人身売買は、被害者の人権を大幅に制約する悪質な違法行為です。
そのため、強制労働や売春の強要、借金返済のためなど、どのような事情があったとしても、人身売買に関与すると、人身売買罪の容疑で刑事訴追されます。
人身売買罪の容疑で逮捕されると、長期間身柄拘束されたり、初犯でも実刑判決が下されりするリスクに晒されます。
ですから、人身売買罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで示談交渉などの防御活動を展開したうえで、執行猶予付き判決や起訴猶予処分などの有利な刑事処分を引き出すべきだと考えられます。
そこで、この記事では、人身売買に関与した人や、ご家族が人身売買罪の容疑で逮捕された人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 人身売買罪が制定された経緯、構成要件、法定刑
- 人身売買罪の容疑で逮捕されたときの刑事手続きの流れ
- 人身売買罪の容疑で逮捕されたときに生じるデメリット
- 人身売買罪の疑いをかけられたときに弁護士に相談・依頼するメリット
目次
人身売買罪の内容
まずは、人身売買罪の構成要件や法定刑、公訴時効などについて解説します。
人身売買罪は刑法第226条の2に規定される犯罪
人身売買罪は、刑法第226条の2において犯罪と規定されています。
第二百二十六条の二 人を買い受けた者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
2 未成年者を買い受けた者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
3 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
4 人を売り渡した者も、前項と同様とする。
5 所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
引用:刑法|e-Gov法令検索
人身売買罪は、2005年6月16日の刑法改正で新設された犯罪です。
改正前の刑法には、日本人が外国に売られたケースなどを対象とした国外移送目的略取・誘拐罪は存在したものの、外国人が日本国内に連れてこられたケースを直接的に規制する刑法の犯罪は存在せず、出入国管理法や売春防止法などで対応するしかありませんでした。人身売買罪の新設によって、外国人が日本国内に連れてこられたケースも刑法犯として処罰対象になりました。
人身売買罪の構成要件と法定刑
刑法第226条の2では、人身売買罪について以下の行為を規制対象とし、それぞれ法定刑を定めています。
| 行為態様 | 法定刑 |
|---|---|
| 人を買い受ける行為 | 3ヶ月以上5年以下の拘禁刑 |
| 未成年者を買い受ける行為 | 3ヶ月以上7年以下の拘禁刑 |
| 営利目的、わいせつ目的、結婚目的、生命・身体加害目的で人を買い受ける行為 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 人を売り渡す行為 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 所在国外に移送する目的で人を売買する行為 | 2年以上の有期拘禁刑 |
人身売買罪は、略取・誘拐罪の一種として刑法上定められています。
ですから、人身売買罪が成立するには、被買者に対して実力的支配が設定されていることが前提とされていると考えられます。
また、被買者の年齢、人身売買時の目的によって、法定刑が異なる点に注意が必要です。
人身売買罪は未遂犯も処罰対象
人身売買罪は、未遂犯も処罰対象とされています(刑法第228条)。
たとえば、人を買い受けるために売人と交渉をしたものの、実際に購入するまでに至らなかったときには、未遂犯として処罰されます。
事案の内容次第では一定範囲で刑が減軽される可能性がありますが、未遂犯の法定刑は既遂犯と同じです。
人身売買罪の公訴時効
人身売買に及んだとしても、いつまでも刑事訴追リスクに晒されるわけではありません。
というのも、犯罪行為が終了してから一定期間が経過して公訴時効が完成すれば、刑事責任を問われなくなるからです。
ただし、公訴時効期間は各犯罪類型に定められた法定刑によって異なる点に注意する必要があります(刑事訴訟法第250条第2項)。
人身売買罪の公訴時効期間は以下のとおりです。
| 行為態様 | 法定刑 | 公訴時効期間 |
|---|---|---|
| 人を買い受ける行為 | 3ヶ月以上5年以下の拘禁刑 | 5年 |
| 未成年者を買い受ける行為 | 3ヶ月以上7年以下の拘禁刑 | 5年 |
| 営利目的、わいせつ目的、結婚目的、生命・身体加害目的で人を買い受ける行為 | 1年以上10年以下の拘禁刑 | 7年 |
| 人を売り渡す行為 | 1年以上10年以下の拘禁刑 | 7年 |
| 所在国外に移送する目的で人を売買する行為 | 2年以上の有期拘禁刑 | 10年 |
人身売買罪の容疑で逮捕されるときの刑事手続きの流れ
