オレオレ詐欺は、刑法に定められている「詐欺罪」という犯罪が成立します。詐欺罪の法定刑は、「10年以下の懲役」であり、初犯であっても実刑判決となる可能性が高い犯罪であり、今後の長い人生を狂わせてしまう原因になり得ます。
この記事では、もし、オレオレ詐欺に加担してしまった場合、今後どうなってしまうのか?逮捕された場合の対処法はあるのか?について詳しく解説しています。現在、詐欺には加担していないものの、いわゆる闇バイトに応募してしまった人向けにも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
オレオレ詐欺で逮捕された場合の流れ
オレオレ詐欺は「詐欺罪」という犯罪が成立します。詐欺罪は、組織的犯罪集団が関与していることが多く、逃亡や証拠隠滅といった可能性が高いことから、逮捕されるケースが大半です。
もし、オレオレ詐欺で逮捕されてしまった場合、どのような流れで事件が進んでいくのだろうか?と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。まずは、オレオレ詐欺で逮捕された場合の流れについて詳しく解説します。
逮捕
オレオレ詐欺は逮捕される可能性が高い犯罪です。逮捕とは、「罪を犯した疑いのある人の身柄を拘束し、取り調べを行うための手続き」です。そのため、罪を犯したからといって、必ずしも逮捕されるとは限りません。
逮捕をするためには、証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがある場合などの条件が定められています。しかし、詐欺罪の場合は単独犯であるケースは少なく、大半の事件が組織的犯罪集団が関与しています。
そのため、証拠隠滅や逃亡の恐れが高いと判断され、結果的に逮捕されることになるため注意しなければいけません。逮捕には以下3つの種類があり、詐欺罪はいずれの可能性もあるため覚えておきましょう。
- 通常逮捕
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
通常逮捕とは、もっとも一般的な逮捕方法であり、警察等の捜査機関が捜査を行って逮捕状を請求し、被疑者を逮捕しにいく流れです。たとえば、オレオレ詐欺に関わった人を捜査し、突然あなたの自宅等の前に捜査官が現れ、逮捕状を見せたうえで逮捕をします。
現行犯逮捕とは、元に犯罪が行われている場合などにその場で即時逮捕す方法です。現行犯の場合は、逮捕状の発布は必要とされていません。たとえば、詐欺の役割の一つである受け子の場合、被害者宅にお金を取りに来た瞬間にそのまま逮捕されることを「現行犯逮捕」と言います。
緊急逮捕とは、指名手配されている被疑者など、緊急性を要する場合に逮捕状がなくても逮捕できる方法です。詐欺罪も緊急逮捕の要件を満たしているため、たとえば街中で突然逮捕されてしまうケースもあるでしょう。
詐欺罪の場合、いずれの逮捕の可能性もあります。とはいえ、逮捕によるその後の手続きに違いはないため、とくに気にする必要はないでしょう。逮捕された場合、強制的にあなたの身柄を拘束します。その後、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致されます。
なお、逮捕されている間は警察署内にある留置所と呼ばれる場所で生活を送ります。基本的には、朝から夜までの間で1日8時間程度取り調べが行われることになるでしょう。
勾留請求
逮捕から48時間以内に検察へ事件を送致し、その後検察は勾留請求を行います。勾留請求とは、被疑者を引き続き拘束するために行う請求であり、裁判所に対して行われます。
勾留請求が行われると、被疑者は検察官と一緒に裁判所へ行って勾留質問を受けなければいけません。そのうえで、最終的に勾留の必要性を裁判官が判断し、決定する流れです。
勾留請求は、送致から24時間以内と定められているため、この時点で最長72時間(3日間)の身柄拘束が発生することになるでしょう。
その後、勾留請求が認められた場合は、初めに10日間の勾留が可能です。ただ、実務上は勾留延長がなされるケースが多く、さらに10日間で合計20日間の勾留となります。
