未成年と性行為を行った場合、条例違反やその他法律によって処罰される可能性があります。有罪判決となった場合は、罰金刑や懲役刑となる可能性があり、注意しなければいけません。
この記事では、未成年との性行為で認められる犯罪行為や逮捕後の流れ、対処法について解説しています。また、自由恋愛で未成年者との性行為を行った場合なども解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
未成年と性行為で逮捕された場合の罪状と刑事罰
未成年者と性行為を行った場合は、以下の罪状で逮捕・起訴される可能性があります。
- 青少年保護育成条例違反
- 児童福祉法違反
- 児童売春・自動ポルノ禁止法違反
また、性行為を行うに至った経緯次第では、その他の関連法律が適用される場合があります。まずは、上記罪状で逮捕されるケースや法定刑について解説します。
青少年保護育成条例違反
青少年保護育成条例違反とは、青少年(条例では18歳未満の男女を指す)との淫行や、自撮り画像の要求等を行った場合に適用される条例です。
条例とは、各都道府県ごとに制定されている法であり、法律とは異なります。法律は、国会によって制定された法であり、日本で適用されるものです。
つまり、青少年保護育成条例違反とは、その条例違反があった都道府県で定められている法で裁かれることになります。ただし、青少年保護育成条例については、都道府県による大きな差はなく(淫行について)、基本的な法定刑は以下のとおりとなります。
- 2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
児童福祉法違反
児童福祉法第34条では「児童に淫行をさせる行為を禁止」と記載されています。児童福祉法で言う児童とは、満18歳未満の者を指します。つまり、未成年者を相手に淫行を行った場合は、児童福祉法違反として処罰される可能性があるということです。
同法34条に違反した場合の法定刑は、以下のとおりです。
- 10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科
併科とは、その両方を科されることです。つまり、最大で10年以下の懲役+300万円以下の罰金に科される可能性がある犯罪行為です。
本法律は「18歳未満の者(児童)と淫行」をした場合に適用されます。そのため、この事実がある場合は、同法で逮捕・起訴され、裁かれる可能性があります。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反
児童買春・児童ポルノ禁止法違反は、正式には「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」です。同法は、児童を売春したり児童ポルノに違反した場合に処罰対象となります。
たとえば、児童に対してお金を支払って淫行をした場合は、児童売春(同法第4条)に違反したものとなり、処罰されます。児童売春による法定刑は以下のとおりです。
- 5年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
参考:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(第4条)|e-Gov
また、児童売春の斡旋や児童ポルノ所持・提供を行った場合も、この法律で処罰されることになります。
児童が関わる性的描写を撮影した映像や画像。
つまり、未成年者との淫行を撮影して保存していたり、第三者に提供したりした場合は同法違反で逮捕・起訴される可能性があります。ちなみに、児童ポルノ所持で逮捕された場合の法定刑は、以下のとおりです。
- 所持の場合は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
- 提供の場合は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
参考:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(第7条)|e-Gov
暴行・脅迫を用いた場合はその他の法律が適用される可能性もある
暴行や脅迫を用いて未成年者と淫行した場合は、以下の法律で裁かれる可能性があります。
- 強制性交等罪・準強制性交等罪
- 強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪
強制性交等罪・準強制性交等罪とは、いわゆる強姦罪です。平成29年に法改正が行われ、名称や内容が変わりました。同法は、13歳以上の人で性別に関係なく強制的に肛門性交、口腔性交(性交等)を行った場合に処罰されます。
