逆転無罪を勝ち取るには?有罪から無罪になるまでの戦略と現実を解説

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刑事裁判では一度有罪判決が下されたからといって、すぐに確定するわけではありません。じつは、控訴審や上告審で判断が覆り、無罪判決が言い渡されるケースも存在します。これを「逆転無罪」といいます。

ニュースなどで「逆転無罪」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。具体的にどのような場面で起こるのか、なぜ一審の判断が覆るのか?といった点については、よくわからないという人も少なくありません。また、逆転無罪となった場合の社会的影響や、冤罪の可能性との関連性も気になるところです。

この記事では、「逆転無罪」とは何かという基本的な定義から、逆転無罪が起きやすい具体的なケース、実際に逆転無罪となった事例について解説します。もしあなたや身近な人が刑事裁判に関わっていたり、現在控訴を検討していたりする場合は、ぜひ参考にしてください。

目次

逆転無罪とは?どのようなケースで起こるの?

逆転無罪とは、一度有罪判決が下された刑事裁判で無罪判決が言い渡される事件を指します。まずは、逆転無罪の意味や定義、逆転無罪が起こるケース等について詳しく解説します。

逆転無罪の意味と定義

逆転無罪とは、第一審で有罪判決が言い渡された後に上級審で無罪判決に覆る状況を指します。

日本は三審制であるため、初めに地方裁判所等で刑事裁判が行われ、控訴した場合に高等裁判所で第二審が行われます。さらに上告をした場合は、最高裁判所で第三審が行われる流れです。

公正な裁判を行うために、同じ刑事事件で3回まで審理(裁判)を受けられるための制度です。控訴や上告が認められるためには、前の裁判で「法令の適用に誤り」「事実の誤認」「量刑が不当」などの事実が認められなければいけません。

また、第一審では国民の意見を反映するために裁判員裁判(事件による)が行われます。第二審以降は裁判官のみで審理されるため、第一審の判決が覆る可能性もあります。

逆転無罪が起こるケース(控訴審・上告審)

逆転無罪は、「有罪判決が下された後に上級審で無罪判決が言い渡されること」です。つまり、逆転無罪が起こり得るケースは、控訴審もしくは上告審である必要があります。

また、有罪判決が確定した後に再審請求を行い、再度刑事裁判を行って無罪判決が言い渡されるケースも少なからずあります。しかし、日本の刑事裁判は三審制であり、一度確定した裁判をもう一度やり直すということは基本的にありません。

再審請求が認められるためには、有罪判決が確定した刑事裁判で使用された証拠に明らかな誤りがあること、無罪判決となり得る新証拠があることが条件です。ハードルは高く、再審請求による逆転無罪はあまり現実的ではありません。

【上級審と再審請求の違い】
日本の司法は、第一審、第二審、第三審の三審制を導入しています。同じ事件で裁判を受けられるのは、最大でも3回までであるのが基本です。最高裁まで争って判決が確定した場合は、基本的にその判決に従うしかありません。しかし、有罪判決が下された後に、新たな証拠が出てきた場合やこれまでに使用されていた証拠の捏造、間違い等が認められれば再審請求が可能です。再審請求は、確定した裁判をもう一度やり直し、判決の言い渡しをやり直します。再審請求が認められた場合は、多くのケースで逆転無罪となります。

逆転無罪が出やすい犯罪類型

逆転無罪判決が出やすい犯罪は、主に以下のとおりです。

  • 性犯罪
  • 経済犯罪

性犯罪は、被害者による証言をもとに判決が言い渡されるケースが多いです。そのため、新たな証拠が発見されたり、証言の信ぴょう性が乏しい、証言の矛盾等の理由から逆転無罪となるケースがあります。

経済犯罪は、専門的かつ複雑な犯罪であるケースが多いです。第一審で有罪判決が下された理由などをもとに再度証拠を精査し、専門家による意見や分析を行い、上級審で無罪判決となるケースがあります。

一方で、違法薬物の使用や盗撮、傷害事件など多くの事件では逆転無罪となる可能性が低いです。そもそも、逆転無罪となるためには、「その罪を犯したと疑うに足りる十分な証拠がない」状態でなければいけません。

たとえば、違法薬物の場合は尿検査等を行うことによって使用が明らかになります。もちろん、「知らずに摂取していた」となれば、その点について争うことになりますが、基本的には「違法薬物を使用していた」という前提のもとで捜査が進められるため、有罪判決が確定するケースが多いです。

