弱みにつけこんで部屋に閉じ込めるなどして、被害者の場所的移動の自由を制限した場合、監禁罪が成立します。
監禁罪の法定刑は「3ヶ月以上7年以下の拘禁刑」と定められており、罰金刑が定められていない重大犯罪です。
つまり、監禁罪の容疑で逮捕・起訴されて有罪判決が確定すると、執行猶予が付かない限り、刑務所に収監されるということです。
ですから、監禁罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで示談交渉などの防御活動を開始したうえで、不起訴処分(起訴猶予処分)獲得を目指すべきだと考えられます。
そこで、この記事では、監禁罪の容疑で警察から出頭要請をかけられた人や、家族が監禁罪の容疑で逮捕された人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 監禁罪の保護法益、構成要件、法定刑
- 監禁罪の容疑で逮捕されたときの刑事手続きの流れ
- 監禁罪の容疑で逮捕されたときに生じるデメリット
- 監禁罪の疑いをかけられたときに弁護士に相談・依頼するメリット
目次
監禁罪の基本事項
まずは、監禁罪の構成要件や法定刑、公訴時効などについて解説します。
監禁罪は刑法第220条に規定されている犯罪
監禁罪は、刑法第220条に規定されている犯罪類型です。
監禁行為の結果、人が死傷したときには、刑法第221条に基づき、監禁致死傷罪が成立します。
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
引用:刑法|e-Gov法令検索
監禁罪の保護法益
監禁罪の保護法益は「人の身体の場所的移動の自由(一定の場所から移動する自由)」です。
保護法益から導かれる監禁罪の客体
監禁罪の客体になり得るのは、場所的移動の能力を有する自然人に限られると理解されています。生まれたばかりの赤ん坊、意識喪失状態の者は、自分の意思に基づいて場所的に移動をすることができないので、監禁罪の客体からは除外されます。
ただし、自分の意思に基づいて場所的に移動できるかどうかを判断するときには、法的に有効な意思能力の有無ではなく、「事実的な移動能力があるかどうか」という観点が採用されるのが実情です。
たとえば、生後1年7ヶ月の幼児は法的に有効な意思能力は有さないものの、自力で一定程度の場所的移動をすることは可能なので、この用事に対して監禁行為に及んだ場合には、監禁罪が成立すると考えられます(京都地判昭和45年10月12日)。
また、身体障害者などについても、車椅子などの器械・器具などを利用したり、他人に意思を伝えて助力を得ることによって移動したりできる場合には、監禁罪の客体になることができます。
監禁罪の保護法益の内容とは
監禁罪の保護法益は「場所的移動の自由」ですが、判例学説上、その内容については争いがあります。
- 可能的自由説:移動しようと思えば移動できる自由(監禁罪の成立範囲が広くなる)
- 現実的自由説:現実に移動しようと思ったときに移動できる自由(監禁罪の成立範囲は狭くなる)
判例(最決昭和33年3月19日)及び通説は、①可能的自由説を採用しています。移動の可能性・選択肢を有していること自体が保護されるべきであり、「一定の場所にとどまっている限りは行動の自由が制限されていない」「本人が移動する意思がない以上、場所的移動の自由は制限されていない」と解釈するのには無理があると考えられるからです。
欺罔・偽計による監禁
場所的移動の自由が失われていたとしても、本人が自由な意思によってそれに同意を与えている場合には、監禁罪は不成立です。たとえば、公共交通機関の乗客は場所的移動の自由が失われた監禁状態におちいっていますが、法益の処分に対して乗客本人が完全な自由意思に基づいて同意をしているため、公共交通機関に対して監禁罪が成立することはありません。
また、場所的移動の自由が失われること自体について本人の同意がない場合には、監禁罪は当然に成立します。たとえば、騙されて内側からはドアを開けることができない部屋に知らず知らずに誘い込まれたケースなどが挙げられます。
さらに、場所的移動の自由が存在しないと騙されてその場に留まることにした場合、その場に滞留する意思を有したこと(移動意思を発動しないことにしたこと)が「移動が不可能だ」という認識によって導かれたものであり、自由意思によってもたらされたものではない以上、監禁罪が成立すると考えられます。
これらに対して、場所的移動の自由が失われることについて同意をしたものの、そのような意思が生じる点について欺罔による錯誤がある場合、監禁罪が成立するかが問題になります。たとえば、被害者をA地点で自動車に乗車させてB地点まで疾走したところ、B地点において騙されている事実に気づいた被害者が停車を求めたが、そのままさらに走行してC地点まで車両を走行させた事案において、判例は「A地点からC地点まで」について監禁罪の成立を認めています(最決昭和33年3月19日)。
