横領事件で逮捕される理由と手続きの流れを解説!刑事事件化を防ぐコツと弁護士に相談するメリットも紹介

横領事件で逮捕される理由と手続きの流れを解説!刑事事件化を防ぐコツと弁護士に相談するメリットも紹介
横領事件で逮捕される理由と手続きの流れを解説!刑事事件化を防ぐコツと弁護士に相談するメリットも紹介

横領事件は重大な犯罪行為なので警察にバレると逮捕される可能性が高いです。防御活動に力を入れなければ、逮捕・勾留によって長期間身柄が拘束されるだけではなく、有罪判決が下されかねません。実刑判決なら一定期間収監されますし、罰金刑・執行猶予付き判決でも前科がつきます。

そのため、横領事件を起こした場合には、警察が横領行為について捜査活動を開始する前に、横領被害者との間で示談を成立させるのがポイントです。「被害申告しない」旨を示談条件に掲げれば横領行為の刑事事件化自体を回避できますし、仮に警察にバレたとしても、示談成立を理由に軽い刑事処分獲得も実現しやすくなるでしょう。

そこで、今回は、過去の横領事件を理由に逮捕されるか不安を抱える方のために、以下4点について分かりやすく解説します。

  1. 横領事件が原因で逮捕されるときの犯罪類型と法定刑
  2. 横領事件が警察にバレる理由と逮捕後の刑事手続きの流れ
  3. 横領事件で逮捕されたときに生じるデメリット
  4. 横領事件で逮捕されるか不安なときに弁護士に相談するメリット

よほど悪質な横領事件を除いて、犯罪の性質上、加害者側の対応次第で逮捕自体を回避することも難しくはありません。優秀な弁護士のサポートを得ながら、横領事件の早期解決を目指しましょう。

目次

横領事件で逮捕されるときの犯罪類型

横領事件で逮捕される場合には、以下3種類の犯罪類型のいずれかの容疑で立件されます。

  1. 横領罪(単純横領罪、委託物横領罪)
  2. 業務上横領罪
  3. 遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)

刑法上「横領罪」に分類されている3種類の犯罪類型のうち、所有権侵害だけを要件とする「遺失物等横領罪」が横領罪の基本類型です。そして、所有権侵害に委託関係侵害分の違法性が加重されたものが「単純横領罪」、委託関係が業務によってもたらされたケースについて特に刑事責任が加重されたものが「業務上横領罪」という位置付けになります。

この横領3罪の関係性を踏まえたうえで、各横領事件の構成要件及び法定刑について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

横領罪(単純横領罪、委託物横領罪)

横領罪(単純横領罪、委託物横領罪)とは、自己の占有する他人の物を横領したときに成立する犯罪類型のことです(刑法第252条第1項)。たとえば、知人から借りていたゲーム機器を無断で第三者に売却したケースが代表例として挙げられます。

単純横領罪の法定刑は「5年以下の懲役刑」です。法定刑に罰金刑が挙げられていないため、執行猶予付き判決を獲得できないかぎり、実刑判決による刑務所への収監を避けられません。

単純横領罪の成立要件は以下の通りです。

  1. 自己の占有する他人の物
  2. 横領行為

要件1.自己の占有する他人の物

単純横領罪の客体は「自己の占有する他人の物です。ここから導かれるポイントは以下の通りです。

  1. 物であること
  2. 自己が占有していること
  3. 占有が委託関係に基づくこと
  4. 物に他人性が存在すること

まず、単純横領罪の客体は「物=財物」でなければいけません。刑法上の財物は、「固体・液体・気体といった、空間の一部を占める有体物」を意味します。つまり、財産権などの”財産上の利益”は横領罪の客体からは外れるため、いわゆる「利益横領」は不可罰です。

次に、単純横領罪の客体である物は「自己が占有しているもの」に限られます。”窃盗罪における占有”が「物に対する事実上の支配」を意味するのに対して、“単純横領罪における占有”には「物に対する事実上の支配」に加えて「法律的支配」も広く含まれます(大判大正4年4月9日)。なお、他人が占有する物や、自己と他人の共同占有に属する物については、占有侵害を可罰的違法性の根拠とする窃盗罪が成立するため、単純横領罪は不成立です。

また、単純横領罪が成立するには、「他人の物の占有が委託に基づくこと」が必要とされます。単純横領罪について定める刑法典の条文には「占有の委託関係」には直接的に記載されていませんが、単純横領罪(委託物横領罪)と遺失物等横領罪を区別するために不可欠の要件です(東京高判昭和25年6月19日)。

さらに、自己の占有する物は「他人の所有物」でなければいけません。なぜなら、横領事件が違法行為として処罰対象になるのは、「他人の所有権侵害」が中核的な根拠になるからです。

