刑と似ていますが、金額によって罰金・科料のそれぞれの刑罰が定められています。
迷惑行為による違法性の可能性がある
公園でのスケボー利用が許されている場合であっても、迷惑行為に該当する場合は違法行為となる可能性があるため注意しなければいけません。
迷惑行為に該当するケースとしては、たとえば「危険な行為」や「夜間の滑走」です。公園は老若男女問わず多くの人が利用する施設です。たとえば小さい子どもが遊んでいる近くで滑走し、小さい子どもに接触しそうになった場合は危険な行為に該当します。
他にも、公園は住宅街にあるところも多く、夜間の滑走は地域住民に「騒音で迷惑」と感じられるケースも多くあります。このような行為は、トラブルの原因のみならず違法行為に該当する可能性があるため注意しましょう。
直ちに何らかの犯罪に抵触する可能性は低いものの、一部の地域では条例によって処罰される可能性があるため覚えておきましょう。
公園でのスケボー利用が問題となるケース
公園でのスケボー利用は直ちに違法となるわけではありません。ただし、以下に該当する場合は、問題となるため注意してください。
- 騒音トラブル
- 事故によるトラブル
- 禁止されている公園での利用
次に、公園でのスケボー利用が問題となるケースについて解説します。
騒音トラブル
騒音トラブルは近隣住民等からの通報により、トラブルとなるケースが多いです。とくに夜間にスケボーを利用していると音が響き、通報や苦情の原因となり得ます。
仮に警察へ通報されたとしても、スケボー利用自体に違法性はないため、逮捕されたり処罰されたりすることはありません。しかし、通報が入った以上は警察官が現地へ行かなければいけません。
そこで、「通報が入ったから夜間の滑走はやめてください」などと注意を受ける可能性があるでしょう。また、公園は通常自治体のものであるため、管理している自治体に苦情が入るケースもあります。
度重なる苦情の結果、公園代でのスケボー利用が禁止となる可能性もあるため注意しなければいけません。マナーを守り、周辺住民への配慮を忘れないことで、長くスケボーを利用できる環境になるでしょう。
事故によるトラブル
スケボー利用で事故を起こしてしまった場合はトラブルに発展します。公園は老若男女問わず多くの人が利用する場所です。とくに小さい子どもやお年寄りの方が遊んだり休んだりしているところに早いスピードで危険なスケボー滑走をしていると事故この原因となり得ます。
周辺に配慮し、可能な限り人がいないところを選んでスケボーを利用するなど、スケボー利用者側が考えなければいけません。事故が原因で他スケボー利用者にも迷惑をかける可能性があるため注意しましょう。
また、スケボー利用で事故を起こしてしまった場合は、過失傷害罪に問われる可能性があります。刑罰は「30万円以下の罰金または科料」と、軽度な刑罰ではあるものの、事故が原因で滑走禁止となる可能性もあるため周囲への配慮を忘れずに楽しみましょう。
科料とは1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。罰金刑と似ていますが、金額によって罰金・科料のそれぞれの刑罰が定められています。
禁止されている公園での利用
そもそもスケボーの利用が禁止されている場所での利用は避けるべきです。思わぬトラブルに発展するため注意しましょう。スケボーが禁止されているのには、何らかの理由があるはずです。
たとえば、「小さい子どもやお年寄りも利用する機会が多いため危険」とか「騒音トラブルによる苦情がたえない」、「治安維持のため」などさまざまな理由があります。スケボー利用が禁止されている理由が明示されていなくても、何らかの理由で禁止されています。
禁止されている場所で滑走してトラブルになってしまった場合、あなたが全面的に悪くなってしまいます。思わぬトラブルを回避するためにも、禁止されている場所での滑走は絶対にやめましょう。
スケボーが禁止されている公園で滑った場合
スケボー利用が禁止されている公園は多くあります。とはいえ、スケボーを利用できる場所は限定的であるため、中には「滑走できる場所がここしかないから仕方ない」と考える人がいるかもしれません。
しかし、スケボーが禁止されている公園で滑走した場合は、以下のことが起こる可能性があるため注意しましょう。
