被害届が出ているかどうかを自力で調べるのは簡単ではありません。被害届を出すかどうかはあくまでも被害者側が判断することですし、捜査機関に問い合わせたところで正直な回答は期待できないからです。
つまり、知らないうちに被害届が出されて捜査活動が展開されており、ある日いきなり警察に逮捕されるという事態もあり得るということです。
着々と進められる捜査活動に遅れをとってしまうと、強制的な身柄拘束や不利な刑事処分を下されかねません。ですから、過去に刑事事件を起こした心当たりがあるのなら、被害届が出ているかどうかを的確に予測し、事案の状況に応じた防御活動などを検討するべきだと考えられます。
そこで、この記事では、被害届が出ているかどうか不安を抱えている人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 被害届が出ているかを確認する方法
- 被害届が出されたあとの刑事手続きの流れ
- 被害届が出されたせいで生じる可能性があるデメリット
- 被害届が出されたか不安なときに弁護士に相談するメリット
目次
被害届が出ているかどうかを確認する方法はある?
まずは、被害届が出ているかどうかを確認する方法の有無、被害届が出されたかどうかを調べる方法について解説します。
警察に連絡しても被害届が出されたかどうかは教えてくれない
大前提として、警察に連絡をしても、自分を被疑者とする被害届が出されているかどうかを教えてくれる可能性は極めて低いです。
というのも、被害届が出されているかどうかは「捜査上の秘密」に該当する重要事項だからです。たとえば、被害届が出されていると被疑者に伝えてしまうと、被疑者が事件に関する証拠などを隠滅したり逃亡を図ったりして、捜査活動が円滑に進みにくくなるのは明らかです。このようなリスクを排除する必要があるため、警察に対して被害届が出されているかを確認しても回答してもらえません。
警察から出頭要請がかかると被害届が出されている可能性が高い
警察に対して問い合わせをしても被害届が出されているかについて直接的な回答はもらえませんが、警察から電話などの方法で出頭要請がかかったときには、被害届が出されていると判断して差し支えないでしょう。
というのも、警察が被疑者に対して出頭要請をかけてきたということは、すでに刑事事件についてある程度の捜査活動が進んでいるということであり、当然ながら被害者にも接触をして参考人聴取が実施済みの状況だと推察されるからです。
また、実際に事情聴取を受けているときのやりとりのなかで、捜査員側が被害届が提出されていることを前提とした発言をする可能性もあります。
いずれにしても、被疑者という立場で警察側と直接やりとりをする状況になったときには、被害届が出されたものだと理解してください。
被害者に直接確認すれば被害届を提出したか判明するがリスクは高い
原則として、被害届は被害者本人が出すものです。
ですから、被害者本人に対して直接確認すれば、被害届を出したかどうかが判明するでしょう。
ただし、刑事事件の加害者が被害者に対して直接連絡をするのは慎重であるべきです。
いきなり加害者から連絡がくると被害者は恐怖心や不安を抱くでしょうし、不信感を与えてしまうと今後の示談交渉が円滑に進みにくくなってしまいます。
弁護士に依頼をして被害者とコンタクトをとってもらう
トラブルを排除しながら被害届が出されたかどうかを確認したいなら、弁護士の力を借りるのがおすすめです。
たとえば、被害者に対して加害者本人が直接連絡をするのではなく、弁護士が代理人として接触をすれば、被害者側の拒否反応を和らげることができます。
また、弁護士が被害者と接触したタイミングで示談交渉も開始することも可能です。
弁護士に示談交渉を任せれば、刑事手続きにおいて以下のメリットを得られるでしょう。
- 弁護士が代理人に選任すると、捜査機関経由で被害者の連絡先を入手しやすくなる
- 被害届・告訴状の取り下げを期待できる
- 早期の示談成立によって逮捕・勾留を回避しやすくなる
- 微罪処分や起訴猶予処分、執行猶予付き判決など、有利な刑事処分や量刑判断を引き出しやすくなる
- 被害者側から不当な示談条件を提示されたとしても、丁寧に話し合いを進めて、相場どおりの示談金条件での和解成立を期待できる
- 宥恕条項や清算条項など、必要事項を漏れなく盛り込んだ示談契約書を作成してくれる
- 弁護士がすべての手続きを代理してくれるので、話し合いに要する時間・労力を節約できる など
被害者が警察に被害届を出したらどうなる?
