下着泥棒が逮捕されるときの犯罪と法定刑を紹介!警察から電話がくる前に弁護士に相談するメリットも解説

下着泥棒が逮捕されるときの犯罪と法定刑を紹介!警察から電話がくる前に弁護士に相談するメリットも解説
下着泥棒が逮捕されるときの犯罪と法定刑を紹介!警察から電話がくる前に弁護士に相談するメリットも解説

下着泥棒は、犯行現場を現認されて現行犯逮捕されることもあれば、監視カメラ映像などの証拠をもとに後日通常逮捕されることも多いです。そして、下着泥棒が逮捕されるときの罪状は「窃盗罪」が一般的ですが、犯行の態様や事件の経緯次第では、建造物侵入罪や事後強盗罪などで立件される場合もあるでしょう。

このように、下着泥棒は明確な犯罪行為なので、逮捕後は身柄拘束付きの取調べを強いられたうえで、最終的には有罪判決が下され、前科がつく可能性もあります。

厳しい刑事手続きによる不利益の回避・軽減を希望するなら、処罰感情の強い被害者との間で早期に示談交渉を進めるなどの対策に踏み出すべきでしょう。

そこで今回は、ご家族が下着泥棒で逮捕されてしまった方や、過去の下着泥棒が警察にバレるのではないかと不安を抱えている方のために、以下5点について分かりやすく解説します。

  1. 下着泥棒が警察にバレて逮捕されるときに問われる犯罪類型
  2. 下着泥棒の容疑で逮捕された後の刑事手続きの流れ
  3. 下着泥棒は犯行からどれくらい経過するまで通常逮捕される可能性があるのか
  4. 下着泥棒で逮捕されて有罪になることで生じるデメリット
  5. 下着泥棒が警察にバレるか不安なときに弁護士へ相談するメリット

「盗癖や性依存症が原因で下着泥棒をやめられない」「軽はずみな気持ちで下着を盗んでしまった」「転売目的で窃盗行為を繰り返していた」など、下着泥棒で逮捕されるケースは個々にさまざまな事情を抱えています。

刑事弁護や性犯罪弁護に力を入れている専門家なら、依頼者の状況を総合的に考慮して適切な防御方法や更正方法を提案してくれるので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

目次

下着泥棒で逮捕されるときに問われる犯罪類型

下着泥棒で逮捕されるときには、以下の犯罪類型に問われる可能性があります。

  • 窃盗罪
  • 窃盗未遂罪
  • 建造物侵入罪
  • 常習累犯窃盗罪
  • 強盗罪
  • 事後強盗罪

それでは、下着泥棒で逮捕されるときの犯罪類型の構成要件や法定刑について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

窃盗罪

窃盗罪とは、他人の財物を窃取したときに成立する犯罪類型のことです(刑法第235条)。窃盗既遂罪の法定刑は、「10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」です。

たとえば、コインランドリーの客の下着を盗んだり、ベランダに干してある下着を盗み取ったりした場合のように、オーソドックスな下着泥棒は窃盗罪で逮捕されることになります。

窃盗罪の構成要件は以下4点です。

  1. 他人の財物
  2. 窃取
  3. 故意
  4. 不法領得の意思

①他人の財物

窃盗罪の客体は「他人の財物」です。

財物とは、「固体・液体・気体といった有体物のことであり、財産的価値を有するもの」と理解されています。

そして、財産的価値の有無は、金銭的価値・経済的価値だけで判断されるのではなく、所有者や管理者の主観的価値や、所有権の目的になるものか否か、といった基準で判定されます(最判昭和25年8月29日)。

たとえば、相当の使用年数が見込まれるボロボロの下着は、客観的に見れば金銭的価値・経済的価値は僅少かもしれません。しかし、下着の所有者の所有権の対象になっていることは明らかですし、使用価値があると判断しているからこと当該下着を所有しているわけですから、「盗んだ下着がボロボロで使い物にならないから財物性が否定される(窃盗既遂罪は成立しない)」などの主張は認められないでしょう。

②窃取

窃盗罪は、他人の財物を「窃取」したときに成立する犯罪類型です。つまり、窃取行為は窃盗罪の実行行為に位置付けられます。

窃取とは、「他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させる行為」のことです。

下着泥棒との関係で問題になるのが「占有」です。

というのも、窃盗罪における「占有」は「財物に対する事実上の支配」と指すと考えられており、他人の占有下にあるか否かは、「占有の客観的事実」「占有しようとする意思(支配意思)」の2点から総合的に判断されるのですが、下着泥棒の状況次第では「他人の占有」が存在しないため「窃取」にあたらない(=窃盗罪が成立しない)可能性があるからです(最判昭和32年11月8日)。

【Case①】コインランドリー内に置き忘れた下着を盗んだ場合

下着の所有者がコインランドリーの洗濯機のなかに下着を取り忘れて帰宅してしまった場合、所有者の下着に対する支配意思はあるかもしれませんが、下着に対する事実上の支配はなくなっていると考えられます。

つまり、所有者が下着を残して退店してしばらく経過した後は、所有者の下着に対する占有が失われているということです。

ただし、コインランドリー内の洗濯機内の下着は「コインランドリーの管理人の支配領域内に存在する」という側面もあります。

したがって、コインランドリーに置き忘れられた下着を盗んだ場合には、「コインランドリーの店舗経営者・管理人の占有」から下着を窃取したことを理由に窃盗罪が成立することになります。

