執行猶予でも前科はつく?犯罪歴がつく場合のデメリットや刑事手続きを早期に終わらせるコツを解説

執行猶予でも前科はつく?犯罪歴がつく場合のデメリットや刑事手続きを早期に終わらせるコツを解説
執行猶予でも前科はつく?犯罪歴がつく場合のデメリットや刑事手続きを早期に終わらせるコツを解説

執行猶予付き判決が下されても前科はつきます

「執行猶予なら刑務所に入らずに社会生活を送れるのだから、実刑判決とは違って前科はつかないのではないか」などと噂されることもありますが、実刑判決・執行猶予付き判決・罰金刑などは刑罰の種類が異なるだけで有罪判決であることに変わりはないので、すべて前科扱いです(刑法第9条)。

執行猶予付き判決を獲得してスムーズに日常生活に復帰できたとしても、前科がついている以上、一定のデメリットが生じるのは仕方ありません。

ただし、世間一般で「前科のデメリット」と言われているもののなかには間違った情報も少なくないので、余計な不安なく罪を犯した後の更生プロセスを歩むなら、前科によるデメリット対処法を正確に理解するべきでしょう。

そこで今回は、執行猶予にまつわる以下4点について、分かりやすく解説します。

  1. 執行猶予制度の概要
  2. 執行猶予付き判決が確定して前科がつくデメリット
  3. 執行猶予付き判決による前科に関する間違った情報
  4. 罪を犯しても執行猶予付き判決や前科を回避する方法

確かに、実刑判決と比較すると、執行猶予付き判決は「刑務所に収監されずに済む」という点でメリットは大きいでしょう。しかし、「前科がつく」というデメリットを強いられる点を看過するべきではありません。

任意の事情聴取や逮捕・勾留段階で適切な防御活動に尽力すれば、罪を犯したとしても前科を回避できる可能性があるので、少しでも「警察に逮捕されるのではないか」などと不安を抱いているのなら、すみやかに刑事事件に強い弁護士までご相談ください

目次

執行猶予付き判決でも前科はつく

「執行猶予付き判決は前科にならない」という情報は間違いです。執行猶予付き判決も有罪判決であることに違いないので、執行猶予付き判決が確定すれば前科がつきます。

まずは、執行猶予が付く条件や、執行猶予期間が経過したときの効力など、執行猶予制度の概要について具体的に見ていきましょう。

執行猶予とは

執行猶予とは、「判決を言い渡す際に、諸般の事情を総合的に考慮して、有罪判決による刑の執行を一定期間(執行猶予期間)先送ることとし、執行猶予取消し事由が生じることなく期間を満了したときには、有罪判決による刑の執行自体が消滅する」制度のことを指します(刑法第25条~第27条の7)。

わかりやすく表現すると、「刑の執行を一定期間猶予して、無事に当該期間が経過すれば、刑の執行がなくなる」ということです。

たとえば、「被告人を懲役1年6カ月に処する。この判決確定の日から3年間その刑の全部の執行を猶予する。」という判決が言い渡された場合、本来なら判決が確定した日から1年6カ月間刑務所に収監されるはずですが、判決が確定した日から3年間は刑の執行が下されずに済みます。

そして、3年間何事もなく社会生活を送ることができれば、「1年6カ月の懲役刑」が実行されることはありません。これに対して、3年間の執行猶予期間中に取消し事由が発生した場合には、刑の先送り効力が消滅して、その時点から1年6カ月の懲役刑が執行されることになります。

したがって、執行猶予判決には、被告人に対する実刑判決を執行するタイミングを猶予することによって、刑務所のなかで更生させるのではなく、実際の社会生活を送るなかにおいて社会復帰・更生の道を歩ませる点に特徴があると言えるでしょう。

執行猶予制度の目的とは

確かに、「罪を犯した危険人物は刑務所に収監させた方が良い」「罪を犯したのに執行猶予期間が経過するだけで刑罰が免除されるのはおかしい」と感じる人も多いです。

ただ、実刑判決が下されると刑期中は社会生活から完全に隔離されてしまうので、刑期が明けた頃には「家も仕事も何もない」という状況に追い込まれてしまいます。

これでは、刑期を満了して罪を償ったはずなのに、社会復帰が困難な状況に追い込まれた結果、更に罪を犯してしまうこともおおいに考えられるでしょう。

もちろん、重罪を犯した被告人や刑務所に収監する方法での更生が相応しい被告人に対しては実刑判決が適当ですが、社会生活を送りながらの方が更生が見込める事案では積極的に執行猶予付き判決を与えるべきだと考えられます。

