
覚醒剤の疑いで自分や家族が逮捕されると、「いつ帰れるのか」「これから何が起こるのか」と不安になるでしょう。逮捕後は警察や検察官による捜査が進み、身柄の拘束を続けるか、起訴するかなどが段階ごとに判断されます。逮捕されたことだけで有罪が決まるわけではありませんが、初期の取り調べへの対応や弁護士への相談は、その後の手続きに関わる大切な行動です。
この記事では、成人が日本国内で覚醒剤の容疑により逮捕された場合を中心に、手続きの流れ、拘束期間、本人と家族の対処法を解説します。釈放や保釈の仕組みも確認し、今どの段階にいるのかを把握しましょう。使用・所持などの容疑や捜査の状況によって、実際の進み方は異なります。
目次
覚醒剤で逮捕された後の流れ
覚醒剤で逮捕された後は、警察の捜査、検察官への送致、勾留の判断、起訴・不起訴の判断へと進みます。すべての事件が同じ経過をたどるわけではなく、途中で釈放される場合もあります。
| 段階 | 主な手続き・判断 |
|---|---|
| 逮捕直後 | 容疑の説明、取り調べ、尿検査などの捜査 |
| 警察の段階 | 原則48時間以内に身柄を検察官へ送るか、釈放 |
| 検察官の段階 | 期限内に勾留請求、起訴、釈放のいずれかを判断 |
| 起訴前の勾留 | 裁判官の判断で拘束を続け、捜査を実施 |
| 捜査後 | 起訴・不起訴を判断し、起訴された場合は裁判へ |
警察で取り調べや尿検査などの捜査が行われる
逮捕されると、警察から容疑の内容を説明され、弁護士を選ぶ権利などについて告げられます。取り調べでは、使用の有無、薬物を持っていた経緯、関係する人物などを質問されることがあります。使用の疑いがある事件では、尿を採取して鑑定し、覚醒剤の成分が含まれるかを調べる捜査も行われます。
所持の疑いでは、押収した物が覚醒剤なのか、本人がどのように管理していたのかなども調べられます。検査の結果だけでなく、関係する証拠や本人の認識も問題になるため、事情を正確に弁護士へ伝えることが大切です。採尿には任意の手続きと令状に基づく手続きがあるので、説明が理解できないときは確認し、弁護士に相談しましょう。
逮捕から48時間以内に、検察官への送致や釈放が判断される
警察が逮捕した場合、原則として逮捕から48時間以内に、本人を釈放するか、身柄を検察官へ送る手続きをしなければなりません。この手続きを「送致」といい、報道では「送検」と呼ばれることもあります。検察官は、警察から引き継いだ資料や本人の説明をもとに、その後の対応を検討します。
検察官へ送致された時点で、起訴や有罪が決まるわけではありません。また、身柄を送る手続きと、実際に留置される場所は別の問題です。検察官に事件が引き継がれた後も、警察署の留置施設に戻って拘束が続く場合があります。
逮捕から72時間以内に、勾留請求や釈放などが判断される
身柄を受け取った検察官は、原則として受け取りから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求、起訴、釈放のいずれかを判断します。警察の48時間とは別に、さらに72時間拘束できるという意味ではありません。「勾留請求」とは、引き続き身柄を拘束することを裁判官に求める手続きです。
検察官が必要だと考えても、それだけで勾留が確定するわけではありません。裁判官が本人に話を聞く「勾留質問」などを経て、法律上の要件を確認します。この段階で弁護士は、住まいや家族の支援状況などを伝え、拘束の必要がないという意見を示すことがあります。
裁判官が勾留を認めると、身柄を拘束されたまま捜査が続く
勾留は、逮捕に続いて一定期間、身柄を拘束する手続きです。犯罪をしたと疑うに足りる理由に加え、住居が定まらない、証拠を隠すおそれがある、逃亡のおそれがあるといった法律上の理由や、拘束の必要性が問題になります。覚醒剤事件だからという理由だけで、法律上当然に勾留されるわけではありません。
