退職代行の違法性とは?非弁行為に該当する行為を詳しく解説

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「退職代行って便利そうだけど、違法じゃないの?」退職代行の利用を考えたとき、多くの人が最初にぶつかる不安です。結論から言えば、退職代行を使うこと自体、違法ではありません。

代行業者が本人に代わって会社へ「退職します」という意思を伝える行為は、法律上の通知(意思表示の伝達)に当たり、資格がなくても行えると整理されるのが一般的です。無期雇用であれば民法627条により退職の申入れが可能で、会社が拒否をしても意思が到達すれば退職は成立し得ます。

ただし、退職代行には明確な「越えてはいけない線」があります。それが、会社との交渉(有休消化の条件調整、未払い残業代や退職金の請求、示談・和解など)です。弁護士資格のない民間業者が報酬を得て交渉や法律事務を行うと、弁護士法72条が禁じる「非弁行為」に該当するリスクがあります。

つまり、退職代行の合法・違法を分けるポイントは「退職の意思を伝えるだけ」なのか、「条件を取りにいく交渉までやるのか」にあります。本記事では、退職代行の主な業務範囲、非弁行為に当たりやすい具体例、合法な業者の見分け方、弁護士・労働組合・民間の違い等について詳しく解説します。

目次

退職代行の主な業務と違法性

結論として、退職代行サービス業者は、直ちに違法とはなりません。会社と話し合いをせず、代行業者が一方的に「退職の意思」を伝える場合でも、法律上問題ありません。

そのため、「辞めたいけど出社できない」「上司と顔を合わせたくない」「会社からの連絡を断ちたい」といった事情を抱える人にとって、退職代行は合法かつ実用的な選択肢となります。

一方で、退職代行を使ったからといって「退職そのものが保証される」わけではありません。会社側が退職届の提出を求めてくる可能性や、貸与品の返却・引き継ぎの問題、未払い残業代や退職金の清算など、別の手続きや交渉が必要になるケースがあるでしょう。

こうした場面を代行会社に任せるかどうかが、合法か違法かを分ける重要な境界線となります。まずは、退職代行の主な業務内容と違法性について詳しく解説します。

本人に代わって退職の意思を伝える業務

退職代行サービスの基本的な役割は、「本人に代わって会社に退職の意思を伝える」ことです。具体的には、依頼者の代わりに電話やメールで「◯月◯日付で退職します。以降、連絡は代行業者にお願いします」と会社に通知するという連絡代行の部分です。

こうした、単なる意志の伝達行為は法律上「通知行為」にあたり、資格を要しない行為とされています。民間サービス・労働組合・弁護士、どこを通じても、この部分だけなら違法ではないとされてきました。

労働者には契約期間の定めがない無期雇用であれば、いつでも退職の申入れをできる権利(民法627条)があります。したがって、本人が「辞める」という意思を示す手段がたとえ第三者を介したものであっても、それ自体は労働契約の解約として法的に認められています。

そのため、「直接会社に行って辞表を出さなければ退職できない」「本人しか退職届を出せない」という主張に対して、法律的根拠はありません。また、就業規則に「退職代行は禁止」と書かれていても、それは無効との考えが一般的です。つまり、「本人の代わりに退職の意思を伝えるだけ」の範囲であれば、退職代行は基本的に合法なサービスです。

退職代行=違法ではない

結論として、退職代行サービスを利用すること自体は、直ちに違法とはなりません。会社と話し合いをせず、代行業者が一方的に「退職の意思」を伝える場合でも、法律上問題ない、というのが実務です。

そのため、「辞めたいけど出社できない」「上司と顔を合わせたくない」「会社からの連絡を断ちたい」といった事情を抱える人にとって、退職代行は合法かつ実用的な選択肢となります。

一方で、退職代行を使ったからといって「退職そのものが保証される」わけではありません。会社側が退職届の提出を求めてくる可能性や、貸与品の返却・引き継ぎの問題、未払い残業代や退職金の清算など、別の手続きや交渉が必要になるケースがあります。こうした場面を代行会社に任せるかどうかが、合法か違法かを分ける重要な境界線となります。

たとえば、退職代行業者を利用して退職の意思を伝えたとしましょう。この場合、会社側は従業員に対して、貸与物の返却、退職届の提出等を求めてきます。これは、会社側の意思を退職代行業者を介して従業員へ伝えるというものであるため、基本的に違法性はありません。