なお、この実務的考え方から逆算すれば、「社会生活での更生の方が相応しい」と裁判官に判断させることができれば、実刑を回避して執行猶予付き判決を獲得できるということです。この判断を引き出すコツについては、刑事弁護に詳しい専門家までご相談ください。

執行猶予制度の種類とは

2016年6月の刑法改正によって、執行猶予制度は「全部執行猶予」「一部執行猶予」の2種類が定められています。

全部執行猶予は旧来の執行猶予制度のことで、刑罰のすべてが猶予されるもののことです(刑法第25条)。たとえば、上述の「被告人を懲役1年6カ月に処する。この判決確定の日から3年間その刑の全部の執行を猶予する。」という判決内容は、全部執行猶予に該当します。

これに対して、一部執行猶予は法改正によって新設された執行猶予制度のことで、「刑期の一部は実刑判決、残りの一部が執行猶予の対象になる」という柔軟な科刑方法のことです(刑法第27条の2)。たとえば、「被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役6カ月の執行を2年間猶予する。」という形で判決が言い渡されます。この場合、2年6カ月については実刑判決として刑務所に収監されて、残りの半年分の刑期は2年間の執行猶予付き判決を得たという運用が採られます。

一部執行猶予制度が新設されたのは、事案の詳細に合わせて、被告人に対する科刑量と社会復帰・更生の可能性をきめ細かく設定できるようにする目的からです。

執行猶予の期間とは

執行猶予付き判決のなかで設定される執行猶予期間は「裁判が確定した日から1年以上5年以下」の間です(刑法第25条1項本文、刑法第27条の2第1項本文)。

執行猶予期間は、裁判官が以下の情状要素などを総合的に考慮して、事案ごとに判断します。

  • 犯罪事実の重さ
  • 被害者との間で示談が成立しているか否か
  • 被害者の処罰感情の強さ
  • 前科の有無
  • 反省の姿勢の有無・程度
  • 執行猶予付き判決が下された場合の家族等の支援体制の充実具合

これらの要素を踏まえて、執行猶予期間は実刑判決の1.5倍~2倍の程度で言い渡されるのが実情です。

たとえば、懲役2年の実刑判決に対しては、執行猶予期間は3年~4年の間で言い渡されるのが目安になるでしょう。

執行猶予期間が経過したときの効力とは

全部執行猶予については、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過したときには、刑の言渡しは効力を失います(刑法第27条)。

また、一部執行猶予については、刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過したときには、「懲役刑または禁錮刑について執行が猶予されなかった部分の期間」を刑期とする懲役刑または禁錮刑に減軽されます(刑法第27条の7)。つまり、これらの期間の執行が終わった日またはその執行を受けることがなくなった日において、刑の執行が終わったと扱われるということです。

したがって、執行猶予の効力は、取消し事由が発生せずに期間が経過すれば、刑罰自体を帳消しにできるものだと考えられます。

ただし、執行猶予期間の満了によってもたらされるのは「刑の言渡しの効力の消滅」だけです。「執行猶予付き判決を下されたという事実=前科」は期間を満了したとしても残り続ける点にご注意ください

なお、執行猶予期間が終わっても連絡や通知が来ることはありません。被告人自身が期間満了したか否かのスケジューリングは被告人自身で行う必要があります。

執行猶予が付く条件

執行猶予付き判決はすべての事件を対象としているわけではありません。

なぜなら、全部執行猶予・一部執行猶予それぞれについて執行猶予判決を獲得できる要件が定められているからです。

したがって、検察官によって起訴処分が下された後、実刑判決を獲得するためには、執行猶予付き判決の要件を満たすような状況を作り出すために防御活動を展開するべきだと考えられます。

全部執行猶予の条件

全部執行猶予の対象になるケースは以下の通りです(刑法第25条)。これら①②③のいずれかに該当する者について、斟酌するべき情状要素がある場合に限って、全部執行猶予付き判決が下されます

  1. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役刑・禁錮刑または50万円以下の罰金刑の言渡しを受けたとき
  2. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日・その執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役刑・禁錮刑または50万円以下の罰金刑の言渡しを受けたとき
  3. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者が1年以下の懲役刑・禁錮刑の言渡しを受けたとき

たとえば、「初犯でなければ執行猶予付き判決を獲得できない」というのは間違いです。

確かに、過去に前科がある状態で再犯に及んだ点において情状面で不利な扱いを受けざるを得ません。

ただ、懲役刑・禁錮刑を受けた経験がなかったり、懲役刑などの執行を受けて一定期間が経過していたりすれば、「しっかりと情状要素をアピールする」という前提付きですが執行猶予付き判決の獲得は可能です。

