ストーカーが犯罪になる基準とは?ストーカー行為の相談先と今後の対処法を解説

ストーカーが犯罪になる基準とは?ストーカー行為の相談先と今後の対処法を解説
ストーカーが犯罪になる基準とは?ストーカー行為の相談先と今後の対処法を解説

ストーカー行為は立派な犯罪行為です。しかし、どこからがストーカー行為であり、どういった犯罪に該当するのかを理解していない人も多いです。

ストーカー行為については「ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)」によって厳しく規制されています。違反した場合は、罰金刑や懲役刑といった厳しい処罰を受ける可能性があります。

この記事では、ストーカー行為の犯罪性やストーカー被害にあった場合の対処法、ストーカーを放置した場合のリスク等について詳しく解説しています。

もし、「ストーカー被害に合っている…」という人や「自分が行っていることは犯罪…?」と不安を抱えている人は、ぜひ参考にしてください。

ストーカーが犯罪になり得る基準とは

ストーカー行為が犯罪となるためには、法的な基準があります。具体的には、以下の2点です。

  • ストーカー行為を反復継続的に行っている
  • 拒否した場合であっても継続されている

ストーカーと言っても、その行為は多種多様です。たとえば「メールが届いた」この事実だけで、ストーカーであると判断する人は少ないでしょう。

しかし、内容が以上であったり拒否しているにも関わらず、何度も届いているような場合は上記2つの基準を満たしていることになります。そのためまずは、ストーカーが犯罪となり得る2つの基準について詳しく解説していこうと思います。

ストーカー行為を反復継続的に行っている場合

ストーカー行為を反復継続的に行われている場合は、犯罪行為とみなされる可能性があります。

ストーカー行為に該当する行為は以下のとおりです。

  • 尾行・付き纏い
    被害者となる人を対象に尾行したり付き纏ったりする行為
  • 待ち伏せ
    自宅や職場・学校等で待ち伏せをする行為
  • 見張り行為
    普段の行動等を自宅近く等で見張る行為
  • 目の前に現れる
    被害者の目の前に現れる行為、わかりやすくうろつく行為、立ちはだかる行為等
  • 面会や交際の強要
    第三者に対して被害者と合わせるよう強要する行為、被害者に対して交際を迫る行為
  • 監視していることを告げる行為
    「私はあなたを監視しています」と告げる行為
  • 名誉毀損行為
    被害者の名誉を毀損させる行為
  • 位置情報等の無承諾取得
    被害者の承諾得ることなく、勝手に位置情報を取得する行為
  • 無言電話や嫌がらせメール、その他FAXや文章の送付等
    電話や電子メールなどを利用して、嫌がらせの文章を送ったり無言電話を繰り返したりする行為
  • 汚物等の送付
    汚物や動物の死骸、被害者の嫌がるであろう物を送付する行為、または自宅玄関前に置く行為等

主に、上記のような行為がストーカー行為に該当します。簡単に言ってしまえば、「被害者が嫌がる行為を反復継続的に行っていた場合」です。

上記行為の中には、直ちに犯罪として認められる行為があります。しかし、ストーカーによる犯罪として認められるためには、反復継続的に行われていることが要件です。そのため、上記行為が1度だけ行われた場合は、ストーカーとしては認められません。

たとえば、付き纏いや待ち伏せをされたとしても1回きりでは、「ストーカーである」とは認められにくいのです。なぜなら、勘違いやただあなたに用事があったから、などの理由が考えられるためです。

そのため、ストーカーが犯罪になるための要件の一つ目は「ストーカー行為が反復継続的に行われていること」となります。

拒否されても継続的に行っている場合

ストーカーが犯罪行為として認められるためには、ストーカー行為を拒否されても継続されていることが要件となります。

たとえば、ストーカー行為を行っているAが被害者Bに対して、付き纏いや待ち伏せなどの行為を反復継続的に行っていたとしましょう。この場合、直ちにAをストーカー行為で犯罪に問えるか?というと、難しいのが現実です。

まず、警察等に相談をしたとしてもAに対して注意をしたりBから直接「やめてください!」と伝えるように促されるのみです。警察による注意や被害者の明確な拒否を行ってもなお、継続的にストーカー行為を行っている場合は、犯罪行為とみなされます。

ストーカーを受けている側からすると、「もっと早く対処してほしい」と考えるのは当然の意見です。しかし「ストーカー行為である」と判断するためには、やはり基準を定めなければいけません。

ストーカー行為や嫌がらせを受けている場合は、早急に警察等へ相談をして注意を行ってもらうようにするべきでしょう。そうすることで、ストーカー行為が犯罪行為と認められやすくなります。

ストーカーは犯罪行為!何罪が適用される?

