痴漢冤罪事件は度々発生しています。痴漢被害を訴える被害者は、実際に痴漢冤罪を受けていることが多いため、主張も内容もリアルです。そのため被害者側の意見を採用しやすいのが現実です。
とはいえ、痴漢の疑いをかけられている側も冤罪被害者です。冤罪被害者は、やってもいない罪によって人生を狂わされてしまう可能性があります。
そのため、万が一のことがあった場合に正しく対応できるよう、本記事で紹介している内容を参考にしてください。
【対処法】痴漢冤罪で捕まった場合に行うべきこと
痴漢冤罪で捕まってしまった場合は、以下のことを行ってください。
- 絶対に謝罪をしない
- その場から逃げない
- すぐに弁護士へ相談をする
- 可能な限り証人を集める
- 相手の体には絶対触れない
- 勤務先や家族へ連絡をする
- 供述調書へのサインや押印はしない
痴漢冤罪は、ある日突然発生します。そのため、いつどこで何が起きても、冷静に判断できるよう前もって準備しておくことが大切です。
被害者は「本当に痴漢被害を受けており、痴漢を行った人を間違っている場合(冤罪)」と「痴漢されていないにも関わらず、示談金目的で痴漢冤罪をでっちあげる人」の2パターンがあります。大半は前者によって冤罪が発生します。
そのため、被害者自身も被害者意識がとても強く、こちらの対応に困ることが容易に想像できます。いつ何時も冷静に判断できるよう、これから解説する内容をしっかりと頭に入れておいてください。
絶対に謝罪をしない
痴漢冤罪で捕まった場合、絶対に謝罪をしないでください。謝罪をすると、「謝罪=悪いことをした」と認識されてしまい、痴漢を行ったのではないか?といった疑いが強くなってしまいます。
痴漢の疑いをかけられると、咄嗟に「すみません」等と言ってしまうことがあるかもしれません。しかし、絶対に言わないようにしましょう。周りからの印象も悪くなってしまいます。
むしろ、謝罪ではなく「私はやっていません!」と大きな声を出して周りの証人を見つけておくことが大切です。
その場から逃げない
痴漢の疑いをかけられた場合、絶対にその場から逃げないでください。咄嗟のことで慌てて逃げてしまうことがあるかもしれませんが、「痴漢が見つかったから逃げた」と思われてしまう可能性が高まります。
逃げなければ、そのまま身柄を拘束されて駅員室等に連れて行かれます。警察が来ると逮捕されてしまう可能性もあるでしょう。
しかし、これから解説する対処法をしっかり行えば、逮捕等を回避できます。そのため、絶対にその場から逃げずに、正しい対処法を行ってください。
すぐに弁護士へ相談をする
痴漢の疑いをかけられてしまった場合、直ちに弁護士へ相談をしてください。弁護士によっては、夜間・休日にも対応している場合があります。痴漢冤罪が発生している時点で呼べる弁護士であり、尚且つ痴漢冤罪に対応できる弁護士をすぐに呼びましょう。
なお、中には誤った正義感をもっている人がいるため注意してください。たとえば、あなたがスマートフォンですぐに呼べる弁護士を検索し、電話をかけようとすると「スマートフォンに触るな」「電話をかけるな」などと言い、妨害する人がいるかもしれません。
しかし、逮捕されているわけではないため、これらを禁止する権限は有していません。また、「私人逮捕が成立している」と言われるかもしれませんが、私人逮捕が成立していたとしても、最低限の身柄拘束のみ許されており、遅滞なく警察官等に引き継がなければいけません。
当然ながら、人の所持品を取り上げたり必要以上に人の行動を抑制したりするような行為は禁止されています。よって、自分でスマートフォンを開き、弁護士を検索して電話をかけて呼ぶ行為はまったく問題ありません。必ず、すぐに弁護士を呼びましょう。
可能な限り証人を集める
痴漢の疑いをかけられた場合は、可能な限り証人を集めましょう。できれば、「あなたは痴漢をしていません」と証言をしてくれる人がいれば良いです。
もし、上記のような証言をできる人がいなかったとしても、痴漢の疑いをかけられたときから「私はやっていません!」と宣言していることを証言してくれる人でも良いです。初めから「私はやっていません!」と周囲に伝えておくことで、証言の一貫性を主張できます。
