大麻輸入罪で逮捕されるとどうなる?刑事手続きの流れとデメリット、弁護士に相談するメリットを解説

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麻薬取締法などの薬物法制では、大麻を輸入する行為を違法行為と規定しています。

ですから、海外で購入した大麻関連製品やCBD製品などを日本国内に持ち込むと、大麻輸入罪の容疑で逮捕される可能性が高いです。

大麻輸入罪の容疑で逮捕されると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されるだけではなく、初犯でも厳しい刑事処罰が下されかねません。

ですから、大麻の輸入行為が発覚したときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をして、適切な防御活動を展開するべきだと考えられます。

そこで、この記事では、家族が大麻輸入罪の容疑で逮捕された人や、大麻輸入罪の容疑で警察から出頭要請をかけられた人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 大麻の輸入行為を処罰する法律と法定刑
  • 大麻輸入以外に禁止されている行為態様
  • 大麻輸入罪の容疑で逮捕されたときの刑事手続きの流れ
  • 大麻輸入罪の容疑で逮捕されたときのデメリット
  • 大麻輸入罪の容疑で刑事訴追されたときに弁護士に相談・依頼するメリット

目次

大麻輸入は犯罪なので逮捕される可能性がある

大麻を輸入すると逮捕される可能性があります。

まずは、大麻輸入に対して適用される犯罪類型や法定刑、大麻に関する犯罪について解説します。

大麻輸入に適用される可能性がある法律

大麻を輸入する行為に対して適用される可能性がある法律は以下3つです。

大麻の輸入は麻薬取締法違反で摘発される可能性がある

近年の薬物規制の改正によって、大麻は麻薬取締法における「麻薬」に位置付けられました。

これによって、大麻の輸入行為は麻薬取締法で規制されるようになっています。

(輸入)
第十三条 麻薬輸入業者でなければ、麻薬(ジアセチルモルヒネ等及び前条第二項に規定する麻薬を除く。以下第十九条の二までにおいて同じ。)を輸入してはならない。ただし、本邦に入国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて、自己の疾病の治療の目的で携帯して輸入する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の規定により麻薬を携帯して輸入した者は、第二十四条第一項ただし書、第二十七条第一項ただし書及び第二十八条第一項ただし書の規定の適用については、麻薬施用者から施用のため麻薬の交付を受けた者とみなす。
第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第六十九条第一号から第三号までに規定する違反行為をした者を除く。)
二 麻薬原料植物をみだりに栽培した者
2 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、一年以上の有期拘禁刑に処し、又は情状により一年以上の有期拘禁刑及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
引用:麻薬及び向精神薬取締法|e-Gov法令検索

「輸入」というフレーズから、大麻輸入罪で摘発されるのは、大麻を何キロも大量に隠し持って外国から密輸するようなケースを想像する人も少なくはないでしょう。

ただ、薬物事犯実務では、本罪における「輸入」とは、外国から日本国内に薬物を搬入する行為と理解されています。たとえば、船舶によって輸入する場合には「日本国領土への陸揚げ行為」、航空機によって輸入する場合には「飛行機から日本国領土への取り下ろし行為」を指します(最判昭和58年9月29日)。

ですから、海外で購入した少量の大麻をポケットやハンドバッグに入れて持ち込む行為や、通販サイトやSNSなどで個人的に少量の大麻を購入して海外から郵送してもらう行為なども、大麻輸入罪として処罰対象とされます。

大麻輸入罪の法定刑は「1年以上10年以下の拘禁刑」です。また、営利目的で大麻を輸入した場合には「1年以上の有期拘禁刑、または、情状によって1年以上の有期拘禁刑及び500万円以下の罰金刑」まで法定刑が引き上げられます。

