寸借詐欺は人に嘘をついてお金を借りる行為です。少額で知らない人に同情を買って行う手口が主流です。犯罪の内容から「軽微な犯罪」と思われる人も多いですが、刑法に定められている「詐欺罪」が成立する重罪です。
本記事では、寸借詐欺の概要や手口、遭わないための対処法について詳しく解説しています。寸借被害に遭った人、寸借詐欺を行ってしまった人は本記事を参考にしてください。
寸借詐欺とは
寸借詐欺とは、嘘をついて人からお金を詐取する行為であり、詐欺行為です。詐欺行為は「人を騙してお金を詐取すること」であり、寸借詐欺も刑法に定められる詐欺罪の適用を受けるため注意しなければいけません。
まずは、寸借詐欺とはどう言った詐欺行為を指すのか?について、詳しく解説をします。
嘘をついて人からお金を詐取する行為
嘘をついて人からお金を詐取する行為を「寸借詐欺」と呼びます。寸借詐欺という名前は付けられているものの、刑法に定められている「詐欺罪」が適用されるため注意しなければいけません。
寸借詐欺とは、たとえば人の善意に漬け込んでお金を詐取するような行為です。たとえば、友達に対して返すつもりがないにも関わらず「財布を忘れた」もしくは「財布を紛失してしまった」と嘘をついてお金を借りる行為を指します。
ただ、純粋にお金を借りただけでは詐欺行為ではないため、寸借詐欺は成立しません。寸借詐欺が成立するためには、相手を騙し、錯誤させて金銭を交付させる必要があります。
上記例で言うと「返済するつもりがないにも関わらず、お金を借りて返済をしなかった場合」に成立します。そのため、本当に財布を忘れていたり紛失していたりなど、相手を騙す意思がなかった場合には成立しません。
また、たとえば実際に経済的に困窮しており、本当は財布を紛失していないけど「財布を紛失して……」と嘘をついてお金を借り、後から返した場合は寸借詐欺は成立しません。なぜなら、理由はどうであれ、実際に経済的に困窮しており返済も完了しているためです。
上記例で見ると、たとえば「相手を騙してやろう」という意思があり、実際に返済する意思がなかった場合は寸借詐欺となります。
少しややこしいですが、詐欺の成立要件を確認すると「騙す意思」が詐欺罪の成立要件となっています。
事情はどうであれ、「人に言えないお金の事情」は誰にでもあることです。また、「本当は違う事情があるけど、心配をかけたくない……」と考える人もいるでしょう。そのため、騙す意思がなく「嘘をついてお金を借りた」という事情であればとくに問題はありません。
寸借詐欺の主な手口とは
寸借詐欺とは簡単に言えば「嘘をついてお金を借りること」です。具体的には、以下のような事例があります。
- 財布を忘れた・紛失したと嘘をつく
- 人の善意につけ込む
- 少額な借入を申し出る
- 判断を急かす
- 断りずらい頼み方をする
- 虚偽の連絡先を伝える
次に、寸借詐欺のよくある事例について詳しく解説します。
「財布を忘れた・紛失した」などと嘘をつく
寸借詐欺でよくある事例として、「財布を忘れた」あるいは「紛失してしまった」という人が多いです。寸借詐欺の性質上、知人や友人、あるいは家族に依頼をするケースは少ないです。
基本的には、街に歩いている人に声をかけ「財布を紛失してしまって、帰りの電車賃がなくて……」などと言ってお金を要求します。
また、過去には「娘が事故に遭って地元まで帰りたい。どうしても電車賃が1万円足りないため、貸して欲しい」とさまざまな店舗を回って依頼した事例があります。
このように、寸借詐欺を行おうとする人は、さまざまな理由をつけてお金を貸して欲しいと依頼をしてきます。このとき、注意しなければいけないのは「お金を貸して欲しい」と伝えてくることです。
「お金をください」と言われればほとんどの人が拒否するでしょう。しかし、「貸して欲しい」であれば、きっと「お金を貸しても返ってくるのだろう」と思うはずです。上記のように最初のハードルを下げることが寸借詐欺の主な手口です。
人の善意に漬け込む
寸借詐欺は、人の善意に漬け込むようなことを言ってお金を借ります。たとえば「財布を無くしてしまって、家までの電車賃を貸して欲しい」と言われれば、多くの人が「かわいそうだな」と感じるでしょう。