勾留が認められると、取り調べや鑑定、関係者への確認などの捜査が続きます。事件によっては、家族などとの面会や手紙のやり取りを制限する「接見等禁止」が付く場合もあります。本人は弁護士との接見で、取り調べの内容や生活上の困りごとを伝えましょう。
検察官が起訴・不起訴を判断する
捜査で集めた証拠などを踏まえ、検察官は裁判所に処罰を求める「起訴」をするか、「不起訴」にするかを判断します。不起訴には、犯罪を証明する証拠が足りない場合や、事情を考慮して起訴しない場合などがあります。本人が容疑を認めたかどうかだけで、結論が機械的に決まるものではありません。
弁護士は、証拠上の問題や本人の説明、生活環境、治療の計画など、事件に応じた事情を検察官へ伝えることがあります。ただし、反省文や通院の約束を出せば必ず不起訴になるわけではありません。使用や所持の内容、前科の有無、捜査で判明した事情などを踏まえた個別の判断になります。
起訴された場合は、刑事裁判で有罪・無罪や刑の内容が決まる
起訴された場合、裁判所で証拠を調べ、犯罪が証明されたかどうかを判断します。有罪とされる場合には、行為の内容や前科、再使用を防ぐための取り組みなども踏まえて刑が決まります。現在の制度では「拘禁刑」という刑があり、条件を満たす場合には刑の執行を一定期間猶予する「執行猶予」が付くこともあります。
初めての逮捕であることと、執行猶予が付くことは同じではありません。裁判では、容疑を争うか、認めたうえで刑に関する事情を説明するかによって準備が異なります。身に覚えがない場合は、その主張を支える証拠や捜査の問題点を弁護士と整理しましょう。
覚醒剤で逮捕されると、どのくらい身柄を拘束される?
拘束期間は、逮捕、起訴前の勾留、起訴後の勾留で分けて考える必要があります。「最長23日間」は、起訴後や別事件の拘束まで含む上限ではありません。
逮捕による身柄の拘束は、原則として最長72時間
警察が逮捕し、検察官へ身柄を送る通常の流れでは、逮捕段階の拘束は原則として最長72時間と説明されます。これは、次の勾留に進むかどうかなどを判断するための期限です。すべての人が72時間いっぱい拘束されるわけではなく、必要がないと判断されれば、それより前に釈放される場合もあります。
一方、期限内に勾留請求がされた場合には、裁判官の判断を経て、別の根拠による拘束に移ります。そのため、72時間を過ぎれば必ず自由になるとはいえません。逮捕時刻に加え、勾留請求の有無や裁判官の判断を弁護士に確認しましょう。
起訴前の勾留は原則10日間で、延長されると最長20日間
起訴前の勾留期間は、勾留請求の日から原則10日間です。やむを得ない事情がある場合には、検察官の請求により、裁判官がさらに10日間以内の延長を認めることがあります。覚醒剤事件で通常問題になる起訴前の勾留は、延長を含めると最長20日間となります。
延長は自動的に行われるものではなく、必要な捜査や進行状況に応じて判断されます。弁護士は、延長の必要性があるかを確認し、不服申し立てなどを検討できます。また、期間の途中で釈放される場合もあるため、「勾留されたら必ず20日間」と決めつける必要はありません。
一つの事件では、逮捕から起訴前まで最長23日間が目安になる
逮捕段階の最大72時間と、延長を含む勾留の最大20日間を合わせ、一般に「逮捕から起訴前まで最長23日間」と説明されます。これは、一つの事件について通常の手続きが進んだ場合の目安です。刑事裁判が終わるまでの日数や、実際の帰宅日を示すものではありません。
勾留期限までに起訴されれば、その後も起訴後の勾留が続く可能性があります。逆に、不起訴や勾留の取り消しなどにより、23日を待たずに釈放されることもあります。家族は、いつまで拘束される見込みかだけでなく、次にどの判断が予定されているかを把握しましょう。
別の容疑で再逮捕されると、身柄の拘束がさらに続くことがある