人身売買罪の容疑で逮捕されるときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 警察に逮捕される
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が公訴提起するかどうかを判断する
- 公開の刑事裁判にかけられる
人身売買罪の容疑で警察に通常逮捕される
人身売買事件を起こした場合、警察に通常逮捕されるのが一般的です。
通常逮捕とは、裁判所が発付する逮捕令状に基づいて実施される強制的な身柄拘束処分のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。
通常逮捕は、平日早朝の自宅など、被疑者が所在している可能性が高いタイミングを狙って実施されます。逮捕状が執行されると、その場で身柄を拘束されて警察署に連行されます。連行されるタイミングを調整したり、連行前に家族や会社などに電話連絡をすることはできません。
人身売買事件が警察にバレるきっかけ
人身売買事件が警察に発覚する代表的なきっかけとして以下のものが挙げられます。
- 違法就労や売春などで摘発された事案から人身売買事件が芋づる式に発覚する
- 人身売買の被害者が警察に相談したり拘束場所から逃げたりして発覚する
- 近隣住民などからの通報で発覚する など
人身売買をしたとしても必ず通常逮捕されるわけではない
人身売買事件が警察に発覚したとしても、常に通常逮捕されるわけではありません。
というのも、逮捕状が発付されるのは以下2つの要件を満たしたときに限られるからです。
- 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
つまり、人身売買をした事実を証明する客観的証拠が存在したとしても、逃亡または証拠隠滅のおそれがない(逮捕の必要性がない)と判断できる状況なら、通常逮捕によって身柄拘束されることはないということです。
ただし、通常逮捕を免れたとしても、在宅事件という形式で捜査活動が進められる点に注意をしなければいけません。そして、警察からの出頭要請を無視したり、任意の事情聴取で供述を拒否したり嘘をついたりすると、途中で逮捕状が発付されて強制的に身柄拘束されるリスクが高まります。
ですから、人身売買事件について警察から出頭要請がかかったときには、逮捕の必要性がないと判断される状況を作り出すための防御活動が不可欠だといえるでしょう。
人身売買について警察段階の取り調べが実施される
人身売買罪の容疑で警察に逮捕されたあとは、警察段階の取り調べが実施されます。
逮捕後に実施される警察段階の取り調べには「48時間以内」という制限時間が設けられています(刑事訴訟法第203条第1項)。48時間以内の取り調べが終了すると、被疑者の身柄と関係書類が検察官に送致されます。
警察段階の取り調べを拒否することはできません(どのような供述をするかは自由です)。また、取り調べ以外の時間帯は留置場に身柄をとどめられるので、帰宅したり会社に出勤したりするのは不可能です。さらに、スマートフォンなどの通信機器はすべて取り上げられるため、自分で外部と連絡をとることも許されません。
人身売買について検察段階の取り調べが実施される
人身売買罪についての警察段階の取り調べが終了すると、人身売買事件が送検されて、検察段階の取り調べが実施されます。
検察段階の取り調べの制限時間は「24時間以内」です(刑事訴訟法第205条第1項)。
そして、警察段階「48時間以内」と検察段階「24時間以内」の合計「72時間以内」の取り調べが終了した段階で、検察官が人身売買事件を公訴提起するか否か判断します。
人身売買事件は勾留請求される可能性が高い
原則的な72時間以内の捜査活動だけでは、人身売買罪の容疑で起訴するかどうかを判断できる証拠を収集しきれない可能性があります。
たとえば、以下のように、捜査活動上やむを得ない理由があるときには、検察官による勾留請求がおこなわれる可能性があります(刑事訴訟法第206条第1項)。
- 人身売買のルートを炙り出すために国際的な捜査活動が必要な場合
- 人身売買をきっかけにおこなわれた不法就労や組織的売春などの捜査活動に時間を要する場合
- 被害者や目的者などに対する参考人聴取に時間を要する場合
- 防犯カメラ映像やスマートフォンのデータ、テレグラムなどの分析に時間を要する場合
- 共犯者の存在が疑われる場合、共犯者の供述と矛盾する場合
- 被疑者が犯行を否認したり黙秘をしたりする場合 など
検察官の勾留請求が認められた場合、被疑者の身柄拘束期間は「10日間~20日間」の範囲で延長されます(刑事訴訟法第208条各項)。勾留期間中も逮捕段階と同じように被疑者の身体・行動の自由は大幅に制限された状態が継続します。
以上を踏まえると、大麻輸入罪の容疑で逮捕・勾留されると、最長23日間の範囲内で身柄拘束されるリスクが生じるといえるでしょう。被疑者の身柄拘束期間が長期化すると、それだけで日常生活に生じるデメリットが大きくなるので、勾留阻止や早期の身柄釈放を目指した防御活動が不可欠です。