したがって、前科がある状態でふたたび刑事裁判にかけられた場合には、特に力を入れて裁判手続きに挑む必要があるので、かならず刑事弁護に強い専門家までご相談ください

執行猶予付き判決は「3年以下の懲役刑もしくは禁錮刑または『50万円以下の罰金刑』の言い渡しを受けたとき」を対象としているので、罰金刑に対しても執行猶予付き判決が下される可能性があります(刑法第25条第1項本文)。ただし、罰金刑について執行猶予付き判決が言い渡されるケースは実務上そう多くはありません。なぜなら、執行猶予付き判決の意義は「『実刑判決による社会生活からの断絶』を回避させること」に認められるのですが、罰金刑は罰金を納付した時点で科刑が終了するものなので『社会生活からの断絶』がそもそも存在しないからです。したがって、罰金刑に対して執行猶予付き判決を下す実益は少ないので、執行猶予付き判決のメインターゲットは懲役刑・罰金刑にならざるを得ないと考えられます。実際、罰金刑に対して執行猶予判決が下されるのは、1年に数件程度です。たとえば、外国人登録証明書の切替交付に必要な指紋押捺を拒否した事件(名古屋高判昭和63年3月16日)、指示器を出さずに信号付き道路を右折して原動機付自転車に衝突した事件(東京高判昭和42年10月11日判決)のように、極めて軽微な刑事罰に対して下されているに過ぎません。

一部執行猶予の条件

一部執行猶予の対象になるケースは以下の通りです(刑法第27条の2)。これら①②③のいずれかに該当する者について、犯情の軽重や犯人の境遇その他の情状を考慮して、ふたたび犯罪をすることを防ぐために必要であって、かつ、相当であると認められるときに、一部執行猶予付き判決が下されます

  1. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役刑または禁錮刑の言渡しを受けたとき
  2. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者が、3年以下の懲役刑または禁錮刑の言渡しを受けたとき
  3. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日・その執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役刑または禁錮刑の言渡しを受けたとき

全部執行猶予とは異なり、一部執行猶予の対象は「3年以下の懲役刑または禁錮刑」だけで、罰金刑は排除されています。

また、全部執行猶予は「情状により」という比較的柔らかい要件が課されているのに対して、一部執行猶予では「被告人の境遇や、一部執行判決が再犯防止にどれだけ役立つか」が入念に考慮される点が相違点として挙げられます。

執行猶予制度の取消し

無事に執行猶予付き判決を獲得できたとしても、実刑の言渡しの効力が消滅するには、「取消し事由が存在しない状態で執行猶予期間が経過すること」が必要となります。

つまり、「執行猶予付き判決を獲得できたから無罪放免になる」と安易に考えるのは厳禁で、少なくとも執行猶予期間が満了するまでの間は、執行猶予中にやってはいけないことに充分配慮して生活しなければいけないということです。

それでは、執行猶予の取消し事由について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

執行猶予の必要的取消し

執行猶予の必要的取消し事由は、全部執行猶予と一部執行猶予でそれぞれ定められています。

必要的取消しの対象になる事象が発生した場合には、理由の如何にかかわらず、執行猶予付き判決が執行して、実刑判決が執行されることになります。

全部執行猶予の必要的取消し事由

全部執行猶予の必要的取消し事由は以下の通りです(刑法第26条)。

  • 執行猶予期間内に更に罪を犯して禁錮刑以上に処せられて、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき
  • 執行猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮刑以上に処せられて、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき
  • 執行猶予の言渡し前に他の犯罪について禁錮刑以上に処せられたことが発覚したとき
一部執行猶予の必要的取消し事由

一部執行猶予の必要的取消し事由は以下の通りです(刑法第27条の4)。

  • 執行猶予の言渡しの後に更に罪を犯して、禁錮刑以上の刑に処せられたとき
  • 執行猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮刑以上に処せられたとき
  • 執行猶予の言渡し前に他の罪について禁錮刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないことが発覚したとき

執行猶予の裁量的取消し

執行猶予の裁量的取消し事由についても、全部執行猶予と一部執行猶予でそれぞれ規定されています。

必要的取消し事由とは異なり、裁量的取消し事由が発生したとしても、執行猶予を取り消すべきか否かは裁判官の判断に委ねられます。

全部執行猶予の裁量的取消し事由

一部執行猶予の裁量的取消し事由は以下の通りです(刑法第26条の2)。

  • 執行猶予期間内に更に罪を犯して、罰金刑に処せられたとき
  • 執行猶予期間中に保護観察が付けられたにもかかわらず、遵守事項に対する違反が存在して情状が重いとき
  • 執行猶予の言渡し前に他の罪について禁錮刑以上に処せられて、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき
一部執行猶予の裁量的取消し事由