覚醒剤事件では、所持の捜査をきっかけに使用の疑いが明らかになるなど、複数の容疑が問題になる場合があります。別の犯罪事実について再逮捕されると、その事件の逮捕・勾留の手続きが進み、拘束がさらに続くことがあります。「最初の逮捕から23日が過ぎた」という理由だけで、帰宅できるとは限りません。
ただし、捜査機関が同じ事件について自由に逮捕を繰り返せるという意味ではありません。再逮捕の対象となる事実や手続きの適法性は、弁護士が確認するべき重要な点です。家族は、使用と所持などの言葉だけで判断せず、今回の逮捕がどの事実に基づくのかを確認してください。
起訴後も勾留が続くと、拘束期間が数か月に及ぶことがある
起訴後の勾留期間は、起訴の日から原則2か月です。法律上の要件を満たす場合には、1か月ごとに更新されることがあります。そのため、保釈などが認められず、裁判の準備や審理に時間がかかると、拘束が数か月に及ぶこともあります。
起訴された後の見通しは、争点の有無、証拠の量、裁判の日程などによって異なります。容疑を認めている事件でも、必ず短期間で終わるとはいえません。弁護士に保釈請求の時期や必要な準備を相談し、家族は住居、仕事、通院などの調整を進めましょう。
覚醒剤で逮捕された後に取るべき対処法
逮捕後は、弁護士に相談しながら、取り調べへの対応と健康の確保を進めましょう。覚えている事実、わからないこと、体調の問題を分けて伝えることが、落ち着いた対応につながります。
早めに弁護士を呼び、取り調べへの対応を相談する
逮捕されたら、警察官などに「弁護士を呼んでほしい」と伝え、接見を求めましょう。接見とは弁護士との面会で、原則として捜査官の立ち会いなしに相談できます。何を話すか迷っている場合も、容疑の内容、すでに答えたこと、困っていることを伝えれば、対応を一緒に整理できます。
費用が心配な場合は、初回の接見が無料になる当番弁護士制度を確認してください。勾留された後は、資力などの条件に応じて被疑者国選弁護制度を利用できる場合もあります。当番弁護士が来たことだけで、その後の弁護活動すべてが無料になるわけではありません。
黙秘権を理解し、事実と違う説明や曖昧なままの回答を避ける
取り調べでは、自分の意思に反して話す必要はなく、黙秘権があります。すべての質問に答えない場合だけでなく、特定の質問に答えないという対応も考えられます。ただし、どのように対応するかは事件の事情によって異なるため、弁護士と相談して判断しましょう。
記憶が曖昧なときに、質問に合わせて日時や回数を推測すると、後から説明の食い違いが生じるおそれがあります。「覚えていない」「わからない」ということも、事実と区別して伝える必要があります。早く帰りたいという気持ちから、していない行為まで認めることは避けてください。黙秘と虚偽の説明は別の問題であり、事実に反する話を作ることは適切な対応ではありません。
供述調書を確認し、内容が違う場合は訂正を求める
取り調べで話した内容が、供述調書という書面にまとめられることがあります。確認する際は、日時や場所だけでなく、自分が何を知っていたか、どの程度覚えているかまで正しく書かれているかを見ましょう。自分の発言と違う場合や、言葉の意味が変わっている場合は、具体的に訂正を求めてください。
内容に納得できないまま、署名・押印をする必要はありません。読み聞かせの途中で理解できない部分があれば、説明や再確認を求めることが大切です。訂正を求めても直されない場合には、その経過を弁護士に伝えましょう。「後で説明すればよい」と考えず、確認の段階で問題を示すことが、自分の話を正確に残すための対応になります。
身に覚えがない場合は、当時の状況や証拠を弁護士に伝える
身に覚えがない場合は、何を疑われているのかを確認し、当時の行動や関係する資料を弁護士に伝えましょう。使用と所持では問題になる事実が異なるため、「自分ではない」と伝えるだけでなく、どの部分が違うのかを整理することが必要です。尿検査などについて疑問があれば、採取の経過や受けた説明も伝えてください。
- 当時いた場所、移動した時間、一緒にいた人
- 医療機関の受診歴や、処方薬・市販薬の情報
