勾留中でも職場・家族に連絡できる?連絡方法と注意点を解説

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「勾留が決まったら職場や家族にどう連絡すればいいのか?」という点は、多くの方にとって大きな不安でしょう。突然の逮捕や勾留は本人だけでなく、家族や職場にも大きな影響を及ぼします。

出勤できないまま無断欠勤となってしまうと、職場での立場悪化、解雇に発展するリスクもあります。家族からすれば「急に帰ってこない」という状況が深刻な心配を招きます。しかし実際には、勾留中の被疑者が自ら自由に連絡を取ることはできず、スマートフォンの使用も禁止されます。

そのため、職場や家族に勾留の事実を伝えたい場合には、手紙や弁護士を通した方法しかありません。さらに、接見禁止が付いている場合には手紙のやり取りも難しく、連絡手段が大きく制限されるのが現実です。

本記事では、「勾留とは何か」という前提知識から始まり、勾留中に職場や家族に連絡できる範囲や注意点、連絡するメリット・デメリット、安全に連絡するための方法まで詳しく解説します。勾留による社会的リスクや精神的負担を最小限に抑えるためのポイントを押さえておきましょう。

目次

勾留とは|職場や家族への連絡の前提知識

勾留とは罪を犯した疑いのある人の身柄を一時的に拘束するために行われる手続きを指します。勾留中の連絡に関して解説をする前に、前提知識として「勾留とは何か?」「どのような手続きで行われるのか?」「どのような生活を送っているのか?」について詳しく解説します。

勾留されている本人はもちろん、職場の同僚や家族は突然家族が逮捕・勾留されたことによって不安やさまざまな疑問が発生していることでしょう。まずは、「勾留とは何か?」について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

勾留の意味と期間

勾留とは、罪を犯した疑いのある人の身柄を一時的に拘束するために行われる手続きのことを指します。刑事事件において身柄を拘束されるケースは、主に以下の3パターンです。

  • 逮捕による身柄拘束
  • 勾留による身柄拘束
  • 未決勾留による身柄拘束

「勾留」という言葉は、「身柄を拘束すること」という意味合いで広く利用されますが、本記事では刑事手続上における「勾留」について解説をします。

ちなみに逮捕されたことによる身柄拘束は逮捕から48時間以内と決められています。その後、検察官へ事件を送致し、勾留の判断を行う流れです。

未決勾留も「勾留」という単語が使用されていますが、本記事で解説する「勾留」とは異なる点に注意してください。未決勾留とは、起訴された被告人が刑事裁判を待っている間に身柄拘束されている状態を指します。

そして、本記事で解説する「勾留」とは、逮捕後に引き続き身柄拘束されている被疑者のことです。たとえば、逮捕するためには「証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがあること」の条件を満たしている必要があります。

その後、検察官へ事件を送致し、検察官が引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があると判断した場合に行われるのが「勾留」です。勾留が認められると、10日間+10日間の合計20日間の身柄拘束が可能となります。

勾留と同じ読み方で「拘留(こうりゅう)」という刑事罰があります。勾留と拘留の違いは、刑事罰か否かです。拘留は刑事罰であり、1日以上30日未満の間刑事施設へ入所させることです。いわゆる拘禁刑と同じ刑罰であり、期間が短いために「拘留」と呼ばれています。

勾留中の生活や手続きの制限

勾留中は、警察署内にある留置場と呼ばれる場所で寝泊まりをしながら生活を送ります。決められた時間に起床し、決められた時間に食事や入浴等を済ませ、決められた時間に就寝する、規則正しい生活を送ります。

そして、勾留されている被疑者は起訴される前の状態です。そのため、検察官の取り調べに応じなければいけません。検察官による取り調べは、1日8時間以内と定められており、この時間以外は留置場で生活を送ります。

家族や職場の人による面会や差し入れも可能ではあるものの、起訴される前の状態であることから「接見禁止」が付く可能性があります。接見とは、面会のことを指すため、簡単に言えば「面会禁止」のことです。

