警察の内偵捜査が行われている…?確信を得る方法や今後の対処法を解説

警察の内偵捜査が行われている…?確信を得る方法や今後の対処法を解説
警察の内偵捜査が行われている…?確信を得る方法や今後の対処法を解説

警察が行う内偵捜査は「秘密裡に行う捜査」を指すため、一般人が捜査官の内偵捜査に気付ける可能性は低いです。そのため、「内偵捜査が行われているかもしれない…」のほとんどは、勘違いである可能性が高いです。

とはいえ、心当たりがある人からすると、気が気ではないでしょう。そこで今回は、警察が行う内偵捜査の内容や逮捕された場合の流れ、今後の対処法について詳しく解説します。

警察が行う内偵捜査とは

警察が行う内定捜査とは、その名の通り「内偵に行う捜査」のことを指します。一般的には被疑者もしくは参考人等となり得る人を対象に捜査を行い、証拠を集めることを目的にしています。

まずは、警察が行う内偵捜査とはどういったものなのかについて詳しく解説します。

秘密裡に捜査を進めること

内偵捜査とは、捜査機関が秘密裡に捜査を行うことを言います。逆に、公に捜査を行うことを「公開捜査」と言います。

内偵捜査は基本的には誰にも知られることなく、内々に捜査を進めて容疑を固めていくことを目的としています。内偵捜査は、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止することが主な目的です。そのため、誰にも知られることなく秘密裡に捜査を行わなければいけません。

一方、公開捜査はある程度被疑者が特定されており、再犯防止の目的や被疑者の検挙を国民に広く協力してもらうことを目的としています。

証拠を集めて容疑を固めるために行う捜査

内偵捜査の主な目的は、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止することです。そのため、言ってしまえば、逮捕状を請求するまでの証拠が集まっていない段階で行う捜査であるとも言えます。

内々に捜査を行って証拠を集め、逮捕状を請求して逮捕に至るのが一般的です。基本的には、逮捕状請求の前段階で内偵捜査を行い、その後に被疑者等の生活スタイルを確認して逮捕の機会を伺う内偵捜査に移行する流れです。

【具体例】警察が行う内偵捜査の主な内容

警察が行う内偵捜査には以下のようなものがあります。

  • 関係各所への聞き込み
  • 官公署への照会
  • 銀行口座の情報取得
  • プロバイダーの情報取得
  • 防犯カメラの解析
  • 自宅近くでの張り込み

いずれも、捜査に協力してくれた人に対しては、口外しないように依頼します。口外をしてしまうと内偵捜査の意味がなくなってしまうためです。

そのため、基本的には被疑者や参考人等内偵捜査の対象となっている人が、内偵捜査を行っている事実を知ることはできません。

とはいえ、実際にどういった捜査を行っているか気になる人もいるでしょう。次に、内偵捜査で行われる内容について紹介します。

関係各所への聞き込み

内偵捜査では関係各所への聞き込みを行います。たとえば、住宅街で事件が発生した場合、事件場所の近くに住んでいる住人に対して聞き込みを行う場合があります。これもひとつの内偵捜査です。

他にも被疑者の職場の同僚や上司などへ聞き込みを行い、態様を伺うケースもあるでしょう。

官公署への照会

被疑者と思われる人の戸籍や住民票を取得し、現住所の把握を行うこともあります。これも内偵捜査です。

銀行口座情報等の取得

被疑者の銀行口座の情報等を取得する場合があります。とくに、詐欺事件等のように多額の資金が動いている場合には銀行口座を確認してお金の動きを把握します。

詐欺を行っている人の多くは、手元に現金を持っており銀行口座へ入金している人は少ないです。しかし、何らかの事情で銀行口座に多額の資金を入れ、使用しているようであれば立派な証拠になり得ます。

プロバイダーの情報

プロバイダーとは回線とインターネットを接続する回線業者のことです。プロバイダーを調べることによってある程度の個人情報を把握できます。

最近では、ネット上での誹謗中傷事件の被疑者を特定するためにプロバイダーへの開示請求が頻繁に行われています。これも、内偵捜査です。

防犯カメラの解析

事件が発生した場合、周辺の監視カメラを追います。そうすることで、被疑者の逃亡経路や行き先を特定できるためです。

たとえば、コンビニへの強盗事件が発生した場合、コンビニに設置してある防犯カメラの解析を行いさらにその先の防犯カメラを追って…。というように逃亡経路を把握していく流れです。

