職務質問を受けたとき、焦って「とっさに嘘をついたら逮捕されるのでは?」と不安になる人は少なくありません。結論から言えば、職務質問で嘘をついたこと自体が直ちに犯罪になるケースは多くありません。
職務質問は警察官職務執行法に基づく任意の確認行為で、取調べのように「答えなければならない」「虚偽が直ちに処罰される」という場面とは性質が異なります。ただし安心しきるのも危険で、嘘の内容や態様がエスカレートすると、公務執行妨害罪・偽計業務妨害罪・軽犯罪法違反など別の罪名が問題になることがあります。
たとえば、他人名義を使う、偽造・借用した身分証を出す、捜査を混乱させる作り話で警察を別方向へ誘導する、第三者に罪をなすりつけるといった行為です。これらは、単なる「その場しのぎ」を超えてリスクが高い典型です。
さらに、嘘が発覚すると職務質問が長引き、所持品検査や同行要請につながりやすくなるなど、結果的に不利な心証を招きやすい点も要注意です。本記事では「職務質問で嘘をつくと罪に問われるのか」という基本から、罪に問われ得る嘘の具体例、適用され得る罪名、嘘がバレた場合の警察の動き。そして、黙秘・身分証提示・録音などを含むリスクの低い正しい対応までを整理して解説します。
目次
職務質問で嘘をつくと罪に問われる?
職務質問を受けた際、「本当のことを言わなければ逮捕されるのでは」と不安になる人は少なくありません。結論から言えば、職務質問で嘘をついたこと自体が、直ちに犯罪になるわけではありません。
ただし、嘘の内容や態様によっては、別の犯罪が成立する可能性があるため注意が必要です。まずは、職務質問で嘘をつくと罪に問われるのか?について、詳しく解説します。
【結論】原則として犯罪にはならない
警察官による職務質問は、刑事訴訟法ではなく警察官職務執行法に基づく任意の調査行為です。強制的に行われる捜査ではないため、以下の行為自体が処罰対象になる可能性は低いです。
- 質問に答えない
- 答える内容をぼかす
- 事実と異なることを述べる
そのため、単に「名前を偽った」「行き先を誤魔化した」といったレベルの虚偽申告だけで、その場で犯罪が成立することは通常ありません。ここが、取調べや裁判とは大きく異なる点です。
ただし、嘘がバレてしまった際は「何らかのことを隠している」といった疑いの目が強まる可能性があります。その結果、職務質問の時間が長引いたり、さまざまなことを尋ねられたりするでしょう。
職務質問は、犯罪の予防等の目的があります。とくに理由がないにも関わらず、嘘をつく行為は何らメリットがありません。そのため、尋ねられたことについては、正直に答えるようにしましょう。
虚偽申告そのものを処罰する法律は存在しない
職務質問の場面で、「嘘をついたこと」自体を直接処罰する一般的な法律は存在しません。裁判での虚偽陳述や、公務員に対する虚偽申告を罰する規定はありますが、職務質問中の発言に一律に適用されるものではありません。
そのため以下の事情が発生しても、直ちに違法性を問われることはないため安心してください。
- 身分事項を誤って答えた
- その場しのぎの説明をした
警察官もこの点は理解しており、「嘘=即違法」という扱いはされません。たとえば、友人との待ち合わせに遅れそうで急いでいたため、「適当な嘘をついてその場から離れた」という事情があっても、罪に問われません。
ただし、職務質問自体は素直に応じれば数分程度で終了するケースが多いです。無駄に嘘をつくことによって、必要以上に時間がかかってしまう可能性もあるため注意しましょう。
妨害や偽計があれば違法になる
嘘の内容や行動がエスカレートすると、別の犯罪が成立する可能性があります。問題になるのは、単なる虚偽ではなく、警察の職務執行を妨害したり、欺く行為にまで発展したりした場合です。
たとえば、以下のようなケースです。
- 他人の氏名や身分証を使用する
- 存在しない事件や人物をでっち上げる
- 虚偽説明で捜査を著しく混乱させる
- 逃走や証拠隠滅のために計画的に嘘を重ねる
公務執行妨害罪、偽計業務妨害罪、軽犯罪法違反などが問題になる可能性があります。つまり、「嘘をついたか」ではなく、「嘘によって何が起きたか」が判断の分かれ目です。
罪に問われる可能性のある嘘の例