また、大麻輸入罪は未遂犯も処罰対象です。

大麻の輸入は麻薬特例法違反で摘発される可能性がある

大麻の輸入行為は、麻薬特例法違反で摘発される可能性があります。

(業として行う不法輸入等)
第五条 次に掲げる行為を業とした者(これらの行為と第八条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期又は五年以上の拘禁刑及び千万円以下の罰金に処する。
一 麻薬及び向精神薬取締法第六十四条、第六十四条の二(所持に係る部分を除く。)、第六十五条、第六十六条(所持に係る部分を除く。)、第六十六条の三又は第六十六条の四(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
(規制薬物としての物品の輸入等)
第八条 薬物犯罪(規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
引用:国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律|e-Gov法令検索

たとえば、業として大麻の輸入をした場合には「無期または5年以上の拘禁刑及び1,000万円以下の罰金刑」の範囲で刑事罰を科されます。また、大麻を輸入などする意思をもって、大麻の交付を受けたり、取得した大麻を輸入・輸出した場合には「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑」の法定刑で処断されます。

大麻の輸入は関税法違反で摘発される可能性がある

大麻の輸入行為は、関税法違反でも摘発される可能性があります。

(輸入してはならない貨物)
第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚醒剤取締法にいう覚醒剤原料を含む。)並びにあへん吸煙具。ただし、政府が輸入するもの及び他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
第百九条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の拘禁刑若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 前二項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、これらの項の例による。
4 第一項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用:関税法|e-Gov法令検索

大麻の輸入行為について関税法違反の容疑で捕まると、「10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金刑(併科あり)」の範囲で処罰されます。

また、関税法では、大麻輸入の未遂犯及び予備犯も処罰対象としています。未遂犯の法定刑は既遂犯と同じ法定刑が科されますが、予備犯の法定刑は「5年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金刑」まで引き下げられます。

大麻は輸入以外でも犯罪になる

麻薬取締法では、大麻の輸入以外にも、以下の行為類型を処罰対象と定めています。

行為類型 法定刑
使用 7年以下の拘禁刑
営利目的での使用 1年以上10年以下の有期拘禁刑(情状により300万円以下の罰金刑が併科)
所持・譲受・譲渡 7年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲受・譲渡 1年以上10年以下の有期拘禁刑(情状により300万円以下の罰金刑が併科)
輸出・輸入・製造 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での輸出・輸入・製造 1年以上の有期拘禁刑(情状により500万円以下の罰金刑が併科)

たとえば、大麻所持罪の容疑で逮捕されたあと、輸入行為が発覚したようなケースでは、大麻輸入罪でも再逮捕される可能性があります。

大麻などの薬物事犯で刑事訴追されると、再逮捕・再勾留によって長期間身柄拘束される可能性が高いので、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をして、適切な防御活動を展開してもらいましょう。

大麻の輸入で逮捕されたときの刑事手続きの流れ

大麻輸入罪の容疑で刑事訴追されたときの刑事手続きの流れについて解説します。

  1. 警察に逮捕される
  2. 警察段階の取り調べが実施される
  3. 検察段階の取り調べが実施される
  4. 検察官が起訴・不起訴を決定する
  5. 刑事裁判にかけられる

大麻輸入罪の容疑で逮捕される

大麻の輸入行為が発覚すると、警察に逮捕される可能性が高いです。

大麻輸入罪の容疑で逮捕されるシチュエーションは、通常逮捕現行犯逮捕の2種類に区分されます。

大麻輸入罪の容疑で通常逮捕されるパターン

通常逮捕とは、裁判所が発付する逮捕令状に基づいて実施される強制的な身柄拘束処分のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。

通常逮捕は、平日早朝の自宅など、被疑者が所在している可能性が高いタイミングを狙って実施されます。逮捕状が執行されると、その場で身柄を拘束されて警察署に連行されます。連行されるタイミングを調整したり、連行前に家族や会社などに電話連絡をすることはできません。

大麻輸入罪が発覚しても通常逮捕されずに済む可能性もある

大麻の輸入が発覚しても、必ずしも逮捕されるわけではありません。

というのも、逮捕状が発付されるのは、以下2つの要件を満たしたときに限られるからです。

  • 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
  • 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること

つまり、大麻の輸入行為をした事実を証明する客観的証拠が存在するとしても、「逃亡または証拠隠滅のおそれがない」と判断できる状況なら、通常逮捕によって身柄拘束されることはないということです。

大麻輸入罪の容疑で逮捕されなくても捜査対象にはなる

大麻輸入罪の容疑で通常逮捕されることはなかったとしても、在宅事件扱いになって捜査対象になる点に注意をする必要があります。

確かに、在宅事件はあくまでも任意捜査の一環として実施されるものなので、捜査機関に身柄拘束されることはありません。警察や検察庁から出頭要請がかかったタイミングで訪問をして、数時間程度の事情聴取を受けたあとは、ふたたび自宅に戻ることができます。事情聴取を受ける日時を調整することも可能ですし、場合によっては、出頭自体を拒否しても差し支えありません。

ただし、正当な理由がないのに任意の出頭要請を拒否すると、逃亡または証拠隠滅のおそれがあると判断されて、通常逮捕手続きに移行するリスクがある点に注意が必要です。

「逃亡または証拠隠滅のおそれがない」と判断してもらうには、以下のようなポイントを押さえた防御活動や対応を意識してください。

  • 出頭要請を拒否しない
  • 捜査機関からの電話を無視したり着信拒否したりしない
  • 大麻輸入に関する証拠を任意で提出する
  • 大麻輸入をした事実に間違いがなく、言い逃れができない状況なら、素直に罪を認める
  • 事情聴取で供述を拒否したり、客観的証拠に反する嘘をついたりしない など

大麻輸入罪の容疑で現行犯逮捕されるパターン

空港や税関などで大麻が見つかった場合には、大麻輸入罪の容疑で現行犯逮捕されます(刑事訴訟法第212条以下)。

現行犯逮捕とは、現に罪をおこない、または、おこない終わった者に対する強制的な身柄拘束処分のことです。通常逮捕とは異なり、逮捕令状がなくても実行されます。

現行犯逮捕が想定されるシチュエーションでは、警察署への連行を拒否できません。ですから、身柄拘束をされたあとに実施される取り調べにおいて適切な対応をすることによって、早期の身柄釈放を目指すべきだと考えられます。

大麻の輸入について警察段階の取り調べが実施される

麻薬取締法違反の容疑で逮捕された後は、警察段階の取り調べが実施されます。

警察段階で実施される取り調べには「48時間以内」という制限時間が設けられています(刑事訴訟法第203条第1項)。48時間以内の取り調べが終了すると、被疑者の身柄と関係書類が検察官に送致されます。

逮捕処分に基づいて実施される取り調べは拒否することはできません(取り調べを受けたうえで黙秘をすることは可能です)。また、取り調べ以外の時間帯は留置場に身柄が留められるので、外出したり家族や会社に連絡したりすることも不可能です。

大麻の輸入について検察段階の取り調べが実施される

大麻輸入罪についての警察段階の取り調べが終了すると、大麻輸入事件が送検されて、検察段階の取り調べが実施されます。

検察段階の取り調べの制限時間は「24時間以内」です(刑事訴訟法第205条第1項)。

警察段階「48時間以内」と検察段階「24時間以内」の合計「72時間以内」の取り調べが終了した段階で、検察官が大麻輸入事件を公訴提起するか否か判断します。

大麻輸入事件は勾留請求される可能性が高い

原則的な72時間以内の捜査活動だけでは、大麻輸入罪の容疑で起訴するかどうかを判断できる証拠を収集しきれない可能性があります。

以下のように、捜査活動上やむを得ない理由があるときには、検察官による勾留請求がおこなわれる可能性があります(刑事訴訟法第206条第1項)。

  • 大麻の入手経路について慎重に捜査活動を展開する必要がある場合
  • 大麻の購入者に関する供述を引き出す必要性がある場合
  • 大麻輸入について被疑者が供述を拒んでいる場合、黙秘をしている場合、証拠と反する供述をしている場合
  • 防犯カメラ映像の解析や、参考人聴取などに時間を要する場合 など

