恐喝で逮捕された場合の刑事手続きの流れとは?刑事事件化を防ぐ示談の重要性を解説

恐喝で逮捕された場合の刑事手続きの流れとは?刑事事件化を防ぐ示談の重要性を解説
恐喝で逮捕された場合の刑事手続きの流れとは?刑事事件化を防ぐ示談の重要性を解説

恐喝罪で逮捕されたときには、被害者との間で早期に示談成立を目指すのが重要です。なぜなら、恐喝事件が警察に発覚して逮捕手続き等に移行するのは「被害申告」がきっかけになるケースがほとんどなので、すみやかに和解契約締結に成功すれば、被害届の提出自体を回避できる可能性を見出せますし、仮に警察が恐喝事件を掴んだとしても、民事的解決が済んでいることを理由として軽い刑事処分が下される期待も増すからです。

言い換えれば、恐喝事件を起こしたにもかかわらず特別な防御活動を展開しなければ、初犯と言えども実刑判決が下されるなどして前科がつくリスクに晒されかねないでしょう。

そこで今回は、過去に恐喝事件を起こして逮捕されるか不安を抱えている方や、ご家族が恐喝の容疑で逮捕されてしまった方のために、以下5点について分かりやすく解説します。

  1. 恐喝罪の構成要件と法定刑
  2. 恐喝事件を起こしたときに問われ得る犯罪類型
  3. 恐喝罪で逮捕されるときの刑事手続きの流れ
  4. 恐喝罪で逮捕されたり有罪になったりするときに生じるデメリット
  5. 恐喝罪での刑事訴追リスクを抱えているときに弁護士へ相談するメリット

恐喝罪は刑法典のなかでも重大犯罪に位置付けられるので、「初犯だから逮捕されない」「通りすがりのカツアゲだから警察に身元特定されるはずがない」と油断するのは厳禁です。警察が恐喝事件を掴むと、かならず入念な捜査活動が展開されます。

不良仲間や反社会的組織との関係を断って社会更生の道を目指すなら、恐喝被害者との間で早期に話し合いを進めるために、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士のサポートが不可欠でしょう。

目次

恐喝行為に及んで逮捕されるときの犯罪類型

カツアゲなどの恐喝事件を起こした場合、警察が捜査活動をスタートすると、以下の容疑を理由として逮捕されます。

  1. 恐喝罪
  2. 恐喝未遂罪
  3. その他恐喝事件に関連する犯罪類型

まずは、各犯罪類型の構成要件及び法定刑について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

恐喝罪

恐喝罪とは、「人を恐喝して財物を交付させたとき、また、人を恐喝して財産上不法の利益を得たり、他人に財産上不法の利益を得させたりしたとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第249条)。

恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役刑」と定められています。

恐喝罪の成立要件は以下の通りです。

  1. 財物もしくは財産上不法の利益
  2. 恐喝行為
  3. 交付意思に基づく交付行為
  4. 物・利益の移転

要件1.財物・財産上不法の利益

1項恐喝罪(恐喝取得罪)の客体は「財物」、2項恐喝罪(恐喝利得罪)の客体は「財産上不法の利益」です。

恐喝罪の客体である「財物」は、「他人の占有する他人の財物」を意味します。横領罪では「”自己の占有する他人の財物”を領得する行為」が処罰対象とされていますが、恐喝罪は窃盗罪・強盗罪と同じく「”他人の占有”を侵害する行為」を処罰対象とするものだからです。

なお、恐喝罪の客体である「財物」には、動産だけではなく不動産も含む、とするのが判例です(大判明治44年12月4日)。これは、不動産については所有権登記名義による法律的支配によって当該不動産に対する占有を肯定できるのが実情だからです。たとえば、恐喝行為によって不動産の登記名義を取得する場合には1項恐喝罪が、恐喝行為によって不動産の事実的支配権(居住の利益)を取得する場合には2項恐喝罪が成立すると考えられます。

要件2.恐喝行為

恐喝罪の実行行為は「恐喝」です。

恐喝とは、「暴行または脅迫によって被害者を畏怖させること」を意味します。また、暴行または脅迫の程度は、「被害者の反抗を抑圧する程度に至らないもの」でなければいけません。なぜなら、恐喝罪が成立するには「(瑕疵ある)被害者の意思に基づく財物の交付行為」が必要ですが、被害者の反抗を抑圧する程度に至るほどの暴行・脅迫が加えられると交付行為自体が不可能になってしまうからです。

まず、恐喝の手段は「脅迫」だけではなく「暴行」も含まれます最判昭和24年2月8日)。なぜなら、暴行行為が加えられた後、「さらに暴行が加えられるかもしれない」という脅迫的観念が被害者を畏怖状態に追い込むこともあり得るからです(最判昭和33年3月6日)。仮に、暴行行為によって被害者の反抗が抑圧されて、その状態を利用して財物を奪取したようなケースでは、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。

次に、恐喝罪の手段である脅迫は、「相手を畏怖させるに足る害悪の告知」であり、財物または財産上の利益の交付に向けられたものでなければいけません。ただ単に相手を困惑させる程度では恐喝罪になる言葉には該当しませんし、財物等の交付を目的としない害悪の告知は脅迫罪が成立するにとどまります。

さらに、相手を畏怖させるものであれば脅迫の手段は問われません。たとえば、告知する加害が虚構のもの、相手の家族・知人・友人・その他第三者に対する加害の告知、明示的な言動ではなく経歴・職業などを悪用した黙示的な圧力などが幅広く含まれます(最判昭和24年9月29日)。