また、「自分の娘が事故に遭って急いで帰らなければいけない」などの言葉を付け加えられた場合、言われた側に子どもがいれば同情してしまうのではないでしょうか。このように、人の弱いところに漬け込んで金銭を要求してくるずるいやり口です。
寸借詐欺のやり口はさまざまですが、「人の弱いところに漬け込んでくる」という部分には要注意です。人は同情をしてしまうと冷静な判断ができなくなってしまいます。そういった卑怯なやり方である点には注意したほうが良いでしょう。
少額な借り入れを申し出る
寸借詐欺は、少額の借り入れを申し出てきます。たとえば、電車代であれば数百円〜数千円程度でしょう。そのため、「財布を無くしてしまって、帰りの電車賃がありません。1,000円ほど貸してもらえませんか?」のように言ってきます。
もし、あなたが上記のとおり言われた場合、少し同情をしてしまい「1,000円くらいなら良いか…」と思うことでしょう。このように、「まあ良いか」と思わせる程度の金額を提案し、詐欺行為を働きます。
上記の行為を複数人に頼み込み、最終的に自分の満足できる金額を詐取します。実際、過去に発生した寸借詐欺では、一人一人に少額で頼み、合計すると数万円程度の金銭を詐取した事例もあります。
言われた側からすると「面倒臭いから1,000円くらいなら渡しても良いか」や「かわいそうだから」と思うかもしれません。しかし、それが寸借詐欺の被害に遭っている可能性もあるので要注意です。
とはいえ、実際にお金に困っている人がいるのも事実です。本当に財布を紛失し、電車賃を貸して欲しい!と思っている人も少なからずいます。そのため、すべての人が寸借詐欺を行おうとしているわけではありません。その見極めがとても大切です。
判断を急かす
寸借詐欺を企てている人は、判断を急かしてきます。たとえば、「私の娘が事故にあって急いで帰らなければいけない。この後の電車にすぐ乗らなければいけない」や「終電がもうすぐ」といった状況下で寸借詐欺を行ってきます。
言われた側からすると、冷静な判断を行うことができず、ついお金を出してしまうことがあるでしょう。
さらに、あなたの情に訴えるようなことを言われたら余計、冷静な判断をできなくなってしまいます。そうして、あなたはついお金を出してしまい、寸借詐欺の被害者になってしまうでしょう。
判断を急かす行為は、単純に言葉だけではなく言い方やその人の態度など全身を使って「急いでいる」をアピールしてきます。相手が急いでいれば、あなたもすぐに判断をしなければいけません。
目の前に困っている人がいて、悲しそうな顔をしているかもしれません。そんな人に「お願いです!1,000円だけで良いのでお金貸してください!必ず返します!」と言われれば、多くの人が「わかりました」と言ってお金を出してしまうでしょう。これが寸借詐欺のやり方です。
断りにくい頼み方をする
絶妙に断りにくい頼み方をしてきます。たとえば、数百円〜1,000円程度であれば「困っている人が目の前にいるから、このくらいなら……」と思ってしまう人も多いでしょう。
また、あなたの情に訴えかけ、泣きながら「急いで娘のところに行ってやりたいんです!」と大人が言っていれば、多くの人は「断りにくい」と感じるのではないでしょうか。
上記のように何らかの方法で「断りにくい頼み方」をして、被害者からお金を詐取しようとします。
虚偽の連絡先を伝える
寸借詐欺は、あくまでも「お金を貸して欲しい」と伝える行為であるため、返す方法も検討しなければいけません。寸借詐欺を行っている側から、電話番号が書いてある紙を渡され、「ここに連絡してください!必ず返します!」と言われることもあります。
もしくは、「必ず返しますので、あなたの連絡先を教えてください!」と伝えてくることでしょう。いずれにせよ、その場を離れた相手とは2度と連絡を取ることはできません。
その場で電話番号等を聞いたりかけたりしようとすると、「急いでいるので!」などと言ってその場を逃げます。いざ、もらった電話番号へ電話をかけてみると、繋がらないもしくはまったく知らない人に電話がつながることでしょう。
あなたの電話番号を伝えたとしても、2度と電話がかかってくることはありません。そしてあなたも「被害額が少ないから……」などと考え、被害届を出すことなく、詐欺師はそのまま何度も同じことを繰り返す流れとなります。