検察官の勾留請求が認められた場合、被疑者の身柄拘束期間は「10日間~20日間」の範囲で延長されます(刑事訴訟法第208条各項)。勾留期間中も逮捕段階と同じように被疑者の身体・行動の自由は大幅に制限された状態が継続します。

以上を踏まえると、大麻輸入罪の容疑で逮捕・勾留されると、最長23日間の範囲内で身柄拘束されるリスクが生じるといえるでしょう。

数週間に及ぶ身柄拘束期間が生じると、仮に不起訴処分を獲得できたとしても社会生活に甚大なデメリットが生じる危険性があります。ですから、大麻輸入罪の容疑で刑事訴追されたときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件を得意とする弁護士に相談・依頼をして、身柄拘束期間の回避・短縮化を目指した防御活動を展開してもらうべきでしょう。

大麻の輸入について検察官が起訴・不起訴を決定する

逮捕期限・勾留期限が到来するまでに、検察官が大麻輸入事件を公訴提起するかどうか(起訴処分か不起訴処分か)を決定します。

起訴処分とは、大麻輸入事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分は、大麻輸入事件を刑事裁判にかけることなく検察官の判断で手続きを終了させる旨の意思表示を意味します。

日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いため、刑事裁判にかけられることが確定した時点(検察官が起訴処分を下した時点)で有罪判決が事実上決まってしまいます

「有罪になりたくない」「前科をつけたくない」と希望するなら、刑事裁判で無罪判決獲得を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動を展開するべきだといえるでしょう。

大麻の輸入について刑事裁判にかけられる

大麻輸入罪の容疑で起訴されると、公開の刑事裁判にかけられます。

公開の刑事裁判が開かれるタイミングは、「起訴処分から1か月~2カ月」です。逃亡や証拠隠滅のおそれが継続するなどの事情がある場合には、刑事裁判まで起訴後勾留が継続する可能性もあります。

公訴事実を全面的に受け入れる場合には、第1回公判期日で結審します。これに対して、否認事件では、複数回の公判期日を経て証拠調べや証人尋問などが実施されて判決が言い渡されます。

大麻輸入罪は悪質な薬物犯罪なので、初犯でも実刑判決が下されかねません。実刑判決が確定すると刑期を満了するまで服役を強いられて出所後の社会復帰が難しくなるので、執行猶予付き判決や罰金刑といった量刑判断を引き出すための防御活動を展開するべきでしょう。

大麻輸入罪で起訴されるときは略式手続きの可能性がある

略式手続き(略式裁判/略式命令/略式起訴)とは、罰金または科料が100万円以下の簡易裁判所管轄事件について、被疑者が同意する場合に限って公開の刑事裁判を省略し、検察官から提出された書面の審理だけで刑事罰を確定させる簡略化された刑事裁判手続きのことです。

大麻輸入罪の容疑で起訴されるケースであったとしても、検察官が100万円以下の罰金刑が相当であると判断したときには、略式手続きに同意するかどうかの確認されます。

略式手続きに同意をすれば、スピーディーに刑事手続きが終了するので、社会復帰を目指すタイミングを前倒しできます。ただし、略式手続きを選択すると公開の刑事裁判で反論する機会を失いますし、この時点で有罪・前科が確定する点に注意が必要です。

略式手続きのメリット・デメリットのどちらを重視するべきかについては事案によって判断がわかれるので、必ず刑事事件の経験豊富な弁護士のアドバイスを参考にしてください。

