不法投棄で逮捕されたらどうなる?問われる罪・リスクについて詳しく解説

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不法投棄は、指定された場所以外へのゴミ捨て行為であり、違反した場合はさまざまな罪に問われる可能性があります。この記事では、不法投棄の定義や成立する罪について詳しく解説しています。

不法投棄について詳しく知りたい方は、本記事をぜひ参考にしてください。

不法投棄となる行為

不法投棄で罪に問われる可能性のある人は、主に産廃業者であると考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、一般の人でも以下のような行為をした場合は、不法投棄で罪に問われる可能性があるため注意しなければいけません。

  • タバコのポイ捨て
  • 指定場所以外へのゴミ捨て
  • ペットの死体を遺棄

まずは、不法行為となる主な行為について詳しく解説します。

タバコのポイ捨て

タバコのポイ捨て行為は不法投棄になる可能性があります。

そもそも、不法投棄とは定められた場所以外にゴミを捨てる行為を指します。行為者は限定されておらず、すべての人が対象となる犯罪行為です。タバコの吸い殻はいわゆる「ゴミ」であり、指定場所以外に捨てる行為は当然、不法投棄になります。

また、火の付いたタバコのポイ捨ては、火災などの重大な事件・事故を誘発しかねません。万が一、火の付いたタバコのポイ捨てが原因で火災を発生させてしまった場合は、不法投棄による罪以外の罪に問われる可能性があります。

タバコかどうかに関わらず、ゴミのポイ捨てはすべて不法投棄に該当するため絶対に行わないようにしましょう。

指定場所以外へのゴミ捨て

指定場所以外へのゴミ捨ても、当然に不法投棄となるため注意しなければいけません。たとえば、不要になった物を山中や海に捨てる行為は、すべて不法投棄となります。当然、罪に問われる可能性があるため注意しなければいけません。

車からレジ袋を捨てる行為やルールを無視してコンビニのゴミ箱へ家庭ゴミを捨てるような行為も、不法投棄になり得ます。

指定された場所へゴミを捨てるのは当然です。しかし、コンビニ側のルールを守らずに家庭ゴミを捨てるような行為も不法投棄になるため注意しなければいけません。「このくらい大丈夫だろう」と思っている行為であっても、不法投棄となる恐れがあるため注意してください。

ペットの死体を遺棄

亡くなったペットを公園や、自宅の庭に埋めてあげた経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、これらの行為も不法投棄となる可能性があるため注意しなければいけません。

ペットを飼っていた人からすると、「ペットも家族」と考えるでしょう。しかし、法律では「死亡したペット=ゴミ」として扱われてしまいます。とても残念ではあるものの、これが現実です。

そのため、善かれと思って埋葬した場合であっても、不法行為に該当する可能性があるため注意しなければいけません。

たとえば、小動物や昆虫、魚等の場合は一般廃棄物として燃えるゴミとして処理するのが適切です。犬や猫などの場合は、ペット霊園に火葬を依頼する方法があります。

基本的に、自宅の庭であれば埋葬しても問題ありませんが、異臭等が原因で近隣トラブルとなる可能性もあるため注意しなければいけません。

不法投棄の定義

そもそも、不法投棄はどのような条件のもとで成立するのか?と疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。不法投棄の定義は、以下のとおりです。

  • 定められた場所以外であること
  • ゴミを捨てる行為
  • 行為者に限定はない

次に、不法投棄の定義について詳しく解説します。

定められた場所以外であること

不法投棄の定義のひとつ目は、定められた場所以外であることです。たとえば、指定曜日に指定ゴミを捨てた場合は、当然に不法投棄とはなりません。

しかし、不要となったゴミを山中や海などに捨てる行為は不法投棄となる可能性があるため注意しなければいけません。ゴミと呼ばれるものはすべて、それぞれ捨てる場所が定められています。

一般の人であれば、ゴミステーション、家具・家電であれば家電回収協力店に依頼をする方法があります。粗大ゴミであれば、粗大ゴミ受付センターに回収を申し込み、捨てれば良いです。

いずれにせよ、すべてのゴミの捨て場所が定められています。そのため、「捨てる場所に困る」ということは起こりません。しかし、いずれのゴミを捨てる場合であっても、お金がかかってしまいます。

捨てる物や捨てる量によっては、一般の方でも数万円〜数十万円程度の費用が発生します。ゴミを捨てるだけであっても高額な出費が発生するため、「節約したい」と考える人がいるかもしれません。

