不同意性交等罪とは?注意点や問題点を詳しく解説

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不同意性交等罪は、かつての強姦罪や強制性交等罪に代わって新設された犯罪であり、相手の同意を得ずに性交等を行った場合に成立します。2023年の法改正によって性同意年齢が16歳に引き上げられたことや、成立要件の緩和によって処罰の範囲が広がったことから、注目されている法律のひとつです。

しかし、実際の現場では「同意の有無」をめぐる判断が極めて難しく、とくにカップルや夫婦間であっても不同意性交等罪が成立する可能性があります。たとえば「一緒にホテルに行ったから同意しているはず」「交際しているから当然に認められているはず」といった思い込みは、裁判では一切通用しません。

また、不同意性交の事件は密室で行われるケースが多いため、被害者の証言が重視されやすく、加害者側は同意を立証することが困難です。そのため、被害者にとっても加害者にとっても慎重な対応が求められる犯罪といえます。

本記事では、不同意性交とは何かという基本的な定義から、成立条件、強姦罪・強制性交等罪との違い、法的リスク、そして被害者目線での注意点について詳しく解説します。被害に遭った際に取るべき対応や、証拠を残す重要性についても触れていますので、「不同意性交の注意点」を知りたい人はぜひ参考にしてください。

不同意性交とは何か

不同意性交とは、正確には「不同意性交等罪」という刑法犯であり、同意を得ずに相手と性交等を行った場合に成立する犯罪です。過去には「強姦罪」や「強制性交等罪」という犯罪がありましたが、現在は「不同意性交等罪」という罪状しかありません。

まずは、不同意性交等罪とは何か?どういった場合に成立するのか?について詳しく解説します。不同意性交について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

法律上の定義と成立条件

不同意性交は、刑法第177条に規定されている「不同意性交等罪」という犯罪を指します。法律上の定義は「被害者の同意を得ることなく性交等を行った場合」に成立する犯罪です。

成立要件を整理すると以下のとおりです。

  • 同意を得ずに
  • 性交等をした場合

具体的には、「同意をしていない」もしくは「同意せざるを得ない状況」で性交等を行った場合に成立する犯罪であると考えておけば良いです。

そして、性交等とは以下の行為が該当します。

  • 性交
  • 口腔性交
  • 肛門性交

そして、不同意性交等罪は年齢制限が細かく定められています。まず、13歳未満の者に対して性交等を行った場合は、同意の有無に関わらず不同意性交等罪が成立します。

たとえば、中学1年生(12歳)と中学3年生(15歳)が自由恋愛に基づいて性交等を行うケースがあります。この場合、中学1年生側が13歳未満であるため、中学3年生に対して不同意性交等罪という犯罪が成立する可能性があるのです。

そして、13歳以上16歳未満の場合は、5歳以上年長者である場合に不同意性交等罪が成立します。たとえば上記条件で中学1年生の者が13歳になり、15歳の相手と性交等を行ったとしても不同意性交等罪は成立しません。

一方で、中学1年生(13歳)と高校3年生(18歳)の者が性交等を行った場合は、5歳以上年長者であるため、不同意性交等罪が成立し得ます。たとえ、自由恋愛に基づいてお互いに同意があったとしても、犯罪として成立し得るため注意しなければいけません。

不同意性交等罪で年齢制限がある理由は、性的同意年齢が16歳に引き上げられたためです。2023年7月13日に性同意年齢に関する法律が改定され、引き上げられています。

強姦罪・強制性交等罪との違い

不同意性交等罪は、過去の「強姦罪」や「強制性交等罪」と似た犯罪です。時系列をもとに解説すると以下のとおりです。

罪状 法定刑 時期
強姦罪 3年以上の懲役 2017年7月12日まで
強制性交等罪 5年以上の有期懲役 2023年7月12日まで
不同意性交等罪 5年以上拘禁刑 現在の法律

