闇スロットで逮捕される可能性はある？事例や逮捕後の流れを解説

闇スロットは違法行為であり、経営者や従業員に限らず、客の立場であっても逮捕されてしまう可能性があります。逮捕されてしまうと、最悪の場合は懲役刑に処されてしまうかもしれません。

今回は、闇スロットの違法性や逮捕される可能性、逮捕されてしまった場合に起こり得る今後の流れについて詳しく解説します。闇スロットに興味がある人、闇スロットを行ってしまった人は、今後のためにもぜひ参考にしてください。

客も闇スロットで逮捕される可能性はある？

闇スロットとは、法律に従って許可を得ていない違法なスロット店のことを指します。「法律に違反している＝処罰対象」であるため、闇スロットを営業している店舗等は当然、処罰されます。

では、闇スロット店で遊んでいた客は処罰されるか？と疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。実は、客であっても摘発されて逮捕、処罰されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。

もし、客が闇スロット店で遊んでいて摘発された場合は、以下の法律によって処罰される可能性があります。

• 単純賭博罪
• 常習賭博罪
• 賭博場開帳等図利罪

まずは、それぞれの成立要件や上記罪状の刑罰等について詳しく解説します。

単純賭博罪による逮捕の可能性

単純賭博罪は、刑法によって以下のとおり明記されています。

（賭博）
第百八十五条　賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。

引用元：刑法｜第185条

単純賭博罪とは、以下の成立要件を満たした場合に適用される法律です。

• 偶然の勝敗によって財物等を得たり損したりする行為であること
• 財物や財産上の利益をかけていること

上記2店の要件を満たした場合に単純賭博罪が成立します。

たとえば、闇スロット店にてお金をかけてスロット機を楽しみ、メダルをお金に換えられたとしましょう。この場合、財産を賭けており、メダルを換金できれば利益をあげることもできるため、要件を満たします。

また、スロット機の設定こそあるものの、当たりやハズレ、メダルの排出枚数を捜査することは困難です。そのため、「偶然の勝敗によって財物等を得したり損したり」の要件も満たしていることになります。

よって、闇スロット店で遊戯をしていた客も単純賭博罪として処罰される可能性があります。なお、単純賭博罪が成立した場合は、50万円以下の罰金または科料に処されることになるでしょう。

科料とは、1,000円以上1万円未満の金銭を支払わせる刑罰です。法律では、1万円以上の金銭を支払う刑罰を「罰金」と言います。つまり、金額が少ない罰金刑＝科料と考えておけば良いでしょう。

単純賭博罪では懲役刑がないため、逮捕されてもお金（罰金）を支払えば刑務所へ行くことはありません。しかし、罰金を払えなければ、1日5,000円程度で労役へ行くことになるため注意してください。

常習賭博罪による逮捕の可能性

常習賭博罪とは、刑法によって以下のとおり定められています。

（常習賭博及び賭博場開張等図利）
第百八十六条　常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

引用元：刑法｜第186条

常習賭博罪とは、賭博を常習的に行っていることが認められた場合に適用される罪状です。単純賭博罪と比較して刑罰が重くなり、3年以下の懲役に処される可能性があります。

常習賭博罪の場合は、罰金刑がないため有罪判決が下った場合は、執行猶予がつかない限り刑務所へ収監されることになってしまいます。

ちなみに、常習性については賭博の種類や掛金の金額等で判断されるため、1回の賭博であっても常習賭博罪が適用されるかもしれません。

つまり、闇スロットであっても掛金次第では、常習賭博罪として処罰される可能性があります。また、常習的に闇スロットに通っている場合は、常習賭博罪として懲役刑に処される可能性があるため、注意しなければいけません。

賭博場開帳等図利罪による逮捕の可能性

賭博場開帳等図利罪は、刑法によって以下のとおり定められています。

２　賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
引用元：刑法｜第186条2項

賭博場開帳等図利罪は、賭博場を開いた者に対して適用される法律です。よって、闇スロット店を開いていた者が対象になるため、客は賭博場開帳等図利罪によって処罰される可能性は低いです。

ちなみに、賭博場開帳等図利罪が適用された場合は3カ月以上の3年以下の懲役刑です。常習賭博罪同様に罰金刑はありません。執行猶予がつかなければ、刑務所へ収容されることになります。