接見禁止が付く被疑者は、事件について否認していたり共犯がいたり、口裏合わせ(証拠隠滅)をする可能性があると判断されている場合です。ただし、接見禁止中であっても差し入れが許される可能性があるため、勾留されている警察署等へ相談をしてみてください。

勾留と逮捕の違い

先ほども簡単に解説しましたが、逮捕も勾留も「身柄を拘束される」という意味では同じです。しかし、逮捕された被疑者は逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致し、さらに24時間以内に勾留の有無を判断しなければいけません(勾留可否を判断するのは裁判官)。

つまり、逮捕による身柄拘束が可能な時間は最長で72時間以内です。また、逮捕するためには原則逮捕状の発付が必要です。

一方で、勾留による身柄拘束可能な期間は20日間であり、逮捕状等の発付は必要ありません。詳しくは後述しますが、勾留するためには裁判官の許可が必要です。検察官が勾留の必要性を判断し、裁判所に対して勾留請求を行って認められれば勾留が可能となります。

勾留が決まるまでの流れ

事件が発生してから、勾留が決まるまでの流れは以下のとおりです。

  1. 事件発生
  2. 捜査開始・被疑者特定
  3. 逮捕
  4. 身柄付送致
  5. 勾留の判断・勾留請求
  6. 勾留請求が認められれば勾留開始

まず事件が発生して警察等がその事件について捜査を開始します。その後、被疑者を特定して逮捕状を請求・発付され、被疑者を逮捕します。

その後、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致しなければいけません。このとき、逮捕されている被疑者を送致することを「身柄付送致」と言います。

身柄付送致された場合、検察官はさらに24時間以内に引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があるかどうかを判断します。身柄拘束を継続するためには、逮捕時同様に「証拠隠滅や逃亡の恐れがあること」が条件です。

身柄拘束の必要がないと判断された場合は、直ちに被疑者を釈放しなければいけません。不用意に被疑者の身柄を拘束し続けることは許されません。

そして、勾留の必要があると判断された場合は、裁判所に対して勾留請求を行います。裁判官からの勾留質問等を経て、最終的に裁判官が勾留の可否を判断する流れです。勾留が認められた場合は、初めに10日間の勾留が許されます。その後、勾留延長されるケースが多く、認められればさらに10日間、合計20日の身柄拘束が可能となります。

勾留が決まったら職場や家族に連絡はできるのか?

勾留が決まった場合、自分から職場や家族に連絡をすることは基本的にできません。ただし、弁護士を通して連絡をしたり、自宅や職場宛に手紙を送ったりすることが許可される可能性もあります。

次に、勾留が決まった場合に職場や家族に連絡をできるのか?について詳しく解説します。

勾留中の連絡が可能な範囲とは

勾留中は、当然スマートフォン等は没収されるため、自分のスマートフォン等を利用して家族や職場へ連絡することはできません。連絡手段として許される可能性があるのは、手紙です。

しかし、勾留中は起訴・不起訴の判断がまだなされていないため、接見禁止によって手紙が許可されないケースも多くあります。そのため、基本的には自分から家族や職場へ連絡をするのは難しいと思っておいたほうが良いでしょう。

勾留理由や手続きによる制限

勾留されている被疑者の多くは、起訴・不起訴の判断がなされていません。このことによって、接見禁止という制限が付く可能性があります。接見禁止は、先ほども解説したとおり「面会禁止」のことです。

接見禁止が付いていると、基本的には手紙によるやり取りも禁止されます。そのため、手紙や面会による自分の状況説明が難しくなります。

接見禁止が付く主な理由は「口裏合わせの可能性がある場合」です。たとえば、否認事件や共犯がいる場合は、接見を通して口裏合わせする可能性が高いと判断されるため、接見禁止が付きやすくなります。

ただし、勾留中に起訴された場合は接見禁止が解除される可能性が高いため、家族や職場への連絡は、接見禁止解除後と思っておいたほうが良いでしょう。

警察官を通して、家族や職場へ連絡できる可能性もあります。あくまでも警察側の裁量によりますが、「家族が心配していると思うので、自分が勾留されていることを伝えてほしい」といえば、連絡してくれる可能性もあるでしょう。