強姦罪や強制性交等罪、不同意性交等罪は、いずれも相手の同意なく性交等を行う行為によって成立する犯罪であることに変わりはありません。また、強姦罪から強制性交等罪に法改正されたことをきっかけに、法定刑が引き上げられています。

【拘禁刑とは】
拘禁刑とは、2025年6月1日に始まった刑罰です。これまでの禁錮刑と懲役刑を一本化し、「拘禁刑」という刑罰に変わりました。

そして、強姦罪から強制性交等罪、不同意性交等罪へと成立要件が大きく緩和されています。まず、強姦罪は「脅迫を用いて13歳以上の少女に対して姦淫」した場合に成立する犯罪でした。

つまり、対象者は女性のみであり、男性が性被害にあってもこれを罰する法律が存在しませんでした。また、対象が膣性交のみが対象であり、成立要件が厳しいのが豪管財です。

その後、強制性交等罪に変わり、対象者が男性も含まれるようになりました。そして、脅迫以外にもアルコール等によって意識がはっきりしていない状況も含むなど、成立要件が大幅に緩和され、なおかつ法定刑が引き上げられています。さらに、膣性交以外にも肛門性交や口腔性交等も対象となっています。

そして、不同意性交等罪に変わったことで公訴時効が10年から15年に引き上げられ、さらに性同意年齢が16歳に引き上げられています。さらに、「同意しない意思を形成、表明、全うが困難な状態での性交等」が処罰対象です。

これまでの強制性交等罪と比較して範囲が広がり、処罰しやすくなった点が大きな変更点です。

同意の有無が争点になるケース

不同意性交等罪は、「同意の有無」が争点になるケースが多いです。法律に定められている年齢に反している場合は、同意の有無に関わらず犯罪が成立します。先ほども解説したとおり、13歳未満は無条件で同意がなかったと判断されます。

13歳以上16歳未満の場合は、加害者側が5歳以上年上かどうかで判断されます。

同意の有無が争点になるケースは、上記年齢を満たしていないケースです。たとえば、成人者同士の場合です。

たとえば、加害者側が「一緒にホテルに行ったのだから、同意を得ていると思っていた」と思う反面、被害者側は「ホテルへ一緒に行ったのは休憩するつもりだった」というケースがあります。

一見すると、「ホテルへ行く=同意している」と判断する人も少なからずいるでしょう。ましてや、そういった雰囲気の中で「性交等をしても良いか?」「良いですよ」と同意を得る人は少ないです。

そのため、「良いと思って行為に及んだ」という人と、「同意しているつもりはなかった」という双方の言い分で同意の有無が争点になるケースが多いのです。

性行為における同意の範囲

性行為における同意の範囲としては、極端なことを言えば行為に至る前にお互いに同意書を書けば問題ないでしょう。しかし、性交等を行おうとしている時点で「雰囲気」を大事にしている人が多く、「行為の前に同意書書いてもらって良い?」と言える人は少ないでしょう。

そのため、裁判では以下の事情があったかどうかで同意の有無を判断するケースが多いです。

  • 暴行・脅迫
  • アルコールや薬物の影響
  • 心身の障害
  • 意識がはっきりしない状態

上記状況がなかったとしても、相手方が「同意していなかった」と言えば同意があったことを証明するのは非常に困難です。また、不同意性交等罪は婚姻関係にある夫婦、自由恋愛に基づくカップル間であっても成立し得るのです。

「夫婦だから同意があった」「付き合っているから同意があった」ということが通用しない法律である点に注意が必要です。

仮に、その場ではお互いに同意があったとしても、その状況を客観的に証明できる何かがなければ犯罪として成立してしまう点にも注意しなければいけません。一番安全な方法は、同意書を書いたり、性的同意記録サービス(アプリ)の利用検討をするしかありません。

