飲酒運転がバレると警察に逮捕されます。なぜなら、酒気を帯びた状態で自動車などの車両を運転することは法律上禁止されているからです(道路交通法第65条第1項)。
「飲酒運転で逮捕されるニュースはよく聞くし、殺人や強盗のような悪質な犯罪ではないから、逮捕されてもすぐに釈放されるだろう」と安易に考えてはいけません。
というのも、飲酒運転で逮捕された後に適切な防御活動を展開しなければ、厳しい取調べ・勾留請求による長期の身柄拘束・起訴処分・有罪判決のリスクが高まるからです。また、飲酒運転で人身事故を起こしたようなケースでは、損害賠償請求などの民事責任も発生します。さらに、ニュース報道や前科前歴が原因で社会生活にも支障が生じかねないでしょう。
そこで今回は、以下6点について分かりやすく解説します。
- 飲酒運転で逮捕された時の刑事責任の内容と法定刑
- 飲酒運転で逮捕された時の行政罰の内容
- 飲酒運転で事故を起こした時の民事責任の内容
- 飲酒運転をした運転手以外の人の法的責任
- 飲酒運転で逮捕された後の流れ
- 飲酒運転で逮捕された時に弁護士に相談するメリット
飲酒運転に対しては年々厳罰化が進んでおり、犯人には刑事罰だけではなくさまざまな社会的制裁が加えられる危険性があります。
「逮捕後どれだけスピーディーに適切な防御活動を展開できるか」で社会復帰・更生の難易度が変わってくるので、今回紹介する内容を確認していただいたうえで、刑事事件に強い弁護士への早期相談をご検討ください。
目次
飲酒運転で逮捕された時の法的責任3つ
飲酒運転で逮捕されると、以下3種類の法的責任を追及されるのが一般的です。
- 刑事責任
- 行政罰
- 民事責任
刑事責任は刑罰に関するもの、行政罰は運転免許証関係のもの、民事責任は被害者に対する金銭賠償についてのもの、という形で棲み分けることができます。
刑事責任
そもそも、「飲酒運転罪」という犯罪は存在しません。飲酒運転で検挙される場合には、以下の犯罪類型のいずれかを被疑事実として逮捕されることになります。
- 酒気帯び運転の罪
- 酒酔い運転の罪
- 過失運転致死傷罪(自動車運転過失致死傷罪)
- 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
- 危険運転致死傷罪
- 呼気アルコール検査を拒否した罪
- 緊急措置義務違反
- 報告義務違反
また、飲酒運転で警察の捜査が及ぶケースでは、運転者だけではなく、車両提供者・酒類提供者・同乗者なども逮捕される可能性があります。
それでは、飲酒運転で逮捕されるときの犯罪類型の構成要件や法定刑について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
酒気帯び運転
飲酒運転で逮捕されるときの最もポピュラーな犯罪類型が「酒気帯び運転」です(道路交通法第65条第1項)。
酒気帯び運転をしたときに、以下いずれかの基準値以上のアルコール保有状態であった場合には、3年以上の懲役刑または50万円以下の罰金刑が科されます(道路交通法第117条の2の2第1項第3号、道路交通法施行令第44条の3)。
- 血液1ミリリットルにつき0.3グラム以上のアルコール保有量(血中アルコール濃度0.03%)
- 呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコール保有量
酒気帯び運転の罪で逮捕されるか否かは「基準値を超えるかどうか」が絶対視されます。たとえば、「乾杯ビール1杯だけなら大丈夫」「養命酒や洋酒入りのお菓子は飲酒運転とは関係ない」と言われることもありますが、検査結果で基準値を超えるアルコール量が検出されると逮捕を免れられません。
裏を返せば、職務質問や飲酒検問で実施される呼気検査において基準値以上のアルコール分量が出なかった場合には、「酒気帯び運転の罪」を被疑事実として逮捕されることはないということです。
ただし、基準値以下のアルコール保有量であったとしても、次で紹介する「酒酔い運転」の要件を満たすと判断されると結局逮捕されることに変わりません。
なお、「お酒を飲んでいても基準値以下なら自動車を運転しても良い」というのは間違いです。なぜなら、そもそもお酒を飲んだ状態での運転自体が禁止されているからです。酒酔い運転の罪にも該当しない様子で基準値以下のアルコール値なら逮捕されることはありませんが、少しでもお酒を飲んでいるなら継続運転は許されないので、酒が抜けるまで運転を待つか、お酒を飲んでいない同乗者や代行業者に運転を代わってもらいましょう。
