騒音で警察に通報された場合の対処法とは?通報を放置するリスクも解説

騒音で警察に通報された場合の対処法とは?通報を放置するリスクも解説
騒音で警察に通報された場合の対処法とは?通報を放置するリスクも解説

騒音によって警察に通報されてしまった場合、最悪の場合は逮捕される可能性があります。とはいえ、多少の騒音であれば、注意で終わります。注意後も何度も騒音の原因となることを繰り返していた場合は、さまざまなリスクが発生するでしょう。

今回は、騒音によるトラブルで起こり得る逮捕の可能性や、その他のさまざまなリスクについて詳しく解説します。

騒音トラブルで悩まれている人、騒音によって警察へ通報されてしまった人はぜひ参考にしてください。

騒音で警察に通報された場合に逮捕される可能性はある?

騒音で警察へ通報されてしまった場合、最悪の場合は逮捕される可能性があります。しかし、日常生活で出てしまった、もしくはわざと出したような騒音ではない場合は、逮捕される可能性はとても低いです。

まずは、騒音で警察に通報された場合、どういった対応を取られるのかについて詳しく解説します。

基本的には注意で終了

騒音で警察に通報されてしまった場合、基本的にはその場で注意されて終了します。

そもそも「騒音」と感じるのは人それぞれです。たとえば、日常生活を送っている中でも、歩いている音、話し声、テレビの音量などさまざまな音が「うるさい」と感じてしまう人がいるでしょう。

もし、通報されて警察がきた場合には、その場で「気をつけます」と言い、改善すれば特に問題はないでしょう。また、中には嫌がらせもしくは、日常生活音をうるさいと感じて通報してしまう人がいるかもしれません。

そういった場合は、警察から「通報されたためきましたが、とくに騒音になるようなことはありませんでした」と伝えてもらえます。つまり、注意すら受けない可能性があるということです。

しかし、周囲にそういった人がいるということを認識して生活音に配慮するなど、多少の意識は必要になるでしょう。

なお、たとえば外で騒いでいるところを警察に通報された場合、解散したり場所を移したり、静かにしたりするよう指導が入る可能性もあります。そういった場合は、2度目の通報が起こらないように素直に従うべきでしょう。

度を超える騒音は罪に問われて逮捕の可能性がある

異常なほどの騒音の場合は、逮捕されてしまう可能性があります。たとえば、嫌がらせのように大音量で音楽を鳴らし続ける、意識的に大声で騒ぎ続ける、壁を叩く等の行為が該当します。

つまり、「わざと、継続的に出している騒音」は逮捕の可能性がある、と考えておけば良いでしょう。実際にどういった罪に問われる可能性があるのか?について、詳しく解説します。

軽犯罪法の「静穏妨害」に問われる可能性

軽犯罪法という法律では、騒音に関して以下のとおり定めています。

十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

引用元:軽犯罪法|1条14号

つまり、警察官(公務員)が何度も注意を行っているにも関わらず、異常なほどの大きな音を出している場合は、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。

たとえば、夜間に楽器を使用している、大音量で音楽を流しているなど度を超えた騒音の場合です。

ただ、先ほども解説したとおり、「警察官が来た=騒音が発生している」というわけではありません。騒音の程度は人それぞれであり、敏感な人は日常生活音でも「うるさい」と感じます。

条文でもあるとおり、軽犯罪法に抵触するのはあくまでも「音を異常に大きく出して」の場合のみです。日常生活音で何度も警察へ通報が入ったとしても、罪に問われる可能性は低いです。

その際は、警察から注意を受けたのか?という点に注目すると良いでしょう。たとえば、「音楽のボリュームが大きいため、小さくしてください」と言われた場合は、注意と受け止め改善すべきでしょう。

一方で「とくに騒音は確認できませんが、騒音の通報が入ったため、心当たりがある場合は気をつけてください」と言われた場合、心当たりがなければ気にする必要はありません。また、軽犯罪法に抵触する可能性も低いため、警戒する必要はありません。

暴行罪・傷害罪に問われる可能性

警察官が何度も注意をしているにも関わらず、何度も騒音を繰り返し、周囲の人に迷惑をかけ続けた場合、暴行罪・傷害罪に問われる可能性があります。

本来であれば軽犯罪法違反で摘発されるのみですが、あまりにも度を超えた騒音が続き、周囲の人が身体的に影響を受けた場合にその他の法律が成立します。たとえば、騒音によって頭痛や不眠障害になった場合は傷害罪の可能性があるでしょう。

暴行罪や傷害罪を適用された場合、刑事裁判へ発展する可能性もあります。十分に注意しましょう。

騒音で警察に通報された場合の対処法

騒音で警察へ通報されてしまった場合の対処法は、心当たりがある場合は気を付ける、心当たりがない場合は時に気にする必要はありません。ただ、誰かが「騒音である」と感じていることに間違いはありません。