職務質問は原則として任意ですが、嘘のつき方によっては、単なる虚偽申告を超えて、別の犯罪構成要件に該当することがあります。次に、罪に問われる可能性のある嘘の例について詳しく解説します。
身分や氏名を偽って身分証提示を拒否した場合
名前を誤魔化しただけで、直ちに犯罪が成立するわけではありません。しかし、以下に該当する場合は、罪に問われる可能性があるため注意が必要です。
- 他人の実在する氏名を名乗る
- 偽造・借用した身分証を提示する
- 逃走や検挙回避を目的として虚偽の身分を使う
このような行為は、軽犯罪法違反や、場合によっては有印私文書偽造・同行使、さらには公務執行妨害罪が問題になる可能性があります。
とくに警察実務では、「身分を偽る→逃走のおそれがある」と評価されると、任意だった職務質問が、身柄確保や強制手続に移行する口実にもなり得ます。結果として、嘘をついたことで事態が悪化する典型パターンです。
捜査妨害目的の虚偽説明
リスクが高いのが、捜査を妨害する意図での虚偽説明です。たとえば、以下のようなケースです。
- 犯行現場について虚偽の場所・時間を説明する
- 証拠や共犯者の存在について意図的に事実と異なる説明をする
- 警察を別方向に誘導するための作り話をする
この場合、虚偽説明が警察の職務を実質的に妨げたと認定されれば、偽計業務妨害罪や公務執行妨害罪の成立が問題になります。ポイントは、「嘘をついたか」ではなく、その嘘が警察の職務を現実に妨害したかです。軽い言い逃れのつもりでも、結果次第では刑事責任に発展します。
第三者を巻き込む虚偽供述
職務質問の場面で、以下のような行為はとくに重く評価されます。
- 無関係な第三者を犯人扱いする
- 架空の人物が関与していると説明する
- 他人に罪をなすりつける虚偽供述をする
この場合、虚偽供述の内容によっては、虚偽告訴罪・偽証類似の評価や、第三者の名誉・権利を侵害する行為として、民事責任や別件捜査に発展する可能性もあります。警察・検察の視点では、「自分を守るために他人を犠牲にする行為」は強い悪質性をもって評価されやすく、後の処分判断にも不利に働くことが多いのが実情です。
職務質問で適用され得る罪名
警察官による職務質問は、犯罪予防や治安維持を目的とする重要な活動です。一般市民には応じる義務はありませんが、不審な点がある場合に虚偽の発言をすると、状況によっては刑事責任を問われる可能性があります。
とくに「嘘をついた」ことが警察の業務を妨げたり、混乱を招いた場合には、罪に問われることがあります。次に、職務質問で虚偽の説明等をした場合に問われる可能性のある罪について詳しく解説します。
公務執行妨害罪
職務質問中に警察官の職務を妨げるような言動を行った場合、「公務執行妨害罪」(刑法第95条)が成立する可能性があります。たとえば、警察官を突き飛ばしたり、大声で威嚇したりして職務の継続を困難にさせた場合が該当します。
虚偽の説明だけで公務執行妨害罪が成立するのはまれですが、その虚偽が警察官の職務の妨げとなり、業務を著しく混乱させた場合には適用される可能性もあります。なお、公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
偽計業務妨害罪
意図的に虚偽の情報を伝えて警察の捜査や対応を混乱させた場合、「偽計業務妨害罪」(刑法第233条)が成立する可能性があります。たとえば、「事件を目撃した」などと虚偽の供述をして警察の対応を無駄にさせた場合や、自分が被害者だと偽って通報した場合などがこれに該当します。
この罪は、嘘そのものではなく、その嘘によって「警察の業務が妨げられた」結果に着目して処罰される点が特徴です。法定刑は、「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。
軽犯罪法違反
軽微な虚偽であっても、場合によっては「軽犯罪法違反」(軽犯罪法第1条第16号)に問われる可能性があります。これは、警察官の質問に対して正当な理由なく虚偽の氏名や住所を答えた場合に適用される規定です。
職務質問を避けるために、偽名を名乗ったり、実在しない住所を答えたりした場合が典型例です。このような行為は比較的軽微な違反とされるものの、法的には処罰の対象となることを認識しておく必要があります。軽犯罪法違反の法定刑は「拘留または科料」です。