検察官が人身売買公訴提起するかどうか判断をする
逮捕期限・勾留期限が到来するまでに、検察官が人身売買事件を公訴提起するかどうか(起訴処分か不起訴処分か)を決定します。
起訴処分とは、人身売買事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分は、人身売買事件を刑事裁判にかけることなく検察官の判断で手続きを終了させる旨の意思表示を意味します。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いため、刑事裁判にかけられることが確定した時点(検察官が起訴処分を下した時点)で有罪判決が事実上決まってしまいます。
ですから、「有罪になりたくない」「前科をつけたくない」と希望するなら、刑事裁判で無罪判決獲得を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動を展開するべきだといえるでしょう。
人身売買事件が公開の刑事裁判にかけられる
人身売買罪の容疑で起訴されると、公開の刑事裁判にかけられます。
公開の刑事裁判が開かれるタイミングは、起訴処分から1ヶ月~2ヶ月頃が目安です。ただし、逃亡や証拠隠滅のおそれが継続するなどの事情がある場合には、刑事裁判まで起訴後勾留が継続する可能性があります。
公訴事実を争わない場合には、第1回公判期日で結審します。これに対して、否認事件では、複数回の公判期日を経て証拠調べや証人尋問などが実施されて判決が言い渡されます。
人身売買罪の法定刑は拘禁刑だけなので、初犯でも実刑判決が下されかねません。実刑判決が確定すると。刑期を満了するまで刑務所への服役を強いられて社会復帰が難しくなるので、人身売買罪の容疑で起訴されたときには、執行猶予付き判決獲得を目指した防御活動を展開してください。
人身売買罪の容疑で逮捕されたときのデメリット4つ
人身売買罪の容疑で逮捕されたときのデメリットとして以下4つが挙げられます。
- 実名報道される危険性がある
- 逮捕・勾留などによって長期間身柄拘束される危険性がある
- 会社や学校から何かしらの処分を下される可能性がある
- 前科によるデメリットに悩まされつづける
人身売買事件を起こした事実が実名報道されかねない
人身売買事件を起こすと、実名報道のリスクに晒されます。
実名報道するかは報道機関側の裁量次第なので、すべての刑事事件が実名報道の対象になるわけではありません。ただし、以下のような事情がある場合には、実名報道される危険性が高いと理解しておきましょう。
- 被疑者が逮捕・起訴された場合
- 被疑者が著名人だったり、社会的に高い地位、役職、職業についていたりする場合
- 生じた被害が甚大な場合
- 社会的関心が高いテーマに関する刑事事件の場合
人身売買のような特殊かつ悪質な犯罪は社会的関心が高いため、特に逮捕・起訴された場合には、実名報道のリスクが高いと考えられます。
一度でもテレビの報道番組やインターネットニュースで実名報道されると、半永久的にインターネット上に監禁事件を起こした事実が残りつづけてしまいます。すると、就職活動や転職活動に悪影響が生じたり身近な人に発覚したりして、社会生活を送りにくくなるでしょう。
人身売買罪の容疑で一定期間身柄拘束される危険性がある
人身売買罪の容疑で刑事訴追されると、最終的に刑事責任が確定するまでに、長期間身柄拘束される危険性が高いです。
- 警察段階の取り調べ(逮捕段階):48時間以内
- 検察段階の取り調べ(逮捕段階):24時間以内
- 検察段階の取り調べ(勾留段階):最長20日間
- 起訴後勾留:刑事裁判が終了するまで
これだけの身柄拘束期間が生じると、起訴猶予処分や執行猶予付き判決を獲得できたとしても、被疑者の社会生活には回復し難いデメリットが生じます。
身柄拘束がきっかけで被疑者がに生じる可能性があるデメリットとして、以下のものが挙げられます。
- 取り調べ以外の時間帯は留置場・拘置所に収容されるので帰宅・出社などが不可能になる
- 身柄拘束期間中はスマートフォンなどの所持品をすべて取り上げられるので、家族や会社と直接連絡が取れない
- 厳しい取り調べを拒否することはできず、身体的・肉体的なストレスを強いられる
- 自分の口で外部と連絡がとれない状況がつづくため、学校や会社に逮捕された事実を隠しとおしにくくなる
人身売買事件を理由に会社や学校から何かしらの処分を下される可能性が高い
人身売買罪の容疑で逮捕されると、被疑者が所属している学校や会社に監禁事件を起こした事実がバレる可能性が高いです。その結果、学校や会社から何かしらの処分が下されるでしょう。
たとえば、被疑者が会社員の場合、所属している企業が定める就業規則の懲戒規程に基づき、何かしらの懲戒処分が下されます。懲戒処分は、戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇の7種類に分類されます。人身売買事件のような極めて悪質な犯罪に関与したケースでは、会社をクビになるリスクもあると理解する必要があります。特に、実名報道よって会社の社会的信用を毀損してしまった場合には、懲戒リスクが高まると覚悟しましょう。
