保険金詐欺は「保険会社を騙してお金を詐取する行為」であり、刑法の定めによる詐欺罪が成立します。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり、罰金刑の規定はありません。
よって、有罪判決が確定した時点で懲役刑となり、刑務所への収監となる可能性がとても高いです。軽い気持ちで保険金詐欺を行ってしまうと、いずれバレてしまい、今後の人生に大きな影響を与えてしまう恐れがあるでしょう。
この記事では、保険金詐欺の概要や保険金詐欺がバレてしまった場合に起こり得るリスク、対処法について詳しく解説しています。自分の行為が保険金詐欺に該当するのか不安な人、実際に保険金詐欺を行ってしまった人は、本記事で解説している内容をぜひ参考にしてください。
目次
保険金詐欺の概要
保険金詐欺とは、被害に遭ったかのように見せかけて保険会社を騙し、保険金を騙し取る行為を指します。たとえば、自作自演の交通事故を装い、保険会社を騙す方法や災害とは関係のない被害で保険金を請求したりした場合に保険金詐欺が成立します。
保険金詐欺は、保険会社を騙す行為であるため当然犯罪です。まずは、保険金詐欺の概要やよくある手口について詳しく解説します。
被害に遭ったと見せかける手口が主流
保険金詐欺は、「被害に遭ったと見せかけて保険金を詐取する手口」が主流です。たとえば、自作自演の交通事故で保険金を請求するようなケースです。実際には被害に遭っていないものの、保険会社に被害が遭ったと報告し、金銭を要求します。
そもそも保険は、日常生活で起こり得るさまざまなリスクに対応するためにあるものです。たとえば事故による物損、怪我、死亡などさまざまなリスクに対応し、経済的な補填を目的としています。
そのため、事故に遭ったり怪我したり病気になったりした場合は、保険金を請求してお金を受け取れます。しかし、この保険商品をうまく利用し、実際には被害に遭っていないにも関わらず、保険金を騙し取る行為が「保険金詐欺」です。
やり口はさまざまですが、保険の仕組みを悪用して保険会社を騙し、金銭を騙し取る犯罪行為はすべて「保険金詐欺」であり、絶対にやってはいけないことです。
保険会社を騙して保険金を得る手口
保険金詐欺は、保険会社を対象にした詐欺事件です。保険会社は、保険金支払い事由が発生した場合に保険金を支払います。保険金支払い事由は、加入している保険の種類や契約内容によって大きく異なります。
たとえば自動車保険であれば、自動車事故によって車が破損した場合や人を死傷させた場合に保険金が支払われます。この仕組みを利用し、保険会社を騙す手口です。
たとえば、友人を車で弾いて怪我をさせてしまったと保険会社に報告し、友人に賠償金等が支払われる手口があります。このとき、実際に交通事故の被害者がたまたま友人であった場合は、当然に保険金は支払われます。
しかし、自作自演で交通事故を装い、友人を利用して保険会社から金銭を騙し取ろうとした場合は、保険金詐欺が成立し、処罰されることになるでしょう。
保険金詐欺がバレた場合のリスク
保険金詐欺は犯罪であるため、保険会社に保険金詐欺をしていた事実がバレた場合は、何らかの処分が下されることになるでしょう。具体的には、以下のようなリスクが発生するため注意してください。
- 刑事罰を受ける可能性
- 保険契約の解除
- 保険金の返還請求
次に、保険金詐欺がバレてしまった場合に起こり得るリスクについて詳しく解説します。
刑事罰を受ける可能性
保険金詐欺は犯罪です。刑法の定めによる、詐欺罪もしくは詐欺未遂罪が成立するため、これらの刑事罰を受ける可能性があるでしょう。詐欺罪や詐欺未遂罪は、初犯であっても実刑判決を受ける可能性が高く、刑務所に入れられてしまうこともあるため要注意です。
ちなみに、詐欺罪及び詐欺未遂罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。悪質な場合は、長期間にわたって刑務所へ入ることになるでしょう。
また、詐欺罪や詐欺未遂罪に問われた場合は、刑罰が確定するまでの間で長期間の身柄拘束が発生する恐れもあります。初めに逮捕され、その後に勾留されることとなりますが、この間で最長23日間の身柄拘束が行われます。
さらにその後、起訴が確定した場合は刑事罰が確定するまでの間、身柄を拘束され続けることとなるため、さらに長期間の身柄拘束となるでしょう。
逮捕はある日突然行われるため、突然社会生活を送れなくなります。学生であれば、逮捕された日から学校へ行くことができません。社会人であれば、会社へ出勤することができません。