弁護士を通して連絡できる可能性

弁護士を通して自分の状況を伝えることが可能です。そもそも、接見禁止中であっても、弁護士との接見(面会)は24時間警察官の立ち会いなしで可能です。そのため、弁護士に対して「自分が勾留されていることを家族と職場に伝えてほしい」のように、伝えることはできます。

また、弁護士は逮捕後に1度当番弁護人を呼ぶことができます。その後、勾留が確定した被疑者については、国選弁護人がかならず選任されるため安心してください。

ただし、刑事事件においては私選弁護人が原則です。私選弁護人は、実費で弁護士費用を支払わなければいけないものの、自分の好きなタイミングで自分に合った弁護人を呼べるため、メリットが多いです。

弁護士を通して家族や職場へ何らかのことを伝えてもらえますが、口裏合わせなど証拠隠滅に関わるような内容の伝言はできません。万が一にも、弁護士が証拠隠滅に加担することはありません。

連絡できない場合のリスクや影響

家族や職場へ連絡をできない場合、以下のようなリスクや影響が発生するでしょう。

  • 精神的負担・不安
  • 社会復帰が難しくなる

家族や会社へ連絡をできなければ、家族からすると「急に帰ってこなくなった」という心配が生まれます。勾留者本人も「家族が心配しているのではないか?」といった精神的な負担や不安を感じるでしょう。

職場も同様であり、急に出社して来なくなれば「何かあったのか?」と心配をされるでしょう。状況次第では無断欠勤扱いとなり、解雇等になる可能性もあります。結果的に、社会復帰の難易度が上がることになるでしょう。

勾留が決まったら職場や家族に連絡するべきか

勾留が決まった場合、職場や家族への連絡はしたほうが良いでしょう。しかし、デメリットもあるため、状況次第で慎重に判断することが求められます。

次に、勾留が決まったら職場や家族に連絡をするべきか?について、以下のとおり解説します。

  • 連絡をするメリット・デメリット
  • 連絡するタイミングの目安
  • 安全に連絡する方法

職場や家族へ連絡をする際の注意事項として、ぜひ参考にしてください。

連絡するメリットとデメリット

家族や職場へ連絡をする主なメリットは以下のとおりです。

  • 自分の状況を伝えられる
  • サポートを得られる可能性
  • 早期解決の可能性

まず、家族や職場へ連絡することで自分が置かれている状況を伝えられます。状況を伝えることで必ずしも安心させられるとは限らないものの、「生きていること」「安全な場所にいること」だけは伝えられるため、余計な心配をさせずに済む点は大きいでしょう。

そして、自分の状況を伝えることで私選弁護人の選任や経済的なサポートを得られる可能性があります。このことにより、事件の早期解決を目指せる可能性があるでしょう。

一方で、職場や家族へ連絡をした場合のデメリットは以下のとおりです。

  • 家族への精神的不安
  • 職場での立場悪化
  • 事件内容の誤解

勾留されている事実を聞いた場合、多くの人はショックを受けるでしょう。家族が不安に感じても、自分自身では何もできません。そういったもどかしさも感じることになるでしょう。

そして、職場では勾留された事実によって立場が悪化してしまう可能性があります。降格処分や解雇処分といった可能性もあるため注意しなければいけません。

また、事件内容について誤った伝わり方をする可能性も注意したほうが良いです。間違った形で話が広がっていくことにより、社会復帰が難しくなる可能性もあります。そのため、連絡をするしないは、勾留期間の長短や事件の内容等によって弁護人とよく話し合ったうえで決めたほうが良いでしょう。

連絡するタイミングの目安

連絡をするタイミングは、事件の内容や勾留期間によって異なります。すぐにでも釈放される可能性がある場合は、連絡をして不安な気持ちにさせるよりも、「連絡をしない」といった選択を検討したほうが良いケースもあります。

