盗品等保管罪とは?構成要件や親族間の特例、弁護士に相談するメリットについてわかりやすく解説

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盗品等保管罪とは、窃盗犯から依頼を受けて盗んだ財物を保管した場合に成立する犯罪類型のことです。

財物を盗まれた被害者からすると、本来は盗んだ犯人を捕まえれば財物を取り戻せたはずなのに、犯人以外の第三者がこれを保管することによって、財物の取り戻しが困難になってしまいます。盗品等保管罪は、被害者が追及権を行使するのを困難にしているため、刑法犯として処罰対象とされています。

盗品等保管罪は「10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金刑」と比較的重い法定刑が定められており、犯行が発覚すると、逮捕・勾留によって身柄拘束されたり、初犯でも実刑判決が下されたりしかねません。社会復帰の可能性を少しでも高めるなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をするべきだと考えられます。

そこで、この記事では、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 盗品等保管罪の構成要件や法定刑、罪数処理などの基本事項
  • 盗品等保管罪の容疑で逮捕されたときの刑事手続きの流れ
  • 盗品等保管罪の容疑で逮捕されたときに生じるデメリット
  • 盗品等保管罪の容疑で刑事訴追されそうなときに弁護士に相談するメリット

目次

盗品等保管罪とは

刑法では、盗品等保管罪について以下の規定を置いています。

(盗品譲受け等)
第二百五十六条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
参考:刑法|e-Gov法令検索

まずは、盗品等保管罪の構成要件や法定刑などについて解説します。

盗品等保管罪の罪質とは

盗品等保管罪は、前提犯罪である財産犯(窃盗罪、強盗罪など)に当たる行為によって領得された物を、「保管」という方法で事後的に処分したときに成立する犯罪類型のことです。

盗品等保管罪の保護法益は、前提犯罪である財産罪の被害者が被害物に対して有する追求権(回復請求権)だとするのが判例通説です(追求権説)。

また、盗品等を保管することで本犯の犯人による盗品等の利用行為が援助されているという見方も可能であることから、盗品等保管罪には、財産犯を一般的かつ類型的に助長・促進する性格があるとも理解されています(本犯助長性・事後従属性)。

さらに、「盗品等の保管」という形で犯罪行為に関与することで利益を享受するという性質も存在します(利益関与性)。

参照:最判昭和26年1月30日
参照:最決昭和34年2月9日

盗品等保管罪の構成要件とは

盗品等保管罪の構成要件は以下のとおりです。

  • 財産に対する罪
  • 財産罪に当たる行為
  • 領得された物
  • 保管
  • 故意

財産に対する罪

盗品等保管罪は、「盗品その他財産に対する罪」に当たる行為によって領得された物を保管したときに成立します。

ここにいう「盗品その他財産に対する罪」には、領得罪である窃盗罪・強盗罪・詐欺罪・恐喝罪・横領罪が含まれます(背任罪を含むかどうかについては見解が分かれますが、背任罪もここに含むとするのが一般的な見解です)。

これに対して、墳墓発掘罪や漁業法違反などによって得られた物を保管したとしても、盗品等保管罪は成立しません。

財産罪に当たる行為

盗品等保管罪は、盗品その他財産に対する罪に「当たる行為」によって領得された物を保管したときに成立します。

つまり、窃盗罪などの構成要件に該当する行為によって領得されていれば足り、犯罪として成立していることまでは要求されないということです。

たとえば、14歳未満の刑事未成年者が万引きした商品を、事情を知りながら保管した場合、本犯の少年は刑事責任を問われませんが、窃盗罪に該当する行為によって領得された財物を保管している以上、盗品等保管罪は成立すると考えられます(大判明治44年12月18日)。

領得された物

盗品等保管罪の客体は、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された「物」です。

まず、盗品等保管罪は追求権を保護法益にするため、本罪における「物」は、前提犯罪である本犯の被害者が法律上追及することができるものに限られます(大判大正12年4月14日)。