結果的に学校を退学処分となったり会社を解雇されてしまったりなど、さまざまなリスクが発生し得ます。ただ刑事罰を受けるだけではなく、社会的な影響も大きいことをしっかり覚えておきましょう。
保険契約の解除
保険金詐欺が発覚した場合、保険契約は強制的に解除されてしまいます。そのため、保険金詐欺を行ったあとに保険金支払い事由が発生したとしても、保険金が支払われないため注意してください。
また、保険契約を解除された場合、改めて再契約を検討しても良いですが、改めて保険契約条件を満たしている必要があります。
たとえば、医療保険加入中に本当に病気や怪我によって保険金支払い事由が発生して、保険金を受け取ったとします。この場合、通常であれば保険契約は契約期間まで継続します。
しかし、保険金詐欺によって保険契約を解除されてしまった場合は、改めて新規加入の条件を満たしている必要があります。そのため、過去に発生した怪我もしくは病気が原因で保険契約を断られてしまう可能性があるため注意しなければいけません。
保険金の返還請求
不正受給によって得た保険金は、全額返還請求されます。たとえば、保険金詐欺の対象となった事件で100万円の保険金が支払われた場合、100万円の返還請求が行われると考えておけば良いです。
返金方法は保険会社によって対応は分かれますが、基本的には一括払いです。一括での返金が難しい場合は、分割払いによる返金を行うことになります。いずれにせよ、「返済する意思」を見せることによって刑事罰を免れる可能性もあります。そのため、誠心誠意対応するよう心がけてください。
なお、保険金詐欺が発覚した場合、過去に遡って保険金支払い事由の調査が行われる可能性があります。その際、過去に発生した保険金支払い事由に関係する書類等の提出を求められる可能性があり、証明できなければ保険金詐欺を疑われてしまいます。
保険金詐欺がバレた場合に成立する犯罪
保険金詐欺がバレた場合に成立する犯罪は、刑法の定めによる「詐欺罪」です。もし、未遂で終わった場合は「詐欺未遂罪」という犯罪が成立します。
次に、保険金詐欺によって成立し得る犯罪や法定刑についても詳しく解説します。
詐欺罪
保険金詐欺は、刑法246条に定められている「詐欺罪」が成立します。詐欺罪は、前提として以下の4要件を満たしている必要があります。
- 欺罔行為
- 錯誤
- 交付行為
- 財産移転
欺罔(きもう)行為とは、相手を騙そうとする意思です。保険金詐欺は、保険会社を騙そうとしているため、欺罔行為があるものとしてみなされます。
次に錯誤とは、保険会社が被保険者から受けた報告を信じることです。たとえば、「交通事故で人を轢いてしまった」と嘘の報告をした場合であって、保険会社がこの内容を信じた場合に錯誤が成立します。
そして、交付行為とは保険会社が自ら被保険者や被害者に対して保険金を支払う行為です。つまり、保険会社が保険金詐欺に気付き、交付行為を行わなかった場合は詐欺罪が成立しません。この場合は、詐欺未遂罪という犯罪が成立します。
財産移転とは、交付した財産が実際に相手に渡った状態を指します。つまり、保険会社が保険金を支払い、保険金詐欺を行った人が実際に受け取った時点で詐欺罪が成立するということです。
たとえば、決済手続きを行ったものの、実際に振り込まれる前に保険金詐欺に気付いて決済を止めた場合は詐欺罪が成立しません。この場合も、詐欺未遂罪という犯罪が成立します。
詐欺罪が成立するためには、上記4つの要件を満たしている必要があります。とくに交付や財産移転が発生していない場合は詐欺罪ではなく、詐欺未遂罪(未遂で終わった罪)として刑事罰に処されます。
なお、詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。罰金刑の定めがなく、実刑判決が下されれば刑務所に収監されることとなるため注意してください。
詐欺未遂罪
詐欺未遂罪は、欺罔行為があった時点で成立します。欺罔行為とは、相手を騙す行為です。つまり、保険会社に対して嘘の事故報告等をして保険金を詐取しようとした時点で成立する犯罪です。
保険会社が報告を元に調査の結果、錯誤が発生しなかった場合や錯誤が発生したものの、交付や財産移転に至らなかった場合に成立します。
なお、詐欺未遂罪の法定刑も詐欺罪同様に「10年以下の懲役」です。ただし、未遂で終わった場合は、刑罰が軽減されます。そのため、実際に下される刑罰は詐欺罪が成立した場合と比較して軽くなる傾向です。
保険金詐欺となる具体的な事例