ストーカー行為は立派な犯罪行為です。適用される法律は、基本的に「ストーカー規制法違反」です。ただし、その行為を行うために犯罪を犯している可能性があります。たとえば、強要罪や名誉毀損罪、住居侵入罪等…。

次に、ストーカー行為がどういった犯罪に該当するのか?について、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。

ストーカー規制法

ストーカー行為を規制するための法律で「ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)」というものがあります。同法律では、いわゆるストーカー行為を行った場合に処罰したり、警告・接近禁止命令を出したりできるなどのことが定められています。

また、同法の罰則については以下のとおり明記されています。

(罰則)
第十八条 ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第十九条 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。

第二十条 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:ストーカー規制法違反|第18条〜第20条

つまり、先に解説したストーカー行為を繰り返し行った者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。また、禁止命令(ストーカー行為を禁止するよう命じる行為)が行われたにも関わらず、継続した場合は2年以下の懲役または200万円の罰金です。

つまり、禁止命令を受けてもなお継続的に行った場合は、通常の倍の刑罰に処されるということです。

また、禁止命令が出されているにも関わらず、違反してストーカー行為を繰り返した場合は通常の半分である半年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

行為によっては他の罪に問われる可能性あり

ストーカー行為はその行為自体が犯罪になる可能性があります。たとえば、以下のような犯罪に該当します。

【主なストーカー行為と犯罪】

  • 被害者の名誉を毀損する行為「名誉毀損罪(刑法第230条)」
  • 被害者に対して何らかのことを強要する行為「強要罪(刑法第223条)」
  • 被害者の自宅等に侵入する行為「住居侵入罪(刑法第130条)」
  • 被害者に対して脅迫するようなメッセージ等を送る行為「脅迫罪(刑法第222条)」
  • 付き纏い行為「迷惑防止条例違反」

上記のようにストーカー行為自体が犯罪となるケースも多々あります。そのため、ストーカー行為規制法に抵触しているかどうか、わからない場合であっても警察へ相談をして上記法律に従って適切に対応してもらえる可能性があります。

よくあるストーカー行為の罪状と刑罰

ストーカー行為とは一言で言うと「相手が嫌がる行為を繰り返す」ことを指します。そのため、「嫌だな…」と思っているにも関わらず、相手がその行為を繰り返し、拒否しているにも関わらず継続する場合はストーカー行為であると判断して良いです。

次に、よくあるストーカー行為と行為に対する犯罪および刑罰について詳しく解説します。

つきまとい・見張り

ストーカーの中には、被害者に付き纏ったり自宅付近で見張りをしたりする行為があります。この行為は、ストーカー規制法違反の他、迷惑防止条例違反に該当します。

ただし、迷惑防止条例違反は各都道府県によって要件や罰則が異なる可能性があるため注意しなければいけません。東京都を例に見ると、以下のように明記されています。

(つきまとい行為等の禁止)
第五条の二 何人も、正当な理由なく、専ら、特定の者に対する妬み、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号のいずれかに掲げるもの(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第一項に規定するつきまとい等、同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等及び同条第四項に規定するストーカー行為を除く。)を反復して行つてはならない。この場合において、第一号から第三号まで及び第四号(電子メールの送信等(ストーカー行為等の規制等に関する法律第二条第二項に規定する電子メールの送信等をいう。以下同じ。)に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等(住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所又は通常所在する場所をいう。以下この項において同じ。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限るものとする。

引用元:東京都迷惑防止条例|第5条の2

要するに、正当な理由がないにも関わらず特定の人に対して、不安を覚えさせるような行為(付き纏い)を行ってはいけないと定められています。

また、被害者の前に立ち塞がって進路を妨害したり相手に迷惑をかけたりした場合は、軽犯罪法違反に抵触します。

二十八 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者

引用元:軽犯罪法|第1条28項

軽犯罪法に違反したものは、拘留または科料に処されます。

盗聴・盗撮

盗聴・盗撮も立派なストーカー行為の一例です。しかし、盗聴に関しては罪に問うことができません。たとえ、それがストーカーの目的であってもです。

実は、ストーカー規制法では「盗聴を行った場合」などの記載がありません。また、盗聴を直接取り締まるような法律がないため、罪に問うことはできないのです。

ただし、盗聴を行うために犯罪を犯した場合は、その犯罪行為に基づいて罪を問うことができます。たとえば、ストーカー行為を目的として盗聴を行い、被害者に対して「盗聴しているぞ」や「監視しているぞ」などと告げる行為は、ストーカー規制法違反です。