要件2.横領行為

単純横領罪の実行行為は「横領行為です。

横領行為とは、「不法領得の意思を実現する一切の行為」を指すとするのが判例です(最判昭和27年10月17日)。

ここに言う”不法領得の意思“とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」のことを指します。たとえば、売買、贈与、質入れ、抵当権の設定、費消、着服などが幅広く含まれます。また、毀棄や隠匿の意思や一時使用の意思、第三者に領得させる意思などに基づいて横領行為に及んだケースでも、幅広く単純横領罪の成立を認める傾向にあるのが実務です。

なお、不法領得の意思・横領行為への該当性を争う余地が残されているケースは意外と多いので、「横領するつもりはなかった」「所有者本人のためになると思った」などの事情がある場合には、弁護士に相談しながら今後の防御方針を決定してもらいましょう。

業務上横領罪

業務上横領罪とは、業務上自己の占有する他人の物を横領したときに成立する犯罪類型のことです(刑法第253条)。たとえば、集金業務を担当している従業員が顧客から集めた現金を自分のポケットに入れて会社には「未収金」として報告するようなケース、経理担当者が会社の預金口座から自分の口座にお金を振り込むケースなどが代表例として挙げられます。

業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役刑」です。委託に基づく他人の物の占有が「業務」として行われている点に特徴があるため、単純横領罪に比べて責任が加重されています。

業務上横領罪の成立要件は以下の通りです。

  1. 自己の占有する他人の物
  2. 横領行為
  3. 業務上の占有者であること

要件1.自己の占有する他人の物

業務上横領罪の客体は「自己の占有する他人の物です。

詳細については単純横領罪の箇所をご参照ください。

要件2.横領行為

業務上横領罪の実行行為は「横領行為です。

詳細については単純横領罪の箇所をご確認ください。

要件3.業務上の占有者であること

業務上横領罪が成立するには、他人の所有物を「業務上」占有していることが求められます。

そもそも、業務とは「社会生活上の地位に基づいて反復継続して行われる事務」のことですが、業務上横領罪における「業務」とは「委託を受けて物を管理・占有・保管することを内容とする事務」を意味します。

たとえば、質屋・倉庫業者・経理担当者などが代表例です。また、会社との雇用関係が終了しても、後任に業務の引き継ぎが終わるまでの間は、業務上の占有者の地位が存続すると評価された事例もあります(大判大正11月8月3日)。さらに、本来的な業務に基づく占有だけではなく、本来業務に付随して物を保管・管理するようなケースでも、「業務条の占有者」に該当すると扱われます。

遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)

遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)とは、遺失物や漂流物、その他占有を離れた他人の物を横領したときに成立する犯罪類型のことです(刑法第254条)。「本人の所有権侵害」という点だけが違法性の根拠となるので、単純横領罪・業務上横領罪の基本類型に位置付けられます。たとえば、道路に落ちている財布を拾って中身を抜き取ったようなケースが具体例です。

遺失物等横領罪の法定刑は「1年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑もしくは科料」です。単純横領罪や業務上横領罪と比較すると刑罰内容はかなり軽いので、遺失物等の横領事件を起こして逮捕された場合には、執行猶予付き判決や罰金刑などによって実刑判決回避を目指すだけではなく、微罪処分や不起訴処分などを目指す余地も残されていると言えるでしょう。

遺失物等横領罪の成立要件は以下の通りです。

  1. 遺失物や漂流物など、他人の占有を離れた他人の物(占有離脱物)
  2. 横領行為

要件1.占有離脱物

遺失物等横領罪の客体は「他人の占有を離れた他人の物(占有離脱物)です。刑法典に記載されている遺失物・漂流物などの誰の占有にも属さない物だけではなく、人の占有に属しているが当該占有が委託に基づかない物もここに含まれます。

その一方で、所有者が所有権を放棄した物や無主物は、遺失物等横領罪の客体からは除外されます。たとえば、岩石に付着して自生した海草は岩石から剥離してはじめて所有権の対象になるものなので、岩石の所有者・加工者の所有物には属さず、遺失物等横領罪の対象ではありません(大判大正11年11月3日)。

要件2.横領行為

遺失物横領罪の実行行為は「横領行為です。

詳細については単純横領罪の箇所をご確認ください。

【注意!】横領罪と他罪との違い

財産犯である横領罪については、窃盗罪及び背任罪との違いに注意が必要です。

横領罪と窃盗罪の違い

窃盗罪とは、他人の財物を窃取したときに成立する犯罪類型のことです(刑法第235条)。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」と定められています。

窃盗罪の客体は「他人が占有する財物」です。これに対して、横領罪の客体は「自己が占有する他人の財物」です。つまり、横領罪と窃盗罪の大きな違いは「物を取得したときに当該財物を誰が占有していたのか」という点にあると考えられます。

たとえば、ショッピングモール内を歩いている客の鞄から財布を掏った場合には「客が占有する財布」を窃取したと言えるので窃盗罪が成立します。これに対して、ショッピングモール内のベンチに置き忘れてあった財布を持ち去った場合には遺失物等横領罪の成否が問題となるでしょう。

