「自分でお酒を作って自分で飲むだけなのに何が悪いのだろう」「自宅で採れた梅を自宅で漬けこんで梅酒を作った。知人が欲しいと申し出てくれたので割安で販売したが、それだけでも捕まるの?」などの疑問を抱く人は少なくないでしょう。
お酒を自作すると、酒税法違反の容疑で刑事訴追されたり、税務署から指摘を受けて追徴課税などの措置をとられたりする可能性があります。
自作のお酒を楽しむには、酒税法が定めるルールを適切に理解したうえで、合法的に自家醸造しなければいけません。
そこで、この記事では、自作したお酒が原因で刑事訴追された人や、これから自家醸造を考えている人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 酒税法が定める自家醸造に関するルール
- 合法的にお酒を自作するときのポイント
- お酒の自作が原因で科されるペナルティ
- 違法にお酒を自作して刑事訴追されたときの手続きの流れ
- お酒の自作を理由に刑事訴追されたときのデメリット
- 違法にお酒を自作したとして摘発されたときに弁護士に相談・依頼するメリット
目次
お酒を自作すると違法になることがある
お酒を自作する場合には、酒税法の規定に注意が必要です。
酒税法では、アルコール分1度以上の飲料を「酒類」と定義しています。
お酒を自作すると酒税法違反になる可能性がある
酒類を製造する場合には、製造しようとする酒類の品目別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長から製造免許を受けなければいけません。
第七条 酒類を製造しようとする者は、政令で定める手続により、製造しようとする酒類の品目(第三条第七号から第二十三号までに掲げる酒類の区分をいう。以下同じ。)別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許(以下「製造免許」という。)を受けなければならない。
第五十四条 第七条第一項又は第八条の規定による製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の犯罪に着手してこれを遂げない者についても、同項と同様とする。
3 前二項の犯罪に係る酒類、酒母又はもろみに対する酒税相当額(酒母又はもろみについては、その他の醸造酒とみなして計算した金額)の三倍が百万円を超えるときは、情状により、前二項の罰金は、百万円を超え当該相当額の三倍以下とすることができる。
4 第一項又は第二項の犯罪に係る酒類、酒母、もろみ、原料、副産物、機械、器具又は容器は、何人の所有であるかを問わず没収する。
5 第一項又は第二項の行為に係る酒類については、当該酒類を製造した、又は製造に着手してこれを遂げない者から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、前項の規定により没収された酒類には、酒税を課さない。
6 第一項又は第二項の行為に係る酒母又はもろみはその他の醸造酒とみなし、当該酒母又はもろみを製造した者から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、第四項の規定により没収された酒母又はもろみには、酒税を課さない。
参考:酒税法|e-Gov法令検索
酒税法の適用を受けるお酒を自作した場合において、製造免許を受けていなかったときには、「10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑」の範囲で刑事罰が科される可能性があります。
また、酒類を販売する場合には、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から販売業免許を受けなければいけません。販売免許を受けずに酒類を販売した場合、自作のお酒であったとしても、酒税法違反を理由に「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑」の範囲で量刑判断がおこなわれます。
第九条 酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業(以下「販売業」と総称する。)をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場(継続して販売業をする場所をいう。以下同じ。)ごとにその販売場の所在地(販売場を設けない場合には、住所地)の所轄税務署長の免許(以下「販売業免許」という。)を受けなければならない。ただし、酒類製造者がその製造免許を受けた製造場においてする酒類(当該製造場について第七条第一項の規定により製造免許を受けた酒類と同一の品目の酒類及び第四十四条第一項の承認を受けた酒類に限る。)の販売業及び酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない。
第五十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項の規定による販売業免許を受けないで酒類の販売業をした者
参考:酒税法|e-Gov法令検索
お酒を自作しても酒税法違反に問われない事例