また、「準強制性交等罪」は「準」と付いていますが、罪を軽くするものや未遂で終わったものを指すわけではありません。同罪は、相手に抵抗できないような状況を作って、淫行等を行った場合に適用されます。
たとえば、相手が抵抗できないほどに暴行を加えて強制的に淫行等を行った場合や、過度な飲酒や薬によって抵抗できない状況を作って淫行等を行った場合です。この場合は、準強制性交等罪が成立します。
強制性交等罪・準強制性交等罪の法定刑は以下のとおりです。
- 5年以上の懲役
つまり、未成年者に対して強制性交等罪・準強制性交等罪が成立した場合は、実刑判決が下される可能性が非常に高いです。
執行猶予付きの判決は、懲役3年以下の場合にしかつけられないため、強制性交等罪に対して情状が考慮される可能性は低いことから、ほぼ確実に実刑判決が下るでしょう。
強制性交等罪は「不同意性交等罪」へ名称を変え、内容も変更となる法改正が行われます。今後、さらに厳しい罰則規制となる可能性があります。
そして、強制わいせつ罪とは年齢・性別問わず、暴力などを用いてわいせつな行為をした場合に適用されます。同罪で認められるわいせつな行為とは、体への接触、接吻等をした場合です。
法的には「自己の性欲を刺激・興奮させる目的で他人の性的羞恥心を害した場合」などと定義づけられています。非常に曖昧であるため、一般的には体の接触や接吻等と解釈しておけば問題ないでしょう。
なお、いずれも未遂であっても処罰対象となります。
未成年の定義と年齢別の影響
未成年者との淫行といっても、被害者となる相手の年齢や相手との関係性によって罪状が異なります。たとえば、小学生に対してわいせつな行為を行った場合と、高校生と大学生が自由恋愛に基づいて性行為を行った場合では、背景が違います。
そのため、起訴・不起訴の有無や判決へ与える影響は大きく変わるでしょう。次に未成年者の定義と年齢別の影響について詳しく解説します。
未成年は18歳未満の青少年を指す
未成年者と淫行をした場合は、青少年保護育成条例違反や児童売春・児童ポルノ法違反、児童福祉法違反といった法律で処罰されます。これらの法律で出てくる用語として「青少年」「児童」あるいは「未成年者」があります。
法的にはこれらに明確な定義があり、それぞれ以下のとおりです。
- 青少年=条例では0歳〜18歳未満の者
- 児童(乳児・幼児・少年)=18歳未満の者(乳児・1歳未満 幼児・1歳〜小学校入学前まで 少年・小学校入学初期から18歳に達するまで)
- 未成年者=18歳未満の者
つまり、上記の法律に抵触するのは18歳未満の被害者です。成人を迎えたものに対しては、「未成年者に対する淫行」が成立しません。そのため、相手が18歳の高校生だった場合は、各種法律によって処罰されることはありません。
ただ、相手が成人していた場合であっても、性行為に至るまでの経緯等によっては犯罪行為が成立する可能性があります。
たとえば、お金を払って成人と性行為を行った場合は、売春防止法違反として処罰されます。また、脅迫や暴行等を用いた場合は、強制性交等罪や強制わいせつ罪などによる処罰が適用されるでしょう。
性行為の同意年齢は16歳未満
青少年保護育成条例などは、18歳未満同士の性行為を処罰対象としていません。そのため、17歳の高校生カップルがお互いに同意の上で性行為を行った場合は、処罰されることはありません。
ただし、年齢による細かい基準が定められており、現行法では13歳未満の者は性行為に対する同意の有無に関わらず違法であると定められています。つまり、12歳同士あるいは、一方が12歳以上の場合のカップルが性行為を行った場合、違法とみなされます。
また、不同意性交罪への変更により、性行為の同意年齢が16歳未満まで引き上げられることが決まっているため、注意しなければいけません。
法律が変わることにより、どちらか一方が16歳未満の場合は同意の有無に関わらず、違法とみなされる可能性があります。実際は、それぞれの年齢差で違法性を判断されるため、詳細は各事情によって異なります。たとえば15歳同士の高校生カップルが性行為を行った場合は許されますが、6歳以上離れたものが性行為を行うと違法です。
仮に、現行法で13歳未満、変更後で16歳未満の者(条件あり)と性行為があった場合は同意を得られていなかったと判断されます。つまり、強制的に性行為を行ったとみなされ、強制性交等罪(不同意性交等罪)や強制わいせつ罪となる可能性があります。
自由恋愛の場合は年齢や状況次第で逮捕されない
自由恋愛の中で性行為を行うことも考えられますが、注意しなければいけないのはそれぞれの「年齢」です。先にもお伝えしたとおり、性行為に同意できる年齢(13歳未満・法律変更後は16歳未満)に達していなかった場合は、自由恋愛であったとしても違法です。