一方で、家族や職場へ不安な思いをさせたくない、という思いがあるのであれば勾留された時点ですぐにでも連絡をしたほうが良いでしょう。また、家族等からのサポートを希望する場合もできるだけ早めに相談をしたほうが良いです。

安全に連絡する方法

安全に連絡をする方法は、弁護士を通す方法です。警察等から連絡をしてしまうと、思わぬ誤解を招く恐れがあります。また、警察も事件について話せる内容が限定的であり、家族や職場の人を余計不安にさせてしまう可能性があるためです。

そのため、弁護士を通して家族や職場へ連絡をする方法がもっとも安全性が高い方法であると言えるでしょう。

職場へ連絡する際の注意点

職場へ連絡をする際は、以下のことに注意しましょう。

  • 勤務先に伝える内容と範囲の整理
  • 給与や社会保険の取り扱いの確認
  • 職場に迷惑をかけない工夫をする

次に、職場へ連絡をする際の注意点についても解説します。

勤務先に伝える内容と範囲

勤務先に伝える内容と範囲をあらかじめ整理しておきましょう。たとえば、事件内容についてどの程度まで話をするべきか?を明確にしておく必要があります。余計なことを伝えてしまうことによって、思わぬ誤解を招く可能性もあるため注意しなければいけません。

基本的には、どのような罪で身柄を拘束されており、いつ頃に釈放されそうなのか、どのような支援が必要なのかを伝えられれば良いでしょう。会社としては、従業員がどのような罪を犯し、いつ頃釈放されるのかといった最低限のことを把握できれば安心です。

給与や社会保険の取り扱いの確認

勾留中の給与扱いや社会保険の取り扱いについても、あらかじめ確認しておくと安心です。たとえば、勾留中はお金をおろすことができないため、一部を「差し入れとして入金してほしい」といった要望を伝えることも可能です。

勾留中は、留置場の中でお菓子やジュースを購入したり、自分でお弁当を購入したりできます。これらの物を購入するためには、お金が必要です。そのため、給与の取り扱いについて相談をしておくと安心です。

そして、勾留中は働くことができないため、勾留中の社会保険の取り扱いはどうなるのか?といった疑問や不安についても解決しておくと安心です。

職場に迷惑をかけない工夫

職場へ迷惑をかけないために何を伝え、どのように行動するべきかをあらかじめ検討しておきましょう。会社としても、突然「従業員が逮捕・勾留されている」と聞けば、驚き、対応に困惑することでしょう。

そのため、できるだけ迷惑をかけないようにするためにも、自分の状況を冷静に伝え、今後どうなるのかをしっかりと伝える準備をしておきましょう。

家族へ連絡する際の注意点

家族へ連絡をする際は、以下のことに注意しましょう。

  • 家族に伝えるべき情報と範囲
  • 家族の心理的負担を軽減する伝え方

次に、家族へ連絡をする際の注意点について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

家族に伝えるべき情報と範囲

家族に連絡をする際も、あらかじめ伝える情報の範囲を明確にしたうえで整理しておくことが大切です。とくに同居家族はあなたがなぜ帰って来ないのか?といったことを一番心配しているはずです。

そのため、弁護士等を通して連絡をする際は「〇〇の罪で現在勾留されている。このまま起訴される可能性があり、長期勾留の可能性がある」など、現状をはっきりと伝えてあげることが大切です。もちろん、事実をすべて伝えることによって、家族の心理的負担が増す可能性があります。しかし、家族であれば遅かれ早かれすべてを話さなければいけません。

今の状況を嘘偽りなく伝え、支援が必要な場合はその旨を伝えるようにしましょう。

家族の心理的負担を軽減する伝え方

自分の家族が逮捕・勾留されていると聞けば、多くの人は不安を感じます。しかし、身柄を拘束されている以上、あなた自身が家族のためにできることは限られています。

そのため、家族へ勾留されていることを伝える際は、できるだけ心理的負担を軽減できるようにしてあげることが大切です。現況を可能な限り正確に伝え、いつ頃でられるのか、今後の生活はどうすれば良いのかなどしっかりと伝えてあげることが大切でしょう。

