小児性愛者が刑事事件を起こした場合、少しでも有利な刑事処分獲得を目指すことも重要ですが、同時に、再犯対策にも力を入れなければいけません。
というのも、前科・前歴がある状態で再犯に及んでしまうと、さらに厳しい刑事処分が下されて、場合によっては、長期間刑務所への服役を強いられかねないからです。
小児性愛症などの精神疾患を抱えたままでは、常に「再犯に及んでしまうのではないか」と不安を抱えて仕事などに集中できないでしょう。国や地方自治体、民間団体が提供している再犯対策プログラムなどの助けを借りながら、本格的な社会復帰を目指す必要があると考えられます。
そこで、この記事では、小児性愛症などの精神疾患を抱えて性犯罪に及んでしまった過去を有する人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 小児性愛者への再犯対策が必要な理由
- 小児性愛者の再犯対策の具体例
- 小児性愛者が再犯に及んだときに問われる可能性がある罪状と法定刑、刑事手続きの流れ
- 小児性愛者が再犯事件を起こしたときに弁護士へ相談・依頼するメリット
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、小児性愛症などが原因で性犯罪に及んでしまう人のサポートを得意とする弁護士を多数紹介中です。少しでも不安を抱えている人は、できるだけ早いタイミングで弁護士に問い合わせをして、今後の対策などについてアドバイスをもらいましょう。
目次
小児性愛者に再犯対策が必要な理由
まずは、小児性愛者の再犯対策を講じるべき理由・背景について解説します。
小児性愛症とは
小児性愛症とは、13歳以下の小児などを対象として性的興奮をもたらす強い空想・衝動・行動が反復的にみられることを特徴とするパラフィリアの一種です。
小児性愛症に罹患しているどうかを判定する基準として、以下のものが挙げられます。
- 小児(通常13歳以下)を対象として、反復的で性的興奮を引き起こす強い空想・衝動・行動を経験していること
- 小児に対する性的興奮によって強い苦痛を感じている、日常生活に支障が生じている、衝動を行動に移してしまっていること
- 本人が16歳以上であり、かつ、空想または実際の行動の対象とする小児よりも5歳以上年上であること
- ①②の状態が6ヶ月以上継続していること
性犯罪者のうち一定割合は小児性愛者であると言われており、また、小児が被害者になる性犯罪は悪質な犯罪類型に属するとも考えられています。
ですから、小児性愛者に対する再犯防止策を講じたうえで、小児が被害者になる性犯罪の減少を目指すべきだといえるでしょう。
小児性愛者が再犯に及んだときに適用される犯罪類型と法定刑
小児性愛者が再犯に及んだときに問われる可能性がある代表的な犯罪類型・法定刑は以下のとおりです。
罪名 | 法定刑 |
---|---|
不同意わいせつ罪 | 6ヶ月以上10年以下の拘禁刑 |
不同意性交等罪 | 5年以上の有期拘禁刑 |
公然わいせつ罪 | 6ヶ月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 |
性的姿態等撮影罪 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑 |
青少年保護育成条例違反 | 自治体による |
児童淫行罪(児童福祉法違反) | 10年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
児童買春罪 | 5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
どのような犯罪類型が適用されるかは事案によって異なります。ただし、小児性愛者が再犯に及んだ事案では、各犯罪で定められている法定刑の範囲のなかでも重い刑事罰が科される可能性が高い点に注意が必要です。
小児性愛者が再犯に及ぶと刑事罰が重くなる可能性が高い
小児性愛者が再犯に及ぶと、刑事手続きにおいて不利を強いられる可能性が高いです。
まず、過去の前科・前歴がある場合には、初犯の人に比べて逮捕・勾留される傾向が強いのが特徴です。というのも、過去に犯罪歴があると、逃亡または証拠隠滅のおそれがあると判断される傾向にあるからです。