次に、本罪の客体には、動産だけではなく不動産も含まれます。これに対して、物ではない権利は含まれません。ただし、権利が化体した証券などは本罪の客体として認められます(最決昭和29年6月1日)。

さらに、盗品等保管罪の客体である物は、「財産に対する罪に当たる行為によって領得された」物、つまり、財産罪に当たる行為によって直接領得された物でなければいけません。たとえば、会社が保有する営業秘密を漏洩するためにその資料を社外に持ち出してコピーし、秘密資料を元に戻したあとにコピーを売却した場合、秘密資料自体は業務上横領罪・詐欺罪の客体ですが、コピーは本犯の客体には含まれないため、盗品等保管罪は成立しません。

保管

盗品等保管罪の実行行為は「保管」です。

保管とは、委託を受けて盗品等の占有を得て管理することです(最判昭和34年7月3日)。有償であるか無償であるかは問われません。また、盗品等の占有の現実の移転が必要であり、保管の単なる約束では足りないと解されています。

故意

盗品等保管罪は故意犯なので、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を保管すること」に対する認識・認容が必要です。

なお、盗品であることを知らずに盗品等の保管を始めた者が、あとから盗品であることを知り、そのまま保管を継続した事案について、判例は盗品等保管罪の故意を認めています(最決昭和50年6月12日)。これは、盗品を保管したタイミングでは構成要件該当事実に対する認識・認容は欠けていますが、盗品等保管罪は継続犯と理解されているからです。

盗品等保管罪の法定刑とは

盗品等保管罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑及び50年以下の罰金刑」です。

執行猶予付き判決を獲得するには「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき」という要件を満たす必要があるので(刑法第25条第1項本文)、適切な防御活動を展開しなければ、初犯でも実刑判決を下されかねないでしょう。

盗品等保管罪の公訴時効とは

盗品等保管罪に該当する犯行に及んだとしても、いつまでも刑事訴追リスクに晒されるわけではありません。

というのも、盗品等保管罪の公訴時効は「7年」なので、盗品等を保管したときから7年が経過すれば、刑事責任を追求される余地がなくなるからです(刑事訴訟法第250条第2項第4号)。

なお、盗品等保管罪の公訴時効は、本犯の公訴時効とは無関係に判定されます。たとえば、本犯について公訴時効が完成した状態であったとしても、盗品等の保管について公訴時効が経過していなければ、刑事責任を問われる状況にあるので注意が必要です。

盗品等保管罪に関連する犯罪類型とは

刑法第256条では、盗品等保管罪以外に、以下の犯罪類型(「盗品等関与罪」と呼ばれます)を定めています。

罪名 内容 法定刑
盗品等無償譲受罪 無償で盗品等の交付を受けて、それを取得すること。交付者と受交付者との間に、盗品等の移転について、意思の合致が必要。一時使用の目的で借用したに過ぎない場合は含まれない。 3年以下の拘禁刑
盗品等運搬罪 委託を受けて、交付された盗品等の所在を移転させること。有償・無償を問わず成立する。異動の距離が少なくても、被害者の追及を困難にさせたと考えられるため、本罪は成立する。 10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金刑
盗品等有償譲受罪 有償で盗品等の交付を受けて、その処分権を取得すること。売買、交換、代物弁済など、譲り受けるときの形式は問われない。 10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金刑
盗品等有償処分あっせん罪 盗品等の有償の処分を仲介すること。処分は有償でなければいけないが、あっせん行為自体は有償・無償を問わない。 10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金刑

盗品等保管罪と他の犯罪との関係とは

盗品等関与罪は、罪数処理の関係で注意するべき点が少なくありません。

盗品等関与罪内の関係

まず、同一の盗品等について、盗品等関与罪の各行為が順次おこなわれた場合、包括一罪と扱われます。

次に、盗品等の有償処分あっせんをするために盗品等の引き渡しを受けて、それを運搬・保管し、有償処分のあっせんに及んだ場合には、盗品等有償処分あっせん罪だけが成立します(大判明治44年5月23日)。