寸借詐欺で逮捕される可能性
寸借詐欺は、刑法で定められているところの「詐欺罪」が成立する犯罪です。そのため、当然ながら詐欺罪で逮捕や実刑判決の可能性があります。
しかし、寸借詐欺は立件をするのがとても難しいです。もし、立件できなければ、寸借詐欺を行った人は逮捕されたり起訴されて実刑判決を受けたりすることはとても難しいです。
次に、寸借詐欺で成立する罪状や逮捕される可能性について詳しく解説します。
詐欺罪が成立する
寸借詐欺は「人に嘘をついてお金を借りる行為」ではありますが、実際に「寸借詐欺罪」という罪状が成立するわけではありません。刑法第246条に定められている「詐欺罪」が成立する重罪です。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用元:刑法|第246条
「詐欺」と聞くと、いわゆる特殊詐欺を想像する人が多いでしょう。しかし、詐欺は以下の要件を足していれば成立する犯罪であり、寸借詐欺も当然ながら該当します。
- 欺罔行為
- 錯誤
- 交付
- 財産の移転
欺罔行為とは「相手を騙そう」とする意思や行為です。錯誤とは、被害者となる人が騙されている状態を指します。つまり、相手からの言い分を信じ込んでいる状態です。そのうえで、金銭を交付して実際に財産移転が発生している場合に成立します。
寸借詐欺の場合は、「財布を紛失してしまったので電車に乗れません。1,000円だけ貸してください……」のように相手に持ちかけます。
そもそも「財布を紛失してしまった」という事実かどうかは問わず、相手を騙そうとしたかどうかがポイントです。つまり、相手から金銭を詐取する目的を持って「財布を紛失してしまって……」と言い、金銭を交付させようとした時点で欺罔行為は成立します。
そのうえで、相手が詐欺師の言うことを信じ、実際に金銭を交付させた場合は詐欺罪が成立することになります。また、詐欺罪は「未遂罪も罰する」とされているため、仮に相手からお金を受け取れなかったとしても、寸借詐欺を行った事実で詐欺未遂罪が成立してしまうのです。
詐欺罪および詐欺未遂罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり、非常に厳しい刑罰が課される恐れのある犯罪です。「少額だから」などと簡単に思っていると、厳しい罰が下されるため絶対にやめましょう。
詐欺罪で逮捕・実刑判決の可能性がある
詐欺罪および詐欺未遂罪の法定刑は、「10年以下の懲役」です。そのため、逮捕される可能性もありますし、当然実刑h何血が下されてしまう恐れもある重罪です。
実刑判決とは、直ちに刑罰が執行される判決のことを指します。実刑判決とは別に「執行猶予付き判決」があります。執行猶予とは、直ちに刑の執行をせずに一定期間、刑の執行を猶予することです。
罰金刑の規定がない詐欺罪で実刑判決が下された場合は、「実刑判決=刑務所に収容される」ことになります。期間は、被害者の処罰感情や被害額、被告人の状況などによっても異なります。
しかし、詐欺罪はそもそも「10年以下の懲役」という重犯罪です。そのため、執行猶予がつくケースは少なく、実刑判決が下されることが多い犯罪であるといえます。
そもそも執行猶予は「3年以下の懲役または禁錮もしくは50万円以下の罰金」でなければいけません。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であるため、執行猶予付き判決が下される可能性はゼロではありません。しかし、あまり期待はしないほうが良いでしょう。
寸借詐欺の立件は難しい
寸借詐欺は立件が難しい犯罪のひとつです。そのため、実際に被害に遭ったとしても、多くのケースで泣き寝入りとなってしまいます。
「立件」という法律用語はなく、通称として「検察官が起訴でき流と判断できる要件が備わっており、事案に対応する判断すること」とされています。
検察官は警察官や検察官本人で取り調べを行った内容や証拠を元に、起訴できるかどうかを判断します。もし、証拠が不十分である場合は、仮に起訴をしたとしても刑事裁判において無罪判決が下されてしまいます。
