コンビニの前に集まってたむろする若者や集団に対して、「なんとなく怖い」「迷惑に感じる」「通報してもいいのかな?」と不安や疑問を抱く人も多いでしょう。コンビニは誰でも利用できる便利な場所ですが、店舗の入口付近に集団が長時間居座っていると、他の利用者が入りづらくなったり、治安の悪化を感じたりするケースも少なくありません。
では、「コンビニ前でたむろする行為」は違法なのでしょうか? それとも、単なるマナー違反にすぎないのでしょうか。また、「見かけて迷惑だと感じた場合に通報してもいいのか?」といった点も、多くの人が気になるポイントです。
この記事では、コンビニ前でのたむろ行為の違法性や、迷惑防止条例・軽犯罪法に触れる可能性、さらに通報の可否や対策方法などを、わかりやすく解説します。迷惑行為への正しい向き合い方を知ることで、誰もが安心してコンビニを利用できる環境づくりに役立ててください。
目次
「コンビニ前たむろ」の違法性とは
コンビニ前でたむろする行為が直ちに違法となる可能性は低いです。ただし、迷惑行為に該当する場合は、迷惑防止条例もしくは軽犯罪法違反に問われる可能性があるため注意しなければいけません。
まずは、コンビニ前でたむろする行為が違法なのかどうか、どういった場合に違法性があるのかについて詳しく解説します。
直ちに「違法」と判断される可能性は低い
コンビニでたむろする行為が直ちに「違法」と判断される可能性は低いです。そもそも違法と判断されるためには、何らかの犯罪行為が発生している場合です。
「コンビニでたむろしている」という行為のみで何らかの犯罪は成立しないため、違法性はないと考えて良いでしょう。
迷惑防止条例や軽犯罪法に触れる場合もある
コンビニでたむろする行為に違法性はないものの、迷惑行為が発生している場合は迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反に問われる可能性もあります。
迷惑防止条例は、各都道府県で定められている条例であり、たとえば東京都の場合は以下のような条文があります。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、多数でうろつき、又はたむろして、通行人、入場者、乗客等の公衆に対し、いいがかりをつけ、すごみ、暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第二号の暴力団をいう。)の威力を示す等不安を覚えさせるような言動をしてはならない。
引用元:東京都迷惑防止条例
つまり、コンビニでたむろして通行人や他のお客さんに対して不安を覚えさせるような行為をしてはいけません。たとえば、「コンビニの端の方で複数人で立ち話をしていた」というような行為は、迷惑防止条例違反には該当しません。
一方で、たとえば「コンビニ入口前でしゃがみ、来店しようとしているお客さんを見たり睨んだりした場合」は迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。なぜなら、他のお客さんが不安を感じてしまうためです。
また、軽犯罪法違反に該当する可能性もあるため注意しなければいけません。軽犯罪法違反では、以下のとおり明記されています。
五 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
引用元:軽犯罪法違反
そもそもコンビニは不特定多数の人が利用できる、公共の場所です。そのため、コンビニ(公共の場所)の前にたむろして、他のお客さんに対して粗野または乱暴な言動で迷惑をかけた場合は、軽犯罪法違反が成立します。
「粗野な乱暴な言動で迷惑をかけた場合」というのは、他のお客さんに対して直接、言葉を投げかけた場合に成立します。また、お客さんに直接声をかけたわけではな、仲間内で粗野または乱暴な言葉を使っていた場合でも、来店しようとしたお客さんが「怖い」や「迷惑だな」と感じた場合は成立する可能性があります。
万が一、軽犯罪法に違反した場合は「拘留または科料」の刑罰が科されるため注意しなければいけません。
拘留とは1日以上30日未満の期間、刑事施設へ入所させる刑事罰です。拘留(こうりゅう)と同じ読み方で「拘留」というものもありますが、勾留は裁判で判決が確定していない未決勾留者の身柄を拘束するために行われる手続きです。よって、拘留と勾留は読み方こそ同じですが、まったく異なります。
科料は、1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。罰金刑と内容は同じですが、罰金刑は「1万円以上の金銭納付を命じる刑事罰」です。つまり、金額によって科料と罰金それぞれの呼び方(刑事罰)があります。