なお、「財物を取得したときに誰の占有権原下にあったか」は個別具体的な事情を総合的に考慮して決定されます。たとえば、財布をベンチに置き忘れてから数秒しか経過しておらず、所有者もベンチから数メートル程度しか離れていないようなケースで、財布を置き忘れたことにすぐに気付いてベンチまで戻ってきたようなケースでは、所有者が未だにベンチに置かれた財布の占有権原を有していたと評価される可能性が高いです(つまり、この状況で財布を持ち去ると窃盗罪が成立します)。これに対して、ベンチに置き忘れてから数十分が経過しており、所有者もベンチから相当の距離を離れてしまっているような状況なら、所有者の財布に対する占有は既に失われていると評価される可能性が高いので、これを持ち去ったとしても遺失物等横領罪が成立するに留まるでしょう。窃盗罪と遺失物等横領罪では法定刑に乖離があるので、両罪のいずれが成立するかが微妙なケースではかならず弁護士に相談をして適切な防御活動を展開してもらうべきでしょう。

横領罪と背任罪の違い

背任罪とは、他人のためにその事務を処理する物が、自己もしくは第三者の利益を図る目的・本人に損害を加える目的で、その任務に違反する行為を行い、本人に財産上の損害を加えたときに成立する犯罪類型のことです(刑法第247条)。背任罪の法定刑は「5年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」と定められています。

横領罪と背任罪は、「他人から委託・信任を受けた人物が、その委託に反して、相手に対して損害を与える」という点で共通しています。

これに対して、横領罪の処罰対象は「自己の占有する他人の財物を勝手に処分する行為」であるのに対して、背任罪の処罰対象は「任務に違反して他人に損害を与える行為」とされる点に違いがあります。また、横領罪では特定の「自己の占有する他人の財物」が客体として掲げられるのに対して、背任罪では「任務違背行為によって全体財産規模で財産上の損害が生じたこと」が問題視されるという点も異なります。

なお、事案によっては横領罪と背任罪の両罪の構成要件を満たす場合がありますが、両罪は法条競合の関係に立ち、重い方の犯罪である単純横領罪・業務上横領罪だけが成立するに留まります(大判昭和10年7月3日)。

横領事件を起こして逮捕されるまでの経緯や立件された後の流れ

「横領事件を起こしても警察は動かない」「業務上横領事件が会社にバレても逮捕されない」というのは間違いです。

もちろん、業務上横領でも被害額が少額かつ弁償済みであり会社が刑事告訴をしないケースなどでは、事件が明るみに出ないこともあり得るでしょう。

しかし、単純横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪のいずれもれっきとした犯罪であるため、横領加害者サイドで特別な防御活動を展開しなければ、横領事件について情報を掴んだ捜査機関が刑事手続きを進める可能性が高いです。

横領事件を起こして逮捕されるまでの流れやその後の刑事手続きは以下のように推移します。

  1. 警察から横領事件について連絡がくる
  2. 横領の容疑で逮捕された場合には警察で48時間以内の取調べ
  3. 横領事件が検察から検察官に送致される
  4. 検察で24時間以内の取調べ(勾留請求されると最大20日間)
  5. 検察官が横領事件について起訴・不起訴を決定する
  6. 検察官が公訴提起すると横領事件が刑事裁判にかけられる

横領事件を起こして刑事訴追された場合、比較的軽微な犯行であれば身柄拘束自体を回避できる可能性もありますが、数百万円以上の被害額が発生しているようなケースでは厳しい刑事処分を免れることができません。

刑事手続きのステージごとに採り得る防御策は異なるので、弁護士に相談のうえ、少しでも社会復帰しやすい環境整備を目指してもらいましょう。

警察から接触がある

横領事件が刑事手続きに乗せられる場合、警察から何かしらの方法で接触があるのがほとんどです。

ただし、横領事件の種類や事件態様によって警察からの接触方法は異なります

横領事件が警察にバレるのは被害申告がきっかけ

殺人事件や万引き事犯とは異なり、横領事件についての捜査活動がスタートするのは「被害申告」が端緒となります。

被害申告とは、会社などの横領被害者が横領事件について警察に相談したり、被害届や告訴状を提出したりすることです。

裏を返せば、横領事件の被害者が告訴状を提出する前の段階で示談交渉を進めて「被害弁償する代わりに刑事告訴はやめて欲しい」旨の約束を取り付けてしまえば、横領事件が警察にバレることなく民事的な解決で済ますことが可能です。特に、業務上横領罪が問われるような事案では、横領事件について刑事告訴することが会社にとってもデメリットが大きい(報道されたときの社会的な影響等)と判断されることも少なくないので、横領加害者側が誠実な対応をすれば示談が成立する可能性は高いでしょう。

したがって、逮捕・勾留による長期の身柄拘束や前科を避けたいのなら、横領事件をはじめとする刑事事件に力を入れている弁護士に相談をして、できるだけ早期に示談成立を目指してもらうべきだと考えられます。

遺失物等横領罪のケースは現行犯逮捕もあり得る

単純横領罪や業務上横領罪が問われるケースでは被害申告が捜査の端緒になるのが一般的ですが、遺失物等横領罪の事案では現行犯逮捕及び準現行犯逮捕によって身柄が押さえられる可能性もあります