結果的に、費用をかけずにゴミを捨てる場所を探し、指定場所以外にゴミを捨てようと考える人がいるのです。指定場所であれば、どのようなゴミであっても罪に問われることはありません。

ゴミを捨てる行為

不法投棄は、不法に「投棄」する行為です。投棄とは、捨てる行為を指します。つまり、指定場所以外にゴミを捨てる行為で初めて不法投棄が成立するのです。

たとえば、「指定日を誤ってゴミを捨ててしまった」というような場合は、不法投棄にはなりません。なぜなら故意がないためです。明らかに故意(そのことをしようとする意思)がなければ、仮にゴミを捨てたとしても不法投棄にはなりません。

とはいえ、たとえば「山中にゴミを捨てた」という行為である場合、明らかな故意が窺えます。そのため、当然不法投棄として罪に問われる可能性が高まるのです。

行為者に限定はない

不法投棄は、産廃業者に限定されていると考えている人も多いのではないでしょうか。たとえば、産廃運搬車がゴミを捨てるための費用を浮かせるために、山中へ捨てる行為や埋める行為のことを想像している人も多いのではないでしょうか。

しかし、不法投棄と呼ばれる行為の行為者に限定はありません。つまり、一般の人であっても不法投棄による罪に問われる可能性があるということです。「一般人だから何をしても良い」などと思っている方は、注意しておいたほうが良いでしょう。

不法投棄で成立する罪

不法投棄によって成立する犯罪はさまざまです。主に、以下のような犯罪が成立し得ます。

  • 廃棄物処理法違反
  • 道路交通法違反
  • 軽犯罪法違反
  • 住居侵入罪
  • 建造物侵入罪

次に、不法投棄によって成立する可能性のある犯罪について詳しく解説します。

廃棄物処理法違反

廃棄物処理法とは、環境保護や公衆衛生を目的とした法律です。一般的には、産業廃棄物運搬や産業廃棄物の処理を生業にしている人を対象とした法律で、たとえば無許可で産廃を運んだり、産業廃棄物を不適切な方法で処理した場合に成立する犯罪です。

たとえば、解体業者から委託を受けた産廃運搬業者が産廃を不法投棄した場合には、産廃物処理法違反に問われます。一般の人でも、たとえば山中にゴミを捨てたような場合は、本罪に該当する可能性があるため注意しなければいけません。

なお、産廃物処理法違反に問われた場合は、「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」に処されます。非常に厳しい罰則規定がある犯罪であるため、くれぐれも注意しましょう。

道路交通法違反

不法投棄は、道路交通法違反によって処罰される可能性もあります。たとえば、自動車を運転している際に社内からゴミを捨てる行為は、道路交通法違反となるため注意しなければいけません。罰則規定としては、「5万円以下の罰金」です。

軽犯罪法違反

不法投棄は、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。軽犯罪法では、「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」についての罰則規定が定められています。

そのため、不法投棄に該当する行為を行った者は、軽犯罪法違反として処罰される可能性があるのです。軽犯罪法違反に問われた場合は、「拘留または科料」の罰則規定があります。

なお、「拘留」とは1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容させる刑事罰です。科料は、1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。いずれも懲役刑や罰金刑と同じですが、日数や金額によって刑事罰の名称が変わります。

住居侵入罪・建造物侵入罪

不法投棄をする目的で他人の住居や建造物等に侵入した場合は、住居侵入罪や建造物侵入罪に問われる可能性があります。たとえば、他人の所有物である山林にゴミを捨てる目的で侵入した場合は、住居侵入罪もしくは建造物侵入罪が成立し得ます。

通常、牽連犯が成立するため、住居侵入罪や建造物侵入罪は成立しません。ただし、ゴミを捨てる前に発覚・逮捕されたような場合は、いずれかの罪に問われることとなります。

【牽連犯とは】
牽連犯とは、目的の犯罪を犯すために他の罪を犯した場合のことを指します。今回の例で言うと「ゴミを捨てる」という犯罪を目的を達成するために他人の敷地に侵入しているため、通常は住居侵入罪・建造物侵入罪は成立しません。