違法・合法の分かれ目となるポイントは「交渉が行われているかどうか」です。たとえば、従業員側が「未払い賃金の支払い」や「ハラスメントに対する損害賠償請求」を行おうとしたとしましょう。

この場合、一般的には会社側に対して交渉を行います。また、必要に応じて訴訟を検討する必要があります。これらの行為は、弁護士にのみ認められている行為であるため、退職代行業者が行った場合、弁護士法違反(非弁行為)に該当します。

つまり、退職代行業者が合法となる範囲は、あくまでも「意思の伝達」のみである点に注意しましょう。

民間の退職代行サービスは注意が必要

退職代行の主な業務内容は、本人に代わって企業に対して「退職する意思」を伝えるサービスです。たとえば、上司からパワハラを受けており、直接、退職の意思を伝えることで嫌な思いをしたり、引き止められたりする可能性がある場合としましょう。この場合、第三者を通して退職の意思を伝えることで、スムーズな退職が可能となります。

退職代行サービスのほとんどは「民間企業」または「労働組合型」のサービスです。このうち「弁護士資格も労働組合の交渉権もない民間企業」が、会社との条件交渉(退職金・未払い残業代・有給消化など)や和解要求を請け負う場合、これが問題になります。

日本の法律では、報酬を得て法律事件・法的紛争に関して代理・交渉を行うことは、弁護士資格のある者にのみ認められている行為です。資格のない者がこのような行為をすることは弁護士法第72条により禁止されています。

これを「非弁行為」と呼び、違法行為にあたります。つまり、以下のような行為を行う退職代行会社は、法的に問題がある可能性が高いと判断するため注意が必要です。

  • 退職金交渉、有給消化交渉、未払い残業代請求などの金銭請求
  • 退職日や条件の調整、それに関する書類作成・送付交渉
  • 会社との和解交渉や示談交渉

実際、最近では大手退職代行サービスの一部がこの「非弁行為」の疑いで警察・司法の捜査対象となった事例が報告されています。また、こうした違法業者を通じて請求を行っても、結果的に請求が認められない、賠償・清算ができない、あるいは代行業者側が責任を取らないケースも起きています。

非弁行為を行う退職代行サービスを利用したとしても、利用者が罰せられることはありません。あくまでも非弁行為を行った、退職代行業者が弁護士法違反として、処罰対象となり得るのみです。

「非弁行為」に該当する行為とは

退職代行や人材サービスの利用が広まる中でよく耳にするのが「非弁行為」という言葉です。これは一見すると専門的な法律用語ですが、日常の退職手続きや労働問題の中にも該当しやすい行為が含まれています。

とくに退職代行サービスの範囲を超えて、会社との条件交渉・未払い賃金の請求・損害賠償の請求など、法律上の「代理行為」が絡む場面では、注意が必要です。まず「非弁行為」とは何かを理解してから、退職代行の現場でどのような行為が法律上許されないのかを具体的に解説します。

非弁行為とは「弁護士以外に認められていない行為」を行うこと

「非弁行為」とは、弁護士法(弁護士法第72条)で弁護士のみが行うことが許されている行為を、弁護士資格のない者や組織が業として行うことを指します。日本の法律では、裁判外・裁判内を問わず、法律に関する代理・交渉・請求行為の多くは弁護士でなければできません。

この制限は、依頼者の権利を適切に守るための専門性・責任・倫理基準を担保する目的で設けられています。非弁行為を行った場合、依頼者本人・サービス提供者双方が法的責任を問われる可能性があります。

退職という文脈では、「退職の意思を伝える」という通知・連絡は弁護士資格を必要としません。しかし、それ以上の法律的判断・条件交渉・請求行為になると、非弁行為に該当するリスクが極めて高くなります。

例1:有休消化等の「交渉」を行う

退職代行の利用者がよく希望するのが「有給休暇の消化(有休消化)」です。会社と直接話さずに「有休消化させてほしい」と申し入れるだけであれば、通知行為に該当するため非弁行為ではありません。しかし、有休消化の条件について会社側と継続的・体系的に交渉する状況になると話が変わります。

たとえば、以下のようなケースは注意が必要です。

  • 「有休をすべて消化した状態で退職したい」
  • 「有休消化中の給与を一定水準で保証してほしい」

上記のような具体的な条件の交渉に入ると、これは単なる意思表示ではなく、依頼者の利益を代理して確保するための交渉行為にあたります。

このような交渉を弁護士資格のない退職代行会社が反復・継続的に行うことは、法律上は弁護士にしか認められていない「交渉代理権」の侵害となり、非弁行為とされる可能性が高いです。