次に、再犯事件については、一般的に起訴猶予処分を獲得するのが難しいのが実情です。また、起訴されたあとの刑事裁判でも、厳しい量刑判断が下されるリスクが高いでしょう。
さらに、小児性愛者が再犯に及んだ事案では、刑法上の再犯加重が適用されるリスクがある点に注意が必要です。再犯加重の対象になると、法定刑の長期が2倍になるので、長期の拘禁刑を科されかねません。
第五十六条 拘禁刑に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するときは、再犯とする。
2 死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日又は減刑により拘禁刑に減軽されてその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するときも、前項と同様とする。
(再犯加重)
第五十七条 再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の二倍以下とする。
参考:刑法|e-Gov法令検索
小児性愛者に対する再犯対策の具体例
小児性愛者に講じられている再犯対策の具体例を紹介します。
刑事施設における性犯罪再犯防止指導
小児性愛症などの疾患を抱えた状態で拘禁刑に付された受刑者に対しては、刑事施設において、以下の流れで受刑者に対する性犯罪再犯防止指導が実施されています。
- 性犯罪者調査対象者のスクリーニング:事件名、前歴の内容、事件の詳細などの事情を総合的に考慮して、性犯罪者調査を実施する対象になるかを判断する。
- 性犯罪者調査:スクリーニングで選定された受刑者について、再犯リスクや処遇による改善期待値、処遇との適合性をチェックする。
- 性犯罪再犯防止指導を実施:オリエンテーション、本科プログラム、メンテナンスプログラムの順番で実施。性犯罪に繋がる認知の偏りや自己統制力の欠如などを認識させて、改善を図るとともに、再犯を予防するための具体的な方法を習得させる。
また、刑事施設のうち少年院では、性教育・アンガーマネジメント訓練などの周辺プログラムも実施されます。
保護観察所における性犯罪者処遇
小児性愛者が刑事事件を起こしたとしても、起訴猶予処分や執行猶予付き判決の獲得に成功すれば、今までどおりの社会生活を送ることができます。ただし、このようなパターンでも、保護観察に付されるケースが多いです。
そして、保護観察に付された場合には、保護観察所が実施する性犯罪再犯防止プログラムを受けなければいけません。
保護観察所の性犯罪再犯防止プログラムの内容は以下のとおりです。
- コアプログラム:性犯罪再犯予防に向けて、保護観察対象者の自己理解を促進させて、自己コントロール能力を醸成する。裁判所から保護観察中の特別遵守事項が設定された場合には、コアプログラムの受講が義務付けられる。
- 導入プログラム:性犯罪再犯防止プログラムを受講するにあたって、保護観察対象者本人が有するトラブルや問題意識を確認し、プログラムを通じて達成したい目的を設定ささせる。
- メンテナンスプログラム:保護観察対象者と定期的に接触することで、生活実態を把握したり、コアプログラム受講の成果を確認したりする。再犯の兆候が見られるケースでは、即時に適切な対応が実施される。
- 家族プログラム:再犯対策には家族などの協力が必要になる実態を踏まえて、家族の心身の状態や家庭環境などを把握するために実施される。
各地方公共団体における取り組み
自治体によって対応は異なりますが、性犯罪の前科・前歴がある人を対象に、就労支援・相談対応・居住支援・カウンセリングの提供、見守りサービスなどのサービスを提供している場合があります。
民間団体における取り組み
全国各地に、性犯罪に及んだ前科・前歴がある人や、性依存症などの悩みを抱えている人を対象に、さまざまなプログラムを実施している民間団体が存在します。
行政の支援サービスだけでは根本的な改善を期待しにくいという場合には、弁護士などと相談のうえ、地域のNPO法人などの団体に相談するのも選択肢のひとつでしょう。
家族などのサポート
小児性愛者が社会のなかで更生を目指すには、家族やパートナー、知人などのサポートが不可欠です。