勾留期間中は、逮捕時同様に警察署内にある留置所と呼ばれる場所で生活を送ります。また、日中は8時間以内で警察や検察の取り調べに対応しなければいけません。
起訴・不起訴の判断
勾留されている被疑者については、勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを決定します。詐欺事件においては、ほとんどのケースで起訴されます。
また、起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類ありますが、詐欺罪においては略式起訴の可能性はありません。なぜなら、略式起訴は「100万円以下の罰金」に対してのみ行える手続きであるためです。
詐欺罪および詐欺未遂罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり、そもそも罰金刑の規定がありません。よって、正式起訴しか選択されません。
正式起訴された場合は、刑事裁判を受けることになります。ただ、起訴されてから初公判が開かれるまでに期間があります。一般的な事件であれば1カ月〜2カ月程度、事件が複雑な場合は、さらに期間がかかることもあるでしょう。
なお、起訴された後も引き続き身柄の拘束は続きます。基本的には拘置所と呼ばれる場所に移送されますが、拘置所での受け入れが難しい場合は、引き続き留置所に残るケースもあります。
また、起訴された場合は保釈請求を行うことも可能です。保釈請求とは、お金を支払って一時的に社会へ戻ることを請求するための手続きです。
ただし、すべての人が保釈許可請求を行って認められるとは限りません。とくに組織的犯罪である詐欺罪の場合は、保釈請求は認められにくいため注意してください。
刑事裁判を受ける
正式起訴された場合は、複数回の公判が開かれます。刑事裁判では、あなたのお菓子巽について審理し、有罪か無罪かを判断します。詐欺を行った事実がある以上、無罪となる可能性はゼロであるため、量刑をどの程度に処するべきかを決定することになるでしょう。
判決に従って刑に服する
最終的に判決が言い渡されます。詐欺事件の場合、初犯であっても実刑判決となるケースが多いため、長期間にわたって刑務所内に収監され、刑務作業を行わなければいけません。
ただし、稀に執行猶予付きの判決が下されることもあります。ケースバイケースではあるものの、可能性としてはゼロではありません。
執行猶予とは直ちに刑の執行をせずに一定期間猶予することです。たとえば、懲役3年執行猶予5年の判決が確定した場合、懲役3年の刑罰は直ちに執行せずに5年間猶予されます。猶予されている期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、懲役刑は執行されません。
オレオレ詐欺で逮捕された場合の対処法
オレオレ詐欺で逮捕された場合は、初犯であっても実刑判決が下される可能性がとても高いです。そのため、少しでも量刑を軽くし、執行猶予付き判決を得るために、以下の対処法を検討されてみてはいかがでしょうか。
- 弁護士へ相談をする
- 反省している態度を示す
- 被害弁済を行う
- 知っている情報をすべて話す
詐欺行為を行った事実がある以上、無罪となる可能性はゼロです。必ず刑罰を受けるものと思っておきましょう。そのうえで、いかにして量刑を軽くし、早期に社会復帰を目指すかに焦点を当てて対応することがとても大切です。
次に、オレオレ詐欺で逮捕されてしまった場合の対処法について解説します。
弁護士へ相談をする
オレオレ詐欺で逮捕されてしまった場合、必ず弁護士へ相談をしましょう。弁護士は刑事事件において唯一あなたの味方となってくれる人です。弁護士へ相談をすることによって、早期に適切な弁護活動を開始し、あなたにとって多くのメリットをもたらしてくれるはずです。
刑事事件では、逮捕されたあとに一度だけ無料で弁護人を呼べる「当番弁護人制度」という制度があります。当番弁護人制度は、今後のアドバイスや相談をできる制度です。
逮捕された被疑者は、家族や友人とも会うことができないため、さまざまな不安や疑問を抱えていることでしょう。少しでも不安を解消し、取り調べに応じられるようにするための制度であるため、「逮捕後に1度だけ」という制限があります。