例2:残業代・未払い賃金等の「請求」を行う

退職時に発生しがちなトラブルとして残業代・未払い賃金の請求があります。これには単なる「意思表示」だけでなく、未払い部分の計算、労働時間の証拠整理、慰謝料的要素の評価、会社との交渉や和解の取りまとめなどが含まれます。

ここで誤解しやすいポイントは、「請求書を作って送信するだけならいいのでは?」という発想です。しかし実務上は、違法になるケースがあります。

  • 「請求額や根拠を解釈すること」
  • 「会社側の反論に対応すること」
  • 「支払条件・支払時期の調整」

これらすべてが法律行為となり、弁護士の専権事項とされています。したがって、弁護士資格のない者や組織が「未払い賃金を請求・交渉する」「請求額を確定する」といった行為を業として繰り返すと、非弁行為として法的問題に問われるリスクが生じます。

例3:損害賠償請求(ハラスメント等)を行う

近年、セクハラ・パワハラ・長時間労働によるメンタル不調などにより、会社に対して損害賠償請求をしたいという相談も増えています。損害賠償請求は単なる「請求書の送付」ではありません。

  • どの法律を根拠とするか(民法・労働基準法・男女雇用機会均等法等)
  • 損害の範囲の特定と立証
  • 因果関係の証明
  • 会社側との交渉・示談交渉

上記のような専門的な判断と経験が必要な法律行為です。

退職代行会社の中には、これらの損害賠償請求を付加サービスとして宣伝しているものがあります。しかし、弁護士資格のない者が代理人として損害賠償の交渉・請求・和解を行うことは、明確な非弁行為とされます。

弁護士法は、未払い賃金の請求や損害賠償の交渉も「法律事務」と位置づけており、資格のない者がこれを業として行うことは、刑事罰の対象にもなり得るのです。

【注意】非弁行為の成立要件

非弁行為とは、「弁護士資格を有しない者が、報酬を得る目的で弁護士の独占業務を行うこと」を指します。退職代行を使用する際は、非弁行為に該当するケースも多々あるため注意しなければいけません。

主に非弁行為に該当する行為は以下のとおりです。

  • 報酬を得ていること
  • 反復継続性があること
  • 弁護士しか認められていない行為を行うこと

退職代行の場合は、報酬を得ながら反復継続的に代行業務を行っています。単純に従業員の意思を「伝言」するだけであれば、弁護士にしか認められていない行為ではないため、非弁行為には該当しません。

しかし、たとえば交渉等を行った場合は弁護士にしか認められていない行為を行ったことになるため、非弁行為に該当する可能性があるのです。

次に、非弁行為の成立要件について詳しく解説しますので、退職代行を利用する際は業者が非弁行為に該当していないかどうか?チェックしたうえで利用しましょう。

報酬を得ていること

非弁行為の一つの成立要件は、報酬を得ていることです。弁護士法第72条は、報酬を得て法律事務に関する代理・交渉・示談を行う行為を弁護士以外に禁じています。つまり、単なるアドバイスや情報提供であっても、有償で法律的な代理・交渉を継続的に行えば非弁行為となる可能性があるのです。

たとえば、弁護士資格を有しない一般の人、(いわゆる「法律に詳しい人」)がいたとしましょう。この人に「退職をしようと思っている」「残業代が未払いで……」と相談をしてアドバイスを受けたとしても、非弁行為には該当しません。なぜなら、報酬を得ていないためです。

一方で、上記例で報酬が発生した場合は、非弁行為となるため注意しなければいけません。

このように、退職代行サービスが利用者から料金を受け取り、相手企業との条件交渉を継続的な交渉として代行した場合は違法です。

つまり、退職代行は「報酬を得ている」ことになるため、取り扱う業務の範囲が弁護士にしか認められていない行為である場合は非弁行為に該当するということです。後ほど詳しく解説しますが、たとえば「有休消化や未払い賃金の請求・交渉」が該当します。

反復継続性があること

非弁行為には、一定の反復性・継続性があることが重要視されます。単発で一回だけ法律関連の助言をしただけでは非弁行為と判断されにくいです。一方で、同じ形式の法律相談・代理・交渉行為を継続したり、反復して行ったりすると、法律の専門家でない者が業として法律行為を行っているとみなされるリスクが高まります。