なお、住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

不法投棄で逮捕された場合のリスク

不法投棄で逮捕された場合は、「逮捕」というリスクのみならず、以下のようなリスクも発生するため注意しなければいけません。

  • 社会的なリスク
  • 長期拘留リスク
  • 経済的なリスク
  • 産業廃棄物処理業許可の取消しリスク

次に、不法投棄で逮捕されてしまった場合のリスクについて詳しく解説します。

社会的なリスク

初めに社会的なリスクが発生し得るでしょう。たとえば、不法投棄で逮捕された場合は懲戒解雇されたり、学生であれば退学処分を受けたりする可能性があります。

具体的な例をあげると、産業廃棄物運搬を行っている委託業者が元請け業者からお金を受け取っていたにもかかわらず、不法投棄を行っていたとします。この場合、当然元請け業者からの契約は打ち切られるでしょう。

学生であっても逮捕されることにより長期勾留の可能性があり、結果的に退学処分となる可能性があるため注意しなければいけません。

長期勾留のリスク

詳しくは後述しますが、逮捕された場合は長期勾留の可能性があります。勾留というのは身柄拘束を行うための手続きのことを指します。

逮捕された場合は、初めに48時間、その後は24時間、その後20日間の合計23日間にわたる身柄拘束の可能性があるのです。その後、起訴された場合はさらに長期間にわたる身柄拘束の可能性があるため注意しなければいけません。

勾留されている間は、当然自宅や学校、会社へいくことはできません。このことによる社会的なリスクが発生するのです。

経済的なリスク

最終的に罰金の有罪判決が言い渡された場合は、金銭を支払わなければいけません。もし、罰金を支払えなければ1日5,000円程度で労役場留置となり、さらなる長期身柄拘束となるため注意しなければいけません。

多くの人は、社会に出て働いているほうが1日5,000円以上の給与を得ることができるでしょう。仮に、罰金を支払えるだけの経済力があったとしても、いらない出費が発生することとなります。

とくに、廃棄物処理法違反に問われた場合は、最大で1,000万円以下の罰金に処されるため注意しなければいけません。

産業廃棄物処理業許可の取消しリスク

産業廃棄物を処理する業者は、産業廃棄物処理業許可を得ていなければいけません。しかし、不法投棄を行うことによって欠格事由となり、産業廃棄物処理業許可の取消し処分を受ける可能性があるのです。

刑罰を受けるだけではなく、今後、再スタートしようとしても許可取り消しによって参拝処理業者として活動できなくなってしまいます。不法投棄は、さまざまなリスクがあることを覚えておきましょう。

不法投棄で逮捕された場合の流れ

不法投棄は当然に逮捕される可能性のある犯罪です。不法投棄を行ったからといって、必ずしも逮捕されるとは限らないものの、その可能性を考慮して行動する必要があります。

次に、不法投棄で逮捕された場合は、どのような流れで事件が進んでいくのか?について詳しく解説します。

逮捕

不法投棄を行った場合、逮捕される可能性があります。逮捕とは、罪を犯した疑いがある人の身柄を拘束し、取り調べを行うための手続きです。逮捕された場合は、否が応でも身柄の拘束を受けます。

そして、あなたの犯した罪についてさまざまな取り調べを受ける流れです。ただし、罪を犯したからと言って、必ずしもすべての人が逮捕されるわけではありません。逮捕するためには、罪を犯したと疑うに足りる十分な証拠があることを前提に、証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがあることなどが条件です。

もし、逮捕されなかった場合は在宅捜査として捜査が行われます。在宅捜査となった場合は、逮捕による身柄拘束はありません。ただし、任意での聴取に応じなかった場合は、逮捕される可能性もあるため注意しましょう。

基本的にはすべての事件において検察官へ送致をしなければいけません。これを「全件送致の原則」と言います。ただし、警察内で事件を終わらせる微罪処分というものが認められています。不法投棄の行為が比較的軽微であるような場合は、微罪処分となる可能性があります。

勾留請求

逮捕されている被疑者は、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致します。その後、24時間以内に検察官は、引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があるかどうかについて判断します。

もし、勾留の必要がないと判断された場合は、そのまま在宅捜査に切り替わります。しかし、逮捕時同様の要件を満たしている場合は、勾留請求を行う流れです。

勾留請求が認められた場合は、初めに10日間の勾留が可能となります。一般的には勾留延長が認められるため、さらに10日間、合計20日間の勾留となる可能性があるため注意しなければいけません。

起訴・不起訴の判断

勾留されている被疑者は、勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。たとえ、罪を犯した事実があったとしても不起訴処分となる可能性があります。不起訴処分となった場合は、その事件について改めて罪に問われることはありません。