監禁罪の保護法益は「移動しようと思えば移動できる自由(可能的自由説)」である以上、意思形成の過程に欺罔や偽計が介在した場合にも、監禁罪が成立と考えるのが判例実務です。
監禁罪の構成要件
監禁罪は、不当に人を監禁したとき、に成立する犯罪類型です。
まず、「不法に」は、それ自体、特別の構成要件要素ではありません。監禁行為は法定に基づき適法におこなわれることがあるため、一般的な違法性の要件を確認する目的で明文化されているだけです。
次に、監禁罪の実行行為である「監禁」とは、一定の場所からの脱出を困難にして移動の自由を奪うことです。監禁が認められるためには、移動することが物理的または心理的に不可能、もしくは、著しく困難な状態になったことを要すると理解されています(最判昭和24年12月20日)。
移動の自由を奪う手段には、法文上の制限はありません。たとえば、以下のような行為は、監禁に該当する可能性があります。
- 部屋などのドアの鍵を壊して障壁のなかなどに閉じ込める行為
- 沖合に停泊中の漁船内に閉じ込める行為
- 暴行や脅迫を用いて密室から出れなくする行為
- 疾走するバイクや自動車に乗車させる行為 など
監禁罪の法定刑
監禁罪の法定刑は「3ヶ月以上7年以下の拘禁刑」です。監禁罪の法定刑に罰金刑は定められていません。
ですから、監禁罪の容疑で有罪になるときには、執行猶予が付くかどうかがポイントになります。
執行猶予付き判決を獲得するには「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき」という要件を満たす必要があるため(刑法第25条第1項柱書)、監禁罪の容疑で起訴されたときには、自首減軽や酌量減軽などの防御活動を展開しましょう。
監禁罪の公訴時効
監禁罪に該当する行為に及んだとしても、いつまでも刑事訴追のリスクに晒されるわけではありません。
というのも、日本の刑事法制には公訴時効という制度が設けられており、犯罪行為が終わってから一定の公訴時効期間が経過することで、刑事責任を問われなくなるからです。
公訴時効期間は各犯罪類型の法定刑ごとに異なります。監禁罪の法定刑は「3ヶ月以上7年以下の拘禁刑」なので、公訴時効期間は5年です(刑事訴訟法第250条第2項第5号)。
ただし、監禁罪の法的性質は継続犯と理解されているため、場所的移動の自由が侵害されている間、犯罪は成立しつづける点に注意が必要です。
つまり、公訴時効期間の起算点は、「監禁行為に及んだとき」ではなく、「監禁行為が終了して被害者が解放されたとき」になるということです。
監禁致死傷罪
監禁行為に及んだ結果、人を死傷させたときには、監禁致死傷罪が成立します。
監禁致死傷罪が成立するのは、監禁という事実から死傷結果が生じたケース、監禁の手段から死傷結果が生じたケースです。
これに対して、監禁の機会になされた暴行によって死傷結果が生じた場合には、傷害罪や傷害致死罪などが成立し、監禁罪とは併合罪の関係に立つと扱われます(最判昭和28年11月27日、最判昭和42年12月21日)。
監禁致死傷罪は、監禁罪の法定刑「3ヶ月以上7年以下の拘禁刑」と傷害の罪の法定刑(傷害罪の法定刑は「15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑」、傷害致死罪の法定刑は「3年以上の有期拘禁刑」)と比較して、重い刑によって処断されます。
監禁罪と逮捕罪との関係
刑法220条では、監禁罪と一緒に逮捕罪を定めています。
逮捕罪とは、不法に人を逮捕したときに成立する犯罪類型です。
逮捕とは、暴行などの直接的な強制作用を加えて、場所的移動の自由を奪うことです(大阪高判昭和26年10月26日)。
たとえば、被害者の両腕を縛ったとしても、場所的移動の自由が侵害されていない限りは、逮捕罪は成立しません(暴行罪や傷害罪が成立するにとどまります)。
また、逮捕罪が成立するには、場所的移動の自由を拘束したと認められる程度の時間その拘束が継続する必要があります(大判昭和7年2月29日)。
体をロープで縛ったうえで長いロープで柱にくくりつけて一定の範囲しか移動できない状態にしたケース、車椅子がなければ移動できない身体障害者から車椅子を奪い去ったケースなどでは、逮捕罪・監禁罪のどちらも適用できる可能性があります。ただし、逮捕罪も監禁罪も同じ規定において定められていることから、逮捕罪と監禁罪を厳密に区別する実益は乏しいと考えられます。
監禁罪の容疑で逮捕されるときの刑事手続きの流れ