酒酔い運転
酒に酔った状態でアルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがあるにもかかわらず車両等を運転した場合には「酒酔い運転の罪」で逮捕されます(道路交通法第65条第1項)。酒酔い運転の罪の法定刑は、5年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑です(道路交通法第117条の2第1項第1号)。
酒気帯び運転の罪とは違って、酒酔い運転の罪には呼気アルコール値や血中アルコール濃度についての基準値が定められていません。これは、アルコールの保有量にかかわらず、酒類を摂取したことによって正常な運転ができないのに自動車等を運転した遵法精神の低さに悪質性が認められると考えられているからです。
「アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある」か否かは、以下のような諸般の事情を総合的に考慮して判断されます。
- 顔面の紅潮、浮腫み
- 眼球の充血、視線
- 呂律が回っているか
- 呼気のにおい
- 片足立ち、直線歩行の可否
- 日時、時間帯、場所などを正確に把握できているか
- 警察官の質問に対して正常な受け答えができるか
- 意識がしっかりしているか
このような項目に抵触している場合には、呼気検査などによるアルコール値にかかわらず、酒酔い運転の罪で逮捕されます。
過失運転致死傷罪(自動車運転過失致死傷罪)
飲酒運転中に人身事故を起こすと酒酔い運転の罪よりもさらに厳しい刑事処罰が下されるので注意が必要です。
飲酒運転中に運転上必要な注意を怠って人を死傷させた場合には「過失運転致死傷罪(自動車運転過失致死傷罪)」で逮捕されます。過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役刑・禁錮刑または100万円以下の罰金刑です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
たとえば、飲酒運転で注意力が低下していた状況において前方不注意・信号無視・速度超過の違反を起こし、歩行者を怪我させてしまったようなケースが対象となります。後述の危険運転致死傷罪とは異なり、本罪は過失犯なので、「事故や違反行為に対する故意」は不要です。
なお、被害者が負った傷害の程度が軽いときには、情状によって刑が免除されます。軽微な怪我で、被害者との間で示談が成立しており、真摯に反省の態度を示しているようなケースでは、仮に逮捕されたとしても微罪処分や不起訴処分などの有利な処分獲得を目指す余地が残されていると言えるでしょう。
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
アルコールの影響で正常な運転に支障が生じるおそれがあるのに自動車を運転し、運転者に科される道路交通法上のさまざまな義務に違反して人を死傷させた場合には過失運転致死傷罪が成立しますが、この状況においてアルコールの影響の有無や飲酒量の発覚を免れる目的から、アルコールを追加摂取したり、アルコールを体内から抜くために現場から逃走したりすると、「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」という加重類型で処罰されます。過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の法定刑は、12年以下の懲役刑です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第4条)。
そもそも、飲酒運転中であろうがなかろうが、人身事故を起こした場合には過失運転致死傷罪で逮捕される可能性が高いですが、アルコールを飲んだ状態で事故を起こしたかどうかで処分内容・量刑判断・刑罰内容は大きく異なるのが実情です。たとえば、事故に気付かないふりをして現場から逃走してアルコールが抜けた後に警察に自首すれば「飲酒運転中の事故」を示す客観的証拠が隠滅されるので、犯人側に有利な刑事処分を獲得できてしまいます。
