「土下座の強要」という行為は、日常生活や職場、学校などで起こる可能性があります。相手に謝罪をさせたい、非を認めさせたいという思いから、言葉や態度で圧力をかけて土下座をさせるケースです。
しかし、この行為は単なるマナー違反や道徳的な問題にとどまらず、刑法に定められた犯罪に該当する場合があります。具体的には「強要罪」が成立する可能性が高く、さらに暴行や脅迫が伴えば「暴行罪」や「脅迫罪」などの別の罪も加わります。
加えて、土下座させた様子を撮影・SNS等で公開すれば、「名誉毀損罪」に問われるリスクもあります。これらはいずれも逮捕や前科につながる重大な結果を招きかねません。
また、刑事罰だけでなく、民事上の損害賠償請求(慰謝料や治療費の支払い)を負うこともあります。本記事では、土下座強要が成立する条件や具体的な罪名、その法定刑、逮捕後の流れ、さらに類似行為の違法性まで詳しく解説します。
感情的になってしまう場面は誰にでもありますが、強制的な謝罪や土下座の要求は、自身の人生や信用を大きく損なうリスクを伴います。知らずに行ってしまう前に、正しい法的知識を身につけましょう。
目次
土下座の強要は罪になる
土下座の強要は刑法に定められている犯罪に該当します。具体的には、「強要罪」という犯罪が成立します。また、暴行や脅迫が伴った場合は、暴行罪や脅迫罪も同時に成立し得ます。
まずは、土下座の強要で問われる可能性のある罪や成立要件、法定刑について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
土下座の強要は「強要罪」に該当する
土下座の強要は刑法223上に定められている「強要罪」が成立し得ます。そもそも、「強要」をしている時点で強要罪という犯罪が成立することを覚えておくべきでしょう。
強要とは、相手に対して義務のないことを強いることを指します。つまり、相手に対して土下座をするよう強いた場合は強要罪が成立する可能性が高いと考えておけば良いです。
強要罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑」です。罰金刑の規定がなく、実刑判決が下されれば刑務所へ収監されることとなるため注意しなければいけません。
実刑判決とは、執行猶予が付かない判決のことを指します。執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予することを指します。たとえば、拘禁刑1年執行猶予3年の判決が言い渡された場合は、拘禁刑1年という刑罰を直ちに執行せずに3年間猶予します。執行猶予期間中は、社会生活を送りながら更生を目指します。一方で、執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が下された場合は、執行猶予が取り消されて拘禁刑1年の刑罰が執行されます。
暴行や脅迫を伴えば「暴行罪」「脅迫罪」が成立
土下座を強要する際に、相手に対して暴行を加えたり脅迫を用いたりした場合は、強要罪とは別に暴行罪や脅迫罪が成立し得ます。
暴行罪は、人の身体に対して有形力を行使することを指します。たとえば「殴る・叩く」「蹴る」「唾を吐きかける」といった行為です。なお、暴行の結果、傷害を負わせた場合はより刑罰の重い傷害罪が成立するため注意しましょう。
たとえば、人のことを殴り、相手に対して「これ以上殴られたくなければ土下座をしなさい」などと言った場合は、暴行罪に加えて脅迫罪が成立します。なお、暴行罪の法定刑は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」です。
脅迫罪とは、「相手の生命、身体、自由、名誉、または財産に対して害を加える旨を告知して、相手を畏怖させる行為」です。たとえば、相手に対して「殴る」等と害を加えることを告知した時点で成立します。
たとえば、「土下座しなければ殴るぞ」などと言った場合は、強要罪および脅迫罪が成立する可能性があるため注意しなければいけません。脅迫罪の法定刑は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」です。
土下座させた様子を撮影・公開すると別の罪に問われる可能性がある
土下座させた様子を撮影・公開した場合、名誉毀損罪に問われる可能性があります。名誉毀損罪の成立要件は以下のとおりです。