監禁罪の容疑で逮捕されるときの刑事手続きの流れについて解説します。
- 警察に逮捕される
- 警察段階の取り調べが実施される
- 検察段階の取り調べが実施される
- 検察官が公訴提起するかどうかを判断する
- 公開の刑事裁判にかけられる
監禁罪の容疑で警察に逮捕される
監禁事件を起こした事実が警察に発覚すると、警察に逮捕されます。
逮捕とは、被疑者の身柄を拘束する強制処分のことです。逮捕処分が実行されると、その場で身柄を押さえられて、警察署に連行されます。
監禁事件を起こした場合、通常逮捕か現行犯逮捕のどちらかのパターンで身柄拘束されます。
監禁罪の容疑で通常逮捕されるパターン
監禁罪の容疑で身柄拘束される場合、通常逮捕されるのが一般的です。
通常逮捕とは、裁判所が発付する逮捕令状に基づいて実施される強制的な身柄拘束処分のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。
通常逮捕は、平日早朝の自宅など、被疑者が所在している可能性が高いタイミングを狙って実施されます。逮捕状が執行されると、その場で身柄を拘束されて警察署に連行されます。
たとえば、連行されるタイミングを調整したり、連行前に家族や会社などに電話連絡をすることはできません。
監禁事件を起こしたとしても常に通常逮捕されるわけではない
監禁事件を起こして通常逮捕されるのは、逮捕状が発付されたときです。
そして、逮捕状が発付されるのは以下2つの要件を満たしたときに限られます。
- 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
つまり、実際に監禁事件を起こした事実に間違いがない状況であったとしても、逃亡または証拠隠滅のおそれがないと判断される場合(逮捕の必要性がないと判断される場合)には、逮捕状は発付されず、在宅事件として処理されるということです。
通常逮捕によって身柄を拘束されると、身柄が釈放されるまでは外部と一切連絡がとれない状況に追い込まれるため、それだけで被疑者の日常生活には大きな支障が生じかねません。
ですから、監禁事件を起こした事実が警察に発覚したときには、逮捕の必要性がないと判断されるような状況を作り出すのがポイントだといえるでしょう。
監禁罪の容疑で現行犯逮捕されるパターン
監禁事件を起こした場合、現行犯逮捕される可能性も少なくありません。
現行犯逮捕とは、現に罪をおこない、または、おこない終わった者に対する強制的な身柄拘束処分のことです(刑事訴訟法第212条以下)。通常逮捕とは異なり、現行犯逮捕は逮捕令状がなくても実行されます。
たとえば、被害者を監禁している現場に警察官がやってきて監禁行為が発覚したようなケースでは、その場で現行犯逮捕されて、警察署に身柄が連行されます。
警察に監禁事件がバレるきっかけ
監禁事件を起こした事実が警察に発覚する代表的なきっかけとして以下のものが挙げられます。
- 監禁現場から逃げてきた被害者が警察に110番通報したり警察署に逃げ込んだりする
- 監禁現場の近隣住民などが異変を察知して警察に相談する
- 行方不明者の身元を調査している過程で、防犯カメラ映像やスマートフォンの発信者情報などの証拠から監禁場所などが特定される など
監禁罪の容疑で警察段階の取り調べが実施される
監禁罪の容疑で警察に逮捕されたあとは、警察段階の取り調べが実施されます。
逮捕後に実施される警察段階の取り調べには「48時間以内」という制限時間が設けられています(刑事訴訟法第203条第1項)。48時間以内の取り調べが終了すると、被疑者の身柄と関係書類が検察官に送致されます。
警察段階の取り調べを拒否することはできません(どのような供述をするかは自由です)。また、取り調べ以外の時間帯は留置場に身柄をとどめられるので、帰宅したり会社に出勤したりするのは不可能です。さらに、スマートフォンなどの通信機器はすべて取り上げられるため、自分で外部と連絡をとることも許されません。
監禁事件について検察段階の取り調べが実施される
警察段階の取り調べが終了すると、監禁事件が検察官に送致されます。
送検後に実施される検察段階の取り調べには「24時間以内」の制限時間が存在します(刑事訴訟法第205条第1項)。
警察段階の48時間以内と検察段階の24時間以内、合計72時間以内の取り調べが終わると、検察官が監禁事件を起訴するかどうかを決定します。
警察段階の取り調べと同じように、検察段階の取り調べ中も、被疑者の行動・身体の自由は大幅に制限されたままです。
監禁罪の容疑で逮捕されると勾留請求される可能性が高い
原則的な72時間以内の取り調べだけでは公訴提起判断に必要な証拠を収集できない場合には、検察官が勾留請求をする可能性が高いです(刑事訴訟法第206条第1項)。
