海外で犯罪で犯して逃げた場合はどうなる?国外犯について詳しく解説

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海外で罪を犯して逃亡した場合、罪を犯した国・逃亡した国の関係性によって大きく異なります。各国で「法律」が定められているため、基本的にはその法律に従って処罰されることとなります。

この記事では、海外で犯罪を犯した場合はどうなるのか?について解説しているため、ぜひ参考にしてください。

海外で犯罪を犯した場合

海外で罪を犯した場合は、基本的にその国の法律で処罰されることとなります。過去には、マレーシアへ覚せい剤を密輸した日本人が現地の法律で裁かれ、死刑判決が確定したこともあります。

このように、たとえ日本国籍がある日本人であっても、海外で罪を犯した場合はその国の法律によって裁かれることとなります。ただし、犯罪やその国によっては「属人主義」という主義に従って、日本国内で刑事罰が科されることもあるため覚えておきましょう。

まずは、海外で犯罪を犯した場合はどうなるのか?について、詳しく解説します。

犯罪を犯した国の法律によって処罰される

海外で罪を犯した場合、基本的には、罪を犯したその国で処罰されることとなります。たとえば日本人がアメリカで殺人事件を起こしたとしましょう。この場合、アメリカで殺人罪に問われます。

もし、アメリカで有罪判決が下された場合は、アメリカにある刑務所で刑に服さなければいけません。アメリカを例に出すと、連邦政府や州によって景気は異なるため、一概には言えません。

一方で、たとえば日本国内で殺人事件を起こしてアメリカへ逃亡した場合、あるいはアメリカで殺人事件を起こして日本へ帰国した場合を想定します。この場合は、アメリカと日本の関係性によって異なります。

アメリカと日本は「犯人引き渡し条約」を結んでいるため、罪を犯した人はアメリカに身柄を引き渡され、アメリカで裁かれることとなるでしょう。

また、たとえばアメリカで日本人である妻を日本人の旦那が殺害したようなケースであっても、罪を犯した場所がアメリカであるためアメリカで処罰されます。

なお、このように海外で起こした罪は海外で処罰することを「属地主義」と言います。属地主義が適用されない国で犯された犯罪においては、日本で裁かれることとなるため注意しましょう。

犯罪次第では「属人主義」となる

犯罪の内容や罪を犯した国次第では、「属地主義」ではなく「属人主義」が適用されることとなります。属人主義とは、罪を犯した場所、今いる場所など関係なく、本国法を適用する主義のことを指します。

日本も基本的には属地主義ではあるものの、犯罪の内容次第で属人主義となります。基本は属地主義となりますが、主に以下のような犯罪を犯した場合は属人主義として裁かれることに注意しましょう。

  • 放火罪
  • 殺人罪
  • 傷害罪
  • 強盗罪
  • 窃盗罪
  • その他重い罪

属人主義、属地主義など小難しい言葉がたくさん出てきますが、「基本的にはその国の法律で裁かれる」という前提を覚えておきましょう。そのうえで「属人主義によって、日本国内の法律で裁かれる可能性もある」という点にも注意しましょう。

対応は犯罪を犯した国の法律によって異なる

原則は「属地主義」であるため、基本的には罪を犯した国で処罰されることとなります。しかし、対応は罪を犯した国と逃亡先の国によって大きく異なります。

たとえば、仮に日本と中国を例に見てみましょう。Aが中国で犯罪を犯した後に日本へ帰国したとします。しかし、日本と中国は「犯人引き渡し条約」を結んでいないため、日本国内へ帰国した人を中国へ引き渡す必要がありません。

この場合、犯した罪の内容によって属人主義が採用され、日本国内で裁かれる可能性があるということです。とはいえ、政治的な配慮等からあくまでも「任意」という形で引き渡すのが一般的です。