所有者が下着を置き忘れて自宅に帰ってしまった場合や、下着を置き忘れて数十分以上が経過していた場合などでは、本文で紹介したように「所有者の下着に対する占有」は失われてしまいますが、これに対して、所有者が下着を置き忘れたことに気付いてすぐに戻ってきたようなケースでは、「所有者の下着に対する占有」は未だに残っている(下着所有者の占有から財物を移転させたことを理由に窃盗罪が成立する)と考えられます。このように、下着を置き忘れて何分経過したか、下着を置き忘れてからどれだけの距離を移動したかなど、諸般の事情を考慮して下着所有者の占有存否は決せられます。
【Case②】ベランダに何日も干しっぱなしの下着を盗んだ場合

ベランダに干されている下着を盗めば窃盗罪が成立するのは明らかですが、何日も干しっぱなしの状態で放置されている下着を盗んでも窃盗罪が成立します。

確かに、数日にわたって洗濯物が干しっぱなしの状態になっていると、所有者が取り込むのを忘れている可能性があるので、下着に対する支配意思が失われているとも言えるでしょう。しかし、ベランダという居住空間内に干されている以上、数日程度そのままの状態が放置されていたとしても、「客観的な占有の事実」があることは変わりありません

したがって、ベランダに放置されている下着を盗む行為は、原則として何日干しっぱなしであったとしても、「下着所有者の占有から財物を窃取したこと」を理由に窃盗罪で処断されると考えられます。

【Case③】ベランダから公道などに吹き飛んだ下着を拾った場合

ベランダに干してあった下着が風で吹き飛んで道路上に落ちたものを拾った場合や、コインランドリーの利用客が帰宅中に敷地外で落とした下着を拾った場合は、窃盗罪が成立しない可能性が高いです。

なぜなら、ベランダから吹き飛ばされた下着や道路上に落ちた下着の”所有権”は下着所有者に残っているかもしれませんが、このような状況に置かれた下着に対する「占有」は存在しないと考えられるからです。

つまり、道路上に落ちた下着を拾ったとしても、「『他人の占有』に属する財物を自己に移転した」とは言えないので、窃盗罪は成立しないということです。

ただし、誰の占有にも属さない「占有離脱物」を拾って自己の物にした場合には「占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)」が成立するので、所有者が被害届を提出するなどによって捜査機関が犯行を認知した場合には逮捕される可能性が高いでしょう(刑法第254条)。

先ほども紹介したように、財物が他人の占有下にあるか否かは、諸般の事情を総合的に考慮して決せられます。たとえば、ベランダから吹き飛んだ瞬間を所有者が目撃しており、落ちた場所に拾いにいくまでの間に誰かがこれを領得した場合には、「所有者の下着に対する占有」が残っていると考えられるので、窃盗罪が成立する可能性が高いです。窃盗罪と占有離脱物横領罪とでは法定刑がまったく異なるので、下着泥棒で逮捕された状況次第では、弁護士に占有離脱物横領罪の成立を主張してもらうのも選択肢のひとつでしょう。

③故意

下着泥棒が窃盗罪で逮捕されるには、「他人の財物を窃取すること」に対する故意が必要です。

コインランドリーの洗濯機に残された下着を盗んだよう典型的な下着泥棒のケースでは、争いなく窃盗罪の故意は認定されるでしょう。

ただし、行為者の主観は「窃盗罪」であったが客観的に生じた犯罪が「遺失物横領罪」であったケース(誰かの下着を盗んだつもりだったが、犯行時に下着が誰の占有下にもなかった場合)や、行為者の主観は「占有離脱物横領罪」であったが客観的に生じた犯罪が「窃盗罪」であったケース(誰のものでもない落ちていた下着を拾ったつもりだったが、実は下着を落とした所有者が直前に落としたもので、下着所有者の占有が認められる場合)では、行為者の主観と客観にズレが生じている点に注意が必要です(いわゆる「抽象的事実の錯誤」の問題)。

このようなケースでは、「重い罪に該当する行為をしたのに、行為時に、その重い罪に該当することを知らなかった場合には、その重い罪によって処断することはできない(刑法第38条第2項)」と考えられていることを踏まえて、遺失物横領罪の範囲で判決が言い渡されるとするのが判例・通説です(最決昭和54年3月27日)。

④不法領得の意思

条文には表れていませんが、窃盗罪の主観的構成要件として、故意とは別に「不法領得の意思」が挙げられます。

不法領得の意思とは、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法にしたがって利用・処分する意思」のことです(最判昭和26年7月13日)。ここから、不法領得の意思のポイントとして「権利者排除意思」「利用処分意思」の2点が挙げられます。

下着泥棒について、権利者排除意思があることは明白でしょう。下着所有者の占有を排除して自己の所有物かのように扱っているからです。

これに対して、下着泥棒のケースでは、利用処分意思の有無について若干の争いがあります。

たとえば、盗んだ下着をそのまま自己のものとして着用したようなケースなら「下着の経済的利用にしたがって利用・処分している」と言えるでしょう。

その一方で、自慰行為などの性的対象物として活用する目的や、転売する目的、においを嗅ぐ目的、頭から被る目的、下着を撮影する目的などで下着を盗む行為については、下着の本来的利用方法とは乖離しているようにも思えます。

ただ、「盗んだ下着を着衣用として使用しなければ利用処分意思は認められない」とすると、”下着泥棒”の大半を窃盗罪で処罰できなくなってしまいます。これは一般感覚とは相容れないでしょう。