【事例】実際にあった闇スロット摘発事例

闇スロット店の経営や店舗で遊ぶ行為は、単純賭博罪や常習賭博罪等の法律に抵触します。そのため、店の経営者のみならず遊んでいた客も摘発されてしまう可能性があります。

万が一、摘発されてしまった場合は、罰金刑や懲役刑に処される可能性があり、注意しなければいけません。しかし中には、「バレなければ大丈夫」「バレることはないだろう」とたかを括っている人がいるかもしれません。

そこで次に、実際に発生した闇スロット店の摘発事例を紹介しようと思います。

事例1：岡山市の闇スロ摘発事例

現金と交換したメダルをかけてスロットを行っており、最終的にはメダルを現金と交換できる仕組みであったため、賭博罪が成立しました。また、常習性が認められたことから、より厳しい常習賭博罪によって逮捕された事例です。

また、本事件は全員現行犯で逮捕されています。つまり、警察官が違法スロット店に入り、実際に行為を行っていたため逮捕まで至ったケースです。

事例2：千葉市で摘発された事例

本事件は「違法賭博店がある」という第三者からの通報によって発覚し、警察が捜査を行って逮捕へ至ったケースです。詳細は書かれていないものの、捜査を行い証拠を固めて逮捕状を請求し、通常逮捕された流れであることが窺えます。

本事件では、店長および従業員の合計3人が逮捕され、スロット機19台が押収されたものの、客は逮捕されていません。

事例3：渋谷で闇スロット店が摘発された事例

本事件で押収された機械は54台であり、そのうち40台は人気機種が多い4号機でした。4号機は出玉性能が良く、ギャンブル性が高いことから非常に人気を集めていました。結果的に客数も増え、摘発人数も増える形となりました。

本事件では、店長や従業員を含め合計17人もの逮捕者が出ており、いずれも常習賭博罪によって現行犯逮捕されています。

闇スロットで逮捕された場合はどうなる？

闇スロットは犯罪であるため、当然逮捕されてしまう可能性があります。万が一、逮捕されてしまった場合、今後起こり得ることについて詳しく解説します。

逮捕

闇スロットは違法であるため、逮捕されてしまう可能性があります。逮捕の種類は、以下の3通りですが、客の場合は一般的に現行犯逮捕が主流です。

• 捜査をして証拠を集めて逮捕状を請求して行う「通常逮捕」
• 現行犯で逮捕を行う「現行犯逮捕」
• 重大犯罪の犯人等、逮捕状がなくても逮捕できる「緊急逮捕」

闇スロット店で働いている従業員等は、その店舗に常習的におり、働いているかどうかも捜査の過程でわかります。そのため、通常逮捕もしくは現行犯逮捕の可能性があります。

しかし、客の場合は個人情報を闇スロット店に渡しているわけでもなく、実際に行為を行っている証拠を集めるのが困難です。そのため、基本的には現行犯逮捕されるのが一般的です。

現行犯逮捕されるケースとしては、事例1で紹介した岡山の闇スロット店摘発事例のようなケースです。闇スロットを楽しんでいるときに警察官が乗り込んできて、その場で逮捕されます。

では、逮捕後はどういった流れでことが進んでいくのでしょうか。次の流れについても詳しく見ていきましょう。

逮捕後48時間以内に事件を送致

闇スロット店で現行犯逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ事件を送致しなければいけません。そのため、警察からすると48時間が最初の勝負です。

まず、闇スロット店で逮捕された後は捜査車両に乗せられて管轄の警察署へ行って取り調べを受けます。その後、基本的には警察署内にある留置施設に収容されます。収容された後も、引き続き取り調べは続きます。

ある程度の取り調べが完了次第、原則、検察官へ事件を送致しなければいけません。

ただし、警察官の判断で「微罪処分」とする可能性があります。微罪処分とは、犯罪行為が比較的軽微であり、そこまで悪質ではない場合、事件を送致することなく終結させることを言います。

闇スロットで遊んでいた客であっても、常習性がなく前科・前歴がないなどの事情があれば、微罪処分となる可能性があります。この場合、すぐに釈放されて自宅へ戻れます。

送致後24時間以内に勾留の有無を判断

事件の送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者をそのまま勾留して捜査を続けるか否かを判断する必要があります。勾留が必要であると判断した場合は、裁判所へ行って交流請求を行い、裁判官に勾留の有無を判断してもらいます。