要件3.交付意思に基づく交付行為

恐喝罪が成立するには、「恐喝行為による畏怖によって生じた『瑕疵ある意思』に基づいて物・財産上の利益が『交付』される」という因果の流れが必要です。なぜなら、恐喝罪は、「物・利益の移転」を要件とする”移転罪”に分類されると同時に、詐欺罪のように占有者の意思に基づく占有移転」を要件とする”交付罪”にも位置付けられる犯罪類型だからです。

そのため、恐喝罪の実行行為性が認められる程度の恐喝行為が行われたものの相手方が畏怖をしなかったが、相手が憐憫など畏怖とは違った感情を抱いて物・財産上の利益が交付された場合には、恐喝未遂罪が成立するにとどまり、恐喝既遂罪で逮捕されることはありません。

要件4.物・利益の移転

恐喝罪が成立するには、「交付行為によって物・財産上の利益が移転すること」が必要です。なぜなら、恐喝罪における法益侵害とは「交付行為によって移転した個別の物・財産上の利益の喪失」のことを意味するからです。

たとえば、恐喝行為による畏怖がなければ交付しなかったと言えるような事案において、仮に交付した財物・財産上の利益に対して相当な対価が支払われていたとしても、交付された財物・財産上の利益全体について恐喝既遂罪が成立すると考えられます(「交付した財物に相当する対価を得ているから不可罰」という考え方は恐喝罪では認められないということです。大判昭和14年10月27日)。

自分の正当な権利を実現する目的で恐喝行為に及んで財物等の交付を受けた場合にも恐喝罪が成立するリスクが生じる点に注意が必要です。たとえば、他人が自己の所有物を勝手に占有している場合に脅して取り戻す場合や、金銭債権を有する者が脅迫を用いて弁済を受ける場合が挙げられます(いわゆる「権利行使と恐喝」と呼ばれる論点です)。個別の事情次第ですが、権利の実行は、当該権利の範囲内であり社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限りは何ら刑事責任を問われることはありませんが、その範囲を逸脱するときは恐喝罪が成立する可能性があるとするのが判例です(最判昭和30年10月14日)。

恐喝未遂罪

恐喝罪には未遂犯の処罰規定も置かれているので、恐喝行為に及んだ場合には恐喝未遂罪で逮捕される可能性もあります(刑法第44条、第250条)。

未遂犯が処罰対象になるのは「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかったとき」です(刑法第43条第1項)。ここに言う「実行の着手」とは、「既遂の具体的・客観的危険が発生したとき」を意味します。

これを恐喝に当てはめると、以下のような場合に恐喝未遂罪で逮捕されることになります。

  • 恐喝行為に及んだが相手が畏怖しなかった場合
  • 恐喝行為に及んで相手が畏怖したが、財物等の交付行為には至らなかった場合
  • 恐喝行為に及んだが相手は畏怖せず、しかし、相手が憐憫などの感情から財物等を交付した場合

恐喝未遂罪の法定刑は既遂犯と同じ「10年以下の懲役刑」です。ただし、既遂に至っていない点などを鑑みて、任意的に刑が減軽される可能性があります

したがって、恐喝未遂罪の嫌疑をかけられた場合には、刑事事件の実績豊富な弁護士に相談をして、有利な刑事処分・判決獲得を目指して丁寧に情状証拠等を主張・立証してもらうべきでしょう。

恐喝罪と類似するその他の犯罪類型

恐喝事件を起こした場合には、個別の事情を鑑みたとき、恐喝罪・恐喝未遂罪以外の以下の犯罪類型の嫌疑をかけられる可能性もあります。

  • 脅迫罪
  • 強盗罪
  • 強要罪
  • 窃盗罪
  • 詐欺罪

ここからは、各犯罪類型について特に恐喝罪との違いに注目しながら、それぞれ具体的に解説します。

脅迫罪と恐喝罪の違い

脅迫罪とは、「本人もしくは親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知することによって人を脅迫したとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第222条各項)。

脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑」と定められています。

まず、脅迫罪における「脅迫」とは、「一般的に人を畏怖させるに足りる害悪の告知」のことです。脅迫罪が成立するには、告知内容が相手方に到達して認識されたことは必要ですが、脅迫行為によって実際に相手方が畏怖したことまでは必要とされません(大判明治43年11月15日)。つまり、恐喝罪が成立するには「被害者の畏怖(に基づく交付行為)」が求められますが、脅迫罪の実行行為の方が違法性・悪質性は軽微だと考えられます。

次に、脅迫罪における加害の対象は、「被告知者及び被告知者の親族の生命・身体・自由・名誉・財産」に限られます。つまり、いかに親しい関係にある者であったとしても、法的に「被告知者の親族」と言えない限り、当該人物に対する加害の告知は脅迫罪の処罰範囲から外れるということです。恐喝行為の種類・方法に限定がない恐喝罪と比べると、脅迫罪における「害悪の告知の範囲」は限定的に解されています。

さらに、恐喝罪では「財物・財産上の利益の交付」が要件に掲げられていますが、脅迫罪では交付行為等は要件ではありません。なぜなら、恐喝罪は財産犯の一種に位置付けられるのに対して、脅迫罪は「意思活動の自由」に対する侵害犯・危険犯に分類されるという違いがあるからです。たとえば、「殴るぞ」と相手を脅した場合には脅迫罪が成立しますが、「殴られたくなければ財布をよこせ」と相手を脅した場合には恐喝罪が成立します。