そこで、判例実務では、着用以外の目的で下着を窃取する場合にも利用処分意思を肯定するのが一般的です。したがって、基本的には、どのような目的で下着を盗んだとしても、利用処分意思が否定されることはなく、窃盗罪として逮捕・有罪判決が下されます

しばしば、「『最初から捨てるつもりで他人の財物を持ち去った』『後で返却するつもりで一時的に財物を借りた』というケースでは不法領得の意思が否定される」という議論が行われます。しかし、窃取行為の対象物が下着などの性的対象物の場合には、基本的には不法領得の意思を肯定する方向で事実認定が行われるのが一般的です。したがって、廃棄目的や一時使用目的を明確に根拠付けるような証拠を提出できない限りは窃盗罪の嫌疑を回避するのは難しいとご理解ください。

窃盗未遂罪

窃盗罪は未遂犯も処罰対象です(刑法第243条)。

たとえば、下着泥棒をする目的でコインランドリーの洗濯機を漁っていたが他の客の視線が気になって下着を窃取するまでには至らなかった場合や、ベランダに干している下着を盗む目的で敷地内に侵入した場合には、窃盗未遂犯として逮捕されます。

窃盗未遂罪の法定刑は、「10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」です。未遂犯は情状次第で刑が減軽されますが(刑法第43条本文)、基本的には既遂犯と同じ法定刑の範囲内で処断されます。

窃盗未遂罪が成立するには「実行の着手」が必要ですが、実行の着手の有無は、「個別具体的な事情を前提に既遂犯の現実的・具体的な危険が発生したか否か」で判断されます。たとえば、財物の占有移転行為自体には着手していなくても住居に侵入して物色をした時点(最判昭和23年4月17日)、金品を物色するためにタンスに近付いた時点(大判昭和9年10月19日)など、実際に窃取行為に至る前段階でも窃盗未遂罪が成立するとするのが判例実務です。

建造物侵入罪

下着泥棒が逮捕される場合、「建造物侵入罪(住居侵入罪)」にも抵触します(刑法第130条)。

建造物侵入罪とは、正当な理由がないのに、他人の住宅や建造物などに侵入したときに成立する犯罪類型のことです。建造物侵入罪の法定刑は、「3年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑」です。

建造物侵入罪における「侵入」とは、管理権者の意思に反した建造物等への立ち入り行為のことです。

たとえば、ベランダから下着を盗み取るだけでも家主の推定的意思に反するのは明らかでしょう。また、コインランドリーの客を装って下着泥棒に入ったり、自分の着衣等を洗うついでに下着泥棒を働いたりする場合でも、正当な立ち入り行為とは言えないので、建造物侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。

下着泥棒が逮捕される場合、建造物侵入罪に該当することは明らかであったとしても、窃盗罪のみで刑事訴追されるのが一般的です。なぜなら、下着泥棒における窃盗罪と建造物侵入罪は「手段と目的」の関係にあるところ、このような関係の犯罪は「牽連犯」と呼ばれ、牽連犯はその最も重い法定刑で処断されるのが刑法上のルールだからです(同法第54条第1項)。つまり、窃盗罪の法定刑「10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」と、建造物侵入罪の法定刑「3年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑」を比較すると、窃盗罪の法定刑の方が重いので、仮に窃盗罪と建造物侵入罪の両罪で逮捕・有罪に至ったとしても、最終的には窃盗罪の範囲のみで判決が言い渡されるので、建造物侵入罪で刑事訴追する実益がないということです。

常習累犯窃盗罪

下着泥棒は再犯率が高い犯罪類型なので、過去の犯歴次第では「常習累犯窃盗罪」で逮捕される可能性があります。

常習累犯窃盗罪とは、過去10年以内に、「窃盗既遂罪」「窃盗未遂罪」「窃盗罪と他罪との併合罪」で6カ月以上の懲役刑の執行を3回以上受けて刑務所に収監された経歴がある人物が窃盗罪を犯したときに成立する犯罪類型のことです(昭和5年法律第9号(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条)。

常習累犯窃盗罪の法定刑は、「3年以上の有期懲役」です。単純窃盗罪の法定刑が「1カ月以上10年以下の懲役刑(刑法第12条第1項)」であることと比較すると、大幅に下限が引き上げられている点が特徴的です。

また、拘禁刑について執行猶予判決を獲得するには「判決で3年以下の懲役の言い渡しを受けること」という要件を満たさなければいけないので(刑法第25条)、下着泥棒が常習累犯窃盗罪で逮捕された場合には、本腰を入れて防御活動を展開しなければ実刑判決を下される危険性が高いでしょう。

下着泥棒を止めることができない場合には、刑事手続きにおける防御活動が重要になるだけではなく、クレプトマニアや性依存症克服などのケアにも力を入れる必要があります。性犯罪弁護の実績豊富な弁護士ならさまざまなサポートを期待できるので、どのような些細な不安でもご相談ください。

強盗罪

下着泥棒をしたときの状況次第では、「強盗罪」の容疑で逮捕される可能性があります。

強盗罪とは、暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取したときに成立する犯罪類型のことです(刑法第236条第1項)。

たとえば、持ち主を殴りつけて所持している下着を奪い取ったり、凶器をちらつかせて脅しながら下着を受け取ったりすると、強盗罪として処断されます。

強盗罪の法定刑は、「5年以上の有期懲役」です。窃盗罪とは違って罰金刑が定められていない点、強盗罪は重罪なので初犯でも実刑判決が下される可能性を否定できない点にご注意ください。