お酒を自作しても常に酒税法違反の容疑で摘発されるわけではありません。
ここでは、合法的に自作のお酒を楽しむ際の注意事項について解説します。
果実酒の自家製造ではアルコール度数20度以上の酒類を使用する
自宅で焼酎に梅を漬けて果実酒を作る行為は、酒類とほかの物品を混和して酒類を作り出す行為なので、「新たな酒類の製造」とみなされます。
ただし、自分で飲むために酒類を自家醸造する場合において、アルコール分20度以上の酒類を使用すれば、例外的に「新たな酒類の製造」には該当せず、酒税法の適用を受けずに済むとされています(酒税法第7条、第43条第11項、酒税法施行令第50条、酒税法施行規則第13第3項)。
というのも、アルコール分20度未満の環境では酵母菌の活動が促進されて発酵が進んでしまうからです。アルコール分20度以上の環境であれば、発酵の原因である酵母菌が活動することはありません。
ですから、合法的に果実酒を自家醸造する際には、使用するお酒のアルコール度数をチェックして、アルコール分20%のものを使用するようにしてください。アルコール分20度未満の酒類を使って酒類を自家製造すると、酒税法が定める規制を受けるので、自宅の所在地の所轄税務署長からの製造免許が必要です。
果実酒の自家製造では酒税課税済みの酒類を使用する
梅酒などの果実酒を合法的に自家醸造する際には、酒税課税済みのお酒を使用する必要があります(酒税法第7条、第43条第11項、酒税法施行令第50条、酒税法施行規則第13第3項)。
たとえば、スーパーなどで販売されている酒類を使って自家醸造する場合には、酒税課税済みなので、果実酒の自家製造について合法性が問題になることはありません。
これに対して、知人が自宅で作ったお酒をもらってこのお酒を自家醸造の際に使用したようなケースでは、知人が酒税関係の免許を取得して合法的にお酒を提供していない限り、譲り受けて自家醸造の際に使用した側も酒税法違反の容疑で摘発されかねないでしょう。
自分で飲むために酒類を自家製造する場合でも混和してはいけないものがある
アルコール分20%以上であり、かつ、酒税課税済みの酒類を使ってお酒を自作するときであったとしても、合法的に自家醸造をする場合には、混和してはいけないものがある点に注意が必要です。というのも、混和するものによっては、ビールや日本酒、ワインなどの醸造につながるおそれがあるからです。
ですから、酒税法の範囲内で合法的に自家醸造をするときには、以下のものを使わないようにしましょう(酒税法第7条、第43条第11項、酒税法施行令第50条、酒税法施行規則第13第3項)。
- 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、もしくは、でん粉、または、これらのこうじ
- ぶどう(やまぶどうを含む)
- アミノ酸、もしくは、その塩類、ビタミン類、核酸分解物、もしくは、その塩類、有機酸、もしくは、その塩類、無機塩類、色素、香料、または、酒類のかす
合法的に自家醸造をしても販売すると違法になる
アルコール分20度以上、かつ、酒税課税済みの酒類を使って合法になるのは、お酒を自作する自家醸造についてだけです。
合法的に自家醸造した酒類を販売するには、自宅の所在地の所轄税務署長からの販売業免許が必要なので、無断で自家醸造した酒類を販売すると、酒税法違反の容疑で摘発されてしまいます。
ホームパーティーで無償で自家醸造酒を提供することは可能
合法的に自家醸造したお酒については、自宅に置いて自分自身や同居家族で飲むぶんには酒税法違反になることはありません。
また、ホームパーティーに友人を招いて無償で提供したとしても、酒税法上は合法と扱われます。
これに対して、自宅に招いた友人に対して有償で自家醸造酒を提供すると酒税法違反に該当します。
みりんを使って自家醸造してはいけない
自家醸造するときには、アルコール分20度以上のお酒を使用しなければいけません。
みりんのアルコール分は約14度程度なので、果実酒などを自家醸造する際にみりんを使用すると、酒税法違反に該当します。
自宅で梅酒などを製造するときには、梅酒用日本酒などのアルコール20度以上のお酒を使用してください。
また、自家醸造の際にワインを使用するケースも少なくはありませんが、アルコール度数の基準に注意が必要です。
ぶどうを漬けこんで自家製ワインを作ってはいけない
販売目的だけではなく、自家消費の目的であったとしても、ぶどう類は自家醸造の際に使用してはいけません。
ですから、知人などからもらったぶどうを自宅で焼酎などに漬けこんで自家製ワインや自家製サングリアを製造すると、酒税法違反の容疑で摘発されるリスクがあります。
飲む直前にお酒と果汁などを混ぜるのなら酒税法上問題にはならない
飲む直前に酒類と果汁などを混ぜて作るカクテルについては、酒税法合法と扱われます。
ただし、作ったカクテルを保管すると製造と扱われるので、自家醸造の要件を満たさない限り、酒税法違反の容疑で刑事訴追されかねないでしょう。
自作のお酒を販売するなどして刑事訴追されたときの手続きの流れ
お酒の自作がバレて刑事訴追されたときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 警察から出頭要請がかかる