ただ、未成年者と成人のカップルの場合、自由恋愛の事実が確認できてお互いに同意されている場合は罪に問われる可能性は低いです。たとえば、同級生のカップルであっても誕生日によっては17歳(未成年)と18歳(成人)でのお付き合いや性行為が考えられます。
上記の場合、当然ですが金銭のやり取り等がないこと、自由恋愛であることなどを条件に違法とはなりません。
また、不同意性交等罪が施行されたあと、13歳以上16歳未満の者との性行為が一律に違法となるわけではありません。「相手が5歳差以上年上の場合に処罰対象となる」とされています。
つまり、13歳と17歳の人が自由恋愛の中で性行為を行うのは問題がありません。ただ、13歳と18歳の場合は、5歳差となるため違法となる可能性があります。
整理すると以下のとおりです。
- 一方もしくは双方が13歳未満の場合は、事情に関わらず違法
- 13歳〜15歳の場合、相手方が5歳差以上年長だった場合は違法
- 16歳〜17歳の場合、青少年の健全な育成に関する条例に抵触する可能性がある
未成年との性行為がバレる理由
未成年と性行為を行ったとしても、誰かがその事実を漏らさなければ逮捕される確率は低いです。では、どういった場合に未成年との性行為がバレてしまうのでしょうか。次に、性行為がバレる主な原因について詳しく解説します。
被害にあった青少年やその保護者が通報
被害にあった青少年やその保護者が通報をしてバレるケースです。たとえば、被害者の同意がないにも関わらず、強制的に性行為等を行った場合、被害者の多くは通報をするでしょう。自ら通報できなくとも、異変に気づいた保護者が通報をする可能性があります。
また、仮に被害者との間で同意があったとしても、保護者が何らかの異変に気づいて被害者に話を聞いて通報をすることもあります。被害者やその家族から通報があった場合は、メール履歴などが証拠として残っていることが多いため、ほぼ確実に立証されます。
被害にあった青少年がその他の人とも性行為を行った場合
被害者があなた以外の人とも性行為を行っていた場合、芋蔓式で逮捕される可能性があります。たとえば、被害者の人が、A・B・Cなど複数の成人と関係を持っていた場合で、仮にAさんとトラブルになり通報があったとしましょう。
この場合、警察は被害者の携帯電話の内容などを捜査する可能性があります。その中で、あなたとのやりとりが発見され、条例違反等の事実が確認された場合は、逮捕される可能性があります。
被害にあった青少年が別件で捜査を受けた場合
被害にあった青少年が何らかの非行事実で捜査を受けた場合、携帯電話の中を確認されます。その中で、あなたとのやりとりが発見された場合は、その内容次第で条例違反等が疑われます。
また、条例違反等として疑われる内容があった場合は、被害者に対して事実確認を行います。おそらく、その青少年は正直に「この人と性行為を行いました」ということを警察官へ伝えるでしょう。その結果、条例違反についても捜査され、逮捕される可能性があります。
未成年との性行為で逮捕された場合の流れ
未成年との性行為で逮捕された場合は、以下の流れで手続きが進んでいきます。
- 48時間以内に検察官へ送致
- 検察は24時間以内に勾留を継続するか否か決定する
- 最長20日間の勾留
- 検察官が起訴の有無を判断
- 起訴された場合は裁判へ進む
上記の流れについて、詳しく解説します。
逮捕後48時間以内に検察官へ送致
「逮捕」には、いくつかの種類があります。一般的には、警察官が裁判所へ逮捕状を請求して、被疑者を逮捕します。逮捕までの流れは、自宅へ警察官が来てそのまま逮捕される場合や、任意で話を聞いている最中に逮捕される場合があります。
そのため、警察官が自宅に来た時点では任意同行を求められているのか、通常逮捕されるのかはわかりません。逮捕状を元に逮捕されて初めて、「逮捕」が成立する流れです。
逮捕後は、警察署内にある留置所と呼ばれる一時留置施設へ入ることになります。また、事件に対して取り調べを受けます。
逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致するか否かを決定しなければいけません。検察官送致とは、検察官へ事件を引き継ぐことを言い、ほとんどの事件で送致が行われます。
検察は24時間以内に勾留を継続するか否かを決定
警察から事件を引き継いだ検察官は、引き継いだ捜査資料や自分たちで捜査した内容をもとに、引き続き交流するべきか否かを決定します。仮に、検察が「勾留を延長するべき」と判断した場合は、裁判所へ請求を行います。