- 薬物が発見された場所と、その場所や物を使っていた人
- 連絡履歴、領収書、記録など、事実確認に役立つ資料
これらは、思い当たるものを弁護士に知らせるための例です。資料を消したり、関係者に説明を合わせるよう頼んだりしてはいけません。家族に確認が必要な場合も、弁護士を通じて、証拠を保つ方法や適切な調査の進め方を相談しましょう。
体調不良や薬物をやめたことによる症状があれば、医療対応を求める
拘束中に強い疲労感、眠れない状態、気分の落ち込みなどがある場合は、留置担当者や取り調べ担当者に具体的に伝え、医療対応を求めましょう。薬物の影響だけでなく、持病や拘束によるストレスなどが関係することもあります。症状の原因を自分で決めつけず、医師による判断につなげることが大切です。
胸の痛み、意識の異常、強い混乱などがあるときは、すぐに職員へ知らせてください。自分を傷つけそうなほどつらい場合も、我慢せず、直ちに助けを求める必要があります。普段飲んでいる薬や治療中の病気があれば、その情報も伝えましょう。弁護士にも症状や対応の経過を知らせると、必要な医療を受けるための申し入れを相談できます。
薬物依存の治療や再使用を防ぐための支援を検討する
実際に覚醒剤を使用していた場合は、刑事手続きへの対応に加え、再使用を防ぐための支援を検討しましょう。薬物の問題は、本人が「もう使わない」と決めるだけでは解決が難しいことがあります。ただし、逮捕された人すべてが依存症だと決まるわけではなく、治療の必要性は専門家の評価を受けることが大切です。
相談先には、依存症を診療する医療機関、精神保健福祉センター、ダルクなどの回復支援施設や自助グループがあります。住んでいる地域や生活状況に合う場所を探し、予約方法や費用、継続の仕方を確認してください。裁判に提出する計画を作る場合も、通える見込みのない内容では意味がありません。本人が実際に続けられる支援を選び、釈放後もつながりを保てるよう準備しましょう。
家族が覚醒剤で逮捕されたときにできること
家族は、所在と容疑を確認し、弁護士への接見依頼や生活上の支援を進められます。本人への支援を一人で抱え込まず、法律と医療・福祉の相談先を使い分けることが大切です。
本人がいる警察署や、逮捕された容疑を確認する
警察から連絡を受けたら、本人がいる警察署、担当部署、逮捕された日時、容疑を確認しましょう。連絡した職員の名前と折り返し先も控えておくと、その後の問い合わせがしやすくなります。弁護士へ依頼する際には、本人の氏名や生年月日と合わせて、把握した情報を伝えてください。
容疑は、覚醒剤の使用なのか、所持なのかなど、わかる範囲で確認すれば十分です。家族への説明だけでは、詳しい事件の内容まで把握できない場合もあります。連絡先が不確かな場合は、警察署の公表されている代表番号から確認するなど、落ち着いて所在を確かめることが先決です。
弁護士会の当番弁護士制度を利用し、初回無料の接見を依頼する
当番弁護士制度は、逮捕された人のもとへ弁護士を派遣し、初回の接見を無料で行う制度です。本人だけでなく、家族や友人から依頼できる場合もあります。本人がいる地域の弁護士会に連絡し、当番弁護士の派遣を求めてください。
依頼するときは、本人の氏名、留置されている場所、容疑などを、わかる範囲で伝えます。すでに弁護士が付いているか、派遣の受付方法はどうなっているかも確認しましょう。接見後は、継続依頼の可否や国選弁護制度などについて相談できます。
面会や差し入れができるか、警察署や弁護士に確認する
逮捕直後の段階では、家族の面会は原則としてできません。勾留後は面会できる場合がありますが、接見等禁止が付いていると制限されることがあります。また、面会できる時間、人数、本人確認の方法などは、留置施設の運用に従う必要があります。