防犯カメラの解析も内偵捜査であり、関係各所へ捜査依頼を行って確認します。

自宅近くでの張り込み

ある程度の証拠を集めて逮捕状を請求できる状態もしくは、任意同行を依頼するに十分な証拠が集まっている段階で自宅近くの張り込みを行います。自宅近くでの張り込みでは、複数人がチームになって行います。

あくまでも被疑者にバレないように秘密裡に捜査を進め、被疑者の生活スタイルを把握する流れです。

もし、自宅の張り込みに夜内偵捜査が始まっている場合は、そう遠くない時期に捜査員が自宅前に現れて逮捕もしくは任意同行を依頼される可能性が高いです。つまり「自宅の張り込み=逮捕が近い」と認識しておいたほうが良いでしょう。

「内偵捜査かもしれない…」と感じた場合の対処法

もし「内偵捜査かもしれない…」と感じた場合、あなたが何らかの事件の被疑者になっている可能性が高いです。このままであれば、いずれ逮捕されることになるでしょう。事件の内容次第では、勾留や懲役刑となる可能性もあります。

そのため、内偵捜査が行われているかもしれない、と勘づいた時点で早急な対応を撮りましょう。そうすることで少しでも刑罰を軽くできたり早期の釈放を目指せたりする可能性があります。

心当たりがある場合は出頭を検討する

まず、内偵捜査が行われている事実に心当たりがある場合は、直ちに出頭を検討したほうが良いでしょう。内偵捜査が行われている時点で、犯罪の疑いをかけられており、証拠が集まり次第逮捕される可能性がある段階です。

犯罪の容疑をかけられている時点で、出頭をしても自首扱いにはならず、刑が軽減されることもありません。しかし、怯えながら暮らすこともなくなりますし、反省の意を示すこともできます。

さらに、犯罪の内容次第では出頭をした事実によって、逮捕せずに在宅捜査に切り替える可能性もあります。なぜなら、出頭したことによって逃亡の可能性が低いと判断される可能性があるためです。

いずれにせよ、心当たりがあるのであればすぐにでも出頭を検討したほうが良いでしょう。

出頭前に弁護士へ相談しておいたほうが良い

警察へ出頭を検討しているのであれば、先に弁護士へ相談をしておいたほうが良いです。弁護士へ相談しておけば、出頭時に付き添いしてくれます。また、取り調べ時の注意事項についても教えてもらえるため、有利に取り調べを受けられます。

さらに、弁護士へ相談しておくことによって、早期の釈放も目指せる可能性があります。通常、48時間以内に送致され、その後24時間以内に勾留請求といった流れです。

もし、勾留請求が認められれば最大で20日間は勾留され続けます。日常生活にも多大な影響を与える可能性があるため、弁護士へ相談をした上で早期の釈放を目指したほうが良いでしょう。

心当たりがない場合は勘違いである可能性が高い

内偵捜査に心当たりがない場合は、そもそも内偵捜査が行われておらず、勘違いである可能性が高いです。仮に内偵捜査が行われていたとしても、対象者があなたではなく他人である可能性もあります。いずれにせよ、心当たりがないのであればとくに気にする必要はありません。

ただし、通常の内偵捜査は何度もお伝えしている通り「秘密裡に行う捜査」です。そのため、本来であれば一般人の人が内偵捜査を把握することは困難です。

それにもかかわらず、内偵捜査であると疑わしい行動が近くで見受けられる場合、ストーカー行為である可能性も否定はできません。もし、ストーカー被害に心当たりがある場合は、すぐにでも警察へ相談をしたほうが良いでしょう。

内偵捜査を見抜く方法・知る方法はある?

内偵捜査を見抜いたり知ったりするのは非常に困難です。また、自宅近くで捜査員らしき人を見た場合は、証拠が集まっていて逮捕寸前の時期に来ている可能性が高いです。

次に、内偵捜査を見抜く方法・知る方法はあるのか?について詳しく解説します。

内偵捜査を見抜くのは相当難しい

内偵捜査を見抜くのは非常に困難です。そもそも、内偵捜査は「秘密裡に行う捜査」であるため、被疑者に知られてしまえば内偵捜査とは呼べません。そのため、絶対にバレないように捜査を進めていくのが基本です。

捜査員もプロであるため、素人である人間が内偵捜査を把握するのは非常に困難ですし、見抜く方法・知る方法も存在しません。

ただ、捜査依頼を受けた身近な人から話を聞いて、捜査対象者になっていることを知ってしまうケースもあるでしょう。

たとえば、被疑者の関係者へ聞き込みを行った際、その聞き込みを受けた人があなたに対して「警察からあなたのことを聞かれた」と言われれば、内偵捜査の事実を把握できます。