強盗罪と恐喝罪の違い

強盗罪とは、「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取したときや、財産上不法の利益を得たり他人に財産上不法の利益を得させたとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第236条各項)。

強盗罪の法定刑は、「5年以上の有期懲役刑」と規定されています。

強盗罪も恐喝罪も「暴行または脅迫」を手段(実行行為)とする点で共通しています。ただし、恐喝罪と強盗罪では「暴行・脅迫の程度」が異なる点に注意が必要です。分かりやすく表現すると、「相手方の反抗を抑圧する程度」を超えると強盗、「相手方の反抗を抑圧する程度」に至らないと恐喝罪、という線引きがなされます。

たとえば、包丁や拳銃を向けながら「金を出さないと殺すぞ」と脅迫すると強盗罪で逮捕される可能性が高いですが、「お金を出さないと不倫している事実を家族や会社にばらすぞ」と脅迫すると恐喝罪の成否が問題になります(実際には、武器の有無・害悪の告知の内容・当事者の関係性・年齢・体格・恐喝現場の様子など、諸般の事情を総合的に考慮して暴行・脅迫の程度が認定されます)。

財物を奪った犯人と被害者が対峙する場面では、事案の細かい推移次第でどのような嫌疑で逮捕されるか分かりません。たとえば、恐喝罪・強盗罪・強盗致傷罪・事後強盗罪など、当事者間の応酬の流れ次第で立件内容・公訴事実が大きく変わってくるものです。つまり、警察・検察官が重い犯罪類型での処罰を求めていたとしても、丁寧な事実認定を重ねることによって軽い刑事処罰を目指すのも不可能ではないということです。刑事手続きにおいて事実認定や訴因レベルから争うには刑事事件の実績豊富な私選弁護人の尽力が不可欠なので、弁護士選びは慎重にご判断ください。

強要罪と恐喝罪の違い

強要罪とは、「被害者または被害者の親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して脅迫したり暴行を用いたりすることによって、義務のないことを行わせたり権利の行使を妨害したとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第223条第1項・第2項)。

強要罪の法定刑は、「3年以下の懲役刑」と定められています。

まず、強要罪における「脅迫」の内容は、脅迫罪における「脅迫」と同じです。つまり、強要罪における「脅迫」の程度も、恐喝罪における「脅迫」より引き下げられたものだと言えるでしょう。

また、恐喝罪と強要罪は「暴行または脅迫」という点で類するものがありますが、恐喝罪が「財物等の移転」を処罰対象にしているのに対して、強要罪は「行為の強制、権利行使の妨害」を対象にしている点で大きく異なります。たとえば、理由もないのに謝罪文を書かせる場合、被害届や告訴状の提出を妨害した場合、競技大会への参加出場を妨害したような場合などが強要罪の具体例です。

窃盗罪と恐喝罪の違い

窃盗罪とは、「他人の財物を窃取したとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第235条)。窃盗罪の法定刑は、「10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」と定められています。

まず、窃盗罪と恐喝罪はどちらも「財物の占有が移転する」という点で共通していますが、窃盗罪における窃取行為が「他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己・第三者の占有に移転させること」を指すのに対して、恐喝罪では「恐喝行為による被害者の畏怖に基づいて占有が移転される」という点に違いがあります。たとえば、被害者の所持する鞄から勝手に財布を抜き取っただけなら窃盗罪ですが、被害者に対して暴行・脅迫を用いて財布を交付させた場合には恐喝罪の処罰対象です。

次に、窃盗罪が成立するには「不法領得の意思(権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法にしたがって利用処分する意思)」という”書かれざる構成要件”が必要とされますが、恐喝罪が成立するには「暴行・脅迫による瑕疵ある意思に基づく財物の占有移転」があれば足り、不法領得の意思などという主観的要件は加算されません。

詐欺罪と恐喝罪の違い

詐欺罪とは、「人を欺いて財物を交付させたときや、財産上不法の利益を得たり他人にこれを得させたりしたとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第246条各項)。詐欺罪の法定刑は、「10年以下の懲役刑」と定められています。

詐欺罪も恐喝罪も、「被害者の瑕疵ある意思に基づく交付行為によって財物等の占有が移転する点」では共通しています。しかし、両罪では「被害者の瑕疵ある意思」がもたらされる原因が別物です。

すなわち、詐欺罪では欺罔行為(人の錯誤を惹起する行為)が原因となるのに対して、恐喝罪では暴行・脅迫によって瑕疵ある意思がもたらされます。

恐喝罪で逮捕されるときの刑事手続きの流れ

恐喝罪について捜査活動が繰り広げられる場合、以下の流れで刑事手続きが進められるのが一般的です。

  1. 恐喝事件について警察が接触してくる
  2. 恐喝罪で逮捕された後は警察署で48時間以内の取調べが実施される
  3. 恐喝事件について警察段階の取調べが実施された後は送検される
  4. 検察官が恐喝事件について公訴提起するか否かを判断する
  5. 検察官が起訴処分を下すと恐喝事件が刑事裁判にかけられる

恐喝事件についての一般的な刑事手続きの流れは上述の通りですが、各ステージに対応した防御活動を適切に実施すれば、軽い刑事処分獲得の可能性が高まります

弁護士が防御活動をスタートするタイミングが早いほど選択肢の幅が広がるので、過去の恐喝事件について警察から連絡がない段階でも、念のために弁護士へ相談することをおすすめします。

