「ドローンで露天風呂を空撮していたら、盗撮の容疑をかけられて警察から出頭するように連絡がきた」
「ドローンで盗撮行為をしていたことが発覚して息子が逮捕されてしまった。今後の刑事手続きの流れを知りたい」
ドローン(無人航空機)が民間に普及するようになって以降、ドローンを使った盗撮事件が急増しています。電車やバス、駅構内などの公共スペースで被害者に接近して盗撮行為に及ぶ事案と同じように、ドローンによる盗撮行為も性犯罪であることに変わりはありません。
そのため、ドローンを悪用して盗撮行為をおこなった場合には、性的姿態等撮影罪などの罪状で逮捕・勾留されたり、有罪になって実刑判決が下されたりする可能性があります。
そこで、この記事では、過去にドローンで盗撮行為に及んだことがある人や、家族がドローンで盗撮事件を起こしたせいで逮捕された人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- ドローンで盗撮行為に及んだときに適用される犯罪類型と法定刑
- ドローンでの盗撮行為がバレたときの刑事手続きの流れ
- ドローンによる盗撮行為が原因で逮捕されたときに生じるデメリット
- ドローンで盗撮行為に及んだときに弁護士に相談・依頼するメリット
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目次
ドローンで盗撮をしたときに問われる犯罪類型
ドローンに搭載したカメラなどを使って盗撮行為に及んだときに問われる可能性がある犯罪類型について解説します。
性的姿態等撮影罪
2023年(令和5年)7月13日、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(通称「性的姿態撮影等処罰法」)」が施行されました。これによって、2023年(令和5年)7月13日以降の盗撮行為に対しては、全国一律で本法律に規定されている性的姿態等撮影罪が適用されることになります。
性的姿態撮影等罪に該当する行為類型は4種類に分類されますが、ここでは、ドローンによる盗撮行為に対して適用される可能性がある2類型について特に解説します。
第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
第1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
第2号 省略
第3号 省略
第4号 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
たとえば、露天風呂や人の居宅内の様子をドローンを使って盗撮した場合、性的姿態等撮影罪が成立します。
性的姿態等撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」です。また、性的姿態等撮影罪は未遂犯も処罰対象とされます。
ドローンで盗撮したデータの利用方法等次第では他の罪状でも逮捕される可能性がある
性的姿態撮影等処罰法では、盗撮行為・撮影行為だけではなく、以下のような行為態様も処罰対象として規定しています。
犯罪類型 | 内容 | 法定刑 |
---|---|---|
性的影像記録提供等罪 | 盗撮カメラなどで取得した画像や動画などの性的影像記録を第三者に提供した場合に成立する。 | ・特定かつ少数の者に対して提供した場合:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑 ・不特定または多数の者に提供した場合、公然と陳列した場合:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金刑(併科あり) |
性的影像記録保管罪 | 盗撮カメラなどで撮影した画像や動画などの性的影像記録を第三者に提供する目的で保管した場合に成立する。 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金刑 |
性的姿態等影像送信罪 | 盗撮カメラなどで得られた画像や動画をライブストリーミングなどの技術によって不特定または多数の者に映像送信した場合に成立する。 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金刑(併科あり) |
性的姿態等影像記録罪 | 性的姿態等映像送信罪に該当する行為によって映像送信された画像や動画を記録した場合に成立する。 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑 |
ドローンを使って盗撮行為に及び、そのデータを悪用してしまった場合には、再逮捕・再勾留が繰り返されるリスクがあるので注意が必要です。
迷惑防止条例違反
ドローンを使って盗撮行為に及んだ場合、各自治体が規定する迷惑防止条例違反を理由に逮捕される可能性があります。
迷惑防止条例の内容や法定刑は自治体によって異なりますが、ドローンを使って以下のような行為に及んだ場合には、刑事訴追されるリスクがあると理解しておきましょう。