事後強盗罪

暴行または脅迫を用いて下着を強奪した場合には「強盗罪」で逮捕されますが、下着泥棒をした後の逃走中に暴行・脅迫を用いた場合には「事後強盗罪」の容疑で逮捕される可能性が生じます。

事後強盗罪とは、窃盗犯が、財物を取り返されることを防ぐ目的・逮捕を免れる目的・罪跡を隠滅する目的で暴行または脅迫をしたときに成立する犯罪類型のことです(刑法第238条)。

事後強盗罪は財物奪取の手段として暴行・脅迫を用いる強盗罪とは異なるものの、行為全体をトータルで見たときに強盗罪と大差はないと考えられるので、強盗罪と同じ法定刑「5年以上の有期懲役」の範囲で処断されます。

たとえば、ベランダから下着を盗んで現場から逃走しようとしたタイミングで被害者と鉢合わせたので、逃走を完遂するために暴力を振るうなどした場合には、下着泥棒が強盗犯に格上げされてしまうでしょう。

強盗罪・事後強盗罪では、暴行・脅迫の結果、被害者が死傷した場合に、さらに法定刑が引き上げられます。強盗致傷罪の法定刑は「無期または6年以上の懲役刑」強盗致死罪の法定刑は「死刑または無期懲役刑」です(刑法第240条)。また、下着を強盗する際に、「どうせ犯行がバレるのなら」と強制性交等の罪を犯した場合には、強盗・強制性交等罪で処断されます(刑法第241条)。たとえば、ただの下着泥棒のつもりで犯行に及んだのに、現場でバレて無我夢中で逃げている最中、被害者ともみ合いになって怪我をさせてしまうだけで、厳しい刑事処罰を避けられなくなってしまいます。少しでも刑期を短くするには刑事手続きの初期段階から丁寧な防御活動を展開する必要があるので、後日逮捕を恐れている状況なら、すみやかに弁護士に相談したうえで今後の防御方針を決定してもらいましょう。

【注意!】下着泥棒は被害者に対する民事責任も生じる

下着泥棒をすると、刑事責任だけではなく、民事責任も発生します。

まず、窃盗罪に関するものとして、下着の所有者に対する賠償責任が考えられます。下着の弁償代に加えて、精神的苦痛を与えたことに対する慰謝料の支払いも加算されます。慰謝料額はケースバイケースですが、数十万円程度になるのが一般的です。

また、コインランドリーなどでの下着泥棒については、建造物侵入罪に関するものとして、店舗等に対する賠償責任も発生することを忘れてはいけません。基本的には慰謝料の支払いだけで済みますが、下着泥棒をする際に洗濯機の備品を壊したような場合には、修繕費用などの支払い義務も上乗せされるでしょう。

コインランドリーで下着泥棒をした場合には、「窃盗罪の被害者」「建造物侵入罪の被害者」の2者が存在することになります。先ほど説明したように、窃盗罪と建造物侵入罪の両罪が成立する場合には、実務的に窃盗罪のみで逮捕されることが多いですが、たとえば、「窃盗罪の被害者との間では示談が成立して被害弁償が済んでいるが、建造物侵入罪の被害者は処罰感情が強く示談に応じてくれない」というようなケースの場合、窃盗罪については起訴猶予処分を獲得できたのに、建造物侵入罪については逮捕・起訴されてしまうということもあり得るでしょう。つまり、被害者が複数存在する場合、完全な逮捕回避・起訴処分回避を実現するには、すべての被害者との間で同時並行的に示談交渉を進めなければいけないということです。刑事手続き中の限られた時間内ですべての防御活動を尽くすのは大変なので、下着泥棒で後日逮捕される可能性があるなら、警察から連絡が来る前に弁護士に依頼をして示談交渉を進めておくのが理想でしょう。

下着泥棒で逮捕される流れ

ここからは、下着泥棒が警察に発覚した後の刑事手続きの流れについて解説します。

  1. 警察から下着泥棒の件で接触がある
  2. 窃盗罪などで警察に逮捕された後は、必要があれば検察官に身柄が送致される
  3. 下着泥棒事件について検察官が起訴・不起訴を決定する
  4. 下着泥棒をした件について刑事裁判で審判を受ける

下着泥棒をした件について警察の接触がある

下着泥棒をしたことが警察に発覚すると、以下のいずれかの方法で警察が接触してきます。

  • 下着泥棒の現場で通報されると警察に現行犯逮捕される
  • 過去の下着泥棒について警察から任意出頭を要請される
  • 過去の下着泥棒について警察が逮捕状を請求して通常逮捕される

現行犯逮捕

下着泥棒の現場で通報されるなどすると、窃盗罪などの容疑で現行犯逮捕されます。

現行犯(現行犯人)とは、現に罪を行い、または、現に罪を行い終わった者のことです(刑事訴訟法第212条第1項)。たとえば、コインランドリーで他人の着衣を漁っている様子を利用客に目撃されて通報された場合や、ベランダで下着を窃取しているところをパトロール中の警察官に目撃されて検挙に至る場合などが挙げられます。

現行犯人は、何人でも、逮捕状なしで逮捕することができます(同法第213条)。裁判所による事前の令状発付審査なしで強制処分をできるので、現行犯逮捕は令状主義の例外と位置付けられています。

また、警察官以外の一般私人でも現行犯逮捕する権限があるので、たとえば、コインランドリーで下着泥棒をしている現場を被害者や他の利用客に押さえられた場合でも、その時点で現行犯逮捕が成立することになります(いわゆる「私人逮捕」)。