これに対して、保管した盗品等をいったん返却したあと、有償処分のあっせんをした場合には、盗品等保管罪と盗品等有償処分あっせん罪は、併合罪の関係に立ちます(最判昭和25年3月24日)。

さらに、盗品等を無償または有償で譲り受けた者が、その盗品等を運搬・保管した場合、盗品等無償譲受罪・盗品等有償譲受罪だけが成立します。

盗品等関与罪と本犯との関係

まず、本犯である財産犯の犯人が盗品等の運搬・保管をおこなったとしても、本犯の被害者の追及権の新たな可罰的侵害を認めることはできないので、盗品等運搬罪や盗品等保管罪は成立せず、不可罰です。これに対して、本犯の犯人が、盗品等を有償で譲り受けた者の転売の仲介をおこなったときには、追及権の新たな侵害があると考えられるので、盗品等有償処分あっせん罪が成立する可能性があります。

なお、本犯の犯人について盗品等運搬罪や盗品等保管罪が成立しないケースであったとしても、本犯の犯人と共同して盗品等を運搬・保管した者については、盗品等運搬罪・盗品等保管罪が成立すると考えられています(最判昭和30年7月12日)。また、本犯の共同正犯については盗品等関与罪は成立しないのに対して、本犯の教唆・幇助については盗品等関与罪が成立します(最判昭和24年10月1日)。

さらに、盗品等の有償処分をあっせんした者が、事情を知らない相手方から売却などの代金を取得した場合、盗品等有償処分あっせん罪だけが成立し、詐欺罪は成立しないと解するのが判例です(大判大正8年11月19日)。

盗品等関与罪の親族間の特例とは

盗品等関与罪については、以下のような親族等の間の犯罪に関する特例が定められている点に注意が必要です。

(親族等の間の犯罪に関する特例)
第二百五十七条 配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
参考:刑法|e-Gov法令検索

親族間で盗品等関与罪に該当する行為に及んだ際にその刑罰が免除されるのは、親族の場合には、盗品等関与罪に及んではいけないという期待可能性が減少するからです。

ですから、この特例の適用を受けるには、本犯の犯人と盗品等関与罪の犯人との間に親族関係が必要だと考えられます(最決昭和38年11月8日)。本犯の被害者と盗品等関与罪の犯人との間の親族関係の有無は問われません。

なお、盗品等関与罪の犯人相互間に親族関係があったとしても、親族間の特例が適用されることはない、と理解するのが判例実務です。

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追されるときの刑事手続きの流れ

盗品等保管罪の容疑をかけられたときの刑事手続きの流れについて解説します。

  1. 警察に逮捕される
  2. 警察段階の取り調べが実施される
  3. 検察官に送致される
  4. 検察段階の取り調べが実施される
  5. 検察官が公訴提起するかどうかを判断する
  6. 公開の刑事裁判にかけられる

警察に逮捕される

知り合いが盗んだ物を預かっていた事実が捜査機関に発覚すると、警察に逮捕される可能性があります。

盗品等保管罪の容疑がかけられる多くの事件では、秘密裏に、もしくは、任意での取り調べが進められた結果、容疑が固まった段階で逮捕状が発付されて、逮捕手続きに移行するのが一般的です。

捜査機関が通常逮捕に踏み出すタイミングを事前に把握することはできません。ある日いきなり捜査員が自宅などにやってきて、逮捕状が執行されます。

警察に逮捕されると、被疑者の身体・行動の自由が大幅に制限されます。逮捕状が執行された時点で被疑者の身柄は拘束されて、そのまま警察署に連行されます。「今から会社に出社するから別の日に振り替えてほしい」などの要望は一切受け入れられません。また、スマートフォンなどの所持品はすべて取り上げられるので、会社や知人、学校などに自分で連絡をするのも不可能です。