裁判所は、被疑者に対して勾留質問等を行い、最終的に裁判官が勾留の必要性を判断する流れです。
もし、勾留されなければ警察署へ戻ったあとに釈放されます。そのまま自宅へ戻りますが、事件自体は終了していないため、引き続き捜査等が行われます。
なお、勾留決定まで最大で36時間かかるため、最大でこの期間は自宅に戻ったり仕事に行ったりすることはできません。
最長20日間の勾留
検察官や裁判所が勾留の継続を決定した場合、最大でプラス20日間勾留されます。初めに、交流が決定すると10日間、留置所に残らなければいけません。その後、勾留延長が行われ、プラス10日間、合計で20日間となる場合があります。
検察官が起訴の有無を判断
検察官は、勾留期間中に起訴するか否かを決定します。起訴とは、本事件を刑事裁判に持って行くかどうかを判断することです。
仮に、起訴された場合、日本では99.9%の確率で有罪判決が下されます。つまり、ほぼ確実に有罪判決が下されることを指し、前科が残ってしまいます。
罰金刑や執行猶予付きの判決であったとしても、有罪判決であることに変わりはなく、前科が付いてしまうのです。そのため、前科がつかないように早めに対応しておくことが大切です。
仮に、起訴されて有罪判決が下された場合は、一部職業制限を受ける職種があります。前科がつくことにより、社会生活に若干の影響が出るため注意してください。
起訴された場合は裁判へ進む
起訴された場合は、刑事裁判手続へと進みます。刑事裁判手続は、公に行われるため、自分が行った事件内容などを広く知られてしまうことになるでしょう。また、有罪判決が下されると前科がつくため、起訴されないように早めの対応が必要です。
未成年と性行為した場合の対処法
未成年と性行為をした場合、逮捕・起訴される可能性があります。起訴された場合は、刑事裁判となり有罪判決が下されて前科がつく可能性があるため、以下の対処法を検討されてみてはいかがでしょうか。
- 弁護士へ相談をする
- 被害者と示談を成立させておく
- 事実と異なることは言わない・認めない
最後に、未成年との性行為をしてしまった場合の対処法について解説します。
弁護士へ相談する
未成年との性行為を行い、不安な場合は弁護士へ相談をしましょう。たとえば、「自由恋愛であっても、歳の離れた未成年者と性行為を行ってしまった。これって犯罪なのだろうか?」といった相談をしてみると良いでしょう。
実際は、個別具体的な内容によって条例違反に該当するかどうかが異なります。そのため、詳細を聞いた上で、弁護士が判断をして対処してくれます。仮に、条例違反となる場合であっても、逮捕・起訴されないようにサポートを行います。
また、強制性交等罪や強制わいせつ罪などの犯罪行為があった場合は、自首をしたほうが良いです。その場合であっても、弁護士へ相談をして同行してもらった上で自首をしたほうが良いでしょう。
被害者と示談を成立させておく
被害者がいる場合は、その人と示談を交渉させておくことが大切です。あなたからみて「被害者」ではなくても、未成年者と性行為をした場合は、未成年者が被害者となります。
たとえば、SNS等で知り合った17歳の人と性行為をした場合、お互いに同意があったとしても17歳は被害者となります。もし、この人との間でトラブルがあった場合は、通報される可能性があるため、早めに示談を成立させておきましょう。
なお、示談交渉を行う場合は、かならず弁護士へ相談をしたほうが良いです。示談の内容を決めた上で和解しなければ意味がないためです。
事実と異なることは言わない・認めないを徹底する
事実と異なることを伝えたり、認めたりしてはいけません。たとえば、未成年と性行為を行った場合で、被害者が自己保身のために「無理やり性行為させられました」という可能性もあります。
もしも上記が事実と異なり、お互い同意の上だった場合は、認める必要はありません。事実のみを伝えるようにしてください。
取り調べの中で話したことはすべて証拠として扱われます。仮に、事実とは異なることを認めたり伝えたりしてしまうと、そのことが今後の起訴の有無や裁判手続きで不利に働く可能性もあります。
まとめ
今回は、未成年者との性行為を行った場合の刑事罰や法定刑、対処法について解説しました。
未成年者は法律によって保護されており、仮に同意があったとしても犯罪行為としてみなされる可能性があるため、注意しなければいけません。仮に、犯罪行為として認められた場合は、性犯罪者のレッテルを貼られ、後ろ指を刺されて生きていかなければいけません。
強制的な行為や金銭のやりとりを行った上での性行為はもちろんのこと、自由恋愛の中でも犯罪となる可能性がある点に注意しなければいけません。今回解説した内容をもとに、今後の対応を検討されてみてはいかがでしょうか。