このように、現行犯逮捕に「逮捕状なしでも逮捕できる」「私人逮捕が許されている」という例外的特徴が認められているのは、現行犯は逮捕者の面前における犯行であるため、犯人を誤認して逮捕する危険性は少なく、しかも、逮捕する緊急性・必要性も高いと考えられているからです。

下着泥棒の現場を押さえられなくても現行犯として逮捕される場合がある

現行犯逮捕は「現に罪を行い、または、現に罪を行い終わった者」に対して行われるのが原則です。

ただし、以下4点のいずれかに該当する者が、罪を行い終わってから時間が経っていないと明らかに認められる場合には、「準現行犯人」として現行犯逮捕の対象となります(刑事訴訟法第212条第2項)。

  1. 犯人として追呼されているとき
  2. 贓物や明らかに犯行に使ったと思われる兇器などの証拠物を所持しているとき
  3. 身体や被服に犯罪の顕著な証跡があるとき
  4. 誰何されて逃走しようとするとき

たとえば、「下着泥棒だ!誰か捕まえて!」と被害者が叫びながら追いかけている途中で警邏中の司法警察員が身柄を押さえた場合や、大量の下着を両手に掴んだまま道路上を走っている姿を警察官に呼び止められた場合には、下着泥棒の容疑で準現行犯逮捕されるでしょう。

後日の任意出頭要請

たとえば、下着所有者から被害届が出されると、周辺の監視カメラ映像やドライブレコーダーの録画映像、目撃者による証言、コインランドリーなどの防犯カメラ映像が証拠として収集されて、下着泥棒の身元が特定されることも少なくありません。

そして、下着泥棒の身元特定が済み、下着泥棒について容疑が固まると、後日、警察から任意出頭の要請がかかります。出頭要請の方法はケースバイケースですが、ある日いきなり捜査員が自宅にやってくることもあれば、自宅・スマートフォンに警察から電話がかかってくることもあるでしょう。

警察による任意聴取の要請は、任意捜査の範囲で行われるものです。そのため、どれだけ警察に「下着泥棒事件について詳しく話を聞きたい」とお願いされたとしても、気が向かなければ任意聴取に応じる必要はありませんし、取調べ中に嫌な気分になったらすぐに帰宅することもできます(刑事訴訟法第198条第1項)。

ただし、警察が任意出頭を要請してきたということは、下着泥棒についてある程度の証拠が揃っているということを忘れてはいけません。つまり、任意の事情聴取を拒絶するのは自由ですが、「任意での取調べに応じないなら通常逮捕手続きに移行して強制的に身柄を拘束する」という手段をとられかねないということです。

したがって、過去の下着泥棒について警察から任意出頭要請があった場合には、可能な限り誠実に対応して逮捕手続き移行を回避するべきだと考えられます。警察から問い合わせがあった時点で弁護士に相談すれば状況を総合的に勘案して適切な対処法を提案してくれるでしょう。

下着泥棒について任意聴取に応じても逮捕されるとは限らない

「警察署に出頭して下着泥棒したことを認めると有罪になる」というのは必ずしも正しくはありません。

なぜなら、警察官が捜査をした事件はすべて検察官に送致するのが原則ですが、検察官が事前に指定した一定の事件類型については警察限りの判断で刑事手続きを終了させて良いとされているからです(刑事訴訟法第246条但書。いわゆる「微罪処分」)。

各地方検察庁ごとに微罪処分の基準は異なりますが、一般的には以下の要素を満たせば「微罪処分」に該当し、検察官送致・起訴処分・有罪判決・前科を回避できるとされています。

  • 窃盗罪や遺失物横領罪などの軽微な犯罪類型に該当すること
  • 犯行の被害額が少額であること(2万円程度が目安)
  • 犯情が軽微であること(衝動的な犯行、酩酊状態での犯行など)
  • 身元引受人がいること
  • 被害者の処罰感情が薄いこと
  • 被害弁済や慰謝料の支払いが済んでいること
  • 素行不良者ではないこと(前科・前歴がないこと)

たとえば、下着泥棒などの前科・前歴がなく、飲酒により冷静な判断ができない状況において衝動的に下着を盗んでしまったが、酔いが覚めてすぐに被害者に謝罪をして示談が成立した場合には、微罪処分を獲得できる可能性が高いです。

これに対して、下着泥棒に及んだ際に誰かを怪我させてしまっていた場合、ターゲットの厳選や逃走手段の確保などの計画性が見込まれる場合、相当数の下着泥棒事件に及んだ可能性がある場合などでは、警察・検察段階でしっかりと取調べを実施して事件の全貌を解明して適切な刑事処罰を下す必要性が高いと考えられるので、微罪処分獲得は難しいでしょう。

つまり、下着泥棒をしたことが警察に発覚したとしても、警察が検察官送致をするか否かを判断する前に被害者との間で示談を成立させられるかがポイントになるということです。下着泥棒のような性犯罪の場合には、加害者本人が直接話し合いを申し出ても被害者感情を逆撫でするだけなので、第三者的な立場で冷静な交渉を実現できる弁護士に相談するのがおすすめだと考えられます。

後日の通常逮捕

下着泥棒の容疑が明確になると、警察が通常逮捕手続きに着手することもあります。

たとえば、以下のようなケースでは、任意聴取の段階を飛ばしてある日いきなり警察が自宅に逮捕状を持参することもありますし、任意の取調べで容疑が固まったことを理由にそのまま通常逮捕手続きに移行することもあります。