保険金詐欺は「保険会社を騙してお金を詐取する行為」です。具体的には、以下のような行為が保険金詐欺になり得ます。
- 自動車事故等で通院日数を水増し
- 友人等を利用した自作自演
- 災害とは関係のない被害で請求
次に、よくある保険金詐欺の事例について詳しく解説します。保険会社は、よくある事例についてはしっかりと対策を行っています。適切に審査を行ったうえで保険金が支払われることを覚えておきましょう。
自動車事故等で通院日数を水増し
通院日数等を捏造した書類を保険会社に提出し、多くの保険金を受け取る事例です。そもそも保険金は、交通事故等で実際に発生した損失もしくは損害に対して実損額で支払う名目です。
たとえば治療費という名目であれば、治療費分の支払いをします。仮に、治療に10万円のお金がかかった場合は、10万円ちょうどを支払います。
しかし、実際には10万円しかかかっていないにも関わらず、通院日数を増やした書類を作成するなどして多くのお金をもらう事例があるのです。これは、保険会社を騙している行為であり、詐欺罪が成立します。
友人らを利用した自作自演
保険金は相手に対する慰謝料等も支払われるケースがあります。この仕組みを悪用し、自分の友人を利用して慰謝料や治療費を保険会社から詐取する手口です。
たとえば、実際にはぶつかっていないにも関わらず、友人を利用して事故があったかのように見せかけて保険会社に治療費や慰謝料を請求する方法です。実際には被害や怪我等をしていないため、当然保険会社に対する詐欺罪として立件される可能性があるでしょう。
災害とは関係のない被害で請求
災害とは関係のない被害で保険金を請求した場合も保険金詐欺になり得ます。たとえば、火災保険に加入されている人は、自然災害によって受けた被害の補償も受けられます。この仕組みを利用して保険金詐欺を行います。
具体的には、経年劣化による住宅の破損等を「台風によって破損したもの」として保険会社に補修料金を請求する手口です。保険金として支払われたお金は、何に使っても良いため、お金稼ぎのために嘘の報告をする人もいます。
上記事例も当然保険会社を騙しているため、保険金詐欺に問われることになるため注意してください。
保険金詐欺で逮捕された場合の流れ
保険金詐欺は犯罪であるため、逮捕されてしまう可能性があります。逮捕された場合、長期間にわたって身柄を拘束されてしまう恐れがあるため注意しなければいけません。その後、刑事裁判にかけられて、実刑判決が下されれば、刑務所に入れられてしまいます。
軽い気持ちで保険金詐欺を行ってしまうと、その後の人生も大きく変わってしまいます。次に、保険金詐欺で逮捕された場合の流れについても解説しますので、参考にしてください。
逮捕
保険金詐欺を行った場合、逮捕されてしまう可能性があります。「逮捕」とは、罪を犯した疑いのある人の身柄を一時的に拘束する手続きです。罪を犯したからと言って、必ずしも逮捕されるわけではありません。
逮捕されるためには、証拠隠滅や逃亡の恐れがあることや重大な犯罪であることなど、一定の条件を満たしている必要があります。詐欺罪の場合は、法定刑が10年以下の懲役であるため、重大な犯罪に分類されます。よって、逮捕されてしまう可能性が高いと思っておいたほうが良いでしょう。
逮捕には以下3種類あり、詐欺罪は通常逮捕もしくは緊急逮捕の可能性があります。
- 現行犯の場合に逮捕ができる「現行犯逮捕」
- 逮捕状を発付して行う「通常逮捕」
- 逮捕状がなくても緊急性が認められる場合にできる「緊急逮捕」
現行犯逮捕は、現に罪を犯した人をに対して行える逮捕です。たとえば、オレオレ詐欺の受け子役の場合は、お金を受け取りに来たときに逮捕されることがあります。現行犯逮捕は、現行犯で逮捕されるため、逮捕状は必要ありません。
保険金詐欺の場合、後から発覚するケースが多いため、基本的には現行犯逮捕となる可能性は低いでしょう。
そのため、通常逮捕となる可能性が高いと考えておきましょう。通常逮捕は、警察等の捜査機関が捜査を進めて証拠を集め、裁判所に対して逮捕状発付の請求を行います。裁判官は、内容を精査したうえで逮捕の必要があると認めた場合に、逮捕状を発付します。
警察等の捜査機関は、発付された逮捕状を元に被疑者の元へ行って逮捕する流れです。逮捕は、予告なく行われるものであり、「ある日突然捜査員が自宅に来た」ということが多いです。当然、逮捕された場合はそのまま身柄を拘束されるため、会社や学校へ行くこともできません。