拘留とは、1日以上30日未満の期間刑事施設へ収監する刑罰を指します。内容は拘禁刑と同じですが、期間が30日未満である場合に「拘留」という刑罰が科されます。なお、刑事手続「勾留」と読み方は同じですが、まったく異なる制度です。
科料とは、1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。内容は、罰金刑と同じですが、1万円未満の場合に「科料」という刑罰が適用されます。
嘘がバレた場合の警察の動き方
警察の職務質問に対して嘘をついた場合、それが発覚すると警察の対応は一気に厳しくなることがあります。警察は職務質問中でも、相手の言動に矛盾や虚偽があれば、さらなる確認や対応に踏み切ることができるためです。次に、嘘が発覚した際に起こり得る警察の動きを具体的に解説します。
職務質問が長引き厳しくなる
職務質問は本来、任意で行われるものですが、相手が嘘をついたとわかると、警察官は「なぜ嘘をつく必要があったのか」という点に注目し、質問を継続・拡大する傾向があります。
一見些細な虚偽でも、何か後ろめたいことがあるのではないかと疑念を持たれ、職務質問が長時間に及ぶ可能性があります。結果として、その場から離れにくくなり、精神的にも負担が大きくなります。
所持品検査・同行要請の確率が上がる
嘘がバレると、警察官はその人物に対してより警戒心を強め、「何か隠しているのではないか」と判断することがあります。すると、次のステップとして所持品検査の提案や、警察署への同行を求められるケースが増えます。
これらはあくまで「任意」で行われるべきですが、相手が虚偽の供述をしていた場合、警察官は合理的な理由(職務質問の必要性)を得たと解釈しやすくなります。その結果、実質的には断りづらい状況に追い込まれることも少なくありません。
任意同行から強制捜査へ移行する可能性
虚偽の供述によって、警察が「重大な事件に関与している可能性がある」と判断した場合、状況は一変します。任意同行から、逮捕や捜索差押令状の請求を経て強制捜査に進むこともあり得ます。
とくに、過去の前科や現在の状況に照らし合わせて警察が重大な疑念を抱いた場合、令状を取得し、本人の意思に関係なく行動を制限する措置が取られる可能性も否定できません。
結果的に不利な心証を与える
たとえ嘘の内容が軽微なもので、法的に問題にならないとしても、警察・検察・裁判官などの捜査・司法関係者に「信用できない人物」という印象を与えることは避けられません。
刑事事件では「供述の信用性」が重要視されるため、初期の段階で嘘をついたことが記録に残ると、その後の取り調べや裁判でも不利に働くことがあります。無関係な事件であっても、心証が悪化するだけで、結果的に不利益を被るリスクがあります。
職務質問で正しい対応とは
警察官からの職務質問に遭遇した場合、慌ててしまい不適切な対応を取ってしまう人も少なくありません。しかし、職務質問は「任意」で行われるものであり、適切な対応を理解しておくことが、自分の権利を守るうえで極めて重要です。次に、法律に基づいた正しい対応方法を解説します。
沈黙する権利があることを理解する
日本国憲法第38条は、「自己に不利益な供述を強要されない」ことを保障しています。これは刑事手続き全般において適用される原則であり、職務質問中にも当然に適用されます。
つまり、職務質問に対して「答えたくない」「黙秘したい」と考える場合には、その意思を表明し、沈黙を貫くことも合法的な対応です。ただし、無言で立ち去ろうとすると、警察官が不審に思い対応が厳しくなることもあるため、「黙秘します」「弁護士が必要な場合は連絡します」といった明確な意思表示が望ましいでしょう。
とはいえ、とくにやましいことがないのであれば、素直に応じたほうが短時間で職務質問は終了します。強制ではないものの、中ば強制的に行われるようなものであるため、スムーズに終わらせられるように、素直に応じることが好ましいでしょう。
答えたくない質問には答えなくて良い
職務質問はあくまでも任意の協力を前提としているため、すべての質問に答える義務はありません。警察官の質問内容がプライバシーに踏み込むものや、自己の不利益となる可能性がある場合は、回答を拒否することができます。
たとえば、「どこに行くのか」「何をしていたのか」といった質問に対して、「答える義務はないので、控えさせていただきます」と穏やかに伝えることも正当な対応です。