刑事裁判においては「公訴事実が合理的な疑いを入れない程度に証明されている」と判断される状況でなければ有罪判決が下されません。
つまり、少しでも証拠を覆す何かがある場合があれば、起訴をしたとしても被告人に対して無罪判決が下されてしまいます。無罪判決が下された場合は、当該被告人は「寸借詐欺を行っていなかった」と判断されます。
無罪の人間を長期間勾留したり、刑事裁判にかけたりすることは決して許されることではありません。そのため、検察官等は慎重に捜査を行い、十分に疑いがあると判断して初めて公訴(起訴)をします。
寸借詐欺は、知らない人から声をかけられたり、防犯カメラがなかったり、あるいは騙す意思を立証できなかったりするケースが大半です。結果的に、証拠がないもしくは少なく、起訴することができないケースが多いというのが現実です。
寸借詐欺で逮捕された場合の流れ
寸借詐欺は、詐欺罪に当たる行為であるため、行った場合は逮捕されてしまう可能性があります。万が一、寸借詐欺によって逮捕された場合、どのような流れで事件は進んでいくのか不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
次に、寸借詐欺で逮捕されてしまった場合の流れについて詳しく解説します。
逮捕
寸借詐欺は、逮捕される可能性のある犯罪です。多くの人は「罪を犯した=必ず逮捕される」と考えているでしょう。しかし、罪を犯したからと言って、すべての人が逮捕されるわけではありません。
主に重大な罪を犯した人(殺人罪や強盗罪など)や証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがある人など、一定の条件を満たしている必要があります。
逮捕をせずに捜査を行うことを「在宅捜査」と呼びます。在宅捜査の場合は、身柄の拘束が発生せずに、警察や検察あるいは裁判官から呼び出された場合に出頭し、取り調べに応じることになります。
詐欺罪は、重罪であるうえに証拠隠滅を試みる人が多いです。そのため、基本的には詐欺罪の場合は逮捕される可能性が高いと思っておいたほうが良いです。
逮捕には以下3つの種類があり、寸借詐欺の場合はいずれの逮捕のパターンもあるため要注意です。
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
- 通常逮捕
現行犯逮捕とは、現行犯もしくは準現行犯で行われる逮捕です。たとえば、実際に街中で「財布を無くしてしまったため、お金を貸してください……」といろいろな人に声をかけていたところで逮捕されるパターンです。
緊急逮捕とは、通常は逮捕状を請求したうえで逮捕をしなければいけませんが、逮捕状がなくても逮捕をできる方法です。ただし、直ちに逮捕状を請求しなければいけない。という条件があります。
たとえば、目の前に指名手配犯がいる場合、悠長に逮捕状を請求しているわけにはいきません。このような場合に、「緊急逮捕→逮捕状請求」というように順番が逆になる逮捕方法です。
緊急逮捕は「死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁固にあたる罪」でなければいけません。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であるため、これに該当し緊急逮捕が可能となります。
そして、通常逮捕とは警察官等が捜査を行って証拠を固め、裁判所に逮捕状を請求して逮捕する方法です。流れは「逮捕状請求→逮捕」となります。もっとも一般的な逮捕です。
通常逮捕の場合は、ある日の朝突然警察官が自宅に訪れて、そのまま逮捕されるイメージです。いつ来るかはわからないため、寸借詐欺を行ってしまった人は常にドキドキしていることになるでしょう。
逮捕をされると、初めに48時間の身柄拘束が可能になります。勾留中は、警察署内にある留置所で過ごすことになり、警察官の取り調べに応じなければいけません。
勾留請求の判断
逮捕から48時間以内に事件を検察官へ送致しなければいけません。そして、事件を受け取った検察官は、さらに24時間以内に引き続き被疑者の身柄を拘束するかどうかを判断します。