一部執行猶予の必要的取消し事由は以下の通りです(刑法第27条の5)

  • 執行猶予の言渡し後に更に罪を犯して、罰金刑に処せられたとき
  • 執行猶予期間中に保護観察が付けられたにもかかわらず、遵守事項に対する違反が発生したとき

執行猶予によって前科がつくデメリット8つ

執行猶予付き判決が下されると、「執行猶予期間中はやってはいけないことに配慮しなければいけない」という負荷がかかるだけではなく、前科がつくことによるデメリットを甘受しなければいけません。

執行猶予付き判決によって前科がつくデメリットは以下8点です。

  1. 現在の勤務先にバレると懲戒処分の対象になる
  2. 在籍中の学校にバレると退学処分リスクに晒される
  3. 今後の就職活動・転職活動の難易度が高くなる
  4. 職種次第では資格制限の対象になって働けなくなる
  5. 海外渡航に制限がかかりかねない
  6. 婚姻関係や家族間の関係性が崩れる可能性がある
  7. 再犯時に刑事処分が重くなる可能性が高い
  8. 執行猶予付き判決を得たのに厳しい社会的制裁を加えられる可能性もある

なお、前科と似た用語である「前歴」と混同されることが多いですが、前科と前歴はまったく別物です。

まず、前科とは「有罪判決を受けた経歴」のことを指します。これに対して、前歴とは「捜査対象になった経歴」のことに過ぎません。たとえば、任意の事情聴取を受けたが逮捕・起訴されることがなかった場合、前科はつきませんが、前歴は残ります。

このように、「前歴」は捜査機関の内部資料的な意味合いが強い概念でしかないので、「前歴によるデメリット」は特に気にする必要はないでしょう。

現在の勤務先への影響

執行猶予による前科が現在の勤務先にバレた場合、就業規則の規定にしたがって何かしらの懲戒処分が下される可能性が高いです。

懲戒処分の種類として「戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇」が定められているのが一般的ですが、犯した罪の種類や重さ、ニュース報道などによって会社の信用を毀損した程度などが総合的に考慮された結果、懲戒解雇処分が下される可能性も否定できないでしょう。仮に懲戒処分を回避できたとしても、会社における信用は失墜するので、出世の可能性はほとんどなくなりますし、日常業務もやりにくくなってしまいます。

問題は、執行猶予付き判決によって前科がついたことが会社にバレるのか、という点です。つまり、(全部)執行猶予付き判決は実刑判決とは違って刑務所に収監されることがないので、罪を犯して刑事裁判にかけられたことを黙っていれば、前科がついたことを会社に知られずにやり過ごすことができるのではないか、ということです。

確かに、「刑務所への収監」を回避できる点では、実刑判決よりも執行猶予付き判決の方が社会人生活への影響を軽減できるのは間違いないです。

ただし、公開の刑事裁判で執行猶予付き判決が下されるまでには、逮捕・勾留による身柄拘束付きの取調べなどの刑事手続きを強いられる可能性が高いでしょう。最短でも数日、場合によっては23日間捜査機関に身柄を押さえられることもあるので、刑事手続きにおいて「出社できない期間・会社に自分で連絡を入れることができない期間」が長引くほど、何かしらのトラブルに巻き込まれたことを会社に隠し通すのは難しくなります

したがって、執行猶予付き判決で前科がつくことによって会社生活に支障が生じるのを回避したいなら、任意聴取段階で誠実に対応して微罪処分獲得を目指す逮捕・勾留による身柄拘束回避を目指す起訴処分が下された後すぐに保釈請求するなどの対策が有効だと考えられます

学校への影響

執行猶予付き判決による前科が学校にバレた場合、学則や校則の規定にしたがって何かしらの処分が下される可能性が高いでしょう。

ただし、会社とは違って、学校から下される処分には懲戒要素と教育的指導要素が含まれている点に注意が必要です。たとえば、万引きなどの比較的軽微な犯罪による前科なら訓告程度で済む場合もありますし、その一方で、児童ポルノの製造や特殊詐欺への関与などの重罪による前科なら停学・退学などの厳しい処分を下されることも否定できません