また、その後勾留が確定した場合は、国選弁護人を付けられます。国選弁護人も無料で弁護人をつけられる制度ではあるものの、「勾留後(もしくは起訴後)」といった制限があり、タイミングとしてはとても遅いです。
そのため、可能であれば私選弁護人を選任したほうが良いです。私選弁護人は、実費となるため、費用を用意できなければそもそも私選弁護人を立てられません。とくにお金のために詐欺を行っている人は、経済的余裕もないのが現実でしょう。
とはいえ、家族等からの支援を受けられる場合や、立て替え制度の利用条件を満たしている場合は、私選弁護人の選任を検討したほうが良いでしょう。
反省している態度を示す
必ず、反省している態度を示しましょう。刑事事件において、「反省しているかどうか」は非常に重要です。具体的には、被害者に対する謝罪文を書いたり、謝罪の意を示したりしている態度が大切です。
警察等からの取り調べに応じた際や自分の時間を利用して反省している態度をしっかりと示していきましょう。
被害弁済を行う
詐欺事件においては、被害弁済が行われているかどうかがとても重要です。被害弁済とは、被害者に対して被害金の補填をしていることです。
たとえば、あなたが関わった詐欺事件において、100万円を詐取した場合、100万円を弁済することが大切です。とはいえ、あなたが受け取った報酬は100万円の一部かもしれません。ましてや、全額を用意することは難しいかもしれません。
しかし、少しでも弁済する意思を見せ、実際に弁済をしているかどうかが量刑判断に影響を与える可能性が高いためです。
知っている情報をすべて話す
詐欺事件においては、知っている情報をすべて話すことによって、「反省している」と判断される可能性があります。自分の役割や指示役の情報等、自分自身が知り得る情報はすべて積極的に伝えるようにしましょう。
捜査機関は、当然、末端の容疑者も逮捕するものの、根本的には「大元から壊滅させる」ということが目的です。詐欺事件であれば、司法取引が成立する可能性もあるため、積極的に話をするようにしましょう。
司法取引とは、他人の刑事事件の情報を伝える代わりに、自分の罪を軽減させたり不起訴処分としてもらったりするための手続きです。有力な情報を知り得ている場合は、司法取引が成立し、量刑に影響を与える可能性もあります。
オレオレ詐欺の役割と刑罰
オレオレ詐欺の役割は、主犯・指示役がいてその下にかけ子・受け子・出し子と呼ばれる人たちがいます。主犯や指示役以外は、いわゆる闇バイトで募集されていることが多く、「末端」とも呼ばれています。
オレオレ詐欺の仕組み上、末端の人たちが実行をするため捕まるリスクが高い一方で、主犯や指示役は捕まりにくいです。なぜなら、秘匿性の高い通信アプリを利用して指示を出しているため、末端が捕まっても主犯や指示役までたどり着けない仕組みが作られているためです。
次に、オレオレ詐欺の役割と刑罰について詳しく解説をします。
主犯・指示役
オレオレ詐欺は、主犯・指示役を中心に形成された組織的犯罪集団が行う犯罪です。主犯や指示役は、オレオレ詐欺グループのトップに立っており、「リクルーター」と呼ばれることもあります。
リクルーターの主な役割は、かけ子や受け子、出し子といったいわゆる末端の人を集める役割を担い、実際に応募してきた人たちに指示を出して詐欺を行わせます。
自分たちは秘匿性の高い通信アプリ等を利用し、当然、自分たちの情報を自ら話すことは絶対にありません。そのため、捕まりにくいのが特徴です。
ただし、捕まった場合には複数の詐欺に関与していることが多く、単純な詐欺の場合は最長で15年以下の懲役に処されます。さらに、組織的犯罪集団として詐欺を行っていた場合は、最長で20年以下の懲役が科されるため、注意しなければいけません。
かけ子
かけ子は、被害者宅に電話をかける役割を担っている人を指します。一般的には、受け子・出し子からの出世という形でなる人が多いです。
受け子や出し子と比較して捕まるリスクは低いものの、主犯や指示役よりは捕まりやすいです。実際、海外を拠点にかけ子を行っていた詐欺グループが捕まっている事例も発生しています。