そのため、これから解説する詳細な対処法を意識してみると良いでしょう。ぜひ参考にしてください。

心当たりがある場合は騒音に気を付ける

もし、警察官等から指摘を受けた騒音内容に心当たりがあるのであれば、それ以降は騒音に十分気をつけましょう。

何度もお伝えしているとおり、騒音のレベルは人によって感じ方が異なります。そのため、自分の中で指摘を受け「もしかしたらうるさかったかもしれない…」と感じる部分は、今後改善していくべきでしょう。

自分では「別にうるさくない」と感じていても、他人からすれば「うるさい」と感じることもあります。何回も同じ騒音を繰り返していると、軽犯罪法違反等で摘発される可能性もあるため、真摯に受け止め改善するように努力しましょう。

日常生活音であれば気にする必要はない

日常生活音であり、特別大きな音を出しているわけではないのであれば、とくに気にする必要はないでしょう。たとえば、「洗濯機や掃除機の音がうるさい」と言われたからといって、コインランドリーに行ったり掃除機をやめてほうきで掃いたり雑巾で拭いたりする必要はありません。

とはいえ、まったく改善しないというのもトラブルの原因になり得ます。そのため、以下のことは最低限確認しておいたほうが良いでしょう。

  • 第三者目線で騒音を確認してもらう
  • 騒音レベルを自分で確認する

それぞれ詳しく解説します。

騒音が事実かどうかを警察に確認してもらう

通報された場合は、必ず警察官が尋ねてきます。その際、「外から聞いて騒音だったかどうか?」を確認してみると良いでしょう。「通報通り〇〇の音が少し大きい」などと指摘された場合は、すぐにでも改善するべきです。

もし「何ら騒音を感じられない、とくにうるさいといったことはない」などと言われた場合は、あまり気にする必要はないかもしれません。

騒音レベルを確認する

自分自身で指摘された騒音のレベルを確認してみると良いでしょう。

たとえば、人が騒音と感じるレベルは昼間であれば50〜60dB程度、夜間であれば40dB程度です。よって、この程度の音が外に漏れている場合は、注意すべきかもしれません。

ちなみに、音の大きさはスマートフォンアプリなどで簡単に確認できます。もし、騒音の通報が入った場合は、自分自身で確認してみると良いでしょう。

騒音レベルが低い場合は気にする必要がない

騒音レベルが低く、とくに改善すべき点がない場合は気にする必要はありません。「通報があった」という事実は受け止め、自分の生活を見直すきっかけにすれば良いでしょう。

なお、幾度となく通報される場合は、嫌がらせの可能性も否定できません。そういった場合は、管理会社や大家さんに相談をすると良いでしょう。

もし、身の危険を感じるような事態があった場合は、迷わずすぐに警察へ電話をしましょう。ただし、「うるさくないのに何度も通報が入る」といったような内容での対処は難しいのが現実です。

警察は、通報を受けたら行くしかありません。また、騒音の感じ方は人それぞれであるため、その人に対して注意するのも難しいためです。まずは、管理会社等に相談をした上で指示を仰ぐと良いでしょう。

騒音レベルの具体例

よくある騒音苦情の例は以下のとおりです。

  • 大きな話し声
  • テレビ・ステレオの音量
  • 楽器の音
  • ペットの鳴き声
  • 人間の足音
  • 夜間の家事

上記はいずれも生活をする上で出してしまいがちな音です。しかし、これらが騒音トラブルにつながってしまう可能性があります。次にそれぞれの音の大きさや注意すべきポイントについても解説します。ぜひ参考にしてください。

大きな話し声

一般的な会話の大きさは50〜60dB程度ですが、大声の場合は90dB〜100dB以上です。人が不快に感じる音の大きさは、一般的に60dB以上であると言われています。

そのため、普段の会話であればとくに問題はないものの、大きな声で話している声が漏れてくると騒音による通報につながってしまう可能性があるでしょう。

とくに、夜間に外で大声で話している場合、周辺住民の人が窓を開けて就寝していると騒音に感じます。近隣同士でも壁が薄いと、隣の声が聞こえてしまい、騒音トラブルに発展する可能性があるため注意したほうが良いでしょう。

テレビ・ステレオ等の音量

テレビの音は一般的に見ていると、60dB程度です。しかし、少しボリュームが大きいなと感じる程度で見ていると60dB以上となり、人が騒音に感じてしまいやすくなります。

たとえば、「大きな音でライブDVDを楽しみたい」と考えている人もいるでしょう。そういった場合は、スピーカーを自分の近くに持ってきて臨場感を味わうなどの工夫が必要です。