つまり、犯罪を犯した国と逃亡先の国の関係性によって、対応は大きく異なるということを覚えておきましょう。

海外で犯罪を犯して逃げた場合はどうなるのか

海外で犯罪を犯して逃げた場合、罪を犯した国と逃亡先の国の関係性によって異なります。たとえばA国で罪を犯し、B国へ逃亡した場合、AとBで犯人引き渡し条約を結んでいるかどうかが大きなポイントとなります。

もし、犯人引き渡し条約を結んでいる場合は、A国はB国に対して犯人の引き渡しを求めることができます。しかし、結んでいない場合は、強制的に犯人の引き渡しを要求することができません。

次に、海外で犯罪を犯して逃亡した場合はどうなるのか?について、詳しく解説します。

関係国同士で捜査協力を行う

罪を犯した国・逃亡先の国同士の関係性で異なります。たとえば、犯人引き渡し条約がなければ、逃亡先の国に対して資料を提出するなどして、逃亡先の国で処罰を求めることが可能です

他にも、犯人引き渡し条約がある場合は、条約に基づいて犯人の引き渡しを要求し、罪をおかした国で処罰することもあります。そのため、一概に「海外で罪をおかして逃亡した場合は〇〇です」と一概にいうことはできません。

犯罪人引渡条約に基づいて身柄の引渡し

罪を犯した国・逃亡した国同士で犯人引き渡し条約が結ばれている場合は、本条約に基づいて処罰されます。たとえば、日本とアメリカで見るとそれぞれ犯人引き渡し条約を結んでいるため、それぞれの国で犯人の引き渡しが可能です。

たとえば、日本人がアメリカで罪を犯して日本国内に帰国した場合、アメリカは属地主義であるため、基本的にはアメリカに引き渡したうえでアメリカで処罰されます。もしくは、代理処罰として日本国内で裁きを受けることとなります。

逃亡先国で退去強制処分に付された場合は、公海上の航空機で身柄を引き取る

基本的に、罪を犯した国・逃亡した国の条約によってどうなるかは変わります。たとえば、日本国内で罪を犯して海外へ逃亡をしていた場合、その国に対して日本は犯人の引き渡しを求めるでしょう。

しかし、韓国とアメリカを除いて犯人引き渡し条約を結んでいないため、強制力はありません。あくまでも「任意」という形で犯人の引き渡しを求めます。もし、逃亡先の国が犯人の引き渡しに応じた場合は、公海上の航空機内で身元を引き受けて逮捕するのが通常です。

令和の時代を例に見ると「ルフィ広域強盗事件」があります。本事件は、連続強盗事件であり、指示役とされる「ルフィ」はフィリピンの収容所に収容されていました。

その後、日本国内で多発した広域強盗事件の指示役として、逮捕されることとなりました。しかし、日本とフィリピンは「犯人引き渡し条約」を結んでいないため、日本が外交ルートを使用して積極的に関与し、強制送還させた背景があります。

その後、フィリピンのマニラ国際空港を離陸後「日本の公海上」に着いた時点で逮捕しています。このように、「逮捕」をするためには、日本の公海上であることが求められているのです。

全ては罪を犯した国・逃亡先の国で決定する

「海外で罪を犯してその他の国で逃亡するとどうなるのか?」に対する答えは、一概に言うことはできません。すべては、罪を犯した国、逃亡先の国の関係性で異なるためです。

日本国内へ逃亡した場合も日本国内で罪を犯した場合も、どの国で罪を犯したか、どの国へ逃亡したかによって異なります。ただ、基本的には「罪を犯した国で裁かれる可能性が高い」もしくは「代理処罰によって、逃亡先の国で処罰される」と思っておけば良いでしょう。

国外犯を犯した者が日本に帰国した場合

国外で罪を犯した者が日本に帰国した場合は、「属人主義」もしくは「属地主義」のいずれかによって処罰される可能性があります。次に、「国外犯を犯した者が日本に帰国した場合はどうなるのか?」について詳しく解説します。