また、被疑者が学生の場合、所属している学校の学則・校則によって、退学・停学・訓告などの処分が下されます。特に、退学や停学などの重い処分が下されると、今後の進学や就職活動にも大きな支障が出る危険性があります。
人身売買罪で有罪になると前科がつく
人身売買罪の容疑で有罪判決が下されると、刑罰が科されるだけではなく、前科によるデメリットを強いられます。
前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が下された場合にも前科者になってしまいます。
そして、前科者になると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
- 記載義務・回答義務に違反して前科の事実を申告せず内定を獲得したり就職を果たしたりすると、その後、前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に内定が取り消されたり懲戒解雇処分が下されたりする
- 前科を理由に就業が制限される資格・仕事がある(士業、警備員、金融業など)
- 前科を理由に離婚を言い渡されたり結婚話がなくなったりしかねない
- 前科があると、ビザやパスポートの発給制限を受ける場合がある(海外旅行、海外出張に支障が生じる)
- 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い など
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、検察官に起訴処分の判断を下されて刑事裁判にかけられた時点で有罪と前科が決定的になってしまいます。
ですから、前科によるデメリットを避けたい場合には、刑事裁判で無罪判決を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すのがポイントになるでしょう。
人身売買罪の容疑をかけられたときに弁護士に相談するメリット
人身売買罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。
というのも、刑事事件への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下4つのメリットを得られるからです。
- 被害者tの間で示談交渉を進めてくれる
- 自首についてのサポートを受けられる
- 軽い刑事処分獲得を目指した防御活動を期待できる
- 日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
人身売買の被害者との間で示談交渉を進めてくれる
刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をすれば、監禁事件の被害者との間でスピーディーに示談交渉を進めてくれます。
示談とは、刑事事件の被害者・加害者との間で直接話し合いをおこない、民事的解決策について和解契約を締結することです。
人身売買事件の当事者間で示談が成立すれば、刑事手続きにおいて以下のメリットを得られます。
- 被害者が警察に相談する前に示談が成立すれば、刑事事件化自体を回避できる
- 人身売買事件が刑事事件化したとしても、早期の示談成立によって、起訴猶予処分獲得の可能性が高まる
- 人身売買の被害者との間で示談が成立していることを理由に、在宅事件処理される可能性が高まる
- 人身売買罪の容疑で起訴されたとしても、示談成立によって執行猶予付き判決を獲得しやすくなる
人身売買事件の示談交渉は、被疑者本人や被疑者の家族が直接対応することも可能です。
しかし、人身売買事件の示談交渉は弁護士に依頼することを強くおすすめします。というのも、人身売買事件の示談交渉を弁護士に任せることで、以下のメリットを得られるからです。
- 弁護士が代理人に就けば、捜査機関経由で被害者の連絡先を入手しやすくなる
- 刑事手続きの各段階に間に合うように示談成立を目指してくれる
- 感情的になっている被害者も、弁護士が交渉相手になることで、冷静に話し合いに応じてくれやすくなる
- 被害者側から不当な示談条件をつきつけられたとしても、相場どおりの示談条件で和解契約を締結してくれる
- 宥恕条項や債務不存在条項など、示談書に盛り込むべき内容をしっかりと記載した示談書を作成してくれる
人身売買事件について自首するべきかを検討してくれる
人身売買事件が警察にバレていない段階なら、自首が有効な選択肢になります。
自首とは、犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前に犯人自身が捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求める意思表示をすることです。自首が有効に成立すれば、刑事裁判において自首減軽の恩恵を受けることができますし、起訴猶予処分や在宅事件処理という有利な刑事処分を獲得しやすくなります。