被害者に被害届を出されたときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 警察が被害届を受理するかを決定する
- 警察から出頭要請がかかる、場合によっては通常逮捕される
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察官に送致される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が起訴・不起訴を決定する
- 公開の刑事裁判にかけられる
警察が被害届を受理するかどうかを決定する
まずは、警察が被害届を受理するかどうかを決定します。
本来、警察には被害届を受理する義務が課されています(犯罪捜査規範第61条)。
第61条 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
2 前項の届出が口頭によるものであるときは、被害届(別記様式第6号)に記入を求め又は警察官が代書するものとする。この場合において、参考人供述調書を作成したときは、被害届の作成を省略することができる。
(犯罪事件受理簿)
第62条 犯罪事件を受理したときは、警察庁長官(以下「長官」という。)が定める様式の犯罪事件受理簿に登載しなければならない。
引用:犯罪捜査規範|e-Gov法令検索
ただし、実際の捜査実務では、被害者から事情を詳しく聴取したうえで、事件性が明確なときに限って被害届が受理されます。たとえば、事件性の有無が不明確な事案や、民事不介入の原則が適用される事件については、被害届は受理されません。
これに対して、被害者側が5W1Hを意識した丁寧な被害届を作成し、事情聴取の際に的確な供述をしたようなケースでは、被害届が受理される可能性は高いでしょう。
警察から出頭要請がかかる
被害届が受理されると、警察が被疑者に対してアプローチをかけてきます。
通常逮捕されるパターン
被害届を受理した結果、逮捕状が発付されると、通常逮捕されます。
通常逮捕とは、裁判所が発付する逮捕令状に基づいて実施される強制的な身柄拘束処分(強制処分)のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。
逮捕状が発付されるのは、以下2つの要件を満たしたときです。
- 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
通常逮捕される場合、平日早朝の自宅など、被疑者が所在しているのが明らかなタイミングを見計らって捜査員がいきなりやってきて、そのまま警察署に連行されます。
逮捕状が執行される日時や時間帯、連行されるタイミングなどを調整することはできません。たとえば、「今から仕事があるから逮捕状が執行されるタイミングを別の日に調整してほしい」「警察署に連行される前に会社や家族に電話連絡をいれたい」などの要望は一切聞き入れてもらえないでしょう。
任意での出頭要請がかけられるパターン
被害届を受理した結果、逮捕状の発付請求をするほどの状況ではないものの、被疑者から事情を聞く必要があると判断された場合には、任意で出頭するように警察から要請されます。
任意の出頭要請は、電話や郵便物、直接の訪問などの形式でおこなわれます。
通常逮捕とは異なり、出頭要請は被疑者側の任意を前提としたものなので、出頭要請に応じなかったとしても、それ自体に対して何かしらのペナルティが科されるわけではありません。また、出頭したあとの事情聴取は数時間程度で終わりますし、事情聴取が終われば帰宅できます。さらに、事情聴取を途中で切り上げて退出する自由も認められています。つまり、任意の出頭要請に誠実に向き合えば、家族や会社にバレることなく刑事手続きに対応できるということです。
ただし、正当な理由がないのに任意の出頭要請を拒否したケース、任意の事情聴取で黙秘をつづけたケース、明らかに客観的証拠や被害者の供述と反する事実を述べたケースなどでは、逮捕状が発付されて強制的な身柄拘束手続きに移行するリスクに晒されます。
警察段階の取り調べが実施される
被害届が出されて警察がこれを受理すると、警察段階の取り調べが実施されます。
まず、逮捕後に実施される警察段階の取り調べについては受忍義務が課されています。そのため、どのような供述をするか、供述を拒否するかは自由ですが、取り調べ自体を拒否することはできません。
また、取り調べが終了しても帰宅できず、留置場に身柄をとどめられます。帰宅や出社などは一切許されず、スマートフォンなどで外部と連絡をとることも禁止されています。
ただし、逮捕後に実施される警察段階の取り調べには「48時間以内」の制限時間が設けられています(刑事訴訟法第203条第1項)。この制限時間がやってくると、被疑者の身柄・事件・証拠が検察官に送致されます。
なお、逮捕後の取り調べとは異なり、任意で実施される事情聴取には制限時間は設けられていません。