現行犯逮捕とは、裁判官の発付する逮捕令状なしで、現行犯人(現に罪を行った者または現に罪を行い終わった者)の身柄を拘束する強制処分のことです(刑事訴訟法第212条第1項、第213条)。たとえば、公道上などに落ちている財布を置き引きした瞬間を所有者などに見つかって取り押さえられたようなケースが現行犯逮捕の典型例として挙げられます。

準現行犯逮捕とは、犯人として追呼されている者、贓物や犯行に使用した兇器などの証拠物を所持している者、身体や被服に犯罪の顕著な証跡がある者、誰何されて逃走しようとする者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときに、逮捕状なしで当該人物の身柄を拘束する強制処分のことを指します(同法第212条第2項)。たとえば、置き引き被害が頻発しているエリアを巡回中の捜査員に犯行を目撃されて現場から逃走しようとしたが追跡を免れることができず逮捕に至ったようなケースが準現行犯逮捕の具体例です。

遺失物等横領罪で現行犯逮捕された場合、初犯で被害額が少額、被害弁償が済んでいるなどの事情があれば「微罪処分」として早期の刑事手続き終結を見込めるものの、短時間とはいえ身柄拘束期間が発生することは避けられません。社会生活への支障を軽減するには身柄拘束期間はできるだけ短い方が良いので、かならず早期に弁護士に相談をして、被害者との間で示談交渉をまとめてもらいましょう。

微罪処分とは、検挙した事件を送検せずに、警察限りの判断で刑事手続きを終結させる事件の処理のことです(刑事訴訟法第246条但書、犯罪捜査規範第198条)。警察が逮捕等をした事件すべてについて送検を義務付けると検察官や裁判所の事件処理が追い付かないので、合理的な刑事司法処理を実現する目的から、以下の要件を満たす事件類型について微罪処分が認められています。

  • 軽微な犯罪類型であること(窃盗罪、詐欺罪、横領罪、暴行罪など)
  • 被害が僅少であること(被害額が少額など)
  • 犯情が軽微であること(衝動的な犯行、計画性がないなど)
  • 被害者との間で示談が成立していること、被害弁償が済んでいること
  • 素行不良者ではないこと(前科・前歴がない、初犯であることなど)
  • 被害者の処罰感情が薄いこと
  • 犯行に対して真摯に反省をしていること
  • 監護者や身元引受人がいること

たとえば、散歩中にたまたま落ちていた財布を見つけて衝動的にネコババしてしまったようなケースであれば、財布から抜き取ったお金が数千円程度で被害者に慰謝料込みで解決金を支払っているなら、仮に逮捕されたとしても早期の微罪処分獲得が可能です。ただし、「軽微な犯罪ならかならず微罪処分に付される」というわけでもないので、身柄拘束回避や早期の身柄釈放を目指すならどのような横領事件でもすみやかに私選弁護人を選任するべきでしょう。

逃亡や証拠隠滅のおそれが少ないと任意ベースで刑事手続きがスタートする

横領事件が現行犯逮捕以外の場面で問題になるケースのうち、逃亡や証拠隠滅のおそれがない事案では、横領事件について警察から任意で事情聴取の要請がかけられることが多いです。

そもそも、捜査機関側が「犯罪の捜査をする必要がある」と判断したときには、捜査令状なしで出頭要請をかけて取調べを実施できます(刑事訴訟法第198条第1項本文)。ただし、「任意」という名前からも明らかなように、出頭要請や取調べに応じるか否か、いつ取調べを打ち切って退去するかは、あくまでも捜査対象者の自由です(同法第198条第1項但書)。

つまり、横領事件について警察から任意の出頭要請がかかった場合には、警察からの呼び出しに対して素直に応じるのも良いですし、出頭要請を拒絶したり取調べを途中で切り上げたりしても、それ自体に対して特別なペナルティが科されるというわけではないということです。

横領事件に関する警察からの任意の呼び出しに応じないと後日逮捕される可能性が高まる

ただし、横領事件について任意での出頭要請がかけられた場合には、できるだけ捜査機関の意向にしたがって事情聴取に応じた方が良いでしょう。

なぜなら、警察による任意捜査に対して誠実な態度を見せなければ「逃亡や証拠隠滅のおそれががある」と判断されるため、裁判所に対して逮捕状が請求されて、令状に基づく通常逮捕手続きによって強制的に身柄拘束付きの取調べを強いられることになるからです。

つまり、横領事件について警察が任意ベースで捜査活動を実施してくれている間は、それに素直にしたがった方が捜査対象者にとってもメリットが大きいということです。同じように取調べを受けるなら、逮捕処分が下される身柄拘束付きの取調べよりも、ある程度融通が効く任意ベースでの取調べの方が良いのは当然でしょう。