  • 下着泥などの性犯罪の前歴・前科がある場合
  • 複数の下着泥棒事件を起こしている場合
  • 証拠の隠滅や逃亡のおそれがある場合
  • 計画性をもって下着泥棒事件を起こしていた場合
  • 現場周辺で下着泥棒について多数の被害届が提出されており、関与を疑われる場合
  • 被害者の処罰感情が強い場合
  • 身元引受人などの監督者が存在しない場合

下着泥棒の容疑で通常逮捕が行われると、警察署に身柄が移されて最大48時間の取調べを受ける必要があります(刑事訴訟法第203条第1項)。身柄拘束されている間は、家族や会社と直接連絡を取ることはできません。

逮捕段階で刑事手続きを終了させるには微罪処分を獲得するしかないので、逮捕中唯一面会できる弁護士に依頼をして、できるだけ早期に被害者との間で示談をまとめてもらうべきでしょう。

下着泥棒は犯行から7年経過するまで後日逮捕のリスクが消滅しない

下着泥棒の容疑で後日通常逮捕されるタイミングは事案によって異なります。

たとえば、犯行に及んだ直後に下着所有者やコインランドリーの経営者が被害届を提出して映像解析などが行われたようなケースでは、数日後~数週間以内に警察から任意出頭要請がかかることもあり得るでしょう。

ただし、「下着泥棒から数カ月程度経過すれば通常逮捕される心配がなくなる」と安易に考えることはできません。

なぜなら、下着泥棒が逮捕されるときの犯罪である「窃盗罪」の公訴時効は7年と定められており、公訴時効が完成しない限りは警察はいつでも下着泥棒を逮捕できるからです(刑事訴訟法第250条第2項第4号)。

下着泥棒をしてから7年間毎日「警察が自宅にやってくるのではないか」と怯えながら暮らすのが嫌なら、ひとまず弁護士に相談することをおすすめします。

下着泥棒に及んだときの事情や過去の犯歴、下着泥棒事件から経過した期間などを総合的に考慮して、「今の段階で自首するべきか否か」「警察から問い合わせがくる前に示談をまとめてしまうのが良いのか」などを検討してくれるでしょう。

下着泥棒で逮捕された後は検察官送致される

微罪処分を獲得できれば下着泥棒についての刑事手続きは警察限りで終了しますが、下着泥棒事件に更に捜査する必要性があると判断された場合には、警察から検察官に事件・身柄が移されます

送検後の取調べは24時間以内が原則です(刑事訴訟法第205条第1項)。

ただし、24時間以内に起訴・不起訴の判断をできるだけの証拠が集まらなかった場合などには、検察官は勾留請求することができます(同法第206条第1項)。検察官の勾留請求が裁判所に認められると、身柄拘束期間は10日間延長されます(同法第208条第1項)。また、10日間の勾留請求では捜査の時間が足りないケースでは、さらに最大10日間勾留期間を追加できるとされています(同法第208条第2項)。

つまり、下着泥棒が送検された場合には、逮捕段階からカウントして最大23日間身柄が拘束されるということです。取調べの連続で心身が疲弊するだけでなく、社会生活にも甚大な支障が生じかねないでしょう。

「最大23日間の身柄拘束」というのは下着泥棒事件1件に対する期間です。つまり、逮捕後の捜索差押えによって被疑者の自宅から多数の下着が見つかって余罪が判明したようなケースでは、各下着泥棒事件について再逮捕・再勾留が実施されかねないということです。実務的に頻繁に起こることではありませんが、複数の下着泥棒事件を起こしたことが警察にバレると、身柄拘束期間が数ヶ月以上に及ぶ可能性も否定できません

起訴・不起訴の決定

下着泥棒で逮捕された被疑者の身柄拘束期限が到来するまでに、検察官は起訴処分・不起訴処分のいずれかを判断します。

起訴処分とは、検察官が下着泥棒を刑事裁判にかける意思表示を内容とする訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分とは、検察官が下着泥棒を刑事裁判にかけずに刑事手続きを終了させる意思表示のことを意味します。

日本の刑事裁判の有罪率は約99%とも言われています。つまり、検察官による起訴処分(公訴提起)が下された時点で、実質的に有罪になることが確定するということです。

したがって、下着泥棒で前科がつくデメリットを避けたいなら、不起訴処分獲得に向けて丁寧に取調べに向き合う必要があると考えられます。

下着泥棒について否認していたり、取調べに対して完全黙秘をしていたりすると起訴処分が下される可能性が高まります。これに対して、被害者との間で示談を成立させたうえで真摯な姿勢で取調べに応じれば不起訴処分を獲得できるでしょう。「下着泥棒の嫌疑がない場合」「下着泥棒の嫌疑が不十分の場合」だけではなく、「諸般の事情を総合的に考慮すると起訴処分を見送るべき場合(起訴猶予処分)」にも不起訴処分は下されるので、「犯行を認めると有罪になる」と意固地にならずに、臨機応変な防御方法でできるだけ軽い刑事処分獲得を目指しましょう。

刑事裁判

下着泥棒で逮捕された後、起訴処分が下されると、公開の刑事裁判を経て裁判官の審判を仰ぐことになります。

刑事裁判の日程は、起訴処分が下されてから1カ月~2カ月後に指定されるのが一般的です。証拠隠滅や逃亡のおそれがなければ、起訴処分が下された後の保釈請求によって身柄拘束は解かれますが、保釈請求が認められなかったり保釈金の支払いができなかったりすると、裁判期日まで身柄を留置されたままです。