営業時間や私有地のルールによっても扱いが変わる
コンビニ前でのたむろは、営業時間や私有地のルールによっても扱いが変わることがあります。たとえば、営業時間外のコンビニ前でたむろしていた場合は、コンビニに用事がないにも関わらず、その場所にいたことになります。
この場合は、「正当な理由なく他人の私有地に侵入した」と判断される可能性があるため注意しなければいけません。また、コンビニは私有地であるため、コンビニオーナー等に注意されたり退去を求められたりしているにも関わらず、その場所に居座った場合は「不退去罪」が成立する可能性もあるでしょう。
コンビニは、不特定多数の人が利用する公共の場所です。しかし、元を辿れば誰かの私有地でもあります。そのため、その場所に定められているルールを守らなければいけません。
コンビニ前のたむろは通報しても良い
コンビニ前でたむろしている人を発見し、「迷惑である」と感じた場合は、通報をしても問題ありません。そもそも、警察への通報は「犯罪が成立している場合」のみならず、迷惑行為が発生している場合も可能です。
次に、コンビニ前でたむろしている者がいた場合に通報しても良いのか?について詳しく解説します。
コンビニ店員からの通報は可能
コンビニ店員から警察へ通報をしても良いです。「複数人がコンビニの前でたむろしていて迷惑です」と伝えれば、警察から注意してもらえます。
警察は、誰から通報があった等は伝えないため、コンビニ店員であるあなたから通報があったことは伝わりません。中には「報復が怖い」などと感じる人もいるかもしれませんが、そのようなことはないため安心してください。
第三者からの匿名通報も可能
たむろされているコンビニとはまったく関係がない人からの通報も可能です。コンビニはさまざまな場所にあるため、中にはコンビニ利用者や店員以外の人でも「迷惑だな」と感じることはあるでしょう。
とくに深夜帯の騒音や通学路上にあるコンビニでたむろされている場合は、「迷惑だな」「怖いな」と感じることがあるでしょう。この場合は、関係のないあなたからの通報をしても問題ありません。
警察はあなたの個人情報等は聞かないため、匿名での通報が可能です。通報を受けた時点で警察がたむろしている人たちを対象に注意してくれます。また、パトロールの強化をしてくれることもあるため、迷惑だと感じている場合は積極的に通報すべきでしょう。
コンビニ前たむろで積極的に通報すべき事案
コンビニ前でたむろしている場合、通報しようかどうか迷うケースも多いでしょう。しかし、以下に該当する場合は積極的に通報すべき事案であると言えます。
- 騒いでいる・規制をあげているなどの騒音トラブル
- ゴミのポイ捨て・飲酒・喫煙などの迷惑行為
- 見せや通行人への絡み・威圧的な態度がある場合
- 夜間の不審な集団に恐怖を感じたとき
次に、コンビニ前たむろで積極的に通報すべき事案について詳しく解説します。
騒いでいる、奇声を上げているなど騒音トラブル
コンビニ前でたむろしている人たちが、騒いでいたり奇声をあげていたりなど、明らかな迷惑行為がある場合は積極的に通報すべきです。コンビニは住宅街にあるケースも多く、特に深夜帯の場合は、これらの行為を「迷惑」と感じている人も多いです。
また、コンビニ前で騒いでいるとその地域の治安悪化にもつながるため、積極的な通報が大切です。奇声をあげている場合は、薬物等の犯罪の可能性もあり、治安維持のためにも情報提供の目的で通報をしたほうが良いでしょう。
ゴミのポイ捨て・飲酒・喫煙などの迷惑行為
ゴミのポイ捨てや飲酒、喫煙などの迷惑行為がある場合は、コンビニ店員ではなくても通報をしても良いです。
ポイ捨ては都道府県の迷惑防止条例や軽犯罪法という法律によって処罰される可能性があります。コンビニは、いわゆる私有地ではあるものの、不特定多数の人が利用することを鑑みると、公共の場所という側面も持ちます。
そのため、公共の場所でのポイ捨て行為は違法であると判断され、処罰対象となり得ます。そして、コンビニによっては灰皿が設置されているところもあるため、喫煙自体が直ちに違法となるわけではありません。
しかし、地域住民が「迷惑である」と感じるのであれば、喫煙等の許された行為であっても通報しても問題ありません。ただし、喫煙所が少なくなってきている現在、ただタバコを吸っていると理由のみで通報をしても対応されません。
あくまでも、複数人でたむろし、喫煙をしながら大きな声で騒いでいるなど、明らかな違反行為が認められる場合のみ通報を検討しましょう。また、コンビニ前での飲酒行為も直ちに違法であるとは限りません。