- 公然性
- 事実摘示性
- 名誉毀損性
公然性とは、不特定多数の人が認識できる状態にあることを指します。たとえば、土下座させた様子を撮影し、SNSに投稿した場合、不特定多数の人が土下座させた動画を視聴できる状態になります。これが、「公然性」です。
事実摘示性は、具体的な事実を適時することによって成立します。たとえば、「同じ部署の〇〇さんは、〇〇さんと不倫している」というように具体的な内容を摘示した場合に成立します。土下座の強要の場合も「土下座をした・させた」という事実が事実摘示性に該当すると考えて良いでしょう。
そして、土下座させた様子を撮影・公開することによって、その人の名誉が毀損されていなければいけません。具体的には、社会的評価が下がった状態にあることが必要です。
「土下座を強要させる」という行為は、強要させられた者からすると屈辱的な行為ではあるものの、直ちに社会的評価が下がるとは考えにくいです。ただし、たとえば「土下座強要の動画が原因で社会的評価が著しく下がった」と認められれば、3つ目の要件を満たすこととなります。
民事上の損害賠償請求も認められる可能性がある
土下座を強要した場合は、強要罪などの刑事罰のみならず民事上の賠償責任を負う可能性もあるため注意しなければいけません。たとえば、土下座を強要された者が精神的苦痛を訴えた場合は、慰謝料を支払わなければいけません。
もし、土下座の強要が原因で精神障害を患った場合は、治療費や慰謝料との支払いが必要となるでしょう。
土下座強要に類似する違法行為
土下座強要に類似する違法行為として、以下のような行為が挙げられます。
- 謝罪文を書かせる行為
- 土下座の状況を撮影・投稿する行為
- 言葉による脅し
- 「土下座しないとどうなるか分かってるな?」と言う行為
次に、土下座強要に類似する違法行為についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
謝罪文を書かせる行為は強要罪になり得る
無理やり謝罪させたり謝罪文を書かせたりする行為は、いずれも強要罪に該当し得ます。強要罪は、義務のないことを行わせることによって成立する犯罪であるため、謝罪文を無理やり書かせたり、謝罪をさせたりする行為は強要罪として成立するでしょう。
ただし、「義務の有無」については判断が分かれるところです。たとえば、謝罪文に似た文章として「反省文」や「始末書」、「顛末書」というものがあります。これらの文章を書かせる行為が強要罪になり得るか?と気になる人も多いのではないでしょうか。
これらの行為は、「義務の有無」によって強要罪が成立するかどうかが異なります。たとえば、反省文や始末書はいずれも「再発防止」の意味合いが強いです。今後、同じことが起きないようにするために、過去を振り返り、文章にまとめさせる行為は「義務であり、違法性はない」と判断できるでしょう。
無理やり土下座を撮影・投稿すれば名誉毀損罪
先ほども解説したとおり、無理やり土下座をさせてその様子を撮影・投稿をした場合は、名誉毀損罪が成立する可能性があるため注意しなければいけません。
たとえば、土下座の強要に加えて「〇〇(土下座させられている人)は仕事ができない!」「〇〇は、アホだ!バカだ!」暴言を吐いていた場合です。これらは、社会的評価を著しく下げる行為に該当するため、当然名誉毀損罪が成立し得るでしょう。
また、現在はSNS等に土下座させた動画をアップロードすることで、土下座させた本人が特定されていわゆる炎上する可能性も高いです。過去、実際に土下座を強要させ、本人もしくは周囲の人が動画を撮影・投稿し、炎上しているケースがあります。
言葉による脅しだけでも脅迫罪や侮辱罪になる
言葉による脅しだけでも、脅迫罪や侮辱罪が成立するため注意しましょう。たとえば、「土下座しなければ殴るぞ・蹴るぞ」などと危害を加えると告知した場合は、脅迫罪が成立します。
また、相手に対して「ばか・アホ」などと暴言を吐いた場合は、侮辱罪が成立する可能性があるため注意しましょう。たとえ相手が悪い、失敗をしたケースであっても、言葉や態度はくれぐれも注意しましょう。
「土下座しないとどうなるか分かってるな?」は脅迫罪に該当
「土下座しないとどうなるかわかってるよな?」という言葉を発しただけでも脅迫罪が成立します。「どうなるかわかるよな?」の一言で、多くの人は「土下座をしなければ危害を加えられる」と認識します。そのため、当然に脅迫罪が成立し得るということになるでしょう。