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が起訴・不起訴を決定する
- 刑事裁判にかけられる
お酒の自作について警察から出頭要請がかけられる
お酒を自作して酒税法違反の容疑をかけられたときには、警察から事情聴取を受けるように出頭要請がかけられることが多いです。このケースは、いわゆる「在宅事件」として任意の捜査活動の一環としておこなわれます。
たとえば、出頭要請がかかった場合、指定された期日に警察署に出頭をして、酒税法違反の被疑事実について取り調べが実施されます。事情聴取が終了すると、自宅に戻ることができます。事情聴取を途中で切り上げることも可能ですし、そもそも、出頭要請を拒否しても問題はありません。
お酒を自作すると酒税法違反の容疑で逮捕される可能性がある
酒税法違反事件を起こした場合、事案の状況次第では、警察に通常逮捕される可能性があります(刑事訴訟法第199条第1項)。
通常逮捕とは、裁判官が発付する逮捕令状に基づいて実施される強制的な身柄拘束処分のことです。
酒税法違反事件が以下2つの要件を満たす場合、逮捕状が発付されます。
- 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
たとえば、警察からお酒の自作について事情を聞きたいと連絡があったにもかかわらず、出頭要請を無視したり、自作した酒が押収されたのに「やっていない」と嘘をついたりすると、逮捕の必要性があると判断されるので、通常逮捕のリスクが高まります。また、警察から自作したお酒の提出を求められたのに無断で廃棄した場合にも、逮捕状が発付される可能性が高いです。
逮捕状が執行されると、そのまま警察署に連行されます。逮捕されるタイミングを調整したり、連行される前に家族や会社に電話連絡などを入れることはできません。
お酒の自作が警察にバレるきっかけ
酒税法違反に該当する行為態様でお酒を自作した事実が警察にバレるきっかけとして以下のものが挙げられます。
- 自作したお酒が原因で食中毒などが起こり、保健所などから警察に通報された
- 自作したお酒をメルカリなどに出品して、閲覧者から通報された
- SNSで自作したお酒について投稿をしたところ、サイバーパトロールに引っかかった
- 税務調査などのタイミングで自作のお酒が見つかり、脱税に関する調査の過程で酒税法違反が発覚した など
お酒の自作について警察段階の取り調べが実施される
お酒の自作や販売などについて警察段階の取り調べが実施されます。
まず、通常逮捕された場合、警察段階の取り調べには「48時間以内」の制限時間が設けられています(刑事訴訟法第203条第1項)。身柄拘束期間中は留置場生活を強いられるので、自宅に戻ったり家族・知人などに連絡を入れたりすることはできません。
次に、在宅事件として任意の事情聴取を受ける場合、刑事訴訟法上の制限時間は設けられていません。数時間程度の事情聴取を受ければその日のうちに帰宅できますし、事情聴取が実施されるタイミングを調整することも可能です。
ただし、任意の事情聴取に応じなかったり、事情聴取で供述を拒否したりすると、途中で逮捕状が発付請求されて、強制的な身柄拘束手続きに移行する可能性が高いです。
お酒の自作について検察段階の取り調べが実施される
警察段階の取り調べが終了すると、酒税法違反事件が検察官に送致されます。理屈上、極めて軽微な刑事事件については「微罪処分」が下される可能性がありますが、酒税法違反事件について微罪処分が下されて送検されずに済む可能性は極めて低いでしょう。
まず、酒税法違反の容疑で逮捕された事案については、検察段階の取り調べには「原則24時間以内」の制限時間が設けられています(刑事訴訟法第205条第1項)。ただし、被疑者が供述を拒んでいたり、酒税法違反について踏み込んだ捜査活動が必要だと判断されたりするケースでは、勾留請求によって「最長20日間」の範囲内で身柄拘束期間が延長される可能性があります(刑事訴訟法第206条第1項、刑事訴訟法第208条)。これらの身柄拘束期間中は、捜査機関に身柄を押さえられた状態がつづきます。
次に、在宅事件として検察段階の取り調べを受ける場合、法律上の制限時間は存在しません。強制的に身柄拘束されることはなく、出頭要請がかけられたタイミングで検察庁を訪問すれば良いだけですが、検察官が起訴・不起訴を決定するまでに、数ヶ月の期間を要する可能性もあります。
お酒の自作について検察官が起訴・不起訴を決定する
お酒の自作などの酒税法違反事件に関する捜査活動が終了すると、検察官が公訴提起するかどうか(起訴・不起訴)を決定します。
起訴処分とは、酒税法違反事件を公開の刑事裁判にかける旨の判断のことです。これに対して、不起訴処分とは、酒税法違反事件を刑事裁判にかけずに検察限りで刑事手続きを終了させる旨の判断を意味します。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いです。つまり、酒税法違反の容疑で起訴されて刑事裁判にかけられることが決まった段階で、有罪になって前科がつくことが事実上確定的になるということです。
ですから、「有罪になりたくない」「前科をつけたくない」と考えるのなら、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動が重要になるといえるでしょう。