「一回限りの助言と形式的な通知行為」と「継続的に条件交渉・示談交渉・賃金請求交渉を代行する」では、評価が大きく異なります。継続的な行為は、「単なるサポート」ではなく「業としての法律行為」と見なされ、非弁行為として成立しやすいというのが実務のポイントです。

たとえば、退職代行の場合は毎日多くのお客さんから依頼を受けています。そのため、「反復継続的に業として行っている」という事実は明らかです。

弁護士にしか認められていない行為を行うこと

非弁行為の核心的要件は、「弁護士にしか認められていない行為を有償で行うこと」です。ここでの「弁護士にしか認められていない行為」とは、単なる情報提供ではなく、被依頼者の法的権利・利益を代理して実質的な判断・交渉・請求・和解を行う行為です。

具体的には、以下のような行為が該当します。

  • 会社との条件交渉(退職金・有給の日数・給与支払条件など)
  • 未払い賃金・残業代の請求・交渉・和解の代理
  • 損害賠償請求・ハラスメントに関する法的請求行為
  • 示談交渉や相手方との契約書作成・合意形成の代理

これらはいずれも、相手方との法律問題を解決するための代理・交渉行為であり、弁護士にのみ許された行為です。民間の退職代行サービスがこれらを名目に提供すると、非弁行為とされるリスクが高いため注意しましょう。

退職代行の主な業務は、労働者の意思を「伝言すること」です。たとえば、「一身上の都合で退職したい」と言っています。「貸与品については、郵送で返却します」など、退職する側の従業員の意思を伝えるだけの立場です。

そのため、たとえば退職を希望している労働者が、退職代行業者に対して「残っている有給休暇を消化し切る◯月◯日付けで退職します」と伝えてください。と言い、この内容を退職代行業者が勤務先に伝えるだけの場合は、非弁行為に該当しません。

一方で、たとえば上記意思を伝えた際に、勤務先が「有休消化はさせない」と言ったとしましょう。このとき、退職代行業者が勤務先と「交渉」をすることは認められていません。

交渉ができるのは、弁護士もしくは本人のみであるため、仮に勤務先が「有休消化を認めない」退職代行業者に伝えても、業者を通して本人に「勤務先から上記のとおり言われています」としか伝えられません。

退職代行業者を利用して交渉する行為自体が認められていないため、たとえ労働者側が「有休消化は法律で認められています」とお伝えしてください。と退職代行業者に伝えても、この言葉自体が「交渉」と捉えられる可能性もあるため非弁行為になり得るため注意が必要です。

【罰則】非弁行為は弁護士法違反に該当

非弁行為は、弁護士法により明確に禁止され、刑事罰の対象となる違法行為です。弁護士法第72条は、弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で法律事務(交渉・請求・示談・代理など)を行うことを禁止しています。

この規定に違反した場合、同法第77条により、「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」が科される可能性があります。さらに重要なのは、法人や事業として行っていた場合でも処罰対象になるという点です。

  • 退職代行会社の運営者
  • 実際に交渉・請求を行った担当者

上記双方が処罰対象となる可能性があり、個人責任を免れることはできません。

また、刑事罰だけでなく、民事上の責任が問題となるケースも少なくありません。非弁行為によって依頼者が不利益を被った場合、損害賠償の可能性があります。

  • 適切な請求ができなかった
  • 会社との関係が悪化した
  • 本来得られたはずの金銭を失った

加えて、非弁行為が発覚した場合以下のようなリスクも発生します。

  • 事業の継続が困難になる
  • 行政・関係機関からの指導や注意を受ける
  • 社会的信用を大きく失う

実際に、退職代行では、「通知代行」を超えて賃金請求や条件交渉を行ったことが問題視され、非弁行為の疑いとして警察・弁護士会の調査対象になった例も報告されています。

このように、非弁行為は「少しやり過ぎたサービス」では済まされない、明確な違法行為です。退職代行サービスを利用する側にとっても、「どこまでが合法で、どこからが非弁行為なのか」を理解しておくことは、トラブルを未然に防ぎ、自分の権利を守るために不可欠だと言えます。

依頼者が非弁行為に該当することはありません。弁護士にしか認められていない行為であっても、依頼者本人自身が直接交渉する行為は認められています。あくまでも、第三者が弁護士にしか認められていない行為を行うことが非弁行為となります。