差し入れできる衣類や現金などにも決まりがあるため、持参する前に確認してください。薬は家族の判断だけで本人に渡せるものではなく、医療上の対応として相談する必要があります。面会や手紙で、証拠を消すよう伝えたり、関係者との口裏合わせを頼んだりしてはいけません。接見等禁止の一部解除を求められるかなど、家族との連絡の確保については弁護士に相談しましょう。
弁護士を通じて、本人の体調や必要な連絡を確認する
家族が直接会えない場合でも、弁護士の接見を通じて本人の様子を確認できることがあります。持病、服薬、最近の体調など、家族が知っている情報を先に伝えておくと役立ちます。本人がどの情報を家族に伝えてよいと考えているかについても、弁護士に確認してもらいましょう。
仕事の欠勤連絡、子どもの世話、家賃や公共料金の支払いなど、急ぐ生活上の用事も整理してください。勤務先への説明は、本人の意向や会社の規則を踏まえて、伝える相手と内容を決めることが大切です。逮捕された事実を誰にでも知らせる必要はありませんが、無断欠勤を放置してよいという意味でもありません。家族が勝手に退職や契約解除を進める前に、弁護士を通じて本人の意思を確かめましょう。
釈放後の住まいや生活を支える体制を整える
釈放後に暮らせる住まい、連絡手段、当面の生活費などを確認しておくと、生活の立て直しにつながります。家族が同居を考える場合は、誰が何を支えるのかを具体的に話し合いましょう。保釈請求では、帰住先や本人を支援する人の状況が判断材料になることもあります。
ただし、家族がすべての費用や責任を引き受ける必要はありません。通院への同行、生活リズムを整える支援、困ったときの相談先の確認など、できることを選んでください。再使用が心配な場合は、薬物に結びつきやすい生活環境を専門家と一緒に見直すことも大切です。本人や同居家族の安全に不安がある場合は、同居を急がず、支援機関を含めて住まい方を相談しましょう。
精神保健福祉センターなどで、家族としての関わり方を相談する
精神保健福祉センターでは、薬物や依存症に関する家族の相談を受け付けています。本人が相談に行くことをためらっていても、家族だけで相談できる窓口があります。「何を言えばよいかわからない」「責めてしまう」といった悩みも、そのまま伝えて構いません。
家族教室や家族会などを利用すると、依存症の知識や、本人との距離の取り方を学べる場合があります。本人を支えることと、問題をすべて肩代わりすることは分けて考える必要があります。家族自身の睡眠や仕事、子どもの生活も守りながら、続けられる支援を探してください。利用できる事業は地域によって異なるので、相談方法や開催日、費用などを事前に問い合わせましょう。
覚醒剤で逮捕された後に釈放・保釈される可能性はある?
覚醒剤事件でも、勾留が認められない場合や不起訴の場合などに釈放される可能性があります。起訴前の釈放と、起訴後に利用できる保釈は、時期と手続きが異なります。
| 手続き | 主に利用する時期 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 勾留を避ける申し入れ | 勾留の判断前 | 逃亡・証拠隠滅のおそれや拘束の必要性 |
| 準抗告・勾留取消請求など | 勾留された後 | 決定の問題点、勾留の理由や必要性 |
| 保釈請求 | 起訴された後 | 保釈の要件、保証金、釈放後の条件 |
勾留が認められない場合や、不起訴になった場合は釈放される
裁判官が勾留請求を認めず、そのほかに拘束の根拠がなければ釈放されます。勾留されていた事件が不起訴になった場合も、その事件による拘束は終了します。ただし、別事件での勾留などがある場合は、本人がそのまま帰宅できるとは限りません。
また、勾留されずに釈放されたからといって、捜査も終わったとは限りません。身柄を拘束しない状態で捜査が続き、後から取り調べや裁判への対応が必要になる場合があります。弁護士に処分の状況を確認し、連絡先や出頭の予定を整理しましょう。釈放後に転居する場合なども、必要な連絡を怠らないことが大切です。
勾留の決定への不服申し立てや、勾留の取り消しで釈放を目指せる場合がある