お酒の自作について刑事裁判にかけられる
酒税法違反の容疑で起訴されると、公開の刑事裁判にかけられます。
公開の刑事裁判が開かれるのは、起訴処分が下されてから1ヶ月〜2ヶ月後が目安です。公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審します。これに対して、公訴事実を争う否認事件では、複数回の公判期日をかけて証拠調べ・証人尋問、弁論手続きなどがおこなわれます。
刑事裁判における判決が確定すると、刑事手続きは終了します。酒税法違反に問われた行為態様が極めて悪質でなければ実刑判決が下される可能性は低いですが、酒税法違反の法定刑は「10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑」と非常に重く定められている点に注意が必要です。できるだけ有利な量刑判断を引き出すためにも、刑事裁判にかけられたときには丁寧な防御活動が必須といえるでしょう。
お酒の自作を理由に起訴されるケースは略式手続きの対象になることもある
略式手続き(略式裁判/略式命令/略式起訴)とは、罰金または科料が100万円以下の簡易裁判所管轄事件について、被疑者が同意する場合に限って公開の刑事裁判を省略し、検察官から提出された書面の審理だけで刑事罰を確定させる簡略化された刑事裁判手続きのことです。
略式手続きに同意をすれば、スピーディーに刑事手続きが終了するので、社会復帰を目指すタイミングを前倒しできます。
ただし、略式手続きを選択すると公開の刑事裁判で反論する機会を失いますし、この時点で有罪・前科が確定する点に注意が必要です。
略式手続きに同意するべきか否かは、酒税法違反の内容や捜査活動の進捗状況次第です。必ず弁護士の意見を参考にしてください。
お酒を自作して酒税法違反の容疑で刑事訴追されたときのデメリット5つ
お酒を自作して酒税法違反の容疑で刑事訴追されたときに生じるデメリット5つを紹介します。
- 実名報道のリスクに晒される
- 逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されかねない
- 会社や学校から何かしらの処分を下されれかねない
- 前科のデメリットに悩まされる
- 脱税を理由にペナルティを科される
酒税法違反事件が実名報道される可能性がある
刑事事件を起こすと、テレビの報道番組やネットニュースで実名報道される危険性があります。
そして、一度でも実名報道されると、半永久的にインターネット上に酒税法違反事件を起こした事実が残りつづけます。
たとえば、就職や転職がしにくくなるでしょうし、結婚にも影響が出る可能性があるでしょう。
酒税法違反の容疑で逮捕・勾留される長期間身柄拘束されかねない
お酒を自作・販売などして酒税法違反の容疑で刑事訴追されると、逮捕・勾留といった強制処分で身柄拘束されるリスクが生じます。
酒税法違反の容疑で逮捕・勾留された場合、以下の期間、身柄拘束される可能性があります。
- 警察の取り調べ(逮捕段階):48時間以内
- 検察官の取り調べ(逮捕段階):24時間以内
- 検察官の取り調べ(勾留段階):20日間以内
- 起訴後勾留:刑事裁判が終了するまで
これらの身柄拘束期間中、取り調べ以外の時間帯は、留置場生活を強いられます。自宅に戻ったり、会社に連絡をしたりすることは一切許されません。
ですから、最終的に不起訴処分などの有利な刑事処分を引き出すことに成功したとしても、逮捕・勾留によって数週間の身柄拘束期間が生じるだけで、会社に刑事事件を起こしたことがバレるなど、社会生活にさまざまな支障が生じる可能性が高いでしょう。
酒税法違反が会社や学校に知られると何かしらの処分を下されかねない
酒税法違反の容疑で逮捕されたり有罪になったりした事実が学校や会社にバレると、何かしらの処分を下される可能性が高いです。
たとえば、被疑者が学生の場合、学則・校則の規定にしたがって、退学・停学・訓告などの処分が下されることが想定されます。退学や停学になると、就職にも大きな影響が生じるでしょう。
また、被疑者が社会人のケースでは、勤務先の就業規則の懲戒規程に基づき、該当する懲戒処分が下される可能性があります。一般的に、懲戒処分は戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇の7種類に分類されますが、刑事事件を起こしたケースや、実名報道によって企業の社会的信用が毀損されたケースなどでは、会社をクビになるリスクもあると理解しておきましょう。
酒税法違反で有罪になると前科がつく可能性が高い
お酒を自作して酒税法違反の容疑で有罪になると、刑事罰を科されるだけではなく、前科によるデメリットがつく可能性もあります。
前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が確定したときにも、前科持ちになります。
そして、前科がつくと、今後の社会生活において以下のデメリットに晒されつづけます。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