もちろん、学校側からの処分を決める際には、学業成績や学校生活における態度なども考慮されます。処分を下される前に聞き取り調査などが実施されることが多いので、可能であれば調査への対応方法などについても弁護士に相談することをおすすめします。

ただし、「会社と従業員」と「学校と生徒」では関係性が異なります。つまり、会社は1日でも無断欠勤があった時点で大問題になるのに対して、学校の欠席なら本人が直接連絡しなくても不審に思われないどころか、1~2週間程度欠席したところで理由を根掘り葉掘り詮索されることもないでしょう。したがって、学生の立場で執行猶予付き判決を下されたとしても学校に隠し通すのは比較的簡単なので、弁護士のサポートを受けながら丁寧に刑事手続きを進めていくべきでしょう。

就職活動や転職活動への影響

執行猶予付き判決によって前科がついた場合、今後の就職活動・転職活動に支障が出る可能性が高いです。

なぜなら、就職活動では履歴書の提出が必須ですが、有罪判決や前科歴については履歴書の賞罰欄にかならず記載しなければいけないからです。

たとえば、どのような経緯があったとしても、前科がある人を積極的に採用しようとはなりません。そもそも書類選考を通過する可能性は低いですし、運良く面接まで辿り着いたとしても、前科の原因になった事件について厳しく質問されるのは目に見えているでしょう。特に、上場企業や大企業、メーカー、金融業などは世間からの目を意識する傾向が強いので、前科があるとこれらの優良企業から内定を獲得できる可能性は限りなくゼロに近いです。

また、就職活動が不利になるのを防ぐ目的で賞罰欄に前科情報を記載しなければ「経歴詐称」です。経歴詐称自体が何かしらの罪に問われる可能性はありませんが、内定・入社後に前科を隠蔽していたことがバレると、それだけで懲戒処分の対象となります。経歴詐称がバレたタイミングや別の人材を登用するコストなど次第では、民事的な賠償責任を追及される危険性も生じます。

このように、執行猶予付き判決による前科は、今後のキャリアチェンジや就職活動・転職活動のハードルをかなり高めてしまうものです。就労人生へのデメリットをできるだけ軽減したいなら、前科がつかないような防御活動が不可欠でしょう。

資格制限付き職業への影響

執行猶予付き判決による前科がつくと、一定の専門職や公的職業の資格が制限される場合があります。

前科による資格制限が生じる職業一覧は以下の通りです。

資格名 制限内容 制限対象になる前科の種類
国家公務員/地方公務員 必要的 禁錮以上
警備員 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
危険物取扱者 裁量的 本法違反の罰金刑以上
会社役員(取締役) 必要的 全刑罰(本法・特定の法律違反のみ)
土地家屋調査士 必要的 禁錮以上
公認心理師 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師 裁量的 罰金以上
医師 裁量的 罰金以上
言語聴覚士 裁量的 罰金以上
作業療法士/理学療法士 裁量的 罰金以上
視能訓練士 裁量的 罰金以上
柔道整復師 裁量的 罰金以上
臨床工学技士 裁量的 罰金以上
看護師/准看護師/助産師/保健師 裁量的 罰金以上
歯科医師/歯科衛生士 裁量的 罰金以上
救急救命士 裁量的 罰金以上
薬剤師 裁量的 罰金以上
栄養士/管理栄養士 裁量的 罰金以上
調理師 裁量的 罰金以上
保育士 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
精神保健福祉士 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
社会福祉士/介護福祉士 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
介護支援専門員 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
電気工事士 裁量的 本法違反の罰金刑以上
建築士 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)
宅地建物取引士 必要的 禁錮以上(本法違反は罰金刑以上)

なお、欠格制限期間や制限内容(業務停止・免許取消し・再受験不可等)などは各資格・職業によって異なるので、審査主体や規制立法をかならずご確認ください。

海外渡航への影響

執行猶予付き判決によって前科がつくと、海外渡航に制限がかかる可能性があります。

なぜなら、執行猶予期間中であることや犯罪歴があることを理由に、パスポートを取得できなかったりビザが発給されなかったりすることがあるからです。

まず、以下のいずれかに該当する場合には、パスポートの発給が制限される場合があります(諸般の事情次第では、発給される可能性もゼロではありません)(旅券法第13条1項各号)。

  • 渡航先の法律によって入国が認められない場合
  • 死刑、無期、長期2年以上の刑に当たる罪で刑事訴追を受けている場合
  • 仮釈放中や執行猶予期間中の場合
  • 旅券法第23条違反の前科がある場合
  • 著しく直接的に日本国の利益や公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合