逆転無罪が認められるための要件

逆転無罪が認められるためには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 事実認定に重大な誤りがあったとき
  • 新証拠により有罪認定が覆されたとき
  • 弁護活動に明らかな歌詞があったとき
  • 証拠が違法に収集されたと認定されたとき

次に、逆転無罪が認められるための要件についても解説しますのでぜひ参考にしてください。

事実認定に重大な誤りがあったとき

事実認定に重大な誤りがあったと認められた場合は、上級審で逆転無罪となる可能性があります。たとえば、殺人事件で使用されたとする凶器が被告人の所有物で、指紋も採取されたことにより、有罪判決が言い渡されたとしましょう。

しかし、上級審での審理の結果、実際の凶器がまったく別のものであったと認定された場合、無罪判決が言い渡されます。

刑事裁判では、さまざまな証拠をもとに事実認定を行います。「被告人が殺人を犯した」という事実があったとしても、その事実を裏付ける証拠がなければ罰することができません。

被告人に対して有罪判決を言い渡し、刑罰を与えるためには「この人が罪を犯した」という確固たる証拠(事実認定)が必要です。もし、この事実認定に重大な誤りがあったとすれば、仮に被告人が罪を犯していたとしても有罪判決を言い渡すことができません。

日本の法律では「疑わしきは罰せず」という原則があるためです。証拠能力が不十分である場合は、無罪判決を言い渡さなければいけないというものです。

新証拠により有罪認定が覆されたとき

刑事裁判では、さまざまな証拠をもとに事実認定を行って有罪・無罪の判決を言い渡します。第一審で提出された証拠等をもとに有罪判決が言い渡された後に、新たな無罪となり得る証拠が発見された場合は、上級審で無罪判決が言い渡されます。

たとえば、第一審で有罪判決が言い渡されたあとに、「被告人が犯行時刻に犯行場所にいることが物理的に不可能であった」という証拠が提示されたとしましょう。この場合、新たな証拠が発見されたとして、再度審理して逆転無罪が言い渡される可能性があります。

弁護活動に明らかな瑕疵(弁護不十分)があったとき

刑事事件において、弁護人は被告人の唯一の味方です。弁護人が無罪判決となり得る証拠を集めて裁判所に提出し、適切な弁護活動を行ったうえで裁判官が審理して、判決を言い渡します。

被告人は身柄拘束されているケースが多いため、自身で活動をしたり無罪判決となり得る証拠を集めたりすることが困難です。そのため、弁護人の活動は刑事事件において有利にも不利にも働くものです。

上記のことから、弁護活動に明らかな瑕疵があった場合は、逆転無罪となる可能性があります。ただし、必ずしも無罪となるわけではなく、弁護人による瑕疵が明らかに有罪判決に影響を与えた場合に限ります。

証拠が違法に収集されたと認定されたとき

証拠が違法に収集されたと認定された場合は、その証拠の証拠能力はなくなります。つまり、証拠として使用できなくなるため、逆転無罪が言い渡される可能性が高まります。

たとえば、自白や凶器を証拠に有罪判決が言い渡されたとしましょう。後に、自白の強要があったこと、凶器の捏造があったことが明らかとなった場合は、自白や凶器が証拠として扱えなくなります。

刑事裁判で有罪判決と認定された証拠が「自白」と「凶器」であった場合、この2つの証拠能力がなくなることによって無罪判決が言い渡されます。

逆転無罪を勝ち取るための方法

逆転無罪を勝ち取るためには、以下の方法を検討する必要があります。

  • 控訴・上告をして争う
  • 新たな証拠を提出する
  • 自白の信用性を争う
  • 違法な捜査・証拠収集方法を突く

次に、逆転無罪を勝ち取るための方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

控訴・上告をして争う(刑事裁判の三審制)

逆転無罪を勝ち取るためには、一審判決で有罪判決が下された後に控訴する必要があります。控訴して二審が行われてもなお、有罪判決が言い渡された場合は控訴して三審にて無罪判決を得なければいけません。

日本の刑事裁判は三審制であるため、最高裁で有罪判決が言い渡された場合は判決が確定してしまいます。そのため、控訴審もしくは上告審において無罪判決を得られなければ、逆転無罪が相当難しくなることを覚えておきましょう。

控訴と上告の違い

控訴・上告はいずれも、下級審で言い渡された判決に不服がある場合に不服申し立てを行って、再度判決を求めることを言います。控訴と上告はいずれも「上級審で審理をやり直す」という意味で見れば同じです。