また、盗聴器を仕掛けるために自宅に侵入した場合は住居侵入罪、盗聴した内容を元に脅迫した場合は脅迫罪が適用されます。

そして、盗撮についてもその行為自体が法に触れることはありません。盗撮行為を罪に問うためには、迷惑防止条例違反に該当した場合です。たとえば、東京都の条例では以下のとおり明記されています。

二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

引用元:東京都迷惑防止条例違反|第5条

つまり、自分の自宅や浴場、更衣室等、服を脱いでいる可能性があるところを撮影した場合に条例違反となり得ます。よって、普段から付き纏って行動を撮影したり盗撮したりする行為自体は違法ではありません。

とはいえ、被害者側が「普段から盗撮・盗聴されている…」と気付いている時点でストーカー規制法違反に抵触している可能性があります。

なぜなら「その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと」はストーカー規制法で禁止されているためです。つまり、「あの人に監視されている…」と感じている時点でストーカー規制法に問える可能性があります。

無言電話・脅迫行為

無言電話は、ストーカー規制法違反に該当します。ストーカー規制法では以下のとおり明記しています。

五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

引用元:ストーカー規制法|第2条5項

無言電話に関しては、上記に該当します。よって、ストーカー規制法違反として処罰できます。

そして、脅迫行為は刑法に定める脅迫罪です。脅迫罪については、以下のとおり明記されています。

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

引用元:刑法|第222条

また、上記脅迫行為に該当しなくても、著しく粗暴または乱暴な言葉を何度も繰り返し言われた場合は、ストーカー規制法違反になり得ます。

相手の名誉を毀損

被害者の名誉を毀損する行為は、ストーカー禁止法違反および刑法に定める名誉毀損罪に該当します。

まず、ストーカー規制法では以下のとおり明記されています。

七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

引用元:ストーカー規制法|第2条7項

刑法では以下のとおり明記されています。

(名誉毀き損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法|第230条

刑法で定められている名誉毀損罪は、万人に対して罰せられる法律であるため成立要件は厳しいです。たとえば、不特定多数の人に対して事実であると思わせる言動を行った場合です。

しかし、ストーカー規制法の場合は上記のような厳しい要件を求めていません。単純に「被害者の名誉を害する行為」のみで成立すると解釈できます。

汚物等の送付行為

汚物等の送付は、ストーカー規制法違反です。同法では、以下のとおり明記されています。

六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

引用元:ストーカー規制法|第2条6項

ストーカー規制法による処罰は、前提として「反復継続的に行われていること」が条件です。そのため、1度だけ汚物等を置かれても直ちに罪に問うのは難しいでしょう。

しかし、汚物が置かれていた場所・物を使用することができなくなった場合、器物損壊罪に問える可能性があります。他にも、汚物等を投げつけられた場合は暴行罪に問える可能性があるため、直ちに警察等へ相談したほうが良いでしょう。

デートや交際の強要

デートや交際の強要など、本来義務のない行為を行わせようとした場合は、ストーカー規制法や強要罪に該当し得ます。

たとえば、ストーカー規制法では以下のとおり記載されています。

三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
引用元:ストーカー規制法|第2条3項

強要罪は刑法に定められている犯罪であり、以下のとおり明記されています。

(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

引用元:刑法|第223条

刑法による強要罪は、前提として「自分もしくは親族の身体や生命、財産等に危害を加えること」を告げた上で強要している場合に成立します。

一方、ストーカー規制法は、面会や交際などをしつこく迫ったり強要したりした場合に成立します。つまり、ストーカー規制法のほうが刑法の強要罪と比較して、成立要件を満たしやすいです。