中には、「仕事終わりにコンビニ前で1本だけ飲んでから帰りたい」と考える人もいるでしょう。1人で1本だけ飲んでいるのであれば、誰にも迷惑をかけていません。そのため通報をする必要はないでしょう。
しかし、複数人で飲酒を行い、大声を出したり明らかに騒いだりしているなどの迷惑行為が認められる場合は、積極的に通報すべきです。
店や通行人への絡み・威圧的な態度がある場合
店や通行人などへの絡み・威圧的な態度がある場合は、積極的に通報すべきです。絡まれている本人は、その場で通報することが難しいです。そのため、そのような現場を発見した場合は、第三者であるあなたが通報をして状況を伝えてあげると良いでしょう。
もし、店の店員や通行人へ絡んでいるのをそのままにしていると、思わぬ事件やトラブルに発展する可能性もあるため、積極的な通報が必要です。
夜間の不審な集団に恐怖を感じたとき
夜間等、明らかに不審な集団がコンビニ前でたむろしている場合、多くの人が「怖い」と感じるでしょう。このような場合も積極的に通報すべきです。
夜間帯は、人通りも少なくなるためさまざまな危険が潜んでいます。喧嘩が始まったり、暴走行為が始まったりなど、さまざまな事件・事故の可能性があるため、少しでも「怖い」と感じた場合は通報したうえで注意等の対応をしてもらうと良いでしょう。
通報後の警察の対応
警察へ通報をした場合、原則現場へ警察官が行きます。その後の流れは、状況によって異なるものの、主には以下の対応が考えられます。
- パトロール・や職務質問、注意喚起を行う
- 身元確認・補導・違法性の確認
- 地域によっては定期巡回や重点警戒の対象となる
次に、警察へ通報した場合の対応について詳しく解説します。
パトロールや職務質問、注意喚起を行う
通報を受けた場合は、かならず現場へ駆けつけます。その後、現状を把握したうえで適切な対応を行います。警察が駆けつけてもなお、迷惑行為が散見される場合は、対象者に対して注意してその場を離れてもらうように促します。
違法行為や迷惑行為が認められない場合は、店員等に事実確認を行ったうえで、パトロール強化等の対応がなされるでしょう。
必要に応じてコンビニ前でたむろしている人たちを対象に職務質問を行うケースもあります。薬物やその他犯罪行為の可能性がある場合は、確認をしたうえで必要に応じて警察への連行等を検討する流れです。
身元確認・補導(未成年)・違法性の確認を行う
通報を受けた警察官は、コンビニ前へ駆けつけて状況確認を行います。もし、コンビニ前でたむろしている人たちが未成年である可能性が高い場合は、身元確認を行い、補導等を行う場合もあります。
また、飲酒や喫煙の可能性がある場合は、年齢を確認したうえで成人していても必要に応じて補導を行う可能性もあるでしょう。
地域によっては定期巡回や重点警戒の対象になる
地域によっては、通報をきっかけに定期巡回や重点警戒の対象となる可能性があります。たとえば、住宅街や小中学生などの通学路になっている場合は、治安維持の目的の観点から見ても、定期巡回や重点警戒の対象となる場合があります。
通報がきっかけで多くの人が住みやすくなる地域づくりに貢献できる可能性があるため、「迷惑である」と感じている場合は積極的な通報を検討しましょう。
コンビニ前たむろの対策
コンビニ前たむろが「迷惑だ」と感じている場合、以下の対策を検討されてみてはいかがでしょうか。
- 警察に「継続的な迷惑行為」として相談する
- コンビニ本部やオーナーに環境改善を依頼
- 防犯カメラや照明の強化でいづらくする
次に、コンビニ前たむろの対策として有効な手段について詳しく解説します。
警察に「継続的な迷惑行為」として相談する
警察に対して「継続的な迷惑行為」として相談をしましょう。継続性があると伝えることによって、パトロールの強化や定期巡回の頻度を上げてくれるなどの対応をしてもらえる可能性が高まります。
たむろしている側から見ても、「警察がよく巡回に来る」と分かれば、その場所でのたむろは避けるようになるでしょう。
もし、警察のパトロールや巡回が不十分であると感じるのであれば、何度でも積極的に通報すると良いでしょう。たむろしている側も何度も注意をされていれば、その場にいづらくなるでしょう。
コンビニ本部やオーナーに環境改善を依頼
自分自身で通報することに後ろめたさ等を感じる場合は、コンビニ本部やオーナーに対して、環境改善を依頼してみましょう。コンビニと直接関係のない人であっても、地域住民の声はコンビニ側にとっても重要です。