このような“逃げ得”を許さないために、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪が機能します。
飲酒運転中に人身事故を起こしても後日逮捕される可能性が高いですし、事故前後の行動が捜査されると飲酒の事実を言い逃れできません。飲酒運転中に人身事故を起こしたときには現場から逃走せずに素直に警察の取り調べを受けた方が結果としてプラスになるでしょう。
危険運転致死傷罪
アルコールの影響で「正常な運転が困難な状態で」自動車を走行させる行為をして人を死傷させた場合には「危険運転致死傷罪」で逮捕されます。人を負傷させた場合の法定刑は15年以下の懲役刑、人を死亡させた場合の法定刑は1年以上の有期懲役です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条第1号)。
また、アルコールの影響でその走行中に「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で」自動車を走行させて、飲酒の影響によって正常な運転が困難な状態に陥った結果として人を死傷させた場合にも危険運転致死傷罪は成立します。人を負傷させた場合の法定刑は12年以下の懲役刑、人を死亡させた場合の法定刑は15年以下の懲役刑です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条第1項)。
危険運転致死傷罪は、自らの運転が危険であることを認識していた点で過失運転致死傷罪よりも厳しい法定刑が定められています。第2条と第3条のいずれが適用されるかは、事件の重大性・飲酒量・酩酊具合などが総合的に考慮されて決せられます。
呼気アルコール検査を拒否した罪
飲酒検問や任意取調べ時に実施される呼気アルコール検査に応じないと「呼気検査拒否罪」で逮捕されます。
そもそも、飲酒検問や職務質問は任意捜査なので、令状に基づく強制処分でない限り捜査活動に応じる義務はありません。ただ、飲酒運転のおそれがあると認められる状況でも、呼気検査をいつでも自由に拒否できるとなると、酒気帯び運転などによって事故が発生して第三者が被害を受ける危険性が生じます。
そこで、運転手や自動車などに乗車しようとしている者が飲酒運転をするおそれがあると認められるときには、警察官は、道路交通の危険防止の応急措置の一環として、風船またはアルコール検知機器に呼気を吹き込ませる方法によってアルコール保有量を検査することができると定められています(道路交通法第67条第3項第4項、道路交通法施行令第26条の2の2)。
警察官の呼気検査要求を拒絶したり、飲酒検知を邪魔したりすると、呼気検査拒否罪の被疑事実で逮捕されて、3カ月以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑に処せられます(道路交通法第118条の2)。
緊急措置義務違反
飲酒運転などによって交通事故を起こしたときには、直ちに自動車等の運転を停止して、負傷者の救護・道路における危険を防止する措置を採らなければいけません(道路交通法第72条1項前段)。それぞれ「救護義務」「危険防止措置義務」と呼び、両者を合わせて「緊急措置義務」と称されます。
そして、飲酒運転で事故を引き起こしたにもかかわらず現場から逃走した”ひき逃げ事案”では、救護義務違反・危険防止措置義務違反を理由として逮捕されて、10年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑の範囲で処断されます(道路交通法第117条第2項)。
報告義務違反
飲酒運転などによって交通事故を起こしたときには、人身事故・物損事故のいずれのケースでも運転者に警察への報告義務が課されています(道路交通法第72条1項後段)。
したがって、飲酒運転で事故を起こしたのに警察に通報せずに逃げてしまうと、ひき逃げ事案・当て逃げ事案に該当するため、報告義務違反で逮捕されて、3カ月以下の懲役刑または5万円以下の罰金刑の範囲で処罰されます(道路交通法第119条第1項第17号)。
なお、通報時に「警察官が現場に到着するまでその場に居るように」と命令されたにもかかわらず、当該指示に反して現場から立ち去ってしまうと、逮捕されて5万円以下の罰金刑が下される可能性があります(道路交通法第72条第2項、第120条第1項第11号)。
車両提供者が問われる罪