大麻の輸入を理由に逮捕されたときのデメリット4つ

大麻輸入罪などの容疑で逮捕されたときに生じる可能性があるデメリット4つについて解説します。

  1. 実名報道される可能性がある
  2. 逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される可能性がある
  3. 学校や会社にバレると何かしらの処分を下される可能性がある
  4. 有罪になると刑事罰だけではなく前科がつく

大麻輸入事件を起こした事実が実名報道される可能性がある

大麻を輸入して麻薬取締法違反などの容疑で逮捕・起訴されると、実名報道される可能性があります。

もちろん、すべての刑事事件が実名報道の対象になるわけではありません。

しかし、近年麻薬取締法が大幅に改正されて大麻厳罰化の動きが強まっていること、CBDなどの大麻関連製品の蔓延が社会問題化している動向を踏まえると、大麻の輸入行為が摘発された際には、実名報道される可能性が高いです。

そして、一度でもテレビの報道番組やインターネットニュースで実名報道されると、半永久的にインターネット上に薬物犯罪に及んだ事実が残りつづけてしまいます。たとえば、就職活動や転職活動に悪影響が生じたり身近な人に発覚したりして、社会生活を送りにくくなるでしょう。

大麻輸入罪の容疑で逮捕・勾留されると長期間身柄拘束される危険性がある

大麻を輸入して麻薬取締法違反の容疑で刑事訴追されると、捜査機関に強制的に身柄拘束される可能性が高いです。

刑事手続きにおいて想定される強制的な身柄拘束期間は以下のとおりです。

  • 警察段階の取り調べ(逮捕段階):48時間以内
  • 検察段階の取り調べ(逮捕段階):24時間以内
  • 検察段階の取り調べ(勾留段階):最長20日間
  • 起訴後勾留:刑事裁判が終了するまで

大麻輸入罪の容疑で刑事訴追されたときには、「不起訴処分や執行猶予付き判決などの有利な刑事処分などを獲得すること」だけではなく、「捜査機関に身柄を押さえられないこと、拘束されたとしても短期間での釈放を目指すこと」が重要な防御目標になります。

というのも、最終的な刑事処分が確定しない段階で長期間身柄拘束される状況が発生すると、被疑者・被告人には以下のデメリットが生じるからです。

  • 取り調べ以外の時間帯は留置場・拘置所に収容されるので帰宅・出社などが不可能になる
  • 身柄拘束期間中はスマートフォンなどの所持品をすべて取り上げられるので、家族や会社と直接連絡が取れない
  • 厳しい取り調べを拒否することはできず、身体的・肉体的なストレスを強いられる
  • 自分の口で外部と連絡がとれない状況がつづくため、学校や会社に逮捕された事実を隠しとおしにくくなる

大麻輸入を理由に学校・会社から何かしらの処分を下される可能性がある

大麻輸入罪などの容疑で逮捕されると、被疑者が所属している学校や会社に、刑事事件を起こした事実がバレる可能性が高いです。すると、学校や会社から何かしらの処分を下されるのは避けられないでしょう。

まず、被疑者が会社員の場合、所属している企業が定める就業規則の懲戒規程に基づき、何かしらの懲戒処分が下されます。懲戒処分は、戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇の7種類に分類されます。大麻輸入などの重大犯罪に及んだケースでは、会社をクビになるリスクもあると理解しておきましょう。

また、被疑者が学生の場合、所属している学校の学則・校則によって、退学・停学・訓告などの処分が下されます。特に、退学や停学などの重い処分が下されると、今後の進学や就職活動にも大きな支障が出る危険性があります。

大麻輸入罪の容疑で有罪になると前科がつく

大麻を輸入して麻薬取締法違反などの容疑で有罪判決が下されると、刑罰が科されるだけではなく、前科によるデメリットを強いられます。

前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が下された場合にも前科者になってしまいます。

そして、前科者になると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。

  • 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
  • 記載義務・回答義務に違反して前科の事実を申告せず内定を獲得したり就職を果たしたりすると、その後、前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に内定が取り消されたり懲戒解雇処分が下されたりする
  • 前科を理由に就業が制限される資格・仕事がある(士業、警備員、金融業など)
  • 前科を理由に離婚を言い渡されたり結婚話がなくなったりしかねない
  • 前科があると、ビザやパスポートの発給制限を受ける場合がある(海外旅行、海外出張に支障が生じる)
  • 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い など