不同意性交の問題点

不同意性交等罪は、以下の問題点が挙げられます。

  • 成立要件が曖昧で判断が難しい
  • 被害者の証言が重視される一方で、証拠確保が困難

次に、不同意性交等罪の問題点について詳しく解説します。

成立要件が曖昧で判断が難しい

不同意性交等罪の成立要件は、以下のとおりです。

  • 16歳未満の者に対して性交等を行った場合(13歳から15歳の者は5歳以上離れている場合)
  • わいせつな行為ではないと誤信させたり、人違いをさせたりすること、もしくはそのような誤信や人違いに乗じて性交等を行う
  • 同意しない意思を形成、表明、全うが困難な状態での性交等

上記のいずれかに該当した場合は、不同意性交等罪が成立します。本記事で解説しているとおり、たとえば年齢制限による成立要件は至ってシンプルです。そのため、争点になることはほとんどありません。

一方で、「同意しない意思を形成、表明、全うが困難な状態での性交等」の場合は、成立要件が非常に曖昧です。たとえば、「相手が同意していたかどうか」を客観的に証明することが難しいです。

「ホテルに一緒に行ったから同意した」「家に遊びに来てくれたから、同意しているものと思った」と考える人もいるでしょう。しかし、被害者からすると「そういうつもりではなかった」となるケースも多いです。

具体的にどのようなケースで同意がなかったと見なされるのか、について明記されていないため、曖昧な法律、「言ったもの勝ちの法律」とも言われています。

被害者の証言が重視される一方で証拠確保が困難

不同意性交等罪は、同意なしに性交等を行った場合に成立する犯罪です。通常、性交等を行う場合は密室で行われるため、客観的な証拠を明示するのが困難です。このことから、被害者側の証言が重視されるケースが多いのです。

被害者側が「同意していなかった」と言えば、その主張が重視されてしまいます。不同意性交等罪の疑いをかけられている側は、「相手が同意していた証拠」を提示しなければいけません。

先ほども解説したとおり、夫婦だから、カップルだからといった形は通用しません。また、「家に遊びに来たから同意していた」「ホテルに来たから同意していた」といったことも通用しません。

そのため、「同意していたことの証明」が非常に難しく、加害者側からすると相当不利な犯罪である点に注意が必要です。

不同意性交の法的リスク

不同意性交等罪に問われた場合、以下の法的リスクが発生します。

  • 刑事罰に問われる
  • 民事上の損害賠償リスク
  • 前科や社会的影響
  • 示談や刑事裁判の影響

次に、不同意性交等罪に問われた場合の法的リスクについても詳しく解説します。

刑事責任が問われる場合

不同意性交等罪は犯罪です。同意を得ずに性交等を行った場合は、刑事責任を問われる可能性があります。逮捕され、刑事裁判を受けて5年以上の有期拘禁刑に処されることになるでしょう。

法定刑が5年以上の有機拘禁刑であることから、執行猶予付きの判決が付く可能性はゼロに近いです。

【執行猶予とは】
刑罰の執行を一定期間猶予することを指します。執行猶予は3年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金にのみ付けられます。法定刑が5年以上の有期拘禁刑である不同意性交等罪は、減刑されない限り執行猶予がつきません。