飲酒運転が発覚した場合、逮捕されるのは運転手だけではありません。
酒気帯び運転及び酒酔い運転をするおそれがある者に対して車両を提供した者は、道路交通法第65条第2項違反で逮捕されます。
運転者が酒気帯び運転の罪に問われた場合の車両提供者に科される刑罰は「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」、運転者が酒酔い運転の罪に問われた場合の車両提供者に科される刑罰は「5年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑」です(道路交通法第117条の2の2第1項第4号、117条の2第1項2号)。
酒類提供者が問われる罪
酒気帯び運転及び酒酔い運転をするおそれがある者に対して酒類を提供したり飲酒を勧めたりした者は、道路交通法第65条第3項違反で逮捕されます。
運転手が酒気帯び運転の罪に問われた場合の酒類提供者に科される刑罰は「2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑」、運転手が酒酔い運転の罪に問われた場合の酒類提供者に科される刑罰は「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」です(道路交通法第117条の3の2第2号、117条の2の2第1項第5号)。
同乗者が問われる罪
運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自己を送迎することを依頼するなどして当該車両に同乗した者は、道路交通法第65条第4項違反で逮捕されます。
運転手が酒気帯び運転の罪に問われた場合の同乗者に科される刑罰は「2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑」、運転手が酒酔い運転の罪に問われた場合の同乗者に科される刑罰は「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」です(道路交通法第117条の3の2第3号、第117条の2の2第1項6号)。
行政罰
飲酒運転で逮捕されると、違反点数が加算されて行政処分が下されるので、運転免許証の効力について大きなデメリットが生じます。
車両の運転者が行政罰の対象になるのは当然ながら、運転免許を所持している同乗者・車両提供者に対しても行政罰が科されるのが現行ルールです。
なお、以下では飲酒運転で検挙された場合の原則的な違反点数を紹介しますが、過去の違反歴や飲酒運転発覚時の事故状況等次第では、さらに厳しい処分内容になる点にご注意ください。
運転者に対する行政罰
運転者に対する行政処分の内容は以下の通りです。
区分 | 行政処分の内容 |
---|---|
呼気1リットルにつき0.15ミリグラム未満 | 違反なし |
呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満(酒気帯び運転) | 違反点数13点 90日間の免許停止 |
呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上(酒気帯び運転) | 違反点数25点 免許取消し 欠格期間2年 |
酒酔い運転 | 違反点数35点 免許取消し 欠格期間3年 |
同乗者・車両提供者に対する行政罰
運転者が飲酒運転で逮捕された場合において、運転免許を受けている同乗者・車両提供者に対する行政処分の内容は以下の通りです。
区分 | 行政処分の内容 |
---|---|
呼気1リットルにつき0.15ミリグラム未満 | 違反なし |
呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満(酒気帯び運転) | 違反点数13点 90日間の免許停止 |
呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上(酒気帯び運転) | 違反点数25点 免許取消し 欠格期間2年 |
酒酔い運転 | 違反点数35点 免許取消し 欠格期間3年 |
つまり、同乗者・車両提供者は、飲酒運転をした本人と同罪と扱われるということです。
飲酒運転に対する厳罰化が進められている現状において、軽い気持ちで飲酒運転をする人に同調するのはハイリスクだと言えるでしょう。