ひとりで生活をしているとさまざまな苦労、ストレスを強いられるので、更生・療養を目指しやすい環境を日常的に整備するのが重要だと考えられます。
小児性愛者が再犯に及んだときの刑事手続きの流れ
小児性愛者が再犯に及ぶなどして刑事訴追されるときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 警察に逮捕される
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が起訴・不起訴を決定する
- 刑事裁判にかけられる
警察に逮捕される
小児性愛者が再犯に及んだ事実が警察に発覚すると、警察に逮捕される可能性が高いです。
たとえば、児童などを盗撮している現場で検挙されるようなケースでは無令状の現行犯逮捕によって身柄が取り押さえられます。また、未成年者に対する回春行為が被害者の親にバレて警察に相談され、捜査活動が進められたような事案なら通常逮捕が実行されるでしょう。
現行犯逮捕・通常逮捕のどちらであったとしても、逮捕処分が実行された時点で被疑者の身体・行動の自由は大幅に制約されます。警察署に連行されるタイミングを調整することはできませんし、連行される前に家族や会社などに電話連絡を入れたりすることも許されません。
警察段階の取り調べが実施される
再犯に及んだ小児性愛者が逮捕されると、警察段階の取り調べが実施されます。
警察段階の取り調べには48時間以内の制限時間が設けられており、制限時間が到来するまでに、事件・被疑者の身柄・証拠物は検察官に送致されます。
逮捕処分に基づいて実施される警察段階の取り調べは拒絶できません(どのような供述をするかは自由です)。また、取り調べが実施されないときは、留置場に身柄を留められるので帰宅や出社なども許されません。さらに、スマートフォンなどの所持品はすべて取り上げられるので、家族や会社、知人などに連絡するのも不可能です。
検察段階の取り調べが実施される
警察段階の取り調べが終了すると、小児性愛者の再犯事件について検察段階の取り調べが実施されます。
逮捕処分に基づいて実施される検察段階の取り調べの制限時間は24時間以内です。警察段階の48時間以内の取り調べと合わせて、合計72時間以内に得られた証拠や供述などを前提に、検察官が小児性愛者の再犯事件を起訴するかどうかを判断するのが原則です。
小児性愛者が再犯に及ぶと勾留請求される可能性が高い
刑事事件のなかには、逮捕段階の72時間以内の取り調べだけでは、公訴提起判断に必要な証拠を収集しきれないケースが少なくありません。
たとえば、以下のような「やむを得ない理由」によって捜査機関が原則的な制限時間を遵守できない場合には、検察官による勾留請求が認められており、被疑者の身柄拘束期間は延長されます。
- 被疑者が取り調べで黙秘・否認をしている場合
- 多数の被害者に参考人聴取を実施するのに時間を要する場合
- 防犯カメラの映像解析、壊されたスマートフォンのデータ復旧、現場に残った証拠物の鑑定などに時間を要する場合
- 過去に同種の前科・前歴があり、余罪への関与を含めて慎重に取り調べなどを実施しなければいけない場合 など
検察官が勾留請求をおこない、裁判官が勾留状を発付した場合、被疑者の身柄拘束期間は10日間以内の範囲で延長されます。また、勾留の再延長が必要だと判断されるケースでは、さらに10日間以内、合計20日間以内の身柄拘束を強いられます。
そして、小児性愛者が再犯に及んだケースでは、慎重に捜査活動を進める必要性が高いと判断されるため、逮捕されてから検察官が公訴提起するかどうかを決めるときまでに、最長23日間の身柄拘束期間が生じる可能性が高いといえるでしょう。
検察官が起訴・不起訴を判断する
逮捕・勾留期限が到来するまでに、検察官が小児性愛者による再犯事件を起訴するかどうかを決定します。
- 起訴処分:刑事事件を公開の刑事裁判にかける旨の決定
- 不起訴処分:刑事事件を公開の刑事裁判にかけることなく検察限りの判断で手続きを終了させる旨の決定
不起訴処分の獲得に成功すれば、その時点で刑事手続きは終了します。有罪や前科のリスクに怯える必要はありません。これに対して、起訴処分が下されると、公開の刑事裁判に対応しなければいけなくなります。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、起訴処分が下された時点で、事実上有罪になることが確定してしまいます。したがって、今後の社会復帰の可能性をできるだけ高くするには、不起訴処分の獲得を目指すべきだと考えられます。