勾留の判断に問題があると考えられる場合は、「準抗告」などの不服申し立てを検討できます。勾留の理由や必要性がなくなった場合には、勾留取消請求を検討することもできます。どの手続きを選ぶかは、手続きの段階や拘束の根拠によって異なります。
家族が協力できることとして、住まいの確保、本人への支援方法、勤務先や医療機関の状況などを弁護士へ伝えることが挙げられます。「かわいそうだから帰してほしい」という説明だけでなく、拘束が不要だと示せる具体的な事情を整理することが重要です。ただし、家庭や仕事に負担があるだけで、必ず釈放が認められるわけではありません。
保釈を請求できるのは、起訴された後
保釈は、起訴された後に勾留されている人について利用できる制度です。逮捕直後や起訴前の勾留中に、保釈保証金を払って帰宅することはできません。この段階では、勾留を避ける申し入れや、勾留決定への不服申し立てなど、別の方法を検討します。
起訴後は、最初の裁判が開かれる前でも保釈を請求できます。本人のほか、弁護士や配偶者など一定の人から請求できますが、実際の準備は弁護士と進めるとよいでしょう。家族は、本人が暮らす場所や支援する人、保証金の準備について、早めに相談してください。保釈されても刑事裁判は続くため、裁判への出席や弁護士との打ち合わせが必要になります。
保釈の判断では、逃亡や証拠隠滅のおそれなどが考慮される
裁判所は、法律で定められた保釈の要件や、逃亡・証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断します。法律上、一定の除外事由がなければ認めるべき保釈と、事情を考慮して裁判所が認める保釈があります。覚醒剤事件だから保釈が一切認められないわけでも、初犯だから当然に認められるわけでもありません。
住居が確保されているか、事件の関係者に接触するおそれがないかなど、具体的な事情を説明することが大切です。治療や通院の必要性、拘束による仕事や家庭への影響が考慮される場合もあります。一方、反省しているという説明だけで、証拠隠滅のおそれがなくなるとは限りません。
保釈には保証金の納付や、裁判所が定めた条件を守ることが必要になる
保釈が認められると、裁判所が決めた保証金を納め、釈放後の条件を守る必要があります。保証金の額は、事件の内容や本人の経済状態などを踏まえて決まり、すべての人に共通する金額ではありません。許可が出たことだけで直ちに帰宅できるとは限らないため、納付や釈放の手順も確認してください。
- 指定された裁判の期日に出席する
- 裁判所が定めた住居や移動に関する条件を守る
- 接触を禁じられた事件関係者と連絡を取らない
- 変更が必要になった場合は、事前に弁護士へ相談する
逃亡や証拠隠滅、条件違反などにより保釈が取り消されると、再び拘束され、保証金の全部または一部が没取される場合があります。没取されなければ、保証金は原則として手続きの終了後に返還されます。保証金は罰金や弁護士費用とは異なるので、家族が用意する場合も、用途と返還の扱いを理解しておきましょう。
覚醒剤で逮捕された後の流れと対処法を知り、早めに弁護士へ相談しよう
覚醒剤で逮捕された後は、警察と検察官による捜査、勾留の判断、起訴・不起訴の判断が進みます。拘束期間の目安だけで帰宅日を決めつけず、現在の手続きと次の判断を確認することが大切です。
本人は早めに弁護士との接見を求め、取り調べで話す内容や供述調書の確認方法を相談しましょう。体調に問題があれば医療対応を求め、身に覚えがない場合には当時の状況や資料を正確に伝えてください。実際に薬物の問題がある場合は、治療や回復支援へのつながりも検討する必要があります。
家族は、所在の確認、当番弁護士への依頼、生活上の連絡、釈放後の支援などを、できる範囲で進められます。起訴前の釈放と起訴後の保釈を区別し、利用できる手続きを弁護士と検討してください。法律の専門家と医療・福祉の支援先に相談しながら、本人の権利と家族の生活を守る対応を進めましょう。