民事責任
飲酒検問に引っかかったり、飲酒運転中にパトカーに呼び止められて停車を促されたりしたことがきっかけで飲酒運転がバレたようなケースでは民事責任は発生しません。刑事責任と行政処分が下されるだけです。
これに対して、飲酒運転中に人身事故・物損事故を起こした場合には、被害者に対する民事責任が生じます。たとえば、被害者が怪我を負った場合の治療費や入院費、仕事ができなくなったときの逸失利益、相手の車を壊してしまったときの車両代などについて賠償責任を追及されるでしょう。
なお、被害者救済の観点に基づき、飲酒運転事故の加害者であったとしても、「被害者に対する賠償分」については加入している保険(自賠責保険・対人賠償保険・対物賠償保険)で賄うことができます。ただし、「加害者自身に生じた損害(怪我や車両代)」については約款の免責事由に該当するため全額自腹での対応となります。
飲酒運転で逮捕された後の刑事手続きの流れ
飲酒運転はそれ自体が重大犯罪ですし、運転操作を誤ると甚大な被害を生じかねない危険な行為です。
そのため、飲酒運転で逮捕された場合には、他の犯罪類型と同じように厳格な刑事手続きが待っています。
- 逮捕
- 送検
- 勾留
- 起訴処分
- 刑事裁判
捜査機関主導で刑事手続きが進められると、前科がつくだけでなく、社会生活にさまざまな支障が生じかねません。
まずは、飲酒運転で逮捕された後にどのような未来が待ち受けているのかを理解しましょう。
逮捕
飲酒検問や職務質問、パトロール中の警察官に自動車の停止を促されるなどのタイミングで飲酒運転が発覚すると、酒気帯び運転の罪や酒酔い運転の罪の容疑で逮捕されます。
飲酒運転で逮捕されると、警察署で取調べが実施されます。警察署における取調べは無制限に行われるわけではありません。「逮捕から48時間以内」という時間制限が設けられており、その時間内に検察官に事件を送致するか、警察官限りの判断で事件を終了させるか(微罪処分)が判断されます(刑事訴訟法第203条第1項)。
逮捕後の取調べは「強制捜査」に分類されるので、「家に帰りたい」「家族と連絡を取りたい」という希望は受け付けてもらえません。警察署に連行された後に実施される取調べは身柄拘束された状態で進められますし、取調べ以外の時間は留置場に身柄が留められます。
送検
飲酒運転で逮捕された被疑者に対する刑事手続きの方向性を最終的に決定する権限を有するのは、警察官ではなく検察官です。
そのため、飲酒運転で逮捕された後、警察官が事件の処遇について検察官の判断を仰ぐ必要があると判断すれば、被疑者の身柄が検察官に送致されます(刑事訴訟法第246条本文)。
検察庁では、飲酒運転で逮捕されたときの被疑事実について、事件の経緯や犯行の理由などが詳しく取り調べられます。
勾留
飲酒運転の容疑で逮捕されて検察官送致された後は、24時間以内に起訴処分・不起訴処分の判断が下されるのが原則ですが、「身柄拘束を継続したうえでさらに取調べをする必要がある」と検察官が判断した場合には、勾留請求によって身柄拘束期間が延長されます。
検察官が勾留請求に踏み切ると、原則10日間、最大で20日間、身柄が拘束されたうえでの取調べが継続します(刑事訴訟法第208条)。
勾留請求を回避できれば比較的短時間で身柄拘束から解放されますが、勾留請求された時点で2週間程度は外部と連絡が取れないことが確定します。これでは、厳しい取調べによる心的ストレスが増大されるだけではなく、会社や学校にバレる可能性が高まるでしょう。
したがって、飲酒運転で逮捕されて身柄が検察庁に移されてしまった場合には、勾留請求を回避するための防御活動に尽力して社会生活への影響を可能な限り軽減することが目標となります。
起訴処分
飲酒運転の被疑者の身柄が検察官に送致された後、検察官は原則24時間以内に起訴処分・不起訴処分の判断を下します(刑事訴訟法第205条)。勾留請求された場合には、勾留期間が満了するまでの間に起訴・不起訴の決定が下されます。
起訴処分とは、検察官が裁判所に対して公判(刑事裁判)を請求することです。これに対して、不起訴処分とは、検察官が裁判所に対して公判請求しないことを決定することです。
日本の刑事裁判は有罪率99%とも言われるので、起訴処分が下された時点で前科がつく可能性がかなり高くなります。これに対して、不起訴処分を獲得できればその時点で捜査活動が終結し刑事裁判を回避できるので、前科を免れることができます。