身柄拘束の必要があると判断した場合は、被疑者を裁判所へ連れて行って勾留請求を行います。勾留請求が行われると、被疑者は裁判官から勾留質問を受け、最終的に裁判官が勾留を行う必要があるかどうかを判断する流れです。ここまでで最大72時間の身柄拘束が行われます。
そして、勾留請求が認められた場合は、初めに10日間の勾留が可能です。ただ、実務上はさらに10日間の勾留が認められるケースが多く、合計で20日間の勾留が行われるケースが多いです。
ここまでで23日間の身柄拘束が行われ、この間は当然自宅へ戻ることができず、会社へ行けないもしくは学校へ行けないことによるさまざまな弊害が起こり得るでしょう。
起訴・不起訴の判断
勾留されている事件の場合、勾留期間中に検察官は事件を起訴するか不起訴とするかを判断しなければいけません。もし、証拠不十分等で不起訴処分とする場合は、直ちに被疑者を釈放する必要があります。
起訴された場合は、呼び名は「被疑者→被告人」に変わり、留置所から拘置所へと移送されます。その後、刑事事件を受ける準備に入る流れとなりますが、起訴されたあとは保釈請求が可能です。
保釈請求とは、保釈金(お金)を支払ったうえで一時的に身柄を釈放することです。保釈請求が認められた場合は一時的に社会へ戻って来られますが、裁判で実刑判決が下されれば、刑務所へ収容されることになります。
また、詐欺罪のように重大な犯罪である場合は、保釈請求が認められない場合もあるため注意が必要です。
刑事裁判
起訴された被疑者は、刑事裁判を受けることになります。刑事裁判では、裁判官が被告人の侵した罪について審理を行い、有罪か無罪かを判断します。有罪である場合は、どの程度の刑罰を下すか決定し、判決として言い渡します。
刑罰に従って刑に服する
判決が確定した場合は、その刑に従って刑に服することになります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であるため、執行猶予が付かなければ刑務所へ収容されて一定期間刑務作業を強制されます。
寸借詐欺に合わないための対処法
寸借詐欺は、実に巧妙な手口で行われます。そのため、「つい、良心でお金を貸してしまった……」ということがないように、これから紹介する対処法を覚えておいてください。
知らない人にお金を貸さない
初めに「絶対に知らない人にお金を貸さない」というマイルールを作っておくことです。どのような事情があるにせよ、人にお金を貸すことはしない。と決めておけば寸借詐欺にあう心配はありません。
もちろん、中には本当に困ってあなたを頼ってくる人もいるでしょう。それでも、初めから「絶対に知らない人にはお金を貸さない」というルールに従うようにしましょう。
その場で連絡先(電話番号)に電話をかける
もし、どうしても良心でお金を貸してあげたいと思うのであれば、その場で連絡先を交換するようにしましょう。たとえば、あなたの電話番号を教えてその場でかけてもらう、という方法が有効です。
寸借詐欺を企てている人に対して、「あなたの電話番号を教えてください」と伝えても「携帯を忘れてきた」などと言い訳をする可能性もあります。この場合は、絶対に貸さないようにしましょう。
現在は、大半の人がスマートフォン等の何らかの携帯電話を持ち歩いています。紛失したら一生懸命探すことでしょう。そういった状況下で手元にないのであれば、寸借詐欺の可能性が非常に高いです。絶対に貸さないようにしましょう。
貸す場合であっても、その場で電話をかけておけば、つながる番号を入手できます。万が一、相手に返済する意思がなくても警察に相談をすることで取り合ってくれる可能性もあります。
警察へ相談をするよう促す
数百円〜1,000円程度であれば、警察へ相談をするように促しましょう。警察では「公衆接遇弁償費」という制度があり、1,000円を上限にお金を借りられます。そのため、あなたは「まずは警察へ行って相談をされてみてはどうでしょうか」と提案すれば良いです。
寸借詐欺を行うつもりであれば、誰も被害に遭うことはありません。もし、本当に困っていたとしても、警察に相談をしてお金を借りられるため誰も損をすることはないでしょう。
寸借詐欺に関するよくある質問
寸借詐欺でよくある質問を紹介します。
Q.借りたお金を返さないのは寸借詐欺ですか?