民事上の損害賠償リスク

不同意性交等罪は、被害者側の心に大きな傷を負わせることとなります。そのため、民事上でも多大な賠償責任を負う可能性があるため注意しましょう。

治療費や慰謝料等で数百万円以上の損害賠償が認められるケースもあります。刑事罰だけではなく、民事上の責任も負うことを覚えておきましょう。

前科や社会的影響について

不同意性交等罪で有罪判決が付いた場合は、前科が残ります。このことにより社会復帰が難しくなったり、就職先が限定されたりする可能性があるでしょう。

前科は一生涯消えることはなく、万が一、同じことを繰り返した場合(再犯)は前回よりも重い刑罰が言い渡されることになるため注意しましょう。

示談による影響

不同意性交等罪について罪を認めた場合、被害者側との示談交渉を視野に入れることになるでしょう。示談交渉を行う場合は、相手に対して金銭等を支払わなければいけません。

金額は相手との交渉次第になるものの、高額になるケースが多いです。そのため、経済的損失も大きくなる点に注意が必要です。

【被害者目線】不同意性交の注意点

被害者目線で見る不同意性交等の注意点は、以下のとおりです。

  • 証拠・記録を残す
  • 信頼できる相談先を選ぶ
  • 加害者との接触を避ける
  • 刑事手続きや示談での注意点について

同意をせずに性交等をされた被害者は、身体的のみならず心に深い傷を負っていることでしょう。それでも「相手を許せない」という気持ちが強いのであれば、上記のことに注意をしたうえで適切に対処・対応することが大切です。

次に、不同意性交等の注意点について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

証拠を残す・記録する重要性

不同意性交等罪の被害者になった場合は、証拠や記録を残しておきましょう。被害にあった場合は、「思い出したくもない」そう思うかもしれませんが、記憶が鮮明なうちに記録しておくことが大切です。

「◯月◯日、〇〇(場所)で〇〇(誰)に〇〇をされた」のように記録しておくと安心です。また、同意をしていなかったことを証明するためにも、信頼できる友人等に相談しておくことも検討しましょう。

たとえば、「今日、〇〇に〇〇されて。嫌だって断ったのに無理やりされた」などと相談しておくとその内容が証拠になり得ます。また、できるだけ早めに警察へ相談することも検討しましょう。

期間が空きすぎると「なぜ今になって相談をしてきたのですか?」と言われ、本当は同意していたのではないか?のように嫌なことを言われてしまう原因になり得ます。

信頼できる相談先の選ぶ

信頼できる相談先を選ぶことも大切です。不同意性交等罪はデリケートな問題であることから、万が一にも情報漏洩や間違った噂の拡散等を避けたいと考える人が多いでしょう。

これらのリスクを考慮すると、本当に信頼できる人にのみ相談をするべきです。まずは、警察への相談や弁護士への相談、必要に応じて家族や友人等への相談を検討してみましょう。

加害者との接触を避ける

不同意性交等が発生した場合は、不用意に加害者に接触するのは避けましょう。たとえ、相手方と友人関係にあったとしても、同意なしに性交等を行われたのも事実です。

弁護士等の専門家を介さずに接触をしてしまうと、相手方から示談を持ちかけられたり脅されたりする可能性があります。示談については、決して悪いことではないものの、弁護士に相談をしたうえで専門家適切な方法で交渉を成立させたほうが良いです。

相手の言い分をすべて飲んで示談を成立させてしまうと、後悔する結果になりかねません。

刑事手続きや示談での注意点

刑事手続へ進む場合は、あらかじめ証拠と証言を明確にしておく必要があります。また、可能な限り記憶が鮮明なうちに警察へ相談をしたほうが良いです。

警察も被害者の話を聞きはするものの、「本当に同意がなかったのか?」「不同意性交等罪として成立するか?」を慎重に判断しなければいけません。そのため、被害者にとって嫌なことを言われたり聞かれたりする可能性があります。

そのため、証拠と証言を明確にし、可能であれば弁護士へ相談をしてから警察署に出向く流れが一番好ましいでしょう。

【加害者目線】不同意性交の注意点

加害者目線で不同意性交等罪に関する注意点は、以下のとおりです。

  • 法的責任を回避することは原則不可能
  • 同意の証明が難しいことを理解する
  • 示談や弁護士相談の活用方法
  • 逮捕・勾留の可能性について

不同意性交等罪の罪に問われた場合、あなたは加害者となります。しかし、その場では同意があるように見せかけて行為に及び、後から「同意していなかった」と言われる可能性もゼロではありません。この場合、あなた自身も被害者であると言えます。