したがって、飲酒運転で逮捕されて検察官に身柄が送致されたケースでは、不起訴処分獲得を目指して防御活動を展開するのが基本姿勢になると言えるでしょう。
刑事裁判
飲酒運転で逮捕された後、検察官による起訴処分が下されると、公開の刑事裁判を経て判決が言い渡されます。
刑事裁判の公判期日は起訴処分が下されたときから1カ月~2カ月後のタイミングに指定されるのが一般的です。冒頭手続き、証拠調べ手続き、最終弁論を経て、結審に至ります。飲酒運転などの公訴事実について争いがあれば複数の期日を経ることになりますが、自白事件や公訴事実について争いがない事案では、1回の公判期日で結審することが多いです。
言い渡された判決内容に不服があれば14日以内に控訴できますが、不服がなければ判決が確定して刑事手続きが終了します。
飲酒運転で逮捕されたときに弁護士に相談するメリット5つ
酒気帯び運転の罪や酒酔い運転の罪は殺人罪や強盗罪と比べると軽微な犯罪のように思えるかもしれません。ただ、逮捕されると最低数日~数週間身柄が拘束されるリスクに晒されますし、早期に適切な防御活動を展開しなければ前科がついて今後の社会生活に支障を生じるのが実情です。
そこで、飲酒運転で逮捕されたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。なぜなら、刑事弁護の実績豊富な専門家に相談することで、以下5点のメリットを得られるからです。
- 飲酒運転で逮捕後間もないタイミングなら微罪処分獲得に向けて善処してくれる
- 飲酒運転で検察官送致されても不起訴処分獲得に向けた防御活動を展開してくれる
- 少しでも有利な判決内容獲得に向けて情状を主張してくれる
- 身柄拘束中の被疑者と接見して捜査に対するアドバイスを提供してくれる
- 被疑者に代わって被害者との示談交渉を進めてくれる
「飲酒運転で逮捕されたから人生が終わりだ」と諦める必要はありません。なぜなら、捜査機関に犯行がバレても早期に適切な対処法に踏み出せば社会生活への影響を最小限に食い止められるからです。
ただし、刑事手続きの各ステップには時間制限が設けられているので、早期に策を講じなければ手遅れになります。飲酒運転が警察にバレた段階で弁護士に連絡するのが理想で、遅くとも勾留請求される前の逮捕段階で優秀な私選弁護人に連絡するようにしましょう。
微罪処分獲得を目指してくれる
飲酒運転で逮捕されて検察官送致される前の段階で弁護士に相談すれば、微罪処分獲得に向けて尽力してくれます。
まず、微罪処分は警察限りで手続きを終結させる事件処理なので、長期間身柄が拘束されるリスクを回避できます。社会生活から断絶される期間を短縮できれば、逮捕されても学校や会社にバレずに済むでしょう。
また、微罪処分では前科はつかないので、たとえば就職や転職活動で不利に扱われることはありません。ただし、捜査活動の対象になった時点で「前歴」はつくので、将来的に何かしらの罪を犯したときに捜査機関から厳しい追及を受ける危険性が増す点に注意が必要です。
このように、飲酒運転で逮捕されても微罪処分を獲得できれば実生活上のデメリットはほぼ回避できます。更生可能性を高めるには微罪処分獲得は不可欠なので、逮捕後すみやかに弁護士の力を借りましょう。
不起訴処分獲得を目指してくれる
飲酒運転で逮捕された後、検察官送致されたとしても、弁護士に相談すれば不起訴処分獲得に向けて防御活動を展開してくれます。不起訴処分になれば前科はつかないので、社会生活への影響を軽減できるでしょう。
そもそも、微罪処分を獲得できずに検察官送致された状況においては、飲酒運転についての物証が存在しているはずです。つまり、「飲酒運転はしていない」とどれだけ言い張ったとしても、客観的な証拠を覆すことはできないということです。むしろ、証拠と反する証言を続けて捜査機関の心証を悪くするよりも、「やったことはやった」と認めて反省を示して、「二度と飲酒運転はしない」という真摯な姿勢で取調べに向き合った方が、起訴猶予処分を獲得しやすくなります。
このように、捜査機関が掴んでいる証拠内容や事件の詳細次第では、あえて自ら罪を認めた方が有利な結果に至ることも少なくありません。刑事事件の実績豊富な弁護士に相談すれば供述内容の匙加減や方向性についてアドバイスしてくれるでしょう。
有利な判決内容獲得に向けて適切な防御活動を展開してくれる