もし、何度も断っているにも関わらず、しつこく面会や交際を迫られている場合はストーカー規制法違反になり、立派な犯罪行為です。直ちに警察等へ相談をしましょう。

ストーカー行為は犯罪であり逮捕の可能性がある

ストーカー行為は犯罪であるため、当然逮捕される可能性があります。しかし、その行為があったからといって、直ちに逮捕される可能性は低いです。

次に、ストーカー行為から逮捕までの流れと即時逮捕の要件について詳しく解説します。

ストーカー行為から逮捕までの流れ

ストーカー行為には「警告」と「禁止命令」があります。ストーカー禁止法では、ストーカー行為を繰り返し行った者、禁止命令に違反した者に対して罰則を定めています。

そのため、ストーカー規制法による逮捕までの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. ストーカー行為
  2. 被害者が警察へ相談
  3. 警察が加害者に事実を確認した上で「警告」を出す
  4. ストーカー行為をやめなかった場合、公安委員会より「禁止命令」を出す
  5. 禁止命令に従わない場合は逮捕

前提として、逮捕までに警察による警告と公安委員会による禁止命令があります。これらの流れがあって、初めて逮捕できるものです。被害者からすると「早く逮捕してほしい…」と考えるのは当然ですが、警告や禁止命令という流れが必要です。

1.警告

ストーカー行為が発生した場合は、直ちに警察へ相談をしてください。相談があった警察署の署長は加害者に対して「ストーカー行為をやめなさい」といった警告を出すことができます。

ただし、警察が出す警告に何ら効力はありません。あくまでも、注意と同じ意味合いです。

2.禁止命令

警察からの警告を無視してストーカー行為を継続されている場合、公安委員会より「禁止命令」が出されます。禁止命令とは、ストーカー行為を禁止する命令です。

警告よりも効力が強く、禁止命令に違反してストーカー行為を繰り返した者は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に処されます。つまり、逮捕される可能性があるということです。

そして、禁止命令に違反した場合は「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます。いずれの場合も逮捕の可能性があります。

犯罪行為が認められれば即時逮捕もあり得る

ストーカーによる行為が犯罪行為である場合は、直ちに逮捕される可能性があります。たとえば、付き纏って暴行を加えたり、自宅内に無理やり侵入してきたりした場合は直ちに逮捕されます。

そのため、ストーカー被害にあっている場合は、直ちに警察等へ相談をして対応してもらいましょう。

ストーカー被害に遭っている場合の対処法

現在、ストーカー被害にあっている人は、以下の対処法を検討してください。

  • 警察へ相談
  • 弁護士へ相談

ストーカー被害にあっている場合、直ちに対応しなければ大きな被害が発生することもあり得ます。実際、ストーカーから殺人事件にまで発展したケースはいくつもあります。そのため、これから解説する対処法をご検討ください。

直ちに警察へ相談

ストーカー被害にあっている場合は、直ちに警察へ相談をしましょう。中には「警察へ相談をしても動いてくれない…」と考えている人がいるかもしれませんが、そういったことはありません。

過去は、ストーカー行為を犯罪として認めにくく、警察が動きにくいという実情もありました。しかし現在では、ストーカー規制法という法律があるため、しっかり対応してくれるケースがほとんどです。

まずは警告、その後に禁止命令という流れこそはありますが、警察でしっかり対応してくれるため、安心して相談してください。場合によっては、即時逮捕もあり得ます。

弁護士への相談も有効

ストーカー被害にあっている場合、弁護士に相談をしてみるのもひとつの手段です。弁護士は、警察官とは異なり、相手に警告を出したり逮捕したりすることはできません。しかし、法律の専門家として以下の対応を行ってくれます。

  • 相手に内容証明を出す
  • 警察署への同行
  • 民事訴訟の提起・サポート
  • 代理交渉を行う

たとえば、ストーカー被害によって精神的や身体的苦痛を感じている場合は、損害賠償請求等が可能です。また、実際には損害賠償請求を行うつもりがなくても、賠償請求等の法律行為を盾にストーカー行為を行わないように説得することもできます。

そのため、たとえば「警察に相談したけど動いてくれない…」「警察に相談をして被害が大きくなったら怖い…」などと不安を抱えている人は、弁護士に相談をしても良いでしょう。

ただし、弁護士も警察もストーカーとしての実態がなければ動きにくいのも事実です。そのため、可能な限りストーカー被害に合っている証拠を集めておくと良いでしょう。

ストーカーを放置した場合に起こり得るリスク

過去にストーカーをきっかけに重大事件に発展したケースを紹介します。ストーカー行為は、一方的な感情のみで行われることが多いものの、報われないとわかった途端に逆上する加害者も非常に多くいます。