検察官や裁判官が勾留をする必要がないと判断した場合は、在宅捜査に切り替わります。在宅捜査に切り替わった時点で自宅へ帰れますが、その後も捜査は続くため、検察官や裁判官の呼び出しには対応しなければいけません。

勾留が認められた場合は最大20日間の勾留

万が一、闇スロットの客であるあなたが勾留を認められてしまった場合、最大で20日間勾留されることになります。勾留されている間は、被疑者として留置施設にいなければいけません。

そのため、ここまでで最大23日間は自宅へ戻ることができず、当然会社や職場へ行くこともできないため注意が必要です。日常生活にも多大な影響を与える可能性があるため、可能な限り早期の釈放を目指すべきでしょう。

起訴の有無を判断

勾留期間中に検察官は、被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断しなければいけません。もし、起訴された場合は被疑者から被告人に呼び名が変わり、留置所から拘置所へ移動させられます。不起訴処分となった場合は、即時釈放されて日常生活へ戻れます。

ちなみに、「犯罪を行っていない＝不起訴処分」ではありません。犯罪行為が認められる場合であっても、証拠が足りない場合や検察官の判断で起訴をしない起訴猶予などがあります。

闇スロットで現行犯逮捕されている場合は、「証拠が足りなくて不起訴」となる可能性は低いです。そのため、起訴猶予を目指して行動をしていきます。

起訴猶予は、被疑者の反省の態度や前科・前歴、今後の態様等を判断した上で認められる場合があるため、起訴されないように目指していくべきでしょう。

起訴された場合は刑事裁判へ移行

もし、賭博容疑で起訴された場合は、そのまま刑事裁判を受けることになります。刑事裁判を受けている間は被告人と呼ばれ、拘置所から裁判所へ行って裁判を受けます。また、在宅起訴された場合は自宅から裁判所へ行って、裁判を受ける流れです。

いずれの場合であっても、複数の公判を行って判決が下ります。

判決に従って刑に服する

刑事裁判にて、判決が下された場合はその判決に従って刑に服します。たとえば執行猶予なしの実刑判決が下された場合は、判決期間に応じて刑務所へ収容されます。

科料や罰金刑であれば、指定された金額を支払って終了しますが、支払えない場合は1日5,000円程度で労役へ服さなければいけません。

闇スロットで逮捕された場合に早期釈放を目指す方法

闇スロットで逮捕されてしまった場合、今後は勾留されて起訴、最悪の場合は懲役刑が下される可能性もあります。

できるだけ早期に釈放され、社会生活に戻るためにはしっかりと対策しておくことが大切です。次に、闇スロットで逮捕されてしまった場合に対応すべきことについて詳しく解説します。

直ちに弁護士へ相談をする

まず、逮捕された時点ですぐに弁護士へ相談をしましょう。逮捕後に弁護士を呼べるタイミングは、以下の通りです。

• いつでも呼べるのが「私選弁護人」
• 逮捕後に1回だけ無料で呼べる「当番弁護人」
• 私選弁護士を付けられない人が、交流決定後に付く「国選弁護人」

まず、可能であれば私選弁護人を呼びましょう。費用は自分で支払わなければいけませんが、警察官に「私選弁護人を呼んでほしい」と伝えれば、来てくれます。

もし、費用の捻出が難しい場合は、とりあえず当番弁護人を呼びましょう。当番弁護人は1回まで無料で依頼できます。自分から警察官へ「当番弁護人を呼んでほしい」と依頼すれば呼んでもらえます。また、家族等からの依頼も可能です。

弁護士は、依頼された時点で早期に釈放されるように動いてくれます。しかし、思い通りにいかず、中には勾留請求まで至ってしまうケースがあります。この場合、私選弁護人がいなければ国選弁護人が付く流れです。

国選弁護人であっても、逮捕された人を早期に釈放できるように動いてくれることは間違いありません。しっかり打ち合わせをした上で、取り調べに応じるようにしましょう。

反省の意を示す

取り調べの過程で、反省している旨をしっかり伝えましょう。また、今後一切闇スロットにいかないことを宣言し、約束することが大切です。知っていることはすべて話し、今後は一切やりませんということを伝えられれば、早期の釈放を目指せる可能性が高いでしょう。

とくに、過去に前科前歴がなく、常習性が認められない場合などは比較的軽微な犯罪であるため、厳しい処罰が下る可能性は低いです。まずは、取り調べにしっかり応じ、反省の意を示すことがもっとも大切です。