また、「土下座しないとどうなるかわかってるよな?」と言い、仮に相手が土下座をしなくても強要をしている時点で、強要未遂罪が成立します。脅迫罪および強要未遂罪のいずれか、もしくは両方が科される可能性があるため注意しましょう。
土下座の強要で逮捕された場合の流れ
土下座の強要は、強要罪という犯罪が成立するため逮捕される可能性があります。もし、逮捕されてしまった場合はどのような流れで事件が進んでいくのか?と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
次に、土下座の強要で逮捕されてしまった場合の流れについて詳しく解説します。
逮捕
土下座を強要した場合は、その状況によるものの「強要罪」という犯罪が成立する可能性が高いです。強要罪は刑法犯であるため、逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。
逮捕とは、罪を犯した疑いのある人の身柄を一時的に拘束するための手続きです。逮捕された人は、逮捕から48時間以内の間、警察署内にある留置所と呼ばれる場所に身を置きます。その中で、1日8時間を超えない範囲で取り調べを受ける流れとなります。
逮捕期間中は身柄が拘束されるため、当然、家に帰ることはできません。学校へ行けない、会社へ出社できないなどのさまざまな弊害が発生し得るでしょう。
ただし、強要罪が成立したからといって必ずしも逮捕されるとは限りません。逮捕するためには、「証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがある」という条件を満たしている必要があります。
とくに強要罪は比較的軽微な犯罪であることから、罪を認めている場合は、逮捕されずに在宅捜査となる可能性が高いでしょう。在宅捜査となった場合は、身柄拘束が発生せず、警察等からの呼び出しに応じ、取り調べが行われる流れとなります。
勾留請求
逮捕によって身柄拘束されている被疑者の場合、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致します。その後、検察官は24時間以内に引き続き身柄拘束を行う必要があるかどうか?について判断し、勾留の必要があると判断した場合は勾留請求を行います。
勾留請求が認められた場合は、初めに10日間の勾留が可能です。その後、勾留延長されるケースが大半であり、さらに10日間、合計で20日間の身柄拘束が可能となります。
そのため、逮捕から勾留まで最長23日間の身柄拘束が行われる可能性があり、社会的影響も大きくなるため注意しましょう。
起訴・不起訴の判断
勾留(身柄拘束)されている被疑者の場合、勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。罪を犯した事実があったとしても、被害者と示談が成立している場合は、不起訴処分となる可能性もあります。
悪質な場合や被害者の処罰感情が厳しい場合などは、起訴される可能性があります。強要罪で起訴された場合は、正式起訴・略式起訴のいずれかが選択されるでしょう。
正式起訴の場合は、通常通り刑事裁判を受けて判決が言い渡されます。保釈が認められなければ、裁判で刑罰が確定するまでは身柄拘束が継続します。
一方で、略式起訴を選択した場合は、刑事裁判を行わずに罰金刑が確定。刑事裁判を行わない分、早期の釈放が可能であるため、大きなメリットになり得るでしょう。
刑事裁判を受ける
正式起訴された場合は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では、あなたの犯した強要罪という犯罪について審理し、有罪か無罪かを判断します。罪を犯した事実がある以上、無罪判決が言い渡される可能性は低いです。
有罪である場合は、どの程度の刑罰に処するかを判断し、判決として言い渡します。
判決に従って刑に服する
判決が言い渡されて確定した場合は、その判決に従って刑に服します。罰金刑であれば罰金を支払って終了します。拘禁刑であれば、一定期間刑務所に収監されることになるでしょう。