緊急逮捕とは、緊急性が高い場合に逮捕状がなくても逮捕をできる方法です。たとえば、指名手配犯を発見した場合、わざわざ逮捕状を請求していれば、逃げられてしまう可能性があります。そのため、先に逮捕をしたうえであとから逮捕状を請求する流れで行われます。
緊急逮捕をするためには、法定刑が「死刑または無期もしくは3年以上の懲役もしくは禁錮に当たる刑罰」でなければいけません。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であるため、要件を満たしていることになります。
よって、詐欺罪で逮捕される場合は、通常逮捕もしくは緊急逮捕のいずれかである可能性が高いことがわかります。緊急逮捕もある日突然逮捕されるため、前予告等は一切ありません。
逮捕された場合、初めに48時間の身柄拘束が可能です。逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致しなければいけません。ちなみに逮捕して送致することを「身柄付送致」と呼びます。
勾留請求
身柄付送致された場合、検察官は勾留請求を行います。勾留請求とは、引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があると判断した場合に、裁判所に対して行う請求です。勾留請求が行われると、被疑者を連れて裁判所へ行き、勾留質問を経て裁判官が勾留の必要性を判断して決定します。
勾留が認められた場合、初めに10日間の勾留が行われます。その後、さらに勾留延長されるケースが多いため、合計で20日間の勾留となるでしょう。この時点で23日間の身柄拘束が行われるため、社会的な影響も大きくなるため注意しなければいけません。
起訴・不起訴の判断
身柄事件の場合、勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを決定します。詐欺罪の場合、悪質性が認められる場合は起訴されます。一方で、保険会社と示談交渉が済んでいる場合や悪質性が低いと判断された場合は、不起訴となることもあります。
不起訴となった場合は、詐欺事件いついては終了します。しかし、起訴された場合はそのまま刑事裁判を受ける流れです。起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類ありますが、詐欺事件の場合は正式起訴しかありません。
略式起訴は、罰金100万円以下の刑罰しか下すことができないためです。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり、そもそも罰金刑の規定がありません。よって、起訴された場合は正式起訴となり、刑事裁判を受けることになるでしょう。
なお、起訴された場合は呼び名が被疑者から被告人に変わります。被告人となった人は、保釈請求を行うことができます。
保釈請求は、保釈金を支払って一時的に保釈(身柄を解放)されるための手続きです。詐欺罪でも保釈請求を行うことはできますが、必ずしも認められるとは限りません。とくに悪質な事件の場合は、保釈請求が認められないケースが多いです。
刑事裁判を受ける
正式起訴された場合は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では、保険金詐欺について審理し、有罪か無罪かを判断します。罪を犯している事実がある以上、無罪判決となることはありません。
また、詐欺罪の法定刑が「10年以下の懲役」であるため、刑事裁判になった時点で懲役刑が確定すると考えておいたほうが良いでしょう。ただし、執行猶予付きの判決が下された場合は、直ちに刑の執行は行われません。
執行猶予とは、直ちに刑罰を執行せずに一定期間猶予することを言います。たとえば「懲役3年執行猶予5年」の場合は、直ちに懲役3年の刑罰を執行せずに5年間猶予します。
執行猶予期間中は社会に戻って日常生活を送ることが可能です。この間に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、懲役3年の刑罰が執行されることはありません。
判決に従って刑に服する
刑事裁判は判決を持って終了します。その後、判決に従って刑に服することになります。執行猶予付きの判決が下されれば、一度社会に戻ることが許されます。一方で、実刑判決となれば、一定期間刑務所に収監されて刑を全うした時点で釈放されて終了します。
保険金詐欺は「詐欺罪」という重罪です。軽い気持ちでの行為であっても犯罪であることに変わりはなく、有罪判決が下される可能性があります。人生を狂わせてしまう原因にもなり得るため絶対にやめましょう。