警察から連絡がくる

警察が恐喝事件を認知した場合、何かしらの方法で恐喝犯人に対するアプローチがかけられます。

ただし、どのような方法で警察から接触があるかは恐喝事件の態様次第です。

逃亡・証拠隠滅のおそれがなければ恐喝行為について任意の事情聴取が実施される

恐喝事件について警察が犯人自身に話を聞きたいと考えた場合、警察から任意の事情聴取に応じるように要請される場合があります。

恐喝事件について任意の出頭要請がかけられるのは以下のようなケースです。

  • 恐喝などの前科・前歴がない初犯の場合
  • 自宅や勤務先が明らかで逃亡のおそれがない場合
  • 証拠隠滅のおそれがない場合
  • すでに恐喝被害者との間で示談交渉がスタートしている場合

恐喝事件について警察から連絡があった時点で「人生終わりだ」と悲観する気持ちが芽生えるのは当然ですが、むしろ、警察が任意の出頭要請という手法を選択してくれた点を好意的に受け取るべきです。

なぜなら、恐喝事件を掴んだ警察は通常逮捕手続きを選択することも可能だったはずなのに、諸般の事情を総合的に考慮した結果、身柄拘束なしの任意捜査でアプローチをしてくれているからです。

任意の取調べに誠実に対応しつつ、同時に恐喝被害者との間で示談交渉を進めれば、逮捕・勾留されずに在宅事件扱いを受けながら日常生活への支障なく刑事手続きの終結を目指せます。恐喝事件について任意の出頭要請がかかったときこそ弁護士のサポートが重要な役割を担うので、過去の恐喝事件について後日逮捕のリスクを抱えている場合には、すみやかに刑事弁護に強い専門家までご相談ください。

警察からの出頭要請の方法

繁華街などで恐喝行為に及んだようなケースでも、恐喝犯人の身元は簡単に特定されます。たとえば、街中に設置された防犯カメラ映像やドライブレコーダー映像の解析、目撃者や周辺住民などへの入念な聞き込み、逃走車両のナンバープレートや電車利用時のICカードの履歴チェックなど、しらみつぶしに捜査をすれば恐喝犯人がどこの誰かは簡単に判明するでしょう。

そして、恐喝事件について警察から任意の出頭要請がかけられる場合、警察からの連絡方法はさまざまです。呼び出し方法の代表例として以下のものが挙げられます。

  • 携帯電話や自宅固定電話への問い合わせで取調べ日時を相談される
  • 捜査員が自宅にやってきて任意同行を求められる
  • 自宅や会社周辺などで捜査員に呼び止められる
  • 重大な恐喝事件の場合には勤務先に連絡がくる可能性も否定できない

原則として、恐喝事件が職場に関連した場所・関係性で生じた場合、恐喝犯人が企業で重要なポジションに就いている場合、恐喝事件の態様が悪質で早期に被疑者から事情聴取をする必要がある場合以外では、任意ベースの捜査活動で勤務先に連絡がいくことはありません。ただし、警察がどのような方法で恐喝犯人の身柄を特定し、恐喝犯人に対してどのような連絡手法をもっているかは事案ごとに異なります。つまり、どれだけ軽微で少額の恐喝事件でも、状況次第では会社に問い合わせをされて勤務先に恐喝事件のことがバレかねないということです。

以上を踏まえると、警察からの任意の出頭要請に応じること自体は大切なことですが、同時に、警察から連絡が来る前に恐喝被害者との間で示談交渉を進めることで恐喝行為の刑事事件化自体を回避したり、警察から連絡が来る前に自首をしたりすることも重要な選択肢になると考えられます。刑事事件を専門にしている弁護士なら事件の詳細等を分析しながら日常生活への悪影響を最大限軽減できる方策を提示してくれるので、恐喝事件について警察から問い合わせがある前にご相談ください。

恐喝事件に関する任意の事情聴取には応じた方が良い

そもそも、警察はいかなる犯罪についても捜査の必要性があると判断した場合には、「捜査対象者の同意がある限り」において、自由に捜査権を行使することができます(刑事訴訟法第197条第1項、198条第1項)。これが”任意捜査・任意処分”と言われる所以です。

これを捜査対象者側から捉え直すと、警察による任意の出頭要請に応じる義務はないということです。たとえば、警察からの電話連絡を無視したり着信拒否したりしても罪に問われるわけではありませんし、約束した日時にバックレたとしても、それ自体が直接的に非難されることはありません。

ただし、恐喝事件について警察から任意での呼び出しがあった場合には、できる限り誠実に対応した方が良いでしょう。なぜなら、出頭要請を無視したところで逮捕状が請求されて強制的に身柄が押さえられるだけだからです。同じように恐喝事件について警察から取調べを受けるのなら、好きなタイミングでスケジューリングできて誰とでも自由に連絡を取ることができる任意取調べの方がはるかにメリットが大きいでしょう。

「警察から呼び出されたら逮捕されるのではないか」「警察署に出頭すると二度と帰宅できないのではないか」など、さまざまな不安を抱く方も多いですが、弁護士に相談すればこのような不安・疑問点を解消してくれるだけではなく、任意の事情聴取への対応方法についてアドバイスしてくれたり、任意出頭に同行してくれたりします。任意段階での防御活動が今後の社会生活を左右すると言っても過言ではないので、恐喝罪での後日逮捕リスクを抱えているなら、まずは弁護士までご相談ください

逃亡・証拠隠滅のおそれがあると恐喝行為について後日通常逮捕される

被疑者が恐喝事件を起こしたことを疑うに足りる相当な理由があるときには、逃亡・証拠隠滅のおそれがあるために留置する必要性がある場合に限って、通常逮捕手続きに移行することがあります。