また、被疑者や被告人自身にできることは限定的であるため、必要であれば弁護士による支援も検討したほうが良いでしょう。弁護士であれば、今後の流れ等も把握しているため、今後どのような流れで事件が進んでいくのか?についても伝えてもらえると安心材料になり得るでしょう。

連絡時の法律上の注意点

勾留されている事実を伝える際、以下のことに注意しましょう。

  • 勾留中に伝えてはいけない情報
  • 弁護士の指示に従うことの重要性

次に、勾留されている事実を伝える際の注意事項についても解説します。

勾留中に伝えてはいけない情報

勾留中に家族や職場へ連絡をする際は、「証拠隠滅や逃亡の手助けになり得る情報」を伝えてはいけません。

基本的に、弁護士や警察を通して連絡をする必要があるため、上記のような情報が伝わる可能性は低いです。手紙を送る際も内容を確認されます。接見が許可されている場合であっても、警察官が立ち会うため、上記の内容の情報伝達は不可能です。

しかし、証拠隠滅や逃亡の手助けとなり得る情報を伝達しようとしていたことが明らかになった場合、刑事事件の手続きにおいて相当不利な状況になり得ます。たとえば、身柄拘束の期間が長期化する可能性もあるため注意しましょう。

弁護人の指示に従う重要性

勾留中の連絡に関しては、必ず担当弁護人の指示に従うことが大切です。たとえば、不用意な発言によって事件の進行に悪影響を与える可能性があるため、法律的な不利益を防ぐためにも「何を話して良いのか」について弁護人とよく話し合っておくことが大切です。

また、どの範囲まで家族や職場に伝えて良いのか?についても確認し、アドバイスをもらったうえで伝えることが大切です。誤解や不安を煽ってしまう原因にもなり得るため、慎重な判断が必要でしょう。

とくに、家族が不安から積極的に動こうとする場合もありますが、独断での行動は思わぬ不利益を招くことがあります。かならず弁護士と相談のうえで行動することが安全です。

勾留中に起こりやすいトラブル事例

勾留中は、以下のようなトラブルが発生しやすいため注意しましょう。

  • 家族間での誤解や情報漏洩
  • 職場での噂や不当解雇のリスク
  • 本人の心理的負担や混乱のケース

次に、勾留中に起こりやすいトラブルについても解説します。

家族間での誤解や情報漏洩

家族はの情報伝達を誤ると、思わぬ誤解を招く可能性があるため注意しましょう。より正確な情報を伝えるためにも、何を伝えるべきなのか、どのように伝えるべきなのかを弁護人とよく話し合っておくことがとても大切です。

また、家族からの情報漏洩により自分自身の社会復帰が難しくなるケースもあります。そのため、「他言しないこと」なども家族へ伝えておくようにしましょう。

職場での噂や不当解雇のリスク

職場への連絡、情報伝達を誤ると、誤解のある噂を立てられたり不当解雇されたりする可能性があります。そのため、やはり弁護人を通じて適切な情報伝達をすることが好ましいでしょう。

たとえば、「罪を犯して勾留されている」という事実のみを聞けば、あなたが罪を犯した物である。と多くの人が認識してしまいます。しかし実情は、無実の罪で身柄を拘束されているかもしれません。

一度広がってしまった噂を訂正することは難しく、社会復帰すらも難しくなる可能性があるため注意しましょう。

本人の心理的負担や混乱のケース

情報伝達を誤ると、被疑者や被告人本人の心理的負担が増します。「そういうつもりで伝えたわけではなかった」と思っても、誤った伝わり方をしてしまったことによる影響が残ってしまいます。

後から訂正しようにも、本人は身柄を拘束されているため何もできません。そのため、何をするにしても慎重な判断をし、判断に悩んだ場合は弁護人へ相談をしたうえで発言等をしたほうが良いでしょう。

よくある質問

勾留中の連絡に関するよくある質問を紹介します。

Q.勾留中でも自分で電話できますか?