合法な退職代行業者の特徴

退職代行を利用する際、「本当に安全か?」「違法にならないか?」という不安を抱える方は少なくありません。なかでも重要なのは非弁行為や弁護士法違反に抵触しないかどうかという点です。

ここでは、退職代行サービスのうち法律上安全に利用できる業者が持つ共通点を以下のとおり解説します。

  • 弁護士事務所が運営している
  • 労働組合が運営している
  • 非弁行為に抵触しない範囲で対応している

それぞれ詳しくみていきましょう。

弁護士事務所が運営している

安心して利用できる退職代行サービスは、弁護士事務所が主体となって運営しているものです。弁護士は、法律上代理権・交渉権が認められる唯一の専門職です。そのため、退職に関する意思表示から有給休暇の交渉、未払い賃金・残業代の請求、損害賠償請求・示談交渉に至るまで、法律的な代理行為を一貫して行うことが許されています。

弁護士運営の退職代行であれば、仮に会社側が法的主張をしてきた場合でも、対応のプロセス・交渉・証拠整理まですべて法律専門家が担ってくます。そのため、依頼者の不利益を最小限に抑えることが可能です。

加えて、弁護士には守秘義務が課されており、依頼者のプライバシーや相談内容が守られるという点でも、民間サービスにはない強みがあります。

労働組合が運営している

弁護士事務所とは別系統で、労働組合が主体となって運営している退職代行サービスも合法性が高いとされています。労働組合は法律上、労働者と使用者との間の交渉行為を行う権限を持つ団体と位置付けられているためです。賃金・退職条件・有給消化などの交渉を合法的に代行できます。

たとえば、労働組合が窓口となり会社と合意を取り付ける場合、労働組合法の下で正当な「団体交渉」とみなされます。そのため、民間のフリーランス運営とは異なり、交渉行為を行っても非弁行為に該当しません。

ただし、労働組合であっても「交渉内容が法律相談そのもの」に踏み込む場合は弁護士の助言が必要な局面もあります。労働組合運営のサービスを利用する場合は、具体的な対応範囲を確認し、必要に応じて弁護士が関与する体制も併せてチェックすることが重要です。

非弁行為に抵触しない範囲で対応している

合法的な退職代行サービスは「非弁行為に抵触しない安全な対応範囲」を明確にしていることが重要です。法律上認められる退職代行の基本的な対応範囲は以下の通りです。

  • 退職の意思を会社に通知・連絡すること
  • 退職日などの意思表示を代行すること
  • 依頼者の意図を会社に伝えるという代理的な連絡行為
  • 退職手続きに必要な書類の提出代行(通知の作成・送付)

これらは、弁護士資格の有無に関わらず合法とされる範囲です。逆に、以下のような対応を「サービスの標準業務」として行っている場合は、非弁行為に該当するリスクが高くなります。

  • 有給消化の条件を会社と交渉する
  • 未払い賃金・残業代を会社に請求する
  • 損害賠償請求や示談交渉を行う
  • 契約書や合意書の作成・精査・交渉をする

いずれも、弁護士でなければ行えない法律行為の代理・交渉に該当する部分のため、民間業者がこれを業として行うと非弁行為になります。優良な退職代行業者は、ホームページ・契約書・利用規約で対応範囲を明確にし、非弁行為とならないサービス設計をしています。利用前に、対応内容・制限事項・弁護士関与の有無をしっかり確認することが、あなたの安全を守る第一歩です。

退職代行を弁護士に相談するメリット・デメリット

退職代行を検討する際、「弁護士に頼んだ方が安心なのか」「民間代行で十分か」を悩む方も多いでしょう。料金面では差が出ますが、法的な安全性・交渉力・トラブル対応力を考えると、弁護士に相談することには独自のメリットがあります。

一方で、費用や対応範囲の違いによるデメリットもあり、目的や状況によって最適解は変わります。次に、退職代行を弁護士に相談するメリットおよびデメリットについて詳しく解説します。

メリット1:違法性がない

弁護士に退職代行を依頼するもっとも大きなメリットのひとつは、非弁行為などの違法性を一切心配する必要がない点です。弁護士は法律に基づき、退職意思の伝達はもちろん、会社との交渉・合意形成・書面作成など一連の法的手続を行う権限があります。

民間代行では、会社との交渉・請求行為を行ってしまうと弁護士法違反(非弁行為)としてリスクがありますが、弁護士の場合はそのような懸念がゼロに近づきます。弁護士の関与があるだけで、会社側も「法的代理人が動いている」という認識になるため、対応姿勢が変わることも少なくありません。