次に、不同意性交等罪の注意点を加害者目線で解説しますので、ぜひ参考にしてください。

法的責任を回避することは原則不可能

不同意性交等罪に問われた場合、法的責任を回避することは原則不可能です。不同意性交等罪は、同意の証明が非常に難しく、一度罪に問われてしまった場合は有罪判決が下される可能性がとても高いです。

仮に「同意があった」と主張をしても、同意があったことを証明できる証拠がなければ、罪が重くなってしまう可能性があります。そのため、状況を把握したうえで弁護士と相談し、被害者との示談交渉を進めたほうが良いケースもあるため覚えておきましょう。

同意の証明が難しいことを理解する

不同意性交等罪は、同意があったことの証明が非常に難しいです。本記事で何度もお伝えしているとおり、「ホテルへ行ったから」「夫婦だから」「カップルだから」と言った理由は一切通用しません。

では、どうやって同意を証明するのか?といえば、同意書の有無や性的同意記録サービスの利用等でしょう。しかし、現実的にそういった雰囲気の中で同意書を作成したり性的同意記録サービスを利用したりするのは困難です。

そのため、相手に不同意性交等を訴えられた場合は、同意の証明が難しいことが難しいことを覚えておきましょう。そうならないためにも、相手との信頼関係のもとで行為に及ぶことが大切です。

示談や弁護士相談の活用方法

不同意性交等罪を認める場合は、被害者側と示談交渉を進めることが減刑や処分の軽減につながります。示談交渉は、弁護士を通して行うのが一般的です。

被害者側も加害者であるあなたと直接連絡をとったり交渉をしたりしたいと思わないのが普通です。そのため、弁護士を通したうえで適切な示談金額で適切な書面を作成し、交渉を成立させることが好ましいです。

逮捕・勾留の可能性について

不同意性交等罪に問われた場合、逮捕・勾留される可能性があります。逮捕・勾留された場合は、長期間にわたって身柄拘束されることとなり、社会的な影響も大きくなるため注意しなければいけません。

ましてや、性犯罪の疑いをかけられているとなれば、周囲からの目も厳しくなり、社会復帰も難しくなります。そのため、相手と性交等を行う場合は「同意の有無」を明確にし、万が一にも罪に問われないリスク管理がとても重要です。

不同意性交の防止策

不同意性交の防止策として有効な手段は、以下のとおりです。

  • 同意確認の重要性
  • 相手の意思を尊重する習慣

次に、不同意性交等罪に問われないための防止策について詳しく解説します。

同意確認の重要性

不同意性交等罪は、「同意がなかった場合」に成立する犯罪です。性別を問わず、相手の同意を得ずに性交等を行った場合は、不同意性交等罪に問われる可能性があります。

また、同意があったとしても「同意せざるを得ない状況」であった場合は、罪に問われます。たとえば、「同意しなければ〇〇する」などと脅迫をしたうえで同意書にサインをさせたようなケースです。この場合は、不法行為に基づく同意であるため、当然、同意は無効です。

そのため、2人の関係性等にもよりますが、「雰囲気」ではなく「はっきりとした同意」を得ることを常に意識しておくことが大切です。リスクを最小限にするためには、言葉のみじゃなく、書面や何らかのやり取りについても残しておくと安全でしょう。

相手の意思を尊重する習慣

相手の意思を尊重する習慣も大切です。たとえば、夫婦間やカップル間であっても相手が「嫌だ」と明確に拒否しているにも関わらず、無理やり性交等を行えば不同意性交等罪が成立し得ます。

そのため、常日頃から相手の意思を尊重し、「嫌だ」など明確な意思表示があった場合は、その日は何もしないなど徹底することがとても大切です。

よくある質問

不同意性交等罪に関するよくある質問を紹介します。

Q.同意が曖昧だとどうなりますか?

A.曖昧なまま行為に及んでしまった場合、罪に問われる可能性があります。

不同意性交等罪は「同意の有無」によって成立するか否かが変わります。曖昧な同意である場合は、後から「同意していなかった」と言われる可能性もあるため注意しなければいけません。

このようなリスクを回避するためにも、「はっきりとした同意を得られない場合は行為に及ばない」ということを徹底したほうが良いでしょう。

Q.被害者が未成年の場合の対応は?