ただし、執行猶予判決が言い渡された場合は、直ちに刑罰が執行されることはありません。たとえば、「拘禁刑1年執行猶予3年」の判決が言い渡された場合は、拘禁刑1年の刑罰が直ちに執行されることはありません。
3年間執行を猶予し、罰金刑以上の刑罰が下されなければ刑罰は失効します。しかし、執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が確定した場合は、執行を猶予されていた1年の懲役も加算されるため注意が必要です。
土下座強要が起きやすい場面
土下座の強要が起きやすい場面とは、以下のとおりです。
- クレームや接客時のトラブル
- 学校や職場でのいじめ・パワハラ
- 恋愛や家庭内での支配・感情的な行動
- SNSでの晒し目的による強要
次に、土下座の強要が起きやすい場面について詳しく解説します。
クレームや接客トラブル
クレームや接客トラブル発生時に土下座を強要するケースがあります。店舗側のミスが発生した際、言葉や対応による謝罪のみで事足りず、土下座を強要するケースです。当然、店舗側のミスがあったとしても、土下座は義務ではないため強要罪が成立し得ます。
学校や職場でのいじめやパワハラ
学校や職場でのいじめやパワハラの際、相手に対して土下座を強要するケースが多くあります。いじめの一環として行われる場合は、面白がって動画撮影をして周囲の人に共有するケースがあります。この場合は、名誉毀損罪等の罪に問われる可能性もあるため注意が必要です。
パワハラの一環として土下座を強要する場合、強要された側は何らかの仕事上のミスを犯している可能性が高いです。それでも、土下座をする義務がないため、強要罪が発生します。
恋愛や家庭内での支配・感情的な行動
恋愛や家庭内での支配・感情的な行動にて土下座を強要するケースもあります。いわゆるモラハラを日常的に行っている者が相手に対して土下座を強要します。
どのような事情があったにせよ、相手に対して土下座を強要することは強要罪が成立するため注意しましょう。また、モラハラが発生している場合は、暴行や暴言などが伴っているケースも多く、他の罪も成立している可能性が高いです。
SNSでの「晒し目的」による強要
SNS上に晒す目的で土下座を強要するケースもあります。土下座を強要されている人よりも自分の地位が上だということを広く認知させたいために、土下座の強要を行う人が多いです。
土下座をした本人も納得をしたうえで面白がって行っている場合は良いですが、土下座を強要していた場合は、強要罪が成立します。また、SNSに載せることで載せた本人もいわゆる炎上による被害を受ける可能性があるため注意しましょう。
土下座を強要された側が取れる対応とは
土下座を強要された側ができる対応方法は以下のとおりです。
- 録音・録画などで証拠を確保することが重要
- 警察への被害届の提出を検討する
- 名誉毀損やプライバシー侵害で損害賠償の検討をする
次に、土下座を強要された側が取れる対応について詳しく解説します。
録音・録画などで証拠を確保することが重要
可能であれば、土下座を強要されている状況を録音・録画しておきましょう。録音・録画したデータは、いずれも強要罪を立件するうえで十分な証拠となり得るためです。
自分のスマホでも良いですし、他人のスマホ等でも良いです。防犯カメラや監視カメラでも、土下座を強要されている証拠が撮影されていれば証拠能力として十分です。
警察に被害届を出すことで刑事事件にできる
警察への被害届の提出を検討しましょう。強要罪は親告罪ではありませんが、警察が事件を認知するきっかけとなり得るためです。
親告罪とは、被疑者を罪に問うために被害者の告訴が必要な犯罪を指します。強要罪は、非親告罪に該当するため、被害者の告訴がなくても罪に問うことができます。
強要罪の公訴時効は3年であるため、できるだけ早めに警察への被害届提出を検討したほうが良いでしょう。
名誉毀損やプライバシー侵害で損害賠償を請求できる
強要罪は、名誉毀損やプライバシーの侵害に該当するケースも多くあります。これらに基づく民事的な責任として、損害賠償請求も同時に検討したほうが良いでしょう。
損害賠償請求は、慰謝料や実際に被った被害等に応じて請求が可能であり、裁判を通して最終的に判決(賠償金額の決定)が言い渡されます。
土下座の強要に関するよくある質問
土下座の強要に関するよくある質問を紹介します。
Q.謝罪を求めただけで罪になりますか?