初めに紹介した内容と重複しますが、絶対に謝罪せずに「私はやっていません」と主張し続けることが大切です。そのうえで、自分の発言を証言してくれる人を見つけられればなお良いです。
相手の体には絶対触れない
相手の体には絶対に触れないようにしましょう。体に触れてしまうと、痴漢をした事実認定の証拠に使われてしまう可能性があるためです。
痴漢は、その意思がなければ成立はしません。しかし、意思を証明することは難しく、「触れてしまった事実」によって痴漢が成立する可能性があります。そのため、絶対に相手の体に触れないようにしてください。
勤務先や家族へ連絡をしておく
痴漢の疑いをかけられた場合、勤務先や家族へ連絡をしておきましょう。痴漢冤罪の場合、簡単な取り調べで終了したとしても、その日は出勤が遅れてしまう可能性があるためです。
また、場合によっては逮捕の可能性もあるため、数日間自宅へ帰ることができなくなるかもしれません。そのため、「私は今、痴漢冤罪で捕まっている。私は絶対にやっていません」と伝えておきましょう。
痴漢冤罪を主張することによって、家族等が弁護人を見つけてくれることもあります。そのため、しっかり自分の状況を伝え、「絶対にやっていない」という旨も伝えておきましょう。
供述調書へのサイン・押印はしない
痴漢冤罪で取り調べを受けると、供述に従って供述調書が書かれます。供述調書は、良くも悪くもその後の証拠として取り扱われます。そのため、絶対にサインをしたり押印をしたりしないでください。
このことについては、担当する弁護人からの説明もあるはずであるため、指示に従ったうえで冤罪を証明しましょう。
痴漢冤罪で捕まった場合の流れ
痴漢冤罪で捕まってしまった場合、以下の流れでことが進んでいきます。
- 駅員室に連れて行かれる
- 警察へ通報
- 警察が到着・簡単な取り調べを受ける
- 逮捕もしくは任意同行
- 警察署にて取り調べ
- 事件を送致
- 勾留請求
- 最大20日の身柄拘束
- 正式起訴された場合は刑事裁判
- 判決に従って刑に服する
それぞれの流れについて詳しく解説します。なお、上記流れは冤罪を証明できずに有罪判決が下されてしまうという、最悪の事態を想定しています。
1.駅員室に連れて行かれる
初めに、痴漢の疑いをかけられると駅員室に連れて行かれます。駅員室に連れて行く理由は、乗客同士でトラブル(痴漢問題)が発生しており、他の人に被害が発生したり電車の運行等に影響を与えたりする可能性があるためです。
しかし、正しい対処法としては「絶対に駅員室に行かないこと」です。駅員室に行ってはいけない理由として、以下の理由が挙げられます。
- すぐに警察を呼ばれる(言い分は聞いてもらえない)
- 証人を集められなくなる
そのため、被害者や駅員は駅員室に行って話をしようとしますが、基本的には「この場で弁護士が来るまで待ちます!」と伝えればOKです。中には「私人逮捕が成立している……」という人がいるかもしれませんが、大きな間違いです。
あなたは私人逮捕について言われても「この時点では成立していない」と伝えてください。私人逮捕が成立するためには、「犯人が現行犯もしくは準現行犯であること」が条件です。
つまり、実際に痴漢を行った事実が明らかであり、その犯行を行っている最中もしくは行った直後であれば私人逮捕の要件の一つを満たしていることになります。
痴漢冤罪の場合は「痴漢を行っていない」という前提があるため、「現行犯もしくは準現行犯」がそもそも成立していません。犯行が実際に行われていないにも関わらず、私人逮捕をする行為は監禁罪や暴行罪といった犯罪に抵触する可能性があります。
そのため、「そもそも私人逮捕は成立しておらず、今どう動くかは私の自由。痴漢の疑いをかけられているのであれば、協力はするが駅員室には行かない。今、弁護士が来るのでここで待つ」と伝えれば良いです。
2.警察へ通報
駅員室に連れて行かれても連れて行かれなくても、周囲の人が警察へ通報するでしょう。そうすると、警察が到着してあなたや被害者を名乗る人に事情を聞き、証人がいる場合は証人にも話を聞く流れとなります。