飲酒運転で逮捕されて起訴処分が下されたとしても、弁護士は有利な判決獲得に向けて適切な防御活動を展開してくれます。
そもそも、被告人に下される判決の内容は画一的なものではなく、被害の大きさや反省の態度、飲酒運転をした経緯などの諸事情が総合的に考慮されて事案ごとに刑罰内容が決定されるものです。たとえば、飲酒運転が常習化していたケースと、私生活で嫌なことがあって突発的に深酒をして飲酒運転をしてしまったケースとでは、同じ罪責でも科される刑罰の内容に差が生じます。
弁護士のサポートがあれば判決内容が有利になる情状を公判で主張立証してくれるので、懲役刑の期間を短縮化する、執行猶予付き判決を獲得する、懲役刑を回避して罰金刑を獲得するなどの効果を期待できるでしょう。
弁護士接見で有益なアドバイスを提供してくれる
弁護士に相談すれば、厳しい取調べを強要されている被疑者に有益なアドバイスを提供しつつ、孤独に苛まれている被疑者を励ましてくれます。
そもそも、逮捕勾留期間中、被疑者は取調室と留置場・拘置所を往復するだけです。精神的に追いつめられた状況で取調べが行われると、不利な供述内容を引き出されたり、供述調書にサインさせられたりしかねません。
身柄拘束中の被疑者と面会できるのは弁護士だけなので、弁護士との接見は被疑者にとって貴重な機会です。取調べに対する向き合い方や供述内容についてアドバイスをもらえますし、家族・会社への橋渡しなども対応してくれるでしょう。
被害者との間で示談交渉を進めてくれる
飲酒運転中に人身事故を起こしてしまったようなケースでは、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などの罪にも問われることになります。このように、被害者がいる事案で弁護士の力を借りれば、被疑者に代わって被害者との間で示談交渉を進めてくれるので、処分内容や刑罰内容の軽減を目指せます。
そもそも、起訴・不起訴の判断や量刑判断では、被害者の処罰感情も重視されるのが一般的です。同じ事故態様であったとしても、被害者がこれ以上の処罰を望んでいなければ処分・刑罰は軽くなりますし、被害者の処罰感情が強ければ処分・刑罰が重くなる傾向にあります。
しかし、飲酒運転で逮捕されると、被疑者は捜査機関に身柄を拘束された状態になるので、被害者に対して直接謝罪したり示談交渉を進めたりすることはできません。
飲酒運転で逮捕されてすぐに弁護士を選任すれば、逮捕段階で被害者との示談交渉を開始できるので、捜査の早い段階で「被害者が処罰を望んでいない」という状況を作り出せます。また、示談交渉に慣れた弁護士なら、感情的な被害者からも示談について納得を引き出してくれるでしょう。
飲酒運転の疑いで逮捕されたときのよくある質問
さいごに、飲酒運転で逮捕されたときの社会的な影響や逮捕に至る流れなどについてよく寄せられる質問をQ&A形式で解説します。
- 飲酒運転は初犯でも逮捕されますか?
- 飲酒運転は現行犯以外でも逮捕されますか?
- 飲酒運転で逮捕されると懲戒解雇されますか?
- 飲酒運転で逮捕されると退学になりますか?
- 飲酒運転で罰金刑になれば前科はつきませんか?
飲酒運転は初犯でも逮捕されますか?
飲酒運転は酒酔い運転の罪や酒気帯び運転の罪に該当する犯罪なので、初犯でも逮捕される可能性が高いです。特に、近年では飲酒運転に対する厳罰化の流れが強くなっているので、「少し飲んだだけだから大丈夫だろう」という言い訳はまったく通用しません。
ただし、飲酒運転で逮捕されるのが初犯であれば、微罪処分や不起訴処分を獲得するのは難しいことではありません。また、検挙時のアルコール数値が基準値に近く、勤務先や身分証明書をしっかりと提示できる状態なら、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されるので、身柄拘束なしで在宅事件として扱われる希望も残されています。さらに、飲酒運転の初犯で違反程度が軽微であれば、起訴処分が下されたとしても懲役ではなく罰金刑が下される可能性が高いです。
なお、飲酒運転で交通事故を起こしてしまったケースでは深刻かつ悪質な事案と評価されるので、余程のことがなければ在宅事件処理や微罪処分を獲得するのは難しいのが実情です。早期に弁護士に連絡を入れて、不起訴処分や執行猶予付き判決獲得に向けて尽力してもらいましょう。
飲酒運転は現行犯以外でも逮捕されますか?