通常逮捕とは、裁判官があらかじめ発付する逮捕状に基づいて捜査機関が被疑者の身柄を確保する強制処分のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。早朝など、被疑者が自宅等に所在するのが明らかなタイミングを見計らって捜査機関が自宅等までやってきて身柄を押さえられます。

任意の出頭要請とは異なり、通常逮捕手続きによる身柄拘束は拒絶できません。逮捕状を呈示された段階で身柄が捜査機関に押さえられるので、その時点から、第三者と一切連絡を取ることもできないまま連行されます。

したがって、恐喝事件を起こした場合には、身柄拘束付きの逮捕処分が下されるか否かが今後の方向性を大きく左右すると考えられます。「できるだけ逮捕リスクを回避するために早めから防御活動に尽力する」「残念ながら逮捕されてしまった場合には早期の身柄釈放を目指す」のが基本的な防御姿勢と言えるでしょう。

恐喝事件は公訴時効が完成するまではいつ後日逮捕されるか分からない

どのタイミングで捜査活動に力を入れて逮捕手続きに着手するかは警察側の裁量に委ねられています。

つまり、理屈上は、恐喝事件について公訴時効が完成するまでの間は、いつ過去の恐喝行為について逮捕状が請求されて身柄が拘束されるか分からない不安定な状態に置かれるということです。たとえば、恐喝事件を起こした後、心を入れ替えて誠実に社会生活を営んでいたとしても、刑事責任の処遇が曖昧なまま逃げ続けているだけでは、ある日突然警察に身柄を拘束されて、それまで積み上げた社会生活が無に帰することになりかねません。

恐喝罪及び恐喝事件を起こした際に問われ得る犯罪類型の公訴時効はそれぞれ以下の通りです(刑事訴訟法第250条第2項各号)。

罪責 公訴時効
恐喝罪・恐喝未遂罪 7年
脅迫罪 3年
強盗罪 10年
強要罪 3年
窃盗罪 7年
詐欺罪 7年

恐喝罪に問われる事件を起こした場合、7年の公訴時効が完成するまで逃げ切る確証はありません。それならば、現段階で示談交渉などを行い法的責任に区切りをつけてから堅実に更生の道を歩むのが理想的だと考えられます。

刑事事件の実績豊富な弁護士に相談すれば、過去の恐喝事件の態様等について聞き取りをしたうえで、現段階で自首をするべきか、早期に示談交渉を目指すべきか、事態の推移を静観するべきかを冷静に判断してくれるでしょう。

恐喝罪は親告罪ではないので被害申告された時点で後日逮捕リスクが生じる

恐喝罪に関して注意を要するのが、恐喝罪は非親告罪であるという点です。

つまり、理屈上は検察官が公訴提起するか否かを判断する際に「被害者による告訴の有無」は問われないので、捜査機関が恐喝事件を認知した時点で後日逮捕のリスクが生じることを意味します。もちろん、実際に刑事処分の内容を判断する際には「被害者の処罰感情の強さ」も考慮要素のひとつに掲げられますが、恐喝事件自体の悪質性が高いケースだと、被害者が処罰を望んでいなかったとしても逮捕処分が下される可能性を否定できません。

したがって、恐喝行為に及んでしまった場合には、捜査機関が恐喝事件を認知する前に被害者との示談交渉をスタートして、示談条項に「被害申告しない旨」を掲げた和解契約を締結できるかがポイントになると考えられます。少なくとも恐喝被害者が誰か判明している状況なら、弁護士への依頼によって早期の示談成立・被害申告の回避を実現できるので、示談交渉のノウハウを有する弁護士までご相談ください

恐喝行為時に通報されると現行犯逮捕される

カツアゲなどの恐喝行為に及んでいるタイミングで通報されると、恐喝罪等の容疑で現行犯逮捕される可能性があります。

現行犯逮捕とは、現に罪を行い、または、現に罪を行い終わった「現行犯人」に対する逮捕処分のことです(刑事訴訟法第212条第1項)。通常逮捕手続きのように裁判官の発付する逮捕令状は必要とされず、誰でも令状なしで犯人の身柄を取り押さえることができます(同法第213条、令状主義の例外)。

恐喝行為を現認されて現行犯逮捕されると、そのまま身柄が拘束されて警察署で取調べが実施されます。つまり、恐喝事件が現行犯逮捕されるケースでは「事前の示談交渉によって被害申告を防ぐ」というのは不可能だということです。

したがって、恐喝事件を起こして現行犯逮捕された場合には、少しでも身柄拘束期間を短くして社会生活に生じる悪影響を回避・軽減するために防御活動を展開することになります。検察官による勾留請求や起訴処分が下される前に被害者との示談交渉を進めたり有利な情状証拠を収集したりする必要があるので、現行犯逮捕が実施された場合にはすみやかに刑事事件専門の弁護人を選任してください

「恐喝の犯行現場から逃走すれば現行犯逮捕を回避できる」というのは間違いです。なぜなら、恐喝犯人として追呼されている者、誰何されて逃走しようとする者、恐喝事件を起こした証拠物等を所持している者などが犯行を終えてから間がないと明らかに認められるときには、「準現行犯人」として逮捕状なしの現行犯逮捕の対象になるからです(同法第212条第2項)。また、「通報されたから恐喝現場から逃走した」という行為自体が捜査機関の心証を悪くする可能性が高いということも忘れてはいけません。事案ごとに個別事情が異なるので一概には言えませんが、仮に恐喝事件を起こして通報されたとしても逃げ切るのは不可能に近いので、現場に到着した捜査員に身元を明かして丁寧かつ誠実に対応するのが理想です(可能であれば、その場で弁護士に連絡をすると尚良しでしょう)。