3.警察が到着・その場で簡単な取り調べ
警察が到着する頃には、早ければあなたが呼んだ弁護士も到着しているでしょう。弁護士を呼んでいなければ、自分で警察へ事情を話す必要があります。警察が来てからも一貫して「私は痴漢をしていません」と伝えましょう。警察は、お互いの話を聞いたうえで今後のことを決定します。
4.逮捕もしくは任意同行
警察が駅や駅員室等で簡単な取り調べを行います。あなたが痴漢を行ったという疑いが強ければ、そのまま逮捕されてしまう可能性もあるでしょう。仮に、疑義が不十分であっても、さらに取り調べを行う必要があると判断された場合は、警察署へ連行されてさらに取り調べを受けます。
5.警察署にて取り調べ
警察署へ連行された場合は、そのまま取り調べを受けることになります。取り調べでも「私はやっていません」と言い続けましょう。また、この時点で弁護人を選任していない場合は、逮捕されている場合に限って当番弁護人を呼ぶことができます。
当番弁護人は、今後の流れや取り調べに関する注意事項、アドバイスを教えてくれます。内容をよく聞き、指示に従って取り調べに応じるようにしましょう。
逮捕されずに任意聴取を受けている場合は、当番弁護人を呼ぶことはできません。もちろん、自分で私選弁護人を選任することはできるため、警察官に「〇〇法律事務所の〇〇弁護士を呼んでほしい」と伝えるか、家族経由で依頼をしましょう。
逮捕されると身柄を拘束されてしまいます。任意聴取の場合は、その日は自宅へ帰ることはできますが、警察や検察等の呼び出しに応じる必要があります。
6.逮捕から48時間以内に事件を送致
逮捕されてしまうと、身柄拘束が行われます。とくに否認事件の場合は逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと判断され、逮捕される可能性が高まります。
痴漢の疑いをかけられているあなた自身は、実際に痴漢を行っていないため否認するのは当然です。しかし、逮捕されている時点で犯罪の疑いが強いと判断されており、警察官等から見ると「やっている可能性が高いが否認している」と見られてしまいます。
逮捕をされると初めに48時間の身柄拘束が行われます。この制限時間内に警察は取り調べを行い、検察官へ事件を送致しなければいけません。
7.送致から24時間以内に勾留請求の有無を判断
事件を引き継いだ検察官は、24時間以内に勾留請求の有無を判断しなければいけません。勾留とは、引き続き身柄を拘束して取り調べを行う必要があるかどうかを判断することを言います。
とくに否認事件の場合は、勾留の必要があると判断されやすくなるため注意が必要です。早めに弁護人を選任して弁護活動を行ってもらい、勾留回避を目指すべきでしょう。
8.最大20日の身柄拘束
勾留請求が認められると、10日間の身柄拘束が継続します。さらに、実務上は10日の勾留延長が認められやすいため、これまでに合計23日間の身柄拘束が継続します。
たとえ痴漢冤罪であったとしても、その事実を証明できなければ長期間の身柄拘束が発生するため注意しなければいけません。
9.正式起訴された場合は刑事裁判を受ける
検察は勾留期間中に起訴するか不起訴とするかを判断する必要があります。不起訴となった場合は、即時釈放されますが、否認事件の場合は大半が起訴されてしまうと考えておきましょう。
起訴は「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。正式起訴は、通常通り裁判を行って有罪が無罪かを判断し、有罪の場合はどの程度の刑罰を下すか決定する流れです。
略式起訴の場合は100万円以下の罰金もしくは過料の場合にできる起訴方法であり、裁判手続きを行わずに略式命令という形で事件を終結させます。簡易的に終了させられるうえに、早期に釈放されるため略式起訴のほうが社会的影響は少なく済みます。
ただ、略式起訴の場合は罪を認めて判決(罰金・過料)を受け入れなければいけません。弁解の余地もなく、無罪判決を勝ち取ることもできません。そのため、痴漢冤罪を証明する場合は、通常裁判を受けることになります。