「属人主義」によって処罰される可能性がある

日本国内では、さまざまな犯罪において「属人主義」を採用しています。属人主義とは、人のいる場所あるいは罪を犯した場所に問わず、自国民は自国で裁くという主義です。

たとえば、日本国民が海外で罪を犯したとしても日本の法律によって裁こうとするのが「属人主義」です。日本国内においては、犯罪の内容によって属人主義を採用しているため、属人主義として裁かれる可能性があるため注意しましょう。

「属地主義」によって処罰される可能性がある

属地主義とは、その国で犯した罪は、その国で裁くという主義を指します。ほとんどの国と地域で属人主義を採用しているため、基本的にはその国と地域で処罰されることとなります。

とはいえ、犯人引き渡し条約を結んでいない国同士である場合、日本を含む海外へ逃亡をされた場合は裁くことができません。この場合は、代理処罰等を求めて処分することとなるでしょう。

つまり、海外で罪を犯して日本へ逃亡した場合は、属人主義・属地主義のいずれの可能性もあるということを覚えておきましょう。

日本はアメリカと韓国としか引き渡し条約を結んでいない

日本はアメリカおよび韓国としか犯人引き渡し条約を結んでいません。そのため、アメリカもしくは韓国以外で罪を犯した者が日本国内へ帰国した場合、その国へ犯人を引き渡す「義務」はないのです。

とは言え、政治的観点等を考慮したうえで犯人が引き渡される可能性もあります。もし、引き渡されなかったとしても、日本国内で罪に問われる可能性があるため注意しましょう。

海外で犯罪を犯して逃げた場合によくある質問

海外で犯罪を犯して逃亡した場合によくある質問を紹介します。

Q.日本で罪を犯して海外へ逃亡した場合はどうなりますか?

A.どの国に逃亡したかによって対応は分かれます。

アメリカおよび韓国であれば、犯人引き渡し条約に基づいて犯人の引き渡しを求めます。それ以外の国であっても、犯人の引き渡しを求めることでしょう。しかし、求めたところで「義務」ではなく「任意」であるため、必ずしも引き渡してもらえるとは限りません。

上記の場合は、代理処罰を求めることになるでしょう。そうすることもできなければ、基本的には、何をすることもできません。

Q.海外の永住権を有している者がその国で犯罪を犯すとどうなりますか?

A.永住権の有無に関わらず、その国の法律に従って処分されます。

海外の永住権を有しているかどうかに関わらず、海外で罪を犯した場合は基本的にその国の法律で処罰されることになります。これを「属地主義」と言います。

Q.詐欺グループが海外を拠点に詐欺を行っていた場合、どの国の法律で処罰されますか?

A.基本的には「どの国で犯罪を行っていたか」によって異なります。

たとえば、海外に拠点を置いて日本国内で詐欺を行っていた場合は、基本的に日本国内で処罰されることとなります。詐欺のようにその場にいなくても行える犯罪もあるため、そういった場合の対応は国によっても対応が異なる場合があるため注意しましょう。

Q.密輸事件を起こした場合は、どの国で処罰されますか?

A.密輸が発見された場所で処罰されることとなります。

たとえば、日本から中国に覚せい剤の密輸を企み、実際に行ったとしましょう。日本国内(領土内)で発見された場合は、日本国内の法律で処罰されます。しかし、中国領土で発見された場合は、中国の法律によって処罰されます。

密輸は、その国によって極刑もあり得るためくれぐれも注意してください。

Q.日本の「領土」とは具体的にどこまでの範囲を指しますか?

A.日本の主権が及ぶ陸地と、陸地に囲まれた湖や川などの範囲です。

細かく「〇〇まで」と説明することは難しいですが、日本の領土は排他的経済水域とされています。

まとめ

今回は、海外で罪を犯して逃亡した場合はどうなるのか?について解説しました。海外で罪を犯して逃亡をした場合は、罪を犯した国・逃亡先の国によって対応は大きく異なります。

一概に「〇〇です」ということは言えません。基本的には、その国や地域の法律によって処罰されると考えておけば良いでしょう。日本の法律は、基本的に適用されず、思わぬ重罪に問われる恐れもあるためくれぐれも注意してください。

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