検察官に送致される
原則として、警察段階の取り調べが終了すると、被疑者の身柄・事件・証拠物はすべて検察官に送致されます(刑事訴訟法第246条本文)。捜査活動に関する最終決定権は検察官が有しているからです。
ただし、以下の要素を有する刑事事件については、送検されずに警察段階で刑事手続きが終了する可能性があります。このような事件処理は「微罪処分」と呼ばれます。
- 初犯であること
- 身元引受人がいること
- 犯情が極めて軽微であること
- 示談が成立しており、被害弁償が済んでいること
- 検察官があらかじめ指定した犯罪類型に該当すること
微罪処分の獲得に成功すれば、警察段階だけで刑事手続きを終了できますし、前科や有罪リスクに怯える必要もなくなります。
検察段階の取り調べが実施される
送検されたあとは、検察段階の取り調べが実施されます。
逮捕後に実施される検察段階の取り調べには「24時間以内」の制限時間が設けられています(刑事訴訟法第205条第1項)。警察段階の取り調べと同じように、被疑者の身体・行動の自由は大幅に制限された状態です。
検察段階の取り調べが終了すると、警察段階の48時間以内、検察段階の24時間以内、合計72時間以内で得られた証拠などを前提に、検察官が刑事事件を公訴提起するかどうか判断します。
なお、逮捕されずに在宅事件と扱われた場合、検察段階の取り調べにも制限時間は設けられていません。
一定の刑事事件は勾留請求の対象になる
刑事手続きの推移や刑事事件の内容次第では、原則的な72時間以内の取り調べだけでは、公訴提起判断に必要な証拠を収集できない可能性があります。
そこで、捜査機関がやむを得ない事情によって原則的な72時間以内の制限時間を遵守できないときには、検察官による勾留請求が認められています(刑事訴訟法第206条第1項)。
勾留請求が認められて勾留状が発付されると、被疑者の身柄拘束期間が原則10日以内の範囲内で延長されます。また、捜査活動上の特別な事情が存在する場合には、勾留延長請求によってさらに10日間以内(合計20日以内)の範囲内で強制的な身柄拘束を受けます(刑事訴訟法第208条各項)。
勾留請求が認められる代表例は以下のとおりです。
- 被疑者が取り調べで黙秘をしている場合
- 被疑者の供述内容が客観的証拠や共犯者のものと矛盾している場合
- 証拠物の捜索や鑑定などに時間を要する場合
- 事件の関係者の数が多く、参考人聴取に時間を要する場合 など
検察官が起訴・不起訴を決定する
警察段階・検察段階の取り調べが終了すると、検察官が公訴提起をするかどうか(起訴か不起訴か)を決定します。
起訴処分とは、刑事事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分は、刑事事件を刑事裁判にかけることなく検察官の判断で手続きを終了させる旨の意思表示を意味します。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、起訴処分が下された時点で、実質的に有罪になることが確定します。
ですから、「有罪になりたくない」「前科をつけたくない」と希望する場合には、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動が重要になると考えられます。
公開の刑事裁判にかけられる
検察官が起訴処分の判断を下した場合には、公開の刑事裁判にかけられます。
公開の刑事裁判が開かれるタイミングは、起訴処分から1ヶ月~2ヶ月が目安です。公訴事実を争わない場合には、第1回公判期日で結審します。これに対して、公訴事実を否認する場合には、複数回の公判期日を経て証拠調べや証人尋問などが実施されて判決が言い渡されます。
実刑判決(拘禁刑)が確定すると、刑期を満了するまで刑務所に収監されます。これに対して、執行猶予付き判決や罰金刑が確定すると、社会生活から隔離されることはなくなります。
今後の社会生活への影響を考慮すると、刑事裁判にかけられた場合には、実刑判決回避を目指した防御活動が重要になるといえるでしょう。
被害届が出されたあとに生じる可能性があるデメリット4つ
被害届が出されたときに生じる可能性があるデメリットを4つ紹介します。
- 強制的に身柄拘束される危険性がある
- 実名報道のリスクに晒される
- 会社や学校から何かしらの処分を下される可能性がある
- 有罪になってしまうと前科がつく
逮捕・勾留によって身柄拘束される危険性がある
被害届が出されて刑事事件を起こした容疑が固まると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されるリスクに晒されます。
刑事手続きにおいて想定される身柄拘束期間は以下のとおりです。
- 警察段階の取り調べ(逮捕段階):48時間以内
- 検察段階の取り調べ(逮捕段階):24時間以内