刑事裁判にかけられる
検察官が起訴処分の判断を下すと、小児性愛者の再犯事件が公開の刑事裁判にかけられます。
刑事裁判が開廷されるタイミングは、起訴処分から1ヶ月〜2ヶ月後が目安です。公訴事実を争わないなら第1回公判期日で結審に至りますが、否認事件の場合には複数の公判期日を経て弁論手続き・証拠調べ手続きがおこなわれて、最終的に判決が言い渡されます。
小児性愛者が再犯に及んだ事案では、実刑判決が下されるリスクが極めて高いです。しかし、刑務所への服役を強いられる事態になると刑期を満了するまで社会生活から隔離されてしまうため、出所後の社会復帰が困難になりかねません。
ですから、小児性愛者が再犯に及んで起訴された場合には、裁判官から執行猶予付き判決の判断を引き出すための防御活動を展開するべきだと考えられます。
小児性愛者が再犯に及んだときに生じるデメリット5つ
小児性愛者が再犯に及んだときに生じる5つのデメリットについて解説します。
- 逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される可能性が高い
- 実名報道のリスクに晒される
- 会社や学校から何かしらの処分を下される可能性が高い
- 有罪になる可能性が高い
- 前科持ちとしてさまざまなデメリットを強いられつづける
逮捕・勾留によって身柄拘束される可能性が高い
小児性愛者が再犯に及んだ事実がバレると、捜査機関に長期間身柄拘束される可能性が高いです。特に、小児性愛者が再犯に及んだケースは「初犯ではない」という事情が存在する以上、勾留満期まで身柄拘束が継続しかねません。
たとえば、逮捕・勾留によって23日間身柄拘束される事態になると、その期間中は欠席・欠勤せざるを得なくなるので、学校や勤務先に隠しとおすのは難しいです。また、家族や恋人、知人などにも多くの心配をかけることになるでしょう。
実名報道のリスクに晒される
関与した刑事事件が以下の要素を備えていると、実名報道される傾向が強いです。
- 悪質な刑事事件(殺人罪、放火罪など)
- 被害が深刻な刑事事件(高額な詐欺罪・横領罪・窃盗罪、人が死亡した交通事故など)
- 社会的関心が高いテーマの刑事事件(特殊詐欺事件、性犯罪など)
- 同種の犯罪を何度も繰り返している事案
- 警察に逮捕されて在宅事件にならなかったケース など
ですから、小児性愛者が再犯に及んで逮捕されるに至ると、何かしらの媒体で実名報道される可能性が高いです。
そして、一度でも実名報道されると、性犯罪を起こした事実や過去に何度も犯行を繰り返した事実が半永久的にインターネット上に残ってしまいます。たとえば、就職活動・転職活動は成功しにくくなりますし、結婚や交友関係にも悪影響が生じかねないでしょう。
会社や学校から何かしらの処分を下される可能性が高い
小児性愛者が再犯に及んで逮捕されると、所属している勤務先や学校に事件のことがバレて、何かしらの処分が下される可能性が高いです。
たとえば、勤務先企業が定めている就業規則の懲戒規程の内容次第ですが、逮捕されたり有罪になったりすると、戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇といった懲戒処分が下されます。また、所属している学校の学則・校則にしたがって、退学、停学、訓告といった処分を受けることもあります。
学校や会社から処分を下されると、学歴やキャリアに悪影響が生じます。また、過去に何度も再犯を繰り返していることも考慮すると、刑事責任を果たしたあとのリスタートも相当困難になるでしょう。
有罪になる可能性が高い
小児性愛者が再犯に及んで逮捕された場合、起訴猶予処分の獲得はかなり難しいのが実情です。というのも、起訴猶予処分を下すかどうかを判断する際には、刑事事件をめぐる諸般の事情が総合的に考慮されるところ、「過去に同種の前科・前歴があり、実際に更生を果たすことができずに再犯に至った」という事実は、起訴処分の判断に傾く強力な要素だからです。
そして、日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、冤罪を主張する余地がない以上、小児性愛者が再犯事件に及んで起訴されると有罪になるでしょう。