かけ子も当然に詐欺行為であるため、刑法に定められている詐欺罪が成立します。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であるため、基本的にはこの範囲内で処罰されることになるでしょう。
ただし、先ほども解説したとおり、複数の詐欺に関与している場合や組織的犯罪集団として活動をしていた場合は、最長で15年〜20年程度の懲役となるため注意してください。
受け子
受け子とは、実際に被害者宅に出向いて現金やキャッシュカード等を受け取る役割を担っている人です。オレオレ詐欺の役割の中でも比較的捕まるリスクが高いです。
とくに、被害者が詐欺であることを察知し、警察へ通報している場合は、取りに行ったその場で現行犯逮捕となることがあります。当然、「詐欺であることは知らなかった」は通用せず、そのまま刑事罰を受けることになるため注意しなければいけません。
受け子も詐欺罪が成立するため、基本的には10年以下の懲役の範囲内で刑罰が下されます。
出し子
出し子とは、被害者から詐取したキャッシュカード等を利用して、実際にATMからお金を引き出す役割を担う人です。オレオレ詐欺の役割の中でも比較的捕まるリスクが高い役割です。
出し子は、ATMに行って実際にお金を引き出さなければいけないため、詐欺の事実が発覚した時点で捜査が行われ、防犯カメラ等を確認することによってすぐに発覚します。
そのため、リクルーターと呼ばれる役割の人たちが常に新しい出し子を探しているのが特徴です。いわゆる「闇バイト」として募集がかけられており、「高収入」に釣られて応募してしまう人が多いです。
出し子は、オレオレ詐欺の入り口ともなる役割であり、一度応募してしまうと詐欺であることがわかっていてもやめられない、やめさせてもらえないことになるため要注意です。
出し子も詐欺罪に問われるため、基本的には10年以下の懲役の範囲内で刑罰が下されます。初犯であっても実刑判決となる可能性が高いため、注意してください。
オレオレ詐欺の主な手口と流れ
「特殊詐欺」と呼ばれる詐欺行為は多種多様です。その中でも、「オレオレ詐欺」は息子や孫などを語ってお金を必要であることを告げ、金銭を騙し取る詐欺行為を指します。
次に、オレオレ詐欺の主な手口や、なぜ騙されてしまうのか?についても詳しく解説します。
1.息子や孫を装って被害者に電話をかける
初めにターゲット(被害者)に息子もしくは孫などを装って電話をかけます。このとき、被害者が「電話番号が違う」「声が違う」などといった違和感に気付くことがあります。しかし、かけ子は「電話番号が変わった」「風邪をひいている」などと嘘をついて被害者を騙します。
オレオレ詐欺と呼ばれる所以は、ターゲットへ電話をかけた際に「オレオレ(一人称)!」と言うことに起因しています。詐欺グループは、装っている人の名前まで把握できていないことが多いため、ターゲットから「〇〇(名前)かい?」などと言われるのを待ちます。
ターゲットは、高齢者がなることが多く「声が変わった」「電話番号が変わった」と言われてしまうと信じてしまうケースが多いのです。とくに、しばらく会っていない息子や孫などであればなおさらです。
また、銀行員を装ったり警察官を装ったりなど、さまざまな方法でターゲットを騙す詐欺もあります。これらは、架空請求詐欺や融資保証金詐欺など、詐欺ごとにそれぞれ名前がつけられており、オレオレ詐欺とは区別されています。
ただし、2004年以降はオレオレ詐欺等も含め「振り込め詐欺」という呼称に統一されています。
本記事では、オレオレ詐欺の手口について解説しています。そのため、架空詐欺や融資保証金詐欺については解説していません。
2.お金が必要であることを告げる
次に、急にお金が必要になったことを告げます。たとえば、「会社のお金を落としてしまった」「駅で痴漢を疑われて示談金が必要」などと言い、ターゲットを焦らせます。
焦ったターゲットは冷静な判断をすることができず、「どうすれば良いのだろうか?」と悩んでしまう人が多いです。そのとき、「今から〇〇という上司から電話がかかってくる」「駅員から電話がかかってくる」などと言い、ターゲットに冷静な判断をできる時間を与えません。