A.未成年かどうかに関わらず、同意の有無によって成立可否が異なります。

不同意性交等罪は「同意の有無」によって成立するかどうかが変わります。たとえば、13歳未満の者に対しては、無条件で「同意がなかった」と判断されます。

13歳以上16歳未満であれば、加害者側の年齢によって同意有無が異なるため注意しましょう。5歳以上年長者である場合は、無条件で「同意がなかった」と判断されるため注意しなければいけません。

そして、16歳以上の未成年者であっても同意があれば不同意性交等罪には問われません。同意がなければ、不同意性交等罪に問われるため注意しましょう。

Q.加害者が知らなかった場合は処罰される?

A.お互いに同意の有無を確認する必要があり、「知らなかった」は通用しません。

性交等を行う場合は、お互いに同意を確認する必要があります。後から「法律を知らなかった」「同意しているもんだと思っていた」と言っても通用しません。相手が後から「同意していなかった」と言ってくる可能性も考慮して、あらかじめ同意を確認しておく必要があるのです。

Q.示談で解決できるケースはありますか?

A.示談で解決できるケースもあります。

不同意性交等罪は、被害者の処罰感情によって処分や刑罰に影響を与える可能性が高い犯罪です。そのため、被害者との示談成立によって処罰感情がなくなったことが明らかとなれば、不起訴処分になる可能性もあるでしょう。

できるだけ早めに弁護士へ相談をし、示談交渉を進めて不起訴処分を目指すのもひとつの手段です。まずは、刑事弁護に強い弁護士への早期相談を検討してください。

Q.証拠が不十分でも警察に相談するべきですか?

A.証拠が不十分でも警察へ相談をしましょう。

あなたが証拠が不十分であると考えていても、実際にはさまざまな証拠が揃っているケースもあります。また、被害者であるあなたの証言が何よりもの証拠になり得ます。

周辺の状況や証言、やり取り等を考慮して立件できる可能性もあるため、まずは相談をしてみましょう。不安な場合は、初めに弁護士へ相談してみるのもひとつの手段です。弁護士へ相談することで、適切なアドバイスを受けられるためです。

Q.複数人の関与がある場合はどうなりますか?

A.事件に関与した人全員が不同意性交等罪に問われます。

不同意性交等罪の被害者や加害者は、必ずしも1対1ではありません。複数人に不同意性交等罪をされた場合は、その行為に関与した全員が罪に問われます。被害者が複数人いる場合は、それぞれの事件において立件されます。

まとめ

不同意性交等罪は、相手の同意を得ない性交等を処罰対象とする重大な犯罪です。性同意年齢が16歳に引き上げられたことや、同意が困難な状況下での行為も含まれるようになったことで、処罰範囲が拡大しました。

過去の強姦罪や強制性交等罪と比較しても、被害者保護を重視した内容になっており、同意の有無が争点となるケースが非常に増えています。その一方で、成立要件の曖昧さや証拠確保の困難さが指摘されており、被害者・加害者双方にとってリスクの大きい法律といえます。

被害に遭った場合には、できるだけ早く警察や弁護士に相談し、証拠や記録を残すことが重要です。また、信頼できる第三者に相談しておくことで、後に証言として役立つ場合もあります。

加害者と接触を避け、適切な手続きを踏むことが被害回復につながる第一歩です。逆に、加害者側にとっては「同意していた」と証明するのが難しいため、普段から相手の意思を尊重し、明確な合意を得ることが何よりも重要となります。

不同意性交の注意点を理解し、誤解やトラブルを防ぐことは、被害者の権利を守るだけでなく、自身を法的リスクから守るうえでも不可欠です。本記事を参考に、日常生活の中で適切に意識していきましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、勾留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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