盗品等保管罪の容疑で逮捕状が発付されるのは、被疑者が犯行に及んだと思われる相当の理由があり、かつ、逃亡または証拠隠滅のおそれがあるときに限られます。つまり、盗品等を保管した事実に間違いがなかったとしても、逃亡または証拠隠滅のおそれがないと判断される状況なら、逮捕状は発付されずに、在宅事件として処理される可能性があるということです。捜査機関に強制的に身柄拘束される期間があるとそれだけで社会生活に一定の支障が生じる以上、盗品等関与事件を起こしたときには、早期に防御活動をスタートして在宅事件処理を目指すべきだと考えられます。

警察段階の取り調べが実施される

盗品等保管罪の容疑で逮捕されると、警察段階の取り調べが実施されます。

逮捕処分に基づく警察段階の取り調べは拒否できません。どのような供述をするかは自由ですが、取り調べ自体は受忍する必要があります。また、取り調べがない時間帯は留置場に身柄を押さえられるので、帰宅したり会社に通勤したりすることも許されません。

逮捕後に実施される警察段階の取り調べの制限時間は48時間以内です。

逮捕は被疑者の自由を大幅に制約する強制処分なので刑事手続き上の制限時間が設けられています。これに対して、在宅事件はあくまでも捜査対象者の任意でおこなわれるものなので、制限時間が設けられていません。出頭要請がかけられたタイミングで警察署を訪問し、事情聴取を受ければ帰宅できます。ただし、任意の出頭要請を拒否したり事情聴取で否認をしたりすると、逮捕状が請求されて強制的に身柄拘束されるリスクが高まるので注意が必要です。

検察官に送致される

警察段階の取り調べが終了すると、被疑者の身柄・事件は検察官に送致されるのが原則です。

というのも、捜査活動についての最終的な決定権を有するのは警察ではなく検察だからです。

ただし、一定の極めて軽微な犯罪類型に該当する犯罪行為であり、被害者との間で示談が成立しているなどの事情があれば、微罪処分に付される可能性があります。警察から微罪処分の判断を引き出すことに成功すれば、検察官に送致されず、警察段階で刑事手続きを終えることができます。

検察段階の取り調べが実施される

警察段階の取り調べが終了すると、検察段階の取り調べが実施されます。

逮捕処分に基づく検察段階の取り調べには「24時間以内」の制限時間が設けられています。

つまり、検察官が公訴提起するかどうかを決定するまでに、警察段階の48時間以内、検察段階の24時間以内、合計72時間以内の身柄拘束期間が生じる可能性があるということです。

逮捕処分に基づく強制的な取り調べにはこれらの制限時間が設けられていますが、在宅事件扱いになった場合には、検察段階の取り調べにも制限時間が設けられていません。事案によっては数ヶ月以上も任意の捜査活動に対応しなければいけないケースも少なくないのが実情です。

検察官の勾留請求が認められると身柄拘束期間が延長される

盗品等保管事件の事情次第では、原則的な72時間以内の取り調べだけでは、検察官が公訴提起するか否かを判断するための証拠を収集できない可能性があります。

そして、以下のような捜査活動上のやむを得ない理由があるときには、検察官による勾留請求が認められます

  • 盗品の入手経路を確定するのに時間を要する場合
  • 窃盗犯や強盗犯とのやり取りがおこなわれたDMや防犯カメラ映像などを解析するのに時間を要する場合
  • 本犯である窃盗犯・強盗犯が犯行を否認しているなど、本犯の捜査活動に時間を要する場合
  • 盗品等を保管していた被疑者が犯行を否認している場合 など