警察は捜査依頼をした人に対して「口外しないでほしい」とはいうものの、基本的に強制できるものではありません。そのため、周囲の人からの話で内偵捜査の事実を把握する、といったことはあるかもしれません。

自宅周辺にいる場合は証拠が集まっている可能性が高い

捜査員は内偵捜査のプロであるため、基本的に被疑者に知られることはありません。しかし、自宅近くでいつも同じような人を見かけると、「もしかして内偵捜査が行われているのではないか?」と、勘づいてしまうことがあるかもしれません。

ましてや、自分自身が犯罪を犯している事実があれば、「もしかしたら…」と思うことでしょう。

この時点で、何らかの対応を取ろうとして証拠を隠滅したり、逃亡したりすることを考えるかもしれません。しかし、手遅れとなっている可能性が高いです。

なぜなら、自宅近くで張り込みをされている時点で犯罪に関する証拠が集まっており、逮捕状を請求できる状態になっている可能性が高いためです。むしろ、逃亡したり証拠隠滅したりすることにより、余計心象を悪くしてしまいます。

そのため、自宅近くの張り込みで内偵捜査に勘づいてしまった場合は、覚悟を決めて弁護士に相談をした上で出頭をしたほうが今後のためになるでしょう。

逮捕された場合の流れ

内偵捜査の対象になっている時点で、遅かれ早かれ逮捕されてしまう可能性があります。今後、もしも逮捕されてしまうようなことがあれば、どういった流れでことが進んでいくのかを把握しておいたほうが良いでしょう。

次に、逮捕されてしまった場合の流れについても詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

逮捕後48時間以内に事件を送致

逮捕された場合は、逮捕された時間から48時間以内に事件を送致しなければいけません。送致される場合は、検察庁へ行って検察と会って話をします。

ただし、警察官の判断で送致される前に釈放される場合があります。これを送致前釈放と言い、すぐに社会生活に戻れる点がメリットです。

また、逮捕された場合であっても犯罪の内容が軽微な場合は、微罪処分として検察官送致しない場合もあります。一定の条件を満たした場合にその事件の捜査を終え、被疑者をすぐに釈放します。

たとえば、万引きの容疑で逮捕された場合であって、被害額が軽微かつ弁済が行われ、加害者も十二分に反省している場合は微罪処分となる可能性が高いです。

送致から24時間以内に勾留の有無を判断

検察官送致が行われると、送致から24時間以内に勾留の有無を判断しなければいけません。勾留請求を行う際は、被疑者を裁判所へ連れて行き、裁判官と話をします。

勾留請求が認められなければ、そのまま釈放されて在宅捜査へと切り替わります。この時点で、日常生活に戻ることができるため、影響は少なく済むでしょう。一方で、勾留が認められれば身柄を拘束されたままの捜査が継続します。

ちなみに、勾留が認められるためには以下の要件を満たしていなければいけません。

  • 住所が定まっていない
  • 犯罪の証拠を隠滅する可能性があると疑える十分な理由がある
  • 逃亡する可能性があると疑える十分な理由

上記のいずれかに加え、犯罪を犯したと疑える十分な証拠がなければ勾留請求は認められません。そのため、逮捕された場合は早めに弁護士へ相談をして早期の釈放を目指せるように相談をしたり協力してもらったりすると良いでしょう。

最長で20日間の勾留

勾留請求が認められた場合は、基本的に10日間勾留されます。その後、必要であると判断された場合は、さらに10日間の合計20日間勾留され続けることになります。

この時点で逮捕から23日間身柄を拘束され続けているため、社会的にも多大な影響を与えていることを懸念しなければいけません。たとえば、勤務先への影響や家族への影響等が考えられるでしょう。

そのため、遅くても勾留期間終了時点で釈放を目指せるように努力をしたほうが良いです。とはいえ、犯罪の内容によっては釈放は認められないため、その点は注意してください。

検察官が起訴・不起訴を判断

勾留期間中に行われる捜査次第で、検察官が被疑者を起訴するか不起訴とするかを最終決定します。不起訴となった場合は、その時点ですぐに釈放されて社会生活に戻れます。

不起訴処分=無罪ではありません。仮に犯罪を行った事実がある場合であっても、検察が刑罰を科すほどでもないと判断した場合に不起訴処分となり得ます。一度不起訴処分となってしまえば前科はつくこともなく、今後罰せられることもありません。