しかし、控訴は第一審(地方裁判所等)で下された判決に対して不服がある場合に行うものであり、高等裁判所で行われます。また、控訴した場合に行われる裁判を「第二審」と言います。

そして、上告は第二審(高等裁判所)で下された判決に不服がある場合に行うものです。上告をした場合は、第三審が最高裁判所で行われます。

つまり、順番としては以下のとおりになります。

  1. 第一審(地方裁判所等)
  2. 不服申し立て
  3. 第二審(高等裁判所)
  4. 不服申し立て
  5. 第三審(最高裁判所)
  6. 判決の確定

第三審で判決が確定した場合であっても、再審請求(改めて裁判のやり直しを求めること)が可能です。しかし、再審請求は現実的ではありません。よって、逆転無罪を得るためには、第三審までに無罪判決が言い渡される必要があります。

期限・要件・手続きのポイント

控訴・上告は、いずれも「判決送達日から2週間以内」に申立てを行えます。2週間をすぎてしまうと、言い渡された判決が確定するため注意しましょう。

控訴、上告はいずれも「不服申し立て」に対して行われるものです。そのため、控訴や上告をする際は、「控訴理由」や「上告理由」を主張する必要があります。主に、逆転無罪を主張する場合は、「判決に誤りがある」といった主張をすることになるでしょう。

ただし、何の理由もなく「判決に誤りがあるため、控訴・上告する」と言っても意味がありません。下級審で言い渡された判決では、かならず判決理由が伝えられます。その理由をもとに、具体的に何が間違えているのかを主張しなければいけません。

主張が認められず、控訴や上告が棄却された場合は、有罪判決が確定します。そのため、弁護人としっかり話し合ったうえで「〇〇が事実誤認であるため、控訴する」などのようにしっかりとした理由を主張しなければいけません。

新たな証拠を提出する(証拠再評価)

控訴や上告が認められた場合であっても、これまでと同じ証拠しか揃えられていなければ意味がありません。新しい証拠を提示し、実際に被告人自身が「やっていない」と証明する必要があります。

新たな証拠が見つけられなければ、控訴や上告が棄却された判決が確定することになるでしょう。弁護人とよく話し合い、新たな証拠等を確認しておきましょう。

自白の信用性を争う(強要・誘導)

有罪判決の主な理由が自白である場合、自白の強要や誘導があったことを主張することで、証拠能力を欠きます。たとえば、警察や検察等から自白の強要や誘導尋問があったような場合は、自白が証拠として使用できなくなります。

とはいえ、一部の事件を対象に取り調べが可視化されています。そのため、現実的に自白の強要や誘導尋問のようなことは行われていません。

違法な捜査・証拠収集方法を突く

警察や検察による違法な捜査、証拠の捏造があった場合は、その事実を追及しましょう。違法捜査や捏造された証拠は、当然証拠として使用できません。

もし、違法な方法で得られた証拠が理由で有罪判決が言い渡された場合は、逆転無罪の可能性は高まるでしょう。

【ポイント】逆転無罪を取るための弁護士選び

日本の刑事裁判では、一度起訴されてしまうと99.9%の確率で有罪判決が言い渡されると言われています。つまり、刑事裁判において無罪判決が言い渡される確率はわずか0.1%です。

さらに、第一審で有罪判決が言い渡された後に、逆転無罪が言い渡される可能性はさらに低いと考えておいたほうが良いです。

少しでも逆転無罪の確率を上げるためには、弁護士選びがとても重要です。これから解説する弁護士の選び方をもとに、逆転無罪を目指していきましょう。

刑事事件に強い弁護士の特徴

逆転無罪を目指す場合は、刑事弁護に強い弁護人を選任しましょう。弁護士は法律の専門家ですが、すべての弁護士が刑事弁護に精通しているわけではありません。

それぞれ得意分野があるため、かならず刑事弁護を得意としている弁護士を弁護人に選任すべきです。戦い方に慣れているため、適切な弁護活動を行ってくれるでしょう。

控訴・上告審での経験が豊富か

控訴や上告審での経験が豊富かどうか?もポイントです。控訴、上告審は棄却されてしまえば刑罰が確定します。そのため、主張する理由や第二審、第三審での戦い方を知っている弁護士へ依頼することがとても大切です。

無罪獲得実績や過去の裁判事例の確認

過去に無罪判決を勝ち取っている弁護士は信頼度が高いです。どのようにして無罪判決を獲得したのか?という経験・知識のある弁護士はとても強いです。ただ、無罪判決を獲得している弁護士は、やはり人気であるため、選任が難しい可能性もあるため注意しましょう。