そのため、コンビニ本部やコンビニオーナーに直接相談してみるのもひとつの手段でしょう。
防犯カメラや照明の強化で居づらくする
コンビニオーナーとしてできることは、防犯カメラの設置や証明の強化でいづらくすることです。また、防犯カメラを設置した場合は、わかりやすい位置に「防犯カメラ設置中」などの張り紙をしておくことも有効です。
これらの貼り紙が貼ってあることによって、たむろ行為を防止できる可能性が高まります。一定以上の効果に期待が持てるため、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
コンビニ前たむろで注意すべき行為
コンビニ前でたむろしている人に対して、注意すべき行為は以下のとおりです。
- 直接の注意はトラブルの原因
- 虚偽通報はトラブルの原因
次に、コンビニ前でたむろしている人に対しての注意事項についても詳しく解説します。
直接の注意はトラブルの原因
コンビニ前でたむろしている人に対して、直接注意する行為は思わぬトラブルの原因となり得るため避けたほうが良いです。
自分たちで注意することによって、反抗されたり暴行事件に発展したりなどさまざまなリスクがあります。そのため、かならず警察へ通報をしたうえで対応を任せたほうが安心です。
虚偽通報トラブルの原因
虚偽トラブルはトラブルの原因となり得るため注意しましょう。たとえば、面白がって実際には発生していないにも関わらず、「コンビニ前でたむろしている人がいる」と通報するのは避けましょう。虚偽の通報は偽計業務妨害罪などに問われる可能性があります。
警察等に通報後、たむろしていた人たちがその場を離れたとしても、コンビニ店員に話を聞いたり、必要に応じて防犯カメラを確認するなどして確認します。そのため、虚偽通報をしてもかならずバレるため絶対にやめましょう。
コンビニ前たむろの通報に関するよくある質問
コンビニ前たむろの通報に関するよくある質問を紹介します。
Q.何度も通報すると自分が迷惑行為になりますか?
A.事実の通報であれば迷惑行為に該当しません。
事実の通報であれば、何度通報をしても迷惑行為ではありませんし、何らかの犯罪が成立することもないため安心してください。ただし、虚偽通報を繰り返した場合は、偽計業務妨害罪等に問われる可能性があるため注意してください。
Q.「たむろしている」という理由のみで通報しても大丈夫ですか?
A.問題ありません。
「たむろ」とは、一般的に多くの人が集まっている状態を指します。コンビニの前で多くの人が集まり、大きい声で会話をしていたり、通行人等に対して凄んだりしている場合は、コンビニを利用したくてもできない人が増えてしまいます。いわゆる「迷惑」な状態です。
そのため、通報をしても問題はありません。ただし、複数人で買い物をして灰皿が設置している場所で昼間にタバコ休憩をしているだけという状況であれば、迷惑行為に該当しない可能性もあり、警察では対応できない可能性もあります。
Q.匿名での通報は可能ですか?
A.匿名での通報は可能です。
警察へ通報した場合は、発生場所等を尋ねられますが、通報者の個人情報を尋ねられることはありません。よって、匿名での通報が可能であるため安心してください。
Q.直接注意するのは避けるべきですか?
A.直接の注意は避けるべきです。
直接注意する行為は思わぬトラブルを招く原因になり得るため避けたほうが良いです。離れた場所から警察へ通報をしたり、コンビニの店員に相談をしたりなどの対応を検討したほうが良いでしょう。
まとめ
今回は、コンビニ前でたむろする行為は違法なのか?について解説しました。
コンビニ前でたむろする行為は、ただ立ち話をしているだけでは直ちに違法とはなりません。しかし、状況によっては迷惑防止条例や軽犯罪法に違反する可能性があります。
たとえば、他の来店客や通行人に不安や迷惑を与えるような言動がある場合や、大声で騒いだり、ゴミのポイ捨て、飲酒・喫煙などが行われている場合です。これらの行為が認められる場合は、通報によって警察が注意します。
コンビニは私有地でありながらも、不特定多数が利用する「公共性の高い場所」であるため、店舗のルールや社会的マナーを守る必要があります。通報は店員だけでなく第三者からでも可能であり、匿名での通報も可能です。
また、継続的なたむろに困っている場合には、警察への相談や、コンビニ本部・オーナーへの環境改善の働きかけ、防犯カメラや照明強化などの対策が効果的です。注意点としては、たむろしている人へ直接声をかけることはトラブルの原因となるため避け、警察や店舗側に対応を任せるようにしましょう。迷惑だと感じたら我慢せず、適切な手段で行動することが大切です。