さらに注意を要するのが、小児性愛者の再犯事件は、執行猶予付き判決や罰金刑といった量刑判断を引き出しにくく、実刑判決を回避しにくい点です。実刑判決が確定すると、刑期を満了するまで社会生活から断絶された状態を強いられるので、出所後の社会復帰が難しくなります。
前科によるデメリットに悩まされつづける
小児性愛者が再犯に及び有罪判決が確定すると、刑事罰を科されるだけではなく、前科によるデメリットにも悩まされつづけます。
前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。前科がついてしまうと、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。
- 前科情報については、履歴書の賞罰欄への記載義務、面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職や転職の難易度が高くなる
- 前科情報を秘匿して内定を獲得しても、就職後に前科の事実がバレると、経歴詐称を理由に懲戒解雇される可能性が高い
- 前科があると就業が制限される職業や資格があるため、キャリア形成に制限が生じる
- 前科があるとビザ・パスポートの発給制限を受ける可能性があり、海外旅行や海外出張に支障が生じる
- 前科は法定離婚事由に該当するため、配偶者から離婚を求められると最終的に拒否できない
- 前科がある状態で再犯に及ぶと、刑事処分が重くなる可能性が高い
小児性愛者が再犯に及んだときに弁護士に相談するメリット6つ
小児性愛者が再犯事件を起こしたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。
というのも、刑事事件への対応を得意とする弁護士の力を借りることで、以下6つのメリットを得られるからです。
- 自首をするときのサポートをしてくれる
- 被害者との間で示談交渉を開始してくれる
- 早期の身柄釈放を目指した防御活動を展開してくれる
- 起訴猶予処分獲得を目指した防御活動を展開してくれる
- 少しでも有利な量刑判断を引き出すための防御活動を展開してくれる
- 小児性愛などの精神疾患克服に役立つ現実的なサポートを期待できる
自首に関するアドバイスをしてくれる
小児性愛者が再犯に及んだとしても、警察に発覚する前であれば、自首をするべきかどうかを検討できます。
被害者が警察に相談する前に自ら警察に出頭すれば、自首をした姿勢が評価されて有利な刑事処分を獲得したり、自首減軽によって有利な量刑判断を引き出しやすくなったりします。
弁護士に相談・依頼すれば、自首について以下のようなメリットを提供してくれるでしょう。
- 事件に関する客観的状況を踏まえて、現段階で自首をするべきか否かについて判断してくれる
- 自首をする前に被害者との間で示談交渉を進めるべきかを検討してくれる
- 自首をした際に実施される取り調べでどのような供述をするべきかについてアドバイスをくれる
- 自首をする際に警察署まで同行してくれる
被害者との間で早期に示談交渉を進めてくれる
刑事事件への対応が得意な弁護士に依頼すれば、早期に性犯罪被害者との間で示談交渉を開始してくれます。
被害者との間で示談が成立すれば、刑事手続きを有利に進めたり、軽い刑事処分や判決を獲得しやすくなったりします。
ところが、性犯罪の被害者が未成年者などの場合には示談交渉の相手方は被害者の親などになるのが一般的ですが、加害者本人が示談交渉をおこなおうとしても、怒りや不安などが原因で話し合いを拒否されるケースも少なくありません。
弁護士が代理人として話し合いに対応すれば、被害者との示談交渉において以下のメリットを得られるでしょう。
- 弁護士が代理人に就任するだけで被害者側に一定の安心感を与えることができるので、示談交渉に不可欠の連絡先を入手しやすくなる
- 怒りや不安で感情的になっている被害者側も、弁護士が交渉のテーブルにつくことで、冷静に話し合いに応じてくれやすくなる
- 被害者側から不当な請求をされたとしても、弁護士は丁寧に話し合いを進めてくれるので、相場どおりでの示談条件での合意形成を期待しやすくなる