A.義務のないことを行わせた場合は、強要罪が成立し得ます。
たとえば、「悪いと思っているなら謝罪をしなさい」のように相手に対して謝罪を求めただけであれば、強要罪は成立しないと考えられます。一方で、「謝罪をしなければ危害を加える」のように、脅迫や暴行を用いて謝罪を求めた場合は、強要罪が成立し得ます。
Q.店員が自主的に土下座した場合でも罪に問われますか?
A.自主的に土下座した場合は、罪に問われません。
強要罪は、あくまでも同下座を強要した場合に成立する犯罪です。そのため、自分から求めることなく、相手が勝手にやった行為である場合は、強要罪は成立しません。
ただし、土下座をするよう唆したり、雰囲気で土下座をするよう求めたりした場合は強要罪が成立する可能性があります。たとえば「誠心誠意の謝罪の方法はどうするのが正解ですか?」のように、間接的に土下座を強要したような場合です。
Q.土下座を強要されたらどこに相談すればいいですか?
A.警察への相談を検討しましょう。
土下座の強要は、強要罪という立派な犯罪です。そのため、強要された証拠を持って警察へ行って警察へ被害届を提出しましょう。
また、民事的な責任を負わせたい場合は、弁護士への相談も検討したほうが良いでしょう。警察へ行く前に弁護士へ相談をしても良いです。さまざまなアドバイスやサポートを受けられるでしょう。
Q.SNSに土下座動画をアップすると違法ですか?
A.土下座動画をアップすること自体に違法性はありません。
たとえば、有名なクリエイターがいわゆる炎上騒ぎを起こしてしまったとしましょう。そのお詫びとして、自身の謝罪動画を撮影し、動画の中で土下座をしてSNSにアップしたとします。この場合は、当然違法にはなりません。つまり、土下座動画をアップしたからといって直ちに違法性が問われることはないのです。
ただし、他人の土下座動画をSNS等にアップロードした場合は、名誉毀損罪等の罪に問われる可能性があるため注意しましょう。
Q.土下座強要で逮捕された場合、前科がつきますか?
A.逮捕されただけでは前科は付きません。
逮捕されただけで前科は付きません。起訴されて、有罪判決が下された時点で前科として残ります。つまり、仮に逮捕されずに在宅捜査で事件が進み、最終的に略式起訴で事件が終了した場合であっても、前科が付きます。
逮捕されても不起訴処分で終了した場合は、前科は残りません。あくまでも「有罪判決が確定した時点で前科が付く」と覚えておきましょう。
まとめ
土下座を強要する行為は、刑法223条に定められた「強要罪」に該当する可能性が高く、暴行や脅迫を伴えば「暴行罪」や「脅迫罪」も成立します。いずれも前科が付く可能性があり、場合によっては実刑判決を受けて刑務所に収監されるおそれもあります。
さらに、土下座の様子を撮影・公開すれば「名誉毀損罪」、言葉による脅しや侮辱的発言だけでも「脅迫罪」や「侮辱罪」が成立し得ます。刑事罰に加えて、被害者から民事上の損害賠償請求を受ける可能性も高く、慰謝料や治療費などの支払いを命じられるケースもあります。
また、逮捕されると最長で23日間身柄拘束が続くこともあり、仕事や学業、家庭生活に大きな影響を及ぼすでしょう。たとえ相手に非があったとしても、土下座や謝罪文の強制、暴言や脅しといった行為は重大な法的リスクを伴う行為です。
本記事で解説したとおり、感情的になって強制的な謝罪を求めることは、自身の立場や信用を失いかねません。相手とのトラブル解決は冷静かつ適法な手段で行い、万一相手の行為に納得できない場合は、弁護士や警察など適切な機関へ相談することが重要です。