ストーカーは立派な犯罪行為であるものの、被害者と加害者が顔見知りであるケースも多く「情け」によって警察への通報を躊躇するケースもあるでしょう。そのため、今後ストーカー行為が継続した場合に起こり得るリスクについても解説します。

ストーカー行為を正しく理解し、正しく対処して自分の身を守るための参考にしてください。

事例1:ストーカーの挙句、殺人事件に発展した事例

罪状:ストーカー行為等の規制等に関する法律違反・殺人・銃砲刀剣類所持 等取締法違
判決:懲役17年
事件番号:令和3年 第638号事件概要:元交際相手に対してストーカー行為を繰り返していた被告人は、所轄警察署長からストーカー規制法に定められている「禁止命令」を受けたいた。しかし、禁止命令に違反して反復して付き纏い、被害者宅敷地に押しかけたことによるストーカー規制法違反。また、ストーカー規制法に違反した挙句、被害者が話に応じなかったことに腹を立て、殺意を持って同人を小刀で5回刺し、殺害した事件。参考元:裁判例|令和3年(わ)第638号

本事例は、元交際相手が被告人および被害者となった事件です。

ストーカーの加害者となるのは元交際相手であるケースが多いです。とくに、しっかりお別れできておらず、一方的に好意を寄せられている場合は注意しなければいけません。

また、小刀で刺した回数は5回とあるものの、これはあくまでも死亡する前に刺され数です。そして、実際には12回も刺された箇所がありました。

このことからもわかるように、ストーカーは一方的に恨みを持たれているケースがとても多いため注意しなければいけません。そのため、ストーカー行為が発生している場合は、十分に注意した上で適切に対処しなければいけません。

事例2:ストーカー行為から殺人事件まで発展した事例

罪状:住居侵入・殺人・殺人未遂・銃砲刀剣類所持等取締法違反・未成年者略取被告事件
判決:懲役28年
事件番号:平成28年(わ)第144号・第178号事件概要:
被告人と被害者Aは元々婚姻関係にあったものの、被告人側のギャンブル等が原因で離婚。離婚後も被告人はAに対して一方的な好意を寄せており、生活に干渉するなどの行為を繰り返していた事例。被告人はAに対してストーカー行為を繰り返し、また、Aの親に対してもAに取り次ぐよう迫った。その後、Aからの被害報告により、被告人に対して口頭でのストーカー行為に対する「警告」を行った。後に、被告人はAに対する一方的な嫉妬や恨み、A親に対して「自分の思い通りに動いてくれない…」という怒りから、AおよびA親に対して殺意を抱きました。被告人はAおよびA親に対して殺意を持って包丁を向け、刺し、さらにバットで頭部を多数回殴打し、A親を殺害。Aを全治6カ月の傷害を負わせた事例。

参考元:裁判例|平成28年(わ)第144号・第178号

本件は、婚姻関係にあった男女の間で発生した事件です。本件がストーカー規制法違反に該当しない理由は、あくまでも「警察からの警告」であったためです。

本記事でも解説している通り、「禁止命令」に違反した場合は処罰対象となります。禁止命令の前に「警告」が行われるため、今回は警告後に発生した事件です。

今回も前事例同様に一方的な嫉妬心や怨恨から殺意を抱き、相当な殺意を持って殺害した事例です。また、本事例によって殺害されたのは、ストーカー被害にあっていた人の親でした。

また、ストーカー被害にあっていた当人も、傷害を追わされる結果となりました(被告人は当件に関して殺人未遂罪)。

こういった事態が発生しないためにも、ストーカー被害が発生している場合は早期に相談を行い、早期の解決を目指すのが得策です。不安なことがある際は、捜査機関(警察)あるいは弁護士などに相談をしましょう。

まとめ

今回はストーカーの犯罪基準について解説しました。

現在の法律では、ストーカー行為をストーカー規制法によって厳しく処罰される仕組みになっています。そのため、ストーカー被害にあっている場合は、直ちに警察等へ相談されることを強くおすすめします。

もし、「これってストーカー行為なのかな?」と不安に感じることがあれば、ぜひ本記事で解説している内容を参考にしてください。ストーカー行為についても詳しく解説しています。

ストーカー被害を放置していると、最悪の場合、凶悪犯罪に巻き込まれてしまう可能性があります。被害がある場合は、早急に対応するように心がけましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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