弁護士に相談・依頼をすれば、自首について以下のメリットを得られるでしょう。
- 人身売買事件に関する事実関係を聴取したうえで、現段階で自首するべきか、自首よりも前に示談交渉を開始するべきか判断してくれる
- 自首後に実施される事情聴取における供述内容・供述方針を明確化してくれる
- 自首をする際に、警察署まで同行してくれる
人身売買罪の容疑をかけられても軽い刑事処分獲得を目指してくれる
刑事事件への対応経験が豊富な弁護士に相談・依頼をすれば、人身売買罪の容疑をかけられたとしても、少しでも有利な刑事処分獲得に向けた防御活動を展開してくれます。
以下のように、刑事手続きの段階に応じて、被疑者側が目指すべき防御目標は異なります。
- 任意の出頭要請がかけられている段階なら、逮捕・勾留といった身柄拘束処分を回避して、在宅事件処理を目指してくれる
- 逮捕されたとしても、準抗告や取り消し請求などの勾留阻止活動を展開してくれる
- 検察官から起訴猶予処分の判断を引き出して、刑事裁判の回避を目指してくれる
- 起訴された場合には、すぐに保釈請求をして、日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
- 刑事裁判にかけられたとしても、執行猶予付き判決や罰金刑の量刑判断を引き出して、実刑判決の回避を目指してくれる
人身売買罪の容疑をかけられた場合、「有罪にならないこと」「前科をつけないこと」が今後の社会復帰を左右するポイントになります。
つまり、日本の刑事裁判の有罪率を前提とすると、刑事裁判で無罪判決を獲得するのは困難である以上、検察官から不起訴処分(起訴猶予処分)の判断を引き出すことができるかが重要だということです。
起訴猶予処分にするかどうかを決定するときには、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。刑事実務に詳しい弁護士に依頼をすれば、起訴猶予処分の判断を引き出すために役立つ情状証拠などを用意してくれるでしょう。
人身売買事件が原因で日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
刑事事件に強い弁護士は、刑事事件以外の面でも被疑者をサポートしてくれます。
たとえば、人身売買事件について会社から事情聴取をされた場合、有利な懲戒処分を引き出して社会生活への影響を減らすために、代理人として会社側との間で交渉などを進めてくれます。
また、監禁事件について実名報道された結果、SNSや匿名掲示板などで誹謗中傷の被害を受けたときには、削除請求や発信者情報開示請求、慰謝料請求などの法的措置も取ってくれるでしょう。
人身売買罪に関するFAQ
人身売買についてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
人身売買は実在するのでしょうか?
人身売買は水面下でおこなわれることが多いために露見しにくいですが、さまざまな場面で社会問題になっています。
人身売買が問題になる具体例として以下のものが挙げられます。
- 恋愛感情につけこまれて援助交際やパパ活、風俗店での就労などを強要される
- 借金返済、ホストクラブの支払いの代わりに売春や風俗店への勤務などを強要される
- 自活が難しい児童が性的サービスを強要される
- パスポートを取り上げられたりビザが切れたりした外国人が強制労働をさせられる
- 家出をした児童が性的搾取を受ける など
人身売買に対する国際的な取り組みはある?
人身売買などの人身取引は、重大な人権侵害であるにもかかわらず、国際的におこなわれることが多いです。
そこで、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書(通称「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書」)」が採択されて、各国がさまざまな取り組みをおこなっています。
日本では、「人身取引対策行動計画2022」が策定されており、政府一体として人身売買などを防止するための各種対策が進められるほか、警察が総力をあげて被害者の早期救出・保護・取り締まりを強化しています。
人身売買罪で刑事訴追リスクに晒されたときには弁護士に相談しよう
人身売買に関与したときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件への対応が得意な私選弁護人に相談・依頼をしてください。
刑事事件に強い弁護士の力を借りることで、在宅事件処理や起訴猶予処分獲得の可能性が高まるでしょう。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、人身売買事件の弁護活動が得意な専門家を多数紹介中です。弁護士に相談するタイミングが早いほど刑事手続きを有利に進めやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。