少しでも「怪しい」と感じた場合は、必ず警察へ相談をしてください。警察への連絡を避けたい場合は、実際に息子や孫へ連絡をしてください。仮に、息子や孫に似た声であっても、必ず一度確認してください。
3.息子や会社の上司、駅員などが登場
その後、会社の上司や駅員などシナリオに従ってターゲットへ電話をかけます。これにより、「2.」でお金が必要であることを要求したことに信憑性が増し、被害者は騙されてしまうのです。
実に巧妙な手口であり、喋り方やシナリオ、ターゲットに反論された場合の対応方法などもすべてマニュアル化されていることが多く、騙されてしまう被害者が多いのが現実です。
このとき、息子等を装っている人がいったマニュアルに従って、「息子さんがお金を落としてしまったため、〇〇万円用意してください。後ほど、〇〇という者が取りに行きます」などと伝えます。
オレオレ詐欺等の仕組みを理解し、少しでも「怪しいかもしれない」「詐欺かもしれない」と思えるように準備しておきましょう。また、日頃から息子や孫と連絡を取り合うようにしておくのも良いでしょう。
4.自宅にお金を受け取りに来る
受け子と呼ばれる役割の人が、実際にターゲットの自宅等にお金を取りに行きます。もしくは、指定口座にお金を振り込ませて、出し子がお金を引き出して詐欺グループにお金が入る仕組みです。
オレオレ詐欺における量刑の決まり方
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。つまり、オレオレ詐欺で罪に問われた場合は、1カ月〜10年の間で刑罰が確定します。
詐欺罪は、初犯であっても実刑判決が下される可能性が高い犯罪であり、多くの場合は数年単位の刑罰が下されます。ただし、以下の条件を満たしていた場合には、量刑が軽くなり、執行猶予付きの判決が下される可能性もあるでしょう。
執行猶予とは直ちに刑の執行をせずに一定期間猶予することです。たとえば、懲役3年執行猶予5年の判決が確定した場合、懲役3年の刑罰は直ちに執行せずに5年間猶予されます。猶予されている期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、懲役刑は執行されません。
初犯とは、初めて罪を犯すことです。これまでに詐欺などで逮捕や刑罰を受けていないことを指します。
執行猶予が付かない判決のことを実刑判決と言います。
- 被害程度
- 反省の程度
- 被害弁済の有無
次に、オレオレ詐欺の量刑判断に影響を与えることについて詳しく解説します。
被害程度
被害程度が少ない場合は、比較的軽めの量刑が下されることが多いです。オレオレ詐欺を行っている人は、多くの事件に関与しているケースが多いため、被害額も高額になりがちです。
たとえば「今回の事件が初めて」「被害額が少ない」といった場合は、比較的軽めの刑罰が下されます。
一方で、何度も詐欺を行い、総被害額が高額な場合はその分量刑が重くなる傾向にあります。被害額が多ければ多いほど、被害者の数が多かったり被害者の処罰感情が強くなるためです。
反省の程度
詐欺事件においては、反省しているかどうかが判決に大きな影響を与えます。詐欺を行った人の多くは、出所後も同じ詐欺グループに戻ったり他の詐欺グループに所属して詐欺を繰り返したりします。
そのため、本当に反省している態度を示し、同じことを繰り返さないことをしっかりと示すことで「更生の余地がある」と判断されやすくなります。結果的に、比較的軽めの量刑が下されることになるでしょう。
被害弁済の有無
詐欺事件においては、被害弁済が行われているかがとても重要です。被害者に対して被害弁済が行われていう場合、被害者の処罰感情も少なくなっています。結果的に、量刑が軽くなる可能性が高まります。
そもそも、詐欺行為は犯罪ではあるものの、被害は「お金」です。人の生命のように絶対に返すことのできないものではありません。そのため、被害者としても「お金さえ戻ってくれば良い」と考えている人が多いです。
お金は、物理的に返済することが可能であるため、詐欺事件においては被害弁済を行うことがとても大切です。
オレオレ詐欺で逮捕された場合によくある質問
オレオレ詐欺で逮捕された場合によくある質問を紹介します。
Q.詐欺とは知らずに申込をしてしまい、やめたいのですがやめられません。どうすれば良いですか?