検察官による勾留請求が認められて、裁判官が勾留状を発付すると、被疑者の身柄拘束期間は最長20日間延長されます(刑事訴訟法第208条)。
以下のような「やむを得ない事情」があると、監禁事件について勾留請求される可能性が高いでしょう。
- 取り調べで黙秘したり監禁行為自体を否認したりする場合
- 防犯カメラの映像やスマートフォンの情報などを解析するのに時間を要する場合
- 被害者や目撃者などの参考人聴取に時間を要する場合 など
監禁罪の容疑で逮捕・勾留されると、最長23日間の身柄拘束期間が生じる可能性があります。これでは、仮に不起訴処分の獲得に成功したとしても、被疑者の社会生活には大きなデメリットが生じかねません。
ですから、監禁罪の容疑で逮捕されたときには、勾留阻止や早期の身柄釈放によって在宅事件への切り替えを目指した防御活動が不可欠だといえるでしょう。
検察官が監禁事件を公訴提起するかどうか判断をする
逮捕期限・勾留期限が到来するまでに、検察官が監禁事件を公訴提起するかどうか(起訴処分か不起訴処分か)を決定します。
起訴処分とは、監禁事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為のことです。これに対して、不起訴処分は、監禁事件を刑事裁判にかけることなく検察官の判断で手続きを終了させる旨の意思表示を意味します。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いです。そのため、刑事裁判にかけられることが確定した時点(検察官が起訴処分を下した時点)で有罪判決が事実上決まってしまいます。
したがって、「有罪になりたくない」「前科をつけたくない」と希望するなら、刑事裁判で無罪判決獲得を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すための防御活動を展開するべきだといえるでしょう。
監禁事件が公開の刑事裁判にかけられる
監禁罪の容疑で起訴されると、公開の刑事裁判にかけられます。
公開の刑事裁判が開かれるタイミングは、起訴処分から1ヶ月~2ヶ月頃が目安です。ただし、逃亡や証拠隠滅のおそれが継続するなどの事情がある場合には、刑事裁判まで起訴後勾留が継続する可能性があるので注意が必要です。
公訴事実を全面的に受け入れる場合には、第1回公判期日で結審します。これに対して、否認事件では、複数回の公判期日を経て証拠調べや証人尋問などが実施されて判決が言い渡されます。
監禁は重大な人権侵害行為ですし、監禁罪の法定刑は拘禁刑だけです。そのため、適切な防御活動を展開しなければ、初犯でも実刑判決が下されかねません。
実刑判決が確定すると刑期を満了するまで刑務所への服役を強いられて社会復帰が難しくなるので、監禁罪の容疑で起訴されたときには、執行猶予付き判決獲得を目指した防御活動を展開してください。
監禁罪の容疑で逮捕されたときのデメリット4つ
監禁罪の容疑で逮捕されたときのデメリットとして以下4つが挙げられます。
- 実名報道される危険性がある
- 逮捕・勾留などによって長期間身柄拘束される危険性がある
- 会社や学校から何かしらの処分を下される可能性がある
- 前科によるデメリットに悩まされつづける
監禁事件を起こした事実が実名報道されかねない
監禁事件を起こすと、実名報道のリスクに晒されます。
もちろん、すべての刑事事件が実名報道の対象になるわけではありません。ただし、以下のような事情がある場合には、実名報道される危険性が高まります。
- 被疑者が逮捕・起訴された場合
- 被疑者が著名人だったり、社会的に高い地位、役職、職業についていたりする場合
- 生じた被害が甚大な場合
- 社会的関心が高いテーマに関する刑事事件の場合
たとえば、何ヶ月も被害者を監禁しつづけたケースや、監禁した被害者を不法に就労させていたケース、監禁罪の容疑で逮捕・起訴されたケースなどでは、実名報道のリスクが高まると考えられます。
そして、一度でもテレビの報道番組やインターネットニュースで実名報道されると、半永久的にインターネット上に監禁事件を起こした事実が残りつづけてしまいます。すると、就職活動や転職活動に悪影響が生じたり身近な人に発覚したりして、社会生活を送りにくくなるでしょう。
監禁罪の容疑で一定期間身柄拘束される危険性がある
監禁罪の容疑で刑事訴追されると、最終的に刑事責任が確定するまでに、長期間身柄拘束される危険性が高いです。
- 警察段階の取り調べ(逮捕段階):48時間以内
- 検察段階の取り調べ(逮捕段階):24時間以内
- 検察段階の取り調べ(勾留段階):最長20日間