退職代行の違法性でもっとも問題となる点が「非弁行為に該当するか否か」です。本記事で何度も解説しているとおり、非弁行為とは「弁護士にしか認められていない行為を報酬を得て弁護士ではない者が行うこと」を指します。

つまり、弁護士であれば何の心配もなく退職の代行手続きを行ってもらえる点が最大のメリットであると言えるでしょう。

もし、違法性のある退職代行業者に依頼をしたとしても、依頼者本人が罰せられることはありません。しかし、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるため、確実性を重視するのであれば、弁護士への依頼を検討したほうが良いでしょう。

メリット2:交渉ができる

弁護士は単に退職の意思を伝えるだけでなく、会社との交渉力を発揮できる点でも優れています。たとえば、以下のような交渉手続きが可能です。

  • 有給休暇の消化条件
  • 退職金の支給条件
  • 未払い残業代の精算
  • 退職日や引継ぎ期間の調整

労働条件の「調整・交渉」は弁護士でなければ正確に代理できません。民間の退職代行サービスは、本来の通知代行にとどまり、交渉部分はサービス対象外・あるいは非弁行為として禁止されます。

しかし弁護士であれば、交渉に伴う法律的分析・立証資料の整理・条件交渉・合意書作成のすべてを責任をもって行えます。

たとえば、退職理由が「給料や残業代の未払い」である場合や「ハラスメント」による場合は、初めから弁護士へ相談をしておいたほうがメリットは大きいです。後に、未払い賃金請求や損害賠償請求等を行う場合、退職理由等を知っている弁護士のほうがスムーズに手続きを進められるためです。

また、弁護士へ相談をすることによって、勤務先側に心理的な圧力をかけられる点もメリットです。「退職代行サービスから電話がかかってきた」よりも「弁護士から電話ハンドクがかかってきて、ハラスメントを理由に退職する意思を伝えられた」というケースのほうが、勤務先側も緊張感を持って対応するケースが多くなるでしょう。

メリット3:法的トラブルに対応できる

退職は単なる「辞める手続き」ではなく、後々法的トラブルに発展する可能性があります。以下のような場合、弁護士でなければ対応が困難です。

  • 会社側が労働契約違反を主張してくる
  • 懲戒解雇や不当解雇のリスクがある
  • 残業代請求・ハラスメント被害の損害賠償
  • 退職後の競業避止義務・守秘義務トラブル
  • 行政・裁判所とのやり取り

弁護士は、上記のように発生し得るリスクを予測し、最適な法的戦略を立てる専門家です。万一の紛争化に備えて最初から弁護士に依頼することは、精神的負担の軽減にもつながります。

デメリット1:費用が高額

弁護士に依頼する最大のデメリットは「費用の高さ」です。民間の退職代行サービスと比べると、弁護士費用は一般的に高額になります。弁護士費用は事務所や地域、案件の複雑さによって幅がありますが、基本的に以下のような費用が発生します。

  • 着手金
  • 成功報酬
  • 追加手続き費用(資料・訴訟対応など)

費用が高くなる分、法的な強みや安全性は高まりますが、まずは「自分に本当に弁護士が必要か」を見極める必要があります。民間代行で十分なケース(退職意思の単純通知だけが目的など)では、弁護士がコストに見合わない可能性もあります。

また、単純な退職の意思の伝達のみであっても、民間の退職代行サービスと比較して費用が1.5倍〜2倍程度になります。民間の退職代行サービス自体が違法ではないため、費用面や相談内容を踏まえたうえで適切な依頼先を検討するべきでしょう。

デメリット2:交渉等は別途費用が発生する可能性がある

弁護士費用が高いというだけでなく、対応内容によっては追加費用が発生する可能性がある点もデメリットです。退職手続きそのものは一定の料金で収まったとしても、次のような対応が必要になると追加費用が必要になることがあります。

  • 未払い賃金の算定と請求
  • 有給休暇の消化交渉
  • 退職金交渉
  • ハラスメント等の損害賠償請求
  • 行政労働局・裁判所対応

これらは単なる「退職通知の代行」ではなく、法的判断と代理行為を伴うため、別途契約・別途費用が必要になることが一般的です。また、弁護士との契約形態によっては「顧問契約」「スポット契約」「成功報酬型」など多様な料金体系があり、料金の計算方法が分かりにくい場合もあります。