したがって、執行猶予期間が経過していない場合や、前科の根拠となる犯罪が治安面での危険を生じさせる可能性があると判断された場合には、パスポートが発給されないので、海外旅行や海外出張に制限がかかり得るでしょう。パスポートの申請の際に執行猶予期間中である旨などを隠蔽した場合には、「5年以下の懲役刑もしくは300万円以下の罰金刑(併科あり)」が科されます(同法第23条第1項第1号)。

また、パスポートを発給されたとしても、ビザを取得できなければ入国できません。たとえば、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ヨーロッパなどはテロ対策の観点から前科者に対するビザ発給が厳しく運用されているので、入国が叶わない可能性を否定できません。ESTAやeTAなどの電子渡航認証システムが導入済みなので、前科情報を隠して入国するのは難しいでしょう。

婚姻関係への影響

執行猶予付き判決が確定して前科がつくと、婚姻関係や家族関係が崩れる可能性があります

たとえば、現在交際中のパートナーに前科がついたことがバレると、それを理由に破局したり結婚を断られたりすることもあるでしょう。もちろん、酔ったうえでの喧嘩などなら理解を得やすいかもしれませんが、性犯罪や常習的な万引きは嫌悪感が高まるのもやむを得ません。パートナーに隠し通していたとしても、結婚前に身辺調査が実施されて相手方に知られると破談になることもあります。

また、婚姻中の夫婦の場合、「前科があるのに隠されていたこと」「結婚生活中に前科がついたこと」を理由に、配偶者から離婚を求められる可能性も生じます。犯罪歴や前科歴があることは法定離婚事由のひとつである「婚姻を継続し難い重大な事由」だと扱われることが多いので、配偶者からの離婚を拒絶できません(民法第770条第1項第5号)。離婚の際には、子どもの親権を奪われたり、慰謝料請求に応じなければいけないでしょう。

このように、罪を犯して執行猶予判決を下されると、プライベートな領域にまで支障が及ぶ可能性が高いです。弁護士に相談すれば、最大限家族や恋人にバレないようなケアをしながら刑事手続きを進めてくれるので、家族バレの可能性などについても適宜弁護士までご相談ください

再犯時への影響

実刑判決ではなく、執行猶予付き判決の前科があるだけで、再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高いです。

そもそも、警察・検察官は、すべての前科・前歴情報を保管し続けています。つまり、過去に執行猶予付き判決を言い渡された経歴がある人物が再び捜査線上にあがった場合、すぐに前科前歴情報がチェックされるので、捜査機関に執行猶予付き判決による前科があることがすぐにバレてしまいます。

そして、執行猶予付き判決を言い渡されたという経歴が明らかになれば、捜査の態様や刑事処分の内容が厳しくなる可能性が高いです。なぜなら、再犯に対しては、「過去の犯罪に対する反省が見られない、更生に失敗している」という評価を下されてしまうからです。

たとえば、初犯なら任意聴取で済んでいたはずが、捜査対象者に前科があることが発覚した時点で通常逮捕手続きに移行し、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されてしまいます。また、前科があることが理由で起訴猶予処分が見送られて、起訴処分が下されかねません。さらに、再犯事案について公開の刑事裁判にかけられた場合には、実刑判決の可能性が高まってしまうでしょう。

したがって、執行猶予付き判決で前科がついた場合には絶対に再犯をしてはいけませんし、万が一再犯で刑事訴追されてしまった場合には、厳しい捜査による追及に抗うために刑事弁護に強い専門家のサポートが不可欠だと考えられます。

執行猶予付き判決で指定された期間を経過した日から5年以内に更に罪を犯した場合には「再犯(累犯)」として扱われます(刑法第56条第1項)。再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下にまで上乗せされるので、判決内容も大幅に厳しくなる可能性が高いです(同法第57条「再犯加重」)。

社会的信用への影響

執行猶予付き判決が確定して前科がつくと、社会的信用に悪影響が生じることがあります。

たとえば、執行猶予付き判決が下される根拠となった事件について実名報道されてしまうと、インターネット上に事件のことが一生残ってしまうでしょう。知人、同僚、上司、恋人など、あなたの氏名をWeb検索するだけで前科がバレてしまいます。特に、事件が注目を集めてSNSなどで炎上してしまうと、家族・親族や会社に直接的な迷惑がかかりかねません。

もちろん、名誉棄損・プライバシー侵害に該当するネット記事やSNSの投稿は削除依頼によって対処可能です。ただ、削除依頼などの法的措置にはかなりの手間がかかりますし、すべての記事を削除しきるのは物理的に難しいことはご理解ください。