公訴事実に争いがなければ、第一回の口頭弁論期日で結審し、後日判決が言い渡されます。これに対して、下着泥棒の犯行自体を否認したり、窃盗罪ではなく遺失物横領罪の成立を争ったりする場合には、複数の口頭弁論期日において弁論手続き・証拠調べ手続きが進められます。

略式手続きを選択すれば刑事裁判を経ずに手続き終了を実現できる

窃盗罪のような比較的軽微な犯罪類型の場合、検察官が起訴処分を下す段階で、罰金刑の求刑・罰金刑の判決言い渡しがほぼ確定しているケースが少なくありません。このようなケースで、わざわざ公開の刑事裁判を経るのは、訴訟経済にも反しますし、何より被疑者・被告人に過度の負担を強いることになるでしょう。

そこで、以下4つの要件を満たす場合には、公開の刑事裁判ではなく、略式手続きで下着泥棒事件を終結できるとされています(刑事訴訟法第461条以下)。

  1. 簡易裁判所の管轄する事件であること
  2. 100万円以下の罰金刑または科料を科すことができる事件であること
  3. 略式手続きについて被疑者が同意していること
  4. 簡易裁判所が略式手続きが相当だと判断していること

なお、略式手続きは早期に罰金刑を確定させて社会復帰を目指しやすくするという趣旨に基づく手続きであり、「略式手続きを選択すれば前科がつかない」というのは間違いです。

下着泥棒事件について公開法廷で主張を展開したいと希望したり、あくまでも無罪を主張したいのなら、略式手続きには同意をせずに、公開の刑事裁判に挑むべきでしょう(ただし、有罪率99%という現状を踏まえると、残りの1%を目指すのはかなり大変なことだとご理解ください)。

下着泥棒で逮捕されたときに生じるデメリット4つ

下着泥棒事件が警察に発覚した逮捕された場合、以下4点のデメリットが生じます。

  1. 下着泥棒で逮捕されたことが家族にバレると信用を失う
  2. 下着泥棒で逮捕されたことが学校にバレると退学処分などの対象になる
  3. 下着泥棒で逮捕されたことが会社にバレると懲戒処分の対象になる
  4. 下着泥棒で逮捕されて前科がつくと今後の社会生活に悪影響が生じる

家族にバレると信頼を失う

下着泥棒が捜査機関に発覚すると、家族にバレる可能性が高いです。なぜなら、微罪処分を獲得するには家族などの身元引受人が必要になるので家族に連絡をせざるを得ませんし、後日逮捕されると最低でも2、3日は自宅に帰ることができなくなるからです。

下着泥棒のような性犯罪をしたことが家族にバレると、家族からの信頼を失います。たった一度の性犯罪でも配偶者から離婚を言い渡される可能性がありますし、過去の同種犯罪からの更正を支援していたようなケースでは期待を裏切ることになるでしょう。

下着泥棒で逮捕されて社会生活にさまざまな支障が生じた後は、社会復帰を目指すにあたって家族のサポートは不可欠です。家族にバレずに下着泥棒事件を終結させるには、警察からの問い合わせがある前に被害者との間で示談を成立させて、警察への通報を避けてもらうのがベストの対処法と考えられます。

学校にバレると処分を下される

下着泥棒の容疑で逮捕されると、学校にバレる可能性が高いです。なぜなら、逮捕・勾留期間中は一切外部と連絡を取れないため、数日~数週間、学校を無断欠席することになるからです。

そして、下着泥棒で逮捕されたことが学校にバレると、学則・校則の規定にしたがって処分が下されます。学校経営陣の考え方次第ですが、譴責・停学などの軽い処分で済むこともあれば、場合によっては退学処分が下される可能性も否定できません

したがって、下着泥棒の件が学校にバレるのを防ぐには、警察から出頭要請が入る前に被害者と示談を成立させること、学校に連絡しないように警察に申し入れることが重要だと考えられます。

会社にバレると処分を下される

下着泥棒の容疑で逮捕されると、会社にバレる可能性が高いです。なぜなら、逮捕後に身柄を押さえられた時点で会社に自分の口で連絡を入れることができなくなりますし、学校とは違って会社はたった一日の無断欠勤だけでも大ごとになることが多いからです。

そして、下着泥棒で逮捕されたことが会社にバレると、就業規則の懲戒処分規定に基づいて処分が下されます。下着泥棒のような性犯罪に対しては厳しい考え方をもつ企業が多いので、戒告や譴責で済めば運が良く、場合によっては、減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇などの重い処分が下される可能性もあるでしょう。また、懲戒処分の内容が軽く会社に在籍し続けられたとしても、職場における信用は失墜するので、日々の仕事をやりにくくなる事態は避けられません。

したがって、下着泥棒の件が会社にバレるのを防ぐには、学校バレ回避と同じように、早期に被害者との間で示談を成立させることが重要になると考えられます。

下着泥棒で逮捕・前科がついた場合には、会社にこれまでの経緯を説明する必要に迫られます。ただし、下着泥棒は性犯罪の一種に位置付けられる行為類型ではあるものの、形式上は「窃盗罪」に該当する行為でもあります。つまり、「窃盗罪で逮捕されたこと」を会社に説明する必要には迫られますが、「何を盗んだか」については嘘をついてもバレにくいということです。たとえば、下着ではなく路上に放置されていた自転車を盗んだことにすれば、会社からの心証悪化をある程度軽減できるでしょう(ただし、この点の嘘がバレると更に懲戒処分が下される可能性が高いので、かならず弁護士とご相談ください)。