常習性がないことを示す

過去に闇スロットに行ったことがあるのであれば、正直に伝えるべきです。しかし、初めて行ったもしくは、初めて逮捕されたということであれば素直に「常習性はなく、今後はやるつもりがない」と伝えるべきです。

賭博罪を見てもわかるように、単純賭博罪と常習賭博罪の刑罰の重さはまったく異なります。そのため、自分は単純賭博罪であること、今後は絶対に闇スロット店に行かないことなどを約束して早期の釈放を目指しましょう。

闇スロットに関するよくある質問

闇スロットに関するよくある質問を紹介します。

Q．オンラインカジノも違法ですか？

A.日本国内でオンラインカジノを行うことは違法です。

オンラインカジノは、海外にサーバーがあることが多いため中には「合法である」と勘違いをされている人がいます。しかし、海外にサーバーがあるオンラインカジノであっても、日本国内で行うことは禁止されています。

実際に、日本国内でオンラインカジノを行っていた人が賭博罪や常習賭博罪で摘発された事例もあるため注意しなければいけません。カジノを楽しみたいのであれば、カジノが合法である国へ行って楽しむしかありません。

Q．闇スロットで逮捕される可能性がありますか？

A.逮捕される可能性があります。

本記事本文でもいくつか事例を紹介しましたが、闇スロットを楽しんでいた人が現行犯逮捕された事例がいくつもあります。そのため、「客であるから大丈夫」や「逮捕までされることはない」などと考えるのはやめましょう。

逮捕された場合は、罰金刑や懲役刑といった処罰を受ける可能性があります。最悪の場合は、刑務所へ収容される可能性もあるため闇スロットは絶対にやめてください。

Q．賭博罪の定義は何ですか？景品のあるゲームセンターのスロットは合法なのですか？

A.賭博罪は「勝敗が偶然によって決まること」「勝敗によって財物等の得喪を争うこと」です。

たとえば、前提としてスロット機の勝敗は確率（偶然）によって決まります。そして、お金を賭けて失ったり儲かったりします。そのため、賭博として認められ、違法であると判断されるのです。

しかし、ゲームセンターのスロット機はただ演出を楽しむだけであって、対価としてコインや景品を得られるのみです。コインはゲームセンターのみで遊べます。景品を何かに交換することもできません。そのため、「勝敗によって財産等を得喪を争う」の要件を満たしません。

Q.通常のパチンコ店は違法ではないのですか？

A.通常のパチンコ店は「建前上」違法ではありません。

パチンコ店へいくとお金を賭けてパチンコやスロットを遊戯し、最終的には出玉と景品を交換できます。店舗内で交換された景品は、現金との交換ができます。これを3店方式と呼びます。

実は、パチンコ店で出玉とお金を交換してしまうと、賭博罪に該当するため違法です。しかし、パチンコ店ではあくまでも出玉と「景品」を交換しているのみであり、仕組みはゲームセンターと同じです。

パチンコ店が関与するのは出玉と景品の交換までであるため、違法ではありません。しかし、実際はパチンコ店で交換した景品と現金を交換できます。この事実を警察等は見て見ぬふり、知らないふりをしているのです。そのため、「建前上は合法である」と言えるのです。

Q.闇スロット以外の賭博であれば合法ですか？

A.日本で認められた賭博以外は、原則禁止です。

日本国内で現在認められている賭博は、以下の通りです。

• 競馬
• 競輪
• ボートレース
• オートレース
• 宝くじ

日本で認められているのは上記のみです。そのため、原則的な話をすると先ほども解説した通り、パチンコやスロットも違法です。

ただし、常習賭博罪では「ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と記載されています。そのため、たとえば友達同士でジュースを賭けてじゃんけんをしたような場合は、賭博罪にはなりません。

まとめ

今回は、闇スロットの違法性について紹介しました。

闇スロットは「闇」とついているように、違法な行為であり単純賭博罪や常習賭博罪などさまざまな法律に抵触する可能性があります。いずれの場合も、法に触れてしまった場合は厳しく処罰されるため注意しなければいけません。

法律は「知らなかった」では済まされません。闇スロットはなぜ「闇」と言われているのかを考えれば、違法性をすぐに判断できるはずです。

今後、逮捕されたり厳しく処罰されたりすることがないよう、絶対に闇スロットには手を出さないようにしましょう。