飲酒運転で逮捕に至るのは現行犯逮捕や緊急逮捕が一般的ですが、現行犯逮捕以外の「通常逮捕」があり得ないわけではありません。
たとえば、防犯カメラの映像や居酒屋での証言などが集まれば、呼気アルコール検査の証拠がなくても後日逮捕される可能性はあります。
なお、飲酒運転をしただけで事故を起こしたわけではないケースでは、起訴できるだけの客観的証拠を集めるのは現実的に難しいので、後日逮捕をおそれる必要はないでしょう。
飲酒運転で逮捕されたら仕事をクビになりますか?
飲酒運転の容疑で逮捕されたとしても、警察から会社に直接連絡がいくことはありません。
ただし、逮捕・勾留によって身柄拘束されると会社を休まざるを得ないので、「何かしらのトラブルに巻き込まれたのではないか」と邪推されるのは仕方ないでしょう。また、飲酒運転に関する事件は近年ニュースやネット記事で取り上げられることが多いので、実名報道されると会社にバレるのもやむを得ません。さらに、送別会の帰りの飲酒運転などのようなケースでは、職場に聞き込みが行われることもあるでしょう。
そして、飲酒運転で逮捕された事実が会社にバレると、勤務先の就業規則に違反するとして懲戒処分が下される可能性が高いです。場合によっては、懲戒解雇もあり得ます。また、職場での社会的信用を失うので、今後の昇進や昇格は期待できません。
以上を踏まえると、飲酒運転で逮捕された場合には、会社にバレずに済むように微罪処分や在宅事件処理を目指すのが最適解だと考えられます。そのためには、犯行発覚後すぐに弁護士へ相談するのが不可欠でしょう。
飲酒運転で逮捕されたら退学になりますか?
飲酒運転で逮捕された事実が大学や専門学校にバレると何かしらの処分が下される可能性が高いです。
そして、学校から下される処分の内容は、退学・停学・訓告に大別されるのが一般的ですが、悪質性が高いと判断されると退学処分もやむを得ません。
ただし、毎日の出社が義務付けられている会社とは違って、飲酒運転で逮捕されたとしても学校にバレる可能性は高くはないでしょう。
飲酒運転で罰金刑が確定したら前科になりますか?
「罰金刑は懲役とは違って前科ではない」というのは間違いです。酒酔い運転の罪や酒気帯び運転の罪で逮捕された場合には罰金刑に処せられるケースが多いですが、罰金刑が確定すると前科扱いになります。
前科がつくデメリットは以下7点です。
- 前科があると就けない職種がある
- 就職活動・転職活動で履歴書に記載を求められる
- 履歴書に記載せずに隠蔽すると、後日発覚したときに懲戒処分事由になる
- 離婚事由になる
- 海外旅行で渡航制限がかかる国がある
- WEB上に事件のことが残り続ける
- 再犯時に不利な扱いを受けるリスクがある
このように、一度でも前科がつくと今後の社会生活に何かしらの支障が生じるおそれが高まるので、飲酒運転で逮捕された場合には前科を避けるのが理想です。捜査機関に飲酒運転が発覚した場合には、微罪処分や不起訴処分獲得を目指して弁護士に尽力してもらいましょう。
飲酒運転で逮捕されたら早期に弁護士へ相談しよう
交通事故を起こしたか否かにかかわらず、飲酒運転はそれ自体が犯罪です。職務質問や自動車検問で飲酒の事実がバレると、厳しい刑事訴追を免れることができません。
ただ、初犯で酒酔い運転の罪や酒気帯び運転の罪を犯したケースでは、早期に効果的な防御活動を展開すれば、社会生活への影響を最大限抑えることができます。刑事事件の実績豊富な弁護士に相談をして、刑事手続きのステージに応じた対策を講じてもらいましょう。