- 住宅地や私有地の上空からドローンを使って室内やベランダのなかなどを覗き見る行為
- 特定の人物をドローンで追跡して撮影、監視する行為、ターゲットの人物の周辺を徘徊する行為
- ドローンを使って無許可で水着姿や下着姿の人物を撮影する行為
- ドローンを使って無許可で撮影したプライバシー性が高い画像や動画をインターネット上に公開する行為
- ドローンでの付きまといなどによって、対象者に監視されていると感じさせること
- ドローンのGPS機能や通信機能を使って、対象者の位置情報を無断で記録すること など
なお、迷惑防止条例に規定されている内容・法定刑は各都道府県によって差異があります。ドローンによる盗撮行為などに及んだ地域の迷惑防止条例が適用されるので、詳しくは弁護士までお問い合わせください。
【注意!】ドローンを飛行させるにはさまざまなルールを遵守しなければいけない
体育館や公民館、自宅内など、完全に閉鎖された空間内であれば、許可不要でドローンを飛行させることができます(ただし、自分の私有地ではなく、第三者の私有地における飛行については、その第三者の許可が必要です)。
これに対して、ドローンの飛行については航空法や道路交通法などでさまざまな規制が設けられており、国土交通省や警察署の許可を得なければ、ドローンの飛行自体が違法と扱われます。ですから、各種法規制に抵触する飛行態様で盗撮行為に及んだ場合には、性的姿態等撮影罪以外にも、航空法違反などの容疑で逮捕されるリスクが生じると考えられます。
ドローンを飛行させるにあたって遵守しなければいけない事項として以下のものが挙げられます。
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内を常時監視しながら飛行させること
- 人や物件との間に30メートル以上の距離を確保して飛行させること
- 多数の者の集合する催し場所の上空以外で飛行させること
- 薬類、高圧ガス、引火性液体などの危険物を輸送するために飛行させてはいけない
- 飛行中に物を投下してはいけない
- 150メートル以上の上空や人口集中地区で飛行させてはいけない
- 国の重要な施設の周辺を飛行させてはいけない など
なお、ドローンの飛行に関する詳細なルールや許可申請の方法については、「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール|国土交通省HP」を参考にしてください。
ドローンでの盗撮行為がバレて逮捕されたときの刑事手続きの流れ
ドローンでの盗撮行為がバレて逮捕されたときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 警察に通常逮捕される
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が起訴・不起訴を判断する
- 刑事裁判にかけられる
警察に逮捕される
ドローンによる盗撮行為がバレると警察に逮捕される可能性があります。
ドローンで盗撮行為に及んだ事案では、警察官によって通常逮捕されるのが一般的です。裁判所が発付する逮捕状に基づいて、被疑者の身柄が強制的に警察に取り押さえられます。
通常逮捕の場合、平日の早朝など、対象者が自宅にいる可能性が高いタイミングを見計らっていきなり警察が自宅にやってきて、逮捕状が執行されることが多いです。逮捕状が執行されるとその場で身体・行動の自由が制約されるので、警察署への連行を拒絶することはできません。また、逃亡や証拠隠滅を防止する観点から逮捕時点でスマートフォンなどの所持品がすべて取り上げられるので、会社などに電話連絡をすることも不可能です。
警察段階の取り調べが実施される
性的姿態等撮影罪などの容疑で逮捕されると、まずは警察段階の取り調べが実施されます。
警察段階の取り調べには「48時間以内」という制限時間が設けられています。48時間以内の範囲内で警察官が取り調べやその他捜査活動を展開し、事件・身柄・証拠を検察官に送致します。
逮捕後に実施される警察段階の取り調べは強制処分としておこなわれるものなので、被疑者は取り調べ自体を拒絶することはできません(取り調べ中にどのような供述姿勢でいるかは自由です)。また、取り調べ以外の時間は留置場に身柄を押さえられるため、帰宅したり外出したりすることも不可能です。さらに、スマートフォンなどの所持品を手元に置くことも許されず、家族や会社に電話などで連絡することもできません。たとえば、独身の社会人がある日いきなり逮捕されて警察署に身柄を押さえられてしまうと、会社にも連絡できず、無断欠勤が継続するということになりかねないでしょう。
検察段階の取り調べが実施される
ドローンでの盗撮行為について警察段階の取り調べが終了すると、被疑者の身柄が送検されて、検察段階の取り調べが実施されます。
検察段階の取り調べの制限時間は「原則24時間以内」です。検察官は、「警察段階の48時間以内と検察段階の24時間以内、合計72時間以内」に得られた証拠などを前提として、事件を公訴提起するか否かを判断します。