ただし、上記のとおり答えたとしても「何かを隠しているのではないか」と疑われる可能性もあるため注意しましょう。結果として、職務質問が長引いてしまう恐れもあるため、可能な限り素直に答えたほうが良いです。
身分証提示の法的義務は限定的
多くの人が誤解していますが、日本において一般市民が警察官から職務質問を受けた際に、身分証(免許証やマイナンバーカードなど)を提示する法的義務はありません。提示を断っても、それだけで違法行為とはされません。
ただし、軽犯罪法違反などに抵触するような虚偽の氏名・住所を告げた場合には処罰対象となることもあるため、答える場合は正確に伝える必要があります。なお、外国人の方は入管法により、在留カードなどの提示義務がある点には注意が必要です。
録音・記録を取ることは合法
職務質問の際に、自身の身を守るために録音やメモを取ることは法律上許されています。実際、警察官による違法な対応や恫喝的な言動が問題になることもあるため、記録を残すことは有効な自衛手段です。
録音を行う際は、「記録のために録音します」と一言伝えることで、トラブルを避けやすくなります。職務質問中の言動は後々の法的証拠としても使えるため、冷静に対応することが重要です。
すでに嘘をついてしまった場合の対処法
警察の職務質問に対し、焦りや恐怖から思わず嘘をついてしまうことは、誰にでも起こり得ることです。しかし、嘘が発覚した際の対応次第で、今後の展開に大きな差が出る場合もあります。次に、すでに虚偽の供述をしてしまった場合に取るべき適切な対処法を解説します。
これ以上虚偽を重ねないことが最優先
重要なのは、嘘を重ねないことです。一度ついた嘘をごまかそうとしてさらに虚偽を重ねると、警察の不信感を一気に高めてしまい、場合によっては偽計業務妨害罪などの成立に近づく危険性もあります。
たとえ最初の嘘が軽微なものであっても、後から虚偽の内容を繰り返し述べることは、自ら不利な立場を作り出す行為です。まずは落ち着いて、これ以上誤った説明をしないように意識しましょう。
訂正は早いほうがリスクが低い
嘘をついてしまった場合には、できるだけ早い段階で訂正することが、後々のリスクを最小限に抑えるカギとなります。とくに、任意の職務質問の段階であれば、まだ警察側も柔軟な対応を取りやすく、虚偽の内容が大きな問題とされる前に収められる可能性もあります。
「先ほどの説明に誤りがありました」と自ら訂正することで、誠意が伝わり、警察側も対応を変えることがあります。タイミングが早ければ早いほど、事態の深刻化を防げる可能性が高まります。
ただし、法律に反しない程度の虚偽であれば、あえて訂正する必要はありません。むしろ、訂正をすることによって「なぜ最初は嘘をついたのか?」と、何らかの疑いをかけられる可能性もあるため注意しましょう。そのままやり過ごす、もしくは嘘がバレた段階で早急に訂正することを心がければ良いです。
弁護士への早期相談が重要
すでに虚偽の説明をしてしまい、自分の判断で対応することに不安がある場合は、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。とくに、警察が虚偽供述を重く見て捜査を拡大しそうな場合や、逮捕・取調べが視野に入ってきたときには、専門的な法的アドバイスが不可欠です。
弁護士は、警察との対応方法や供述の修正方法、今後の流れについて的確な指導を行ってくれます。可能であれば、刑事事件に強い弁護士を選びましょう。
なお、職務質問の段階であれば、自由に携帯電話を使用できます。自分で検索して刑事弁護に強い弁護士へ相談をし、その場から離れることもひとつの手段になり得るでしょう。
不利供述にならないよう注意する
訂正を行う際や、警察官とのやりとりの中で不用意に自分に不利な発言をしないよう注意が必要です。とくに「嘘をついたのはやましい理由があったから」など、警察にとって「犯罪の動機」と解釈されかねない供述は避けたほうが良いでしょう。
供述は記録され、後の捜査や裁判において重要な証拠となることもあるため、「供述の一つ一つが自分の立場に影響を与える」ことを理解し、慎重に対応する姿勢が求められます。
よくある質問
警察の職務質問で嘘をついた場合によくある質問を紹介します。
Q.職務質問は断れますか?