- 起訴後勾留:刑事裁判が終了するまで
これだけの身柄拘束期間が生じると、起訴猶予処分や執行猶予付き判決を獲得できたとしても、被疑者の社会生活には回復し難いデメリットが生じます。
たとえば、身柄拘束期間中は外部と連絡をとれないので、家族や会社に監禁事件を起こした事実がバレてしまいます。また、長期に及ぶ無断欠勤などを理由に仕事をクビになるリスクも高まるでしょう。さらに、厳しい留置場生活によって精神的・肉体的なストレスも強いられます。
監禁事件を理由に会社や学校から何かしらの処分を下される可能性が高い
監禁罪の容疑で逮捕されると、被疑者が所属している学校や会社に監禁事件を起こした事実がバレる可能性が高いです。その結果、学校や会社から何かしらの処分が下されるでしょう。
たとえば、被疑者が会社員の場合、所属している企業が定める就業規則の懲戒規程に基づき、何かしらの懲戒処分が下されます。懲戒処分は、戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇の7種類に分類されます。監禁事件のような重大犯罪に及んだケースでは、会社をクビになるリスクもあると理解する必要があります。特に、実名報道よって会社の社会的信用を毀損してしまった場合には、懲戒リスクが高まると覚悟しましょう。
また、被疑者が学生の場合、所属している学校の学則・校則によって、退学・停学・訓告などの処分が下されます。特に、退学や停学などの重い処分が下されると、今後の進学や就職活動にも大きな支障が出る危険性があります。
監禁罪の容疑で有罪になると前科がつく
監禁罪の容疑で有罪判決が下されると、刑罰が科されるだけではなく、前科によるデメリットを強いられます。
前科とは、有罪判決を下された経歴のことです。実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が下された場合にも前科者になってしまいます。
そして、前科者になると、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動の難易度が高くなる
- 記載義務・回答義務に違反して前科の事実を申告せず内定を獲得したり就職を果たしたりすると、その後、前科の事実が発覚すると、経歴詐称を理由に内定が取り消されたり懲戒解雇処分が下されたりする
- 前科を理由に就業が制限される資格・仕事がある(士業、警備員、金融業など)
- 前科を理由に離婚を言い渡されたり結婚話がなくなったりしかねない
- 前科があると、ビザやパスポートの発給制限を受ける場合がある(海外旅行、海外出張に支障が生じる)
- 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い など
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高いので、検察官に起訴処分の判断を下されて刑事裁判にかけられた時点で有罪と前科が決定的になってしまいます。
ですから、前科によるデメリットを避けたい場合には、刑事裁判で無罪判決を目指すのではなく、検察官から不起訴処分の判断を引き出すのがポイントになるでしょう。
監禁罪の容疑をかけられたときに弁護士に相談するメリット4つ
監禁罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。
というのも、刑事事件への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下4つのメリットを得られるからです。
- 被害者tの間で示談交渉を進めてくれる
- 自首についてのサポートを受けられる
- 軽い刑事処分獲得を目指した防御活動を期待できる
- 日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
監禁事件の被害者との間で示談交渉を進めてくれる
刑事事件に強い弁護士に相談・依頼をすれば、監禁事件の被害者との間でスピーディーに示談交渉を進めてくれます。
示談とは、刑事事件の被害者・加害者との間で直接話し合いをおこない、民事的解決策について和解契約を締結することです。
監禁事件の当事者間で示談が成立すれば、刑事手続きにおいて以下のメリットを得られます。
- 被害者が警察に相談する前に示談が成立すれば、刑事事件化自体を回避できる
- 監禁事件が刑事事件化したとしても、早期の示談成立によって、起訴猶予処分獲得の可能性が高まる
- 被害者との間で示談が成立していることを理由に、在宅事件処理される可能性が高まる
- 監禁罪の容疑で起訴されたとしても、示談成立によって執行猶予付き判決を獲得しやすくなる