保険金詐欺がバレた場合の対処法
保険金詐欺がバレた場合、以下の対処法を検討してください。
- 弁護士に相談をする
- 保険会社へ返金をする
- 反省している態度を示す
次に保険金詐欺がバレてしまった場合に検討すべき対処法について詳しく解説します。
弁護士に相談をする
初めに弁護士へ相談をしましょう。弁護士は、あなたの弁護人として適切な弁護活動を行ってくれます。唯一の味方となってくれる人であり、今後の取り調べの対応方法についても具体的にアドバイスをくれます。
また、弁護活動や方向性についてもしっかりと教えてくれるため、安心して取り調べ等に応じることができます。
刑事事件における弁護人は、当番弁護人制度や国選弁護制度を利用することによって、無料で付けることができます。しかし、原則は私選弁護人です。私選弁護人は実費となりますが、弁護活動に関する制限もほとんどありません。
そのため、経済的に余裕がある場合は私選弁護人で弁護人を依頼したほうが良いでしょう。
保険会社へ返金をする
必ず、保険会社への返金を検討してください。仮に、騙し取ったお金がなかったとしても、今後必ず返済する旨を約束しましょう。保険会社の損害は「騙し取られたお金」であるため、お金の返金さえできれば示談が成立する可能性が高いです。
示談さえ成立してしまえば、不起訴処分や執行猶予付きの判決が下される可能性が高まります。結果的に早期の釈放を目指せるため、必ず返金する意思を示し、実際に返金手続きを進めていきましょう。
反省している態度を示す
取り調べの時点から、しっかり反省している態度を示しましょう。反省しているかどうかは、処分を下すうえで非常に重要です。反省し、自分がしてしまったことに対して真摯に向き合っている場合は、比較的軽い処分が下される可能性もあります。
そのため、反省して保険会社に対してしっかりと謝罪をし、返金する意思を示しましょう。
保険金詐欺がバレる原因
保険金詐欺がバレてしまう原因は以下のとおりです。
- 見積もりを出した期間からの情報提供
- 保険会社の調査要請
- 友人等からの告発
保険金詐欺を行っている人の中には「なぜ保険金詐欺が発覚してしまうのだろうか?」と不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。次に、保険会社に保険詐欺がバレてしまう理由について詳しく解説します。
なお、保険会社は保険金詐欺を疑ってさまざまな書類提出等を求めます。保険金詐欺は騙そうとした時点で詐欺罪が成立する行為であるため、絶対にやらないようにしましょう。
見積もりを出した機関からの情報提供
見積もりを出した機関からの情報提供により、保険金詐欺が発覚するケースです。たとえば自動車事故の場合、知り合いの整備工場や板金工場へ持っていくことが多いでしょう。このとき「多めに見積もりを出して」と言って保険金詐欺を行う事案があります。
上記の場合、整備工場や板金工場の担当者から保険会社に連絡がいき、保険金詐欺が発覚するケースが多いです。
あなたは「知り合いだから大丈夫だろう」と思って伝えたことであっても、整備工場や板金工場が連絡をするケースもあります。もし、整備工場や板金工場が保険金詐欺に加担した場合は、当然工場の担当者も保険金詐欺に問われます。
また、保険会社との信頼関係にも影響を与えることとなるため、情報提供を行う業者が多いです。
保険会社の調査要請
保険会社は、必要に応じて交通事故等の調査を行います。交通事故の調査は民間の専門業者に委託する形で行われ、具体的には事故現場の調査や関係者との面談を行います。
上記の調査を行う過程で矛盾を発見した場合は、保険金詐欺を疑って保険会社に報告を行う流れです。すべての交通事故で必ず調査が行われるわけではないものの、怪しい場合は調査要請が行われることもあるため覚えておきましょう。
友人等からの告発
保険金詐欺に加担した友人等から、告発されて発覚するケースもあります。友人等は、その場では保険金詐欺に加担したものの、後になって罪悪感で告発をするケースもあります。
仮に、保険金詐欺が発覚したとしても、保険会社から「なぜ発覚したのか?」について教えてもらうことはできません。そのため、たとえ友人が告発していたとしても、密告先が発覚することはないでしょう。
保険金詐欺がバレた場合によくある質問
保険金詐欺がバレた場合によくある質問を紹介します。
Q.保険金詐欺がバレた場合、改めて保険に加入することはできますか?