- 検察段階の取り調べ(勾留段階):最長20日間
- 起訴後勾留:刑事裁判が終了するまで
逮捕・勾留といった強制処分に基づく身柄拘束期間中は、プライバシーがほとんどない留置場生活を送らなければいけません。そのため、逮捕・勾留期間中は心身に相当のストレスを強いられます。
また、逮捕・勾留中は、外出はおろか外部への連絡さえ許可されません。家族や学校、会社などに、刑事事件を起こして逮捕された事実を隠しとおすのは難しいです。また、長期間の無断欠勤を理由に会社をクビになるリスクも高まります。
実名報道される危険性がある
刑事事件を起こすと、テレビの報道番組やネットニュースで実名報道される危険性があります。
もちろん、すべての刑事事件が実名報道の対象になるわけではありません。
一般的には、以下のような事情があると、実名報道の対象になりやすいと言われています。
- 深刻な被害が生じた刑事事件(殺人罪、放火罪、被害額が大きい窃盗罪・横領罪など)
- 社会的関心が高い刑事事件(性犯罪、特殊詐欺事件、賭博罪など)
- 著名人や社会的地位が高い職業についている人による刑事事件
- 被疑者が逮捕・起訴された刑事事件 など
一度でも実名報道されると、半永久的にインターネット上に刑事事件を起こした情報が残ってしまいます。
すると、結婚や就職・転職などのライフステージを順調に歩みにくくなったり、身近な人たちに犯罪歴が発覚して人間関係が壊れたりしかねないでしょう。
会社や学校から何かしらの処分が下される可能性がある
被害届が受理されて刑事事件化した事実が発覚すると、被疑者が所属している学校や会社から何かしらの処分が下される可能性があります。
まず、被疑者が会社員の場合、就業規則の懲戒規程に基づき、懲戒処分が下される可能性があります。一般的に、懲戒処分は「戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇」の7種類に分類されます。就業規則の内容次第ですが、悪質な刑事事件を起こしたり、実名報道されたせいで会社の社会的信用を失墜させたりした場合には、会社をクビになるリスクもあると理解しておきましょう。
また、被疑者が学生の場合、学則・校則の規定に基づいて「退学・停学・訓告」などの処分が下されます。特に、退学や停学などの重い処分が下されると、今後の進学や就職活動にも大きな支障が出る危険性があります。
有罪になると前科によるデメリットにも悩まされる
被害届を出された結果、有罪判決が確定すると、刑事罰が科されるだけではなく、前科がつく点に注意が必要です。
前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑などが確定した場合にも、前科持ちと扱われます。
そして、前科者になると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じる可能性があります。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
- 記載義務・回答義務に違反して前科の事実を申告せず内定を獲得したり就職を果たしたりすると、その後、前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に内定が取り消されたり懲戒解雇処分が下されたりする
- 前科を理由に就業が制限される資格・仕事がある(士業、警備員、金融業など)
- 前科を理由に離婚を言い渡されたり結婚話がなくなったりしかねない
- 前科があると、ビザやパスポートの発給制限を受ける場合がある(海外旅行、海外出張に支障が生じる)
- 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い など
日本の刑事裁判で無罪判決を獲得するのは簡単ではありません。
ですから、前科によるデメリットを回避したいなら、被害届が出されてすぐに適切な防御活動を開始したうえで、起訴猶予処分獲得を目指すべきでしょう。
被害届が出されているか不安なときに弁護士に相談するメリット4つ
被害届が出されているか不安を抱いたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。
刑事事件への対応が得意な弁護士に相談・依頼をすることで、以下4つのメリットを得られるでしょう。
- 被害届が出されたかを想定したうえで、現段階で自首するべきか判断してくれる
- 被害者との間で示談交渉を進めてくれる
- 刑事手続きを有利に進めるための防御活動を展開してくれる
- 日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
現段階で自首するべきか判断してくれる
自首とは、犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前に犯人自身が捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求める意思表示をすることです。