日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、検察官が起訴処分を下して、刑事裁判にかけられた時点で、有罪と前科が決定的になってしまいます。

ですから、前科によるデメリットを避けたい場合には、刑事裁判で無罪判決を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すのがポイントになるでしょう。

大麻輸入罪の容疑で刑事訴追されそうなときに弁護士へ相談するメリット3つ

大麻輸入罪の容疑で刑事訴追されるリスクに晒されているなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください

というのも、刑事事件や薬物犯罪への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下3つのメリットを得られるからです。

  • 自首に関するアドバイスを期待できる
  • 有利な刑事処分を引き出すための防御活動を期待できる
  • 薬物依存克服に向けた現実的なサポートを期待できる

自首についてのアドバイスを期待できる

海外旅行の際に購入したCBD製品を持ち込んだものの、帰国をしたあとになって、「麻薬取締法違反の容疑で逮捕されるのではないか」などと不安になった人も少なくはないでしょう。

薬物犯罪の経験豊富な弁護士に相談をすれば、相談者が輸入・所持している大麻関連製品が麻薬取締法によって規制対象になるかどうかを判断してくれるので、今後の対応策がはっきりするでしょう。

たとえば、自首が有効な選択肢になる場合には、自首後に実施される事情聴取でどのような供述をするかについてアドバイスをしてくれますし、警察署に自首する際に同行もしてくれるでしょう。

軽い刑事処分獲得を目指した防御活動を期待できる

刑事事件への対応経験が豊富な弁護士に相談・依頼をすれば、大麻輸入罪などの容疑で刑事訴追されたとしても、少しでも有利な刑事処分獲得に向けた防御活動を展開してくれます

以下のように、刑事手続きの段階に応じて、被疑者側が目指すべき防御目標は異なります。

  • 任意の出頭要請がかけられている段階なら、逮捕・勾留といった身柄拘束処分を回避して、在宅事件処理を目指す
  • 検察官から起訴猶予処分の判断を引き出して、刑事裁判の回避を目指してくれる
  • 刑事裁判にかけられたとしても、執行猶予付き判決や罰金刑の量刑判断を引き出して、実刑判決の回避を目指してくれる

大麻輸入罪の容疑で刑事訴追された場合、「有罪にならないこと」「前科をつけないこと」が今後の社会復帰を左右するポイントになります。

つまり、日本の刑事裁判の有罪率を前提とすると、刑事裁判で無罪判決を獲得するのは困難である以上、検察官から不起訴処分(起訴猶予処分)の判断を引き出すことができるかが重要だということです。

起訴猶予処分にするかどうかを決定するときには、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。刑事実務に詳しい弁護士に依頼をすれば、起訴猶予処分の判断を引き出すために役立つ情状証拠などを揃えてくれるでしょう。

薬物依存のケアに向けた現実的なサポートを期待できる

大麻輸入罪の容疑で刑事訴追された人のなかには、大麻などの薬物依存に苦しんでいる方も多いです。

薬物犯罪の弁護経験が豊富な弁護士に相談すれば、提携しているNPO法人や医療機関、カウンセリング施設などを紹介してくれるので、社会復帰に向けた現実的なサポートを期待できるでしょう。

大麻輸入罪の嫌疑をかけられたときは弁護士へ相談しよう

大麻輸入罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をしてください。

刑事事件への対応が得意な私選弁護人の力を借りれば、身柄拘束処分によるデメリットを回避・軽減したり、起訴猶予処分などの有利な刑事処分を引き出しやすくなったりするでしょう。

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刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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