なお、過去に無罪判決を獲得している弁護士は、決して多くはありません。そのため、過去の裁判実績等を確認してみるのも良いでしょう。どのような戦い方をしているのか、どのような判決を得ているのか(被告人に有利な判決となっているか)などを確認してみると良いでしょう。

逆転無罪を目指すときの注意点

逆転無罪を目指すときは、以下のことに注意しましょう。

  • 控訴審・上告審は新証拠が必要
  • 弁護士との連携が不可欠
  • 証拠収集・承認確保には時間と費用がかかる
  • 途中で心が折れないためのメンタル管理

次に、逆転無罪を目指すときの注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

控訴審・上告審は新証拠がなければ困難

控訴審や上告審が認められるためには、新たな証拠を用意しなければいけません。

そもそも、控訴や上告審は必ずしも無罪判決を得るためではなく、量刑に不服がある場合等にも行えます。たとえば、第一審で死刑判決を言い渡された被告人が、控訴・上告し、最終的には無期懲役刑まで減刑された事例があります。

このように、「罪は認めているものの、量刑が不当である」といった主張も可能です。この場合は、とくに新証拠を提示する必要はありません。

ただ、逆転無罪を主張するためには、第一審や第二審で有罪判決が下された理由や証拠を覆さなければいけません。つまり、覆すための何らかの新たな証拠を提示しなければ意味がないのです。非常にハードルが高いため、結果的に控訴審や上告審においても判決が覆りにくいです。

弁護士との連携が不可欠

刑事裁判を受けている人の中には、身柄を拘束されている人もいます。とくに、無罪を主張している事件は、いわゆる否認事件と呼ばれ、証拠隠滅や逃亡の可能性が高いと判断されることから、身柄拘束される可能性が高まります。

身柄拘束されている被告人は、自分自身で証拠を集めたり、調べたりすることができません。そのため、弁護人が適切な弁護活動を行う必要があります。

弁護人は、言ってしまえば赤の他人です。被告人のこれまでの人生や交友関係等を知りません。そのため、弁護人との連携が必要不可欠です。弁護人は、被告人の味方であるため、各仕事などをせずにすべて正直に話すなど協力的な姿勢を示しましょう。

証拠収集・証人確保には時間と費用がかかる

新たな証拠を収集したり、新たな証人を確保したりするためには時間と費用がかかります。とくに、身柄拘束されている被告人は、「1日でも早く社会に戻りたい」と願っていることでしょう。

また、身柄拘束されている期間は、当然会社等へ出社できないため、収入がない状態が続きます。経済面、精神面でも大きな負担となることを覚悟しておきましょう。

途中で心が折れないためのメンタル管理

逆転無罪を主張する場合、精神面で相当大きな負担を感じます。一度有罪判決を言い渡されているため、「このまま有罪判決が確定してしまうのではないか?」といった不安を感じていることでしょう。

「もしかしたら、家族や友人等も自分がやったと思っているのではないか?」など、さまざまな思いを抱えているはずです。

しかし、実際に罪を犯していないのであれば、逆転無罪の可能性はあります。しっかり戦い抜く強い気持ちを持つことがとても大切です。しっかりとしたメンタル管理の徹底を行っておきましょう。

逆転無罪が出た後にできること・すべきこと

逆転無罪を勝ち取れた場合は、以下のことを検討しましょう。

  • 刑事補償制度による金銭的救済
  • 国家賠償請求の検討
  • 名誉回復と社会復帰のために必要な支援

次に、逆転無罪を勝ち取れた場合に検討すべきことについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

刑事補償制度による金銭的救済

無罪判決が言い渡された場合は、刑事補償制度による金銭的な救済を受けられます。刑事補償制度は、勾留日数×1,000円〜12,500円の金銭的補償を受けられます。

身柄拘束されていることが条件となるため、補償金額としては不十分であると考える人が大半でしょう。また、12,500円の経済的な救済をされる補償もありません。また、身柄拘束されることによって、会社へ出社できず、当然給料等も受け取れないでしょう。

とはいえ、請求することによっていくらかの経済的救済措置が行われるため、しっかり請求をしておいたほうが良いです。

国家賠償請求(警察・検察への損害賠償)

もし、警察や検察による不当な取り調べ等があった場合は、国家賠償請求も検討しましょう。国家賠償請求は、公務員の違法行為によって不利益を被った場合に請求できる賠償です。