勾留請求が認められると、被疑者の身柄拘束期間は10日間以内の範囲で延長されます。

また、事案の状況次第ではさらに勾留延長が認められており、最長20日間の勾留期間を強いられかねません。

ですから、盗品等保管罪の容疑で逮捕・勾留されると、検察官が公訴提起するかどうかを決定するまでに、最長23日間の身柄拘束を強いられる可能性があると考えられます。

検察官が公訴提起するかどうかを判断する

逮捕・勾留期限が到来するまでに、検察官が盗品等保管罪の容疑で被疑者を公訴提起するかどうかを決定します。

起訴処分とは、盗品等保管事件を公開の刑事裁判にかける旨の判断のことです。これに対して、不起訴処分は、盗品等保管事件を刑事裁判にかけずに検察段階で刑事手続きを終了させる判断を意味します。

日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、刑事裁判にかけられた時点(検察官が起訴処分を下した時点)で、事実上、有罪になることが確定してしまいます。

ですから、盗品等保管事件を起こしたものの、「有罪になりたくない」「前科がつくと困る」などと考えるのなら、不起訴処分の獲得を目指した防御活動が重要になるといえるでしょう。

公開の刑事裁判が開かれる

盗品等保管罪の容疑で起訴されると、公開の刑事裁判にかけられます。

刑事裁判が開廷されるのは、起訴処分から1ヶ月〜2ヶ月後が目安です。公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審しますが、公訴事実を争う場合には複数回の公判期日をかけて弁論手続きや証拠調べ手続きがおこなわれます。

刑事裁判では、最終的に判決が言い渡されて、被告人の刑事責任が決められます。実刑判決が下されると刑期を満了するまで服役を強いられて出所後の社会復帰が極めて困難になるので、執行猶予付き判決や罰金刑の獲得を目指した防御活動が不可欠だと考えられます。

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追されたときに生じるデメリット4つ

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追されたときに生じる4つのデメリットについて解説します。

  • 実名報道のリスクに晒される
  • 逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される可能性が高い
  • 会社や学校にバレると何かしらの処分が下される可能性が高い
  • 有罪になると前科によるデメリットに悩まされつづける

実名報道される危険性がある

以下の要素を抱える刑事事件は実名報道のリスクに晒されます。

  • 重大犯罪に及んだ場合(殺人罪、強盗罪、放火罪など)
  • 犯罪被害が深刻な場合(高額な窃盗・詐欺・横領、被害者が死亡しているケースなど)
  • 社会的関心が高い犯罪に及んだ場合(性犯罪、特殊詐欺事件、売春事件など)
  • 著名人、有名人、社会的地位の高い人物による犯罪
  • 被疑者が逮捕された場合 など

たとえば、集団で組織的に窃盗事件・強盗事件がおこなわれて、その構成員として盗品等保管罪の容疑をかけられたようなケースでは、事案の悪質性に鑑みて、実名報道されるリスクに晒されるでしょう。

そして、一度でも実名報道されてしまうと、半永久的にインターネット上に犯罪歴に関する情報が残りつづけてしまう点に注意が必要です。Googleなどの検索エンジンで氏名を検索されただけで過去に盗品等保管事件を起こした事実が発覚するので、就職や転職、結婚などに大きな支障が生じかねないでしょう。

逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される危険性がある

盗品等保管罪の容疑で逮捕されると、長期間捜査機関に身柄拘束される危険性が高いです。

刑事責任が確定するまでに生じる可能性がある身柄拘束期間は以下のとおりです。

  • 警察段階の取り調べ(逮捕期間中):48時間以内
  • 検察段階の取り調べ(逮捕期間中):24時間以内
  • 検察段階の取り調べ(勾留期間中):20日間以内
  • 起訴後勾留(保釈請求が認められない場合):最長刑事裁判が確定するまで

逮捕・勾留による身柄拘束期間中は、外部と一切連絡がとれない状況に追い込まれます。たとえば、自分で直接欠勤の連絡ができないので、勤務先に刑事事件を起こして逮捕されたことを隠すのは難しいです。また、留置場ではプライバシーがまったく保護されない厳しい生活を強いられるので、心身に過度なストレスが生じるでしょう。

ですから、仮に不起訴処分の獲得に成功したとしても、長期間身柄拘束されるだけでさまざまな支障を強いられる以上、身柄拘束期間の回避・短縮化を目指す防御活動に尽力するべきだと考えられます。