A.自分で電話をすることはできません。

勾留中は、スマートフォン等の連絡できるツールはすべて没収されます。そのため、自分自身で家族や職場へ連絡することはできません。ただし、警察を通して家族や職場へ電話をしてもらえる可能性があります。

そして、面会を通して家族や職場の人と直接話すこともできるため、電話以外の方法での連絡を検討しましょう。

Q.勾留中に家族に会えるのか?

A.接見禁止でなければ家族に会えます。

勾留中の被疑者の場合、接見禁止が付いていなければ家族の接見(面会)が認められています。そのため、家族に直接会って話ができます。

また、接見できる人の年齢制限はないため、基本的には子ども等であっても面会が可能です。ただし、人数制限があるため、家族が多い場合は数日に分けて接見を行う必要があるため注意しましょう。

Q.連絡しないと何か不利益がありますか?

A.支援を受けられない可能性があります。

家族や職場へ連絡をしなければ、家族や職場にいる人たちはあなたが勾留されている事実を知ることができない、もしくは知るのが遅れます。このことによって、家族や職場からの支援が遅れてしまう可能性があるでしょう。

たとえば、家族であれば勾留されている事実を知った時点で早期に私選弁護人を選任し、依頼してくれるかもしれません。しかし、勾留されていることを知らなければ、そのように動くことができません。結果的に対応が遅れ、処分や判決に影響を与える可能性もあるでしょう。

Q.弁護士が連絡してくれない場合はどうすればいい?

A.弁護士が「連絡をしないほうが良い」と判断しているため、従ったほうが良いでしょう。

弁護士が連絡をしないということは、何らかの理由で連絡をすべきではないと考えている可能性が高いです。まずは、弁護士にその理由を聞いて見たほうが良いでしょう。

そのうえで、弁護士の意見に納得できる場合は素直に従ったほうが良いです。仮に、納得できないとしても、弁護士の弁護方針であるため従ったほうが自分自身が不利益を受けずに済むかもしれません。

刑事事件における弁護士は、被疑者や被告人の唯一の味方です。そのため、あなたに対して何らかのことをしようとしているわけではありません。弁護士を信頼し、連絡をしないほうが良いと判断されたのであれば、その判断を信じることが大切です。

Q.職場に連絡すると解雇される可能性はありますか?

A.可能性はゼロではありません。

逮捕や勾留を理由に解雇した場合は、不当解雇である可能性が高いです。しかし、正当な理由がある場合は、解雇が認められるケースもあります。

たとえばタクシーの運転手として働いている人が飲酒運転で人を殺してしまい、逮捕・勾留されている場合です。この場合は、職場に「飲酒運転で人を轢き殺してしまった」と伝えることで、解雇となるでしょう。

まとめ

勾留が決まった場合、職場や家族への連絡は非常に重要ですが、自由に行えるものではありません。基本的に被疑者自身が直接スマートフォンで連絡をすることは不可能であり、許される手段は手紙か弁護士を通した伝言です。

ただし、接見禁止が付いていると手紙も制限されるため、事実上「弁護士を通す方法」がもっとも現実的かつ安全な連絡手段といえるでしょう。職場や家族に連絡するメリットとしては、状況を伝えて無用な心配を避けられる点、弁護士選任や経済的な支援などを受けやすくなる点が挙げられます。

一方で、デメリットとしては家族の精神的不安や職場での立場悪化、事件内容の誤解が広がるリスクがあります。そのため、勾留が短期間で終わる可能性が高い場合には、あえて連絡を控える判断も必要です。

重要なのは、弁護士と相談しながら「いつ」「誰に」「どのように」伝えるかを決めることです。勾留中の連絡の仕方次第で、家族関係や職場での信頼、そして今後の社会復帰に大きな影響を与えます。本記事で解説した内容を参考に、勾留中の連絡方法を慎重に判断し、できるだけ不利益を避けるよう努めましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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