通常逮捕されると社会生活から切り離されてさまざまなデメリットが生じるので、弁護士と相談しながら丁寧に取調べに対応してください。

横領事件を起こしても任意の事情聴取に応じれば在宅事件扱いの期待が高まる

横領事件に関する警察からの事情聴取に応じれば、在宅事件扱いで刑事手続きが処理される可能性が高まります。

在宅事件とは、逮捕・勾留による身柄拘束をされることなく捜査手続きや裁判手続きが進められる事件類型のことです。日常生活を送りながら刑事手続きを済ますことができるので、手続き遂行の負担を大幅に軽減可能です。たとえば、捜査機関からの要請を受けたら横領事件に関する任意の取調べに応じて、在宅起訴後、裁判所から指定された期日に刑事裁判を受けることで、判決までの手続きが終了します。

ただし、逮捕・勾留のような時間制限がある刑事手続きを経るわけではないので、在宅事件扱いになると横領事件についての捜査活動がいつ終わるか分かりません。場合によっては数カ月~年単位で任意ベースの取調べ等が実施される可能性も否定できない点に注意が必要です。

横領事件で逮捕されない可能性が高い事案

横領事件を起こしても逮捕されずに任意ベースで刑事手続きが進められる可能性があるのは、横領事件が以下のような要素を備えている場合に限られます。

  • 勤務先や現住所が明らかであること
  • 横領事件について否認していないこと
  • 着服額が少額であること(業務上横領罪なら200万円以下が目安)
  • 会社との間で示談が成立していること
  • 横領被害についての被害弁償が済んでいること、弁済計画について当事者間で合意が形成されていること

これらの要素のなかで特に重要なのが「示談」です。余程高額な横領事件でない限り、民事的な解決が済んでいれば軽い刑事処分を期待できるので、横領事件を理由に逮捕されたくないなら、すみやかに弁護士に相談をして早期の示談成立を目指しましょう。

悪質な横領事件を起こすといきなり後日逮捕される可能性が高い

横領事件を起こして「留置する必要がある」と捜査機関に判断された場合には、裁判所が発付する逮捕状を根拠に通常逮捕されます(刑事訴訟法第199条第1項)。

たとえば、会社から1000万円以上の高額を着服して業務上横領罪に問われているようなケースでは、仮に弁済方法について会社との間で合意が形成されていたとしても、横領行為自体が相当悪質だと考えられるために、逮捕状が請求されます。また、常習的な置き引き行為によって捜査機関にマークされていたような事案でも、周辺の防犯カメラ映像などを解析するなどの方法で身元が特定されて、遺失物等横領罪の容疑でいきなり通常逮捕手続きが踏まれることもあり得るでしょう。さらに、任意の取調べで虚偽の供述をしたり警察と約束した期日に出頭しなかったりする場合にも、通常逮捕の可能性が高まります。

横領事件を理由として後日逮捕されることを防ぐには、被害申告を避けること、つまり、事前に被害者との間で示談を成立させて被害申告しない旨の同意を引き出すのがポイントです。すみやかに示談交渉のノウハウ有する弁護士に相談のうえ、被害者との話し合いを進めてもらいましょう。

横領事件を起こすと公訴時効が完成するまではいつ後日逮捕されるか分からない

横領事件を起こした場合、捜査機関がどのタイミングで逮捕手続き等に着手するかは事案の性質によって異なります。

ただ、少なくとも、横領事件について公訴時効が完成するまでの間は、常に後日逮捕されるリスクに晒されるという点に注意が必要です。なぜなら、犯罪行為に対していつ捜査権を行使するかは警察側の裁量に委ねられているからです。

横領罪の公訴時効は以下の通りです(刑事訴訟法第250条第2項)。

犯罪類型 法定刑 公訴時効
単純横領罪 5年以下の懲役刑 5年
業務上横領罪 10年以下の懲役刑 7年
遺失物等横領罪 1年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑もしくは科料 3年

たとえば、会社のお金を着服したことが現段階ではバレていないとしても、横領行為に及んでから7年間は業務上横領罪の公訴時効は完成しません。企業は定期的に財務状況等をかならずチェックするので、この7年間の間に不正引き出し等がバレる可能性は極めて高いです。そして、横領行為がバレて自力で返済できない状況になると、被害申告は避けられないでしょう。つまり、「公訴時効完成まで逃げ切って横領事件の刑事的責任を回避する」というのは事実上不可能だということです。

したがって、過去の横領行為が未だにバレていないとしても、事前に弁護士に相談したうえで、会社に自ら横領行為に及んだことを告白して、示談交渉などを進めた方が合理的だと考えられます。仮に警察に通報されたとしても「自ら犯行を自供した」という事情があれば軽い刑事処分を期待できるでしょう。

横領事件で逮捕される可能性が高い事案

以下のような事情が存在すると、横領事件を理由として後日逮捕される可能性が高まります。

  • 横領事件について否認している、主張が一貫していない
  • 横領の被害額が高額
  • 横領事件などの財産犯関係の前科・前歴がある
  • 複数人で計画的に横領事件を起こした可能性が高い
  • 職業や住居が明らかでない
  • 被害者との間で示談が成立していない、約束通りに被害弁済されていない
  • 被害者の処罰感情が強い