テレビ・スピーカーとの距離が離れているにも関わらず、大きな音量で楽しもうと思うとトラブルの原因になり得ます。

楽器の音

楽器の音の大きさは以下のとおりです。

楽器の種類 音の大きさ
ピアノ 80〜90dB
ギター 70〜80dB
トランペット 100dB程度
ヴァイオリン 90dB程度

上記の通り、いずれの楽器もとても大きな音であり苦情につながる可能性があります。そのため、楽器を使用する際は防音設備が整った場所で行うなどの配慮が必要です。

ペットの鳴き声

ペットの鳴き声の大きさは以下のとおりです。

ペットの種類 音の大きさ
90〜100dB
70dB程度

犬の鳴き声は90〜100dB程度であり、人が不快に感じる音の大きさを超えています。そのため、犬を飼う際はしっかり躾けた上で無駄吠えがないようにするなどの配慮が必要です。

個体差はあるものの、猫の鳴き声は70dB程度です。人が不快に感じる60dBを超えてはいるものの、そこまで大きな音ではありません。室内で飼っている分にはとくに問題はないでしょう。

人間の足音

人間の足音そのものが不快に感じる騒音となることはありません。しかし、建物の構造上、下や隣に響いてしまう可能性があるでしょう。

そのため、もしも足音等の騒音による通報が入った場合は、歩き方に気を付ける、可能な限り静かに歩くなどの配慮が必要です。

夜間の家事(洗濯・掃除機等)

最新の洗濯機や掃除機であれば、音がとても小さくなっています。そのため、騒音による通報の可能性は低いでしょう。

ただ、洗濯機の揺れや掃除機をかけている最中の音が、下の階の人や隣の家の人に響いてしまう可能性があります。とくに日中であれば仕方ないものの、夜間等非常識な時間帯に行うのは避けたほうが良いでしょう。

騒音の通報を放置した場合のリスク

騒音によるトラブルや通報があった場合、可能な限り改善をしておかなければ、さまざまなリスクが伴います。とくに、騒音に心当たりがあるにも関わらず、苦情や通報を放置していると、逮捕されたり強制退去、損害賠償請求されたりなどのリスクが発生するでしょう。

最後に、騒音の通報を放置した場合に起こり得る逮捕以外のリスクについても詳しく紹介します。騒音による通報があった人は、ぜひ参考にしてください。

近隣住民等とのトラブルに発展する可能性

騒音による通報があったにも関わらず、一切の改善が行われない場合は、近隣住民等とのトラブルに発展しかねません。

実際、過去には騒音トラブルがきっかけで殺人未遂まで発展したケースがあります。

罪状:殺人未遂
判決:懲役7年
【事件内容】
前から騒音によってトラブルになっていたAが、事件当日も騒音にたまりかね、被告人に対して苦情を言いにきた。Aは被告人に対して怒鳴り声をあげ、被告人は立腹してAに対して殺意を持って腹部を突き刺した。

参考:事件番号平成28(わ)625|裁判例

上記事件は、実際の事件が発生する前から何度も騒音に関する苦情を入れてはいたものの、改善されることがなかったために起きました。このケースでは、騒音を出していた側が被告人となった事件ですが、逆もあり得ます。

度を超える騒音によるトラブル、何度苦情や通報をしても改善されないといった場合は、殺人や殺人未遂といった重大な事件に発展する可能性があります。

強制退去の可能性

賃貸住宅の場合、最悪の場合は強制退去させられる可能性があります。

入居者を強制退去させることは、決して容易ではありません。しかし、近隣住民等が騒音の証拠を集め、管理会社や大家さんに相談をすることで、契約違反として強制退去となる可能性があります。

損害賠償請求の可能性

騒音が原因で近隣住民が引っ越しを余儀なくされた場合、損害賠償請求が認められる場合があります。損害賠償請求の内容は、慰謝料や引っ越し費用です。騒音と退去の因果関係が認められた場合は、実際に起こり得ます。

とくに、何度も注意喚起等を行っているにも関わらず、一切改善されなかったり改善の見込みがなかったりすると、損害賠償が認められる可能性が高まるでしょう。

そのため、通報や苦情が入った際は真摯に受け止め、改善したり対応したりすることがとても大切です。

まとめ

今回は、騒音によって通報された場合の対処法等について解説しました。

多少の騒音であれば、通報をされても注意されるだけで済みます。しかし、明らかに異常な騒音を繰り返したり、何度注意しても改善されない場合は、軽犯罪法違反や暴行罪・傷害罪といった犯罪に抵触します。

また、中には嫌がらせを目的として何度も通報してくる人がいるかもしれません。そういった人に対しては、住まいの管理会社や大家さんへ相談をするのが好ましいでしょう。持ち家の場合は、関わらないことを徹底するしかありません。

今回解説した内容を踏まえ、騒音トラブルが発生した際には正しく対処するようにしてください。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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