自首が有効に成立すれば、刑事裁判において自首減軽の恩恵を受けることができますし、起訴猶予処分や在宅事件処理という有利な刑事処分を獲得しやすくなります。
もし現段階で被害者が被害届を提出していないのなら、自首をすることで刑事手続きを有利に進めやすくなるでしょう。
刑事事件への対応が得意な弁護士に相談をすれば、被害届が出されている可能性を精査したうえで、自首をするべきかどうか、自首よりも示談交渉を優先するべきかを判断してくれます。
また、自首を選択する場合には、自首後に実施される取り調べでの供述方針についてアドバイスをくれたり、警察署への同行なども期待できます。
被害者との示談交渉を開始してくれる
示談とは、刑事事件の被害者・加害者との間で直接話し合いをおこない、民事的解決策について和解契約を締結することです。
監禁事件の当事者間で示談が成立すれば、刑事手続きにおいて以下のメリットを得られます。
- 被害届提出前に示談が成立すれば、刑事責任を問われるリスクがゼロになる
- 示談成立によって被害届や告訴状の取り下げを期待できる
- 起訴猶予処分の獲得、逮捕・勾留の回避など、刑事手続きを有利に進めやすくなる
- 判決までに示談成立が間に合えば、執行猶予付き判決や罰金刑といった量刑判断を引き出しやすくなる
示談交渉を弁護士に任せるメリット
示談交渉は加害者本人やその家族がおこなうことも可能です。
しかし、示談交渉を円滑に進めたいなら、弁護士に一任してもらうのがおすすめです。
というのも、示談交渉を弁護士に代理してもらうことで、以下のメリットを得られるからです。
- 弁護士が代理人に就けば、捜査機関経由で被害者の連絡先を入手しやすくなる
- 刑事手続きの各段階に間に合うように示談成立を目指してめれる
- 感情的になっている被害者も、弁護士が交渉相手になることで、冷静に話し合いに応じてくれやすくなる
- 被害者側から無理難題な条件をつきつけられたとしても、相場どおりの示談条件での合意形成を目指しやすくなる
- 宥恕条項や債務不存在条項など、示談書に盛り込むべき内容をしっかりと記載した示談書を作成してくれる
示談交渉が頓挫すると、話し合いの途中で被害届が提出されて、刑事手続きが不利に進められるリスクが高まります。
示談交渉ノウハウが豊富な弁護士に任せることで早期の紛争解決を期待できるでしょう。
有利な刑事処分獲得を目指した防御活動を期待できる
刑事事件への対応が得意な弁護士は、刑事手続きを有利に進めるために、あらゆる弁護活動を展開してくれます。
たとえば、刑事事件を起こした事実を家族などに隠したいと依頼者が希望しているのなら、在宅事件処理を目指してさまざまなアドバイスを提供してくれます。逮捕・勾留されてしまったときには、準抗告や取り消し請求などの法的措置も期待できるでしょう。
また、刑事事件を起こした事実に間違いがない状況であったとしても、有罪や前科を回避するために、起訴猶予処分獲得を目指した防御活動も尽力してくれます。起訴猶予処分を下すかどうかを決めるときには、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が総合的に考慮されるため(刑事訴訟法第248条)、弁護士がどれだけの被疑者にとって有利な情状証拠を用意できるかがポイントになるでしょう。
日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
刑事事件を起こすと、SNSや匿名掲示板などで、個人情報が流出したり、誹謗中傷・名誉毀損に該当するような投稿がされたりします。刑事事件への対応が得意な弁護士は、削除請求・発信者情報開示請求・慰謝料請求などの法的措置によって、依頼人の権利を守ってくれます。
また、刑事事件が原因で離婚トラブルや労使紛争などが発生するリスクもゼロではありません。早期に弁護士の力を借りておくことで、これらの派生的なトラブルにもスピーディーに対応できるでしょう。
被害届が出ているかどうか不安なときは弁護士に相談しよう
刑事事件を起こした心当たりがあって、被害届が出ているかどうかを不安に感じているのなら、できるだけ早いタイミングで刑事事件を取り扱っている弁護士に相談・依頼をしてください。
刑事事件をめぐる事実関係を踏まえて現段階で被害届が出ているかを判断してくれますし、必要であれば、示談交渉や自首などの対応策に踏み出してくれるでしょう。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、示談交渉などの刑事弁護実績豊富な法律事務所を多数紹介中です。被害届がいつ出されるかを被疑者側ではコントロールできないので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。