恐喝罪で逮捕されると警察段階で48時間の取調べが実施される

恐喝現場を現認されて現行犯逮捕された場合、過去の恐喝事件について後日逮捕された場合、任意の事情聴取の途中から通常逮捕手続きに切り替わった場合には、警察段階の取調べが実施されます。

警察段階での取調べ期間は最大48時間以内の範囲です(刑事訴訟法第203条第1項)。警察に身柄が押さえられている間は当然帰宅することは許されませんし、第三者と面会したり電話連絡をしたりすることさえ禁止されます。

恐喝罪で逮捕されたときは留置の必要性がないことを示すのがポイント

恐喝罪で逮捕されたときには、「留置の必要性がないこと」を示すのがポイントです。

なぜなら、逮捕処分による身柄拘束は「逃亡や証拠隠滅のおそれがあること」を理由として行われるものなので、「留置の必要性がないこと」をアピールできれば早期の釈放を実現できるからです。これによって、会社や学校にバレるリスクや日常生活への支障を最大限軽減できます。

そのためには、「取調べに対して誠実に対応して再犯のリスクがないことを態度で示す」「被害者との間で示談をまとめて慰謝料を支払う」などの工夫が重要となります。弁護士に相談すれば早期の身柄解放を実現するコツについてアドバイスを貰えるでしょう。

ただし、逮捕処分が解かれたとしても、恐喝事件について刑事手続きが終了するわけではありません。日常生活に戻った後も在宅事件扱いとして適宜捜査活動が進められるからです。送検後に不起訴処分が下された場合には無罪になりますが、送検後に在宅起訴されると刑事裁判が待っているので、刑事責任が確定するまでは取調べ等には誠実に向き合うべきです。

恐喝罪の容疑をかけられるケースでは、警察限りの判断で刑事手続きを終了できる「微罪処分」は期待できません。なぜなら、微罪処分の対象になるのは、万引きなどの窃盗犯や遺失物等横領罪、喧嘩などの暴行事件などの比較的軽微な犯罪類型に限られるからです。悪ふざけの延長線上のカツアゲ事件などなら恐喝行為に及んでも微罪処分に付される可能性はゼロではありませんが、基本的には「送検後の不起訴処分」が防御活動のターゲットになるでしょう。

恐喝罪で逮捕された後は警察から検察に送致される

恐喝罪で逮捕されて、警察で48時間以内の取調べを受けた後は、恐喝事件が検察官に送致されます。

検察段階の取調べ時間は原則24時間以内で、身柄拘束期間が満了するまでに、検察官が起訴処分・不起訴処分のいずれかを決定します(刑事訴訟法第205条第1項)。

ただし、恐喝犯人が否認している事件、恐喝犯人の供述内容に疑問点が残る事件、反社会的組織などとの共犯関係のもと恐喝事件が引き起こされた疑いがある事件などでは、警察段階48時間と検察段階24時間の取調べでは足りないこともあるでしょう。このように、どうしても取調べの時間制限を遵守できないケースでは、検察官による勾留請求が例外的に認められています(同法第206条第1項)。

勾留請求が認められた場合、被疑者の身柄拘束期間は10日間~20日間の範囲内で延長されます(同法第208条各項)。つまり、検察官が勾留請求すると、逮捕段階から最大23日間身柄拘束されるということです。

したがって、恐喝行為等について特に争うつもりがないのなら、取調べにはできるだけ誠実に対応することによって、勾留請求の回避勾留期間の短縮化を目指すべきだと考えられます。

恐喝罪について検察官が公訴提起するか否かを判断する

恐喝事件の被疑者の身柄拘束期間が満了するまでに、検察官が恐喝事件について公訴提起するか否か(刑事裁判にかけるか否か)を判断します。

恐喝事件を刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことを「起訴処分」と呼びます。これに対して、恐喝事件を刑事裁判にかけずに検察官限りの判断で刑事手続きを終了させる旨の意思表示は「不起訴処分」と呼称されます。

日本の刑事裁判の有罪率は99%を超えるとも言われているので、検察官による起訴処分が下された時点で、刑事裁判で有罪判決が下されることがほぼ確定します。つまり、恐喝行為を理由として前科がつくことを回避したいなら、何としても検察官による起訴処分を避けなければいけないということです。

したがって、恐喝罪の容疑で逮捕された場合には、遅くとも検察官による公訴提起判断までに恐喝被害者との間で示談を成立させるのが必須だと考えられます。被害者が感情的になって冷静な話し合いさえ難しいことも少なくないので、かならず示談実績豊富な弁護士までご相談ください

「恐喝事件を起こした以上、起訴処分が下されて刑事裁判にかけられるのは仕方ない」というのは正確ではありません。なぜなら、不起訴処分が下される理由には以下3パターンが存在するため、恐喝行為自体に間違いがなくても不起訴処分を獲得できる余地は残されているからです。

  • 嫌疑なし(恐喝行為に及んでいない)
  • 嫌疑不十分(恐喝罪を裏付ける充分な証拠がない)
  • 起訴猶予(恐喝行為に及んだこと自体は間違いないが、反省の態度や被害者感情を考慮して、公訴提起を見送る)

恐喝罪等で逮捕された場合、多くの被疑者が「起訴猶予処分」を目指すことになります。刑事手続きのどのステージでも「被害者との示談成立」は大きな意味をもつので、優秀な私選弁護人を選任して起訴・不起訴の判断が下されるタイムリミットまでに示談交渉に尽力してもらましょう。