- 前科を隠して内定を獲得したり就職に成功したりしても、前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に内定取り消し・懲戒解雇処分が下される
- 前科を理由に就業が制限される資格・仕事がある(士業、警備員、金融業など)
- 前科を理由に離婚を言い渡されたり結婚話がなくなったりしかねない
- ビザやパスポートの発給制限を受ける場合がある(海外旅行、海外出張に支障が生じる)
- 再犯に及んだときに刑事処分が重くなる可能性が高い など
脱税を理由にペナルティを科される
まず、違法にお酒を自作した場合、製造した種類、原料、器具などはすべて没収されます。
次に、未納付の酒税相当額の納付が義務付けられるだけではなく、以下のように、追徴課税もされる点に注意が必要です。
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
税務署から指定された期日までにこれらのペナルティを納付しなければ、所有する不動産や給与、預貯金などが差し押さえられる危険性があります。
お酒を自作して酒税法違反に問われそうなときに弁護士へ相談するメリット3つ
違法にお酒を自作して酒税法違反の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
というのも、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をすれば、以下3つのメリットを得られるからです。
- 自首についてのサポートを期待できる
- 有利な刑事処分や量刑判断を引き出すための防御活動を展開してくれる
- 献身的に被疑者をサポートして社会復帰しやすい環境を整えてくれる
自首についてのアドバイスを期待できる
違法にお酒を自作していた事実が警察にバレていない段階なら、自首をするのも有効な防御活動のひとつです。
自首をすれば、刑事裁判において自首減軽の恩恵を受けられますし、起訴猶予処分や在宅事件処理などの有利な刑事判断も引き出しやすくなります。
弁護士に相談・依頼をすれば、酒税法違反について現段階で自首をするべきか否かについてアドバイスをしてもらえたり、警察署への自首に同行してくれたりするでしょう。
軽い刑事処分獲得を目指した防御活動を期待できる
違法にお酒を自作して酒税法違反の容疑で摘発された場合、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をすれば、以下のような目標を掲げて防御活動を展開してくれるでしょう。
- 事情聴取における供述内容・供述姿勢、提出するべき証拠物についてアドバイスをすることで、逮捕・勾留の回避を目指してくれる
- 早期に適切な防御活動を展開することで、起訴猶予処分獲得の可能性を高めてくれる
- 起訴されたとしても、実刑判決回避を目指した防御活動を展開してくれる
酒税法違反の容疑で刑事訴追された場合、有罪になるかどうか、前科がつくかどうかが今後の人生を左右する分岐点になります。
ですから、違法にお酒を自作して刑事訴追されたときには、検察官から起訴猶予処分の判断を引き出せるかがポイントになると考えられます。
起訴猶予処分に付するかどうかの判断の際には、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が総合的に考慮されるので、刑事事件に強い弁護士に必要な証拠などを用意してもらいましょう(刑事訴訟法第248条)。
刑事訴追された被疑者・被告人を献身的にサポートしてくれる
たとえば、酒税法違反の容疑で逮捕・勾留されると、面会のとき以外は厳しい取り調べや留置場生活を強いられます。刑事事件に強い弁護士は、接見の機会を積極的に活用して、供述方針についてアドバイスを提供したり、心身が疲弊した被疑者を励ましてくれたりするでしょう。
また、酒税法違反事件が実名報道されると、SNSや匿名掲示板で個人情報が拡散されたり誹謗中傷をされたりするリスクに晒されます。弁護士に相談・依頼をすれば、削除請求や発信者情報開示請求、慰謝料請求などの法的措置を尽くしてくれます。
さらに、酒税法違反事件が原因で会社や学校からペナルティを科されそうなときにも、代理人として学校・会社との話し合いに対応してくれるでしょう。
お酒を自作して酒税法違反の容疑をかけられたときは弁護士へ相談しよう
酒税法で定められたルールを守らずにお酒を自作すると、酒税法違反を理由に、刑事責任を追及されたり税制上のペナルティを科されたりしかねません。
「違法なことだとは知らなかった」という言い訳は通用しない以上、お酒を自作して酒税法違反の疑いが生じたなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をして、適切な対応策についてアドバイスをもらうべきでしょう。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、酒税法違反事件などの専門的な刑事事件への対応が得意な弁護士を多数紹介中です。弁護士の力を借りるタイミングが早いほど刑事手続きを有利に進めやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。