起訴された場合は、略式起訴もしくは正式起訴のいずれかが選択されます。略式起訴は、100万円以下の罰金に対してのみ行える起訴方法であり、刑事裁判を行わずに、略式命令が下されて刑罰が確定します。

正式起訴された場合は、通常通り刑事裁判を受けて最終的に判決が言い渡される流れです。

刑事裁判を受ける

正式起訴された場合は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では、あなたの犯した罪を審理した上で有罪か無罪かを判断し、有罪である場合はどの程度の刑罰に処するのが妥当かを判断し、判決として言い渡します。

起訴されているうえに罪を犯した事実がある以上、無罪となる可能性はゼロに近いです。そのため、いかに量刑を軽くするかという点で争っていくことになるでしょう。

判決に従って刑に服する

最終的に判決が確定した場合は、その判決に従って刑に服します。懲役刑であれば、一定期間刑務所に収監されて過ごします。禁錮刑であれば拘置所の中で一定期間過ごさなければいけません。

罰金刑であれば、罰金を支払って終了しますが、罰金を支払えなければ労役場留置となり、1日5,000円程度で労役しなければいけません。

不法投棄による逮捕のに関するよくある質問

不法投棄による逮捕に関するよくある質問を紹介します。

Q.指定日以外にゴミを捨てると不法投棄になり得ますか?

A.不法投棄になる恐れがあります。

指定日はルールであるため、ルールを守らずにゴミ捨てを行った場合は不法投棄になる可能性があります。ルールは各自治体によって定められているため、基本的にはそのルールに従ってゴミ捨てをしなければいけません。

とはいえ、相当悪質なケースではない限り、直ちに罪に問われる可能性は低いでしょう。周囲の人や行政からの指導に従わずにゴミを捨て続けた場合は、罪に問われる可能性が高まります。

Q.同伴者も逮捕されますか?

A.罪に問われる可能性があります。

不法投棄を行おうとしていることを知っていながら、同伴していた場合は罪に問われる可能性があります。悪意がなければ、基本的には罪に問われることはありません。

ただし、同伴者が「知らなかった」と言っても、明らかに不法投棄であることがわかるような場合は、罪に問われる可能性があります。たとえば、明らかにゴミ捨て場とは別の場所に捨てているところを見たようなケースです。

同伴者であっても不法投棄であることを知っていながら協力した場合は、罪に問われるため注意しましょう。

Q.不法投棄で罪に問われた場合は、どの程度の刑罰が科されますか?

A.状況に応じてさまざまな罪が成立すると考えられます。

不法投棄を行った場合は、以下のような犯罪が成立する可能性があります。

  • 廃棄物処理法違反
  • 道路交通法違反
  • 軽犯罪法違反
  • 住居侵入罪
  • 建造物侵入罪

状況や場所によって成立する犯罪は異なります。いずれの場合であっても、不法投棄が罪に問われることに変わりはないため絶対に行わないようにしましょう。

Q.コンビニで家庭ごみを捨てた場合、不法投棄になりますか?

A.不法投棄になる可能性があります。

コンビニでゴミを捨てられるのは、コンビニ側が提供しているサービスの一つです。多くのコンビニでは「家庭ゴミを捨てないでください」と言った注意書きが書かれています。このルールを無視して家庭ゴミを捨てた場合は、罪に問われる可能性があるため注意しなければいけません。

Q.道路へのお供物は不法投棄になりますか?

A.不法投棄になる可能性はありますが、直ちに罪に問われるケースは少ないでしょう。

事故現場等に花や飲食物等をお供えしている現場を見た経験がある人も多いでしょう。もちろん、このような行為も不法投棄になり得ます。

とはいえ、人が善意で行った行為であり、悪意を持って行った行為ではないことを考慮したうえで、直ちに罪になるとは限りません。ただし、供える際は通行の邪魔にならないように配慮する必要があるでしょう。

まとめ

今回は、不法投棄について解説しました。

不法投棄は、定められた場所以外へゴミを捨てる行為を指します。さまざまな法律で罰せられる可能性があるため注意しなければいけません。

「これくらい」と思うような行為であっても、実際には罪に問われてしまう可能性もあります。廃棄物処理法違反に問われた場合は、相当重い罪を科される可能性があるためくれぐれも注意しましょう。

不法投棄はかならずバレます。「バレなければ大丈夫」といった意識を持つのはやめましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

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