これらを踏まえると、余程高額で悪質な横領事件を起こした場合以外は、警察による事情聴取に誠実に対応しつつ示談交渉を成立させることによって後日逮捕を回避できるということです。警察が逮捕状を請求した段階で後日逮捕を回避できなくなるので、被害申告される前にすみやかに示談交渉をご検討ください。

警察に逮捕された後は横領事件について48時間以内の取調べを受ける

横領事件を起こした容疑で逮捕されると、警察において身柄拘束付きの取調べが実施されます。

取調べの期間は最大48時間です(刑事訴訟法第203条第1項)。留置の必要がないと判断されると逮捕処分が解かれて身柄は釈放されますが、さらに捜査する必要性があると判断されるケース・微罪処分が相当ではないケースでは送検されます。

なお、現行犯逮捕であれ通常逮捕であれ、逮捕処分によって身柄が押さえられると、取調べ期間中は外部と連絡をとることができなくなってしまいます。身柄拘束期間中に面会できるのは選任した弁護人だけなので、横領事件の容疑で逮捕された場合には、すみやかに弁護人選任権を行使して私選弁護人の助けを借りるべきでしょう。

警察から検察官に横領事件が送致される

横領事件の容疑で逮捕された後、微罪処分を獲得できなければ、警察から検察に身柄が送致されます。

検察段階で実施される取調べは原則24時間以内です(刑事訴訟法第205条第1項)。警察から送付された証拠書類及び検察官の面前における供述等を総合的に考慮して、公訴提起をするか否かが判断されます。

重大な横領事件は勾留請求される可能性が高い

ただし、横領事件のような複雑な事件類型の場合、警察段階48時間と検察段階24時間だけでは取調べ期間が足りないことも少なくありません。

このようなケースでは、例外的に、検察官による勾留請求が認められています(同法第208条各項)。勾留請求が認められた場合、10日間~20日間の範囲で勾留期間が指定されて、身柄拘束付きの取調べが延長されます。

なお、送検後及び勾留請求後の取調べ期間中も、逮捕段階と同じように外部と一切連絡をとることができません。単純横領罪や遺失物等横領罪の容疑で逮捕・勾留されたケースでは、会社に欠勤理由を説明できない期間が長期化するため、日常生活への支障がかなり大きくなるでしょう。

検察官が横領事件について起訴・不起訴を決定する

横領事件についての身柄拘束期間が満了するまでに、検察官が横領事件を公訴提起するか否かの判断(起訴処分不起訴処分)を下します

起訴処分とは、横領事件を刑事裁判にかける旨の意思表示のことです。日本の刑事裁判の有罪率は約99%以上とも言われているので、検察官が起訴処分を下した時点で有罪になることがほぼ確定すると言っても過言ではないでしょう。

これに対して、不起訴処分とは、横領事件を刑事裁判にかけずに検察限りの判断で刑事手続きを終結させる意思表示のことです。取調べを実施したが横領事件を起こした疑いがないケース(嫌疑なし)、取調べの結果から横領事件の嫌疑が不十分のケース(嫌疑不十分)、取調べの結果から横領事件を起こしたことは間違いないが公訴提起の必要性がないケース(起訴猶予のいずれかの場合、不起訴処分が下されます。

実際に横領事件を起こした場合、不起訴処分を獲得できるかが今後の人生を大きく左右します。検察官による起訴・不起訴の判断までに示談を成立させられるかが分岐点になるので、横領事件について見に覚えがあるなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をして示談等の防御策について検討してもらいましょう。

横領事件が刑事裁判にかけられる

検察官が起訴処分を下した場合、横領事件は公開の刑事裁判にかけられます。

刑事裁判の日程は起訴処分から1カ月~2カ月のタイミングで指定されることが多いです。公訴事実に争いがなければ第1回期日で結審しますが、否認事件や公訴事実に争いがあるケースでは複数回の期日を経て弁論手続き・証拠調べが実施されて判決言い渡し日を迎えます。

起訴処分が下されてすぐに保釈請求が認められると刑事裁判までの間は自宅に戻ることができますが、保釈請求が却下されると判決が確定するまで拘置所に収容されます(横領事件について実刑判決が確定するとそのまま刑が執行されます)。

遺失物等横領罪の法定刑には「罰金刑」が定められているので、略式手続き(略式命令・略式起訴・略式裁判)による早期の手続き終結を目指せます。略式手続きとは、100万円以下の罰金刑や科料に相当する簡易裁判所の管轄事件について、被疑者に異議のない場合に限って、検察官の提出した書面による審査のみで事件を終結させる手続き類型のことです(刑事訴訟法第461条)。公開の刑事裁判を経ずに刑事手続きが終わるので、社会復帰のタイミングを前倒しできます。また、略式手続きを選択すると刑事裁判における無罪主張の機会を失いますが、罰金刑を落としどころにできる(実刑判決を回避できる)点がメリットとして挙げられるでしょう。