執行猶予で前科がつくデメリットに関するよくある誤解

ここまで紹介したように、執行猶予付き判決で前科がつくとさまざまなデメリットが生じるのは事実ですが、その一方で、「前科によってもたらされるデメリット」にはいくつかの誤解がある点にも注意が必要です。

前科に関連する代表的な間違いは以下5点です。

  1. 執行猶予付き判決による前科は誰でも簡単に調べられる
  2. 執行猶予付き判決による前科情報は住民票・戸籍に登録される
  3. 執行猶予付き判決による前科がつくとさまざまな権利が制限される
  4. 執行猶予付き判決で前科がつくと信用情報にキズがつく
  5. 執行猶予付き判決で前科がつくと子どもの進学や生活に悪影響が生じる

生じるはずもないデメリットに苛まれることほど無意味なことはありません。

執行猶予付き判決が原因でついた前科によって生じるデメリットを正しく理解して、スムーズな社会復帰を目指しましょう。

執行猶予で前科がつくと誰でもネット検索できる

執行猶予に限らず、前科情報は無関係の一般人ではアクセスできません

たとえば、前科情報が記録されている「前科調書」に照会できるのは検察官・検察事務官だけです(犯歴事務規程第13条)。また、市町村役場に記録されている「犯罪人名簿」にアクセスできるのは、担当職員が閲覧するにあたって正当な理由がある場合や、警察・検察・裁判所から照会があった場合に限られています(各自治体が規定する犯罪人名簿事務取扱規程)。

したがって、「前科情報はネット検索できる」「登記簿謄本のように誰でも申請できる」などという噂は間違いです。

執行猶予で前科がつくと住民票や戸籍に登録される

住民票や戸籍に前科情報が登録されることはありません

そもそも、住民票とは、住民の居住関係を公に証明するためのものです。また、戸籍とは、人の出生・死亡・婚姻・離婚・養子縁組などの重要な身分事項を証明するための公文書です。どちらも、各人の犯罪歴や前科歴とは一切関係ない役割を担っています。

したがって、「結婚や証明書を発行するタイミングで前科がバレる」などという噂は間違いです。

執行猶予で前科がつくと国民の権利が剥奪される

執行猶予付き判決によって前科がついたとしても、国民の権利が制限されることはありません

たとえば、選挙権・被選挙権が剥奪されることはないので、通常通り自宅に投票用紙が届きますし、ご自身が立候補することも可能です。また、生活保護や国民年金・厚生年金の受給権も今まで通りなので、生活基盤が奪われることもないでしょう。

ただし、禁錮刑以上に処せられてその執行を終わるまでの者や、選挙・投票・国民審査に関する犯罪によって禁錮刑に処せられその刑の執行猶予中の者については、選挙権及び被選挙権が剥奪されるのでご注意ください(公職選挙法第11条第1項)。

執行猶予で前科がつくとブラックリストに登録される

執行猶予付き判決によって前科がついても、ブラックリストに登録されることはありません

そもそも、ブラックリストとは、各人の経済的信用力に関する情報です。ローンや借金を滞納したときに信用情報機関に管理される情報であり、アクセスできるのは金融機関や信販会社などに限られます。つまり、前科歴・犯罪歴という刑事処罰情報とは一切関係ないということです。

したがって、「執行猶予で前科がつくと住宅ローンを組めなくなる」「前科が原因でクレジットカードが使えなくなる」などの支障は生じないのでご安心ください。

執行猶予で前科がつくと子どもの進学に影響する

執行猶予付き判決によって前科がついたとしても、子どもの進学とは無関係です

たとえば、子どもの進学時に奨学金を借り入れるとしても、親の連帯保証人審査で前科情報がチェックされることはありません。また、入園・入学時の面談でもわざわざ前科の記載を求められるケースは少ないでしょう。

ただし、前科がつくことで離婚をしたり、職を失ったりすると、間接的にではあれ子どもの生活に何かしらの影響が出るのは必至です。お子さんがいらっしゃるのであれば、できるだけ前科がつかない形で刑事手続きの終了を目指すべきでしょう。

執行猶予付き判決で前科がつくのを回避する方法

執行猶予付き判決には「実刑による刑務所への収監を回避できる」という大きなメリットがある反面、前科がつくことによってさまざまなデメリットに晒されるのも事実です。

そこで、罪を犯して警察から追及されているなら、刑事手続きのステージに応じて以下4つの防御策を弁護士に検討してもらうのがおすすめです。

  1. 逮捕を回避してもらう
  2. 検察官送致を回避して微罪処分を獲得してもらう
  3. 不起訴処分を獲得して前科を回避してもらう
  4. 無罪判決獲得を目指して丁寧に情状を展開してもらう