恐喝行為が刑事裁判にかけられる

恐喝罪で逮捕された後、検察官が恐喝事件について起訴処分を下すと、被告人という立場で刑事裁判を受けなければいけません。

起訴処分が下されてから公開の刑事裁判期日までの期間は約1カ月~2カ月程度です。起訴処分後すぐに保釈請求が通れば裁判期日までは自宅に戻ることができますが、逃亡のおそれなどを理由に保釈請求が却下されると勾留されたまま刑事裁判期日を迎えることになります(刑事訴訟法第88条、第89条)。

恐喝行為等について争いがない事件であれば、初回の口頭弁論期日ですべての手続きが終了します。これに対して、否認事件などでは複数回の口頭弁論期日をかけて弁論手続き・証拠調べ手続き等が行われます。証拠書類や供述内容を総合的に考慮して、最終的には判決が言い渡されます。

恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役刑」なので、実刑判決が下される可能性も否定できません。ただし、初犯で恐喝行為を真摯に反省しており被害者と示談が成立しているようなケースでは執行猶予付き判決が下される可能性が高いです。

なお、執行猶予付き判決を獲得できれば刑務所への収監は回避できますが、有罪判決であることに変わりはないので、前科はついてしまいます。そのため、「どうしても前科を回避したい」と希望するなら、検察官による不起訴処分獲得を目指すか、刑事裁判で恐喝行為自体を否定するしか方法は残されていません。刑事裁判で無罪を獲得するのはかなりハードルが高いので、基本的には検察官が公訴提起判断をするまでの期間の防御活動に注力するべきでしょう。

簡便な刑事手続きとして「略式手続き(略式起訴・略式命令)」が挙げられることが多いですが、恐喝罪の容疑で逮捕された場合には略式手続きは不可能です。なぜなら、略式手続きの対象は「罰金刑」に限られるからです。したがって、恐喝罪で逮捕・起訴された場合には、かならず公開の刑事裁判を受けなければいけないとご理解ください。

恐喝罪で逮捕されたときに生じるデメリット4つ

「ただのカツアゲ程度で厳しい処罰が科されることはない」と油断するのは危険です。

なぜなら、恐喝罪で刑事訴追されると以下4点のデメリットが生じる可能性が高いからです。

  1. 恐喝罪で逮捕されると長期間身柄拘束される可能性が高い
  2. 恐喝罪で逮捕されたことが会社にバレると懲戒処分の対象になる
  3. 恐喝罪で逮捕されたことが学校にバレると退学処分等の対象になる
  4. 恐喝罪で有罪になると今後の日常生活にさまざまな悪影響が生じる

過去の恐喝の件で刑事訴追される前に示談交渉などの対策に踏み出せば、これらすべてのデメリットを回避できる可能性が高まります。

現段階で弁護士に相談しなければどのような末路が待っているのかを正確に理解して、刑事責任に前向きな姿勢で向き合うモチベーションにしてください。

恐喝罪で逮捕・勾留されると長期間身柄拘束される

恐喝罪は重大な刑法犯なので、警察が恐喝事件を認知すると逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される可能性が高いです。

恐喝事件1件につき身柄拘束期間は最長23日間ですし、複数の恐喝事件への関与が疑われる場合には数カ月単位で社会生活から切り離される危険性も生じます。

逮捕・勾留期間中は外部と一切連絡を取れない状態が続くので、以下のようなリスクに晒されます。

  • 長期間厳しい取調べを強要されるので心身に負担がかかる
  • 勤務先に自分の口で欠勤理由を告げられないので長期欠勤を不審に思われる
  • 学校を長期欠席するので進級や単位取得等に悪影響が生じる

したがって、恐喝行為に対して刑事訴追のリスクを抱えている場合には、警察に逮捕される前に民事的解決を済ませて被害申告を避けるのが理想的な防御活動だと考えられます。また、万が一恐喝罪の容疑で逮捕されたとしても、示談が成立していれば長期の身柄拘束を回避して在宅事件処理を目指せるでしょう。

恐喝罪で逮捕されたことが会社にバレると懲戒処分の対象になる

恐喝罪で逮捕されて有罪になったことが勤務先にバレると懲戒処分の対象になります。

恐喝行為に対してどのような懲戒処分が下されるかは各社の就業規則の内容次第で異なります。たとえば、戒告・譴責などの軽い処分で済むこともあれば、減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇などの厳しい懲戒処分が下されるケースもあり得るでしょう。特に、恐喝事件がニュース報道されるなどして会社の信用に実害が生じたようなケースでは、処分内容が重くなる可能性が高いです。

なお、仮に懲戒処分の内容が軽くで済んだとしても、社会人としての信用が失墜するので、今後の昇進・昇給への影響は避けられません

恐喝罪で逮捕されたことが学校にバレると退学処分等の対象になる

学生が恐喝事件を起こして逮捕されると、学校に恐喝事件のことがバレて何かしらの処分が下されます。

学校側から下される処分内容は学則・校則次第です。たとえば、教育的観点から譴責・厳重注意などの軽い処分で済まされるケースもあれば、停学・退学などの重い処分が下される可能性も否定できません。

なお、カツアゲなどの恐喝事件が学校内で起こった場合には警察から学校への連絡は避けられませんが、学校とは無関係の場所で恐喝行為に及んだ場合には、「学校には連絡しないで欲しい」という陳情を出すことで学校バレを回避できます。学生生活に生じる悪影響を回避・軽減したい場合には、この点もあわせて弁護士までご相談ください。