A.改めて保険へ加入することはできますが、保険会社の審査を受ける必要があります。
保険金詐欺を行い、保険契約を解除された場合であっても改めて保険に加入することはできます。ただし、新規加入と同様となるため、加入時に審査を受けなければいけません。
保険会社が行う審査とは「保険加入条件を満たしているかどうか」です。これは、保険金詐欺を行ったかに関係なく行われるものです。
たとえば、保険加入時に大病したことなく健康体であったため、保険加入条件を満たしていたとしましょう。その後に大病を患い、保険金を受け取ったことがあるとします。さらにその後、保険金詐欺で保険契約を解除されてしまったと仮定します。
上記の場合、過去の大病が原因で保険の契約を断られてしまう可能性があるのです。よって、審査の結果次第では保険契約を断られてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
Q.保険金詐欺の時効は何年ですか?
A.公訴時効は7年、民事の時効は3年もしくは20年です。
公訴時効は7年であるため、詐欺が成立してから7年経過した時点で時効が成立し、罪に問えなくなります。
ただし、民事上の責任は3年もしくは20年経過するまでは時効が成立しないため注意が必要です。3年とは、保険会社が詐欺被害に遭ったことを知った時から3年経過した時点で民事上の時効が成立し、賠償請求ができなくなります。
20年とは、行為が発生したときから保険会社にバレることなく20年経過した場合に成立する時効です。
よって、公訴時効が成立した場合であっても、民事上の責任は最長で20年間残る点に注意が必要です。時効が成立するまでは、賠償請求を受ける可能性があります。
Q.工事業者に「火災保険を利用できる」と言われました。保険金詐欺になりませんか?
A.保険金詐欺となる可能性もあるため、たとえ業者の言葉であっても鵜呑みにしないほうが良いでしょう。
自然災害で自宅の一部が破損した場合、火災保険を利用して修繕できるケースがあります。しかし、このことを知らずに自分で修繕してしまったり、そのままにしている人が多くいます。
このような人たちを対象に火災保険の代理申請を行っている業者が存在しており、代理する代わりに保険金の一部を受け取る形で利益を出す仕組みです。この仕組み自体に何ら違法性はないものの、中には自然災害で発生したものではない破損を自然災害と偽り、保険金を請求しようとする業者がいます。
この場合は、保険金の申請を行った人や工事業者の担当者が詐欺罪として罪に問われる可能性があります。家の持ち主であれば、いつできた破損なのかを把握しているはずです。そのため、火災保険の適用を受けられるかどうかを自分でしっかり確認したうえで依頼をするようにしましょう。
Q.保険金詐欺を疑われています。どうすれば良いですか?
A.保険金詐欺を行っていないのであれば、その旨を伝えて必要書類を提出すれば良いでしょう。
保険会社が保険金詐欺を疑うには、何らかの理由があるはずです。そのため、その疑われている原因が何かを把握したうえで、実際に被害に遭った証拠を提示すれば良いでしょう。
たとえば、交通事故で車の修繕費を提出する場合は、保険会社が指定する業者で見積もりを出せば良いです。事故証明が必要なのであれば、自動車安全運転センター等で取得して提出すれば良いでしょう。
保険会社側から何らかの書類提示を求められているはずであるため、不備なく用意して提出すれば保険金詐欺ではないことを明らかにできます。
Q.未遂で終わった場合はどうなりますか?
A.詐欺未遂罪が成立します。
詐欺罪は未遂であっても罰せられます。詐欺未遂罪として10年以下の懲役に処されます。ただし、未遂罪の場合は刑罰が軽くなるため、実際は不起訴処分や執行猶予付きの判決となる可能性が高いでしょう。
なお、詐欺未遂罪は「保険会社を騙そうとして、実際に騙した時点」で成立します。つまり、嘘の報告をして保険金を騙し取ろうとした時点で詐欺未遂罪に問われるため注意してください。
まとめ
今回は、保険金詐欺がバレてしまった場合について解説しました。
保険金詐欺は立派な「詐欺行為」であり、犯罪です。バレるバレない関係なしに、絶対にやってはいけない行為であることを覚えておきましょう。
もし、詐欺罪がバレてしまった場合は、刑事罰を受けることになるでしょう。最大で10年以下の懲役となるため、長期間にわたって刑務所へ収監されてしまいます。軽い気持ちで保険金詐欺を行ってしまうと、その後の人生を大きく狂わされてしまうため、絶対にやめましょう。