起訴された場合は、そのまま刑事裁判を受けなければいけません。なお、起訴されて被告人になった場合は、警察署にある留置所から拘置所へ移ります。

起訴の場合は刑事裁判・判決に準ずる

起訴された場合は、そのまま刑事裁判へ移行します。刑事裁判では、有罪・無罪を判断し、有罪の場合は量刑を決定する流れです。

日本の刑事裁判において、起訴されてしまうと99.9%の確率で有罪判決が下されると言われています。有罪判決が下された場合は、前科がついて今後の生活にもある程度の影響が出ます。また、有罪判決が下された場合は、その判決に従って刑罰を受けます。

ちなみに日本国内の刑罰は軽いものから以下の通りです。

  • 科料
  • 拘留
  • 罰金
  • 拘禁(※)
  • 死刑
※ 令和4年6月に禁固刑及び懲役刑が廃止され、拘禁刑へ統一されました。

科料とは、1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じられる刑事罰です。刑事罰の中では最も軽い刑罰です。次の刑罰は拘留です。逮捕後の勾留とは異なる点に注意してください。拘留とは1日以上30日未満の期間刑務所等に収容する刑事罰を指します。

次に罰金刑です。罰金は、1万円以上の現金を納付させる刑事罰であり、上限は設けられていません。万が一、罰金を支払えない場合は、1日5,000円程度で労役場留置されることになり得ます。

逮捕後に早期釈放を目指す方法

逮捕された場合は、そのまま身柄を拘束されてしまう可能性が高いです。身柄を拘束されてしまえば、日常生活にも多大な影響を与えます。

最悪の場合、解雇されたり学生であれば強制退学させられたりするなど、今後の人生にも多大な影響を与えてしまう可能性があります。そのため、可能な限り早期の釈放を目指したほうが良いのは当然です。

では、どのように早期釈放を目指していけば良いのでしょうか。最後に、早期釈放を目指すための手段について詳しく解説します。

内偵時点で弁護士へ相談しておく

もし、内偵捜査に気付いてしまったのであれば、すぐにでも弁護士へ相談をしましょう。その上で、すぐに出頭してください。弁護士へ相談をすることで、早期釈放を目指すための具体的な方法を提案してくれます。

早期釈放を目指すためには、犯罪の内容を知った上で拘束する必要がない旨を解く必要があります。そのため、専門家である弁護士へ相談をして警察や検察、裁判官と話をしてもらうことによって、早めの釈放もあり得ます。

弁護士に相談をしなければ、自分ではどのように動けば良いのかわからず、不利になってしまう可能性もあるため注意しなければいけません。必ず弁護士へ相談をした上で、出頭しましょう。

罪を認めて反省する

犯罪を犯した事実があるのであれば、罪を認めて反省の態度を示しましょう。そうすることで、勾留請求の要件を満たさなくなるため、勾留されずに釈放される可能性が高まります。

そもそも、勾留請求が認められるためには、住所が不定もしくは証拠隠滅または逃亡の恐れがある場合です。

初めから罪を認めてすべてを話し、反省している人であれば証拠隠滅や逃亡の恐れは低いと判断されやすくなります。結果的に早期釈放もあり得るでしょう。

示談交渉等を完了させておく

被害者がいる場合は、示談交渉を進めておきましょう。たとえば、傷害罪で内偵捜査が入っている場合は、できるだけ早めに示談交渉を進めておくのが得策です。

示談交渉を行って被害者の処罰感情が軽減されれば、あえて逮捕をして捜査をしたり身柄を拘束したりする必要はありません。もちろん、加害者側の前科等も踏まえた上での判断とはなりますが、示談交渉の有無が勾留の有無や刑罰の判断に影響を与える可能性はあります。

ちなみに、示談交渉を行う場合も弁護士に相談をしたほうが良いです。

被害者から見ると「加害者の話は聞きたくない、顔も見たくない」と考えるのは当然です。そのため、第三者である弁護士へ示談交渉を委託してしまったほうが、スムーズな交渉を行えます。

まとめ

今回は、警察が行う内偵捜査について紹介しました。

内偵捜査が行われている時点で何らかの犯罪の疑いをかけられている可能性があります。もし、心当たりがあるのであれば、今後逮捕される可能性があるため自ら出頭してしまったほうが良いでしょう。

一方で、まったく心当たりがないのであれば、内偵捜査自体が勘違いである可能性が高いです。もし、内偵捜査が行われているとしても、対象者がそもそもあなたではないかもしれません。そのため、あまり気にする必要はないでしょう。

何らかの犯罪の心当たりがあり、今後逮捕されるかもしれないと不安を抱えているのであれば、弁護士へ相談をしておくと良いでしょう。今後起こり得る影響を可能な限り抑え、あなたのためになる行動を教えてくれます。

心当たりがある場合は、遅かれ早かれ逮捕される可能性があるため早め早めの対応を心がけたほうが自分のためになり得るでしょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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