- 指導・注意を受ける
- 繰り返し違反すると補導・警察対応・軽犯罪法適用の可能性がある
- 器物損壊や暴行・迷惑行為とされるケースもある
次に、スケボーが禁止されている公園で滑った場合に起こり得ることについても解説します。
注意・指導を受ける
禁止されている場所でスケボーを利用していた場合、自治体の職員や警察官等から注意・指導を受ける場合があります。中には、禁止されていることを知らなかった、見落としていた、という理由でスケボーを利用してしまう人もいるでしょう。
この場合は、素直に謝罪したうえでその場を離れたり、スケボー滑走をやめたりすれば、さらに咎められることはありません。
ただひとつ注意しなければいけないのが、他の公園利用者さんから注意を受けるケースです。中には、高圧的な態度で注意してくる人がいるかもしれません。この場合、言い方でトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
多くの人は自らのトラブルを回避するために、管理している自治体や警察への通報を検討します。しかし中には、自分から注意してくる人もいることを覚えておきましょう。
繰り返し違反すると補導・警察対応・軽犯罪法適用の可能性がある
何度も繰り返し注意を受けているにもかかわらず、スケボー利用をやめなかった場合は、警察による対応が行われる可能性もあります。警察も違法ではない限り注意で終わらせるしかないものの、場合によっては軽犯罪法違反に問われます。
スケボーの利用が禁止されている場所は、簡単に言えば「立ち入り禁止場所」です。公園自体の立ち入りは禁じられていないものの、スケボー滑走目的での立ち入りは禁止されています。
立ち入り禁止場所に侵入する行為は、軽犯罪法違反となる可能性があるため注意しなければいけません。この場合は、補導や指導、最悪の場合は起訴されて科料もしくは拘留といった刑罰を受けることになるでしょう。
科料とは1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。罰金刑と似ていますが、金額によって罰金・科料のそれぞれの刑罰が定められています。
拘留とは1日以上30日未満の期間、刑事施設に収監する刑事罰のひとつです。拘留(こうりゅう)と同じ読み方で、勾留というものもあります。勾留は、起訴される前の被疑者の身柄を拘束するための刑事手続きであり、刑事罰ではありません。
実際、過去には禁止場所でのスケボー利用が原因で軽犯罪法違反に問われた事例があります。禁止されている公園での滑走は、刑事罰の対象となることも覚えておきましょう。
器物損壊や暴行・迷惑行為とされるケースもある
スケボーが禁止されている公園内でスケボーを利用した場合、その状況次第では器物損壊や暴行罪、迷惑行為に該当する可能性があるため注意しましょう。
たとえば、スケボー滑走で公園内にある設備に傷を付けた場合は、器物損壊罪に問われる可能性があります。また、他の公園利用者から注意を受けた際に胸ぐらを掴むなどして暴行罪に問われた事例もあります。
仮に、トラブルに発展していなくても、危険であることを承知していながらスケボー滑走していることで、罪に問われる可能性もあるため注意してください。
また、禁止場所でのスケボー滑走は他の利用者から見ると迷惑です。そのため、迷惑行為として注意を受けたり指導されたり、軽犯罪法違反に問われたりするケースもあります。
公園でのスケボー利用可否確認方法
公園でのスケボー利用可否を確認する方法は以下のとおりです。
- 滑走専用エリアの有無
- 注意書きの有無
基本的には、滑走専用エリアがある場合や特に注意書きがない場合は、公園内でスケボーを利用しても問題ありません。ただし、注意しなければいけないのは、利用可能であっても条件がある場合があります。
次に、公園でのスケボー利用可否について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
滑走専用エリアの有無
滑走エリアがある公園は、基本的にスケボー滑走が可能であると判断して良いでしょう。スケボーを利用するための施設が設置されているということであるため、その施設内でのみ滑走するようにしましょう。