恐喝罪が理由で前科がつくと今後の社会生活にさまざまなデメリットが生じる

恐喝罪で有罪判決(実刑判決・執行猶予付き判決)が下されると、被告人は「前科者」になってしまいます。

そして、前科がつくと今後の社会生活等に以下のような支障が生じます

  • 履歴書の賞罰欄に「前科の有無」についての記載を求められる(隠すと経歴詐称)
  • 就職活動・転職活動で前科がバレるので書類選考さえ通過しない
  • 士業や金融業、警備員など、前科を理由に就けない職種がある
  • 恋人との関係性や結婚生活など、身近な人間関係が壊れる(前科は法定離婚事由)
  • 前科を理由にビザやパスポートの発給制限がかかる場合がある
  • 前科があると再犯時に刑事処分が重くなる可能性が高い

前科によるデメリットを避けるには、「前科がつかないようにする=起訴処分を回避する」しか方法が残されていません

そのためには、不起訴処分や微罪処分の獲得を目指す」「被害申告自体を回避して刑事事件化を免れる」必要があるので、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談をして被害者との間で示談交渉を進めてもらいましょう。

恐喝罪で逮捕されるか不安なときに弁護士へ相談するメリット3つ

過去の恐喝行為について刑事訴追されるか不安を抱えているときや、ご家族が恐喝罪で逮捕されてしまったときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するのがおすすめです。

なぜなら、刑事弁護や示談交渉実績豊富な専門家の助けを借りることで、以下3点のメリットが得られるからです。

  1. 恐喝事件の被害者との間で早期の示談成立を目指してくれる
  2. 接見交通権を行使して身柄拘束中の恐喝犯人を励ましてくれる
  3. 恐喝事件の状況次第では自首の是非を検討してくれる

刑事事件のノウハウがなければ時間制限内に効率的な防御活動を実現できません。

弁護士によって専門分野が異なる以上、恐喝事件の刑事弁護を依頼するときには「刑事事件を専門に取り扱っている弁護士」を選任するのがおすすめです。

恐喝被害者との間で早期に示談成立を目指してくれる

刑事事件に強い弁護士は早期の示談交渉の重要性を理解しているので、少しでも有利な状況を作り出すために早期の示談成立を目指してくれます。

示談とは、「犯罪被害者に対して民事的な解決金(示談金・慰謝料等)を支払う代わりに、告訴や被害届の取り下げ・被害申告をしないことを確約してもらう和解契約」のことです。

本来、民事事件と刑事事件はまったく別物ですが、恐喝事件について民事的な解決が済んでいれば、刑事処罰が軽くなるのが実務的な運用です。

恐喝事件を起こした場合の示談金相場は事案によって異なります。基本的には、「恐喝行為によって奪った財産的価値に一定額の慰謝料(数万円~数十万円程度)を加算した金額」が示談金になるとご理解ください。

「恐喝の示談金をいくらに設定するか」は当事者間の交渉によって自由に決定できる事項です。ただ、「被害者」という立場を利用して相場からかけ離れた示談金を請求してくるケースも散見されます。弁護士が代理人として示談交渉に臨めば、強気な姿勢で示談金をふっかけてくる被害者との間でも冷静に話し合いを進めてくれるので、現実的な解決金で合意形成できるでしょう。

恐喝罪で逮捕・勾留後の被疑者を接見機会を通じて励ましてくれる

逮捕・勾留中の被疑者と面会できるのは選任された弁護人だけです。

弁護士は接見交通権をフル活用して、厳しい取調べを受けている被疑者を励まし、また、時々刻々と変化する取調べに対応するための適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。

恐喝事件について自首するべきか否かを判断してくれる

恐喝被害者が判明している事案なら、被害申告を防ぐために刑事訴追前に示談交渉をスタートできます。

これに対して、被害者がどこの誰か分からない恐喝事件では、警察から連絡がくる前に示談交渉をするのは不可能です。このような状況では、恐喝行為に及んでから公訴時効が完成するまでの間、常に後日逮捕の恐怖に怯え続けなければいけません。

このようなタイプの恐喝事件では「自首」が有効な選択肢のひとつになります。というのも、自首をすれば刑事処分が減軽される可能性が高いですし、捜査機関経由で被害者の連絡先を教えてもらえるので示談交渉を開始できるからです。

「警察に発覚していない恐喝事件について自供するのは馬鹿らしい」と思われるかもしれませんが、後々捜査が進展して後日逮捕されるリスクと天秤にかけると、自首をする意義は大きいと考えられます。刑事事件の実績豊富なら自首するべきか否かを経験から判断してくれるので、中長期的な視点で依頼人にもっともメリットが大きい防御方法を提案してくれるでしょう。

恐喝罪での逮捕リスクを抱えているなら早期に弁護士へ相談しよう

恐喝事件を起こして刑事訴追されるリスクを抱えている場合には、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するべきです。

なぜなら、弁護士への相談によって早期の示談成立が実現しますし、交渉の進捗次第では、恐喝事件の刑事事件化自体を回避できるからです。

適切な防御活動を展開せずに捜査機関のなすがまま刑事手続きを進められてしまうと、最悪の場合には実刑判決が下されるリスクも生じかねません。

防御活動に着手するタイミングが早いほど今後の生活への支障を軽減できるので、刑事弁護の実績豊富な専門家までお問い合わせください。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

刑事事件コラムカテゴリの最新記事

PAGE TOP