横領した人の末路とは?逮捕や有罪によって生じるデメリット4点

横領事件を起こして特別な防御活動に注力しなければ悲惨な末路が待っています。

なぜなら、横領事件を理由に逮捕・有罪になると、以下4点のデメリットが生じるからです。

  • 横領事件が実名報道されると社会的信用が失墜する
  • 横領事件が原因で会社から懲戒処分を下される
  • 横領事件が学校にバレると退学処分等の対象になる
  • 横領事件で前科がつくと今後の生活にさまざまな支障が生じる

横領事件で実名報道されると社会的信用を失う

高額の着服で業務上横領罪に問われるケースや、話題性の高い置き引き事犯などは、ニュース報道やネットニュース等で実名報道される可能性があります。そして、インターネットが普及した現状において、一度でも実名報道されてしまうと、半永久的に横領事件を起こしたことがWeb検索ですぐに判明する状態におちいってしまうでしょう。

たとえば、就職活動の際には、求職者の氏名をネット検索するということが当たり前のように行われます。過去の横領事件が簡単に明るみに出るので、書類審査を通過することさえ簡単ではなくなります。また、同級生や知人などによってふとした時に名前を検索されるだけで、所属コミュニティーにおける信用が失墜しかねません。

もちろん、名誉棄損に該当するようなSNSの書き込みなどは削除請求などの法的措置によってある程度対処できますが、すべてのインターネット情報を抹消しきるのは不可能に近いです。そのため、どれだけ反省して社会復帰を目指そうにも過去の横領事件が足枷となってつきまとい続けるでしょう。

横領事件が原因で会社から厳しい懲戒処分を下される可能性が高い

横領事件を起こすと会社から懲戒処分を下される可能性が高いです。どのような懲戒処分が下されるかは各社の就業規則次第ですが、戒告・譴責・訓告・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇のいずれかが下されるでしょう。

まず、業務上横領罪に問われるような着服事件については、会社側が被害者である以上、隠し通すのは不可能です。横領行為は会社に対する深刻な背任行為なので、懲戒解雇事由に相当するケースがほとんどです。退職金が支払われないだけではなく、着服金に加えて損害賠償請求をされる可能性も高いので、かなりの金銭的な負担も発生します。

次に、会社とは無関係の単純横領罪や遺失物等横領罪の容疑で逮捕されたり有罪になったりした場合にも、何かしらの懲戒処分が下されるでしょう。業務上横領に問われるケースとは違って、会社に対する背信行為ではないので、懲戒解雇処分に相当するかは争う余地が残されています。ただし、戒告・譴責・訓告などの軽い処分であったとしても同僚などからの信用はなくなるので、仕事をやりにくくなるのは避けられません。

したがって、業務上横領のケースは別として、単純横領罪や遺失物等横領罪に問われるケースでは会社にバレないように横領事件を解決するのが重要だということです。被害申告される前に示談を成立させたり、逮捕されても早期釈放を実現させたりすれば、会社に知られずに横領事件を解決できるので、横領事件を起こした場合にはできるだけ早いタイミングで弁護士までご相談ください

横領事件が学校にバレると退学処分などを下される可能性が高い

アルバイト先のお金を着服する、学校内で置き引きをする、部費を私的流用するなど、学生でも横領事件を起こしてしまうことがあり得ます。

そして、学生が横領事件を起こして逮捕・有罪になった場合には、学則・校則の規定にしたがって何かしらの処分が下されるでしょう。

たとえば、犯罪行為に対して厳しい考え方をもっている学校の場合、退学処分が下される可能性も否定できません。これに対して、比較的軽微な横領事件のケースでは、学生の更生を見込んで厳重注意停学処分で済むこともあり得ます。

なお、幸いなことに、会社を連続欠勤するのとは違って、学校を数日~数週間欠席することになってもある程度言い訳しやすいのが実情です。学生の場合には横領事件で逮捕・勾留されても学校にバレずに解決しやすいので、刑事事件に強い弁護士までご相談ください

前科がつくと今後の日常生活にさまざまな悪影響が生じる

横領事件を理由として有罪判決が下されると前科がつきます

まず、実刑判決が確定すると刑期を満了するまでの間は刑務所に収監されるので、社会生活から切り離されることになります。実刑判決をくらった段階で会社・学校生活は諦めなければいけないので、今後の人生計画が大幅に狂うでしょう。

次に、仮に罰金刑・執行猶予付き判決が確定したとしても、前科がつくことに変わりはありません。そして、前科がつくと以下のデメリットが今後の日常生活に生じます

  • 前科情報は履歴書の賞罰欄に記載しなければいけない
  • 前科を隠して就職活動・転職活動で内定を獲得しても、後にバレると経歴詐称を理由として懲戒処分を下される
  • 前科があるだけで就けない職種・資格がある(金融業・士業・警備員など)
  • 前科は法定離婚事由に該当するので、配偶者からの離婚の申し出を拒絶できない
  • 前科を理由にパスポートやビザの発給が制限されることがある
  • 再犯時の刑事処分や判決内容が重くなる可能性が高い