ただし、注意すべきは時間帯や他の場所での滑走です。たとえば、滑走可能な時間が定められていたり、滑走施設以外での滑走が認められていなかったりします。
滑走エリアがあるからといって、ルールを守らずにスケボーを利用していると、思わぬトラブルに発展する恐れがあります。公園内に定められたルールをしっかりと守ったうえで、スケボーを楽しみましょう。
注意書きの有無
公園に設置されている看板等を確認したうえで、「スケボーの利用禁止」と書かれていなければ、滑走しても問題ありません。スケボーの利用を禁止されている公園であれば、基本的に見えやすい場所に「スケボー禁止」と書かれているはずです。
ただし、書かれていないからと言って無配慮で滑走するのは避けましょう。公園は多くの人が利用する場所であるため、周囲への配慮を忘れずに楽しむようにするべきです。思わぬトラブルを起こさないためにも、ルールと配慮を忘れないようにしましょう。
【注意】利用可能公園でも条件付きの場合あり
スケボーの滑走が許可されている公園であっても、条件が付いている場合があります。先ほども紹介したとおり、滑走可能な時間が定められていたり、滑走可能エリアが限定されていたりなど、公演ごとのルールがあります。
基本的には看板等が設置されているケースが多いため、まずは注意書きをよく読んだうえでルールの範囲内で楽しむように心がけましょう。
【その他】スケボー利用が違法となるケースとは
スケボーの利用にはさまざまなルールがあります。公園内での利用は禁止されていなければ問題ありませんが、禁止されている場合は当然利用できません。
もし、周辺にスケボーを利用できる場所がなければ、「どこでスケボーを楽しめば良いのだろうか?」と考えることもあるでしょう。スケボーは、どこでも利用できるわけではなく、とくに道路上や歩道上での滑走、禁止場所での滑走は避けるべきです。
次に、スケボー滑走が禁止されている公演以外の場所についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
道路上・歩道上での滑走|道路交通法違反
道路や歩道上でのスケボー滑走は禁止されています。違反した場合は、道路交通法違反として処罰される可能性があるため注意しましょう。
原則例外はないため、道路上・歩道上での滑走は絶対に行わないようにしましょう。「注意書きがないから大丈夫」等と考え、滑走していると処罰されます。
ただし、道路使用許可を得てその場所で利用する場合は、スケボー滑走が可能です。とはいえ、一個人がスケボーを趣味で滑走するために道路使用許可を申請しても許可されることはありません。
たとえば、映画撮影やドラマ撮影などのために短時間、道路使用許可を申請・許可を受けたうえで、スケボー滑走をする場合などは例外です。
禁止場所での滑走|軽犯罪法違反
禁止されている場所での滑走は、軽犯罪法違反や都道府県の条例違反になる可能性があるため注意してください。たとえば、禁止されている公園での滑走や他人の私有地での滑走は、いずれも軽犯罪法違反もしくは条例違反となり得ます。
軽犯罪法違反の場合は、科料もしくは拘留の刑罰を受ける可能性があるため注意しましょう。
科料とは1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。罰金刑と似ていますが、金額によって罰金・科料のそれぞれの刑罰が定められています。
拘留とは1日以上30日未満の期間、刑事施設に収監する刑事罰のひとつです。拘留(こうりゅう)と同じ読み方で、勾留というものもあります。勾留は、起訴される前の被疑者の身柄を拘束するための刑事手続きであり、刑事罰ではありません。
条例は、各都道府県で定められているものであるため、一概にはいえません。ただ、お住まいの地域の条例では、特定の場所や公園での滑走を禁止している場合があり、違反した場合は条例違反として処罰される可能性があります。
法定刑も各都道府県によって異なるため一概にはいえません。ただ、軽犯罪法よりも刑罰は重い傾向にあるため注意が必要です。
なお、軽犯罪法や条例に違反したからといって、直ちに処罰される可能性は低いです。とくに軽犯罪法や条例違反は比較的軽微な犯罪です。そのため、初めての場合は注意で済むケースが多いです。