会社や学校にバレると何かしらの処分を下される可能性が高い

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追された事実や有罪判決を下された事実が会社や学校に発覚すると、何かしらの処分が下される可能性が高いです。

たとえば、被疑者・被告人が学生の場合、所属している学校の校則・学則にしたがって、退学・停学・訓告などの処分が下されかねません。単位の取得や進級、就職活動にも影響が出る可能性があるため、今後のキャリアに大きな悪影響を及ぼしかねないでしょう。

また、盗品等保管罪の容疑をかけられた人物が企業に雇用されている社会人の場合、勤務先が定めている就業規則の懲戒規程に基づいて懲戒処分が下されます。懲戒処分は、戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の7種類に分類されており、企業側の判断次第ではクビになる可能性も否定できません。

有罪になると前科によるデメリットに悩まされつづける

盗品等保管罪の容疑で有罪になると、刑事責任を問われるだけではなく、前科持ちとして今後の人生を歩まなければいけません。

前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。前科がつくと、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。

  • 賞罰欄付き履歴書への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が科されるので、前科があると就職活動・転職活動が成功しにくくなる
  • 前科を隠して内定を獲得しても、その後に前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に懲戒解雇処分や内定取消しをされる可能性が高い
  • 前科を理由に就業できない仕事や活用できない資格がある
  • 前科が原因でビザ・パスポートの発給制限を受けると海外旅行や海外出張に支障が生じる
  • 前科は法定離婚事由に該当すると判断されることが多いので、配偶者から離婚を求められると拒否できない
  • 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追されそうなときに弁護士に相談するメリット6つ

盗品等保管罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談してください。

というのも、刑事事件への対応を得意とする弁護士の力を借りることで、以下6つのメリットを得られるからです。

  • 自首についてのアドバイスを期待できる
  • 被害者との間で示談交渉を進めてくれる
  • 身柄拘束によるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
  • 不起訴処分獲得を目指した防御活動を展開してくれる
  • 実刑判決回避を目指した防御活動を展開してくれる
  • 実名報道を避けるためにさまざまな働きかけをしてくれる

自首についてのアドバイスを期待できる

捜査機関が盗品等保管事件を認知する前に自首をすれば、刑事手続き上、以下のメリットを得やすくなります。

  • 刑事裁判で自首減軽の恩恵を受けられるので、実刑判決を回避しやすくなる
  • 自ら罪を申告して反省している姿勢が評価されるので、起訴猶予処分を獲得しやすくなる
  • 証拠隠滅や逃亡のおそれがないと判断された結果、在宅事件の対象になる可能性が高い

弁護士に相談すれば、自首をしたときに実施される事情聴取での供述内容や自首をする際に持参するべき証拠物についてアドバイスをもらえたり、自首をする際に警察署まで同行してもらえたりするでしょう。

被害者との間で示談交渉をおこなってくれる

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追リスクに晒されたときには、できるだけ早いタイミングで被害者との間で示談交渉を進める必要があります。

というのも、被害者との間で示談が成立すれば、以下のようなメリットを得られるからです。

  • 被害者が警察に通報する前に示談が成立すれば、刑事事件化することなく、盗品等保管事件を民事的に解決できる
  • 検察官の公訴提起判断までに示談成立が間に合えば、起訴猶予処分獲得の可能性を高めやすくなる
  • 盗品等保管罪の容疑で起訴されたとしても、判決が出るまでに示談が成立すれば、執行猶予付き判決などの有利な量刑判断を引き出しやすくなる
  • 示談が成立しているという事情があれば、逃亡または証拠隠滅のおそれがないと判断されやすくなるので、早期の在宅事件化を実現しやすくなる

もっとも、刑事事件の被害者の多くは、加害者に対して怒りや不安を感じているため、加害者本人が直接示談交渉を申し出たところで、素直に応じてくれるケースは多くはありません