A.借りたお金を返さなくても、直ちに寸借詐欺にはなりません。
詐欺罪が成立するための要件は「欺罔行為・錯誤・交付・財産移転」の4つです。そのため、そもそもあなたに騙す意思がなかった場合は、どのような事情があれ詐欺罪は成立しません。
そのため、仮に借りたお金を返さなくても寸借詐欺に問われることもなく、その他の犯罪に抵触する可能性も低いです。ただ、相手との信頼関係が崩れたり、強制執行(差し押さえ)を受けたりする恐れもあるため要注意です。
Q.寸借詐欺にあった場合、泣き寝入りするしかありませんか?
A.警察へ相談をしてください。
寸借詐欺であることが発覚した場合は、警察へ相談をしましょう。お金が返ってくる可能性はとても低いですが、可能性はゼロではありません。また、新たな被害者を生まないためにも、可能な限りの証拠を持って相談に行くと良いでしょう。
Q.寸借詐欺にあいました。被害額はわずかですが、被害届は受理されますか?
A.被害額に関係なく、寸借詐欺である事実がある場合は被害届は受理されます。
犯罪の被害があり、被害者から被害届の提出を申し出られた場合、警察官は被害届を受理しなければいけない義務があります。ただし、寸借詐欺である可能性が低い場合や疑うに足りる十分な証拠がない場合は受理されない可能性もあります。
たとえば、街中で「財布を無くしてお金を貸して欲しい」と言われて1,000円貸してしまった。という事情であれば、直ちに寸借詐欺とは認められません。なぜなら、相手があなたを騙そうとしていた証拠がないためです。もしかすると、本当にお金が必要だったのかもしれません。
先ほども解説したとおり、寸借詐欺は立件が難しい犯罪です。罪を犯したと疑うに足りる十分な事情がない限りは、被害届の受理も難しいと思っておいたほうが良いでしょう。
Q.寸借詐欺にあってしまった場合の対処法を教えてください。
A.寸借詐欺に遭ってしまった場合は、直ちに警察へ届け出ましょう。
寸借詐欺であることが明らかである場合、被害届は受理され、周辺カメラなどをみたうえで証拠を固めるなどの捜査を行います。もしかすると、他の被害者からも被害報告が上がっている可能性もあります。
被害数が多ければ多いほど情報も増え、犯人逮捕に繋がりやすくなります。そのためまずは、警察へ相談をしましょう。
Q.お金がなくてつい、寸借詐欺を行ってしまいました。どうすれば良いでしょうか?
A.被害者の電話番号等を知っている場合は、連絡をしたうえで返済をしましょう。
お金がなくて冷静な判断ができなくなったとしても、絶対に罪を犯してはいけません。とはいえ、やってしまったことは変えられないため、すぐにでも被害者へ連絡をして返済をしましょう。
詐欺罪は親告罪ではないため、被害者の告訴がなくても起訴は可能です。しかし、あなたと被害者の間で問題が解決している場合は、厳しい処分が下される可能性は低いでしょう。
また、実際に返済を行うことにより、相手は「詐欺被害に遭った」という自覚を持ちません。このことから、そもそも事件が発覚せずに免れる可能性は高くなります。
もし、相手の連絡先がわからない場合は、2度と寸借詐欺を行わないことを誓いましょう。そのうえで不安な場合は弁護士へ相談をして今後の対応を検討してください。
まとめ
今回は、寸借詐欺について解説しました。
寸借詐欺とは、相手の善意に漬け込んで行う詐欺行為であり、絶対に許される行為ではありません。「少額だから」「知らない人だから」と罪悪感なく行う人も多いですが、刑法246条に定められている重大な犯罪です。
また、寸借詐欺被害に遭わない努力も必要です。「知らない人には絶対にお金を貸さない」このマイルールを持っているだけで被害はゼロにできます。今回解説した内容を踏まえ、今後の対応方法に反映させてみてはいかがでしょうか。