10.判決に従って刑に服する
刑事裁判では無罪か有罪かを判断します。痴漢冤罪を証明できなければ有罪判決が下されて罰金刑や懲役刑といった判決が下されるでしょう。また、否認事件の場合は「反省していない・再犯の可能性が高い」と判断されやすく、判決は厳しくなるため注意が必要です。
痴漢冤罪を証明できれば無罪を勝ち取ることも可能ですが、現実的には相当難しいです。日本の刑事裁判においては、起訴された場合99.9%の確率で有罪判決が下されてしまいます。
痴漢冤罪で捕まった場合の影響
痴漢冤罪で捕まってしまった場合、以下のような影響が発生します。
- 会社を解雇される可能性
- 長期間の身柄拘束の可能性
- 罰金刑・懲役刑の可能性
- 報道による影響の可能性
次に、痴漢冤罪で捕まった場合の影響について解説します。
会社を解雇されてしまう可能性
痴漢冤罪で捕まった場合は、会社を解雇されてしまう可能性があります。とくに、コンプライアンスに厳しい会社に勤務している場合は、逮捕や有罪判決によって解雇されてしまう可能性もあるでしょう。
冤罪を証明できたとしても、「従業員が逮捕されてしまった」という事実が影響をして何らかの処分が下されてしまうケースもあります。
あなた自身が冤罪を証明できた場合に会社に対して不当解雇や処分の不当性を訴えることも可能です。しかし、無駄な時間と労力がかかってしまうため、痴漢冤罪による被害としてはとても大きいです。
長期間の身柄拘束の可能性
痴漢の疑いをかけられた場合、冤罪を証明できるまでは勾留が続く可能性があります。逮捕のみで最大72時間(3日間)、さらに勾留が認められれば20日間の長期間勾留が行われます。
さらに、正式起訴となった場合は保釈が認められなければ、判決が確定するまでは身柄拘束が継続します。とくに冤罪事件の場合は、「最後まで戦いたい」と考える人が多く、身柄拘束が長期化します。場合によっては、数年以上の身柄拘束が行われるケースもあるため注意が必要です。
罰金刑・懲役刑の可能性
最終的には、罰金刑や懲役刑が下されてしまう可能性があります。そもそも、痴漢は各都道府県条例(迷惑防止条例違反)が適用されるケースが多いです。同罪の法定刑は、各都道府県によって異なるものの、東京都の場合は「1カ月以上6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
実際、懲役刑もある犯罪であるため注意が必要です。ただ、痴漢事件の場合は、大半のケースで罰金刑が下されて判決が確定します。悪質性が高い場合やその他の犯罪も成立している場合等は、懲役刑の可能性もあるため要注意です。
報道による影響の可能性
痴漢事件で報道されるケースは稀です。ただ、騒ぎを聞きつけた周りの人が動画を撮影してSNSに投稿するケースがあります。また、否認事件の場合や話題性がありそうな事件の場合は、ニュース番組等で取り上げられてしまう可能性もあるでしょう。
とくに、SNS等に投稿されてしまうと自分自身の姿もモザイクなしで撮影されてジャ授産されている場合も多く、その影響は甚大です。
痴漢冤罪に関するよくある質問
痴漢冤罪でよくある質問を紹介します。
Q.繊維検査等で冤罪を証明することは難しいですか?
A.繊維検査やDNA鑑定は冤罪を証明するための検査ではありません。よって、冤罪の証明にはなりません。
冤罪を証明するためには「痴漢を行ってはいけない」ということを証明しなければいけません。繊維検査は、手などに付いている繊維を検査することを言い、中には「手に被害者の服等の繊維が付いていなければ冤罪を証明できる」と考えている人がいるかもしれません。
しかし、繊維検査はあくまでも「手に繊維が付着していない」ということを証明するだけのものであって、冤罪そのものを証明できてはいません。なぜなら、手に繊維が付いていなくても、手袋を付けて触れていたり、繊維が手に付着しにくい布であったりする可能性があるためです。
よって、繊維鑑定やDNA鑑定によって冤罪そのものを証明することはできないため注意してください。
Q.痴漢冤罪が認められた場合、相手に対して賠償金を請求できますか?