前科がつくと日常生活に数々の支障が生じる

下着泥棒の容疑で逮捕されて有罪判決が確定すると「前科」がつきます。

誤解している人が多いですが、実刑判決・執行猶予付き判決・罰金刑はすべて前科扱いです。

そして、前科がつくと、その後の日常生活に以下のデメリットが生じます。

  • 就職活動・転職活動の際、履歴書の賞罰欄に記載を求められる
  • 前科があるだけで書類審査さえ通りにくくなる
  • 前科があると就業できない職種がある(士業、金融関係など)
  • 身元調査で前科がバレると結婚を断られる
  • 前科は法定離婚事由に該当するので離婚の申し出を拒絶できない
  • 前科を理由にビザ発行を拒絶されると海外渡航に制限がかかる
  • 再犯時に刑事処分が重くなる可能性が高い

微罪処分や不起訴処分を獲得できた場合には前科はつきません。下着泥棒が警察にバレたとしても、任意聴取の段階で誠実な対応をすれば前科を回避できるので、警察からの問い合わせがある前に弁護士に相談して今後の対策を検討してもらいましょう。

前科情報は検察庁の内部資料及び市町村役場の犯罪者名簿にしか登録されないので、一般人にバレる心配はありません。また、「戸籍や住民票に記載される」「信用情報にキズがつく」「選挙権がなくなる」などはすべて間違いです。上述のように、転職活動などの限られた場面で支障が生じるのは事実ですが、前科がつくことを過度におそれる必要はないでしょう。したがって、「実刑判決や執行猶予付き判決を回避できる」という意味で、罰金刑で手打ちをするというのも有効な選択肢だと考えられます。

下着泥棒で逮捕されるか不安なときに弁護士に相談するメリット3つ

過去に犯した下着泥棒で逮捕されるか不安なときは、刑事事件の実績豊富な弁護士に相談するのがおすすめです。

なぜなら、性犯罪弁護に強い専門家に相談することによって、以下3点のメリットが得られるからです。

  1. 下着泥棒の被害者との間で早期に示談交渉を進めてくれる
  2. 家族や会社にバレないように刑事弁護を進めてくれる
  3. 性依存症や盗癖を治療・療養できる専門機関を紹介してくれる

被害者との間で早期に示談をまとめてくれる

弁護士に相談すれば、警察が下着泥棒事件を認知する前から、もしくは、警察から任意出頭要請がかかった段階で、すぐに下着所有者やコインランドリーなどの経営者との間で示談交渉を進めてくれます

窃盗罪などの軽微な犯罪類型では、被害者の処罰感情が刑事処分の内容を左右します。つまり、被害届を取り下げてもらえたり、被害者の処罰感情が小さかったりすると、下着泥棒をしたことが客観的に明白であったとしても逮捕・起訴処分を回避できるということです。

性犯罪のようなセンシティブな事件では、加害者本人だけでは示談交渉を穏便に進めることができません。性犯罪の示談交渉ノウハウを有する弁護士に依頼して、迅速に和解契約を成立させてもらいましょう。

家族や会社にバレずに刑事弁護を進めてくれる

下着泥棒で逮捕されるか不安なときに弁護士に相談すれば、家族や会社にバレないように最大限工夫をしてくれます。

まず、弁護士は依頼人の利益を最大化することを職責とするので、「家族や会社に知られたくない」と依頼人が希望するなら、しっかりと守秘義務を遵守します。また、「弁護士と相談するタイミングを会社帰りにして家族にバレにくくする」「自宅の固定電話には連絡をしない」「書類の表面には弁護士事務所名を出さない」などの配慮も期待できます。さらに、逮捕後に身柄拘束されて会社に連絡できない状況でも、弁護士が上手に言い訳を考えて欠勤の理由を告げてくれるでしょう。

下着泥棒のような軽微な犯罪なら、本人以外誰にも知られずに刑事手続きを終了させるのも不可能ではありません。そのためには、警察が刑事手続きに着手する前に防御活動をスタートするのが何より重要なので、できる限り早いタイミングで弁護士までお問い合わせください。

性依存症の治療機関やカウンセリング施設を紹介してくれる

下着泥棒をしてしまう人のなかには、クレプトマニア(盗癖・窃盗症)性依存症などの病気を患っているケースが多いです。

下着泥棒が警察にバレた後、適切な防御活動によって不起訴処分等を獲得できたとしても、これらの病気を根本的に治療しなければ、再犯リスクを軽減できません

刑事事件や性犯罪弁護を中心に取り扱っている弁護士は、専門治療機関やNPO団体、カウンセリング施設と提携していることが多いので、これらの医療機関等への橋渡しをしてくれるでしょう。

「過去に犯した下着泥棒について丁寧に防御活動を展開すること」も大切ですが、それ以上に、「これから二度と下着泥棒をしないような環境を作り出すこと」も大切であるとご理解ください。

下着逮捕での逮捕回避を目指すなら早期に弁護士へ相談しよう

下着泥棒は現行犯以外の方法でも逮捕される可能性があります。特に、近年では至るところに防犯カメラなどが設置されているので、捜査機関が下着泥棒の証拠を収集して犯人を特定するのは至極容易です。

したがって、過去に犯した下着泥棒が捜査機関にバレないことを祈り続けるのは正しい対処法とは言えません

警察に下着泥棒事件がバレる前に示談交渉や自首をすれば軽い刑事処分を獲得できるので、まずは弁護士に相談をして、今後の方針についてアドバイスしてもらいましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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