盗品等保管事件の示談交渉を弁護士に依頼すれば、以下のメリットを得られるでしょう。

  • 弁護士が示談交渉を担当することで、感情的になっている被害者も冷静に話し合いに応じてくれやすくなる
  • 逮捕・勾留期限が到来するまでにスピーディーに示談成立を目指してくれる
  • 被害者側から不当な請求をされたとしても、交渉ノウハウを活かして、相場どおりの示談条件での合意形成を実現できる
  • 宥恕条項や清算条項など、示談書に記載するべき示談条件を漏れなく合意内容に含んでくれる など

身柄拘束によるデメリットの回避・軽減を目指してくれる

刑事手続きにおいて強制的に身柄拘束される期間があると、それだけで被疑者の社会生活には一定の悪影響が生じかねません。

刑事事件を得意とする弁護士は、逃亡または証拠隠滅のおそれがないと判断させるような状況証拠などを丁寧に積み上げて、早期の在宅事件化や身柄釈放を実現してくれるでしょう。

また、逮捕・勾留の根拠を欠くと思われるような状況が発生したときには、準抗告や取消し請求などの法的措置を検討してくれます。

不起訴処分獲得を目指してくれる

盗品等保管罪の容疑で刑事訴追されたとしても、常に刑事裁判にかけられるわけではありません。

というのも、検察官が下す不起訴処分は以下3種類に分類されており、被疑者が実際に犯行に及んだとしても起訴猶予処分を獲得できる場合があるからです。

  • 嫌疑なし:被疑者が盗品等保管事件に及んだ客観的証拠が存在しない場合。冤罪、誤認逮捕など。
  • 嫌疑不十分:被疑者が盗品等保管事件に及んだ客観的証拠が不足している場合。
  • 起訴猶予処分:被疑者が盗品等保管事件を起こした客観的証拠は揃っているものの、諸般の事情を総合的に考慮すると、刑事裁判にかける必要性がないと判断される場合。

起訴猶予処分を下すかどうかを決めるときには、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況などの諸般の事情が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。

刑事弁護が得意な専門家に依頼をすれば、起訴猶予処分獲得に役立つ情況証拠を用意したり、事情聴取での供述内容・供述姿勢などについてアドバイスを提供したりすることで、起訴猶予処分獲得の可能性を高めてくれるでしょう。

実刑判決回避を目指してくれる

盗品等保管罪の容疑で起訴されてしまった場合には、刑事裁判への対応を強いられます。

そして、実刑判決を下されると社会復帰が厳しい状況に追い込まれる以上、刑事裁判では実刑判決回避を目指した防御活動が重要になると考えられます。

刑事裁判で有利な量刑判断を引き出すには、自首減軽・酌量減軽などのテクニックを駆使したり、被害者との間で示談を成立させて被害弁償したりするなどの対応が不可欠です。

ですから、盗品等保管罪の容疑で起訴されたときには、すぐに刑事裁判経験豊富な私選弁護人に相談・依頼をして、実刑判決を回避するための防御活動に尽力してもらいましょう

実名報道を回避するための働きかけをしてくれる

どの刑事事件を実名報道の対象にするかは報道機関側が最終的な決定権を有します。

ただ、弁護士は実名報道によって生じる被害を理解しているので、捜査機関や報道機関に対して、実名報道を避けるように働きかけをしてくれるでしょう。

盗品等保管罪の容疑で逮捕されたときにはすぐに弁護士へ相談しよう

盗品等保管罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。

弁護士に依頼をすれば、早期に示談交渉を開始するなどの防御活動を展開してくれるので、起訴猶予処分獲得の可能性を高めたり、早期の身柄釈放を実現したりできるでしょう。

刑事事件弁護士ほっとラインでは、盗品等保管罪などの弁護活動が得意な専門家を多数紹介中です。弁護士の力を借りるタイミングが早いほど刑事手続きを有利に進めやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士に問い合わせをしてください。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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