弁護士に相談して逮捕回避を目指してもらう

何かしらの罪を起こして捜査の手が及んだときの最初の目標は「逮捕の回避」です。

たとえば、比較的軽微な犯罪であり、被害者との間で示談が済んでいる状況であれば、警察が犯罪事実を掴んだとしても逮捕されずに済む可能性があります

逮捕を回避できれば、逮捕後48時間の身柄拘束付き取調べも免れることができるので、罪を犯したことを会社に隠し通せる見込みも生まれます。その結果、検察官送致・起訴処分・有罪判決の流れをすべて回避できるので、結果として前科がつくデメリットも避けられるでしょう。

弁護士に相談して検察官送致回避を目指してもらう

罪を犯したことが警察にバレて逮捕された場合でも、検察官送致を回避すれば刑事手続きの負担を大幅に軽減できます

なぜなら、警察から検察官に身柄が送致されてしまうと、少なくとも24時間、勾留請求された場合には10日間~20日間身柄拘束期間が延長されてしまうからです。たとえば、仮に前科がつかなかったとしても、会社や学校に罪を犯したことがバレる可能性が高まってしまうでしょう。

したがって、警察に逮捕された場合には、長期の身柄拘束を避けるため、また、後々の前科を避けるために、警察限りで事件を終結させる「微罪処分」獲得を目指すべきだと考えられます。警察における取調べに誠実に向き合い、その間に被害者との示談を成立させることができれば短期間での手続き終結を実現できるので、刑事事件に強い弁護士のサポートを頼りましょう。

弁護士に相談して不起訴処分獲得を目指してもらう

警察に逮捕されて送検されたとしても、不起訴処分を獲得すれば前科を回避できます

日本の刑事事件では、検察官による起訴処分が下された時点でほぼ有罪が確定するのが実情です。なぜなら、検察官は「有罪判決を獲得できるだけの見込みがある場合」に起訴処分を下すので、検察官が起訴処分を下すということはそれなりの証拠が揃っている状態だと考えられるからです。

したがって、検察段階で不起訴処分を獲得できれば、前科がつくデメリットを完全に免れることができると考えられます。

「嫌疑なし」「嫌疑不十分」の場面だけではなく、「起訴猶予(罪を犯したことは間違いないが、諸般の事情を総合的に考慮すると起訴処分を下す必要性がない場合)」の場面でも不起訴処分は下されるので、検察官送致後も丁寧に取調べに対応しましょう

弁護士に相談して無罪判決獲得を目指してもらう

冤罪事件の場合には、検察官による起訴処分が下されて刑事裁判にかけられた後でも無罪を主張するべきでしょう。無罪判決を獲得できれば、当然前科はつきません

ただし、検察官による公訴提起がされた以上、刑事裁判で無罪判決を獲得するには、かなり丁寧に弁論手続き・証拠調べ手続きを進める必要があります。国選弁護人に依頼するのも間違いではありませんが、無罪判決獲得を目指すなら、基本的には刑事事件に強い私選弁護人を選任するべきでしょう。

なお、刑事手続きの進捗を総合的に考慮すると、どれだけ無罪だと言い張っても、途中で有罪を覆すのが難しいことが分かる場合が多いです。そのようなケースでは、頑なに罪を認めずに反論し続けると実刑判決が下されるリスクも高まるので、状況をつぶさに判断しながら適宜執行猶予付き判決獲得に向けて方針転換する柔軟性も求められます。

執行猶予でも前科はつく!捜査対象になったら早期に弁護士へ相談しよう

執行猶予付き判決でも前科はつきます。

確かに、「実刑を回避できるのだから執行猶予で充分」という考え方も間違いではありませんが、前科によるさまざまなデメリットを考慮すると、「執行猶予付き判決を下される前段階で適切な防御活動を展開して、執行猶予付き判決さえも回避する」のが理想的な対応だと考えられます。

そのためには、警察からの任意聴取の出頭要請がかかった時点、警察から連絡はなくても将来的に捜査対象になることが予見される時点で、刑事事件に強い弁護士に相談して早期に手を打ってもらうのがおすすめです。

刑事手続きの段階によって行うべき防御方法は異なりますが、刑事弁護実績豊富な弁護士に依頼をすれば、常に被疑者・被告人利益の最大化を目指して適切な対応を期待できるでしょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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