幾度となく注意を受けているにも関わらず、滑走を繰り返していた場合は処罰される可能性があるため注意しましょう。
公園でのスケボー利用違法性に関するよくある質問
公園でのスケボー利用違法性に関するよくある質問を紹介します。
Q. 看板に「スケボー禁止」と書いてなければ滑っても大丈夫?
A.基本的には問題ないと考えて良いですが、注意は必要です。
看板に「スケボー禁止」の記載がなければ、基本的には滑走可能であると考えて良いです。ただ、公園を管理している自治体のHP等で「スケボー滑走について」などの注意書きが書かれている可能性があります。そのため、事前に自治体のHPを確認しておいたほうが間違い無いでしょう。
また、スケボーが禁止されていない公園であっても、他の利用者さんに対する配慮を忘れてはいけません。多くの人が利用する場所であることを理解し、周辺への配慮や注意を忘れないようにしましょう。
万が一、人に怪我をさせてしまった場合は、何らかの刑事責任を負う可能性があるだけではなく、賠償責任も負う可能性があります。経済的にも大きな影響を受ける可能性があるため、注意してください。
Q.夜間で誰もいなければ滑走しても良いですか?
A.夜間の滑走は避けるべきでしょう。
夜間の滑走は、騒音トラブルの原因になり得ます。とくに周囲に住宅等がある場合は、通報や苦情の原因となります。
たとえ、公園でのスケボー滑走が許可されていたとしても、苦情や通報等が原因でスケボー滑走禁止となる可能性もあります。あなただけではなく他のスケボー利用者が楽しめる場所を減らしてしまう原因になり得るため、夜間滑走は絶対にやめましょう。
Q.何度も注意されたら罪に問われる可能性はありますか?
A.何らかの犯罪に抵触する場合は、罪に問われる可能性があります。
たとえば、スケボー利用が禁止されている公園内で滑走し、何度も注意を受けているにも関わらず、従わなかった場合は罪に問われます。
禁止場所でたった1回でもスケボー滑走した場合は罪に問われます。しかし、多くの場合は1回目は注意で終了します。しかし、何度も何度も注意されているにも関わらず、無視してスケボー滑走を続けた場合は、罪に問われる可能性があるためやめましょう。
Q.公園以外で滑走できる場所はありますか?
A.スケボー専用の施設がある場所などでは滑走可能です。
現在、スケボーはオリンピック競技に選ばれるほど世界的に人気です。このことから、各地にスケボー専用の施設が数多くあります。料金や利用条件は各施設によって異なりますが、近くの利用施設を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、公園でのスケボー利用の違法性について解説しました。公園でのスケボー利用は、直ちに違法とは限りません。スケートボード専用のエリアが設けられている公園もあり、ルールを守って楽しむ分には問題ありません。
ただし、公園によってはスケボーの利用が明確に禁止されている場合があります。そのような場所で滑走すると、注意・指導を受け、繰り返せば軽犯罪法違反などの処罰対象になる可能性もあります。
さらに、他の利用者に怪我をさせれば過失傷害罪に問われる可能性もあるため注意が必要です。また、禁止されていない公園でも、夜間の滑走や危険な行為、騒音などによってトラブルに発展することがあります。
公園の管理者や地域住民との関係を悪化させる原因にもなり得るため、マナーと周囲への配慮は欠かせません。滑走可能なエリアがあるかどうか、禁止の看板があるか、利用条件が定められていないかを事前に確認し、ルールの範囲内で楽しむようにしましょう。
スケボーを気持ちよく楽しめる環境を守るためにも、自分自身の行動が周囲に与える影響を意識することが大切です。