ただし、ドローンを悪用した盗撮事件のなかには、相当な人数の被害者が存在しており参考人聴取に時間を要するケースや、盗撮した画像・動画をインターネット上にアップロードしたり販売したりしてその経路をトレースするのに入念な操作活動が必要になるケースなどが存在します。このような事件類型についても「72時間以内」という制限時間を遵守させると、公訴提起するべきか否かを判断する材料が不足し、検察官が適切に事件処理できないリスクが生じます。
そこで、捜査活動上のやむを得ない理由がある場合には、検察官による勾留請求が認められており、裁判所が勾留状を発付した場合には、原則10日間以内の範囲内で被疑者の身柄拘束期間が延長されます(事件の状況次第では、さらに10日間、合計20日間の勾留が認められます)。
以上を踏まえると、ドローンによる盗撮事件を起こした場合には、検察官が公訴提起するかどうかを判断するまでに、警察段階の48時間、検察段階の24時間(勾留請求された場合には最長20日間延長)、合計23日間の身柄拘束期間が生じる可能性があるといえるでしょう。仮に不起訴処分の獲得に成功したとしても、これだけの身柄拘束期間が発生すると、それだけで被疑者の社会生活には一定の支障が生じかねないので、被疑者側としては勾留措置などの身柄拘束期間短縮化を目指した防御活動が重要になると考えられます。
検察官が起訴するかどうかを判断する
逮捕・勾留の期限が到来する前に、検察官がドローンによる盗撮事件を公訴提起するかどうか(起訴するか不起訴にするか)を決定します。
起訴処分とは、事件を刑事裁判にかける旨の判断のことです。これに対して、不起訴処分とは、事件を刑事裁判にかけずに検察官限りで手続きを終了させる旨の判断を意味します。
起訴処分が下されると、事件は刑事裁判にかけられます。日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、刑事裁判にかけられた時点で事実上有罪になることが確定し、前科がついてしまいます。これに対して、不起訴処分が下された場合には刑事裁判が開かれずに刑事手続きが終了するので、有罪になることもありませんし、前科もつきません(ただし、前歴は残ります)。
つまり、刑事責任の重さや今後の社会復帰の可能性を考えると、不起訴処分を獲得できるかが防御活動を進めるうえでの大きなポイントになるということです。事件の個別事情次第ですが、不起訴処分を獲得するには、取り調べでの供述内容や被疑者の更生をサポートする環境の整備、被害者との示談交渉などを早期に進める必要があるので、できるだけ早いタイミングで刑事事件に強い弁護士に依頼をしてください。
刑事裁判にかけられる
検察官が起訴処分を下すと、ドローンを使った盗撮事件が公開の刑事裁判にかけられます。
公開の刑事裁判が開廷される時期は、起訴処分が下されてから1ヵ月〜2ヵ月後が目安です。公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審しますが、公訴事実を争う否認事件では複数回の公判期日を経て証拠調べ手続きや弁論手続きがおこなわれます。
そして、刑事裁判に提出された証拠などを総合的に考慮して、最終的に裁判官が判決を下します。実刑判決が下された場合にはそのまま刑務所に服役しなければいけません。
冤罪事件をのぞいて、刑事裁判にかけられた段階で盗撮事件に関する相当の証拠を検察官が用意しているため、刑事裁判で無罪判決を獲得するのは事実上不可能です。もっとも、実刑判決が下されると服役中は社会生活から完全に隔離されてしまうので、出所後の社会復帰が困難になってしまいます。
ですから、ドローンによる盗撮行為が原因で刑事裁判にかけられる事態においこまれた場合には、罰金刑や執行猶予付き判決獲得を目指した防御活動を展開するべきでしょう。
ドローンの盗撮行為がバレたときに生じるデメリット4つ
ドローンを使った盗撮行為が発覚したときのデメリットは以下のとおりです。
- 一定期間強制的に身柄拘束される
- 実名報道されるリスクに晒される
- 起訴されて有罪になると前科がつく
- 加害者本人だけではなく家族にも迷惑がかかりかねない
逮捕・勾留によって一定期間身柄拘束されかねない
ドローンによる盗撮行為が警察に発覚すると、逮捕・勾留という強制処分によって一定期間身柄拘束される可能性があります。
被疑者が強制される身柄拘束期間は以下のとおりです。
- 警察の取り調べ段階:48時間以内
- 検察の取り調べ段階:24時間以内
- 検察官が勾留請求した場合:最長20日間
逮捕・勾留期間中は、被疑者本人が直接外部と連絡を取り合うことができません。たとえば、性的姿態等撮影罪を理由に逮捕・勾留されると、検察官が公訴提起判断をするまでに数週間の無断欠勤期間が生じる可能性があり、それだけで会社を普通解雇されるリスクに晒されます。
以上を踏まえると、刑事手続きでは、不起訴処分や執行猶予付き判決などの軽い刑事処分を獲得することも重要ですが、身柄拘束期間の回避・短縮化を目指すべきターゲットであるといえるでしょう。