そのため、依頼前にはかならず見積もり・契約内容・費用項目・追加料金の条件を確認することが重要です。

一般退職代行を使用する際の注意事項

退職代行サービスは「会社と顔を合わせずに辞めたい」と考える多くの人にとって魅力的なサービスです。しかし、「便利だから安心」というだけで安易に利用すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

民間業者による退職代行サービスには、できることとできないことが明確にあります。違法性やトラブル回避の観点から、以下3つの注意点をしっかり押さえておきましょう。

  • 非弁行為に該当する行為を確認
  • 有休消化等の交渉ができないことに注意
  • 「退職の意思伝達のみ」が可能

それぞれ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

非弁行為に該当する行為を確認

一般の退職代行サービスを利用する際は、非弁行為(弁護士資格のない者が法律事務を行うこと)に該当する行為を行う業者への依頼は避けましょう。弁護士法第72条は、弁護士でない者が報酬を得て法律事務(交渉・請求・示談など)を行うことを禁止しています。

違反すると、担当者や退職代行業者が2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金といった刑事罰の対象になり得ます。退職手続き途中で業務を行えなくなるなど、トラブルが発生する可能性があるため注意が必要です。

一般退職代行会社の多くは「退職手続きの窓口代行」自体は許されていますが、以下の行為は禁止されています。

  • 会社に対する給与請求
  • 有給休暇や退職金の条件交渉
  • 会社との和解・示談交渉

上記のように会社との条件・金銭面の交渉を継続的に行う行為は非弁行為として法律上許されません。

したがって、契約前には必ず以下のことを確認しておくべきでしょう。

  • 「このサービスは法律相談・交渉を行いますか?」
  • 「交渉部分は弁護士・労働組合の関与がありますか?」

あらかじめ、契約内容・利用規約・対応範囲を読み込むことが重要です。ここを曖昧にしてしまうと、あなた自身が無自覚のうちに違法なサービスに巻き込まれてしまう危険性があります。

有休消化等の交渉ができないことに注意

一般退職代行は、民間業者の場合、法律的な交渉権を持っていません。そのため依頼者がよく求める以下のような交渉は、原則として業務範囲外です。

  • 有給休暇の消化条件の確保
  • 退職金の支給条件の調整
  • 退職日や引継ぎ期間の調整
  • 未払い残業代の請求

たとえば「残っている有休をすべて消化して辞めたい」という希望がある場合でも、一般退職代行が会社側と条件交渉をすることは基本的にできません。民間業者がこうした交渉を代行すると、非弁行為として法的に問題となる可能性が高いためです。

実務では、会社から「いつまで出社してほしいか」「有休の扱いはどうするか」といった条件が提示されることがありますが、これを調整・妥結させる権限・能力は一般退職代行にはありません。

この点を理解せずに依頼してしまうと、希望する退職条件を確保できないまま辞めざるを得ないという事態が起き得ます。事前に対応できる範囲を確認し、条件交渉の必要性がある場合は弁護士や労働組合の退職代行を選択する方が安全です。

「退職の意思伝達のみ」が可能

一般退職代行サービスで合法的に行えるのは、基本的に以下のような退職の意思表示に関する連絡代行です。

  • 退職の意志表明の連絡
  • 退職日・退職方法の連絡
  • 書類提出に関する案内・代行送付
  • 出社不要の意思表示の伝達

これは、あくまでも本人の意思を会社に伝える「通知行為」であり、資格不要で認められている行為です。民法でも、労働契約の解約は本人の意思表示によって行われるため、本人の意思を伝える手段として退職代行が使えること自体は、法律上問題ありません。

しかし、この「通知行為」と「交渉行為」は明確に区別されます。通知代行は合法ですが、交渉行為に踏み込むと非弁行為として違法となり、それが刑事罰や損害賠償リスクに直結する可能性があります。

つまり、安全で合法的に退職代行を使うためには、以下のポイントを押さえておくべきでしょう。

  • 退職の意思表示だけを代行させる
  • 条件交渉は自分で行うか、弁護士に依頼する
  • 未払い賃金等の請求は弁護士に任せる

上記のような使い分けが大前提となります。

よくある質問

退職代行の違法性に関するよくある質問を紹介します。

Q.退職代行を使うと違法になりますか?