A.まずは絶対に参加しないでください。そのうえで警察へ連絡をしてください。
いわゆる闇バイトとして募集をしていることが多く、一度応募をしてしまうと家族構成や身分証明書などの提示を求められます。万が一、これらの情報を相手に渡してしまうと、「断ったら何か危害を加えられるのではないか?」と不安になることでしょう。
しかし、まずは絶対に犯罪に加担をしないでください。オレオレ詐欺は初犯であっても実刑判決が下される可能性の高い犯罪です。今後の人生が大きく狂ってしまうため、絶対に加担しないでください。
仮に、あなたの情報を相手に伝えていたとしても、実際に危害を加えられたケースはありません。そのため、まずは警察へ相談をしたうえで今後の対応方法について相談してください。
もし、最初の段階で辞められずに一度でも詐欺に加担した場合、あなたが捕まるまでは使い捨てのコマとして使われ続けます。何度も繰り返していくうちにハードな仕事をさせられることになるため、初めの段階でキッパリと断りましょう。
Q.オレオレ詐欺で逮捕された場合、どのくらいの期間拘束されますか?
A.数年単位での身柄拘束は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
オレオレ詐欺で逮捕された場合、初めに逮捕〜勾留で最長23日間です。その後、初公判〜判決まで半年程度、その後懲役刑が確定することによって数年単位で刑務所で過ごすことになります。
何度もお伝えしている通り、詐欺は初犯であっても実刑判決が下される犯罪です。そのため、数年単位での拘束は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
Q.オレオレ詐欺であることを知らなかった場合、罪に問われませんか?
A.罪に問われません。
オレオレ詐欺であることを知らなかった場合は、詐欺の要件である「欺罔行為」が成立しないため、詐欺罪には問われません。
ただし、「詐欺であることを知らなかった」は、基本的に通用しないと思っておきましょう。なぜなら、詐欺にはさまざまな役割があるものの、どこかの時点で「詐欺かもしれない」と勘づくはずです。
たとえば「ATMからお金を引き出してきて欲しい」「このマニュアルに従って電話をかけて欲しい」「〇〇に物を取りに行ってほしい」などと言われた場合、「詐欺かもしれない」と感じるはずです。そのうえで詐欺行為を行った以上、故意が認められます。
よって、基本的には「知らなかった」は通用しない物であることを覚えておきましょう。
Q.初犯であれば執行猶予付きの判決が下されますか?
A.詐欺は、初犯であっても実刑判決となる可能性が高いです。
詐欺は、受け子や出し子といった末端の者で初犯であっても実刑判決が下される可能性の高い犯罪です。執行猶予がつくのは稀であり、たとえば被害弁済が行われている場合などです。
なお、執行猶予が付いたとしても前科は残るため、これからの生活に少なからず影響を与えるため注意してください。
Q.役割に応じて量刑判断は変わりますか?
A.役割に応じて量刑判断に影響を与える可能性は高いです。
たとえば、リクルーターや指示役、主犯格は多くの詐欺事件に関与していることが多いため、厳しい判決が下される可能性が高いです。
一方で、受け子や出し子といった末端の場合、「詐欺であることを理解していたものの、危害を加えられるのが怖くて辞められなかった」など、一部同情できる部分もあります。そういった場合は、主犯等と比較して軽めの量刑判断となる可能性は考えられます。
まとめ
今回は、オレオレ詐欺で逮捕された場合の流れや量刑について詳しく解説しました。
オレオレ詐欺は、刑法に定められている「詐欺罪」という犯罪が成立し、法定刑は「10年以下の懲役」です。初犯であっても実刑判決が下される可能性が高く、これからの長い人生を大きく狂わせてしまう原因となり得ます。
万が一、詐欺であることを知らずに応募してしまい、辞められない状況になっているのであれば、まずは警察へ相談されることを検討してください。何もしていなければ、捕まることはありません。
一度、詐欺を行ってしまうと、捕まるまで一生抜け出せなくなってしまいます。これからのことも考え、絶対に詐欺に加担することのないように注意してください。