- 宥恕条項や清算条項など、示談書に盛り込むべき内容を漏れなく記載してくれる など
早期の身柄釈放を目指した防御活動を展開してくれる
小児性愛者が再犯に及ぶと、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されるリスクが大きいです。
しかし、長期間の身柄拘束は、それだけで被疑者の社会生活に大きな悪影響を及ぼします。ですから、小児性愛者が再犯に及んで刑事訴追されたときには、早期に適切な防御活動を展開して、逮捕・勾留を回避したり、逮捕・勾留されたとしても早期の在宅事件化を目指すべきだと考えられます。
刑事事件に強い弁護士は捜査機関への対応方法も熟知しているので、取り調べでの供述内容や捜査機関に任意提出するべき証拠の選定などについてアドバイスを提供したり、準抗告や取り消し請求などの法的措置をとったりして、身柄拘束によるデメリットの回避・軽減を目指してくれるでしょう。
不起訴処分獲得を目指してくれる
小児性愛者が再犯事件を起こしたとしても、検察官から不起訴処分の判断を引き出すことは可能です。
というのも、不起訴処分は以下3種類に区分されており、実際に犯行に及んだ事実を争う余地がない事案でも起訴猶予処分が下される余地が残されているからです。
- 嫌疑なし:被疑者が犯行に及んだ客観的証拠が存在しない冤罪のケース。
- 嫌疑不十分:被害者が犯行に及んだ事実を証明する客観的証拠が不足しており公判を維持できないと判断されるケース。
- 起訴猶予:被疑者が刑事事件を起こした事実に間違いはないものの、事案をめぐる事情を総合的に考慮すると、刑事裁判にかける必要がないと判断されるケース。
起訴猶予処分を下すかどうかを判断するときには、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況などの諸般の事情が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。
刑事実務に詳しい弁護士の力を借りれば、更生施設へ入所する段取り、家族などのサポート体制の整備、事情聴取での供述方針へのアドバイスなどを通じて、起訴猶予処分獲得の可能性を高めてくれるでしょう。
少しでも軽い判決獲得を目指してくれる
小児性愛者が再犯事件を起こして起訴された場合には、実刑判決を回避できるかがポイントになります。言い換えれば、執行猶予付き判決の判断を引き出すことができるかが重要だということです。
執行猶予が付くかどうかは、自首減軽・酌量減軽などのテクニックを使ったり、社会生活を送りながら自力更生が可能だという証拠を用意できるかにかかってきます。刑事裁判実務に詳しい弁護士に依頼すれば、事案の状況を踏まえたうえで、執行猶予付き判決の判断を引き出すための防御活動を展開してくれるでしょう。
小児性愛などの精神疾患克服に向けた現実的なサポートを期待できる
児童ポルノ禁止法違反や不同意性交等罪、盗撮事件などを繰り返してしまう被疑者・被告人は、小児性愛や性依存症などの精神疾患を抱えている可能性が高いです。このような疾患を克服できなければ、常に再犯リスクを抱えてしまうため、安定的かつ建設的な社会復帰を目指しにくいでしょう。
刑事事件を得意とする弁護士は、提携しているカウンセラーやNPO法人、医療機関などを紹介するなどして、依頼者が本当の意味で更生を目指せる環境を整えてくれるでしょう。
小児性愛者が再犯に及んでしまったときには早期に弁護士へ相談・依頼しよう
小児性愛者が再犯事件を起こしたときには、速やかに弁護士に相談・依頼をしてください。
というのも、過去の同種の前科・前歴がある状態で犯行に及んだ事実が警察に発覚すると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されたり、重い刑事処罰を科されたりしかねないからです。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、性犯罪弁護や小児性愛などの問題を抱えた相談者の法的サポートを得意とする専門家を多数紹介中です。弁護士に相談するタイミングが早いほど刑事手続きを有利に進めやすくなるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士までお問い合わせください。