A.法的には断ることが可能です。ただし現実的には難しい場面もあります。
職務質問は「任意捜査」の一環であり、憲法に基づく「自由権の保障」により、強制的に応じる義務はありません。そのため、法的には「お断りします」と伝えれば、その場を離れる権利があります。
しかし現実には、警察官は「合理的な職務質問の必要性」があると判断すれば、しつこく引き止めたり、逃げようとする行為を「不審行動」と見なして追跡・同行要請をしたりするケースもあります。そのため、理論上は拒否できても、実務上は円滑に離脱するためのコミュニケーション能力と冷静な対応が求められます。
Q.嘘をついても黙秘権がありますか?
A.嘘と黙秘は別物です。「黙秘権」はありますが、嘘は場合によっては違法とされます。
黙秘権は憲法第38条に基づき、誰にでも認められている基本的人権です。これは刑事手続きの一環として、自らに不利益となる供述を強要されない権利です。職務質問中であっても、「お答えしません」「黙秘します」と伝えることは合法です。
一方で、嘘をつくことは「偽計業務妨害罪」や「軽犯罪法違反」などの構成要件に該当する可能性があります。とくに警察の職務を妨げる意図が認められれば、刑事責任が問われることもあります。したがって、黙秘するか、正直に答えるかのいずれかがリスクを最小限に抑える方策となります。
Q.職質中にスマホを見せる義務はありますか?
A.法的義務は一切ありません。見せるかどうかは完全に任意です。
警察官がスマートフォンの中身を確認したいと求めてくることがありますが、スマホの中身(通話履歴、LINE、写真、ブラウザ履歴など)は通信の秘密・プライバシー情報に該当し、高度に保護されています。
警察がスマホを強制的に押収・解析するには、原則として裁判所の令状(捜索差押令状)が必要です。職務質問の段階ではそのような権限はありません。任意提出を求められても、毅然と「それはできません」と断って問題ありません。
Q.嘘をついたらその場で逮捕されますか?
A.嘘だけで即逮捕されることは通常ありませんが、内容次第では例外もあります。
職務質問において嘘をついただけでは、基本的にその場で逮捕されることはありません。ただし、以下のようなケースでは即時対応される可能性があります。
- 警察官に暴言や暴力を加える→公務執行妨害罪
- 虚偽の通報や事件情報→偽計業務妨害罪
- 身分や住所の偽り→軽犯罪法違反
また、虚偽発言が原因で警察が重大な誤解をした場合、それを修正するために捜査が必要となり、別件での違反が見つかることで逮捕に繋がるケースもあります。よって「嘘そのもの」は微罪でも、「連鎖的に違法行為が発覚する」リスクがある点に注意が必要です。
Q.後から訂正すると不利になりますか?
A.基本的には有利に働くことが多いですが、供述の変遷が不信を招く場合もあります。
虚偽供述を訂正することは、誠意を見せる行為としてプラスに働くことが多いです。とくに早い段階での訂正は「自発的な修正」として記録され、裁判等でも有利な事情と評価されることがあります。
ただし、供述をたびたび変えると、捜査機関から「信用できない」「隠し事がある」と受け取られる危険性もあるため、訂正する際は理由と一貫性を持たせた説明が重要です。弁護士と相談した上で、戦略的に対応するのが最善です。
まとめ
職務質問で嘘をついても、原則として嘘そのものが直ちに犯罪になるわけではありません。職務質問は任意の確認行為であり、答えない・ぼかす・事実と異なる説明をしただけで即処罰される場面は多くないためです。
一方で、嘘が「警察の職務を妨害する」「欺いて混乱させる」「他人を巻き込む」レベルに達すると、別の犯罪が成立し得ます。具体的には、暴言・暴力や職務継続を困難にする言動があれば公務執行妨害罪、虚偽情報で警察の対応を無駄にさせたり捜査を攪乱したりすれば偽計業務妨害罪です。正当な理由なく虚偽の氏名・住所を述べた場合は軽犯罪法違反が問題になります。
嘘がバレた場合、職務質問が長引き、所持品検査・同行要請の確率が上がるなど、状況が悪化しやすいのも現実です。対応としては、答えたくないことは丁寧に拒否し、黙秘の意思を明確にする、スマホ提示は任意であることを理解する、録音・記録で身を守るなどが基本です。
もし嘘をついてしまったなら、虚偽を重ねないことが最優先で、訂正するなら早めが有利に働く場合があります。ただし訂正の仕方次第で疑念を深めることもあるため、逮捕や取調べの可能性が見えるなら早期に弁護士へ相談し、不利な供述を避ける戦略で臨むことが重要です。