実名報道されると日常生活にさまざまなデメリットが生じる
刑事事件を起こすと、テレビの報道番組やインターネットニュースで実名報道される危険性があります。
どの事件をどのタイミングで実名報道するかを決定するのは報道機関です。そして、実名報道の基準は公表されていないので、被疑者側からすると、いつ自分の事件が実名報道の対象になるかはわかりません。
一般的な傾向として、実名報道の対象になるのは以下のような事件類型・タイミングです。
- 社会的関心の高いテーマに関する事件(近年法改正されたジャンル、性犯罪、特殊詐欺事件など)
- 悪質な事件、被害が甚大な事件(殺人、被害額が相当高額な横領事件など)
- 有名人や社会的な地位の高い人物による刑事事件
- 逮捕されたとき
たとえば、性的姿態等撮影罪は近年新設された犯罪類型ですし、ドローンの利用方法をめぐるトラブルなどは社会的関心が高いトピックです。そのため、ドローンで盗撮行為に及んで逮捕された場合には、比較的実名報道されるリスクが高いといえるでしょう。
そして、一度でも実名報道されると、半永久的にインターネット上に事件に関する情報が残りつづけます。たとえば、知人や会社の人に氏名をWeb検索されるだけで事件のことを知られてしまいます、また、今後の就職活動・転職活動だけではなく、結婚などにも悪影響が生じかねないでしょう。
前科がつくと社会復帰が難しくなる
性的姿態等撮影罪などの容疑で逮捕・起訴されて有罪になると、判決で示された刑罰が下されるだけではなく、前科によるデメリットも強いられる点に注意が必要です。
前科とは、有罪判決を受けた経歴のことです。懲役刑・禁錮刑・拘禁刑のような実刑判決だけではなく、罰金刑や執行猶予付き判決が下された場合も前科と扱われます。
前科者になったときのデメリットは以下のとおりです。
- 履歴書の賞罰欄に前科情報を記載しなければいけないので、就職活動や転職活動が不利になる
- 前科を隠して企業に入社しても、前科が発覚すると経歴詐称を理由に懲戒解雇される可能性が高い
- 前科を理由に就業が制限される職業・資格に従事できない
- 前科は法定離婚事由に該当するため、配偶者から離婚を求められると拒否できない(慰謝料、親権、面会交流権などの諸条件も不利になる可能性が高い)
- 前科を理由にビザ・パスポートの発給制限の対象になると、海外旅行・海外出張などに支障が生じる
このように、前科がつくと、それだけで今後の社会生活にさまざまな制限が加わります。前科のデメリットを避けてスムーズな社会復帰を希望するなら、「前科がつかないようにする=有罪にならない=不起訴処分を獲得すること」が何より重要だといえるでしょう。
家族に迷惑がかかる可能性がある
ドローンによる盗撮行為が原因で警察に逮捕された場合、さまざまなデメリットを強いられるのは、被疑者本人だけではありません。状況次第ですが、被疑者の家族にも事実上の不利益が生じることがあります。
たとえば、被疑者が逮捕されたことが子どもが通う学校で噂になると、子どもが学校でいじめられたり、不登校になったりする可能性があります。状況次第では、転校を余儀なくされるでしょう。また、警察が出入りしたりして近所の人たちに性犯罪を起こしたことがバレて騒動などが起きると、賃貸物件を追い出されるなどして、引っ越しを強いられることもあります。
ドローンでの盗撮がバレたときに弁護士に相談・依頼するメリット5つ
ドローンを悪用して盗撮事件を起こしたときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件を得意とする弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
ここでは、刑事事件の実績豊富な弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。
早期に被害者との間で示談交渉を開始してくれる
弁護士に依頼すれば、ドローンで盗撮された被害者との間で早期に示談交渉を開始してくれます。
示談とは、刑事事件の被害者と加害者の間で直接民事的な解決方法について話し合いをおこない、和解契約を締結することです。一般的には、加害者が被害者に対して一定の示談金を支払う代わりに被害届・告訴状を取り下げてもらうといった内容が示談契約に盛り込まれます。
示談交渉は、加害者本人が被害者と直接話し合うことも可能です。ただ、示談成立による恩恵を最大化したいなら、示談交渉も弁護士に依頼することを強くおすすめします。なぜなら、示談交渉を弁護士に任せることで、以下のメリットを得られるからです。
- 被害者との示談交渉を進めるには被害者の連絡先を入手する必要があるが、弁護士を代理人に選任したほうが、警察経由で被害者の連絡先を入手しやすくなる
- 怒りや不安で感情的になっている被害者も、専門家である弁護士に対しては冷静な話し合いに応じてくれる
- 被害者側から理不尽な示談条件を突きつけられたとしても、示談ノウハウを尽くして相場どおりの示談条件での合意成立を期待できる