A.相手に賠償金を請求できるケースとできないケースがあります。
本記事冒頭でも解説しましたが、痴漢冤罪は大きく分けて2パターンあります。一つ目は「本当に痴漢被害を受けており、痴漢を行った人を間違っている場合(冤罪)」です。もう一つは「痴漢されていないにも関わらず、示談金目的で痴漢冤罪をでっちあげる人」です。
前者の場合は、相手に対して損害賠償請求を行うことは難しいです。なぜなら、実際に被害に遭い、本当にあなたに痴漢をされたと思い込んでいたためです。思い込みもよくはありませんが、さまざまな状況で「あなたに痴漢をされた」と誤認をしているためです。
一方、後者の場合は「あなたを嵌めよう」と思って犯行に及んでおり、相手方は虚偽告訴罪という犯罪を行っていることになります。そのため、犯罪によって受けた損害は賠償請求が可能であるため、実際に受けた被害に対する賠償金請求は可能です。
Q.痴漢冤罪でも認めたほうが罪が軽くなるのは本当ですか?
A.罪を認めてしまったほうが早期に釈放される可能性は高いです。
冤罪事件の場合、被疑者は事件に対して「やっていない」と一貫して否認します。この場合、「反省していない」と見なされてしまう可能性が高く、また、逃亡や証拠隠滅の可能性があると判断されて逮捕や勾留の可能性が高まります。
また、痴漢冤罪事件で罪を認めている場合は「略式起訴」という選択肢もあります。略式起訴とは、裁判を行わずに判決を確定させることです。罪を認めて判決を受け入れる場合に限って適用される起訴方法であるため、痴漢冤罪で避妊し続ける場合は略式起訴とはなりません。
略式起訴の場合は勾留期間中に決定するため、刑事裁判に移行した際よりも早く釈放されて社会復帰できます。ただ、何度もお伝えしている通り、略式起訴はやっていない罪を認めることになるため注意してください。
Q.痴漢冤罪の証明は可能ですか?
A.初めの対応さえ間違えなければ、冤罪を証明することは可能です。
痴漢を疑われた場合は、直ちに弁護士を呼んで「私はやっていません!」と周囲に伝え、証人を集めておくなど初動を適切に行うことで回避できる可能性は高まります。そのため、今回解説した内容を踏まえ、万が一のことがあった場合は適切に対応できるよう心がけてください。
Q.万が一、「意思はなく、触れてしまった」という場合は痴漢冤罪になり得ますか?
A.痴漢の意思がなかった場合は痴漢が成立しません。
痴漢の成立要件には「故意」が必要です。故意とは、「触ろう」や「痴漢をしよう」と考える意思です。これらの意思がなければ、触れてしまっただけでは痴漢は成立しません。
しかし、実際に触れてしまった以上その意思を証明したり冤罪を証明したりするのは困難です。そのため、できるだけ触れないように注意することが大切です。誤って触れてしまい、痴漢の疑いをかけられた場合は「意思はなかった」としっかり主張しましょう。
「意思はなかった」と言っても客観的証拠に基づいて意思が証明されるケースもあるため注意してください。たとえば、電車内での痴漢で普通に立っていれば触れられない位置の部位に触れた場合は、意思があったと判断されます。女性の胸に手を当てた場合や洋服の中に手を入れて触れた場合などが該当します。これらの場合は「触る意思はなかった」というのは通用しません。十分に注意してください。
まとめ
今回は、痴漢冤罪で捕まってしまった場合の対処法や、痴漢冤罪で捕まった場合の流れについて解説しました。
痴漢冤罪の多くは被害者は実際に何らかの被害を受けており、行った人物を勘違いしています。そのため、相手も被害者意識が強く、主張もリアルであるためどうしても被害者側の主張が認められやすくなってしまいます。
痴漢冤罪は、冤罪被害者のその後の人生も大きく狂わしかねない失敗です。自分自身が巻き込まれないようにするためには、冤罪対策を行うとともに、万が一のときのために対応方法を把握しておくことが大切です。
今回解説した内容を踏まえ、万が一のことがあった場合の対応方法として知識を付けておいてください。