違法行為があったことを証明しなければいけず、国家賠償請求が認められる可能性は低いです。しかし、違法行為が明らかである場合は、さらなる経済的救済を受けられる可能性が高いため、検討したほうが良いでしょう。

名誉回復と社会復帰のために必要な支援

一度逮捕されて有罪判決を受けてしまった以上、逆転無罪を獲得できたとしても「有罪判決を受けた人」というレッテルはなかなか剥がれません。そのため、無罪になって社会復帰できたとしても、就職できない、生活が安定しないといったさまざまな弊害が起こり得ます。

これらの影響を最小限に抑えるために名誉回復と社会復帰に必要となる支援を検討すべきでしょう。主に弁護士で構成された団体が支援を行っているため、担当している弁護士へ相談をされてみてはいかがでしょうか。

逆転無罪に関するよくある質問

逆転無罪に関するよくある質問を紹介します。

Q.控訴や上告は誰でもできますか?

A.検察官もしくは本人、弁護人に限られています。

有罪判決に不服がある場合は、基本的に被告人本人もしくは弁護人が控訴・上告を行います。また、判決に不服がある場合は、検察側からも不服申し立ての控訴・上告が可能です。

たとえば、無罪判決が言い渡された後に検察側が控訴・上告をするケースがあります。

Q.無罪を勝ち取ったらすぐ補償されますか?

A.ある程度の時間を要します。

無罪判決が言い渡されて確定してから、3年以内に裁判所へ請求をしなければいけません。つまり、請求をしなければお金が支払われるわけではないことに注意しましょう。

また、請求をしてから実際に支払われるまで、ややしばらくの時間がかかります。審査や日数、金額の計算等に時間がかかるためです。

Q.一度有罪になったら無罪になるのは難しい?

A.相当難しいです。

そもそも、日本の刑事裁判では起訴された場合は99.9%の確率で有罪判決が言い渡されると言われています。そして、第一審・第二審で有罪判決が言い渡され、上級審で覆る可能性はさらに低いと考えておいたほうが良いでしょう。

Q.弁護士を変えることはできますか?

A.私選弁護人であれば自由に変えられます。

弁護人は国選弁護人と私選弁護人がいます。原則、私選弁護人を選任しなければいけませんが、経済的な事情等で選任できない場合は国選弁護人が選任されます。

国選弁護人の場合は、正当な理由なく弁護人を変えることはできません。一方で、私選弁護人であれば、自分の意思やタイミングで自由に弁護人を変えられます。

Q.逆転無罪になっても報道で名前が残ることはありますか?

A.良くも悪くも名前は残り続けるでしょう。

とくに大きな事件の被疑者・被告人となった場合は、多くの報道機関で報道されます。報道された内容を見た人は、真実を知らないため「あなたが犯人である」と決めつけてしまいます。

後に、無罪判決が言い渡されたとしても、報道機関に無罪判決が言い渡された事実を報道をする義務はありません。また、過去に報道された内容を削除する義務もありません。

そもそも「この人が犯人です」といった報道の仕方はせず、「〇〇事件で〇〇が逮捕されました」という事実を報道するのみです。実際には無実の罪で逮捕されただけかもしれませんが、「逮捕された」ということは事実であるため、訂正したり削除したりする必要がないのです。

よって、無罪が確定したあとも「〇〇事件で〇〇が逮捕された」という内容の報道が残り続ける可能性もあるでしょう。

まとめ

「逆転無罪」とは、一審で有罪とされた被告人が、控訴審や上告審で無罪判決を得ることです。これは、裁判制度が誤判を是正するために設けている仕組みの一つであり、証拠の再評価や新証拠の提出、弁護士による主張の強化などがきっかけで判決が覆ることがあります。

実際に逆転無罪となるケースとしては、目撃証言の信用性に疑義が生じた場合や、アリバイの証明がなされた場合、違法な捜査によって得られた証拠が排除された場合などです。こうしたケースでは、一審の判決に重大な誤りがあったと判断され、無罪となります。

逆転無罪を目指すうえでは、的確な主張と緻密な証拠構成が必要不可欠であり、それを支える弁護士選びも極めて重要です。また、無罪が確定した場合には国家賠償を請求できる可能性もあるため、今後の生活再建にもつながります。

一審で有罪とされても、あきらめる必要はありません。正しい手続きを通じて、自分の無実を証明できる可能性は残されているのです。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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