監禁事件の示談交渉は、被疑者本人や被疑者の家族が直接対応することも可能です。
しかし、監禁事件の示談交渉は弁護士に依頼することを強くおすすめします。というのも、監禁事件の示談交渉を弁護士に任せることで、以下のメリットを得られるからです。
- 弁護士が代理人に就けば、捜査機関経由で被害者の連絡先を入手しやすくなる
- 刑事手続きの各段階に間に合うように示談成立を目指してめれる
- 感情的になっている被害者も、弁護士が交渉相手になることで、冷静に話し合いに応じてくれやすくなる
- 被害者側から無理難題な条件をつきつけられたとしても、相場どおりの示談条件での合意形成を目指しやすくなる
- 宥恕条項や債務不存在条項など、示談書に盛り込むべき内容をしっかりと記載した示談書を作成してくれる
監禁事件について自首するべきかを検討してくれる
監禁事件が警察にバレていない段階なら、自首が有効な選択肢になります。
自首とは、犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前に犯人自身が捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求める意思表示をすることです。自首が有効に成立すれば、刑事裁判において自首減軽の恩恵を受けることができますし、起訴猶予処分や在宅事件処理という有利な刑事処分を獲得しやすくなります。
弁護士に相談・依頼をすれば、自首について以下のメリットを得られるでしょう。
- 監禁事件に関する事実関係を聴取したうえで、現段階で自首するべきか、自首よりも前に示談交渉を開始するべきか判断してくれる
- 自首後に実施される事情聴取における供述内容・供述方針を明確化してくれる
- 自首をする際に、警察署まで同行してくれる
監禁罪の容疑をかけられても軽い刑事処分獲得を目指してくれる
刑事事件への対応経験が豊富な弁護士に相談・依頼をすれば、監禁罪の容疑をかけられたとしても、少しでも有利な刑事処分獲得に向けた防御活動を展開してくれます。
以下のように、刑事手続きの段階に応じて、被疑者側が目指すべき防御目標は異なります。
- 任意の出頭要請がかけられている段階なら、逮捕・勾留といった身柄拘束処分を回避して、在宅事件処理を目指してくれる
- 逮捕されたとしても、準抗告や取り消し請求などの勾留阻止活動を展開してくれる
- 検察官から起訴猶予処分の判断を引き出して、刑事裁判の回避を目指してくれる
- 起訴された場合には、すぐに保釈請求をして、日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
- 刑事裁判にかけられたとしても、執行猶予付き判決や罰金刑の量刑判断を引き出して、実刑判決の回避を目指してくれる
監禁罪の容疑をかけられた場合、「有罪にならないこと」「前科をつけないこと」が今後の社会復帰を左右するポイントになります。
つまり、日本の刑事裁判の有罪率を前提とすると、刑事裁判で無罪判決を獲得するのは困難である以上、検察官から不起訴処分(起訴猶予処分)の判断を引き出すことができるかが重要だということです。
起訴猶予処分にするかどうかを決定するときには、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が総合的に考慮されます(刑事訴訟法第248条)。刑事実務に詳しい弁護士に依頼をすれば、起訴猶予処分の判断を引き出すために役立つ情状証拠などを用意してくれるでしょう。
監禁事件が原因で日常生活に生じるデメリットの回避・軽減を目指してくれる
刑事事件に強い弁護士は、刑事事件以外の面でも被疑者をサポートしてくれます。
たとえば、監禁事件について会社から事情聴取をされた場合、少しでも軽い懲戒処分になるように、代理人として会社側への対応を期待できます。
また、監禁事件について実名報道された結果、SNSや匿名掲示板などで誹謗中傷の被害を受けたときには、削除請求や発信者情報開示請求、慰謝料請求などの法的措置も取ってくれるでしょう。
監禁罪で刑事訴追リスクに晒されたときには弁護士に相談しよう
監禁罪の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件への対応が得意な私選弁護人に相談・依頼をしてください。
早期の示談交渉や捜査活動への防御活動を尽くすことで、刑事手続きを有利に進めてくれるでしょう。
刑事事件相談弁護士ほっとラインでは、監禁事件などの弁護活動が得意な専門家を多数紹介中です。弁護士の力を借りるタイミングが早いほど社会復帰しやすい状況を作り出しやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。