- 検察官の公訴提起判断までに示談成立を目指してくれるので、不起訴処分を獲得できる可能性が高まる
逮捕・勾留の回避、身柄拘束期間の短縮化を目指してくれる
ドローンによる盗撮行為が発覚すると、逮捕・勾留などによって一定期間身柄拘束されるリスクに晒されます。
しかし、身柄拘束期間が生じると、それだけで被疑者の現在の社会生活にさまざまな支障が生じる点に注意が必要です。
そこで、弁護士は、以下のような方策・防御目標を掲げることによって、身柄拘束によるデメリットの回避・軽減を目指してくれます。
- 警察が捜査活動に着手する前に自首をすることで、在宅事件化を目指してくれる
- 警察から任意での事情聴取を求められた場合には、自首的に証拠を提出したり正確性の担保された供述をしたりすることで、在宅事件のまま刑事手続機が進むように工夫をしてくれる
- 逮捕されたとしても、警察や検察官による取り調べへの対応方法についてアドバイスを提示することで、勾留阻止を目指してくれる
- 逮捕・勾留されたとしても、逃亡または証拠隠滅のおそれがないと捜査機関に働きかけをして、早期の身柄釈放を目指してくれる
起訴猶予処分獲得を目指してくれる
「ドローンを使って盗撮行為に及んだ以上、刑事裁判にかけられるのは当然のことだろう」と考えている人は少なくありません。しかし、これは間違いです。
というのも、検察官の不起訴処分は以下3種類に分類されるため、実際に犯行に及んだ事実に間違いがなくても、不起訴処分獲得の余地は残されているからです。
- 嫌疑なし:犯行に及んだ客観的証拠が存在しない冤罪のケース。
- 嫌疑不十分:犯行に及んだ客観的証拠が不足しているため、公判を維持できないと判断されるケース。
- 起訴猶予:犯行に及んだ客観的証拠は存在するものの、諸般の事情を総合的に考慮すると、刑事裁判にかけるほどの必要はなく、検察官限りの判断で刑事手続きを終了させて差し支えないケース。
起訴猶予処分に付するかどうかを決定するときには、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状、犯罪後の情況などの諸般の事情が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。
刑事事件に強い弁護士に依頼をすれば、早期に示談交渉を成立させたり、起訴猶予判断に役立つ情状証拠を用意したりすることで、不起訴処分獲得の可能性を高めてくれるでしょう。
実刑回避を目指してくれる
ドローンによる盗撮行為が発覚して刑事裁判にかけられた場合には、実刑判決だけは何としても回避しなければいけません。というのも、実刑判決が確定すると、刑期を満了するまで社会生活から完全に断絶された状態がつづくので、出所後の社会復帰が極めて困難になるからです。たとえば、住む場所や仕事を見つけるのにも相当苦労するでしょう。
ですから、性的姿態等撮影罪などの容疑で刑事裁判にかけられた場合には、罰金刑や執行猶予付き判決の獲得が最大の防御目標になると考えられます。
刑事裁判実績豊富な弁護士は、自首減軽や酌量減軽などのテクニックを駆使したり、実生活を送りながらの更生が可能である証拠を用意したりして、実刑判決回避を目指してくれるでしょう。
性依存症克服に向けた現実的なサポートを期待できる
ドローンを使って盗撮行為に及んだ人のなかには、性依存症などの精神疾患に罹患している人も少なくありません。仮に今回立件された刑事事件について不起訴処分を獲得できたとしても、根本原因である疾患を治療しておかなければ、再犯に及んで重い刑事処分を下されかねないでしょう。
刑事事件や性犯罪弁護を得意とする弁護士は、NPOや専門医などと繋がりをもっていることが多いので、性依存症などの被疑者本人が抱える問題のケアに向けてのサポートもしてくれるでしょう。
ドローンの盗撮行為が原因で刑事訴追されそうなら弁護士に相談しよう
ドローンを使って盗撮行為に及ぶと、性的姿態等撮影罪や迷惑防止条例違反などの容疑で逮捕される可能性があります。また、ドローンの飛行態様に問題がある事案なら、航空法違反や道路交通法違反などの容疑でも刑事処罰されるリスクに晒されます。
そして、逮捕・勾留によって身柄拘束される期間が生じると、それだけで被疑者の社会生活にはさまざまな支障が生じますし、起訴処分が下されて有罪になると、社会復帰のハードルはますます高くなってしまいます。
ですから、ドローンで盗撮行為などに及んだのなら、できるだけ早いタイミングで示談交渉などの防御活動をスタートして、不起訴処分獲得を目指すべきだといえるでしょう。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、盗撮事件や最新の性犯罪法制に詳しい弁護士を多数紹介中です。弁護士に相談するタイミングが早いほど刑事手続きを有利に進めやすくなるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる専門家までお問い合わせください。