A.退職代行業者の利用者が違法になることはありません。

本記事で解説しているとおり、非弁行為の対象となるのは、その行為を行った者です。そのため、非弁行為が認められた場合、退職代行業者や退職代行業者の担当者が処罰対象となり得ます。

つまり、依頼者が依頼先の退職代行業者が非弁行為を行っていることを把握していながら依頼をしたとしても、罪に問われることはありません。

また、本人が直接勤務先と交渉する行為も非弁行為に該当しません。たとえば、退職代行業者を介さずに「有給休暇取得の交渉を行った」「ハラスメントに関する損害賠償請求を行った」というケースでも、罪に問われることはないため安心してください。

Q.弁護士以外の退職代行を使っても大丈夫?

A.使っても問題ありませんが、注意が必要です。

本記事で解説しているとおり、退職代行業者が直ちに違法となるわけではありません。弁護士にしか認められていない業務を行った場合に、弁護士法違反に問われるというものです。

「本人に代わって退職の意思を伝えてもらう」というだけであれば、非弁行為には該当しないため、何ら問題はありません。

ただし、勤務先との交渉が必要な場合や何らかの要求等、法律行為が伴う場合は退職代行業者では対応できません。この場合は、初めから弁護士に相談をしておいたほうが間違いないでしょう。

Q.会社が「受け取らない」と言ったら退職できない?

A.民法の規定により、「退職の意思」を伝えるだけで退職は成立します。

民法627条では「期限の定めのない雇用契約は、各当事者が自由に解約の申し入れが可能」と明記されています。つまり、労働者は自分の意思で自由に契約の解除(退職の意思)を伝えることができます。

退職の意思の方法は定められておらず、必ずしも本人から伝える必要はありません。そのため、第三者(退職代行業者)を通して退職の意思を伝えても、退職は成立します。

また、仮に会社が退職届を受領しなかったとしても、「意思を伝える」だけで退職は成立します。そのため、仮に退職届の受け取りを拒否されたとしても、退職の意思を伝えた時点で退職が可能です。

Q.退職代行を使うとブラックリストに載る?

A.一般的に、ブラックリストと呼ばれるリストは存在しません。

退職代行を利用したからといって、何らかのリストに情報が記録され、再就職等で不利になることは基本的にありません。ただし、退職した勤務先の心象として「印象が悪い辞め方をした」と捉えられてしまう可能性はゼロではありません。

結果として、系列店での採用を断られたり、再就職に影響がでたりする可能性もあるため注意したほうが良いでしょう。とはいえ、多くの企業が情報共有していたり、記録を保存していたりする公的機関のようなものは存在しないため、とくに不安に思う必要はないでしょう。

Q.退職代行の料金が高いのはなぜ?

A.高額でも利用する人が多いためです。

退職代行サービスの相場は、2万円以上のところが大半です。「ただ退職の意思を伝えてもらうだけ」にしては、高いと感じる人も多いでしょう。しかし、高額であっても需要があるためこの料金設定となっています。

退職代行サービスは、「会社の人に直接会ったり、話したりせずに退職できる」という点が最大のメリットです。利用者の多くは、「直接退職を伝えたら、引き止められそう」「直接言いにくい雰囲気」「ハラスメントを受けていて……」などさまざまな不安や不満を抱えています。

退職代行は、依頼者が嫌なことを第三者として代行してくれるサービスであるため、料金設定は高めになっています。

まとめ

退職代行は、本人に代わって会社へ「退職の意思」を伝える通知代行にとどまる限り、原則として違法ではありません。出社できない、上司と顔を合わせたくない、連絡を断ちたい。そんな状況でも、第三者を介して意思表示を届けること自体は法的に認められます。

一方で、退職代行を使えば「退職がすべて保証される」わけではありません。退職届の提出、貸与品返却、引き継ぎ、未払い賃金や退職金の清算など、追加対応が必要になる場面は残ります。

そしてもっとも重要なのが、合法・違法の分岐点は交渉の有無だという点です。有休消化の条件調整、退職日や退職条件の折衝、未払い残業代・退職金の請求、ハラスメントに基づく損害賠償や示談交渉などが必要であるとしましょう。この場合は、弁護士資格のない民間業者が報酬を得て反復継続的に行えば、弁護士法72条の「非弁行為」として問題になり得ます(罰則もあり得る)。

利用者本人が処罰されるわけではありませんが、途中で対応不能になったり、適切な請求ができず不利益を被ったりするリスクがあります。目的(退職だけ/条件も取りたい)を切り分け、適切な依頼先を選ぶことが、トラブルなく辞めるための最短ルートです。

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