以上を踏まえると、横領事件を起こした場合には、実刑判決を回避することも重要ですが、同時に、前科がつかないように最低でも不起訴処分を獲得するのがポイントになると考えられます。

被害申告される前に示談成立を達成すれば刑事事件化自体を回避できるので、横領事件に心当たりがある方は、すみやかに弁護士に示談交渉を依頼してください

横領事件で逮捕されたときや刑事訴追が不安なときに弁護士へ相談するメリット3点

過去に起こした横領事件を理由として刑事訴追されるか不安を抱えている人や、横領事件について警察から問い合わせがあった人、あるいは、ご家族などが横領事件で逮捕された場合には、可能な限り早いタイミングで弁護士までご相談ください。

なぜなら、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士の力を借りることによって、以下3点のメリットが得られるからです。

  1. 早期の示談成立によって被害申告を回避したり、軽い刑事処分獲得を実現できる
  2. 横領事件が警察にバレる前に自首する有効性を検討してくれる
  3. 横領事件で逮捕・勾留されても接見交通権をフル活用して励ましてくれる

横領事件の被害者と早期に示談をまとめてくれる

刑事事件に強い弁護士は横領事件における示談の重要性を理解しています。

まず、横領事件について被害申告される前に示談がまとまれば、被害届や告訴状の提出を回避できるので、横領事件の刑事事件化自体を防ぐことができます

また、仮に横領事件についての捜査活動が開始した後でも、示談が成立して民事的な解決が済んでいるだけで、軽い刑事処分を期待できます。横領事件の詳細次第ですが、逮捕されずに済むこともあるでしょうし、微罪処分や不起訴処分を獲得できる可能性も見出せるでしょう。残念ながら起訴処分が下されたとしても、示談が成立しているか否かを量刑を左右する要素になるので、罰金刑や執行猶予付き判決によって実刑を回避しやすくなります。

理屈上、民事事件と刑事事件はまったく別物ですが、民事的解決が済んでいるか否かは刑事手続きのあらゆる場面で斟酌されるものです。少しでも有利な刑事処分を獲得できれば今後の社会復帰を目指しやすくなるので、示談交渉のプロに委ねて円滑な解決を目指しましょう。

横領事件で逮捕される前に自首するべきかを検討してくれる

横領事件を起こした場合、警察に発覚する前に被害者との間で示談をまとめるのが最優先事項ですが、被害者側の対応次第では示談交渉がスムーズに進まずに被害申告のリスクが高まることもあり得ます。

このような緊迫した状況では、被害申告をされる前に横領犯人自身が自首するのがポイントです。なぜなら、自首をした姿勢が捜査機関や裁判所に高く評価されて、刑の減軽を期待できるからです(刑法第42条第1項)。

刑事事件の実績豊富な弁護士なら、示談交渉の行く末を経験値から予測できます。軽い刑事処分を実現する手段は示談だけではないので、かならず刑事手続きの全体像から状況に応じて適切な選択肢を採用できる弁護士の力を借りましょう

横領事件で逮捕・勾留されて不安を抱える被疑者を接見機会を活用して励ましてくれる

横領事件の容疑で逮捕・勾留された場合、身柄拘束期間中は担当弁護人しか面会が許可されません

そのため、逮捕・勾留によって身柄を押さえられた被疑者にとって、弁護士との接見機会は非常に重要な位置付けになると考えられます。

まず、逮捕・勾留中は取調室と留置施設の往復だけになるので、接見機会を利用した励ましがなければ心身が疲弊し、厳しい取調べを乗り切るのは簡単ではありません。また、接見機会を通じて取調べに対する供述方針を決定してくれるので、捜査機関の心証が良くなるでしょう。さらに、接見のタイミングを活用して家族や会社・学校への対応方法などについても適宜相談できます。

刑事弁護の実績豊富な専門家ほど細やかなケアにも抜かりないので、「捜査機関vs被疑者」という構図に真正面から向き合うにあたって、弁護士のサポートは絶大な意味をもつでしょう。

横領事件で逮捕されるか不安なときはすみやかに弁護士に相談しよう

横領事件について穏便な解決を目指すなら、どのような状況でも「被害者との示談」が重要な役割を担います。そのため、横領の容疑で逮捕されるか不安なときには、できるだけ早いタイミングで民事的解決を目指すべきでしょう。

ただし、犯罪被害者と横領犯人が直接話し合いの場を設けても、冷静に話し合いができない可能性が高いです。また、着服金額が高額なケースでは示談金の支払い方法についてもシビアな交渉が必要になるので、「現実的に支払い可能なライン」と「横領被害者が納得できる支払方法」を丁寧にすり合わせる作業も不可欠です。

したがって、横領事件の早期解決を実現するなら、示談交渉の実績豊富な弁護士に相談するのが最適だと考えられます。私選弁護人のスキル次第で今後の社会復帰の可能性も大きく左右されるので、専門家選びは慎重に行いましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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